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特許7578267メチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】メチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20241029BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20241029BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61L 9/013 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q11/00
A61L9/013
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020183832
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073685
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直和
(72)【発明者】
【氏名】高木 寛
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222579(JP,A)
【文献】特開2008-100935(JP,A)
【文献】特開2016-216419(JP,A)
【文献】特開2010-111591(JP,A)
【文献】特開平10-108900(JP,A)
【文献】特開2015-196657(JP,A)
【文献】国際公開第02/098212(WO,A1)
【文献】特開2020-093998(JP,A)
【文献】特開2020-152701(JP,A)
【文献】特開2005-035907(JP,A)
【文献】特開2011-051946(JP,A)
【文献】EXTRACTION ON THE RECOVERY OF PHENOLIC COMPOUNDS FROM BARLEY GRAINS,Journal of Food Biochemistry,2015年,39,p.696-707,DOI:10.1111/jfbc.12177
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A61L 9/013
A23G 1/00-9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オオムギ、ラフマ及びジュンサイを含有するメチルメルカプタン発生抑制剤であって、メチルメルカプタン発生抑制が含硫アミノ酸リアーゼ阻害によることを特徴とするメチルメルカプタン発生抑制剤。
【請求項2】
オオムギ、ラフマ及びジュンサイを含有する硫化水素発生抑制剤であって、硫化水素発生抑制が含硫アミノ酸リアーゼ阻害によることを特徴とする硫化水素発生抑制剤。
【請求項3】
請求項1記載のメチルメルカプタン発生抑制剤を含有することを特徴とする消臭剤。
【請求項4】
請求項2記載の硫化水素発生抑制剤を含有することを特徴とする消臭剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オオムギ、ラフマ及びジュンサイを含有することを特徴とするメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤に関する。より詳しくは、オオムギ、ラフマ及びジュンサイをメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤として含有することを特徴とする、口臭抑制剤あるいは消臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
メチルメルカプタンや硫化水素は、強い臭気物質として知られており、工場や事業所における活動で発生する悪臭を規制する悪臭防止法において、特定悪臭物質として政令で指定されている。メチルメルカプタンや硫化水素は、産業活動ばかりでなく、口臭、生ゴミ臭、糞便臭等の生活に直結した臭気の主たる原因物質であるため、臭気を抑えるには、メチルメルカプタンや硫化水素を除去することが大変重要である。
【0003】
ところが、メチルメルカプタンや硫化水素は、安定な物質であるため、吸着や分解による除去が困難である。そのため、メチルメルカプタンや硫化水素の発生を抑制することが大切になる。
【0004】
メチルメルカプタンや硫化水素は、メチオニンやシステイン等の含硫アミノ酸を基質とする酵素反応で発生する。これらの酵素は、含硫アミノ酸リアーゼと称され、メチルメルカプタンを産生する酵素としてはメチオニン-ガンマ-リアーゼが知られており、硫化水素を産生する酵素としてはシスタチオニン-ガンマ-リアーゼやシスタチオニン-ベータ-シンターゼ等が知られている(非特許文献1、2)。
【0005】
メチルメルカプタンや硫化水素の発生を抑制するには、この含硫アミノ酸リアーゼを阻害することも重要であることから、含硫アミノ酸リアーゼ阻害に着目した様々な試みがなされている。
【0006】
特許文献1には、揮発性硫黄化合物生成抑制剤、メチオニンからメチルメルカプタンを生成する酵素の阻害剤、及び硫化水素を生成する酵素の抑制剤が開示されている。特許文献2~5には、トマトやジンジャー抽出物及び水溶性ブドウ種子抽出物等の植物抽出物やミノルシン酸等を有効成分としたメチルメルカプタン産生酵素阻害剤が開示されている。また、特許文献6には、カテキン類を有効成分とした硫化水素産生酵素阻害剤が開示されている。
【0007】
しかしながら、すでに開示されている阻害剤や抑制剤は、人体に対して有害なもの、あるいはその効果が十分に発揮されない等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-173441号公報
【文献】特開2013-75860号公報
【文献】特開2002-3353号公報
【文献】特開2003-160459号公報
【文献】特開2008-31062号公報
【文献】特開2011-51946号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】Biochim Biophys Acta,1794:1414-1420(2009)
【文献】Folia Pharmacol.Jpn.,152:216-222(2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、人体に対する安全性が高く、その効果が十分発揮されるメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤を提供することである。より詳しくは、オオムギ、ラフマ及びジュンサイをメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤として含有することを特徴とする、口臭抑制剤あるいは消臭剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、イネ科オオムギ属に属するオオムギ、キョウチクトウ科バシクルモン属に属するラフマ及びスイレン科ジュンサイ属に属するジュンサイを組み合わせることで、極めて優れたメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制作用を見出し、さらにオオムギ、ラフマ及びジュンサイを組み合わせることで、優れた口臭抑制作用、消臭作用を見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制作用を達成することで、極めて優れた口臭抑制剤、消臭剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いるオオムギ(Hordeum vulgare L.)は、イネ科オオムギ属に属し、主に北半球と南米の温帯及び南アフリカに広く分布する一年草あるいは多年草のイネ科の植物である。オオムギは、穂の形状の違いから、二条オオムギ、四条オオムギ、六条オオムギ、裸オオムギ、野生オオムギ等に分類されるが、何れも本発明に用いることができる。また、例えば頴や頴果が紫色、黒色、白色(有色ではない)等のオオムギを用いることもできる。場合によっては、茎や葉も有色であるオオムギも本発明に用いることができる。使用するオオムギの部位は、特に限定されないが、例えば、植物体全体、器官(花、葉、茎、根、樹皮、果実、果皮もしくは種子又はこれらの混合物等)等が挙げられ、特に茎、葉及び種子等を使用することが好ましく、種子を使用することがさらに好ましい。
【0014】
本発明に用いるラフマ(Apocynum Venetum L.)は、キョウチクトウ科バシクルモン属に属し、主に中国の北西部に自生する多年生の草木である。ラフマは葉、茎、根等の何れの部位も使用できるが、特に葉を用いることが好ましい。
【0015】
本発明に用いるジュンサイ(Brasenia schreberi J.F.G mel.)は、スイレン科ジュンサイ属に属し、温帯から熱帯にかけて広く分布する多年生の水草である。ジュンサイは葉、茎、根等の何れの部位も使用できるが、特に粘質物で覆われた芽あるいは若葉を用いることが好ましい。
【0016】
本発明は、植物体あるいは植物体の部位や器官をそのまま用いても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行ったものでも良い。また、溶媒での抽出物を用いても良い。抽出には、植物体あるいは植物体の部位や器官をそのまま用いても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行ってから抽出を行っても良い。抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。これらの溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いても良い。好ましくは、水、低級アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水である。
【0017】
抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理をして用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0018】
本発明に用いる上記抽出物の使用量は、形態、使用目的、年齢、体重等によって異なる。口臭抑制剤として使用する場合、0.01μg~10mg/回、好ましくは0.02μg~5mg/回、より好ましくは0.1μg~1mg/回の範囲で1日1回から数回使用できる。また消臭剤として使用する場合、0.1μg~10mg/回、好ましくは0.2μg~5mg/回、より好ましくは1μg~1mg/回の範囲で1日1回から数回使用できる。上記使用範囲より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて使用する必要がある場合もある。また、製剤化における薬効成分の添加法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【0019】
本発明のメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤を口臭抑制剤として用いる場合、医薬部外品をはじめ、食品、医薬品のいずれにも利用することができる。形態としては、例えば、練歯磨き、液体歯磨き、洗口液、口腔用ゲル、マウススプレー、マウスリンス、トローチ剤、飴、グミ、ガム等の口腔に使用できる形態であれば、いずれも用いることができる。他にも錠剤、顆粒剤、散剤等の口腔から消化器系に使用する形態も用いることができる。
【0020】
本発明のメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤を消臭剤として用いる場合、形態としては、例えば、液体状、スプレー状、エアゾール状、粉末状、顆粒状、固形状等を用いることができる。形態に応じて、生ゴミ、糞便等に直接、散布することができる。また、トイレ、洗面所、風呂場、台所、流し台等の排水口、排気口等に散布することもできる。
【0021】
本発明のメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤は、効果を損なわない範囲内で、必要に応じて賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、ビタミン類、アルコール類、エステル類、pH調整剤、防腐剤、香料等の成分を含有することもできる。
【0022】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例に示す含有量の%は重量%を示す。
【実施例1】
【0023】
製造例1 オオムギの熱水抽出物
オオムギの種子の破砕物25gに精製水500mLを加え、95~100℃で2時間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮し、凍結乾燥することでオオムギの熱水抽出物2.1gを得た。
【0024】
製造例2 オオムギの50%エタノール抽出物
オオムギの種子の破砕物25gに50(v/v)%エタノール500mLを加え、常温で5日間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮乾固してオオムギの50%エタノール抽出物を0.9g得た。
【0025】
製造例3 オオムギのエタノール抽出物
オオムギの種子の破砕物100gにエタノール1Lを加え、常温で7日間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮乾固して、オオムギのエタノール抽出物を3.1g得た。
【0026】
製造例4 ラフマの熱水抽出物
ラフマの葉の乾燥物150gに精製水10Lを加え、95~100℃で2時間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮し、凍結乾燥することでラフマの熱水抽出物11.5gを得た。
【0027】
製造例5 ラフマの50%エタノール抽出物
ラフマの葉の乾燥物100gに50(v/v)%エタノール3Lを加え、常温で5日間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮乾固して、ラフマの50%エタノール抽出物を5.5g得た。
【0028】
製造例6 ラフマのエタノール抽出物
ラフマの葉の乾燥物200gにエタノール1Lを加え、常温で7日間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮乾固して、ラフマのエタノール抽出物を8.3g得た。
【0029】
製造例7 ジュンサイの熱水抽出物
ジュンサイの若葉の乾燥物2000gに精製水20Lを加え、95~100℃で2時間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮し、凍結乾燥することでジュンサイの熱水抽出物を35.2g得た。
【0030】
製造例8 ジュンサイの50%エタノール抽出物
ジュンサイの若葉の乾燥物1000gに50(v/v)%エタノール8Lを加え、常温で5日間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮乾固して、ジュンサイの50%エタノール抽出物を15.7g得た。
【0031】
製造例9 ジュンサイのエタノール抽出物
ジュンサイの若葉の乾燥物200gにエタノール1Lを加え、常温で7日間抽出した。ろ液を減圧下で濃縮乾固してジュンサイのエタノール抽出物を2.7g得た。
【0032】
製造例10 オオムギ、ラフマ、ジュンサイの熱水抽出物の混合物
製造例1のオオムギの熱水抽出物1g、製造例4のラフマの熱水抽出物1g、製造例7のジュンサイの熱水抽出物1gを混合し、3種類の抽出物の混合物3gを得た。
【実施例2】
【0033】
処方例1 洗口液
処方 含有量(%)
1.オオムギの熱水抽出物(製造例1) 0.001
2.ラフマの熱水抽出物(製造例4) 0.001
3.ジュンサイの熱水抽出物(製造例7) 0.001
4.エタノール 20.000
5.グリセリン 10.000
6.サッカリンナトリウム 0.100
7.香料 0.100
8.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 1.500
9.パラオキシ安息香酸エチル 0.100
10.水にて全量を100とする
<製造方法>
成分10に成分1~3を溶解し、次いで成分5、6を溶解した(組成物A)。成分4に成分7~9を溶解した(組成物B)。組成物Aと組成物Bをよく混合し、洗口液を得た。
【0034】
比較例1 従来の洗口液
処方例1において、オオムギの熱水抽出物、ラフマの熱水抽出物及びジュンサイの熱水抽出物を水に置き換えたものを比較例1とした。
【0035】
処方例2 消臭用顆粒剤
<処方>
成分 含有量(%)
1.オオムギの50%エタノール抽出物(製造例2) 0.0005
2.ラフマの50%エタノール抽出物(製造例5) 0.0005
3.ジュンサイの50%エタノール抽出物(製造例8) 0.0005
4.セルロース 20.0000
5.乳糖 79.9985
<製造方法>
成分1~5に水を適宜配合して混錬した。スクリーン径2mmで押出し造粒、乾燥を行い、顆粒剤を得た。
【0036】
比較例2 従来の顆粒剤
処方例2において、オオムギの50%エタノール抽出物、ラフマの50%エタノール抽出物及びジュンサイの50%エタノール抽出物を除き、乳糖にて全量を100としたものを比較例2とした。
【0037】
処方例3 消臭用スプレー
<処方>
成分 含有量(%)
1.オオムギの熱水抽出物(製造例1) 0.002
2.ラフマの熱水抽出物(製造例4) 0.002
3.ジュンサイの熱水抽出物(製造例7) 0.002
4.エタノール 30.000
5.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.200
6.クエン酸 0.100
7.クエン酸ナトリウム 0.100
8.香料 0.100
9.水にて全量を100とする
<製造方法>成分9に成分1~3を溶解した(組成物A)。成分9に成分6,7を溶解し、組成物Aと混合した(組成物B)。成分4に成分5、8を溶解した(組成物C)。組成物Bと組成物Cをよく混合し、消臭用スプレーを得た。
【0038】
比較例3 従来のスプレー
処方例3において、オオムギの熱水抽出物、ラフマの熱水抽出物及びジュンサイの熱水抽出物を除き、水にて全量を100としたものを比較例3とした。
【実施例3】
【0039】
試験例1 メチルメルカプタン発生抑制作用
被験者5名から唾液を採取し、以下の方法で測定を行った。ガラス容器に唾液1mLを入れ、メチルメルカプタンの基質であるメチオニンを終濃度で10mmol/L、オオムギ、ラフマ、ジュンサイの熱水抽出物の混合物(製造例10)を終濃度で50μg/mL及び200μg/mLとなる様に水に溶解し、唾液に1mL添加し、密閉して37℃にて24時間放置した。発生したメチルメルカプタンを固相マイクロ抽出ファイバーにより採取し、GC-MS法にて測定した。
【0040】
試験例1の結果を表1に示した。オオムギ、ラフマ、ジュンサイの熱水抽出物の混合物を添加しない場合のメチルメルカプタン発生量を100とした時、オオムギ、ラフマ、ジュンサイの熱水抽出物の混合物を終濃度50μg/mL添加で29%、200μg/mL添加で15%と優れたメチルメルカプタン発生抑制効果が認められた。この作用は、オオムギ、ラフマ、ジュンサイの熱水抽出物が、含硫アミノ酸リアーゼを阻害することで得られた作用と考える。
【0041】
【表1】
【0042】
試験例2 口臭抑制作用
被験者10名で実施した。処方例1の洗口液10mLを口に含ませ、20秒程度ゆすいだ後、吐き出させた。また別日に、比較例1の洗口液を用いて、同様に使用させた。使用前、使用1時間後に口臭測定器オーラルクロマ(NISSHAエフアイエス株式会社製)を用いて、口臭成分(メチルメルカプタン、硫化水素)濃度の測定を行った。
【0043】
試験例2の結果を表2、表3に示した。オオムギの熱水抽出物、ラフマの熱水抽出物及びジュンサイの熱水抽出物を含有する洗口液(処方例1)に、優れた口臭成分発生抑制作用が認められた。この作用は、オオムギ、ラフマ、ジュンサイの熱水抽出物が、含硫アミノ酸リアーゼを阻害することで得られた作用と考える。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
試験例3 生ゴミの消臭作用
キャベツ、タマネギ、豚ひき肉を重量比で等量になるように量り取り、みじん切りした後によく混合し、疑似の生ゴミ廃棄物を得た。5Lの密閉容器中に500gの生ゴミ廃棄物を入れ、処方例2の消臭用顆粒剤、比較例2の顆粒剤を10gずつ添加し、よく混合した。35℃の恒温槽中に投入し、1日後、2日後にモニター(10名)に嗅がせ、処方例2と比較例2の官能的なにおいの差から、消臭作用を判定した。
【0047】
試験例3の結果を表4に示した。オオムギの50%エタノール抽出物、ラフマの50%エタノール抽出物及びジュンサイの50%エタノール抽出物を含有する消臭用顆粒剤(処方例2)に優れた消臭作用が認められた。この作用は、オオムギ、ラフマ、ジュンサイの50%エタノール抽出物が、含硫アミノ酸リアーゼを阻害することで得られた作用と考える。
【0048】
【表4】
【0049】
試験例4 糞便の消臭作用
ガラス瓶に猫糞0.1gを入れ、処方例3の消臭用スプレー、比較例3のスプレーを1mLずつ噴霧し、密封した。35℃の恒温槽中に投入し、3時間後、12時間後にモニター(10名)に嗅がせ、処方例3と比較例3の官能的なにおいの差から、消臭作用を判定した。
【0050】
試験例4の結果を表5に示す。オオムギの熱水抽出物、ラフマの熱水抽出物及びジュンサイの熱水抽出物を含有する消臭用スプレー(処方例3)に優れた消臭作用が認められた。この作用は、オオムギ、ラフマ、ジュンサイの熱水抽出物が、含硫アミノ酸リアーゼを阻害することで得られた作用と考える。
【0051】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制剤は、優れたメチルメルカプタン及び/又は硫化水素発生抑制作用を有していることを示した。よって、優れた口臭抑制作用を有する口臭抑制剤や優れた消臭作用を有する消臭剤として利用できる。