(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】水産養殖装置、水産養殖対象物の育成方法および水中照明装置
(51)【国際特許分類】
A01G 33/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A01G33/00
(21)【出願番号】P 2020186360
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(72)【発明者】
【氏名】青木 優和
(72)【発明者】
【氏名】内田 博也
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104066319(CN,A)
【文献】特開2020-198821(JP,A)
【文献】特開2020-018178(JP,A)
【文献】特開2000-060350(JP,A)
【文献】特開2009-022198(JP,A)
【文献】特開2017-099302(JP,A)
【文献】特開昭53-038574(JP,A)
【文献】実開昭60-192308(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中照明装置本体および吊り下げ部材を備えた水中照明装置と、
前記吊り下げ部材を介して前記水中照明装置本体を水中の所定の位置に保持する
とともに、水面の周辺に配置された保持部材と、を備え、
前記水中照明装置は、水上側に向けた点灯および消灯を制御することにより、前記水中照明装置本体の周辺および水産養殖対象物の少なくとも一方の明るさを調整でき
、
前記保持部材は、水平方向に根付いた前記水産養殖対象物を有することを特徴とする水産養殖装置。
【請求項2】
前記水中照明装置本体は、前記保持部材によって前記水産養殖対象物の下方に保持され
、
前記水中照明装置本体は、光を照射する光源を有し、
前記光源の光軸は、水上に向いており、
前記光源は、前記水産養殖対象物に光を照射可能であることを特徴とする請求項1に記載の水産養殖装置。
【請求項3】
時間を計測するタイマーと、
前記タイマーからの時間の
情報を取得し、前記時間の情報に対応して前記水中照明装置の点灯および消灯を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水産養殖装置。
【請求項4】
前記明るさを検出する光センサと、
前記光センサから前記明るさの情報を取得し、前記明るさの情報に対応して前記水中照明装置の点灯および消灯を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水産養殖装置。
【請求項5】
前記水中照明装置に取り付けられる重りを備え、
前記水中照明装置および前記重りに働く重力は、前記水中照明装置および前記重りに働く浮力よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水産養殖装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水産養殖装置を用いた水産養殖対象物の育成方法であって、
前記明るさが所定の明るさ未満の場合に前記水中照明装置を点灯させる点灯工程と、
前記明るさが前記所定の明るさ以上の場合に前記水中照明装置を消灯させる消灯工程と、
を備える水産養殖対象物の育成方法。
【請求項7】
光を照射する光源と、
前記光源を内部に収容する筐体と、
前記筐体を水中の所定の位置に保持する
とともに、水面の周辺に配置された保持部材と前記筐体とを接続する吊り下げ部材と、
を備え、
前記保持部材は、水平方向に根付いた水産養殖対象物を有し、
水中に設置され
、前記水産養殖対象物に光が照射されるように水上側を照射することを特徴とする水中照明装置。
【請求項8】
前記保持部材は、水面から所定の位置に配置され、
前記吊り下げ部材は、前記保持部材に接続し、下方に延びて前記筐体を吊り下げることを特徴とする請求項7に記載の水中照明装置。
【請求項9】
前記保持部材は、複数の線材を撚り合わせて形成され、
前記吊り下げ部材は、
前記保持部材から前記筐体に向かって延びる吊り下げ部材本体と、
前記複数の線材同士の隙間に差し込まれる差し込み部と、を有し、
前記差し込み部は、前記吊り下げ部材本体の複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の水中照明装置。
【請求項10】
前記吊り下げ部材と前記筐体とを接続する接続部を備え、
前記接続部は、環状に形成され、
前記吊り下げ部材は、前記接続部に引っ掛かるフック部を有し、
前記フック部は、L字状に形成されていることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の水中照明装置。
【請求項11】
前記接続部は、複数設けられ、
前記複数の接続部のうち任意の前記接続部には、下端に重りが接続される重り吊り下げ部材および前記吊り下げ部材の少なくともいずれかが接続可能とされていることを特徴とする請求項10に記載の水中照明装置。
【請求項12】
前記光源から照射される光の波長は、400nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の水中照明装置。
【請求項13】
前記光源と、前記筐体とを備える水中照明装置本体を備え、
前記水中照明装置本体は、前記光源を中心とした半径1mの仮想球体内であって、前記光源の指向角の範囲に光を照射することを特徴とする請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の水中照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産養殖装置、水産養殖対象物の育成方法および水中照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワカメの養殖では水中に張ったロープに根付かせたワカメは(自然界と異なり)下方向(水底側)に成長させることが行われている。
また、ダイバーが水中に潜る場合、電波等が使えないので、水中で迷ってしまうことがあり、水上側からダイバーの居場所が分かりにくかった。
さらに、噴水ショーや水中イルミネーション等のエンターテイメントでは水中からの照明効果が重要となっている。
特に、水産養殖対象物(ワカメ等)の育成と収穫においては、長い期間を要する。例えば下記特許文献1には、照明を用いて水産養殖対象物に水上側から水底側へと光を照射することにより水産養殖対象物の成長を促進し、水産養殖対象物の育成と収穫にかかる期間を短縮する水産養殖対象物の育成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中に設置され水上側を照射する適切な水中照明装置がこれまで無かった。
例えば、ワカメの養殖では下方向への成長が促進されるように水底側から水上側を照射することが求められていた。
また、水上からでもダイバーの居場所が分かるように水底側から水上側を照射することが求められていた。
さらに、噴水ショーや水中イルミネーション等のエンターテイメントの世界においても地上への観客に向けた効果的な照明が求められていた。
特に、照明を用いて水産養殖対象物に光を照射することによる水産養殖対象物の成長促進効果においては、水産養殖対象物に日光が十分に照射されない場合にこそ顕著に発現する。しかしながら、従来技術にあっては、日光が十分に照射される場合にも照明を用いて水産養殖対象物に水上側から水底側へと光を照射することがあった。このため、余計な電気代等の費用がかかり、低コストに水産養殖対象物の成長を促進するという点で課題が残されていた。
【0005】
本発明は、水中に設置され水上側を照射する水中照明装置を提供することを目的とする。また、当該水中照明装置を用いた水産養殖対象物の成長を促進できる低コストな水産養殖装置および水産養殖対象物の育成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る水産養殖装置は、水中照明装置本体および吊り下げ部材を備えた水中照明装置と、前記吊り下げ部材を介して前記水中照明装置本体を水中の所定の位置に保持するとともに、水面の周辺に配置された保持部材と、を備え、前記水中照明装置は、水上側に向けた点灯および消灯を制御することにより、前記水中照明装置本体の周辺および水産養殖対象物の少なくとも一方の明るさを調整でき、前記保持部材は、水平方向に根付いた前記水産養殖対象物を有する。
【0007】
上記構成において、前記水中照明装置本体は、前記保持部材によって前記水産養殖対象物の下方に保持され、前記水中照明装置本体は、光を照射する光源を有し、前記光源の光軸は、水上に向いており、前記光源は、前記水産養殖対象物に光を照射可能である。
【0008】
上記構成において、時間を計測するタイマーと、前記タイマーからの時間の情報を取得し、前記時間の情報に対応して前記水中照明装置の点灯および消灯を制御する制御部と、を備える。
【0009】
上記構成において、前記明るさを検出する光センサと、前記光センサから前記明るさの情報を取得し、前記明るさの情報に対応して前記水中照明装置の点灯および消灯を制御する制御部と、を備える。
【0010】
上記構成において、前記水中照明装置に取り付けられる重りを備え、前記水中照明装置および前記重りに働く重力は、前記水中照明装置および前記重りに働く浮力よりも大きい。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係る水産養殖対象物の育成方法は、上記いずれかの水産養殖装置を用いた水産養殖対象物の育成方法であって、前記明るさが所定の明るさ未満の場合に前記水中照明装置を点灯させる点灯工程と、前記明るさが前記所定の明るさ以上の場合に前記水中照明装置を消灯させる消灯工程と、を備える。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係る水中照明装置は、光を照射する光源と、前記光源を内部に収容する筐体と、前記筐体を水中の所定の位置に保持するとともに、水面の周辺に配置された保持部材と前記筐体とを接続する吊り下げ部材と、を備え、前記保持部材は、水平方向に根付いた水産養殖対象物を有し、水中に設置され、前記水産養殖対象物に光が照射されるように水上側を照射する。
【0013】
上記構成において、前記保持部材は、水面から所定の位置に配置され、前記吊り下げ部材は、前記保持部材に接続し、下方に延びて前記筐体を吊り下げる。
【0014】
上記構成において、前記保持部材は、複数の線材を撚り合わせて形成され、前記吊り下げ部材は、前記保持部材から前記筐体に向かって延びる吊り下げ部材本体と、前記複数の線材同士の隙間に差し込まれる差し込み部と、を有し、前記差し込み部は、前記吊り下げ部材本体の複数箇所に設けられている。
【0015】
上記構成において、前記吊り下げ部材と前記筐体とを接続する接続部を備え、前記接続部は、環状に形成され、前記吊り下げ部材は、前記接続部に引っ掛かるフック部を有し、前記フック部は、L字状に形成されている。
【0016】
上記構成において、前記接続部は、複数設けられ、前記複数の接続部のうち任意の前記接続部には、下端に重りが接続される重り吊り下げ部材および前記吊り下げ部材の少なくともいずれかが接続可能とされている。
【0017】
上記構成において、前記光源から照射される光の波長は、400nm以上500nm以下である。
上記構成において、前記光源と、前記筐体とを備える水中照明装置本体を備え、前記水中照明装置本体は、前記光源を中心とした半径1mの仮想球体内であって、前記光源の指向角の範囲に光を照射する。
【発明の効果】
【0018】
そこで、本発明は、水中に設置され水上側を照射する水中照明装置を提供する。また、当該水中照明装置を用いた水産養殖対象物の成長を促進できる低コストな水産養殖装置および水産養殖対象物の育成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る水産養殖装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る照明装置の分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る照明装置の取付け用のリングの平面図である。
【
図5】照明装置本体によるワカメの成長を促進する効果を確認するための実験の方法を示す図である。
【
図6】実験区と比較区とでワカメの芽胞体の成長速度を比較するグラフである。
【
図7】第2実施形態に係る水産養殖装置の斜視図である。
【
図8】第3実施形態に係る水産養殖装置の側面図である。
【
図9】第3実施形態に係る水産養殖装置における照明装置本体の平面図である。
【
図10】第3実施形態に係る水産養殖装置の側面図である。
【
図11】第3実施形態に係る水産養殖装置の側面図である。
【
図12】第3実施形態に係る水産養殖装置の側面図である。
【
図13】第3実施形態に係る水産養殖装置におけるフック部周辺の斜視図である。
【
図14】第3実施形態に係る水産養殖装置におけるフック部周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
(水産養殖装置)
以下、本発明の第1実施形態に係る水産養殖装置1について図面を参照して説明する。
図1は、水産養殖装置1の斜視図である。
水産養殖装置1は、例えばワカメS等の海藻(請求項の「水産養殖対象物」に相当)の養殖に用いられる。
図1に示すように、水産養殖装置1は、例えばワカメSが養殖される湾内の海水中に配置されている。水産養殖装置1は、保持部材2と、照明装置10(請求項の「水中照明装置」に相当)と、重り3と、を有している。
【0021】
(保持部材)
保持部材2は、1本のロープ5である。保持部材2は、例えば水面上に浮遊する複数のいかだ(不図示)に張り渡されている。これにより、保持部材2は、水面から所定の位置に配置される。保持部材2が配置される「水面から所定の位置」は、例えば水面から下方に1mである。保持部材2には、ワカメSが根付いている。
【0022】
(照明装置)
図2は、照明装置10の斜視図である。
図3は、照明装置10の分解斜視図である。
図1から
図3に示すように、照明装置10は、保持部材2により保持される。照明装置10は、照明装置本体10a(請求項の「水中照明装置本体」に相当)と、タイマー41と、制御部40と、リング50と、吊り下げ部材6と、を備えている。
照明装置本体10aは、保持部材2により水中の所定の位置に保持される。照明装置本体10aが保持される「水中の所定の位置」は任意の位置、例えば水面から下方に1000mm~3000mmの範囲内の位置、で良く、浅い場所でも深い場所でも可能である。照明装置本体10aは、ワカメSの下方に配置される。照明装置本体10aは、水底側から水上側を照射する。照明装置10は、照明装置本体10aの点灯および消灯を制御することによりワカメSの表面における光量子密度(請求項の「明るさ」に相当)を調整できる。照明装置10は、例えばワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度よりも低い場合に、ワカメSに光を照射する。「所定の光量子密度」とは、例えば15μmol/m
2/sである。
図2および
図3に示すように、照明装置本体10aは、筐体20と、バッテリケース30と、バッテリ31と、光源11と、を備えている。
【0023】
筐体20は、筒部21と、第1キャップ22と、第2キャップ23と、を有している。筒部21は、円筒状に形成されている。筒部21の軸方向は、上下方向に沿っている。筒部21は、塩化ビニル製である。
以下の説明において、筒部21の軸方向を単に「軸方向」といい、「軸方向」に直交する方向を「径方向」といい、「軸方向」周りの方向を「周方向」という。
筒部21の外周面21aにおける軸方向の中間部には、凸部24が複数設けられている。複数の凸部24は、周方向に等間隔に設けられている。凸部24は、軸方向に延びている。凸部24は、軸方向から見て半円状に形成されている。凸部24は、水産養殖装置1を使用する作業者が筒部21を把持する場合に、筒部21から手が滑ることを防止する。筒部21の外周面21aにおける軸方向の両端部21b,21cには、それぞれネジ溝が形成されている。端部21bは、端部21cよりも上方に位置している。
【0024】
第1キャップ22は、筒部21における軸方向の一端部21b側に設けられている。第1キャップ22は、有底円筒状に形成されている。第1キャップ22は、筒部21の中心軸Cと同軸に配置されている。第1キャップ22は、周壁部22aと、窓部25と、を有している。周壁部22aは、円筒状に形成されている。周壁部22aの内径は、筒部21の外径よりも大きい。周壁部22aは、塩化ビニル製である。周壁部22aの内周面には、ネジ溝が形成されている。これにより、第1キャップ22は、筒部21の一端部21bに締め込まれる。周壁部22aと筒部21の一端部21bとの間には、Oリング4aが設けられている。Oリング4aは、水が筐体20の内部に浸入することを防止する。
窓部25は、第1キャップ22の底部である。窓部25は、円板状に形成されている。窓部25は、光透過性を有するアクリル板である。
【0025】
第2キャップ23は、筒部21における軸方向の他端部21c側に設けられている。第2キャップ23は、第1キャップ22と同様の構成のため、詳細な説明は省略する。第2キャップ23は、周壁部23aと、底部に設けられた底板26と、を有している。周壁部23aと筒部21の他端部21cとの間には、浸水防止用のOリング4bが設けられている。底板26は、円板状に形成されたアクリル板である。
【0026】
図3に示すように、バッテリケース30は、筐体20の筒部21の内部に収容されている。バッテリケース30は、軸方向に延びる柱状に形成されている。バッテリケース30の軸方向の両端部には、底板32が設けられている。底板32には、端子33複数個設けられている。バッテリケース30の外周面には、収容凹部35が設けられている。収容凹部35は、径方向に開口している。
バッテリ31は、収容凹部35内に収容されている。バッテリ31は、複数の電池31aである。本実施形態では、電池31aは、単二乾電池である。電池31aは、軸方向に3個直列接続された電池ユニット36を3本形成している。3本の電池ユニット36は、収容凹部35内に収容されている。3本の電池ユニット36は、複数の端子33を介して並列に接続されている。
【0027】
光源11は、複数の青色LED11a(LIGHT EMITTING DIODE)により構成されている。光源11は、筐体20の筒部21の内部に収容されている。光源11は、軸方向において、第1キャップ22の窓部25とバッテリケース30との間に配置されている。光源11は、ワカメSの表面が所定の光量子密度以上となるように光を照射する。光源11の光軸は、筒部21の中心軸Cと同軸である。青色LED11aから照射される光の波長は、400nm以上500nm以下である。
【0028】
タイマー41と制御部40とは、筐体20の筒部21の内部に収容されている。タイマー41は、時間を計測する。制御部40は、基板40aと素子(不図示)とで構成されている。基板40aは、軸方向に延びる矩形板状に形成されている。基板40aは、バッテリ31と電気的に接続されている。基板40a上には、タイマー41が基板40aと電気的に接続された状態で設置されている。制御部40は、タイマー41から時間の情報を取得し、時間の情報に対応して光源11の点灯および消灯を制御する。制御部40は、日光のみではワカメS(
図1参照)の表面の光量子密度が所定の光量子密度以上とできない例えば午後16時から午前6時まで、光源11を点灯させる。制御部40は、日光のみでワカメSの表面の光量子密度が所定の光量子密度以上とできる例えば午前6時から午後16時まで、光源11を消灯させる。
【0029】
図4は、照明装置10の取付け用のリング50の平面図である。
図2から
図4に示すように、リング50は、リング本体51と、接続部52,53と、を有している。
リング本体51は、筐体20の筒部21に外挿されている。リング本体51は、筒部21の中心軸Cおよび光軸と同軸に配置されている。リング本体51の内周縁51aは、円環状に形成されている。リング本体51の内径は、筒部21の外径よりも大きく、第1キャップ22の外径および第2キャップ23の外径よりも小さい。このため、リング本体51は、第1キャップ22と第2キャップ23との間で軸方向に移動可能となっている。
【0030】
接続部52,53は、リング本体51の外周縁部51bに5個設けられている。接続部52,53は、環状に形成されている。接続部52,53の中心軸は、リング本体51の中心軸と平行である。
【0031】
図1に示すように、吊り下げ部材6は、照明装置10に2本設けられている。吊り下げ部材6は、保持部材2から下方に延びている。
図1および
図4に示すように、吊り下げ部材6は、リング50を介して保持部材2と照明装置本体10aの筐体20とを接続している。各吊り下げ部材6の下端には、接続部52,53が1個ずつ接続されている。以下、吊り下げ部材6が接続される接続部52,53を第1接続部52とする。2個の第1接続部52は、軸方向から見て光軸を中心として対称に配置されている。吊り下げ部材6は、所定の剛性を有する金属製のワイヤであることが望ましい。その場合、吊り下げ部材6の剛性は、例えば200GPa以上である。吊り下げ部材6は、保持部材2から下方に延びている。2本の吊り下げ部材6の上端は、保持部材2に取り付けられている。2本の吊り下げ部材6の上端は、ワカメSを挟んで保持部材2の長手方向の両側に配置される位置に設けられている。2本の吊り下げ部材6の下端には、照明装置10におけるリング50の第1接続部52が接続されている。2本の吊り下げ部材6は、照明装置本体10aを吊り下げてワカメSの下方に保持する。
【0032】
(重り吊り下げ部材、重り)
5個の接続部52,53のうち2個の第1接続部52を除く3個の接続部53には、下端に1個の重りを有する3本の重り吊り下げ部材7の上端がそれぞれ接続される。以下、重り吊り下げ部材7が接続される接続部52,53を第2接続部53とする。3個の第2接続部53は、軸方向から見て光軸周りに120度間隔で配置されている。
重り3は、例えば金属製である。照明装置10および重り3に働く重力は、照明装置10および重り3に働く浮力よりも大きい。重り3は、重力により照明装置10をワカメSの下方に沈ませる。
重り吊り下げ部材7は、上下方向に延びる部材である。重り吊り下げ部材7は、所定の剛性を有する金属製のワイヤであることが望ましい。その場合、重り吊り下げ部材7の剛性は、例えば200GPa以上である。重り吊り下げ部材7の上端は、第2接続部53に接続されている。3本の重り吊り下げ部材7の下端には、1個の重り3が接続されている。3本の重り吊り下げ部材7の上下方向の長さは、互いに等しい。
【0033】
(ワカメの育成方法)
以下、水産養殖装置1を用いたワカメSの育成方法について説明する。
ワカメSの育成方法は、点灯工程と、消灯工程と、を備えている。
(点灯工程)
点灯工程は、照明装置10を点灯させる工程である。
点灯工程では、タイマー41が例えばワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度未満となる時間帯(以下、「点灯時間帯」という。)を計測する。すると、制御部40は、タイマー41から点灯時間帯の情報を取得し、点灯時間帯に光源11を点灯させる。点灯時間帯は、例えば午後16時から午前6時までの時間である。これにより、点灯時間帯には、ワカメSに照明装置10から光が照射される。
【0034】
(消灯工程)
消灯工程は、照明装置10を消灯させる工程である。
消灯工程では、タイマー41が例えばワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度以上となる時間帯(以下、「消灯時間帯」という。)を計測する。すると、制御部40は、タイマー41から消灯時間帯の情報を取得し、消灯時間帯に光源11を消灯させる。消灯時間帯は、例えば午後16時から午前6時までの時間である。消灯時間帯では、快晴の場合、ワカメSには日光が十分に照射される。このため、消灯時間帯では、照明装置10の光照射がなくともワカメSは十分に光合成を行うことができる。
【0035】
(照明装置本体に関する実験結果)
以下、照明装置本体10aに関する実験の結果について説明する。
図5は、照明装置本体10aによるワカメSの成長を促進する効果を確認するための実験の方法を示す図である。
【0036】
図5に示すように、屋内に配置された水槽100内でワカメSを育成する実験を行った。水槽100は、立方体状に形成されている。水槽100は、上方に開口している。水槽100の縦寸法Lは、80cmである。水槽100の横寸法Wは、130cmである。水槽100の高さ寸法Hは、60cmである。水槽100は、注水されている。水槽100は、仕切り板101を用いて6個の区画に区切られている。仕切り板101は、遮光性を有している。6個の区画の容積は、互いに等しい。水槽100の開口縁100aに、横方向に沿う2本の竿102が配置されている。6個の区画には、種苗板104が1個ずつ配置されている。それぞれの種苗板104は、ワイヤ103を介して竿102に吊り下げられている。種苗板104は、竿102から35cm下方に離間した位置に配置されている。種苗板104は、水中に配置されている。種苗板104は、水槽100の底面に沿っている。種苗板104は、種苗枠104aと、種苗糸104bと、を有している。種苗枠104aは、矩形枠状に形成されている。種苗糸104bは、種苗枠104aに張り渡されることにより、種苗板104の内側を構成している。種苗糸104bには、ワカメSの芽胞体S0が付着されている。水槽100内には、水槽100内の水を曝気するためのエアポンプ(不図示)が配置されている。
【0037】
6つの区画のうち、3つの区画には、照明装置本体10aを配置した。照明装置本体10aは、竿102と種苗板104との間に配置されている。照明装置本体10aは、第1キャップ22を種苗板104に向けて配置されている。照明装置10の光軸は、上下方向に沿っている。照明装置本体10aと種苗板104との離間距離は、5cmである。照明装置本体10aは、種苗板104と同様にワイヤ103を介して竿102に吊り下げられている。以下、照明装置10が配置された区画を「実験区P1」といい、照明装置10が配置されていない区画を「比較区P2」という。実験区P1では、種苗板104および照明装置本体10aは、ワイヤ103に加えてリング50を介して竿102に吊り下げられている。
水槽100から上方に95cm離間した位置に、蛍光灯110が配置されている。蛍光灯110は、点灯時に、水槽100内の全ての区画に光を照射する。
【0038】
上述した実験設備を用いて、本実験は、照明装置本体10aによるワカメSの芽胞体S0の成長促進効果を確認するために行われた。本実験は、具体的には以下の条件で行われた。
午前6時から午後16時までの間は、実験区P1と比較区P2との両方に蛍光灯110の光を照射した。午後16時から午前6時までの間は、実験区P1に照明装置本体10aを用いて青色の光を照射した。比較区P2は、午後16時から午前6時までの時間帯において、光が照射されない暗状態とした。
本実験は、21日間行われた。実験開始から0,6,18日後には、水槽100内に、芽包体S0の栄養剤として第一製網社製のポルフィランコンコ(商品名)を10mlずつ加えた。実験開始から0,7,14,21日後には、実験区P1と比較区P2とから芽胞体S0をそれぞれ30個以上搾取した。各取得日ごとに、実験区P1の芽胞体S0の葉面積と、比較区P2の芽胞体S0の葉面積と、をそれぞれ測定した。
芽胞体S0の葉面積の測定方法について説明する。
生物顕微鏡を用いて搾取した芽胞体S0を撮影した。画像解析ソフトImageJを用いて取得した芽胞体S0の画像を解析することにより、各芽胞体S0の葉面積を測定した。各芽胞体S0の葉面積にWilcoxon検定を行い、各測定日における芽胞体S0の葉面積とした。
【0039】
芽胞体S0の葉面積の増加速度が、芽胞体S0の成長速度である。以下、実験区P1と比較区P2とで芽胞体S0の成長速度を比較して、照明装置本体10aによる芽胞体S0の成長促進効果を評価した結果について説明する。
図6は、実験区P1と比較区P2とでワカメSの芽胞体S0成長速度を比較するグラフである。
図6は、縦軸を芽胞体S0の葉面積[mm
2]とし、横軸を実験日としている。
図6のグラフから読み取れるように、実験区P1、比較区P2ともに、日数が経つにつれて芽胞体S0の面積は増加した。ただし、実験開始から7日後から、実験区P1の芽胞体S0の葉面積は、比較区P2の芽胞体S0の葉面積よりも大きくなった。実験開始から14日後、21日後と日数が経過するにつれて、実験区P1と比較区P2とで芽胞体S0の葉面積の値が漸次開いている。
以上より、照明装置本体10aによる光照射は、ワカメSの芽胞体S0の成長を促進する効果を奏するといえる。
【0040】
上述の本実施形態によれば、以下の作用および効果が得られる。
水産養殖装置1は、点灯を制御できる照明装置10を備えている。この構成によれば、例えば夕方や夜間、日中の曇天時等、日光のみではワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度未満となる場合に、水産養殖装置1は、照明装置10を点灯してワカメSに光を所定の時間照射できる。これにより、水産養殖装置1は、ワカメSの表面を所定の光量子密度とすることができる。したがって、水産養殖装置1は、ワカメSに十分に光合成を行わせることができるので、ワカメSの成長を促進できる。
水産養殖装置1は、消灯を制御できる照明装置10を備えている。この構成によれば、水産養殖装置1は、例えば日中の快晴時等、日光のみでワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度以上の場合に、照明装置10を消灯できる。このため、照明装置10の点灯にかかる電気代等の費用を削減できる。
したがって、低コストでワカメSの成長を促進できる。
水産養殖装置1は、照明装置本体10aを水中の所定の位置に保持する保持部材2を備えている。照明装置本体10aの点灯は、水上側に向けられている。照明装置本体10aが水面よりも上方に配置される場合、照明装置本体10aの光源11からワカメSに向けて照射された光が水面で乱反射してしまう。これに対して、水産養殖装置1は、水中からワカメSに照明装置本体10aの光を照射できる。これにより、水産養殖装置1は、照明装置本体10aの光源11からワカメSに向けて照射された光が水面で乱反射することを防止できる。したがって、水産養殖装置1は、照明装置本体10aが水面よりも上方に配置される場合と比較して、ワカメSに照射される光量を増加できる。よって、水産養殖装置1は、ワカメSが光合成によって生成する養分を増加できるので、ワカメSの成長をより一層促進できる。
【0041】
照明装置本体10aは、保持部材2によってワカメSの下方に保持されている。この構成によれば、水産養殖装置1は、ワカメSに下方から光を照射できる。これにより、水産養殖装置1は、日光が照射されにくいワカメSの下部に光を照射できる。したがって、照明装置本体10aがワカメSの上方に保持される場合と比較して、水産養殖装置1は、ワカメSが光合成によって生成する養分を増加できる。よって、水産養殖装置1は、ワカメSの成長をより一層促進できる。
【0042】
水産養殖装置1は、時間を計測するタイマー41と、タイマー41から時間の情報を取得し、タイマー41から取得した時間の情報に対応して照明装置10の点灯および消灯を制御する制御部40と、を備えている。この構成によれば、日光のみではワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度未満となる時間帯に、水産養殖装置1は、照明装置10を点灯できる。これにより、ワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度未満となる時間帯でも、水産養殖装置1は、ワカメSに十分に光を照射して、ワカメSに十分に光合成を行わせることができる。したがって、水産養殖装置1は、ワカメSの成長を促進できる。また、日光のみでワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度以上となる時間帯に、水産養殖装置1は、照明装置10を消灯できる。このため、照明装置10の点灯にかかる電気代等の費用を削減できる。したがって、低コストでワカメSの成長を促進できる。
水産養殖装置1は、照明装置10の点灯および消灯の切り替えをタイマーから取得した時間の情報に対応して自動で行うことができる。これにより、生産者が照明装置10の点灯および消灯を手動で行う場合と比較して、手間を低減できる。
【0043】
水産養殖装置1は、照明装置本体10aに取り付けられる重り3を備えることが望ましい。照明装置10および重り3に働く重力は、照明装置10および重り3に働く浮力よりも大きい。この構成によれば、重り3に働く重力は、照明装置10に働く浮力に抗することができる。これにより、重り3は、ワカメSの下方に照明装置本体10aを沈めることができるので、照明装置本体10aをワカメSの下方に確実に保持できる。したがって、照明装置本体10aがワカメSの上方に保持される場合と比較して、水産養殖装置1は、ワカメSが光合成によって生成する養分を増加できる。よって、水産養殖装置1は、ワカメSの成長をより確実にかつより一層促進できる。
重り3は、ワカメSの下方に照明装置本体10aを沈めることができるので、吊り下げ部材6は、上下方向に張られた状態で、保持部材2に照明装置本体10aを保持させることができる。このため、水産養殖装置1は、水流や他の物体との衝突によって照明装置本体10aが水中の所定の位置からずれることを抑制できる。これにより、水産養殖装置1は、照明装置本体10aからワカメSに向かって照射される光がワカメSからずれることを抑制できる。したがって、水産養殖装置1は、ワカメSに照射される光量が減少することを抑制できる。このため、水産養殖装置1は、ワカメSの光合成によって生成される養分が減少することを抑制できる。よって、水産養殖装置1は、ワカメSの成長をより確実に促進できる。
重り3は、ワカメSの下方に照明装置本体10aを沈めることができる。このため、照明装置10が保持部材2を軸に回転したとしても、水産養殖装置1は、重り3に働く重力により照明装置本体10aをワカメSの下方に保持できる。これにより、照明装置本体10aからワカメSに向かって照射される光がワカメSからずれることを抑制できる。したがって、水産養殖装置1は、ワカメSに照射される光量が減少することを抑制できる。
なお、重り3は、リング50および重り吊り下げ部材7を介して照明装置本体10aに取り付けられていなくてもよい。重り3は、照明装置本体10aに直接取り付けられていてもよい。重り3は、照明装置本体10aではなく、吊り下げ部材6に取り付けられていてもよい。
なお、水産養殖装置1は、重り3を備えなくても、照明装置本体10aを沈めることができるのであれば(照明装置本体10aを含む照明装置10自体が沈むものであれば)、重り3を備えた場合と同様の効果を奏する。
【0044】
ワカメSの育成方法は、ワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度未満の場合に照明装置10を点灯させる点灯工程を備えている。この構成によれば、日光のみではワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度未満となる場合に、水産養殖装置1は、照明装置10を点灯してワカメSに光を照射できる。これにより、水産養殖装置1は、ワカメSの表面を所定の光量子密度以上とすることができる。したがって、水産養殖装置1は、ワカメSに十分に光合成を行わせることができるので、ワカメSの成長を促進できる。
ワカメSの育成方法は、日光のみでワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度以上の場合に照明装置10を消灯させる消灯工程を備えている。この構成によれば、水産養殖装置1は、日光のみではワカメSの表面における光量子密度が所定の光量子密度以上の場合に、照明装置10を消灯できる。このため、照明装置10の点灯にかかる電気代等の費用を削減できる。
したがって、低コストでワカメSの成長を促進できる。
【0045】
照明装置10は、光源11を内部に収容する筐体20と、筐体20を水中の所定の位置に保持する保持部材2と筐体20とを接続する吊り下げ部材6と、を備えている。照明装置10は、水中に設置され水上側を照射する。この構成によれば、筐体20は、保持部材2によって水中の所定の位置に保持される。これにより、照明装置10は、水中からワカメSに光を照射できるので、ワカメSに向けて照射された光が水面で乱反射することを防止できる。したがって、照明装置10は、筐体20が水面よりも上方に保持される場合と比較して、ワカメSに照射される光量を増加できる。よって、照明装置10は、ワカメSが光合成によって生成する養分を増加できるので、ワカメSの成長をより一層促進できる。
また、照明装置10は、筐体20が水面または水面よりも上方に配置される場合と比較して、強風に晒されることや飛来物に衝突されることを抑制できる。これにより、照明装置10が破損することを抑制できる。
照明装置10は、ワカメSに水中から光を照射できる。一般的にワカメS等の藻類は、光源に向かって延びる。このため、照明装置10は、水面よりも下方に向かってワカメSを成長させることができる。これにより、照明装置10は、ワカメSが水面よりも上方に向かって成長することを抑制できる。このため、ワカメSの養殖場の上方をエンターテイメントにも利用できる。水面上からワカメSの周辺を遊泳する魚の様子を把握することも容易となる。
【0046】
保持部材2は、水面から所定の位置に配置されている。吊り下げ部材6は、保持部材2に接続し、下方に延びて筐体20を吊り下げている。この構成によれば、筐体20は、保持部材2に接続された吊り下げ部材6によって吊り下げられる。このため、筐体20は波の影響を受けても常にロープ5(保持部材2)を軸とした一定の円弧上に位置し、照射方向がその軸に向かうことから、照明装置10は、ワカメSから離間せず、かつ、ワカメSに確実に光を照射できる。
吊り下げ部材6は、所定の剛性を有する金属製のワイヤであることが望ましい。この場合、照明装置10は、水流等による吊り下げ部材6の撓みをさらに抑制できる。これにより、水流や他の物体との衝突によって、吊り下げ部材6が変形することを抑制できるので、照明装置本体10aからワカメSに向かって照射される光がワカメSからずれることを抑制できる。したがって、照明装置10は、ワカメSに照射される光量が減少することを抑制できる。このため、照明装置10は、ワカメSの光合成によって生成される養分が減少することを抑制できる。よって、照明装置10は、ワカメSの成長をより確実に促進できる。
【0047】
水産養殖装置1は、一般的なワカメ養殖に用いられる既存のロープ5および簡単な構成である吊り下げ部材6で照明装置本体10aを保持できる。これにより、簡単に吊り下げ部材6を製造できるとともに、ロープ5と吊り下げ部材6の製造費を削減できる。したがって、水産養殖装置1の生産性を向上できるとともに、水産養殖装置1の製造費を削減できる。
【0048】
吊り下げ部材6は、光源11の光軸を中心として対称に2個配置されている。この構成によれば、吊り下げ部材6は、光源11の光軸を中心として対称に配置された2箇所で、照明装置本体10aを保持できる。これにより、吊り下げ部材6は、照明装置本体10aを安定して保持できる。このため、吊り下げ部材6は、照明装置本体10aからワカメSに向かって照射される光がワカメSからずれることを抑制できる。したがって、照明装置10は、ワカメSに照射される光量が減少することを抑制できる。このため、照明装置10は、ワカメSの光合成によって生成される養分が減少することを抑制できる。よって、照明装置10は、ワカメSの成長をより確実に促進できる。
【0049】
照明装置10は、3個の第2接続部53を備えている。3個の第2接続部53には、下端に重り3が接続される3本の重り吊り下げ部材7の上端がそれぞれ接続されている。この構成によれば、重り3は、3本の重り吊り下げ部材7によって吊り下げられる。これにより、重り3は安定した状態で照明装置本体10aの下方に吊り下げられるので、重り3と照明装置本体10aとの相対位置がずれることを抑制できる。このため、照明装置本体10aは、重り3に働く重力により、ワカメSの下方に安定した状態で保持される。したがって、照明装置本体10aからワカメSに向かって照射される光がワカメSからずれることを抑制できる。
【0050】
第2接続部53は、光源11の光軸の周りに120度間隔で3個配置されている。3本の重り吊り下げ部材7の長さは、互いに等しい。この構成によれば、上下方向から見て照明装置本体10aと重なる位置に、照明装置本体10aを下方に引き込む重り3を配置できる。これにより、保持部材2は、照明装置10を安定して保持できる。このため、照明装置10は、照明装置本体10aからワカメSに向かって照射される光がワカメSからずれることを抑制できる。したがって、照明装置10は、ワカメSに照射される光量が減少することを抑制できる。このため、照明装置10は、ワカメSの光合成によって生成される養分が減少することを抑制できる。よって、照明装置10は、ワカメSの成長をより確実に促進できる。
【0051】
光源11から照射される光の波長は、400nm以上500nm以下である。この構成によれば、照明装置10は、ワカメSに青色の光を照射することができる。青色の光には、藻類の繁殖を活性化させるホルモンの生成を活性化させる効果がある。このため、照明装置10は、ワカメSに青色以外の光を照射する場合と比較して、ワカメSの成長を促進できる。青色の光には、害虫を排除する効果がある。このため、照明装置10は、ワカメSの成長が害虫によって妨げられることを抑制できる。したがって、照明装置10は、ワカメSの成長をより一層促進できる。
【0052】
上述した第1実施形態では、水産養殖装置1が1本のロープ5と、1個の照明装置10と、を備える場合について説明したが、これに限られない。水産養殖装置1は、1本のロープ5と、1本のロープ5に吊り下げられる2個以上の照明装置10と、を備えてもよい。水産養殖装置1は、2本以上のロープ5を備え、それぞれのロープ5に吊り下げられる2個以上の照明装置10を備えてもよい。水産養殖装置1が複数の照明装置10を備える場合、水産養殖装置1が照明装置10を1個備える場合と比較して大量のワカメSを育成できる。加えて、複数の照明装置10を備える水産養殖装置1は、水面上を照らすイルミネーション用の照明として使用することもできる。
【0053】
上述した第1実施形態では、照明装置10が接続部52,53を5個備える場合について説明したが、これに限られない。接続部52,53の個数およびリング本体51における接続部52,53の位置は、適宜選択可能である。
【0054】
上述した第1実施形態では、5個の接続部52,53うち軸方向から見て光軸を中心として対称に配置される2個の第1接続部52に吊り下げ部材6が接続されている。軸方向から見て光軸周りに120度間隔で配置される3個の第2接続部53に重り吊り下げ部材7が接続されていると説明したが、これに限られない。5個の接続部52,53うち任意の接続部52,53に、吊り下げ部材6および重り吊り下げ部材7の少なくともいずれかが接続可能とされていればよい。この場合、照明装置10の使用者は、状況に応じて、各接続部52,53に、吊り下げ部材6および重り吊り下げ部材7のいずれかを接続するか、または接続しないかを選択できる。
【0055】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る水産養殖装置1Aについて図面を参照して説明する。なお、第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
図7は、水産養殖装置1Aの斜視図である。
図7に示す水産養殖装置1Aは、深層水中でワカメSを育成するために用いられる。水産養殖装置1Aは、保持部材2と、照明装置10と、を備えている。
【0056】
保持部材2は、複数本のロープ5を有している。複数本のロープ5は、それぞれ水平方向に延び、互いに上下方向に離間して配置されている。複数本のロープ5の水平方向の両端部は、それぞれ上下方向に延びる棒状部材(不図示)に接続されて支持されている。複数本のロープ5は、上下方向に沿う仮想平面上に配置される。複数のロープ5には、それぞれワカメSが水平方向に等間隔で根付いている。
上下方向に隣り合う2本のロープ5の中間位置には、それぞれ水平方向に一列に並ぶ複数の照明装置10が配置されている。複数の照明装置10は、上下方向に沿う仮想平面上に配置されている。複数の照明装置10は、水平方向および鉛直方向に等間隔で配置されている。
【0057】
照明装置10は、照明装置本体10aと、支持部61と、を有している。各照明装置本体10aは、ワカメSと水平方向で同じ位置に設けられている。照明装置本体10aは、全て第1キャップ22を上方に向けて配置される。
こうすることで、照明装置10は、上方に向けた照明が可能となり水深が深く日光があまり届かない場所であってもワカメSを育成させることが可能となる。
さらに、照明装置10は、照明装置本体10aの下方に向けて配置された第2キャップ23側にも光源11を備えてもよい。こうすることで、照明装置10は、下方に向けた照明も可能となり、ワカメSに対して、上下両方向の照明を実現することができ、より効果的にワカメSを育成させることができる。
【0058】
支持部61は、上下方向に延びるワイヤである。支持部61は、例えば金属材料によって形成されている。支持部61は、1個の照明装置本体10aごとに4本ずつ設けられている。1個の照明装置本体10aに対応する4本の支持部61のうち2本の支持部61(吊り下げ部材61a)は、照明装置本体10aの上方のロープ5から下方に延びて第1接続部52または第2接続部53に接続されている。残りの2本の支持部61(下方支持部材61b)は、照明装置本体10aの下方のロープ5から上方に延びて第1接続部52または第2接続部53に接続されている。このようにして、各照明装置本体10aは、上下方向に離間する2本のロープ5の間に保持されている。なお、下方支持部材61bを省く構成であっても構わない。下方支持部材61bを省くことで、照明装置のロープ5への脱着作業を簡易にすることができる。
【0059】
上述した水産養殖装置1Aは、ロープ5にワカメSが付着された状態で深層水中に沈められる。その後、ワカメSが十分に成長して収穫期を迎えると、水産養殖装置1Aは引き上げられる。これにより、本実施形態の水産養殖装置1Aによれば、深層水中で育成したワカメSを一度に引き上げて収穫できる。したがって、大量のワカメSを深層水中で育成する場合であっても、簡単に全てのワカメSを収穫でき、手間を軽減することができる。
【0060】
上述した第2実施形態では、照明装置10が深層水中のワカメS等の海藻の育成に用いられる場合について説明したが、これに限られない。
【0061】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係る水産養殖装置1Bについて図面を参照して説明する。なお、第3実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
図8は、水産養殖装置1Bの側面図である。
図8に示すように、水産養殖装置1Bにおける保持部材2は、2本の線材5aを撚り合わせて形成された1本のロープ5である。
【0062】
図9は、水産養殖装置1Bにおける照明装置本体10aの平面図である。
図9および
図8に示すように、接続部52,53は、リング本体51の外周縁部51bに6個設けられている。6個の接続部52,53のうち4個の接続部52は、軸方向から見て光軸周りに90度間隔で配置されている。4個の接続部52は、第1接続部52として機能する。6個の接続部52,53のうち4個の第1接続部52以外の2個の接続部53は、第2接続部53として機能する。第2接続部53に接続される重り吊り下げ部材7および重り吊り下げ部材7に吊り下げられる重り3の図示は省略されている。
【0063】
吊り下げ部材6は、一方向に延びる部材である。吊り下げ部材6は、長さの異なる2本のワイヤ8を接着することにより形成されている。各ワイヤ8は、両端が折り曲げられている。2本のワイヤ8は、一方向に延びるワイヤ本体8a同士を接着されることにより、吊り下げ部材6を形成している。2本のワイヤ8は、一端同士が重なるように接着されている。
吊り下げ部材6は、吊り下げ部材本体6aと、差し込み部6bと、フック部6cと、を有している。
【0064】
図10は、水産養殖装置1Bの側面図である。
吊り下げ部材本体6aは、保持部材2から接続部52,53に向かって延びている。
図10に示すように、側面視において2本の吊り下げ部材本体6a同士がなす角度は、変更可能とされている。
【0065】
差し込み部6bは、保持部材2側の吊り下げ部材本体6aの端部と、吊り下げ部材本体6aの延在方向中間部と、に設けられている。差し込み部6bは、保持部材2を構成する2本の線材5a同士の隙間に差し込まれる。
図8の例では、保持部材2側の吊り下げ部材本体6a側の端部に設けられた差し込み部6bが保持部材2に差し込まれている。差し込み部6bの先端には、抜け防止用のかえしが設けられている。
【0066】
図11および
図12は、水産養殖装置1Bの側面図である。
図11に示すように、吊り下げ部材本体6aの延在方向中間部に設けられた差し込み部6bが保持部材2に差し込まれてもよい。
図12に示すように、側面視において2本の吊り下げ部材本体6a同士がなす角度が変更された上で、差し込み部6bが保持部材2に差し込まれてもよい。
【0067】
図13は、水産養殖装置1Bにおけるフック部6c周辺の斜視図である。
図8、
図9および
図13に示すように、筐体20側の吊り下げ部材本体6aの端部には、吊り下げ部材本体6aの長手方向に直交する方向に延びる2本の中継部6dが設けられている。2本の中継部6dは、同一の仮想直線に沿って反対方向に延びている。吊り下げ部材本体6aとは反対側の中継部6dの端部には、フック部6cが設けられている。フック部6cは、1本の吊り下げ部材6につき2個設けられている。各フック部6cは、中継部6dの長手方向からみて、それぞれL字状に形成されている。フック部6cは、第1接続部52に引っ掛けられている。
【0068】
上述の本実施形態によれば、以下の作用および効果が得られる。
第1接続部52は、環状に形成されている。1本の吊り下げ部材6は、2個の第1接続部52にそれぞれ引っ掛かる2個のフック部6cを有している。この構成によれば、2個の第1接続部52にそれぞれフック部6cが引っ掛かることにより、1本の吊り下げ部材6は第1接続部52に2箇所で接続される。このため、照明装置本体10aは、この2箇所の接続箇所で吊り下げ部材6に支持されることによって、吊り下げ部材6の長手方向を軸とした回動を抑制することができる。さらにこの2箇所の接続箇所を結んだ線を中心軸として照明装置本体10aに対して吊り下げ部材6が回動するので、側面視において2本の吊り下げ部材6同士がなす角度を調整できる。これにより、照明装置10は、保持部材2と照明装置本体10aとの距離を調整できる。これにより、照明装置10は、保持部材2に根付いているワカメSと照明装置本体10aに設けられる光源11との距離を調整できる。したがって、照明装置10は、ワカメSの表面における光量子密度を調整できる。
【0069】
図14は、水産養殖装置1Bにおけるフック部6c周辺の斜視図である。
吊り下げ部材6のフック部6cは、L字状に形成されている。この構成によれば、
図14に示すように、照明装置本体10aが水流によって保持部材2の上方に移動されたとしても、照明装置10は、第1接続部52とフック部6cとの引っ掛かりが解除されることを抑制できる。これにより、照明装置10は、吊り下げ部材6によって保持部材2と第1接続部52とが接続される状態を維持できる。したがって、照明装置10は、照明装置本体10aが保持部材2によって保持される状態を維持できる。
【0070】
吊り下げ部材6は、保持部材2を構成する線材5a同士の隙間に差し込まれる差し込み部6bを有している。この構成によれば、吊り下げ部材6は、差し込み部6bを線材5a同士の隙間に差し込むことにより、保持部材2に強固に接続される。したがって、照明装置10は、例えば吊り下げ部材6が水流や他の物体との衝突を受けて保持部材2から外れることを抑制できる。
差し込み部6bは、保持部材2側の吊り下げ部材本体6aの端部と、吊り下げ部材本体6aの延在方向中間部と、に設けられている。この構成によれば、照明装置10は、保持部材2との接続に使用される差し込み部6bを選択することにより、保持部材2と照明装置本体10aとの距離を調整できる。これにより、照明装置10は、保持部材2に根付いているワカメSと照明装置本体10aに設けられる光源11との距離を調整できる。したがって、照明装置10は、ワカメSの表面における光量子密度を調整できる。差し込み部6bの変更による照明装置本体10aと保持部材2との距離調整は、例えば側面視において吊り下げ部材6同士がなす角度の調整による照明装置本体10aと保持部材2との距離調整を行うことができない場合に行われる。
【0071】
上述した第3実施形態では、保持部材2は、2本の線材5aを撚り合わせて形成されている場合について説明したが、これに限られない。保持部材2を構成する線材5aの本数は、適宜変更可能である。保持部材2は、例えば3本の線材5aを撚り合わせて形成されていてもよい。
【0072】
上述した第3実施形態では、差し込み部6bは、保持部材2側の吊り下げ部材本体6aの端部と、吊り下げ部材本体6aの延在方向中間部と、に設けられているとしたが、これに限られない。差し込み部6bの位置および個数は、適宜変更可能である。
【0073】
上述した各実施形態では、ワカメS等の海藻の育成に用いられる場合について説明したが、これらに限られない。照明装置10は、水中に固定される水中ライトとして潜水中のダイバーへの道標として利用されてもよい。これにより、ダイバーは、例えば夜間に潜水する場合に、照明装置10の光を目印として自身の位置を把握できる。この場合、例えば照明装置10毎に光の色を変更することにより、ダイバーは各照明装置10の光の色の違いから自身の位置をより詳細に把握できる。また、照明装置10は、水底側から水上に光を照射できるので、ダイバーが照明装置10を装着する(吊り下げる)ことで水上からダイバーの位置を把握することができる。また、噴水ショーや水中イルミネーション等のエンターテイメントの世界において、照明装置10を用いることで、地上への観客に向けた効果的な照明が可能となる。また、照明装置10を用いる事で、水上からも魚の様子を把握しやすくなり、漁獲量が上がる。
【0074】
上述した各実施形態では、1つの照明装置10に複数の吊り下げ部材6を備えた場合について説明したが、これらに限られない。例えば、保持部材2がロープ5ではなくフロートブイ(浮き)である場合(例えば球状のフロートブイの場合)には、1つの吊り下げ部材6を用いて照明装置を保持することができる。この場合、照明装置本体10aの光軸と吊り下げ部材6の位置がほぼ一致するように構成することで、波の影響を受けずに常にフロートブイの方向を照射することができる。この場合、例えば水中に固定される水中ライトとして利用されてもよい。
【0075】
上述した各実施形態では、吊り下げ部材6と筐体20は環状の接続部52,53で接続されているが、このような形態に限られない。吊り下げ部材6は筐体20に直接接続されていてもよい(例えば、第一実施形態において、吊り下げ部材6は筒部21の外周面21aに直接接続されていてもよい)。このような形態であっても同様の効果を奏することができる。
【0076】
上述した各実施形態では、タイマー41が筐体20の内部に収容されている場合について説明したが、これに限られない。タイマー41は、例えば筐体20の外部に配置されていてもよい。タイマー41が筐体20の外部に配置される場合、タイマー41は、計測した時間の情報を送信する送信部(不図示)を備えている。制御部40は、タイマー41から送信された時間の情報を取得する受信部(不図示)を備えている。タイマー41が筐体20の外部に配置されている場合、水産養殖装置1は、1つのタイマー41と、複数の照明装置10と、を有していてもよい。この場合、1つのタイマー41が複数の照明装置10の制御部40に時間の情報を送信してもよい。
【0077】
上述した各実施形態では、水産養殖装置1,1A,1Bは、タイマー41を備える場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、水産養殖装置1,1A,1Bは、タイマー41の代わりに、ワカメSの表面における光量子密度を検出する光センサ(不図示)を備えていてもよい。
この場合、水産養殖装置1,1A,1Bは、光センサによってワカメSの表面における光量子密度を検出できる。制御部40は、光センサからワカメSの表面の光量子密度の情報を取得し、ワカメSの表面における光量子密度に対応して照明装置10の点灯を制御する。
水産養殖装置1,1A,1Bは、タイマー41に加えて光量子密度を検出する光センサを備えてもよい。
【0078】
上述した各実施形態では、照明装置10は、点灯および消灯を制御することによりワカメSの表面の光量子密度を調整する場合を例に説明したが、これに限られない。照明装置10は、点灯および消灯を制御することにより照明装置本体10aの周辺の光量子密度を調整してもよい。この場合、上述した変形例における光センサは、照明装置本体10aの周辺の光量子密度を検出する。「照明装置本体10aの周辺」とは、例えば光源11を中心とした半径1mの仮想球体内であって、光源11の指向角の範囲である。また、照明装置10は、点灯および消灯を制御することによりワカメSの表面および照明装置本体10aの周辺の両方における光量子密度を調整してもよい。この場合、光センサは、ワカメSの表面および照明装置本体10aの周辺の両方における光量子密度を検出する。
【0079】
上述した各実施形態では、請求項の「明るさ」に相当するものとして光量子密度を例に説明したが、これに限られない。請求項の「明るさ」に相当するものは、例えば照度等であってもよい。
【0080】
上述した各実施形態では、水産養殖装置1,1A,1BがワカメSの育成に用いられる場合について説明したが、これに限られない。水産養殖装置1,1A,1Bは、例えばコンブ等、ワカメS以外の海藻の育成に用いられてもよい。水産養殖装置1,1A,1Bは、淡水中の藻類を育成するために用いられてもよい。水産養殖装置1,1A,1Bは、例えばホタテ等の魚介類を育成する場合に、魚介類に光を照射して虫が魚介類に群がることを抑制するために用いられてもよい。
【0081】
上述した各実施形態では、光源11から照射される光の波長は、400nm以上500nm以下である場合について説明したが、これに限られない。光源11から照射される光の波長は、400nm未満であってもよく、500nmより長くてもよい。光源11から照射される光の波長は、適宜変更可能であってもよい。この場合、育成対象の藻類に応じて、藻類の成長を促進させるために最も適切な波長を選択できる。
【0082】
上述した各実施形態では、照明装置10がワカメS等の海藻の育成に用いられる場合について説明したが、これに限られない。照明装置10は、潜水中のダイバーに携帯されてもよい。この場合、ダイバーは、水中を照らして視界を良好にすることができる。
【0083】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1B…水産養殖装置
2…保持部材
3…重り
5a…線材
6…吊り下げ部材
6a…吊り下げ部材本体
6b…差し込み部
6c…フック部
7…重り吊り下げ部材
10…照明装置(水中照明装置)
10a…照明装置本体(水中照明装置本体)
11…光源
20…筐体
40…制御部
41…タイマー
52…第1接続部(接続部)
53…第2接続部(接続部)
61a…吊り下げ部材
S…ワカメ
S0…芽胞体