(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
F25D23/06 K
F25D23/06 F
(21)【出願番号】P 2020207529
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】穂高 淳
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-337542(JP,A)
【文献】実開平01-172695(JP,U)
【文献】特開2020-051744(JP,A)
【文献】特許第5960447(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体と、
冷蔵庫本体の側壁を構成する左右の外壁パネルと、
前記左右の外壁パネル間に配置されるように、各外壁パネルの後方かつ下部に取り付けられた左右の補強アングルと、を備える冷蔵庫であって、
前記外壁パネルは、パネル折り返し部を備え、
前記補強アングルは、折り返し部を備え、
前記パネル折り返し部と前記折り返し部を係合させることにより、前記補強アングルが前記外壁パネルへと取り付けら
れ、
前記冷蔵庫は、さらに前記冷蔵庫本体の底部を少なくとも部分的に覆うように構成された底板を有し、前記補強アングルはそれぞれ、各補強アングルが対向する側に切り欠きを有し、前記底板は、各補強アングルの前記切り欠きの間に挟まれることで取り付けられるように構成され、
前記切り欠きには、前記切り欠きの下部から前方へと延びるように屈曲して形成された突出部が設けられ、前記底板が前記突出部に載置されることを特徴とする、冷蔵庫。
【請求項2】
前記底板は、前記補強アングルをそれぞれ、前記底板を取り付けた状態から左右外側へと離隔すると、前記補強アングルの前記切り欠きから取り外すことができるように構成されていることを特徴とする、請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷蔵庫は、さらに前記冷蔵庫本体の背面を少なくとも部分的に覆うように構成された裏板を有し、前記補強アングルはそれぞれ、背面にアングル孔を有し、前記底板を介することなく、前記裏板に設けられた裏板孔と前記アングル孔とをねじによって締結することで、前記裏板を前記補強アングルに固定するように構成されていることを特徴とする、請求項
1または請求項
2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に冷蔵庫の冷蔵庫本体の背面下部に取り付けられる補強アングルに関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫本体の側面を構成する外壁は、その下部に補強用の補強アングルを備える。当該アングルは、冷蔵庫本体の下部に取りつける他の部品の固定部として利用され得る。例えば、特許文献1には、補強アングルと、底板とにねじを締結させて固定する冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、補強アングルへ他の部品を固定する際にねじを利用すると、ねじを締結する数が増え、組み立て工数が増加する。また、底板などの複数の部品を同一のねじによって締結すると、ねじ数を削減することができるが、ねじを通すための孔の位置を全部の部品で合わせる必要があるため、組み立て工数の増加につながる可能性がある。
【0005】
また、底板を固定すると、その後の組み付け工程にて十分な広さの作業空間を確保できず、作業が困難となり、時間がかかり、組み立て工数の増加につながる可能性がある。
【0006】
そこで、本開示に係る発明は、冷蔵庫の組み立て作業を容易にし、組み立て工数を低減した冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体の側壁を構成する左右の外壁パネルと、前記左右の外壁パネル間に配置されるように、各外壁パネルの後方かつ下部に取り付けられた左右の補強アングルと、を備える冷蔵庫であって、前記外壁パネルは、パネル折り返し部を備え、前記補強アングルは、折り返し部を備え、前記パネル折り返し部と前記折り返し部を係合させることにより、前記補強アングルを前記外壁パネルへと取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、外壁パネルと、補強アングルとをねじを用いずに取り付ける冷蔵庫を提供することができる。それによって、固定に使用するねじ数を削減し、組み立て工数を低減することができる。
【0009】
また、前記冷蔵庫は、さらに冷蔵庫本体の底部を少なくとも部分的に覆うように構成された底板を有し、前記補強アングルはそれぞれ、各補強アングルが対向する側に切り欠きを有し、前記底板は、各補強アングルの前記切り欠きの間に挟まれることで取り付けられるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、補強アングルと、底板とをねじを用いずに取り付けることができる。それによって、固定に使用するねじ数をさらに削減し、組み立て工数を低減することができる。
【0011】
また、前記底板は、前記補強アングルをそれぞれ、前記底板を取り付けた状態から左右外側へと離隔すると、前記補強アングルの前記切り欠きから取り外すことができるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、底板の組み付け後、当該底板と他の部品との隙間で作業をする際、当該隙間が狭く作業性が悪いときは、それぞれの補強アングルを左右方向外側へと離隔することで、一時的に底板を補強アングルの切り欠きから容易に外して、作業空間を広くすることができる。それにより、作業性を改善し、組み付け工数を低減することができる。
【0013】
また、前記冷蔵庫は、さらに冷蔵庫本体の背面を少なくとも部分的に覆うように構成された裏板を有し、前記補強アングルはそれぞれ、背面にアングル孔を有し、前記底板を介することなく、前記裏板に設けられた裏板孔と前記アングル孔とをねじによって締結することで、前記裏板を前記補強アングルに固定するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、底板の孔と裏板の孔とに同一のねじを通して補強アングルに固定する場合、底板の孔を合わせる必要がなくなる。それによって、各部品の孔を合わせる作業を軽減し、組み付け工数を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る発明によれば、冷蔵庫の組み立て作業を容易にし、組み立て工数を低減した冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る実施形態の冷蔵庫の背面を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る実施形態の補強アングルの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る実施形態の補強アングルに関する組み立てのフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明に係る実施形態の冷蔵庫の組み立ての一工程における背面の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る実施形態の冷蔵庫の組み立ての一工程における背面の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る実施形態の冷蔵庫の組み立ての一工程における背面の斜視図である。
【
図7】
図7は、従来使用されている補強アングルの一例の斜視図である。
【
図8】
図8は、従来使用されている補強アングルに関する組み立てのフローチャートである。
【
図9】
図9は、従来の補強アングルが使用されている冷蔵庫の組み立ての一工程における背面の斜視図である。
【
図10】
図10は、従来の補強アングルが使用されている冷蔵庫の組み立ての一工程における背面の斜視図である。
【
図11】
図11は、従来の補強アングルが使用されている冷蔵庫の組み立ての一工程における背面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照しつつ、本発明に係る実施形態の冷蔵庫1の概要を説明する。
図1は、本発明に係る冷蔵庫1の背面を表す斜視図である。冷蔵庫1は、冷蔵庫本体2、外壁パネル3、左右の補強アングル4A,4B、底板5、および裏板6を備える。また、冷蔵庫本体2は、図示しない前方側に、水平方向に回転可能に設けられた扉体、若しくは前方に引き出すことで開くことができる引出、またはその両方が設けられている。当該扉体または引出を開くことで内部に設けられた内箱7にアクセスすることができ、当該内箱7は、使用者が収容物を収容する収納室を構成する。
【0018】
外壁パネル3は、冷蔵庫本体2の左右にそれぞれ設けられ、冷蔵庫本体2の側壁を構成する。各外壁パネル3の内側には内箱7が配置されている。外壁パネル3と内箱7との間には、発泡断熱材が充填され、各収納室と外気とを断熱している。
【0019】
各補強アングル4A,4Bは、略L字状に形成された部品であり、外壁パネル3の下部かつ後方に設けられている。各補強アングル4A,4Bは、その下部に台脚(図示なし)が設けられ、地面に対して冷蔵庫1を支持するように構成されている。
【0020】
底板5は、内箱7の下側において内箱7の少なくとも一部を覆うように設けられている。また、底板5は、側面視で見ると、前部に比べて後部が上方に配置されるように形成されており、当該後部の後端と後述する裏板6の下端とが同等位置に配置されるように構成されている。底板5は、その後部で各補強アングル4A,4Bに取り付けられるように構成されている。
【0021】
裏板6は、冷蔵庫本体2の背面に設けられ、冷蔵庫本体2の後壁を構成する。外壁パネル3と同様、裏板6の内側(すなわち、裏板6の前方)には内箱7が配置されており、裏板6と内箱7との間には発泡断熱材が充填されている。
【0022】
図2は、冷蔵庫本体2の左側の外壁パネル3の下部に配置される補強アングル4Aの斜視図である。
図2に示すように、側面視で略L字状となるように形成されている。また、補強アングル4Aの後述する前後方向側面4eの部位における上下-左右平面での断面、および補強アングル4Aの後述する縦方向側面4fの部位における前後-左右平面での断面は、略L字状となるように形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、各断面が略コ字状となるように形成されてもよい。補強アングル4Bは、補強アングル4Aに対して左右方向で略対称となるように構成されているため、基本的に補強アングル4Aについてのみ説明する。
【0023】
補強アングル4Aは、折り返し部4aを有する。折り返し部4aは、外壁パネル3の後部と係合し、補強アングル4Aの前後方向の位置および左右方向の位置を定める。また、補強アングル4Aは、切り欠き4bを有する。切り欠き4bは、補強アングル4Bの切り欠き4bとともに左右方向に底板5を挟み、底板5と係合するように構成されている。
【0024】
さらに、各補強アングル4A,4Bは、アングル孔4cを備える。後述するように裏板6にも裏板孔6aが設けられており、ねじ8を各孔4c,6aへ通して締め付け、裏板6を各補強アングル4A,4Bへと固定できる。
【0025】
図3は、冷蔵庫本体2の各補強アングル4A,4Bに関する組み立てのフローチャートである。
図3に示すように、まず、各補強アングル4A,4Bをそれぞれ外壁パネル3に組み付ける(S1)。
図4(a)は、各補強アングル4A,4Bを組み付けた後の冷蔵庫本体2の背面の斜視図である。
図4(b)は、
図4(a)の円Aを示す部分拡大図である。
図4に示すように、補強アングル4Aは、折り返し部4aを外壁パネル3の後方に設けられたパネル折り返し部3aに引っかけて係合させることで、取り付けられる。
図4において、一点鎖線は、記載されている構成部品の一部(
図4では冷蔵庫本体2の上部)を省略しているときの、図示を省略した部分との境界部を表す。他の図においても同様である。
【0026】
次に、底板5を組み付ける(S2)。
図5(a)は、底板5を組み付けた後の冷蔵庫本体2の背面の斜視図である。
図5(b)は、
図5(a)の円Bを示す部分拡大図である。
図5に示すように、また、上述しているように、底板5は、補強アングル4Aと補強アングル4Bとの間に配置され、各補強アングル4A,4Bそれぞれに設けられた切り欠き4bへと左右方向外側に咬まされ、当該切り欠き4b間に挟まれて係合する。
【0027】
当該係合は、例えば、左右の外壁パネル3を一時的に左右方向外側へと広げ、それによりできた空間に、切り欠き4bに対応する位置へと底板5の後部を配置し、外側へ広げた外壁パネル3を正規の組み付け位置に配置するために内側へと戻すことで行うことができる。組み付け方法はこれに限定されるものではなく、例えば、底板5を正規の組み付け位置よりも前方に配置し、底板5の後部が各補強アングル4A,4Bの切り欠き4bへと挿入されるように、底板5を後方へと移動させることで組み付けることができるように構成されてもよい。切り欠き4bは、各補強アングル4A,4Bが面する側が切り欠かれた略コ字状となるように形成されている。
【0028】
また、切り欠き4bには、切り欠き4bの下部から前方へと延びるように屈曲して形成された突出部4baが設けられている。底板5は、当該突出部4baに載置される。このように突出部4ba上に底板5を配置することで、そのような形状を設けない場合に比べて安定して底板5を配置することができる。また、当該突出部4baを設けることで、切り欠き4bの寸法をより細かに調整することができ、切り欠き4bに配置された底板5を的確に保持することができる。したがって、底板5が各補強アングル4A,4Bの間に挟まれているときは、上下方向にずれることがないように構成されている。さらに、突出部4baの屈曲位置または形状を変更することで、底板5の形状を変更する必要が生じたとしても、切り欠き4bの上下方向の寸法を底板5の形状に応じて適切に容易に設計することができる。
【0029】
底板5を組み付けた後、ハーネス9等の処理を行う(S3)。当該処理は、例えば、内箱7の背部または下部等に配置されているハーネス9またはホース等を底板5を貫通させて、底板5の下部へと配置させる。この際、底板5は、各補強アングル4A,4Bに挟まれることで組み付けられており、ねじ等で締め付けられていないため、必要に応じて各補強アングル4A,4Bと底板5とを分離することができる。当該分離は、各補強アングル4A,4Bを左右方向外側に移動させることで行うことができ、作業に時間を要することなく容易に分離することができる。また、分離した各補強アングル4A,4Bの再度の取り付けは、底板5の上下方向の位置を切り欠き4bに合わせ、各補強アングル4A,4Bをそれぞれ左右方向内側へと移動させることで行うことができ、作業に時間を要することなく容易に取り付けることができる。そのため、例えばS3のプロセスを行う際、底板5と内箱7等との間の間隙が狭く、ハーネス9等の処理の作業性が悪い場合(例えば、作業しづらい場合、または作業に時間がかかる場合など)、底板5を各補強アングル4A,4Bから一時的に分離し、作業空間を大きくすることができる。それにより、ハーネス9等の処理の作業性を改善することができる。
【0030】
次に、裏板6を組み付ける(S4)。
図6(a)は、裏板6を組み付けた後の冷蔵庫本体2の背面の斜視図である。
図6(b)は、
図6(a)の円Cを示す部分拡大図である。裏板6は、その左下部と右下部それぞれに裏板孔6aを設けられている。上記したように各補強アングル4A,4Bにアングル孔4cを備えており、裏板孔6aを各アングル孔4cに合わせ、ねじ8を当該孔4c,6aに締め付け、裏板6を各補強アングル4A,4Bに固定する。
【0031】
以上が冷蔵庫本体2の各補強アングル4A,4Bに関する組み立てのフローチャートである。本実施形態に係る各補強アングル4A,4Bは、従来の補強アングルと比べて複数の利点を有する。
【0032】
以下、従来用いられていた補強アングル(以下、旧補強アングルと称する)の一例について説明する。旧補強アングルを設けられた冷蔵庫21は、本実施形態に係る冷蔵庫1と同様に、冷蔵庫本体22、外壁パネル23、左右の旧補強アングル24A,24B、底板25、および裏板26を備える。外壁パネル23は、冷蔵庫本体22の左右にそれぞれ設けられ、冷蔵庫本体22の側壁を構成する。各外壁パネル23の内側には内箱27が配置されている。外壁パネル23と内箱27との間には、発泡断熱材が充填され、各収納室と外気とを断熱している。
【0033】
底板25は、内箱27の下側において内箱27の少なくとも一部を覆うように設けられている。また、底板25は、側面視で見ると、前部に比べて後部が上方に配置されるように形成されており、当該後部の後端と後述する裏板26の下端とが同等位置に配置されるように構成されている。底板25は、その後部で各旧補強アングル24A,24Bに取り付けられるように構成されている。
【0034】
裏板26は、冷蔵庫本体22の背面に設けられ、冷蔵庫本体22の後壁を構成する。外壁パネル23と同様、裏板26の内側(すなわち、裏板26の前方)には内箱27が配置されており、裏板26と内箱27との間には発泡断熱材が充填されている。
【0035】
図7は、冷蔵庫本体22の左側の外壁パネル23の下部に配置される旧補強アングル24Aの斜視図である。
図7に示すように、補強アングル4Aと同様、側面視で略L字状となるように形成されている。また、その断面は略L字状となるように形成されている。旧補強アングル24Bは、旧補強アングル24Aに対して左右方向で略対称となるように構成されている。
【0036】
図7に示すように旧補強アングル24Aは、補強アングル4Aの折り返し部4aに対応する部位を有しておらず、代わりに第1アングル孔24aを有する。補強アングル4Aは、外壁パネル3に対して組み付ける際、折り返し部4aを外壁パネル3のパネル折り返し部3aに係合させていた。しかし、旧補強アングル24Aは、旧補強アングル24Aの第1アングル孔24aと外壁パネル23のパネル孔23aとに第1ねじ28aを通し、旧補強アングル24Aと外壁パネル23を締結することで固定する形状となっている。
【0037】
また、旧補強アングル24Aは、補強アングル4Aと同じく切り欠き24bを有するが、補強アングル4Aの切り欠き4bに比べて左右方向に大きく切り欠かかれている。さらに、旧補強アングル24A,24Bは、第2アングル孔24cを備える。後述するように底板25には底板孔25aが、裏板26には裏板孔26aが設けられており、第2ねじ28bを各孔24c,25a,26aへ通して締め付け、底板25および裏板26を旧補強アングル24A,24Bへと固定できる。また、当該切り欠き24bの上方に、後述する底板25の突出部25bを差し込むスリット24dを有する。
【0038】
さらに、補強アングル4Aの側面部分と旧補強アングル24Aの側面部分とで、異なる構造を有する形状に形成されている。旧補強アングル24Aの側面部分は、前後方向側面24eと縦方向側面24fとで構成されている。また、補強アングル4Aの側面部分も同様に、前後方向側面4eと縦方向側面4fとで構成されている。
図7から明らかなように旧補強アングル24Aは、前後方向側面24eが、縦方向側面24fより左右方向で内側に位置されるように形成されている。これに対して、補強アングル4Aの側面部分は、
図2から明らかなように、前後方向側面4eが、縦方向側面4fより左右方向で外側に位置されるように形成されている。
【0039】
それぞれの前後方向側面4e,24eと、外壁パネル3,23との間には、それらの間に間隙が生じないようにシーリング材が塗布される。旧補強アングル24Aの前後方向側面24eのように、縦方向側面24fよりも内側に位置していると、当該前後方向側面24eと外壁パネル23との間の間隙が大きくなり、シーリングするのが難しくなる。これに対して、本発明の実施形態に係る補強アングル4Aの前後方向側面4eは、縦方向側面4fよりも外側に位置している。したがって、旧補強アングル24Aに比べて、当該前後方向側面4eと外壁パネル3との間の間隙が小さく、シーリングが容易である。
【0040】
図8は、旧補強アングル24Aの組み付けに関する組み立てのフローチャートである。
図8に示すように、まず、左右の旧補強アングル24A,24Bをそれぞれ外壁パネル23に配置し(S21)、各旧補強アングル24A,24Bと外壁パネル23とを第1ねじ28aを用いて締結する(S22)。
図9(a)は、各旧補強アングル24A,24Bを組み付けた後の冷蔵庫本体22の背面の斜視図である。
図9(b)は、
図9(a)の円Dを示す部分拡大図である。
図9に示すように、旧補強アングル24Aは、外壁パネル23の下部かつ後方に取り付けられる。旧補強アングル24Aは、第1ねじ28aを第1アングル孔24aに通して締結することで、外壁パネル23とともに固定される。外壁パネル23は、対応する位置にパネル孔が設けられている。
【0041】
次に、底板25を組み付ける(S23)。
図10(a)は、底板25を組み付けた後の冷蔵庫本体22の背面の斜視図である。
図10(b)は、
図10(a)の円Eを示す部分拡大図である。底板25は、第2アングル孔24cとともに締結するための底板孔25a、および上述のスリット24dに挿入することができる突出部25bを備える。
図10に示すように、底板25は、左右の外壁パネル23に取り付けられた各旧補強アングル24A,24B間に配置される。そして、各旧補強アングル24A,24Bそれぞれに設けられた切り欠き24bに挿入され、突出部25bをスリット24dに差し込まれて係合する。底板25の底板孔25aは、突出部25bをスリット24dに差し込むことで、第2アングル孔24cに対応する位置へ配置されるように構成されている。
【0042】
底板を組み付けた後、ハーネス29等の処理を行う(S24)。この際、底板25は、左右の各突出部25bが各旧補強アングル24A,24Bの各スリット24dに差し込まれているため、底板5とは異なり、各旧補強アングル24A,24Bに実質的に固定されている。したがって、例えばS24のプロセスを行う際、底板25と内箱27の間の間隙が狭い場合、当該間隙の状態で、ハーネス29等の処理を行う必要がある。
【0043】
次に、裏板26を組み付ける(S25)。
図11(a)は、裏板26を組み付けた後の冷蔵庫本体2の背面下部を示す。
図11(b)は、
図11(a)の円Fを示す部分拡大図である。裏板26は、その左下部および右下部に裏板孔26aを設けられている。上記したように各旧補強アングル24A,24Bは第2アングル孔24cを備えており、裏板孔26aを各第2アングル孔24cおよび各底板孔25aに合わせ、第2ねじ28bを当該孔24c,25a,26aに通して締め付け、裏板26を底板25とともに各旧補強アングル24A,24Bに固定する。
【0044】
このように各旧補強アングル24A,24Bを用いた冷蔵庫本体2の背面下部は、底板25の底板孔25aと裏板26の裏板孔26aとを同一の第2アングル孔24cに合わせ、単一のねじで各孔を締結していた。これにより、底板孔と、裏板孔とを別のねじを用いて補強アングルに締結する場合に比べて、ねじを左右1回ずつ締結することで固定できるが、3つの孔の位置を合わせる必要があり作業時間の増加につながっていた。
【0045】
しかし、本発明の実施形態に係る各補強アングル4A,4Bを用いた冷蔵庫本体2の背面下部は、底板5をねじで締結せず、各補強アングル4A,4Bの各切り欠き4bで左右方向に挟み込むことで固定する構造となっているため、アングル孔4cと裏板孔6aのみをねじで締結する。したがって、各孔を容易に合わせることができ、作業時間を低減することができる。
【0046】
また、各旧補強アングル24A,24Bと外壁パネル23との組み付けには、第1ねじ28aを用いて締結していたが、本発明の実施形態に係る各補強アングル4A,4Bを用いると、各補強アングル4A,4Bの折り返し部4aを外壁パネル3のパネル折り返し部3aに係合させることで、取り付けることができる。したがって、ねじの締結を削減することができ、部品コストを低減し、また、組み付け工数を低減することができる。
【0047】
また、旧補強アングル24Aに設けられている切り欠き24bは、
図7からも明らかなように、旧補強アングル24Aの後端の面を左右方向のほぼ全幅にわたって切り欠かれている。しかし、本発明の実施形態に係る補強アングル4Aの切り欠き4bは、補強アングル4Aの後端の面を左右方向の概ね半分程度の切り欠きで底板5を保持するように構成されている。したがって、例えば冷蔵庫に落下による衝撃が加わった際、補強アングル4Aは、旧補強アングル24Aに比べて、座屈が発生しづらい形状とすることができる。
【0048】
本発明は、例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本開示に係る発明によれば、冷蔵庫の組み立て作業を容易にし、組み立て工数を低減した冷蔵庫を提供することができるため、この種の冷蔵庫の産業分野において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 冷蔵庫
2 冷蔵庫本体
3 外壁パネル
3a パネル折り返し部
4A,4B 補強アングル
4a 折り返し部
4b 切り欠き
5 底板
6 裏板