IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社鈴木製作所の特許一覧

<>
  • 特許-ミシン用布押え部材 図1
  • 特許-ミシン用布押え部材 図2
  • 特許-ミシン用布押え部材 図3
  • 特許-ミシン用布押え部材 図4
  • 特許-ミシン用布押え部材 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ミシン用布押え部材
(51)【国際特許分類】
   D05B 29/12 20060101AFI20241029BHJP
   D05B 29/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
D05B29/12
D05B29/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023078297
(22)【出願日】2023-05-11
【審査請求日】2024-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000156008
【氏名又は名称】株式会社鈴木製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 徹
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-057677(JP,A)
【文献】特許第182332(JP,C2)
【文献】特開昭59-194788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 1/00-97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンの押え棒の下端に連結された布押え部材において、
本体部と、
該本体部に一体形成され布の送り方向に沿って前記本体部から延びる一対の腕部と、
両腕部間に着脱自在に嵌め込み固定したアタッチメントと
一対の前記腕部の、前記本体部と反対側の端部同士を連結するように、一対の前記腕部に一体形成される連結部とを備え、
前記本体部、一対の前記腕部、及び前記連結部によって包囲された内側部分に、開放部が形成されており、
前記アタッチメントは、前記開放部に着脱自在に嵌め込まれて固定される部分を有することを特徴とするミシン用布押え部材。
【請求項2】
前記アタッチメントは、前記開放部に着脱自在に嵌め込まれて固定される部分に連設され、前記連結部に着脱自在に嵌合する嵌合部を備えることを特徴とする請求項1記載のミシン用布押え部材。
【請求項3】
ミシンの押え棒の下端に連結された布押え部材において、
本体部と、
布の送り方向に沿って前記本体部から延びる一対の腕部と、
両腕部間に着脱自在に嵌め込み固定したアタッチメントとを備え、
前記両腕部は、前記両腕部が互いに対向する対向面に、前記両腕部間の下方から前記アタッチメントの固定位置に前記アタッチメントを案内する案内部を備えることを特徴とするミシン用布押え部材。
【請求項4】
前記アタッチメントは透明材料により形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載のミシン用布押え部材。
【請求項5】
一対の前記腕部の、前記アタッチメントの基端縁が当接する内側角部に、前記開放部に向かって張り出した張出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のミシン用布押え部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに付設される布押え部材に関し、縫製作業中に針位置の周囲で布を押える布押え部材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンは、押え棒の下端に連結された板状の布押え部材を備えている。布押え部材は、針位置の周囲で布を押える。これにより、縫製作業時の布を刺通する針の上下動を円滑に行わせることができる。
【0003】
ところで、ミシンにより各種の縫製を行うとき、夫々の種類の縫製に適合する布押え部材を用いることが好ましい。そのため、縫製作業に先立ち、夫々の種類の縫製に適合する布押え部材に交換することが行われていた。しかし、押え棒の下端に連結された布押え部材を、押え棒に対して着脱させる作業は極めて煩わしい。
【0004】
そこで、従来、布押え部材を押え棒に対して着脱させることなく布押え部材の一部を交換するだけで、各種の縫製に適合させることができる布押え部材が下記特許文献1により提案されている。
【0005】
この布押え部材は、押え棒に連結された本体部と、本体部から着脱可能とされたアタッチメントとを備えている。本体部は、布押え部材の前後方向に延びる腕部を備えており、アタッチメントは、本体部の腕部の先端に係合する係合部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公昭47-822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1の布押え部材は、本体部に形成された単一の腕部によりアタッチメントが支持される。このとき、アタッチメントは、一側縁が腕部に当接するが、他側縁の比較的広い範囲にわたって露出する。このため、アタッチメントの露出する側縁に、万一布等が接触すると、縫製作業中にアタッチメントが脱落するおそれがある。
【0008】
そこで、アタッチメントの脱落を防止するために、本体部の腕部とアタッチメントの係合部とを強固に係合させることが考えられるが、本体部の腕部とアタッチメントの係合部との係合が強固であると、アタッチメントの交換作業が困難となる不都合がある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、アタッチメントの脱落を防止することができ、しかも、アタッチメントの交換を容易に行うことができるミシン用布押え部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、ミシンの押え棒の下端に連結された布押え部材において、本体部と、該本体部に一体形成され布の送り方向に沿って前記本体部から延びる一対の腕部と、両腕部間に着脱自在に嵌め込み固定したアタッチメントと、一対の前記腕部の、前記本体部と反対側の端部同士を連結するように、一対の前記腕部に一体形成される連結部とを備え、前記本体部、一対の前記腕部、及び前記連結部によって包囲された内側部分に、開放部が形成されており、前記アタッチメントは、前記開放部に着脱自在に嵌め込まれて固定される部分を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、両腕部間に嵌め込み固定したアタッチメントが、着脱自在であることにより、当該アタッチメントを容易に交換することができる。しかも、両腕部間のアタッチメントは、その両側縁が両腕部によりガードされているので、外部からの不用意な接触を少なくすることができ、アタッチメントの脱落を防止することができる。このように、本発明によれば、アタッチメントの脱落防止と交換の容易性とを両立させることができる。
【0012】
また、前記両腕部は、前記本体部と反対側の端部同士を連結する連結部を備えている。これによれば、本体部と両腕部と連結部とで布送り部材が枠状に形成されるので、布送り部材の強度を確保することができる。
【0013】
また、前記アタッチメントは、前記開放部に着脱自在に嵌め込まれて固定される部分に連設され、前記連結部に着脱自在に嵌合する嵌合部を備えることを特徴とする。アタッチメントの嵌合部を連結部に嵌合することで、アタッチメントを両腕部間に強固に保持することができ、一側確実に脱落を防止することができる。
【0014】
また、本発明のもう一つは、ミシンの押え棒の下端に連結された布押え部材において、本体部と、布の送り方向に沿って前記本体部から延びる一対の腕部と、両腕部間に着脱自在に嵌め込み固定したアタッチメントとを備え、前記両腕部は、前記両腕部が互いに対向する対向面に、前記両腕部間の下方から前記アタッチメントの固定位置に前記アタッチメントを案内する案内部を備えることを特徴とする。案内部は、アタッチメントを両腕部の下方から固定位置に案内するので、連結部が邪魔になることなく円滑にアタッチメントを取り付けることができる。
【0015】
また、前記アタッチメントは透明材料により形成されていることを特徴とする。これによれば、縫製作業中にアタッチメントを介して布や縫い目の視認が容易となり、作業性が向上する。
また、一対の前記腕部の、前記アタッチメントの基端縁が当接する内側角部に、前記開放部に向かって張り出した張出部が形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】布押え部材を示す斜視図。
図2】要部を底面視した説明的斜視図。
図3】アタッチメントの斜視図。
図4】張出部を示す説明的底面図。
図5】アタッチメントの交換を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の布押え部材1は、本体部2とアタッチメント3とを備えている。
【0018】
本体部2は、ミシンの押え棒(図示省略)の下端に取り付ける取付部4を備えている。以下、取付部4を本体部2の基端側とし、取付部4の反対側を先端側として説明する。
【0019】
本体部2の先端側には、互いに平行に延びる一対の腕部5,6が設けられている。両腕部5,6の先端部には、連結部7が設けられている。連結部7は、両腕部5,6の長手方向に対して直交する棒状に形成され、両腕部5,6の先端部を一体的に連結している。
【0020】
本体部2と両腕部5,6と連結部7とによって包囲された内側には、矩形状の開放部8が形成され、この開放部8にアタッチメント3が着脱自在に嵌め込み固定される。アタッチメント3を取り外した状態の開放部8を図2に示している。
【0021】
両腕部5,6の互いに対向する内面側には、アタッチメント3を案内する案内突起9と段差部10とが形成されている。案内突起9は、本発明の案内部に相当するものであり、図2に示すように、開放部8の内側に向かって(即ち、両腕部5,6間の内方に向かって)突出している。段差部10は、案内突起9と連結部7との間に形成されている。なお、図2においては、一方の腕部5の内側を示しているが、他方の腕部6の内側も同じである。
【0022】
案内突起9は、レールとして作用してアタッチメント3の側縁を案内する。案内突起9の先端側には、基端側に向かって次第に上昇する方向に傾斜する傾斜部11が形成されている。傾斜部11により、アタッチメント3は、両腕部5,6の下方から両腕部5,6間の固定位置まで案内され、アタッチメント3の開放部8への装着作業が円滑に行われる。
【0023】
アタッチメント3は、透明の合成樹脂材料(透明材料)により形成されている。アタッチメント3は、図3に示すように、先端側に嵌合部12を備えている。嵌合部12は、図1に示すように、連結部7に嵌合する。
【0024】
嵌合部12が連結部7に嵌合することにより、アタッチメント3は、両腕部5,6間に嵌め込み固定された状態となり、不用意な脱落が防止されて当該固定状態を確実に維持することができる。
【0025】
図3に示すように、嵌合部12の上縁には、指を掛けるためのタブ13が形成されている。図1に示すように、両腕部5,6間に嵌め込まれた状態のアタッチメント3は、タブ13を介して取り外し操作を容易に行うことができ、交換作業が容易となる。
【0026】
また、アタッチメント3は、図3に示すように、両側縁に張り出す当接片14と、この当接片14に連続する案内溝部15とを備えている。
【0027】
アタッチメント3の当接片14は、図2に示す段差部10に下側から当接する。これにより、アタッチメント3に対して下方から上方へ向かう力が付与されても、アタッチメント3の上方への抜け出しを防止することができる。
【0028】
アタッチメント3の案内溝部15は、図2に示す案内突起9に沿って案内される。これにより、アタッチメント3は、両腕部5,6の下方から両腕部5,6間に案内されて取り付け作業を円滑に行うことができる。
【0029】
また、図4に示すように、アタッチメント3の基端縁31が当接する両腕部5,6の内側角部51,61には内方(アタッチメント3側)に向かって張り出す張出部16が形成されている。張出部16は、アタッチメント3の基端角部に形成された凹部32(図3参照)に挿着され、アタッチメント3の基端縁31と両腕部5,6の内側角部51,61との間の隙間を閉塞する。
【0030】
これにより、アタッチメント3の基端縁31と両腕部5,6の内側角部51,61との間への縫い糸の侵入を防止することができ、円滑な縫製作業を行うことができる。
【0031】
以上の構成により、アタッチメント3は、本体部2と両腕部5,6と連結部7とによって包囲された内側の開放部8に嵌め込み固定されて、左右方向(夫々の腕部5,6側)、前後方向(連結部7側及び本体部2側)、及び上方向への移動が規制され、高い取付安定性を維持することができる。
【0032】
しかも、アタッチメント3の左右縁や先端縁が、両腕部5,6や連結部7によってガードされているので、アタッチメント3への外部からの接触が防止されており、アタッチメント3の不用意な脱落も防止することができる。
【0033】
また、アタッチメント3が透明材料により形成されていることにより、縫製作業等における布や縫い糸の状態を容易に視認することができるので、高い作業性が得られて円滑な縫製作業を行うことができる。
【0034】
また、アタッチメント3を、両腕部5,6間に着脱自在に設けることにより、例えば、図5に示すように、用途に応じて他のアタッチメント17,18に適宜交換することができる。
【0035】
なお、本実施形態においては、透明材料により形成されたアタッチメント3を示したが、アタッチメント3と同様の構成を備えることにより、不透明の材料や一部透明材料で形成したアタッチメントであっても採用することが可能である。
【0036】
また、本実施形態においては、両腕部5,6の案内部を突起(案内突起9)とし、アタッチメント3の左右縁の案内溝部15を案内するように構成したが、本発明は、これに限るものではなく、例えば、図示しないが、アタッチメント3の左右縁に突起を設け、両腕部5,6の案内部を溝としてアタッチメント3の突起を案内するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…布押え部材、2…本体部、3,17,18…アタッチメント、5,6…腕部、7…連結部、9…案内突起(案内部)、12…嵌合部。
【要約】
【課題】アタッチメントの脱落を防止することができ、しかも、アタッチメントの交換を容易に行うことができるミシン用布押え部材を提供する。
【解決手段】ミシンの押え棒の下端に連結された板状の布押え部材1は、本体部2と、布の送り方向に沿って本体部2から延びる一対の腕部5,6と、両腕部5,6間に着脱自在に嵌め込み固定したアタッチメント3とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5