IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘリアテク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7578295フロピロール又はチエノピロール基を有する化合物、前記種類の化合物を有する光電子部品、及び、光電子部品における前記種類の化合物の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】フロピロール又はチエノピロール基を有する化合物、前記種類の化合物を有する光電子部品、及び、光電子部品における前記種類の化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20241029BHJP
   H10K 30/30 20230101ALI20241029BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20241029BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/30
H10K85/60
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021572899
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 DE2020100826
(87)【国際公開番号】W WO2021058065
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】102019125715.8
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512286163
【氏名又は名称】ヘリアテク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HELIATEK GMBH
【住所又は居所原語表記】Treidlerstrasse 3, 01139 Dresden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデルナッハ, ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルデス, オルガ
(72)【発明者】
【氏名】マッテルスタイグ, グンター
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス, イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ミルループ, アントワーヌ
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503076(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 10/00-99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物
【化34】
であって、
QはO又はSであり;
R1は、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
X1及びX2は、互いに独立して、N又はC-R4であり;ここで
R4は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
A1は、式Ia
【化35】
(式中、*は、前記一般式Iの化合物に対する結合点を示し;
Z1は、O、S、Se及びN-R5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
Y1はN又はC-R6であり、ここで、R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y2はN又はC-R7であり、ここで、R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、単素環式、又は、複素環式に環構造の形態で互いに結合していてもよく;
R2は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよい)
を有する基であり、
A2は、式Ib
【化36】
(式中、*は、前記一般式Iの化合物に対する結合点を示し;
Z2は、O、S、Se及びN-R8からなる群から選択され、ここで、R8は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
Y3はN又はC-R9であり、ここで、R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y4はN又はC-R10であり、ここで、R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;及び、ここで、R9及びR10は、単素環式、又は、複素環式に環構造の形態で互いに結合していてもよく;並びに
R3は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい)
を有する基であることを特徴とする、化合物。
【請求項2】
QはSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1は、エチル、プロピル、ブチル、分岐アルキル及びアリールからなる群から選択され;並びに
ここで、Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R1は、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、イソペンチル、t-ブチル及びフェニルからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Z2はOである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物は、一般式IIの化合物
【化37】
(式中、nは0、1又は2であり、及び、mは、0、1又は2であり;
QはO又はSであり;
Z3及びZ4は、各々互いに独立して、O、S、Se及びN-R11からなる群から選択され、ここで、R11は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;
R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく、
Y5はN又はC-R14であり、ここで、R14は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y6はN又はC-R15であり、ここで、R15は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y7はN又はC-R16であり、ここで、R16は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y8はN又はC-R17であり、ここで、R17は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに
ここで、R14及びR15、及び/又は、R16及びR17はそれぞれ、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい)
であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Z3及びZ4は、互いに独立して、O又はSである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
A1は、式IIa
【化38】
(式中、R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい)
を有する基であり、並びに、A2は、式IIb
【化39】
(式中、R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい)
を有する基であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物は、一般式III、IV又はVの化合物
【化40】
(式中、QはO又はSであり;
Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSであり;
R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;
R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;
R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;並びに
R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい)
であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R2及びR3、又は、R12及びR13は各々、互いに独立して
【化41】
(式中、nは、1、2又は3であり、ここで、*は基R2、R3、R12及び/又はR13の結合点を示し;
R16、R17及びR18は各々、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、COO-アルキル、アルキル及びアルケニルからなる群から選択されるが、ただし、R16及びR17は共にHではない)
であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R2及びR3、又は、R12及びR13は各々、互いに独立して:
【化42】
(式中、*は、基R2、R3、R12及び/又はR13の結合点を示し、ここで、CNはFによって置き換えられていてもよい)
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R6及びR7はHであり、R9及びR10はHであり、並びに、Z2はOであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Z1及びZ2はOである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物は:
【化43】
【化44】
【化45】
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
基A1は基A2と同じであることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
第1の電極(2)、第2の電極(6)及び層系(7)を備える光電子部品であって、前記層系は前記第1の電極(2)と前記第2の電極(6)との間に配置されており、前記層系(7)の少なくとも1つの層は、請求項1~15のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、光電子部品。
【請求項17】
前記光電子部品は、有機光電子部品であることを特徴とする、請求項16に記載の光電子部品。
【請求項18】
前記光電子部品は、有機系太陽電池、OFET、OLED又は有機光検出器である、請求項16に記載の光電子部品
【請求項19】
前記層系(7)は、少なくとも1つの光活性層(4)を有し、ここで、前記少なくとも1つの光活性層(4)は請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項20】
前記光活性層(4)は、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種のさらなる化合物との混合層として、又は、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物と、少なくとも2種のさらなる化合物との混合層として形成され、前記化合物は吸収材料であることを特徴とする、請求項19に記載の光電子部品。
【請求項21】
有機光電子部品における請求項1~15のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式Iの化合物、前記種類の化合物を含む光電子部品、及び、光電子部品における前記種類の化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマー又は有機小分子製の回路構成要素が、光電子部品に度々用いられる。光電子部品は例えば、ディスプレイ、データメモリ又はトランジスタであることが可能であるが、有機光電子部品、特に有機光活性部品(電磁波の入力によって、電荷キャリア、特に結合した電子-正孔対(励起子)が生成される光活性層を有する、例えば太陽電池及び光検出器)でもあることが可能である。
【0003】
有機光電子部品は、光電効果によって電磁波を電流に転換可能である。この種の電磁波の転換では、良好な吸収特性を示す吸収材料が必要とされる。さらなる光電子部品は、電流が流れると発光する発光エレクトロルミネセント部品である。光電子部品は、一方が基板に適用されると共に他方が対電極として機能する少なくとも2つの電極と、これらの電極間における少なくとも1つの層系であって、少なくとも1つの有機光活性層を有する層系とを備える。例えば電荷キャリア輸送層といったさらなる層を、これらの電極間に追加して配置することが可能である。
【0004】
従来技術から公知である有機系太陽電池の構造は、pin又はnip構造からなる(非特許文献1、及び、特許文献1)。pin太陽電池は、基板に続いて設けられる、主に透明電極、p-層、i-層、n-層及び対電極からなり、並びに、nip太陽電池は、基板に続いて設けられる、主に透明電極、n-層、i-層、p-層及び対電極からなる。
【0005】
有機系太陽電池に係る数多くの吸収材料が従来技術から公知である。
特許文献2には、有機化合物であって、可視光の短波スペクトル領域における高い吸収により特徴付けられる有機化合物が開示されている。有機電子部品のためのこの化合物の使用、及び、この化合物の調製方法もまた開示されている。
特許文献3には、有機半導体材料、及び、この有機材料が有機電子部品における機能性要素とされることが可能であって、有機系太陽電池における向上した吸収をもたらし、又は、高い電荷キャリア易動性を示す、有機部品におけるその使用が開示されている。
【0006】
これらの従来技術において開示されている吸収材料は有機光起電力素子(すなわち、有機系太陽電池)における光活性層について好適であるが、これらの吸収材料の吸収特性は、特に、有機光起電力素子(OPV)を従来のケイ素-系太陽電池に対して競合力のあるものとするためには、改善が必要とされるものである。有機光起電力素子の効率は、とりわけ、少なくとも1つの光活性層における、有機化合物(すなわち、吸収材料)に係る吸収挙動に依存するものである。ここで、特にタンデム、トリプル又はマルチセルにおいては、異なる波長のフォトンを電力の生成に利用することが可能となるために、異なる波長範囲で吸収を示す複数の吸収材料により、高い全吸収、及び、電磁波の利用可能なスペクトルの広い領域における吸収があることが有利である。タンデム、トリプル又はマルチセルにおける個々のセルは、特に0.9~1.1Vの範囲内において、同じ大きさの開回路電圧を有しているべきである。
【0007】
従来技術に係る不利益は、特に可視光の青色/緑色の範囲における吸収材料の吸収特性にあり、0.9V~1.1Vの範囲内に開回路電圧Uocを有する太陽電池の構築には、高い吸収係数が特に必要とされる。500nm~600nmの範囲内の波長では、有機光起電力素子に好適とされる公知の有機化合物の吸収は不十分である。これは、個々のサブセルは同じ大きさの効率及び開回路電圧を示すものではなく、すなわち、1つのサブセルは他のサブセルよりも低い開回路電圧を供給するものであって、これは、1つのサブセルによる部品の効率に対する寄与が比較的小さいものでしかないことを意味するために、タンデム、トリプル及びマルチセルの構築において特に不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2011/161108A1号パンフレット
【文献】国際公開第2017/114937A1号パンフレット
【文献】国際公開第2017/114938A1号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【文献】Martin Pfeiffer,“Controlled doping of organic vacuum deposited dye layers:basics and applications”,Ph.D.thesis TU-Dresden,1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は従って、既述の不利益が存在せず、また、特に有機化合物が向上した吸収特性を示す、有機光電子部品において用いられる有機化合物と、少なくとも1種の前記種類の化合物を含む光電子部品と、光電子部品における前記種類の化合物の使用とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な構成は、従属請求項によるものである。
【0012】
上記の目的は、特に、一般式Iの化合物
【化1】
であって、ここで、
QはO又はSであり、好ましくはQはSであり;
R1は、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
X1及びX2は、互いに独立して、N又はC-R4であり;ここで
R4は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
A1は、式Ia
【化2】
(式中、*は、一般式Iの化合物に対する結合点を示し;
Z1は、O、S、Se及びN-R5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
Y1はN又はC-R6であり、ここで、R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y2はN又はC-R7であり、ここで、R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、単素環式、又は、複素環式に環構造の形態で互いに結合していてもよく;
R2は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよい)
を有する基であり、A2は、式Ib
【化3】
(式中、*は、一般式Iの化合物に対する結合点を示し;
Z2は、O、S、Se及びN-R8からなる群から選択され、ここで、R8は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
Y3はN又はC-R9であり、ここで、R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y4はN又はC-R10であり、ここで、R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;及び、ここで、R9及びR10は、単素環式、又は、複素環式に環構造の形態で互いに結合していてもよく;並びに
R3は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい)
を有する基であることを特徴とするものを提供することにより達成される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、QはSである。
【0014】
本発明は特に、中央フロピロール部分又は中央チエノピロール部分を有する一般式Iの化合物のA-D-A染料に関する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、X1及びX2はHである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、フラン又はフラン誘導体である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、チオフェン又はチオフェン誘導体である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、ピロール又はピロール誘導体である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、チアゾール又はチアゾール誘導体である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、チアジアゾール又はチアジアゾール誘導体である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、オキサゾール又はオキサゾール誘導体である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、イミダゾール又はイミダゾール誘導体である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、トリアゾール又はトリアゾール誘導体である。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、式Iaを有する基、及び/又は、式Ibを有する基は、オキサジアゾール又はオキサジアゾール誘導体である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、基A1、A2、A3又はA4の少なくとも2つは、フラン、チオフェン、ピロール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、イミダゾール、トリアゾール若しくはオキサジアゾール、又は、これらの誘導体である。
【0026】
本発明の文脈において、誘導体は、特に、元の化合物を基準として個々の原子又は基が変性又は置換されている基本構造又はラジカルから誘導された化合物を意味すると理解される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、フラン及び/又はチオフェン基、特にフラン基は、フロピロール部分又はチエノピロール部分に、特にチエノピロール部分に、及び、フロピロール部分又はチエノピロール部分のピロールのNにおける立体的にかさ高い基、特にイソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、イソペンチル又はフェニルに配置される。これにより、吸収材料の特性が特定の点で改善される。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、中央フロピロール部分又は中央チエノピロール部分、特にチエノピロール部分のピロール環は、さらなる縮合芳香族系を有さない。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、R5及びR6はHである。
【0030】
本発明の代替的な好ましい実施形態において、一般式Iの化合物は、それぞれR5及びR6が、及び/又は、R9及びR10が一緒になって形成する単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を含み、ここで、5員環若しくは6員環は、さらなる位置で置換されていてもよい。
【0031】
吸収材料(すなわち吸収体)は、特に、400nmを超える波長範囲における光を吸収する化合物を意味すると理解される。吸収体層は従って、特に、少なくとも1種の吸収材料を含む光電子部品中の層を意味すると理解される。
【0032】
吸収スペクトルにおける急勾配の曲線、特に吸収スペクトルの深色領域における急勾配の曲線は、特に吸収スペクトルの変曲点での傾斜角を指すと理解される。吸収スペクトルにおける曲線の傾斜角は、吸収の開始と吸収の第1の境界部との間で生じる変曲点での接線の勾配を介して測定される(Wang et al.,“Optical Gaps of Organic Solar Cells as a Reference for Comparing Voltage Losses”,Adv.Energy Mater.,2018,1801352)(図7を参照のこと)。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、吸収スペクトルにおいて、少なくとも5.6、好ましくは少なくとも5.8、好ましくは少なくとも6、好ましくは少なくとも6.5、好ましくは少なくとも7、好ましくは少なくとも7.5、又は、好ましくは少なくとも8の傾斜角を示す。
【0034】
置換は、特に、置換基によるHの置き換えを意味すると理解される。置換基は、特に、Hを除くすべての原子及び原子群であって、好ましくはハロゲン、アルキル基(アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であることが可能である)、アミノ基、CN基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を意味すると理解される。ハロゲンは、特にF、Cl又はBr、好ましくはFを意味すると理解される。
【0035】
ヘテロ原子、特にヘテロ原子は、特にO、S、Se、Si、B、N又はPからなる群から選択される原子、好ましくはO、S、Se又はNから、特に好ましくはO又はSからなる群から選択される原子を意味すると理解される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、アルキル基中の炭素原子はいずれもヘテロ原子によって置換されていない。
【0037】
本発明の化合物は、特に、いわゆる小分子に関連する。小分子は、特に、標準圧力(周囲雰囲気の気圧)及び室温での固体相中に存在する100~2000g/molの単分散モル質量を有する非高分子有機分子を意味すると理解される。特に、小分子は光活性であり、光活性とは、光が供給された際に、これらの分子が、電荷状態及び/又は偏光状態を変化させることを意味すると理解される。光活性分子は、特に定義された波長範囲内における電磁波の吸収を示し、ここで、吸収された電磁波(すなわちフォトン)が励起子に転換される。
【0038】
本発明の化合物は、少なくとも定義された波長範囲内において特に高い吸収係数を示す。本発明の化合物は、特にヘテロ接合を有する供与体-受容体系において用いられる。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、Y1、Y2、Y3及びY4は各々、互いに独立して、N、CH、CF、C-CH、C-CF、C-C、C-C、C-OCH、C-OC、C-SCH、C-SCからなる群から選択される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の化合物の環式又は直鎖アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であり、これらのアルキル基は、好ましくは、直鎖C1~C5アルキル基である。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、位置Y1、Y2、Y3及びY4の少なくとも1つはNであり、好ましくは、位置Y1及びY2の少なくとも一方はNであり、並びに、位置Y3及びY4の少なくとも一方はNである。本発明の特に好ましい実施形態において、位置Y1、Y2、Y3及びY4は、各事例において、Nである。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、位置Y1、Y2、Y3及びY4は、各事例において、CHである。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、一般式Iの化合物は、式Iaにおける位置Z1でOを、及び、式Ibにおける位置Z2でOを有する。吸収特性は、特に、従って、これらの位置で異なる原子を有する比較可能な化合物よりもさらに好ましい。
【0044】
本発明の化合物は、従来技術と比して利点を有する。有利には、本発明の化合物は、可視光の比較的広いスペクトル領域において意外な程に良好な吸収挙動を有し、特に、意外な程に高い吸収は、約500nm~600nmのスペクトル領域において観察された。有利には、可視光の青色/緑色領域の波長範囲において向上した吸収を有する吸収材料が提供されている。有利には、本発明の化合物は、深色領域において特に急勾配の吸収曲線を示す。有利には、本発明の化合物は、光活性有機電子部品の製造及び操作において典型的に課される要求を満たすために十分な熱安定性、化学安定性、及び、電子化学安定性を有するものであり、特に、これらの化合物は、減圧下において容易に気化させることが可能である。本発明の化合物は、有利には、0.9~1.1Vの範囲内、特に0.95V~1.05Vの範囲内に開回路電圧Uocを有する太陽電池の構築を可能とする。
【0045】
本発明の一発展例において、
R1は、エチル、プロピル、ブチル、分岐アルキル及びアリールからなる群から選択され、好ましくは、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、イソペンチル、t-ブチル及びフェニルからなる群から選択され;並びに、ここで、Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSである。
【0046】
特に好ましい実施形態において、Z2はOである。これにより、特定の点で本発明の有利な効果が実現される。
【0047】
本発明の一発展例において、化合物は、一般式IIの化合物
【化4】
(式中、nは0、1又は2であり、及び、mは、0、1又は2であり;
QはO又はSであり、好ましくはQはSであり;
Z3及びZ4は、各々互いに独立して、O、S、Se及びN-R11からなる群から選択され、ここで、R11は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;
R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;
Y5はN又はC-R14であり、ここで、R14は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく、及び、ここで、Y5は、好ましくは、N、CH又はCFであり;
Y6はN又はC-R15であり、ここで、R15は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく、及び、ここで、Y6は、好ましくは、N、CH又はCFであり;
Y7はN又はC-R16であり、ここで、R16は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく、及び、ここで、Y7は、好ましくは、N、CH又はCFであり;
Y8はN又はC-R17であり、ここで、R17は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく、及び、ここで、Y8は、好ましくは、N、CH又はCFであり;並びに
ここで、R14及びR15、及び/又は、R16及びR17はそれぞれ、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい)
である。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、Z3及びZ4は、互いに独立して、O又はSである。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、一般式IIの化合物は、位置Z1にO、及び、位置Z2にO、及び、位置Z3にO、及び/又は、位置Z4にOを有する。
【0050】
本発明の一発展例において、A1は、式IIa
【化5】
(式中、R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい)
を有する基であり、並びに、A2は、式IIb
【化6】
(式中、R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい)
を有する基である。
【0051】
本発明の特に好ましい実施形態において、化合物は、一般式XIXの化合物
【化7】
であって、
A1は、式Ia
【化8】
(式中、*は、一般式Iの化合物に対する結合点を示し;
Z1は、O、S、Se及びN-R5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
Y1はN又はC-R6であり、ここで、R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
Y2はN又はC-R7であり、ここで、R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、単素環式、又は、複素環式に環構造の形態で互いに結合していてもよく;
R2は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい)
を有する基であることを特徴とする。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、一般式XIXの化合物の位置Y1及びY2は、各事例においてCHである。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、一般式XIXの化合物は、式Iaにおける位置Z1にOを有する。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、一般式XIXの化合物の位置Y1又はY2の少なくとも一方はNであり、好ましくは、位置Y1及びY2はNである。
【0055】
本発明の一発展例において、化合物は、一般式III、IV及び/又はVの化合物
【化9】
(式中、QはO又はSであり、好ましくはQはSであり;
Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSであり、好ましくはZ2はOであり;
R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;
R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;
R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;並びに
R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい)
である。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、化合物は、一般式
【化10】
【化11】
(式中、QはO又はSであり、好ましくはQはSであり;
Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSであり、好ましくはZ2はOであり;
R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;
R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;
R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;並びに
R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい)
から選択される化合物である。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、化合物は、一般式VII及びVIIIの化合物
【化12】
(式中、Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSであり、
R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;並びに
R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい)
である。
【0058】
本発明の一発展例において、R2及びR3、又は、R12及びR13は各々、互いに独立して
【化13】
(式中、nは、1、2又は3であり、ここで、*は基R2、R3、R12及び/又はR13の結合点を示し;
R16、R17及びR18は各々、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、COO-アルキル、アルキル及びアルケニルからなる群から選択されるが、ただし、R16及びR17は共にHではなく、R16及びR17は、好ましくはCNである)である。これにより、特定の点で本発明の有利な効果が実現される。
【0059】
本発明の好ましい実施形態において、R2及び/又はR3、又は、R12及び/又はR13は、各々互いに独立して
【化14】
(式中、mは、0、1又は2であり、及び、lは、0、1又は2であり;ここで、*は基R2、R3、R12及び/又はR13の結合点を示し;R21、R22、R23、R24、R25及びR26は各々、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、COO-アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ただし、R21及びR22は共にHではなく、R21及びR22は、好ましくはCNである)である。基R2及び/若しくはR3、又は、R12及び/若しくはR13における特に良好な受容体効果は、好ましくは、多数のCN基で達成可能である。
【0060】
本発明の一発展例において、R2及びR3、又は、R12及びR13は各々、互いに独立して:
【化15】
(式中、*は、基R2、R3、R12及び/又はR13の結合点を示し、ここで、CNはFによって置き換えられていても良く、並びに、ここで、R2及びR3、又は、R12及びR13は、好ましくは、同一である)
からなる群から選択される。
【0061】
本発明の一発展例において、R6及びR7はHであり、R9及びR10はHであり、並びに、Z2はOであり;ここで、Z1及びZ2は、好ましくはOである。これにより、特定の点で本発明の有利な効果が実現される。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、R4はHであり、R6及びR7はHであり、及び/又は、R9及びR10はHであり、並びに、Z1及びZ2はOである。
【0063】
本発明の一発展例において、化合物は:
【化16】
【化17】
【化18】
からなる群から選択される。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、R2及び/若しくはR3、又は、R12及び/若しくはR13は、少なくとも2つのC=C二重結合を有する。
【0065】
本発明の一発展例において、基A1は基A2と同じである。
【0066】
本発明の特に好ましい実施形態において、化合物は、化合物F3
【化19】
である。この化合物において、有利な吸収特性は特に高いレベルで実現される。
【0067】
本発明の特に好ましい実施形態において、化合物は化合物F6
【化20】
である。この化合物において、有利な吸収特性は特に高いレベルで実現される。
【0068】
本発明の特に好ましい実施形態において、化合物は化合物F12
【化21】
である。この化合物において、有利な吸収特性は特に高いレベルで実現される。
【0069】
有機シングル又はタンデムセルは従来技術から公知である。独国特許出願公開第102004014046A1号明細書には、光活性部品、特に、交互に積層された1つ以上のpi、ni及び/又はpinダイオード有機層からなる太陽電池が開示されている。国際公開第2011161108A1号パンフレットには、電極及び対電極を有する光活性部品が開示されており、ここでは、少なくとも1つの有機層系がこれらの電極間に配置されており、少なくとも2つの光活性層系を有し、及び、これらの光活性層系間に、少なくとも2つの同一の電荷キャリアタイプの異なる輸送層系を有する。輸送層系の一方はエネルギー的に2つの光活性層系の一方と適合すると共に、他方の輸送層系は透明である。
【0070】
本発明の目的はまた、少なくとも1種の本発明の化合物であって、特に上記の例示的実施形態の一つに係るものを含む光電子部品を提供することにより達成されている。この光電子部品ついては、特に、本発明の化合物と関連して既に明らかにされている利点がもたらされる。本光電子部品は第1の電極、第2の電極、及び、層系を備え、層系は、第1の電極と第2の電極との間に配置されており、層系の少なくとも1つの層が少なくとも1種の本発明の化合物を含むことを特徴とする。
【0071】
有機光電子部品は、特に有機導電材料又は半導体材料を含む部品であって、特にトランジスタ、有機発光部品、有機光起電力素子(OPV)、特に有機系太陽電池又は光検出器を意味すると理解される。少なくとも1種の本発明の化合物を含む有機光起電力電池では、可視光スペクトルの特に効率的な利用が可能である。
【0072】
有機光起電力素子(OPV)は、特に光起電力素子、特に、少なくとも1つの有機光活性層であって、少なくとも1種の本発明の化合物を含む有機光活性層を有する太陽電池を意味すると理解される。有機光起電力素子は、光電効果を利用することにより、特に可視光波長範囲内における電磁波の電流への転換が可能である。
【0073】
本発明の一発展例において、光電子部品は、有機光電子部品、好ましくは有機系太陽電池、OFET、OLED又は有機光検出器である。
【0074】
本発明の一発展例において、層系は、少なくとも1つの光活性層、好ましくは吸収体層を有し、ここで、少なくとも1つの光活性層は少なくとも1種の本発明の化合物を含む。
【0075】
有機電子部品は、特に電極及び対電極を備え、この電極間に有機光活性層が配置されている。有機光活性層は、特に、励起子(電子-正孔対)が、可視光、UV放射線及び/又はIR放射線の照射によって形成される光活性層である。有機材料は、印刷され、貼付され、コーティングされ、蒸着され、又は、そうでなければ、他の方法で、箔上に、薄膜又は小体積の形態で適用される。ガラス、セラミック又は半導体基板において電子機器にも用いられるすべてのプロセスを、薄層の製造に同様に用いることが可能である。有機光活性層は、光電子部品に重要な機能、特に、正孔の輸送(p型伝導性)又は電子の輸送(n型伝導性)などの電荷キャリア輸送機能を有する。
【0076】
本発明の一発展例において、層系は、少なくとも2つの光活性層、好ましくは少なくとも3つの光活性層、又は、好ましくは少なくとも4つの光活性層を有し、光活性層は、好ましくは吸収体層である。本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つの光活性層は、第1の電極と第2の電極との間に配置される。
【0077】
本発明の好ましい実施形態において、有機系太陽電池は、少なくとも1種の有機受容体材料と接触している少なくとも1種の有機供与体材料を含む光活性層を有し、供与体材料及び受容体材料は供与体-受容体ヘテロ接合、特に、いわゆるバルクヘテロ接合(BHJ)を形成するものであり、ここで、光活性層は、少なくとも1種の本発明の化合物を含む。
【0078】
本発明の好ましい実施形態において、光電子部品は、少なくとも1つのさらなる層、好ましくは少なくとも1つの電荷輸送層、特に電子輸送層及び/又は正孔輸送層を含む。
【0079】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つの電荷輸送層、特に少なくとも1つの電子輸送層及び/又は少なくとも1つの正孔輸送層は、少なくとも1種の本発明の化合物を含む。
【0080】
本発明の好ましい実施形態において、光電子部品は基板を備え、第1の電極又は第2の電極が基板上に設けられ、特に、光電子部品の電極の一方を基板に直接的適用することが可能であり、層系は第1の電極と第2の電極との間に配置される。
【0081】
本発明の好ましい実施形態において、有機系太陽電池は、シングル、タンデム、トリプル、クアドラプル、又は、他のマルチセルである。
【0082】
タンデムセルは、特に、2種の機能性セルが、好ましくは第1の電極と第2の電極との間において、空間的に交互に重ねられて直列に接続されていることを意味すると理解され、ここで、1つ以上の中間層がこれらのセル間に配置されていてもよい。従って、トリプル、クアドラプル又は他のマルチセルは、3種以上の機能性セルが空間的に相互に重ねられて直列に接続されていることを意味すると理解され、ここで、中間層がこれらのセル間に配置されていてもよい。
【0083】
本発明の一発展例において、光活性層は、少なくとも1種の本発明の化合物と少なくとも1種のさらなる化合物との混合層として、又は、少なくとも1種の本発明の化合物と少なくとも2種のさらなる化合物との混合層として形成され、化合物は吸収材料である。
【0084】
本発明の好ましい実施形態において、光電子部品は、nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn若しくはpipnセルとして形成され、又は、nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn若しくはpipnセルの組み合わせとして形成される。
【0085】
本発明の特に好ましい実施形態において、光電子部品は、mipセルとして形成され、又は、mipセルと、nip、ni、ip、pnip、pni、pip、nipn、nin、ipn、pnipn若しくはpipnセルとの組み合わせとして形成される。
【0086】
i-層は、特に真性アンドープ層を意味すると理解される。ここでは、1つ以上のi-層は、1種の材料(平面ヘテロ接合、PHJ)、又は、そうでなければ、相互貫入ネットワークを含む2種以上の材料の混合物(バルクヘテロ接合、BHJ)から構成され得る。
【0087】
好ましい実施形態において、本発明の化合物、及び/又は、少なくとも1種の本発明の化合物を含む層は、真空処理、気相成長又は溶剤処理により、特に好ましくは真空処理により付着させることが可能である。
【0088】
本発明の目的はまた、特に上記の例示的実施形態の一つに従って、光電子部品、好ましくは有機光電子部品における本発明の化合物の使用を提供することにより達成される。光電子部品における本発明の化合物の使用により、特に、本発明の化合物及び少なくとも1種の本発明の化合物を含む光電子部品と関連して既に明らかにされている利点がもたらされる。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、光電子部品は、有機光電子部品、好ましくは有機系太陽電池である。
【0090】
本発明の化合物及び本発明のものではない化合物(F1及びF2)のいくつかの例示的実施形態を、それぞれの光学特性と共に以下に示す。表1は、これらの化合物の融点及び吸収極大(溶剤(SO)中におけるnm及びeV)の概略を示す。スペクトルデータは、石英ガラス上における30nmの厚さを有する真空蒸着層に関するものである。表1に列挙されている化合物F3及びF12の関連する吸収スペクトルを図3及び4に示し、並びに、比較化合物F1との比較を図5に示す。
【0091】
【表1-1】
【0092】
【表1-2】
【0093】
【表1-3】
【0094】
光学特性を実験的に測定した。吸収極大λ最大は、測光器を用いてキュベット中におけるジクロロメタン中の希釈溶液で測定した。記載されているすべての化合物の計測した吸収極大は、534~597nmの範囲内であった。
【0095】
表2は、本発明の化合物F3、F6及びF12、並びに、比較化合物F1の種々のパラメータを示す。開回路電圧Uoc、短絡電流Jsc及び曲線因子FFのパラメータは、各事例において、太陽電池の同一の構造に関連する。
【0096】
化合物(すなわち、有機光電子部品における吸収材料としてのその使用)を調べるために、電流-電圧曲線を以下の構造を有するBHJセルにおいて計測した:ITO膜付ガラス/C60(15nm)/吸収材料:C60(30nm、3:2、50℃)/BPAPF(10nm)/BPAPF:NDP9(30nm、10重量%NDP9)/NDP9(1nm)/Al(100nm)、AM1.5照射下(AM=エアマス;AM=1.5、このスペクトルにおいて、全放射パワーは1000W/m;ソーラーモジュールの計測に係る標準値としてAM=1.5)、光活性層はバルクヘテロ接合(BHJ)である。ITO(インジウム錫酸化物)製の透明カバー端子がガラス基板に適用されている。ここで、ITOは電極とされ、及び、隣接するフラーレンC60は電子輸送層(ETL)とされ、電子受容体材料及びそれぞれ化合物としての光活性C60層がこれに隣接し、これに、正孔輸送層(HTL)としてのBPAPF(9,9-ビス[4-(N,N-ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)フェニル]-9H-フルオレン)、並びに、NDP9(Novaled AG)がドープされたBPAPFが続き、これに、アルミニウム製の電極が続く。
【0097】
中央チエノピロール部分又は中央フロピロール部分ピロールにおけるフラン基又はチオフェン基(特にフラン基)と相互作用する、中央チエノピロール部分又は中央フロピロール部分(特に中央チエノピロール部分)を有し、並びに、中央チエノピロール部分又は中央フロピロール部分のピロールのNにおける立体的にかさ高い基を有する、本発明の化合物の有利な技術的効果を、比較化合物F1と比較して、化合物F3、F6及びF12を参照して、表2において以下に一例として例示する。化合物F3及びF12に係る実験データを図3及び4に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
本発明の化合物の特に有利な特性が、同等の太陽電池構造において、開回路電圧Uoc、短絡電流Jsc及び曲線因子FFといったパラメータにおいても実証されている。本発明の化合物は、向上した吸収特性を有するのみならず、好適な電荷-輸送特性をも有する。電荷-輸送特性及び吸収特性に応じて、良好な曲線因子を有する高い光電流を達成することが可能である。これにより、特に、タンデム、トリプル、クアドラプル又はマルチ太陽電池のために、光活性層の特に良好な組み合わせを製造可能となる
【0100】
特に好ましい実施形態において、本発明の化合物は、中央チエノピロール部分のピロールにフラン環を有する中央チエノピロール部分を、中央チエノピロール部分のピロール環のNにおける立体的にかさ高い基と一緒に有するものであり;化合物F3及びF6が表2に一例として示されている。
【0101】
図面を参照することにより、本明細書中以下において、本発明をより詳細に明らかにする。図は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1図1は、本発明の化合物を合成するための合成スキームの例示的実施形態を示す。
図2図2は、光電子部品の例示的実施形態の概略図を断面で示す。
図3図3は、有機系太陽電池の形態の有機光電子部品において計測した、化合物F3の吸収スペクトル、電流-電圧曲線、スペクトル外部量子収量、及び、化合物F3を含むBHJセルの曲線因子のグラフ表示を示す。
図4図4は、有機系太陽電池の形態の有機光電子部品において計測した、化合物F12の吸収スペクトル、電流-電圧曲線、スペクトル外部量子収量、及び、化合物F12を含むBHJセルの曲線因子のグラフ表示を示す。
図5図5は、有機系太陽電池の形態の有機光電子部品において計測した、比較化合物F1の吸収スペクトル、電流-電圧曲線、スペクトル外部量子収量、及び、比較化合物F1を含むBHJセルの曲線因子のグラフ表示を示す。
図6図6は、化合物F3の吸収スペクトルと比較化合物F1との比較に係るグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
例示的実施形態
図1は、本発明の化合物を合成するための合成スキームの例示的実施形態を示す。
【0104】
本発明の化合物の調製は従来技術から当業者に公知である。本文脈においては、特に、国際公開第2017114937A1号パンフレット、及び、国際公開第2017114938A1号パンフレットが参照される。それ故、本発明の化合物は、単純な方法及び良好な収率で入手可能である。本発明の化合物を調製するための一般的な合成を一例として以下に示す。
【0105】
一般式I
【化22】
を有する本発明の化合物は、
QはO又はSであり、好ましくはQはSであり;
R1は、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;
X1及びX2は、互いに独立して、N又はC-R4であり;ここで
R4は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
A1は、式Ia
【化23】
を有する基であり、*は、一般式Iの化合物に対する結合点を示し;Z1は、O、S、Se及びN-R5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;Y1はN又はC-R6であり、ここで、R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;Y2はN又はC-R7であり、ここで、R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、単素環式、又は、複素環式に環構造の形態で互いに結合していてもよく;R2は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;A2は、式Ib
【化24】
を有する基であり、ここで、*は、一般式Iの化合物に対する結合点を示し;Z2は、O、S、Se及びN-R8からなる群から選択され、ここで、R8は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;Y3はN又はC-R9であり、ここで、R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;Y4はN又はC-R10であり、ここで、R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、単素環式、又は、複素環式に環構造の形態で互いに結合していてもよく;R3は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい
ことを特徴とする。
【0106】
特に深色領域において急勾配の吸収が存在する場合、きわめて良好な電荷-輸送特性と併せて、向上した吸収特性により、高い光電流を生成することが可能である。これにより、特にタンデム、トリプル、クアドラプル又はマルチセルの製造が可能である。
【0107】
本発明の一構成において、R1は、エチル、プロピル、ブチル、分岐アルキル及びアリールから、好ましくはイソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、イソペンチル及びフェニルからなる群から選択され;並びに、ここで、Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSであり、好ましくはZ2はOである。これにより、特定の点で本発明の有利な効果が実現される。
【0108】
本発明の他の構成において、化合物は、一般式IIの化合物
【化25】
であり、ここで、nは0、1又は2であり、及び、mは、0、1又は2であり;
QはO又はSであり、好ましくはQはSであり;Z3及びZ4は、各々互いに独立して、O、S、Se及びN-R11からなる群から選択され、ここで、R11は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル及びアリールからなる群から選択され;R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;
R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;Y5はN又はC-R14であり、ここで、R14は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは各事例において置換されていてもよく、ここで、Y5は、好ましくはN、CH又はCFであり;Y6はN又はC-R15であり、ここで、R15は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは各事例において置換されていてもよく、ここで、Y6は、好ましくはN、CH又はCFであり;Y7はN又はC-R16であり、ここで、R16は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは各事例において置換されていてもよく、ここで、Y7は、好ましくはN、CH又はCFであり;Y8はN又はC-R17であり、ここで、R17は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは各事例において置換されていてもよく、ここで、Y8は、好ましくはN、CH又はCFであり;並びに、ここで、ここで、R14及びR15、及び/又は、R16及びR17はそれぞれ、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい。
【0109】
本発明の他の構成において、R14及びR15は一緒になって、及び/又は、R16及びR17は一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成する。
【0110】
本発明の他の構成において、Z3及びZ4は、互いに独立して、O又はSである。
【0111】
本発明の他の構成において、A1は、式IIa
【化26】
を有する基であり、式中、R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;
並びに、A2は、式IIb
【化27】
を有する基であり、式中、R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、分岐若しくは直鎖、環式若しくは非環式アルキル、アルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよい。
【0112】
本発明の他の構成において、化合物は、一般式III、IV及び/又はVの化合物
【化28】
であり、式中、QはO又はSであり、好ましくはQはSであり;Z1及びZ2は各々、互いに独立して、O又はSであり、好ましくはZ2はOであり;R6は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;
R7は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R6及びR7は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;R9は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;R10は、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキル及びアルケニルからなる群から選択され、ここで、Hは、各事例において、置換されていてもよく;並びに、ここで、R9及びR10は、一緒になって、単素環式5員環若しくは6員環、又は、S、O及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環式5員環若しくは6員環を形成していてもよく;R12は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、Hは、CN又はFにより置換されていてもよく;並びに、R13は、H、アルコキシ、アルキル、フッ素化アルキル、部分フッ素化アルキル、アルケニル、及び、少なくとも1つのC=C二重結合を有する電子求引性アルキル基からなる群から選択され、ここで、HはCN又はFにより置換されていてもよい。
【0113】
本発明の他の構成において、R2及びR3、又は、R12及びR13は各々、互いに独立して
【化29】
であり、式中、nは、1、2又は3であり、ここで、*は基R2、R3、R12及び/又はR13の結合点を示し;R16、R17及びR18は各々、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、COO-アルキル、アルキル及びアルケニルからなる群から選択されるが、ただし、R16及びR17は共にHではなく、R16及びR17は、好ましくはCNである。
【0114】
本発明の他の構成において、R2及びR3、又は、R12及びR13は各々、互いに独立して:
【化30】
(式中、*は、基R2、R3、R12及び/又はR13の結合点を示し、ここで、CNはFによって置き換えられていても良く、並びに、ここで、R2及びR3、又は、R12及びR13は、好ましくは、同一である)
からなる群から選択される。
【0115】
本発明の他の構成において、R6及びR7はHであり、R9及びR10はHであり、並びに、Z2はOであり、ここで、Z1及びZ2は好ましくはOである。
【0116】
本発明の他の構成において、化合物は:
【化31】
【化32】
【化33】
からなる群から選択される。
【0117】
本発明の他の構成において、基A1は基A2と同じである。
【0118】
図2は、光電子部品の例示的実施形態の概略図を断面で示す。光電子部品は、第1の電極2、第2の電極6及び層系7を備え、層系7は第1の電極2と第2の電極6との間に配置されている。層系7の少なくとも1つの層は、少なくとも1種の本発明の化合物を含む。
【0119】
本発明の一構成において、光電子部品は有機光電子部品であり、好ましくは有機系太陽電池、OFET、OLED又は有機光検出器である。
【0120】
この例示的実施形態において、光電子部品は有機系太陽電池である。有機系太陽電池は例えばガラス製の基板1を有し、その上に、例えばITOを含む電極2が設けられている。そしてその上に、少なくとも1種の本発明の化合物、p型伝導性供与体材料及びn型伝導性受容体材料(例えばC60フラーレン、平面ヘテロ接合又はバルクヘテロ接合として)を含む電子輸送層3(ETL)及び光活性層4を有する層系7が配置されている。この上に、p-ドープ正孔輸送層5(HTL)及びアルミニウム製の電極6が配置されている。
【0121】
本発明の他の構成において、層系7は、少なくとも1つの光活性層4、好ましくは吸収体層を有し、少なくとも1つの光活性層4は少なくとも1種の本発明の化合物を含む。
【0122】
本発明の他の構成において、層系7は、少なくとも2つの光活性層、好ましくは少なくとも3つの光活性層、又は、好ましくは少なくとも4つの光活性層を有する。
【0123】
本発明の他の構成において、光活性層4は、少なくとも1種の本発明の化合物と、少なくとも1種のさらなる化合物との混合層として、又は、少なくとも1種の本発明の化合物と、少なくとも2種のさらなる化合物との混合層として形成され、化合物は吸収材料である。
【0124】
本発明の他の構成において、光電子部品は、タンデムセル、トリプルセル又はマルチセルとして形成される。
【0125】
以下の図3及び4は、本発明の化合物の特定の例示的実施形態、及び、その光学特性を示す。
【0126】
図3は、有機系太陽電池の形態の有機光電子部品において計測した、化合物F3の吸収スペクトル(図3A)、電流-電圧曲線、スペクトル外部量子収量、及び、化合物F3を含むBHJセルの曲線因子(図3B)のグラフ表示を示す。
【0127】
化合物F3、F12及び比較化合物F1の吸収スペクトル(波長(nm)にわたる光学密度)を、各事例において石英ガラス上の30nmの厚さを有する真空蒸着層として計測した。電流-電圧曲線は、有機系太陽電池を特徴付ける性能インジケータを含む。ここでもっとも重要な性能インジケータは、曲線因子FF、開回路電圧Uoc及び短絡電流Jscである。
【0128】
化合物F3の吸収スペクトルは図3Aに示されている。化合物F3は、深色領域、すなわち、吸収スペクトルのより長波長の領域における側部における特に急勾配の吸収曲線であって、9.72の傾斜角を有するものを示す。吸収スペクトルにおける曲線の傾斜角は、吸収の開始と吸収の第1の境界部との間で生じる変曲点での接線の勾配を介して測定される。深色領域は、特に、可視光の赤色波長範囲にシフトした領域、すなわち、電磁スペクトルのより長波長で、より低エネルギーの範囲にシフトした領域を意味すると理解される。吸収スペクトルの深色領域におけるこの急勾配の曲線は、タンデム、トリプル又はマルチセルの形成において特に有利である。
【0129】
この例示的実施形態において、ITO層上のBHJセルは、15nmの層厚を有するC60の層を有する。この層の上に、化合物F3をC60と一緒に30nmの厚さで塗布した。前記層には10nmの層厚を有するBPAPF(9,9-ビス[4-(N,N-ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)フェニル]-9H-フルオレン)の層が続き、その上に、30nmの層厚を有するBPAPF及びNDP9を含むさらなる層が存在している。この層におけるBPAPFの割合は、層全体に基づいて10重量パーセントである。この層には1nmの厚さを有するNDP9を含むさらなる層が隣接しており、これに、100nmの厚さを有するアルミニウム層が続く。構造:ITO/C60(15nm)/F3:C60(30nm、3:2、50℃)/BPAPF(10nm)/BPAPF:NDP9(30nm、10重量%NDP9)/NDP9(1nm)/Al(100nm)を有するBHJセルの電流-電圧曲線を測定したが、光活性層はバルクヘテロ接合(BHJ)であった。化合物F3を含む光電子部品において、曲線因子FFは68.9%であり、開回路電圧Uocは0.91Vであり、及び、短絡電流Jscは15.1mA/cm2である(図3B)。この種の光電子部品、特に化合物F3を含む太陽電池のセル効率は9.4%である。
【0130】
化合物F3はまた、減圧下で良好な蒸発性を示す。
【0131】
図4は、有機系太陽電池の形態の有機光電子部品において計測した、化合物F12の吸収スペクトル(図4A)、電流-電圧曲線、スペクトル外部量子収量、及び、化合物F12を含むBHJセルの曲線因子(図4B)のグラフ表示を示す。
【0132】
化合物F12の吸収スペクトルを図4Aに示す。既述の化合物F3と同様に、化合物F12は、5.9の傾斜角を有する特に急勾配の吸収曲線を示す。
【0133】
構造:ITO/C60(15nm)/F12:C60(30nm、3:2、50℃)/BPAPF(10nm)/BPAPF:NDP9(30nm、10重量%NDP9)/NDP9(1nm)/Al(100nm)を有するBHJセルの電流-電圧曲線を測定したが、光活性層はバルクヘテロ接合(BHJ)であった。化合物F12を含む光電子部品において、曲線因子FFは46.6%であり、開回路電圧Uocは0.97Vであり、及び、短絡電流Jscは10.3mA/cm2(図4B)である。この種の光電子部品、特に化合物F12を含む太陽電池のセル効率は4.7%である。
【0134】
化合物F12はまた、減圧下で良好な蒸発性を示す。
【0135】
有機系太陽電池で計測した吸収特性及び電流-電圧曲線を含む化合物F3及びF12の実験データは、化合物F3及びF12が有機系太陽電池及び他の有機光電子部品における使用きわめて好適であることを実証する。
【0136】
図5は、有機系太陽電池の形態の有機光電子部品において計測した、比較化合物F1の吸収スペクトル(図5A)、電流-電圧曲線、スペクトル外部量子収量、及び、比較化合物F1を含むBHJセルの曲線因子(図5B)のグラフ表示を示す。
【0137】
化合物F1は、2.75の傾斜角を有する扁平型の吸収曲線を示す。
【0138】
構造:ITO/C60(15nm)/F1:C60(30nm、3:2、50℃)/BPAPF(10nm)/BPAPF:NDP9(30nm、10重量%NDP9)/NDP9(1nm)/Al(100nm)を有するBHJセルの電流-電圧曲線を測定したが、光活性層はバルクヘテロ接合(BHJ)であった。化合物F1を含む光電子部品において、曲線因子FFは47.0%であり、開回路電圧Uocは0.81Vであり、及び、短絡電流Jscは7.5mA/cm2である。
【0139】
比較化合物F1並びに化合物F3及びF12の実験データは、化合物F3及びF12が、比較化合物F1と比してより良好な吸収特性を有することを示す。
【0140】
図6は、化合物F3の吸収スペクトルと比較化合物F1との比較に係るグラフ表示を示す。
【0141】
化合物F3の吸収(中実線で示す)及び比較化合物F1の吸収(破線で示す)は、フォトンエネルギーに対してプロットされている。9.72の傾斜角を有する化合物F3の吸収は、2.75の傾斜角を有する比較化合物F1のものよりも顕著に急勾配であることが明確に分かる。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7