(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】毛髪化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20241029BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241029BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241029BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20241029BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241029BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241029BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61K8/36
A61Q5/00
A61Q5/10
A61Q5/02
A61Q5/12
A61K8/34
A61K8/41
(21)【出願番号】P 2020194582
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】品川 直基
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080384(JP,A)
【文献】特開2007-063197(JP,A)
【文献】特開2016-044133(JP,A)
【文献】特開2005-350446(JP,A)
【文献】特開2021-178806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に使用される毛髪化粧料組成物であって、
レブリン酸を0.2~3.5質量%、
セチルアルコールまたはステアリルアルコールから選ばれる1種以上を2~20質量%、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムまたは塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムから選ばれる1種以上を1~10質量%含有し、前記毛髪化粧料組成物のpHは3.5~4.7であることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
毛髪に適用した後、洗い流して使用されることを特徴とする請求項
1に記載の毛髪化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のファッション意識の高まりから、手軽に髪の色を変化させることのできるヘアカラーリング剤は、男女問わず多くの人に受け入れられている。ヘアカラーリング剤には、永久染毛剤、半永久染毛料および一時着色料等、様々な種類があり、それぞれのニーズによって使用される。中でも永久染毛剤は、染毛効果に優れ、この特性から現在多くの人に使用されているヘアカラーリング剤である。
【0003】
永久染毛剤の1つである酸化染毛剤は、酸化染料およびモノエタノールアミン、アンモニアといったアルカリ剤を含有する第1剤組成物と、過酸化水素等の酸化剤を含有する第2剤組成物で構成される2剤式が広く利用されている。これらは、使用の直前にトレーやボトル状の容器で予め第1剤組成物と第2剤組成物を混合してから毛髪上に塗布する方法や、ブラシ等を用いて毛髪上で混合する方法等がある。
【0004】
前記酸化染毛剤は、半永久染毛料と比較して、染毛した毛髪の色は退色し難いが、近年はできるだけ長く退色を抑えることが望まれており、その要求は前記酸化染毛剤にとどまらず、毛髪化粧料組成物全般に及んでいる。
【0005】
特許文献1には高級アルコール、カチオン性界面活性剤、糖類を含有し、退色抑制効果を有する毛髪化粧料組成物が開示されている。特許文献2には両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物、キレート剤を含有し、退色抑制効果を有する毛髪洗浄料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-63197号公報
【文献】特開2017-19740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術ではアルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果は十分に満足されるものではなかった。特に、酸化染毛剤に含有されるアルカリ剤の種類によって、退色抑制効果が低下することがあった。
【0008】
よって、本発明はアルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に使用される毛髪化粧料組成物であって、染毛された毛髪の退色抑制効果に優れることを特徴とする毛髪化粧料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者はアルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に使用される毛髪化粧料組成物であって、ケト酸を含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物にアルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明によりアルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に使用される毛髪化粧料組成物であって、染毛された毛髪の退色抑制効果に優れることを特徴とする毛髪化粧料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に使用される毛髪化粧料組成物であって、ケト酸を含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物である。より好ましくはアルカリ剤としてモノエタノールアミンまたはアンモニアから選ばれる1種以上を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に使用される毛髪化粧料組成物であって、ケト酸を含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物である。
【0013】
本発明は、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果の観点から、ケト酸を含有する。
【0014】
本発明で用いられる前記ケト酸は、ケトン基とカルボキシル基を含む有機酸であり、カルボキシル基に隣接した1番目の炭素がケトン基であるものはα-ケト酸、カルボキシル基に隣接した2番目の炭素がケトン基であるものはβ-ケト酸、カルボキシル基に隣接した3番目の炭素がケトン基であるものはγ-ケト酸である。ただし、カルボキシル基が複数ある場合、ケトン基に最も近いカルボキシル基から数えるものとする。前記ケト酸は1種以上を含有してよい。
【0015】
本発明で用いられる前記ケト酸のうち、アルカリ剤としてアンモニアを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果の観点から、好ましくはβ-ケト酸、γ-ケト酸、より好ましくはγ-ケト酸がよい。
【0016】
本発明で用いられる前記α-ケト酸としては、特に限定されないが、例えば、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、オキサロ酢酸、α-ケトグルタル酸等が挙げられ、前記β-ケト酸としては、特に限定されないが、例えば、アセト酢酸、3-オキソペンタン酸、アセトンジカルボン酸等が挙げられ、前記γ-ケト酸としては、特に限定されないが、例えば、レブリン酸等が挙げられる。
【0017】
本発明で用いられる前記ケト酸のうち、アルカリ剤としてモノエタノールアミンを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果の観点から、好ましくはカルボキシル基を1つまたは2つ含有するケト酸が好ましく、より好ましくはカルボキシル基を1つ含有するケト酸がよい。
【0018】
本発明で用いられる前記カルボキシル基を1つ含有するケト酸としては、特に限定されないが、例えば、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、アセト酢酸、3-オキソペンタン酸、レブリン酸等が挙げられ、前記カルボキシル基を2つ含有するケト酸としては、特に限定されないが、例えば、オキサロ酢酸、α-ケトグルタル酸、アセトンジカルボン酸等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いられる前記ケト酸のうち、好ましくはレブリン酸、3-オキソペンタン酸、2-オキソペンタン酸、アセトンジカルボン酸、α-ケトグルタル酸、より好ましくはレブリン酸がよい。
【0020】
本発明で用いられる前記ケト酸の含有量は、好ましくは0.05~3.5質量%、より好ましくは0.1~3.5質量%、さらに好ましくは0.2~3.5質量%がよい。前記ケト酸が0.05質量%未満の場合、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果が得られない恐れがある。前記ケト酸が3.5質量%を超える場合、経時により変臭が生じる恐れがある。
【0021】
本発明による毛髪化粧料組成物の20℃条件下でのpHは、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果の観点から、好ましくは2.6~6.5、より好ましくは2.9~5.4、さらに好ましくは3.5~4.7がよい。
【0022】
本発明による毛髪化粧料組成物の20℃条件下でのpHは、常法にて調製して得られた毛髪化粧料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子社製)に130g充填し、20℃で48時間静置した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、堀場製作所社製)により原液のpHを測定したものである。
【0023】
本発明による毛髪化粧料組成物の20℃条件下での粘度は、好ましくは10~190,000mPa・s、より好ましくは3,000~50,000mPa・s、さらに好ましくは6,000~20,000mPa・sがよい。
【0024】
本発明による毛髪化粧料組成物の20℃条件下での粘度は、常法にて調製して得られた毛髪化粧料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子社製)に130g充填し、20℃条件下で48時間静置した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業社製)により、粘度が1mPa・s以上100mPa・s未満の場合はM1号ローターを用いて60rpmで1分間、粘度が100mPa・s以上1,000mPa・s未満の場合はM2号ローターを用いて30rpmで1分間、粘度が1,000mPa・s以上2,000mPa・s未満の場合はM3号ローターを用いて60rpmで1分間、粘度が2,000mPa・s以上4,000mPa・s未満の場合はM3号ローターを用いて30rpmで1分間、粘度が4,000mPa・s以上20,000mPa・s未満の場合はM4号ローターを用いて30rpmで1分間、粘度が20,000mPa・s以上50,000mPa・s未満の場合はM4号ローターを用いて12rpmで1分間、粘度が50,000mPa・s以上100,000mPa・s未満の場合はM4号ローターを用いて6rpmで2分間、粘度が100,000mPa・s以上200,000mPa・s未満の場合はM4号ローターを用いて3rpmで2分間、回転させた後に測定したものである。
【0025】
本発明による毛髪化粧料組成物の性状は、特に限定されないが、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、泡状等が挙げられる。
【0026】
本発明による毛髪化粧料組成物の使用方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に適用した後、洗い流して使用される方法、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に適用した後、洗い流さず使用される方法等が挙げられる。
【0027】
本発明による毛髪化粧料組成物の前記使用方法のうち、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に適用した後、好ましくは洗い流して使用される方法がよい。
【0028】
本発明による毛髪化粧料組成物の種類としては、特に限定されないが、例えば、シャンプー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアリンス、ヘアミスト、ヘアワックス、ヘアジェル等が挙げられる。
【0029】
本発明による毛髪化粧料組成物の前記種類のうち、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に適用した後、洗い流して使用される方法で用いられる種類としては、シャンプー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアリンス等が挙げられ、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に適用した後、洗い流さず使用される方法で用いられる種類としては、ヘアミスト、ヘアワックス、ヘアジェル等が挙げられる。
【0030】
本発明による毛髪化粧料組成物の前記種類のうち、好ましくはシャンプー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアリンス、より好ましくはヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアリンスがよい。
【0031】
本発明の毛髪化粧料組成物は、ポリ容器、ポリチューブ容器、アルミチューブ容器、アルミ層入り多層チューブ、パウチ容器、ジャー容器等の各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【0032】
本発明は、洗い流し時のなめらかさの観点から、炭素数12~24の高級アルコールを含有することができる。
【0033】
本発明で用いられる前記炭素数12~24の高級アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等が挙げられる。前記炭素数12~24の高級アルコールは1種以上を含有してよい。
【0034】
本発明で用いられる前記炭素数12~24の高級アルコールのうち、洗い流し時のなめらかさの観点から、好ましくはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、より好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコールがよい。
【0035】
本発明で用いられる前記炭素数12~24の高級アルコールの含有量は、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは2~20質量%がよい。前記炭素数12~24の高級アルコールが0.1質量%未満の場合、洗い流し時のなめらかさが得られない恐れがある。前記炭素数12~24の高級アルコールが20質量%を超える場合、乾燥後にべたつきが生じる恐れがある。
【0036】
本発明は、乾燥後の柔らかさの観点から、四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を含有することができる。
【0037】
本発明で用いられる前記四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は1種以上を含有してよい。
【0038】
本発明で用いられる前記四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤のうち、乾燥後の柔らかさの観点から、好ましくは塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、より好ましくは塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムがよい。
【0039】
本発明で用いられる前記四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~10質量%がよい。前記四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が0.1質量%未満の場合、乾燥後の柔らかさが得られない恐れがある。前記四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が10質量%を超える場合、乾燥時にきしみが生じる恐れがある。
【0040】
本発明の毛髪化粧料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分の他に通常化粧品に用いられる成分として、油性成分、前記四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤、pH調整剤、金属封鎖剤、、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、アルコール類、高分子化合物、保湿剤、清涼剤、糖類、ビタミン類、植物抽出物、タンパク質加水分解物、着色剤等を含有することが可能であり、これらは1種以上含有してもよい。
【0041】
本発明の毛髪化粧料組成物は、アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に適用される。
【0042】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤は、特に限定されないが、例えば、酸化染料およびアルカリ剤を含有する組成物で構成される1剤式、酸化染料およびアルカリ剤を含有する第1剤組成物並びに酸化剤を含有する第2剤組成物を混合して用いる2剤式等が挙げられる。
【0043】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤に用いられる前記酸化染料としては、特に限定されないが、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトール、レゾルシンおよびそれらの塩類等が挙げられ、その他、「医薬部外品原料規格2006 統合版」(2013年11月発行、薬事日報社)に収載されたものも適宜用いることができる。前記酸化染料は1種以上を含有してよい。
【0044】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤に用いられる前記アルカリ剤としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モルホリン、グアニジン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アルギニン、リジン、ヒスチジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、メタケイ酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム等が挙げられる。前記アルカリ剤は1種以上を含有してよい。
【0045】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤に用いられる前記アルカリ剤のうち、染毛性の観点から、好ましくはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モルホリン、グアニジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、より好ましくはアンモニア、モノエタノールアミンがよい。
【0046】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤に用いられる前記酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、臭素酸ナトリウム等が挙げられる。前記酸化剤は1種以上を含有してよい。
【0047】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤に用いられる前記酸化剤のうち、染毛性の観点から好ましくは過酸化水素がよい。
【0048】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤は、前記成分の他に通常化粧品に用いられる成分として、油性成分、界面活性剤、pH調整剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、アルコール類、高分子化合物、保湿剤、清涼剤、糖類、ビタミン類、植物抽出物、タンパク質加水分解物、着色剤等を含有することが可能であり、これらは1種以上含有してもよい。
【0049】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤の性状は、特に限定されないが、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、泡状等が挙げられる。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0051】
本明細書に示す評価試験において、毛髪化粧料組成物に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0052】
本明細書に示す評価試験において、「モノエタノールアミンを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」、「アンモニアを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」、「洗い流し時のなめらかさ」、「乾燥後の柔らかさ」について下記の方法で評価した。
【0053】
「モノエタノールアミンを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」
操作1:毛髪試験用毛束(白髪100%、1g、10cm、ビューラックス社製、型番:毛束BM-W-A」)に、表1で得られた第1剤組成物Aおよび表2で得られた第2剤組成物を重量比1:1の比率で混合した酸化型の染毛剤1g塗布し、温度25℃湿度50%の条件下で15分放置後、水で洗い流しドライヤーで乾燥させ、温度25℃湿度50%の条件下で24時間放置し、染毛毛束を作製した。
操作2:前記操作1で得られた染毛毛束に対し、表3で得られた毛髪洗浄料組成物0.3gで洗髪し、その後表4~表9に示す実施例および比較例で得られた各毛髪化粧料組成物1gを塗布し、水で洗い流しドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
操作3:前記操作1で得られた染毛毛束に対し、表3で得られた毛髪洗浄料組成物0.3gで洗髪しドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
パネラー10名が目視にて、前記操作2で得られた洗髪毛束の色を、前記操作3で得られた洗髪毛束の色を基準として色の濃さを比較し、5点(色が濃い)、4点(やや色が濃い)、3点(わずかに色が濃い)、2点(差がない)、1点(色が薄い)の5段階で評価して全員の平均点を算出した後、下記平均点の判定基準に従って判定した。
(平均点の判定基準)
4.0点以上 : 5
3.5点以上4.0点未満 : 4
3.0点以上3.5点未満 : 3
2.0点以上3.0点未満 : 2
2.0点未満 : 1
【0054】
「アンモニアを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」
操作4:毛髪試験用毛束(白髪100%、1g、10cm、ビューラックス社製、型番:毛束BM-W-A」)に、表1で得られた第1剤組成物Bおよび表2で得られた第2剤組成物を重量比1:1の比率で混合した酸化型の染毛剤1g塗布し、温度25℃湿度50%の条件下で15分放置後、水で洗い流しドライヤーで乾燥させ、温度25℃湿度50%の条件下で24時間放置し、染毛毛束を作製した。
操作5:前記操作4で得られた染毛毛束に対し、表3で得られた毛髪洗浄料組成物0.3gで洗髪し、その後表4~表9に示す実施例および比較例で得られた各毛髪化粧料組成物1gを塗布し、水で洗い流しドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
操作6:前記操作4で得られた染毛毛束に対し、表3で得られた毛髪洗浄料組成物0.3gで洗髪しドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
パネラー10名が目視にて、前記操作5で得られた洗髪毛束の色を、前記操作6で得られた洗髪毛束の色を基準として色の濃さを比較し、5点(色が濃い)、4点(やや色が濃い)、3点(わずかに色が濃い)、2点(差がない)、1点(色が薄い)の5段階で評価して全員の平均点を算出した後、下記平均点の判定基準に従って判定した。
(平均点の判定基準)
4.0点以上 : 5
3.5点以上4.0点未満 : 4
3.0点以上3.5点未満 : 3
2.0点以上3.0点未満 : 2
2.0点未満 : 1
【0055】
「洗い流し時のなめらかさ」
パネラー10名が、毛髪試験用ドール(人毛黒髪90%人毛白髪10%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775SW)の毛髪に、表1で得られた第1剤組成物Aおよび表2で得られた第2剤組成物を重量比1:1の比率で混合した酸化型の染毛剤80g塗布し、温度25℃湿度50%の条件下で15分放置後、水で洗い流しドライヤーで乾燥させ、温度25℃湿度50%の条件下で24時間放置した。その後表3で得られた毛髪洗浄料組成物6gで洗髪した後、表4~表9に示す実施例および比較例で得られた各毛髪化粧料組成物12gを塗布し、手ぐしを通しながらすすぎ残し感を感じなくなるまで十分にすすぎ、洗い流し時のなめらかさを、官能にて5点(非常に良好)、4点(良好)、3点(普通)、2点(不良)、1点(非常に不良)の5段階で評価して全員の平均点を算出した後、下記平均点の判定基準に従って判定した。
(平均点の判定基準)
4.0点以上 : 5
3.5点以上4.0点未満 : 4
3.0点以上3.5点未満 : 3
2.0点以上3.0点未満 : 2
2.0点未満 : 1
【0056】
「乾燥後の柔らかさ」
パネラー10名が、前記「洗い流し時のなめらかさ」を評価した毛髪試験用ドール(人毛黒髪90%人毛白髪10%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775SW)の毛髪をドライヤーで十分乾燥させ、乾燥後のやわらかさを、官能にて5点(非常に良好)、4点(良好)、3点(普通)、2点(不良)、1点(非常に不良)の5段階で評価して全員の平均点を算出した後、下記平均点の判定基準に従って判定した。
(平均点の判定基準)
4.0点以上 : 5
3.5点以上4.0点未満 : 4
3.0点以上3.5点未満 : 3
2.0点以上3.0点未満 : 2
2.0点未満 : 1
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
表4~表8に示す実施例1~27から、 「モノエタノールアミンを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」、「アンモニアを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」、「洗い流し時のなめらかさ」、「乾燥後の柔らかさ」について良好な結果を得ることが確認された。
【0067】
実施例28および実施例29を使用して各種試験を行っても、「モノエタノールアミンを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」、「アンモニアを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」、「洗い流し時のなめらかさ」、「乾燥後の柔らかさ」について良好な結果を得ることが確認された。
【0068】
実施例28(ヘアトリートメント)
成 分 含有量(質量%)
レブリン酸 0.22
ステアリルアルコール 8.05
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 4.00
エタノール 1.00
メチルポリシロキサン 6.00
ホホバ油 0.01
メチルフェニルポリシロキサン 0.01
グリセリン 9.00
フェノキシエタノール 0.30
グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル 0.10
クエン酸三ナトリウム 0.10
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
香料 0.30
加水分解シルク 0.01
ヒアルロン酸ジメチルシラノール 0.01
サクシニルアテロコラーゲン 0.01
水溶性コラーゲン 0.01
イソステアロイル加水分解コラーゲン・
アミノメチルプロパンジオール 0.01
精製水 70.85
合計 100.00
pH(20℃):4.2
【0069】
実施例29(ヘアパック)
成 分 含有量(質量%)
レブリン酸 3.10
セチルアルコール 5.00
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.10
エタノール 0.72
メチルポリシロキサン 6.60
グリセリン 4.00
流動イソパラフィン 3.00
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.00
メチルフェニルポリシロキサン 1.00
1,3-ブチレングリコール 2.00
クエン酸三ナトリウム 0.11
クエン酸 0.01
メチルパラベン 0.20
香料 0.30
水素添加大豆リン脂質 0.02
加水分解シルク 0.01
加水分解ダイズタンパク 0.01
精製水 70.82
合計 100.00
pH(20℃):3.0
【0070】
表10に示す実施例30を下記の評価方法で評価した「モノエタノールアミンを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」および「アンモニアを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」について良好な結果を得ることが確認された。
【0071】
「モノエタノールアミンを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」
操作7:毛髪試験用毛束(白髪100%、1g、10cm、ビューラックス社製、型番:毛束BM-W-A」)に、表1で得られた第1剤組成物Aおよび表2で得られた第2剤組成物を重量比1:1の比率で混合した酸化型の染毛剤1g塗布し、温度25℃湿度50%の条件下で15分放置後、水で洗い流しドライヤーで乾燥させ、温度25℃湿度50%の条件下で24時間放置し、染毛毛束を作製した。
操作8:前記操作7で得られた染毛毛束に対し、表10に示す実施例および比較例で得られた毛髪化粧料組成物0.3gで洗髪し、ドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
操作9:前記操作7で得られた染毛毛束に対し、表3で得られた毛髪洗浄料組成物0.3gで洗髪しドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
パネラー10名が目視にて、前記操作8で得られた洗髪毛束の色を、前記操作9で得られた洗髪毛束の色を基準として色の濃さを比較し、5点(色が濃い)、4点(やや色が濃い)、3点(わずかに色が濃い)、2点(差がない)、1点(色が薄い)の5段階で評価して全員の平均点を算出した後、下記平均点の判定基準に従って判定した。
(平均点の判定基準)
4.0点以上 : 5
3.5点以上4.0点未満 : 4
3.0点以上3.5点未満 : 3
2.0点以上3.0点未満 : 2
2.0点未満 : 1
【0072】
「アンモニアを含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪の退色抑制効果」
操作10:毛髪試験用毛束(白髪100%、1g、10cm、ビューラックス社製、型番:毛束BM-W-A」)に、表1で得られた第1剤組成物Bおよび表2で得られた第2剤組成物を重量比1:1の比率で混合した酸化型の染毛剤1g塗布し、温度25℃湿度50%の条件下で15分放置後、水で洗い流しドライヤーで乾燥させ、温度25℃湿度50%の条件下で24時間放置し、染毛毛束を作製した。
操作11:前記操作10で得られた染毛毛束に対し、表10に示す実施例および比較例で得られた毛髪化粧料組成物0.3gで洗髪し、ドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
操作12:前記操作10で得られた染毛毛束に対し、表3で得られた毛髪洗浄料組成物0.3gで洗髪しドライヤーで乾燥させる操作を15回行い、洗髪毛束を作製した。
パネラー10名が目視にて、前記操作11で得られた洗髪毛束の色を、前記操作12で得られた洗髪毛束の色を基準として色の濃さを比較し、5点(色が濃い)、4点(やや色が濃い)、3点(わずかに色が濃い)、2点(差がない)、1点(色が薄い)の5段階で評価して全員の平均点を算出した後、下記平均点の判定基準に従って判定した。
(平均点の判定基準)
4.0点以上 : 5
3.5点以上4.0点未満 : 4
3.0点以上3.5点未満 : 3
2.0点以上3.0点未満 : 2
2.0点未満 : 1
【0073】
【産業上の利用可能性】
【0074】
アルカリ剤を含有する酸化型の染毛剤で染毛された毛髪に使用される毛髪化粧料組成物であって、染毛された毛髪の退色抑制効果に優れることを特徴とする毛髪化粧料組成物を得ることができる。