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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20241029BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/06 101A
F24F13/20 205
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020203805
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091166
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】井上 初美
(72)【発明者】
【氏名】徐 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】山岸 智和
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-249321(JP,A)
【文献】特開2005-156138(JP,A)
【文献】実開昭59-049121(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1送風機の運転により気流を発生させて、調理器上の空気を吸い込むために設けられた吸込開口部を有するフード部と、吸い込んだ該空気を排出するために設けられた吐出口を有する本体部と、を備えるレンジフードであって、
気流の流路において前記吸込開口部から前記第1送風機に至る主流路と、
前記第1送風機に至る流路であって前記主流路よりも小さい風量の気流が流れる副流路と、
前記副流路と接続される吸気孔と、
前記主流路と前記副流路の合流点よりも上流側の前記副流路内に配置され、前記副流路内の空気の空気質を検出する検出部と、
を備え
前記第1送風機の運転により前記主流路および前記副流路に気流が流れ、前記第1送風機の運転により前記副流路内に気流を発生させている時に前記検出部が前記副流路内の空気の空気質を検出する、
レンジフード。
【請求項2】
前記本体部は、内部に前記第1送風機を有するファンケーシングを有し、前記本体部の内側であって前記ファンケーシングの外側の空間が、前記合流点よりも上流側の前記副流路として構成されることを特徴とする請求項に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記ファンケーシングは、前記第1送風機の回転軸の両側方向に吸込口を有し、
前記主流路は、前記ファンケーシングの一方側の前記吸込口を通り、
前記副流路は、前記一方側より吸い込み風量の小さい前記ファンケーシングの他方側の前記吸込口を通ることを特徴とする請求項に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記検出部と前記吸気孔を連通する前記副流路を構成する接続ダクトを備え、
前記検出部は、前記吸気孔の鉛直下方の位置から前記合流点の方向に所定距離離間した位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記吸気孔は、前記フード部の天板に設けられ、前記本体部を覆う部材よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項6】
前記合流点よりも上流側の前記副流路内に配置され、前記第1送風機が運転していない時に運転する第2送風機をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、調理により発生した雑ガスや臭いを検知するセンサを備え、センサにより得られた濃度に基づき排気の風量を制御するレンジフードが知られている。たとえば、特許文献1は、ガス調理機器とレンジフードとを連動させて自動換気運転を行うレンジフードを開示する。このレンジフードは、後方壁面に配設されたケーシングの内部の通風路を通流する気体に含まれる特定種類のガスの濃度を検知するガスセンサをフード下面に備える。そのガスセンサは、ガスセンサの検出部の汚染を抑制するために通風路の内周面から所定寸法だけ引退した位置に通風路に臨むように配設され、検出されたガス濃度と設定風量に基づいて設定風量を更新するように構成されている。
【0003】
また、特許文献2は、排気ファンの起動忘れや停止忘れを防止すると共に、各種のガスを効果的に検出又は排出すること等ができるレンジフードを開示する。このレンジフードは、排気経路を区画するレンジフード本体と、排気経路を介して排気を行うメインファン及びサブファンと、フード正面外側に配置されたガスセンサと、を備え、このガスセンサからの出力に基づいて少なくともメインファン及びサブファンを制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-020008号公報
【文献】特開2008-249321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンジフードは、排気量が大きいためガスを排気するのに適しているが、上記特許文献のように調理時に発生するガスを対象としている。このように、レンジフードは、本質的にガス排気に適した機器であるにもかかわらず、調理以外、非調理空間で発生するガスを対象として提供されることはなかった。
【0006】
そこで、本発明は、調理時以外、非調理空間で発生するガスを好適に検知できるレンジフードを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1送風機の運転により気流を発生させて、調理器上の空気を吸い込むために設けられた吸込開口部を有するフード部と、吸い込んだ該空気を排出するために設けられた吐出口を有する本体部と、を備えるレンジフードであって、気流の流路において吸込開口部から第1送風機に至る主流路と、第1送風機に至る流路であって主流路よりも小さい風量の気流が流れる副流路と、副流路と接続される吸気孔と、主流路と副流路の合流点よりも上流側の副流路内に配置され、副流路内の空気の空気質を検出する検出部と、を備え、第1送風機の運転により主流路および副流路に気流が流れ、第1送風機の運転により副流路内に気流を発生させている時に検出部が副流路内の空気の空気質を検出するレンジフードが提供される。
これによれば、調理により発生する油煙等が流れる主流路とは異なる流路であって主流路より小さい風量の副流路内の空気質を検出することで、調理時以外や非調理空間における空気質を検出するレンジフードを提供することができる。
【0009】
さらに、本体部は、内部に第1送風機を有するファンケーシングを有し、本体部の内側であってファンケーシングの外側の空間が、合流点よりも上流側の副流路として構成されることを特徴としてもよい。
これによれば、本体内部の広い空間を検出部を配置する副流路として構成することで、検出部を柔軟に構成でき、スペースの有効活用ができる。
【0010】
さらに、ファンケーシングは、第1送風機の回転軸の両側方向に吸込口を有し、主流路は、ファンケーシングの一方側の吸込口を通り、副流路は、一方側より吸い込み風量の小さいファンケーシングの他方側の吸込口を通ることを特徴としてもよい。
これによれば、送風機の裏側にも吸込口を設けることで、主流路を確保しつつ本体内部の空間を負圧にし、容易に副流路を確保することができる。
【0011】
さらに、検出部と吸気孔を連通する副流路を構成する接続ダクトを備え、検出部は、吸気孔の鉛直下方の位置から合流点の方向に所定距離離間した位置に配置されることを特徴としてもよい。
これによれば、副流路を構成する接続ダクトを備えることで、吸気孔と検出部までの空間を仕切ることができ、レンジフード外部から取り込む空気が、レンジフードにこもった空気と薄まることなく、直ちに検出部で検知をすることが可能となる。また、吸気孔の鉛直下方の位置から合流点の方向に所定距離離間した位置に配置されることで、吸気孔からの液体侵入から検出部を保護できる。
【0012】
さらに、吸気孔は、フード部の天板に設けられ、本体部を覆う部材よりも外側に配置されることを特徴としてもよい。
これによれば、吸気孔がフード部の天板であって本体部を覆う部材よりも外側に配置されることで、フード部の吸込開口部への気流流路からは離間した位置に配置される共に、天井裏等の居住空間ではない空気を取り込んでしまうことを防止することができる。
【0013】
さらに、合流点よりも上流側の副流路内に配置され、第1送風機が運転していない時に運転する第2送風機をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、副流路内に配置され、第1送風機が運転していない時に運転する第2送風機をさらに備えることで、非調理時にも空気質を検出することができる。また、調理時の空気は吸い込まないので検出部の汚れや故障を軽減できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、調理時以外、非調理空間で発生するガスを好適に検知できるレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施例および第2実施例に係るレンジフードが設置された住宅の内部の様子を示す図。
図2】本発明の第1実施例に係るレンジフードの本体部前蓋を取り除いた場合の斜視図。
図3】本発明の第1実施例に係るレンジフードの本体部カバーを取り除いた場合の斜視図。
図4】本発明の第1実施例に係るレンジフードの幕板を取り付けた場合の斜視図。
図5】本発明の第1実施例に係るレンジフードの、(A)正面図、(B)H-H断面における断面図。
図6】本発明の第1実施例に係るレンジフードの、(A)正面図、(B)J-J断面における断面図。
図7】本発明の第1実施例に係るレンジフードの、(A)正面図、(B)K-K断面における断面図。
図8】本発明の第1実施例に係るレンジフードにおける気流の流路を説明するための断面斜視図。
図9】本発明の第1実施例に係るレンジフードのCO2センサ付近の断面斜視図。
図10】本発明の第1実施例に係るレンジフードの機能ブロック図。
図11】本発明の第2実施例に係るレンジフードのCO2センサ付近の断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第1実施例>
図1図10を参照し、本実施例のレンジフード100について説明する。図1に示すように、レンジフード100は、住宅HSのキッチンの調理器上方に設置され、屋内の空気を換気するための装置である。レンジフード100は、その大きな吸引力により、キッチンでの調理により発生する油煙等を吸い込むと共に、キッチンから離れた例えばリビングルームの空気に含まれる様々な物質を空気と共にレンジフード100まで引き寄せてきて吸い込み、屋外へ排出する機能を有する。リビングルームでは居住者や外来者が大勢集まることが多く、これにより、人が吐く息に含まれるCO2が増加したり、会話により多くのエアロゾルが発生したりし、リビングルーム内の空気質が悪化することがある。レンジフード100は、このように、キッチンから離れた空間であるリビングルーム内に発生すると想定される物質を検出し、その検出情報に基づいて運転し、リビングルーム内の空気質の改善に寄与する。
【0018】
なお、本明細書における空気質とは、空気を構成する物質(たとえば、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素など)、空気に含まれる物質(たとえば、水分、油分、塵埃、におい物質などが微粒子状或いはガス状となったもの)、空気の運動エネルギーを示す指標(温度)などを言い、人間が感じ得るまたは影響を受け得る空気の質を示す概念である。したがって、本実施例では、換気装置として住宅に設置されるレンジフード100を、検出部10としてCO2センサ11を例示するが、これに限定されず、たとえば、事務所の給湯器や工場の廃棄物の近傍に設置された換気装置が、空気の通路として連通しているが設置された場所から離れた空間(たとえば応接室、休憩室、喫煙室など)の空気質を検出し、その検出情報に基づいて運転制御を行うことも当然に含まれる。
【0019】
図2図10に示すように、レンジフード100は、フード部91と、フード部91の上に連結された本体部92と、本体部92の内部に収められたファンケーシング93と、ファンケーシング93の中に含められ、気流を発生させるファン94(第1送風機)と、ファン94の運転を制御するRH制御部20、ファン94により発生した気流を吸い込む吸込開口部95および吸気孔11aと、吸い込んだ気流を排出する吐出口96と、吸気孔11aから吸い込んだ空気の空気質を検出する検出部10と、フード部91の下部に設けられ、油煙等を捕獲する内面パネル97と、内面パネル97の下方に所定の隙間を空けて取り付けられた整流板98と、表示部40と、通信部50と、エラー検知部14と、を備える。
【0020】
RH制御部20は、本体部92の内部に設けられ(図示せず)、検出部10が検出した検出情報に基づいてファン94の運転制御を行う。RH制御部20は、ファン94の運転を制御するためのプログラムを記憶し、そのプログラムに従って命令を実行するマイクロコントローラである。検出部10は、CO2センサ11、ガスセンサ12、臭いセンサ13を含んでおり、それぞれの物質を検出する。本実施例では、検出部10はCO2センサ11とする。表示部40は、たとえば運転の状況(換気運転/常時換気運転/探索運転など)を表示したり、たとえば検出部10のCO2センサ11が検出したCO2濃度を表示する。通信部50は、他の機器(たとえば他のセンサ、報知器、スマートフォンなど)と通信を行う。エラー検知部14は、たとえば換気運転/常時換気運転/探索運転中に整流板98が開放されたことを検知すると、RH制御部20に通知する。RH制御部20は、その通知を受信するとファン94の運転を停止する。
【0021】
フード部91は、本実施例は薄平型であるが、これに限定されず、たとえば深型所謂ブーツ型であってもよい。本体部92の内部に配置されたファンケーシング93は、下方に向けて開口した吸込口93aと上方に向けて開口した吸込口93bを両側に有する。本体部92の内壁とファンケーシング93の外壁の間には空気が流通するための空間80が設けられている。ファン94は、回転軸を鉛直方向に向けて配置された静圧の高いシロッコファンであり、ファンケーシング93の下方および上方の吸込口93a/93bに適合している。
【0022】
ファン94は、ファン94を回転させるモータ94aをファン94の内部の上方に収容し、モータ94aのシャフト94bとファン94(シロッコファンの羽根車または上端部)を連結する連結部94cは、同様にファン94の内部の上方に存するので、ファン94の上方端から吸い込まれる空気の量は、ファン94の下方端から吸い込まれる空気の量より少なくなる。ファンケーシング93の上方の吸込口93bはファン94の上方端に適合し、下方の吸込口93aはファン94の下方端に適合しているので、上方の吸込口93bから吸い込まれる空気の量は、下方の吸込口93aから吸い込まれる空気の量より少なくなる。吸込開口部95は、ファンケーシング93に設けられた下方の吸込口93aに適合しているので、ファン94が発生させる気流の多くは吸込開口部95を通る。吸込開口部95は、フード部91の下面に設けられた内面パネル97と整流板98の間の隙間を通して、主に調理器上の空気を吸い込むために設けられている。
【0023】
一方、ファンケーシング93の上方の吸込口93bから吸い込まれる空気は、本体部92の内壁とファンケーシング93の外壁の間に設けられた空間80から吸い込まれる。この空間は、フード部91の天板に設けられた吸気孔11aと、フード部91の内部に設けられ吸気孔11aと空間80とを接続するための接続ダクト11bを介して連通している。そうすると、ファンケーシング93の上方の吸込口93bから空気が吸い込まれると空間80が負圧になり、それに従い、接続ダクト11bと通して吸気孔11aからレンジフード100の外部の空気が吸い込まれることになる。
【0024】
レンジフード100は、図8に示すように、吸込開口部95から吸い込まれて、ファンケーシング93の下方の吸込口93a、ファン94の下方端、ファン94の羽根車、ファンケーシング93の内部を通り、吐出口96に排出される気流の流路を形成しており、これを主流路(点線)と呼ぶ。一方、レンジフード100は、吸気孔11aから吸い込まれて、接続ダクト11b、本体部92の内壁とファンケーシング93の外壁の間に設けられた空間80、ファンケーシング93の上方の吸込口93b、ファン94の上方端、ファン94の羽根車、ファンケーシング93の内部を通り、吐出口96に排出される気流の流路を形成し、これを副流路(一点鎖線)と呼ぶ。主流路ではファンケーシング93の下方の吸込口93aを通るので大きな風量が流れ、副流路ではファンケーシング93の上方の吸込口93bを通るので主流路に比し小さな風量が流れる。主流路と副流路は、ファン94の内部または羽根車で合流している。
【0025】
このように、主流路は、ファンケーシング93の一方側の吸込口93aを通り、副流路は、一方側より吸い込み風量の小さいファンケーシング93の他方側の吸込口93bを通る。このように、ファン94の裏側にも吸込口を設けることで、主流路を確保しつつ本体内部の空間を負圧にし、容易に副流路を確保することができる。
【0026】
吸気孔11aは、本実施例では、フード部91の吸込開口部95と異なる面すなわちフード部91の天面に形成されているが、これに限定されず、たとえばフード部91がロングスパンであり、調理器から遠い位置に配置できる場合は、吸込開口部95と同じ面であるフード部91の下面に形成されてもよい。なお、吸気孔11aが吸込開口部95と異なる面や同じ面の場合は調理器から離れた位置であることが好ましいのは、フード部91の吸込開口部95への気流の流路からは離間した位置に配置され、調理時に発生する油煙等を含む空気に曝されることが少なく、取り込まれる空気が比較的油煙等の汚染物質を含んでいないからである。吸気孔11aは、ここから吸い込まれる空気が空間80と連通するように副流路と接続されていればよい。なお、吸気孔11aは、レンジフード100が設置された場合、図4に示すように、本体部92を覆う幕板99やダクトカバーなどの部材よりも外側(部屋側)に配置されることが好ましい。これによれば、天井裏等の居住空間ではない空気を取り込んでしまうことを防止することができる。
【0027】
CO2センサ11は、ファンケーシング93の外壁と本体部92の内壁の間の空間80に配置されている。すなわち、CO2センサ11は、副流路内に配置され、副流路内の空気の空気質を検出する。また、主流路には油煙を含んだ気流が通るため空気質を検出する場所としては不適なので、CO2センサ11は、主流路と副流路の合流点となるファン94の内部または羽根車よりも上流側の副流路内であるファンケーシング93の外壁と本体部92の内壁の間の空間80に配置されている。このように、レンジフード100は、調理により発生する油煙等が流れる主流路とは異なる流路であって主流路より小さい風量の副流路内の空気質を検出することで、非調理空間における空気質を検出することができる。また、レンジフード100は、調理により発生する油煙等が流れる主流路とは異なるように吸込開口部95と異なる面に形成された吸気孔11aから吸引された副流路内の空気質を検出することで、非調理空間における空気質を検出することができる。
【0028】
また、本体部92の内側であってファンケーシングの外側の空間80が、合流点であるファン94の内部または羽根車よりも上流側の副流路として構成されている。このように、本体部92の内部の広い空間をCO2センサ11を配置する副流路として構成することで、大型のCO2センサユニットを配置できる等、CO2センサ11を柔軟に構成でき、スペースの有効活用ができる。
【0029】
接続ダクト11bは、フード部91の天面に形成された吸気孔11aから空間80まで繋ぐように形成され、空気を流通させるためのダクトとして機能する。接続ダクト11bの一端を吸気孔11aとすると、他端は空間80内にフード部91の天面に形成された接続ダクト排出孔11dであり、接続ダクト排出孔11dは空間80内であってCO2センサ11のユニット内に直接接続されている。接続ダクト11bの長さは、負圧となる空間80から本体部を覆う部材(例えば、幕板99)よりも外側を繋ぐ最短距離であることが好ましい。本実施例では図9にあるように、接続ダクト11bの長さは、幕板99直下に形成された吸気孔11aの下方部分から本体部92の前蓋背面に形成された接続ダクト排出孔11dまでの長さである。すなわち、吸気孔11aの鉛直下方の位置から合流点の方向に所定距離程度の長さである。接続ダクトの距離が短いので、接続ダクト11b内にターゲットとする空気質以外の油煙等が入り込むのを抑制でき、CO2センサ11が吸気孔11aからの空気のみを検出対象とすることができる。また、接続ダクト11bの通気抵抗が低くすることができ、部材的にも最小にすることができる。なお、接続ダクト11bの幅は吸気孔11aの集合体が形成される領域をカバーする程度、CO2センサ11のユニットと同等の幅であることが好ましいがこれに限られない。
【0030】
吸気孔11aから吸い込まれた空気は、接続ダクト排出孔11dから空間80内に吹き出される。吹き出された空気はファンケーシング93の上方の吸込口93bの方へ向かって流れることになる。本実施例では、接続ダクト排出孔11dの上にCO2センサ11のユニットが配置され、そのユニットには排気孔11cが合流点であるファン94の方に向けて設けられている。このように、CO2センサ11は、吸気孔11aの鉛直下方の位置から合流点の方向に所定距離離間した位置に配置される。なお、所定距離とは、接続ダクト排出孔11dから噴き出した空気が局所的に偏らず満遍なく広がる距離である。これによれば、副流路を構成する接続ダクト11bを備えることで、吸気孔11aとCO2センサ11までの空間を仕切ることができ、レンジフード100の外部から取り込む空気が、レンジフード100にこもった空気と薄まることなく、直ちにCO2センサ11で検知をすることが可能となる。また、吸気孔11aの鉛直下方の位置から合流点の方向に所定距離離間した位置に配置されることで、吸気孔からの液体侵入からCO2センサ11を保護できる。
【0031】
CO2センサ11は、センサユニットの内部において、接続ダクト排出孔11dから吹き出された空気が排気孔11cに流れる流路上すなわち接続ダクト排出孔11dと排気孔11cのほぼ直線上に配置される。これによれば、CO2センサ11は、センサユニット内に流れ込んだ空気を直ちに検出できる。また、センサユニットの排気孔11cは、センサユニットの天面ではなく側面に設けられる。これによれば、ファンケーシング93や本体部92から伝った油や水が当該ユニットに到達しても、排気孔11cを通して内部に侵入し、CO2センサ11や基板に滴下することを防止することができる。なお、吸気孔11aと排気孔11cに設けられる複数の孔は、直径3mm以下である。これによれば、無視や埃の侵入を防止すると共に油煙による目詰まりを防止できる。
【0032】
<第2実施例>
図11を参照し、本実施例のレンジフード100Sについて説明する。なお、重複記載を避けるため、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略し、上記実施例と異なる部分を中心に説明する。レンジフード100Sは、図1に示すように、住宅HSのキッチンの調理器上方に設置され、屋内の空気を換気するための装置である。レンジフード100Sは、大きな吸引力を有するファン94によりキッチンでの調理により発生する油煙等を吸い込み、屋外へ排出すると共に、小型ファン94Sによりキッチンから離れた例えばリビングルームの空気に含まれる様々な物質を空気と共にレンジフード100Sまで引き寄せてきて吸い込み、リビングルーム内に発生すると想定される物質を検出し、その検出情報に基づいて運転し、リビングルーム内の空気質の改善に寄与する。
【0033】
レンジフード100Sは、フード部91と、フード部91の上に連結された本体部92と、本体部92の内部に収められたファンケーシング93と、ファンケーシング93の中に含められ、大きな風量の気流を発生させるファン94(第1送風機)と、ファン94により発生した気流を吸い込む吸込開口部95と、吸い込んだ気流を排出する吐出口96と、小さな風量の気流を発生させる小型ファン94S(第2送風機)と、小型ファン94Sにより発生した気流を吸い込む吸気孔11aと、吸気孔11aから吸い込んだ空気の空気質を検出する検出部10と、ファン94および小型ファン94Sの運転を制御するRH制御部20、フード部91の下部に設けられ、油煙等を捕獲する内面パネル97と、内面パネル97の下方に所定の隙間を空けて取り付けられた整流板98と、表示部40と、通信部50と、エラー検知部14と、を備える。
【0034】
RH制御部20は、本体部92の内部に設けられ(図示せず)、検出部10が検出した検出情報に基づいてファン94Sの運転制御を行う。RH制御部20は、ファン94が運転していない時に運転する。これにより、レンジフード100Sは、非調理時にも空気質を検出することができる。また、調理時の空気は吸い込まないので検出部の汚れや故障を軽減できる。
【0035】
吸気孔11aは、図11に示すように、フード部91の天面に形成されているが、これに限定されず、調理器からの距離が吸込開口部95よりも長くなる位置に設けられていればよい。吸気孔11aがフード部91の天面にある場合、フード部91の周囲を回り込んで吸気孔11aに到達するので、調理器からのその距離は吸込開口部95よりも長くなる。接続ダクト11bは、フード部91の天面に形成された吸気孔11aから空間80まで繋ぐように形成されている。接続ダクト11bの一端を吸気孔11aとすると、他端は空間80内にフード部91の天面に形成された接続ダクト排出孔11dであり、接続ダクト排出孔11dは空間80内であって検出部10のユニット内に直接接続されている。
【0036】
小型ファン94Sは、検出部10のユニット内に配置され、吸気孔11aから吸気し、接続ダクト11b、接続ダクト排出孔11d、検出部10を通って、本体部92の側面に設けられた排気孔11Scへ排気するように構成されている。すなわち、小型ファン94Sは、吸気孔から、吸気孔と連通する排気孔に至る気流を発生させて副流路を形成し(本図中の一点鎖線)、検出部10は、その副流路内の空気の空気質を検出する。これによれば、調理により発生する油煙等を吸い込むためのフード部91の吸込開口部95への気流流路(主流路)からは離間した位置に配置された吸気孔11aから吸引され、主流路とは隔離された副流路内の空気質を検出することで、調理時以外や非調理空間における空気質を検出するレンジフード100Sを提供することができる。この構成によれば、主流路と検出部10が配される副流路が隔離されているため調理により発生する油煙等が検出部10に流れ込みにくくなる。このため検出部10の汚れや故障リスクを下げることができる。
【0037】
なお、本実施例では、排気孔11Scが本体部92に設けられているが、排気孔は検出部10のユニット側面に設けられ、小型ファン94Sは、その排気孔に向けて排気するように構成されてもよい。この場合、小型ファン94Sは、主流路との合流点よりも上流側の副流路内に配置される。このように、副流路内に配置され、ファン94が運転していない時に運転するファン94Sをさらに備えることで、非調理時にも空気質を検出することができる。また、調理時の空気は吸い込まないので検出部10の汚れや故障を軽減できる。また、本実施例では、小型ファン94Sが検出部10のユニット内に配置され、本体部92の側面に設けられた排気孔11Scから空気を排気しているが、小型ファン94Sが接続ダクト内に収容され、排気孔を本体部92の外側のフード天面に形成してもよい。この形態によっても主流路と検出部10が配される副流路が隔離されているため調理により発生する油煙等が検出部10に流れ込みにくくなるとの効果が生じる。
【0038】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0039】
100 レンジフード(換気装置)
10 検出部
11 CO2センサ
11a 吸気孔
11b 接続ダクト
11c 排気孔
11d 接続ダクト排出孔
12 ガスセンサ
13 臭いセンサ
14 エラー検知部
20 RH制御部(運転制御部)
21 差分値取得部
30 操作スイッチ
40 表示パネル
50 通信部
80 本体部の内壁とファンケーシングの外壁の間に設けられた空間
91 フード部
92 本体部
93 ファンケーシング
93a 下方の吸込口
93b 上方の吸込口
94 ファン(第1送風機)
94S 小型ファン(第2送風機)
94a モータ
94b シャフト
94c 連結部
95 吸込開口部
96 吐出口
97 内面パネル
98 整流板
99 幕板
図1
図2
図3
図4
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図11