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特許7578318会計処理支援方法、コンピュータプログラム及び会計処理支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】会計処理支援方法、コンピュータプログラム及び会計処理支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20241029BHJP
【FI】
G06Q40/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023177757
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2024-06-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 5年 9月21日に、FREENANCE MAGのウェブサイトにて公開 https://freenance.net/media/interview/28695/ 令和 5年 7月26日に、Xのアカウントにて公開 https://twitter.com/yutatkinson/status/1684023659944624128?s=20 令和 5年 7月25日及び令和 5年 7月26日に、日本経済新聞 電子版のウェブサイト及び、日本経済新聞 令和5年 7月26日付朝刊 第15面にて公開 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC190ED0Z10C23A7000000/ 令和 5年 8月 2日に、KEPPLEのウェブサイトにて公開 https://kepple.co.jp/articles/financing/r5496_fp-8wj 令和 5年 2月 1日に、noteのウェブサイトにて公開 https://note.com/txto_yutanaka/n/n41f1af24b11f 令和 5年 7月26日・令和 5年 7月28日に、YouTubeの動画「Taxnap(タックスナップ) コンセプトムービー」、「Taxnap(タックスナップ)サービス紹介」にて公開 https://www.youtube.com/watch?v=ciqM3DyKn0E https://youtu.be/ewlbgAGa-Gk 令和 5年 7月28日に、Instagramのウェブサイトにて公開 https://www.instagram.com/taxnap_official/ 令和 5年 7月26日に、PR TIMESのウェブサイトにて公開 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000122860.html 令和 5年 7月26日に、株式会社TxToのウェブサイトにて公開 https://www.txto.co.jp/product 令和 5年 2月27日に、Taxnapのウェブサイトにて公開 https://taxnap.com/ 令和 5年 7月18日に、AppStoreのウェブサイトにて公開 https://apps.apple.com/app/id6446676243
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 5年 7月13日に、Google Playのウェブサイトにて公開 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.txto.taxnap 令和 5年 8月31日に、Facebookのアカウントにて公開 https://www.facebook.com/Yutakinson/ 令和 5年 8月31日に、Forbes JAPANのウェブサイトにて公開 https://forbesjapan.com/articles/detail/65662?fbclid=IwAR0jOkYdBIL32x2jP3CZwAGjp8KK9QGr1VtvqJ7je5zBq15Qt1EwKg8YF8 令和 5年 8月31日に、PR TIMESのウェブサイトにて公開 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000122860.html 令和 5年 7月26日に、LINEのアカウントにて公開 https://line.me/R/ti/p/@taxnap?from=page&accountId=taxnap 令和 5年 8月 7日に、日経産業新聞のウェブサイト及び日経産業新聞 令和5年 8月 7日付紙面 第16面にて公開 https://www.nikkei.com/compass/api/clipping/NIRKDBDGKKZO7335930004082023XY0000 令和 5年 7月26日に、日本経済新聞のウェブサイトにて公開 https://www.nikkei.com/compass/content/TDSKDBDGXZRSP659825_26072023000000/article 令和 5年 7月26日に、マネーツリー株式会社のウェブサイトにて公開 https://getmoneytree.com/press-release-jp/202307-moneytreelink-txto
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523073471
【氏名又は名称】株式会社TxTo
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄太
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0300184(US,A1)
【文献】特開2022-190564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0097604(US,A1)
【文献】特開2019-192044(JP,A)
【文献】Facebookお得技ベストセレクション,株式会社晋遊舎 沢井 竜太,2018年04月01日,P43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置は、取引内容を示した複数の取引情報を取得して携帯通信機へ送信し、
前記携帯通信機は、
前記情報処理装置から送信された複数の前記取引情報を受信し、
受信した複数の前記取引情報のうち、未分別の一つの取引情報に基づいて、少なくとも一つの前記取引情報の情報源を示す取引情報源、取引名及び取引金額を表示する、矩形状又は角丸方形状を含むメモ型の単一の仕訳情報画像を表示し、
前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付け、
前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第3方向にスワイプ操作された場合又は第3態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を、分別保留カテゴリに分別し、
未分別の前記取引情報の数を表示し、
前記取引情報の分別結果を前記情報処理装置へ送信する
会計処理支援方法であって、
前記携帯通信機は、
同一取引情報源からの同一取引名の前記取引情報が複数回、同一カテゴリに分別された場合、自動的に前記取引情報の分別を行う自動分別設定を行うか否かの選択を受け付け、
前記情報処理装置又は前記携帯通信機は、
自動分別の設定を受け付けた場合、複数回同一カテゴリに分別された前記取引情報源、前記取引名及び該カテゴリとを対応付けて自動分別テーブルに登録し、
以後、前記取引情報を取得した場合、前記自動分別テーブルに登録された前記取引情報源及び取引名と同一の取引情報源及び取引名の前記取引情報については、該同一の取引情報源及び取引名に対応付けられたカテゴリに自動的に分別し、
前記携帯通信機は、
自動分別されなかった前記取引情報についてスワイプ操作又はタップ操作による分別処理を行う
会計処理支援方法。
【請求項2】
前記携帯通信機は、
前記第1方向側に事業用を示す第1画像を表示し、前記第2方向側に個人用を示す第2画像を表示し、
前記仕訳情報画像に係る前記取引情報が前記事業用カテゴリに分別された場合、前記第1画像を変化させ、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報が個人用カテゴリに分別された場合、前記第2画像を変化させる
請求項1に記載の会計処理支援方法。
【請求項3】
前記携帯通信機は、
前記第1画像がタップ操作された場合、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報を前記事業用カテゴリに分別し、前記第2画像がタップ操作された場合、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別し、分別保留を示す第3画像がタップ操作された場合、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報を前記分別保留カテゴリに分別する
請求項2に記載の会計処理支援方法。
【請求項4】
前記携帯通信機は、
前記取引情報の分別が行われる都度、想定年収情報が示す収入から少なくとも前記事業用カテゴリに分別された前記取引情報が示す経費を減算することによって課税所得を算出し、
算出された課税所得に基づいて税率を算出し、
前記想定年収情報、前記事業用カテゴリに分別された前記取引情報及び算出された税率に基づいて節税額又は納税額に係る情報を算出して表示する
請求項1又は請求項2に記載の会計処理支援方法。
【請求項5】
情報処理装置から送信される、取引内容を示した複数の取引情報を受信し、
受信した複数の前記取引情報のうち、未分別の一つの取引情報に基づいて、少なくとも一つの前記取引情報の情報源を示す取引情報源、取引名及び取引金額を表示する、矩形状又は角丸方形状を含むメモ型の単一の仕訳情報画像を表示し、
前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付け、
前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第3方向にスワイプ操作された場合又は第3態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を、分別保留カテゴリに分別し、
未分別の前記取引情報の数を表示し、
前記取引情報の分別結果を前記情報処理装置へ送信する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
同一取引情報源からの同一取引名の前記取引情報が複数回、同一カテゴリに分別された場合、自動的に前記取引情報の分別を行う自動分別設定を行うか否かの選択を受け付け、
複数回同一カテゴリに分別された前記取引情報源、前記取引名及び該カテゴリとを対応付けて自動分別テーブルに登録するために、自動分別設定の受付結果を前記情報処理装置へ送信し、
以後、前記自動分別テーブルを用いて前記情報処理装置によって自動分別されなかった前記取引情報についてスワイプ操作又はタップ操作による分別処理を行う
処理を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
情報処理装置から送信される、取引内容を示した複数の取引情報を受信する通信部と、
受信した複数の前記取引情報のうち、未分別の一つの取引情報に基づいて、少なくとも一つの前記取引情報の情報源を示す取引情報源、取引名及び取引金額を表示する、矩形状又は角丸方形状を含むメモ型の単一の仕訳情報画像を表示する表示部と、
前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付ける操作部と、
前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第3方向にスワイプ操作された場合又は第3態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を、分別保留カテゴリに分別し、未分別の前記取引情報の数を表示し、前記取引情報の分別結果を前記情報処理装置へ送信する処理を実行する制御部と
を備える会計処理支援装置であって、
前記制御部は、
同一取引情報源からの同一取引名の前記取引情報が複数回、同一カテゴリに分別された場合、自動的に前記取引情報の分別を行う自動分別設定を行うか否かの選択を受け付け、
複数回同一カテゴリに分別された前記取引情報源、前記取引名及び該カテゴリとを対応付けて自動分別テーブルに登録するために、自動分別設定の受付結果を前記情報処理装置へ送信し、
以後、前記自動分別テーブルを用いて前記情報処理装置によって自動分別されなかった前記取引情報についてスワイプ操作又はタップ操作による分別処理を行う
会計処理支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計処理支援方法、コンピュータプログラム及び会計処理支援装置
に関する。
【背景技術】
【0002】
取引内容に応じた勘定科目を自動的に仕訳する自動仕訳装置であって、機械学習により取引内容に応じた勘定科目候補及び各勘定科目候補の信頼度を仕訳結果として出力することを学習した自動仕訳装置がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/189825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個人事業主はクレジットカードを事業専用として作る人が少なく、個人用カードでプライベートも仕事の経費も両方使う人が多いため、取引明細情報を取り込んで自動仕訳を行っても、事業に係る正しい会計処理を行うことができないという問題があった。
チェックボックス形式で取引一覧から個人用の取引を除外することも考えられるが、サーバに蓄積された膨大な取引一覧から個人用の取引を見つける必要があり、チェック作業の心理的なハードルが高い傾向にある。
【0005】
本開示の目的は、膨大な取引情報が蓄積されることなく、簡単なスワイプ操作又はタップ操作によって、取引情報を、個人用と事業用とに分別することができる会計処理支援方法、コンピュータプログラム及び会計処理支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る会計処理支援方法は、取引内容を示した取引情報を取得し、取得した前記取引情報に基づく仕訳情報画像を表示し、前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付け、前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別する。
【0007】
本開示に係るコンピュータプログラムは、取引内容を示した取引情報を取得し、取得した前記取引情報に基づく仕訳情報画像を表示し、前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付け、前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別する処理をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示に係る会計処理支援装置は、取引内容を示した取引情報を取得する通信部と、取得した前記取引情報に基づく仕訳情報画像を表示する表示部と、前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付ける操作部と、前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記によれば、膨大な取引情報が蓄積されることなく、簡単なスワイプ操作又はタップ操作によって、取引情報を、個人用と事業用とに分別することができる会計処理支援方法、コンピュータプログラム及び会計処理支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態1に係る会計処理システムの構成例を説明する模式図である。
図2】本実施形態1に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態1に係る携帯通信機の構成例を示すブロック図である。
図4】本実施形態1に係る会計処理手順を示すフローチャートである。
図5】本実施形態1に係る会計処理手順を示すフローチャートである。
図6】本実施形態1に係る会計処理手順を示すフローチャートである。
図7】本実施形態1に係る取引分別操作画面を示す模式図である。
図8】取引情報の分別方法を示す模式図である。
図9】自動分別処理の設定確認画面を示す模式図である。
図10】本実施形態2に係る会計処理システムの構成例を説明する模式図である。
図11】本実施形態2に係る取引分別操作画面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る会計処理支援方法、コンピュータプログラム及び会計処理支援装置を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係る会計処理システムの構成例を説明する模式図である。実施形態1に係る会計処理システムは、情報処理装置1、携帯通信機(会計処理支援装置)2及びサービス提供サーバ3を備える。携帯通信機2は事業を営むユーザが利用するスマートフォン、タブレット端末等であり、通信網Nを介して情報処理装置1及びサービス提供サーバ3と通信を行う。
【0013】
図2は、本実施形態1に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。情報処理装置1は、ユーザのメールアドレス、パスワード、会計上の取引明細情報を管理し、仕訳処理、確定申告書や決算書の作成、確定申告処理等を行うサーバ装置である。情報処理装置1は、例えば、該情報処理装置1の各構成部の動作を制御する一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサを含む処理部11を備えたコンピュータである。処理部11には、バスを介して、サーバ記憶部12及びサーバ通信部13が接続されている。なお、処理部11の各機能部は、ソフトウェア的に実現してもよく、ハードウェア(例えばFPGA又はASIC)により実現されてもよく、それらの組み合せによって実現されてもよい。また、情報処理装置1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであってもよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0014】
サーバ記憶部12は、主記憶部及び補助記憶部を含む。主記憶部は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、処理部11の演算処理を実行する際に補助記憶部から読み出されたサーバプログラム(不図示)、処理部11の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。
【0015】
補助記憶部は、ハードディスク、EEPROM等の不揮発性メモリであり、ユーザDB12a、会計DB12b、仕訳学習モデル12c及び自動分別テーブル12dを記憶している。
【0016】
ユーザDB12aは、ユーザのアカウント情報、事業者名、業種情報、想定年収情報、連絡先、会計処理支援に係る設定情報等を記憶している。アカウント情報には、本実施形態に係る会計処理支援システムを利用するためのアカウント、ユーザが利用する金融サービスを提供するサービス提供サーバ3から取引明細情報を取得するためのアカウントが含まれる。想定年収情報は、ユーザの事業に係る年収を示す情報である。ユーザは、携帯通信機2に業種情報、想定年収情報等のユーザ情報を入力する。携帯通信機2は入力されたユーザ情報を情報処理装置1へ送信し、情報処理装置1は携帯通信機2から送信された業種情報、想定年収情報等のユーザ情報を受信し、サーバ記憶部12に記憶する。
【0017】
会計DB12bは、サービス提供サーバ3から定期的に取り込まれる取引明細情報、取引仕訳情報、その他、会計処理に関する情報をアカウント情報に関連付けて記憶している。取引明細情報及び取引仕訳情報の詳細は後述する。取引明細情報及び取引仕訳情報は、本開示に係る取引内容を示した取引情報の一例である。
【0018】
仕訳学習モデル12cは、取引明細情報に含まれる取引名及びサービス分類(取引情報源に係る情報)、ユーザの業種情報が入力された場合、当該取引明細情報に係る取引に該当する勘定科目を出力するように、コンピュータを機能させる機械学習済みモデルである。例えば、仕訳学習モデル12cは、取引名、サービス分類及び業種情報が入力される入力層と、当該入力層に入力された情報に対して学習済みの重み係数に基づく演算を行う中間層と、当該取引に該当する勘定科目を示す情報を出力する出力層とを有するニューラルネットワークである。
ここでは、仕訳学習モデル12cの一例として、ニューラルネットワークを説明したが、重回帰モデル、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、又は、回帰木等の構成のモデルを用いて、取引明細情報及びユーザの業種情報と、勘定科目との関係を機械学習してもよい。
【0019】
自動分別テーブル12dは、取引名と、サービス分類と、カテゴリとを対応付けたテーブルである。取引が分別されるカテゴリには、個人用の取引であることを示す個人用カテゴリ、事業用の取引であることを示す事業用カテゴリ、分別が保留された取引であることを示す分別保留カテゴリがある。自動分別テーブル12dに登録されるカテゴリは、通常、個人用カテゴリと事業用カテゴリである。
【0020】
サーバ通信部13は、通信網Nを介して、携帯通信機2及びサービス提供サーバ3との間で各種情報を送受信するための通信機である。サーバ通信部13による各種情報の送受信は処理部11によって制御される。
【0021】
図3は、本実施形態1に係る携帯通信機2の構成例を示すブロック図である。携帯通信機2は、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の可搬型の無線通信装置である。携帯通信機2は、該携帯通信機2の各構成部の動作を制御する制御部21を備える。
【0022】
制御部21は、一又は複数のCPU又はMPU等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース等を有するマイクロコンピュータである。制御部21の入出力インタフェースには、記憶部22、通信部23、表示部24、操作部25、スピーカ26及びマイク27等が接続されている。
ROMはコンピュータの初期動作に必要なプログラムを記憶している。RAMは、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、制御部21の演算処理を実行する際に記憶部22から読み出された後述のコンピュータプログラム22a、又は制御部21の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。CPUはコンピュータプログラム22aを実行することにより、各構成部の動作を制御し、会計処理支援方法を実施する。
なお、制御部21の各機能部は、ソフトウェア的に実現してもよく、ハードウェア(例えばFPGA又はASIC)により実現されてもよく、それらの組み合せによって実現されてもよい。
【0023】
記憶部22は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、本実施形態に係る会計処理支援に係る処理に必要なコンピュータプログラム22aを記憶している。当該コンピュータプログラム22aは、通信網Nに接続された図示しない外部コンピュータからダウンロードしたものである。
【0024】
なお、本実施形態に係るコンピュータプログラム22aは、記録媒体20にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でも良い。記憶部22は、図示しない読出装置によって記録媒体20から読み出されたコンピュータプログラム22aを記憶する。記録媒体20はフラッシュメモリ等の半導体メモリである。また、記録媒体20はCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の光ディスクでも良い。更に、記録媒体20は、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク等であっても良い。また、コンピュータプログラム22aは、単一のプログラムでも複数のプログラムにより構成されるものでもよく、また、単一のコンピュータ上で実行されても通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0025】
通信部23は、基地局を介して他の携帯通信機2、通信網Nに接続された情報処理装置1及びサービス提供サーバ3、その他の外部の通信装置等との間で各種情報を送受信するための通信機である。通信部23は、例えば、3G(Generation)回線、4G回線、LTE(Long Term Evolution)回線等を用いて、通話音声及び各種データの送受信を行う。なお、通信部23は、IEEE802.11、WiFi等の規格準拠した無線LAN通信を行う通信機であっても良い。
【0026】
表示部24は、液晶パネル、有機ELディスプレイ、電子ペーパ、プラズマディスプレイ等である。表示部24は、制御部21から与えられた画像データ又は映像データに応じた各種情報を表示する。
【0027】
操作部25は、例えば表示部24の表面又は内部に設けられたタッチセンサ、機械式操作ボタン等である。制御部21は操作部25にて、スワイプ操作、タップ操作等のユーザの操作を受け付けることができる。
【0028】
図1に示すサービス提供サーバ3は、銀行、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、電子決済可能なECサイト、オンライン決済サービス等の各種サービスを提供する事業者のサーバであり、情報処理装置1と同様のハードウェア構成を有する。サービス提供サーバ3は、API(Application Programming Interface)を有し、情報処理装置1からの要求に応じて、ユーザの取引明細情報を情報処理装置1へ送信する。取引明細情報は、例えば、取引日付、取引名、取引金額、サービス分類を含む。取引日付は、取引が行われた年月日を示す情報である。取引名は、取引の内容を示す文字列である。取引金額には収入金額及び支出金額が含まれる。サービス分類は、当該取引が実行されたサービスの分類、具体的には当該金融サービス提供会社のサービスを示す情報である。言い換えると、サービス分類は、取引明細情報の情報源を示す情報である。サービス分類には、例えば、銀行、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、ECサイト等が含まれる。情報処理装置1は、サービス提供サーバ3から送信された取引明細情報を受信し、サーバ記憶部12に記憶する。
【0029】
図4図6は、本実施形態1に係る会計処理手順を示すフローチャート、図7は、本実施形態1に係る取引分別操作画面4を示す模式図、図8は、取引仕訳情報の分別方法を示す模式図、図9は、自動分別処理の設定確認画面を示す模式図である。
【0030】
情報処理装置1の処理部11は、定期的に、サービス提供サーバ3から取引明細情報を取得する(ステップS11)。例えば、処理部11は、1日1回の頻度で取引明細情報を取り込む。
【0031】
次いで、処理部11は、取得した取引明細情報の仕訳処理を実行する(ステップS12)。仕訳処理によって得られた情報を取引仕訳情報と呼ぶ。取引仕訳情報は、取引明細情報が示す取引を借方と貸方に分類し、該当する勘定科目に振り分けて得られる情報であり、取引日付、取引名、取引金額、サービス分類、勘定科目等の情報を含む。処理部11は、例えば、取引明細情報に含まれる取引名、サービス分類、ユーザの業種情報を仕訳学習モデル12cに入力し、当該仕訳学習モデル12cから出力される情報に基づいて、当該取引に対応する勘定科目を特定する。
【0032】
そして、処理部11は、自動分別テーブル12dを参照し、ステップS11で取得した取引明細情報を、個人用カテゴリ又は事業用カテゴリに分別する(ステップS13)。具体的には、取引明細情報に含まれる取引名及びサービス分類をキーにして自動分別テーブル12dを参照し、該当するカテゴリを特定する。
【0033】
情報処理装置1の処理部11は、未分別の取引仕訳情報を携帯通信機2へ送信する(ステップS14)。情報処理装置1が携帯通信機2へ送信する取引情報の例として、取引仕訳情報を説明するが、取引明細情報を携帯通信機2へ送信するように構成してもよい。携帯通信機2には仕訳された勘定科目が表示されないが、個人用及び事業用の分別処理を行うことは可能である。
【0034】
携帯通信機2は、情報処理装置1から送信された取引仕訳情報を受信する(ステップS15)。そして、携帯通信機2の制御部21は、未分別の取引仕訳情報の数を表示部24に表示する(ステップS16)。未分別の取引仕訳情報の数は、コンピュータプログラム22aに係るアイコンに通知バッジにて表示するとよい。
【0035】
コンピュータプログラム22aのアイコンのタップ操作が行われた場合、制御部21は、取引分別操作画面4を表示部24に表示する(ステップS17)。
【0036】
図7に示すように、取引分別操作画面4は、一つの仕訳情報画像40を含む。ステップS15で複数の取引仕訳情報を受信している場合、最新の取引仕訳情報に基づく仕訳情報画像40から順に表示する。仕訳情報画像40は、矩形状、角丸方形状等のメモ型の画像である。仕訳情報画像40は、表示部24の左右方向略中央部に表示される。仕訳情報画像40は、取引仕訳情報に含まれる取引日付、サービス分類、取引名、勘定科目、取引金額等の表示を含む。
なお、本実施形態1では、取引仕訳情報に基づく仕訳情報画像40を説明するが、取引明細情報に基づいて作成された仕訳情報画像40を表示するように構成してもよい。この場合、仕訳情報画像40には勘定科目は表示されない。
【0037】
また、取引分別操作画面4は、取引を事業用カテゴリに分別するためのワークアイコン41(第1画像)と、取引を個人用カテゴリに分別するためのプライベートアイコン42(第2画像)と、取引を分別保留カテゴリに分別するためのスキップアイコン43(第3画像)とを含む。ワークアイコン41は、仕訳情報画像40の下方、右側に表示される。プライベートアイコン42は、仕訳情報画像40の下方、左側に表示される。スキップアイコン43は、仕訳情報画像40の下方、プライベートアイコン42と、ワークアイコン41との間に表示される。
【0038】
更に、取引分別操作画面4は、戻るボタン44と、未処理件数表示部45と、節税額表示部46とを含む。戻るボタン44は、直前の分別処理を取消すための操作ボタンである。戻るボタン44は、仕訳情報画像40の下部に重畳表示される。未処理件数表示部45は、未分別の取引仕訳情報の数を表示する。未処理件数表示部45は、仕訳情報画像40の上方に表示される。節税額表示部46は、現在、情報処理装置1に蓄積されている事業用の取引仕訳情報に基づいて算出される節税額を表示する。節税額表示部46は、未分別の取引仕訳情報の分類が行われる都度、再計算された節税額を表示する。節税額表示部46は、例えば、取引分別操作画面4の最上部に表示される。
なお、本実施形態1では、節税額表示部46に節税額を表示する例を説明するが、情報処理装置1に蓄積されている事業用の取引仕訳情報に基づいて算出される納税額を表示するように構成してもよい。また、実質的に節税額又は納税額に関連する情報を表示するように構成してもよい。
【0039】
次いで、制御部21は、操作部25によるスワイプ操作及びタップ操作を監視し、図8Aに示すように、仕訳情報画像40が右方(第1方向)へスワイプ操作されたか否かを判定する(ステップS18)。仕訳情報画像40が右方へスワイプ操作されていない場合(ステップS18:NO)、制御部21はワークアイコン41がタップ操作されたか否かを判定する(ステップS19)。ワークアイコン41のタップ操作は、本開示に係る第1態様のタップ操作に相当する。仕訳情報画像40が右方へスワイプ操作された場合(ステップS18:YES)、又はワークアイコン41がタップ操作された場合(ステップS19:YES)、制御部21は、仕訳情報画像40に係る取引仕訳情報を事業用カテゴリに分別し(ステップS20)、ワークアイコン41を点灯させる(ステップS21)。ワークアイコン41の点灯は、例えばワークアイコン41の画像の色を変更する処理であり、ユーザに取引仕訳情報が事業用カテゴリに分別されたことを明確に認識させるための処理である。なお、ワークアイコン41の画像の形状を変化させるように構成してもよい。カテゴリ分別後の処理(ステップS31~)については後述する。
【0040】
ワークアイコン41がタップ操作されていない場合(ステップS19:NO)、制御部21は、操作部25によるスワイプ操作及びタップ操作を監視し、図8Bに示すように、仕訳情報画像40が左方(第2方向)へスワイプ操作されたか否かを判定する(ステップS22)。仕訳情報画像40が左方へスワイプ操作されていない場合(ステップS22:NO)、制御部21はプライベートアイコン42がタップ操作されたか否かを判定する(ステップS23)。プライベートアイコン42のタップ操作は、本開示に係る第2態様のタップ操作に相当する。仕訳情報画像40が左方へスワイプ操作された場合(ステップS22:YES)、又はプライベートアイコン42がタップ操作された場合(ステップS23:YES)、制御部21は、仕訳情報画像40に係る取引仕訳情報を個人用カテゴリに分別し(ステップS24)、プライベートアイコン42を点灯させる(ステップS25)。プライベートアイコン42の点灯は、例えばプライベートアイコン42の画像の色を変更する処理であり、ユーザに取引仕訳情報が個人用カテゴリに分別されたことを明確に認識させるための処理である。なお、プライベートアイコン42の画像の形状を変化させるように構成してもよい。カテゴリ分別後の処理(ステップS31~)については後述する。
【0041】
プライベートアイコン42がタップ操作されていない場合(ステップS23:NO)、制御部21は、戻るボタン44がタップ操作されたか否かを判定する(ステップS26)。戻るボタン44がタップ操作された場合(ステップS26:YES)、制御部21は、直前に行われた取引仕訳情報の分別を取り消す(ステップS27)。カテゴリ分別の取消後の処理(ステップS31~)については後述する。
【0042】
戻るボタン44がタップ操作されていない場合(ステップS26:NO)、制御部21は、スキップアイコン43がタップ操作されたか否かを判定する(ステップS28)。スキップアイコン43のタップ操作は、本開示に係る第3態様のタップ操作に相当する。スキップアイコン43がタップ操作された場合(ステップS28:YES)、制御部21は、仕訳情報画像40に係る取引仕訳情報を分別保留カテゴリに分別し(ステップS29)、スキップアイコン43を点灯させる(ステップS30)。スキップアイコン43の点灯は、例えばスキップアイコン43の画像の色を変更する処理であり、ユーザに取引仕訳情報が分別保留カテゴリに分別されたことを明確に認識させるための処理である。なお、スキップアイコン43の画像の形状を変化させるように構成してもよい。カテゴリ分別後の処理(ステップS31~)については後述する。
【0043】
なお、本実施形態1では、スキップアイコン43がタップ操作された場合、取引仕訳情報を分別保留カテゴリに分別する例を説明したが、仕訳情報画像40が下方又は上方(第3方向)にスワイプ操作された場合に、取引仕訳情報を分別保留カテゴリに分別するように構成してもよい。
【0044】
ステップS21,25,27,30の処理を終えた制御部21は、取引仕訳情報の分別結果を情報処理装置1へ送信する(ステップS31)。情報処理装置1の処理部11は、携帯通信機2から送信された分別結果を受信し、記憶する(ステップS32)。
【0045】
次いで、処理部11は、事業用カテゴリに分別された取引仕訳情報及びサーバ記憶部12が記憶する想定年収情報に基づいて、節税額を算出する(ステップS33)。納税額の計算は、行政によって定められた計算式に基づいて算出すればよい。処理部11は、想定年収情報が示す収入から、事業用カテゴリに分別された取引仕訳情報が示す経費、所得控除、青色申告特別控除等を減算して課税所得を算出し、算出された課税所得に基づいて税率を算出する。そして、処理部11は、事業用カテゴリに分別された取引仕訳情報が示す経費の総額に、算出された税率を乗算することによって、節税額を算出する。
【0046】
そして、処理部11は、算出された節税額を携帯通信機2へ送信する(ステップS34)。携帯通信機2は、情報処理装置1から送信された節税額を受信し(ステップS35)、受信した節税額を節税額表示部46に表示する(ステップS36)。
【0047】
一方、情報処理装置1の処理部11は、同一サービス分類(同一取引情報源)からの同一取引名の取引が二回(複数回)連続同一のカテゴリに分別されたか否かを判定する(ステップS37)。ステップS31で受信した分別結果と、過去に行われた分別結果とを比較し、同一取引、同一カテゴリの分別結果があるか否か、より具体的には、取引名と、サービス分類とが同じ直近の取引仕訳情報が同一のカテゴリに分別されているか否かを判定する。
【0048】
二回連続同一カテゴリに分別されていると判定した場合(ステップS37:YES)、制御部21は、自動分別設定の可否について携帯通信機2に確認を要求する(ステップS38)。情報処理装置1の要求に応じて、携帯通信機2は、自動分別の設定を受け付ける(ステップS39)。具体的には、情報処理装置1は、ステップS37で同一取引、同一カテゴリと判断された取引仕訳情報と同一の取引(取引名及び分類サービスが同一)について、自動的に、個人用又は事業用の分別を行うか否かを確認するためのモーダルを携帯通信機2に表示させるための情報を携帯通信機2へ送信する。
【0049】
携帯通信機2は、情報処理装置1から送信された当該情報を受信した場合、図9に示すように、同一取引、同一カテゴリと判断された取引仕訳情報と同一の取引(取引名及び分類サービスが同一)について、自動的に、個人用又は事業用の分別を行うか否かを確認するための自動分別設定モーダル47を表示し、自動分別を設定するか否かを受け付け、受付結果を情報処理装置1へ送信する。自動分別設定モーダル47は、自動分別対象となる取引名及びサービス分類と、分別されるカテゴリとを表示する。また、自動分別設定モーダル47は、自動分類設定を行うか否かを選択するための「はい」ボタン及び「いいえ」ボタンを含む。携帯通信機2は、自動分別設定モーダル47を通じて自動分別の設定を行うか否かを受け付け、設定の要否を示す情報を情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1は、自動分別設定モーダル47の「はい」ボタンが操作された場合、自動分別条件を自動分別テーブル12dに登録する(ステップS40)。
なお、本実施形態1では、同一取引が二回連続同一カテゴリに分別されているか否かの判定を情報処理装置1が行う例を説明したが、ステップS37、39、40の処理を携帯通信機2が行うように構成してもよい。この場合、携帯通信機2は、過去に分別された取引仕訳情報及び自動分別テーブル12dを記憶し、ステップS37の判定処理、ステップS40の記憶処理を実行する。
【0050】
一方で、携帯通信機2は、操作部25の操作を監視し、確定申告処理の開始を受け付けたか否かを判定する(ステップS41)。確定申告の処理の開始操作がなかった場合(ステップS41:NO)、制御部21は処理をステップS16へ戻し、未処理の取引仕訳情報の分別処理を継続する。なお、上記処理によって、取引仕訳情報の分別が行われた場合、ステップS16で表示される未分別の取引仕訳情報の数は一つ減る。コンピュータプログラム22aに係るアイコンに通知バッジに表示される未分別の取引仕訳情報の数も一つ減る。
【0051】
確定申告処理の開始操作があった場合(ステップS41:YES)、制御部21は、確定申告関連処理の実行を情報処理装置1に要求する(ステップS42)。
【0052】
情報処理装置1の処理部11は、携帯通信機2から送信された要求を受信し(ステップS43)、要求に応じて、確定申告に係る処理を実行する(ステップS44)。例えば、処理部11は、会計DB12bに蓄積され、事業用カテゴリに分別された取引仕訳情報に基づいて、確定申告書を作成する処理を実行する。また、処理部11は、ユーザの指示に従って、確定申告書の提出処理を実行する。
【0053】
次いで、情報処理装置1は、確定申告に係る処理結果を送信する(ステップS45)。携帯通信機2の制御部21は、情報処理装置1から送信された処理結果を受信し(ステップS46)、確定申告関連処理の結果を表示部24に表示する(ステップS47)。
【0054】
なお、取引仕訳情報を用いて実行する会計処理の例として、確定申告書の作成処理及び提出処理を説明したが、財務諸表、計算書類等の作成等、その他の会計処理を実行するように構成してもよい。
【0055】
以上の通り、本実施形態1によれば、膨大な取引情報が蓄積されることなく、簡単なスワイプ操作又はタップ操作によって、取引情報を、個人用と事業用とに分別することができる。そして、事業用として分別された取引仕訳情報に基づいて、確定申告関連処理、その他の会計処理を実行することができる。個人事業主等のユーザは大幅に効率的に記帳作業、会計処理を行うことができる。
【0056】
また、スワイプ操作によって取引を事業用カテゴリ又は個人用カテゴリに分別された際、ワークアイコン41又はプライベートアイコン42が点灯する構成であるため、ユーザは、仕訳情報画像40のスワイプ操作によって分別されたカテゴリを視認及び確認することができる。従って、ユーザは、取引を誤りなく分別することができる。
【0057】
更に、事業用か個人用か後で確認したい取引については、スキップアイコン43をタップすることによって分別を保留することができる。
【0058】
また、スキップアイコン43のタップ操作によって取引を分別保留カテゴリに分別された際、スキップアイコン43が点灯する構成であるため、ユーザは、取引仕訳情報が分別保留カテゴリに分類されたことを明確に認識することができる。従って、ユーザは、取引を誤りなく分別することができる。
【0059】
更にまた、プライベートアイコン42、ワークアイコン41、スキップアイコン43のタップ操作によっても、取引を分別することができる。
【0060】
未だ分別が行われていない取引の数を表示することによって、ユーザに未処理件数を認識させ、カテゴリ分別のモチベーションを与えることができる。
【0061】
更にまた、取引の分別が行われる都度、節税額を表示することができる。ユーザに、節税額の増加を認識させ、カテゴリ分別のモチベーションを与えることができる。日々の記帳の成果が目に見えて分かるようになり、記帳ないし取引仕訳情報のカテゴリ分類の動機が高くなる。
【0062】
二回連続同一カテゴリに分別された同一取引については、自動で事業用又は個人用の分別が行われるため、より効率的に取引仕訳情報を分別することができる。
【0063】
更にまた、戻るボタン44の操作によって、取引の分別を取り消すことができる。つまり、誤って取引を分別した場合であっても直ちに分別をやり直すことができる。
【0064】
なお、本実施形態1では、図7図9に示すように、右側にワークアイコン41、左側にプライベートアイコン42を表示し、仕訳情報画像40が右側にスワイプ操作された場合、取引仕訳情報が事業用カテゴリに分別され、左側にスワイプ操作された場合、取引仕訳情報が個人用カテゴリに分類される例を説明したが、カテゴリ分別のスワイプ操作方向及びアイコンの配置を左右逆に設定してもよい。また、取引仕訳情報のカテゴリ分類のためのスワイプ操作方向及びアイコンの配置を上下に設定してもよい。
【0065】
また、仕訳情報画像40のスワイプ操作又は各種アイコンのタップ操作によって、取引仕訳情報をカテゴリ分類する例を説明したが、シングルタップ、ダブルタップ等のタップ操作の種類によって、取引仕訳情報をカテゴリ分類するように構成してもよい。また、仕訳情報画像40又はその周辺のタップ位置によって、カテゴリ分類するように構成してもよい。
【0066】
更に、取引の仕訳、取引仕訳情報の自動分別、節税額の計算、確定申告書の作成等の会計処理を情報処理装置1が実行する例を説明したが、携帯通信機2が取引明細情報又は取引仕訳情報を記憶し、携帯通信機2の制御部21がこれらの処理を実行するように構成してもよい。各種処理の実行主体は特に限定されるものではない。
【0067】
更にまた、本実施形態1では、ステップS37~ステップS40の処理によって、二回連続同一カテゴリに分別された同一取引について自動分別条件を登録する例を説明したが、ユーザの操作によって入力された自動分別条件を登録するように構成してもよい。具体的には、携帯通信機2は、操作部25にて自動分別条件を受け付ける。自動分別条件は、サービス分類(同一取引情報源)と、取引名と、分別するカテゴリとを含む。携帯通信機2は、受け付けた自動分別条件を情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1は携帯通信機2から送信された自動分別条件を受信し、自動分別テーブル12dに登録する。
なお、自動分別処理を携帯通信機2が実行する構成の場合、ユーザの操作によって受け付けた自動分別条件を、携帯通信機2の記憶部22が記憶する自動分別テーブルに登録する。
【0068】
また、本実施形態1では、仕訳情報画像40を含む取引分別操作画面4に、節税額表示部46を表示する例を説明したが、仕訳情報画像40を含まない任意の会計処理画面に節税額表示部46を表示するように構成してもよい。例えば、複数の取引仕訳情報の一覧表示画面に節税額表示部46を表示するように構成してもよい。当該一覧表示画面は、複数の取引仕訳情報それぞれが、事業用であるか個人用であるかを選択するためのチェックボックス、ラジオボタン等の選択部を含み、携帯通信機2は、当該選択部によって、取引仕訳情報が事業用又は個人用に変更される都度、再計算された節税額を表示する。この節税額表示部46は、納税額を表示するように構成してもよい。また、実質的に節税額又は納税額に関連する情報を表示するように構成してもよい。
【0069】
また、本実施形態1では、仕訳情報画像40のスワイプ操作による取引仕訳情報の分別を前提にして、取引仕訳情報を自動的にカテゴリ分類する例を説明したが、仕訳情報画像40のスワイプ操作による取引仕訳情報の分別を行わない会計処理システムにおいても、情報処理装置1が受信した取引仕訳情報を自動的にカテゴリ分類するように構成してもよい。例えば、複数の取引仕訳情報の一覧表示画面において、同一サービス分類(同一取引情報源)からの同一取引名の取引が二回(複数回)連続同一のカテゴリに分別された場合、当該分別に係る情報を自動分別テーブル12dに登録し、以後、情報処理装置1がサービス提供サーバ3から取引明細情報を取得する都度、自動分別テーブル12dを参照し、取引仕訳情報を自動的に事業用又は個人用に分別するように構成してもよい。
【0070】
(実施形態2)
実施形態2に係る会計処理システムは、取引仕訳情報の分別に迷うユーザに対して、取引仕訳情報を事業用と個人用とに分別するための助言を行うことができる点が実施形態1と異なる。会計処理システムのその他の構成は、実施形態1に係る会計処理システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0071】
図10は、本実施形態2に係る会計処理システムの構成例を説明する模式図である。
実施形態2に係る会計処理システムは、情報処理装置1、携帯通信機2、サービス提供サーバ3に加え、大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)に係るAPI(Application Programming Interface)を提供するLLMサーバ5を備える。情報処理装置1は、通信網Nを介してLLMサーバ5にアクセスし、APIを通じてLLMサーバ5によるLLMを利用したサービスを利用することができる。
【0072】
LLMサーバ5のハードウェア構成は、情報処理装置1と同様であり、大規模言語モデルを備える。大規模言語モデルは、例えばトランスフォーマー(Transformer)と呼ばれる機構を用いた機械学習モデルである。大規模言語モデルは、ユーザの業種情報と、取引仕訳情報の取引名と、サービス分類(取引情報源に係る情報)とを含み、当該取引名の取引が個人用であるか、事業用であるかを問い掛け、助言を求める文章(以下、問合せ文章と呼ぶ)が入力された場合に、当該取引が個人用か事業用かの判断結果、又は当該取引が個人用か事業用かを分別する判断のヒントになる文章(以下、助言文書と呼ぶ)を出力するモデルである。問合せ文章は、例えば、「私はXXX(業種情報)を営む会社の経営者です。私の取引明細に、YYY(取引名)の名称でZZZ銀行(サービス分類)から引き落としという取引がありました。この取引が個人用か事業用のどちらでしょうか?助言を下さい。」のような文章である。助言文章は、例えば「YYYという取引名から、この取引は事業用ではなく、個人用の取引である可能性が非常に高いと考えられます。なぜなら…」のような文章である。
なお、大規模言語モデルとしては、汎用的なLLMを利用してもよいし、取引仕訳情報を事業用か個人用かを分別するための的確な助言を出力できるようにファインチューニングしたものであってもよい。
【0073】
図11は、本実施形態2に係る取引分別操作画面4を示す模式図である。実施形態2に係る取引分別操作画面4は、実施形態1と同様にして、一つの仕訳情報画像40、ワークアイコン41、プライベートアイコン42、スキップアイコン43等を備え、更にAI判定ボタン48を含む。取引分別操作画面4に表示されている仕訳情報画像40に係る取引仕訳情報が事業用か個人用かの判断に迷う場合、ユーザは、AI判定ボタン48をタップ操作すると、取引仕訳情報が事業用又は個人用のいずれである可能性が高いか、分別方法のヒントが表示される。
【0074】
具体的には、携帯通信機2の制御部21は、操作部25によるAI判定ボタン48のタップ操作を監視する。制御部21は、AI判定ボタン48が操作された場合、ユーザの業種情報と、取引仕訳情報の取引名と、サービス分類(取引情報源に係る情報)とを含み、分別に関する助言を要求するデータを情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1は、当該データを受信する。情報処理装置1の処理部11は、受信したデータに含まれるユーザの業種情報と、取引仕訳情報の取引名と、サービス分類とを含み、当該取引名の取引が個人用であるか、事業用であるかを問い掛け、助言を求める問合せ文章を生成する。そして、処理部11は、サーバ通信部13を介してLLMサーバ5にアクセスし、生成した問合せ文章を用いてAPIを呼び出す。LLMサーバ5は、情報処理装置1による呼び出しに応じて、当該問合せ文章を大規模言語モデルに入力し、当該大規模言語モデルから出力される助言文書を、情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1は、当該助言文章を受信し、受信した助言文章を携帯通信機2へ送信する。携帯通信機2は、情報処理装置1から送信された助言文章を通信部23にて受信し、受信した助言文章を表示部24に表示する。
【0075】
このように構成された実施形態2に係る会計処理システムによれば、携帯通信機2に表示された取引の分別が難しいものであって、ユーザに当該取引が事業用か個人用かの判断を行うヒントである助言文章を表示することができる。ユーザは、表示部24に表示された助言文章を参考にして、取引情報を、個人用と事業用とに分別することができる。
従って、ユーザは、取引の分別に迷うこと無く、取引情報を事業用又は個人用に分別することができ、効率的に記帳作業、会計処理を行うことができる。
【0076】
なお、本実施形態2では、情報処理装置1と、LLMサーバ5とを別体のサーバとして説明したが、情報処理装置1が大規模言語モデルを備えるように構成してもよい。この場合、情報処理装置1の処理部11は、情報処理装置1が備える大規模言語モデルに、生成した問合せ文章を入力し、当該大規模言語モデルから出力される助言文書を携帯通信機2へ送信する。携帯通信機2は、情報処理装置1から送信された助言文章を通信部23にて受信し、受信した助言文章を表示部24に表示する。
【0077】
本開示の課題を解決するための手段を付記する。
(付記1)
取引内容を示した取引情報を取得し、
取得した前記取引情報に基づく仕訳情報画像を表示し、
前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付け、
前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別する
会計処理支援方法。
(付記2)
前記第1方向側に事業用を示す第1画像を表示し、前記第2方向側に個人用を示す第2画像を表示し、
前記仕訳情報画像に係る前記取引情報が前記事業用カテゴリに分別された場合、前記第1画像を変化させ、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報が個人用カテゴリに分別された場合、前記第2画像を変化させる
付記1に記載の会計処理支援方法。
(付記3)
前記仕訳情報画像が第3方向にスワイプ操作された場合又は第3態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を、分別保留カテゴリに分別する
付記1又は付記2に記載の会計処理支援方法。
(付記4)
前記第1画像がタップ操作された場合、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報を前記事業用カテゴリに分別し、前記第2画像がタップ操作された場合、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別し、分別保留を示す第3画像がタップ操作された場合、前記仕訳情報画像に係る前記取引情報を前記分別保留カテゴリに分別する
付記1から付記3のいずれか1つに記載の会計処理支援方法。
(付記5)
未分別の前記取引情報の数を表示する
付記1から付記4のいずれか1つに記載の会計処理支援方法。
(付記6)
前記取引情報の分別が行われる都度、前記事業用カテゴリに分別された前記取引情報及び想定年収情報に基づく節税額又は納税額に係る情報を表示する
付記1から付記5のいずれか1つに記載の会計処理支援方法。
(付記7)
登録された特定の取引情報源からの特定の取引名の前記取引情報を取得した場合、登録された特定のカテゴリに分別する
付記1から付記6のいずれか1つに記載の会計処理支援方法。
(付記8)
同一取引情報源からの同一取引名の前記取引情報が複数回、同一カテゴリに分別された場合、以後、前記同一取引情報源から前記同一取引名の取引情報を取得した場合、該取引情報を前記同一カテゴリに分別する
付記1から付記7のいずれか1つに記載の会計処理支援方法。
【符号の説明】
【0078】
1 :情報処理装置
2 :携帯通信機
3 :サービス提供サーバ
4 :取引分別操作画面
11 :処理部
12 :サーバ記憶部
12a :ユーザDB
12b :会計DB
12c :仕訳学習モデル
12d :自動分別テーブル
13 :サーバ通信部
20 :記録媒体
21 :制御部
22 :記憶部
22a :コンピュータプログラム
23 :通信部
24 :表示部
25 :操作部
26 :スピーカ
27 :マイク
40 :仕訳情報画像
41 :ワークアイコン
42 :プライベートアイコン
43 :スキップアイコン
44 :ボタン
45 :未処理件数表示部
46 :節税額表示部
47 :自動分別設定モーダル
【要約】      (修正有)
【課題】膨大な取引仕訳情報が蓄積されることなく、簡単なスワイプ操作又はタップ操作によって、取引仕訳情報を、個人用と事業用とに分別することができる会計処理支援方法、装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置による会計処理手順は、取引内容を示した取引情報を取得し、取得した前記取引情報に基づく仕訳情報画像を表示し、前記仕訳情報画像のスワイプ操作又はタップ操作を受け付け、前記仕訳情報画像が第1方向にスワイプ操作された場合又は第1態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を事業用カテゴリに分別し、前記仕訳情報画像が第2方向にスワイプ操作された場合又は第2態様でタップ操作された場合、該仕訳情報画像に係る前記取引情報を個人用カテゴリに分別する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11