(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】シリンジ用薬剤混合ユニット
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
(21)【出願番号】P 2023514427
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 KR2021011915
(87)【国際公開番号】W WO2022050751
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0113856
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518165752
【氏名又は名称】ハイセンスバイオ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュ ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ ドン ソル
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527427(JP,A)
【文献】実開平04-071939(JP,U)
【文献】実開昭53-074996(JP,U)
【文献】特表2014-505546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が引き入れられるための第1流路が形成されたバレル部材と;
前記バレル部材に挿入される挿入部が備えられ前記挿入部の内側に混合薬剤が引き出されるための第2流路と、前記挿入部の一側面に前記第2流路と連結された貫通ホールとが形成されたプラグ部材と;を含み、
前記プラグ部材は、前記バレル部材と結合して所定の薬剤混合空間を形成し、
前記薬剤混合空間には、前記第1流路を介して引き入れられた薬液と混合して前記混合薬剤を形成するための薬剤が備えられ、
前記バレル部材の内側面には、前記混合薬剤が前記薬剤混合空間から前記貫通ホールに移動するための第3流路が形成され、
前記バレル部材は、外側一面に前記第1流路を形成する突出型スパイクニードルを備え、
前記スパイクニードルは、外側面に前記第1流路と連結された複数の開口を有し、
前記開口は、前記スパイクニードルの長手方向に沿って延びる長孔であり、
前記第1流路は、前記バレル部材の内側底面に隣接するほど広い半径を有するように備えられ、
前記薬剤混合空間は、前記第1流路と離隔された所定の位置から前記第3流路に達するまでらせん状の経路を形成し、
前記らせん状の経路は、前記バレル部材の内側底部から前記プラグ部材の挿入部外側底面に接するように設けられた連続する隔壁部によって形成され、
前記第2流路は、前記薬液が引き入れられるための負圧を提供するシリンジと結合し、
前記第1流路、第2流路および第3流路は、互いに直接連結されておらず、
前記長孔の長手方向の開口長さは、前記第1流路の内径よりも大きく、
前記貫通ホールの内径は、前記第1流路の内径よりも大きく、前記第2流路よりも小さ
く、
前記第3流路の内径は、前記第1流路の内径よりも大きく、前記貫通ホールの内径よりも小さい、ことを特徴とする、薬剤混合ユニット。
【請求項2】
前記プラグ部材は、前記第2流路を形成する突出結合部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項3】
前記貫通ホールと前記第3流路とは、所定の距離を離隔して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項4】
前記薬剤混合ユニットは、前記第1流路を外気と遮断するために備えられた前記バレル部材が挿入支持される保護部と、
前記保護部と前記薬液が保管されているバイアルの上部キャップを固定支持するための把持部が一体で形成されたアンダーキャップとをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項5】
前記薬剤混合ユニットは、前記第2流路を外気と遮断するための上部キャップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項6】
前記薬剤混合ユニットは、前記第1流路を外気と遮断するために前記スパイクニードルが挿入支持されるラバーストッパをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項7】
前記第1流路は、前記バレル部材の内側底部から所定の高さで突出して形成されるが、前記プラグ部材の挿入部下端面よりも低い高さで形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項8】
前記薬剤は、液状薬剤、粉状薬剤または粒状薬剤であることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項9】
前記プラグ部材と前記バレル部材とは、互いに結合支持するための凹凸部によって結合するか、またはネジ山による回転結合式で結合するように備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【請求項10】
前記挿入部よりも大きい外径を有するように設けられた支持部をさらに含み、
前記プラグ部材の挿入部と支持部との間に、前記バレル部材と結合する際に外気を遮断するためのシリコンリング部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬剤混合ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤混合ユニットに関するものであり、より詳細には、シリンジに結合して利用するための異種薬剤混合用薬剤混合ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリンジ(syringe)または注射器は、液体物質を注入または取り出すときに使用する道具である。注入するための液体物質が予め用意され、これを注入する前にシリンジに充填して使用する方法が一般的であるが、一部の薬品は溶液の状態で早く分解され効能を喪失し得るため、予め液体物質に準備しにくい場合となり、注射直前に液体物質の形態で準備することもある。また、薬品保管の安定性のために冷蔵および特殊包装をする必要がある場合には、注入直前に混合して使用されることとなる。
【0003】
シリンジを介して注入される薬物の場合、汚染防止や酸化防止のために、外気などと遮断された状態で混合され、混合された液剤が外気から分離された状態でシリンジ内部に充填されなければならない。特に、保管の安全性を確保するために、ほとんどの薬剤は粉末または錠剤(tablet)状の固体形態に製造されるが、固体薬剤を投与する前に液体剤形に再構成するために複雑なプロセスが先行されなければならず、工程中に薬剤の汚染、気泡発生等の危険性が存在する。
【0004】
2種類以上の薬剤を同時に注入可能な注射器に関する先行文献として特許文献1、特許文献2などがあり、これらの技術はいずれも大径の第1注射器内部に小径の第2注射器を挿入し、大径の第1注射器内部のピストンと小径の第2注射器の吐出口とを連結して、前記小径の第2注射器に内蔵された液体状の薬剤を大径の第1注射器内部の粉末に供給して混合する構造を有している。
【0005】
しかし、前記先行文献によると、一つの大きい注射器内部に第2注射器が挿入される方法であって、各薬剤別に十分に密閉された個別空間が確保されるものではなく、注射器の結合により薬剤混合空間が確保されるものであるので、薬剤の保管安定性が低く、第2注射器の作動が第1注射器の作動に影響を及ぼし得るため、誤作動の可能性が高い。
【0006】
また、注射されるための異種の薬品が液体状の場合、混合が速い速度で行われ得るが、粉末や錠剤など固体状の薬品が希釈液と混合される場合には、混合のために十分に振る過程などを経る必要があるため、振る過程で気泡が形成される可能性が存在する。
【0007】
粉末や錠剤などが保管された別途の容器に、希釈液が充填されたシリンジを結合して、体内に直ちに注射するための方法の提案もされているが、前述のように粉状または錠剤状の薬品が十分に溶解し難く、ニードルが詰まることが発生し得る。
【0008】
シリンジを介して希釈液が注入される場合、十分に溶解していない粉状または錠剤状の薬品は、注射器のニードルを塞いで薬品の流れを阻害し得る。注射直前に粉状薬品を十分に溶解するために、希釈液と粉状薬品との接触経路と時間を増やして溶解時間を十分に確保する方案が考えられる。しかし、この場合でも粉状薬品が十分に溶解するとは断定し難い。特に、ニードルを塞いでいた粉状物質または粒状物質が希釈液によって溶解され、ニードルの薬剤移動経路が一気に開放されると、薬液が過度に速い速度で注入されることがあり、そうすると、プランジャを過圧力で操作する際にニードルが圧力によってシリンジから分離され得る。さらには、別途の容器がシリンジに結合した状態で注入が行われる必要のある場合には、シリンジが接近するための十分な空間が確保されないと、使いやすさが大きく低下し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0017947号公報
【文献】韓国公開特許第10-2011-0041826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、異種薬品が外部の空気と接触することのない密閉状態で混合されるようにすることにより、薬品の汚染可能性を大きく下げることを目的とする。
【0011】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、シリンジプランジャの操作により発生する負圧によって移動した希釈液が、薬剤混合ユニット内に予め備えられた薬品と混合されシリンジのシリンダに移動してシリンジに充填されることにより、薬剤混合の利便性を増大することを目的とする。
【0012】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、内部に予め備えられた粉状の薬品がシリンジプランジャの操作により発生する負圧によって移動した希釈液とともに移動しながら混合される十分な時間が確保されるようにする、延長された移動経路を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、シリンジプランジャの操作により発生する少ない負圧によっても、十分な希釈液が粉状の薬品と混合されシリンジのシリンダに移動するようにすることを目的とする。
【0014】
本発明の目的は、以上で言及したものに制限されず、言及されていない他の目的は、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記技術的課題を解決するための本発明の一態様による薬剤混合ユニットは、薬液が引き入れられるための第1流路が形成されたバレル部材;およびバレル部材に挿入される挿入部が備えられ挿入部の内側に混合薬剤が引き出されるための第2流路と、挿入部の一側面に第2流路と連結された貫通ホールとが形成されたプラグ部材;を含み、プラグ部材は、バレル部材と結合して所定の薬剤混合空間を形成し、薬剤混合空間には、第1流路を介して引き入れられた薬液と混合して前記混合薬剤を形成するための薬剤が備えられ、バレル部材の内側面に混合薬剤が薬剤混合空間から貫通ホールに移動するための第3流路が形成される。
【0016】
ここで、バレル部材は、外側一面に第1流路を形成する突出型スパイクニードルを備え、スパイクニードルは、外側面に第1流路と連結された少なくとも1つ以上の開口を形成し得る。
【0017】
ここで、プラグ部材は、第2流路を形成する突出結合部を備え得る。
【0018】
ここで、薬剤混合空間は、第1流路と離隔された所定の位置から第3流路に至るまでらせん状の経路を形成し、らせん状経路は、バレル部材の内側底部からプラグ部材の挿入部外側底面に接するように設けられた連続する隔壁部によって形成され得る。
【0019】
ここで、貫通ホールと第3流路とは、所定の距離を離隔して配置され得る。
【0020】
ここで、薬剤混合ユニットは、第1流路を外気と遮断するために備えられたバレル部材が挿入支持される保護部と、保護部と薬液が保管されているバイアルの上部キャップを固定支持するための把持部が一体で形成されたアンダーキャップとをさらに含み得る。
【0021】
ここで、薬剤混合ユニットは、第2流路を外気と遮断するための上部キャップをさらに含み得る。
【0022】
ここで、第2流路は、薬液が引き入れられるための負圧を提供するシリンジと結合するように備えられ得る。
【0023】
ここで、薬剤混合ユニットは、第1流路を外気と遮断するためにスパイクニードルが挿入支持されるラバーストッパをさらに含み得る。
【0024】
ここで、第1流路、第2流路および第3流路は、互いに直接連結されないように備えられ得る。
【0025】
ここで、第1流路は、バレル部材の内側底部から所定の高さで突出して形成されるが、プラグ部材の挿入部下端面よりも低い高さで形成され得る。
【0026】
ここで、薬剤は、液状薬剤、粉状薬剤または粒状薬剤であり得る。
【0027】
ここで、プラグ部材とバレル部材とは、相互結合支持するための凹凸部により結合するか、またはネジ山による回転結合式で結合されるように備えられ得る。
【0028】
ここで、挿入部よりも大きい外径を有するように設けられた支持部をさらに含み、プラグ部材の挿入部と支持部との間に、バレル部材と結合する際に外気との遮断のためのシリコンリング部材をさらに含み得る。
【0029】
ここで、貫通ホールの内径は、第1流路の内径よりも大きく、第2流路よりも小さく形成され得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、希釈液が備えられたバイアルに気密(air tightness)結合することにより、混合される異種薬品が外部の空気と接触することのない密閉状態で混合されるようにすることにより、薬品の汚染可能性を大きく下げることができる。
【0031】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、シリンジプランジャの操作により発生する負圧によって移動した希釈液が、薬剤混合ユニット内に予め備えられた薬品と混合されシリンジのシリンダに移動するようにしてシリンジに充填されることにより、薬剤混合の利便性を増大し得る。
【0032】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、内部に予め備えられた粉状または液状等の薬品が、シリンジプランジャの操作により発生する負圧によって移動した希釈液または他の薬液とともに移動し、均質な濃度に混合されるよう十分な時間が確保できる、延長された移動経路を提供し得る。
【0033】
本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットは、シリンジプランジャの操作により発生する少ない負圧によっても、十分な希釈液がニードルを介して供給されるようにすることにより、ユーザの利便性を増大し、粉状の薬品と混合されシリンジのシリンダに移動するようにして、薬品の残留を最小化し得る。
【0034】
本発明の効果は、前記で述べたものに制限されず、言及されていない他の効果は、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本発明の実施例による薬剤混合ユニットを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例による薬剤混合ユニットを構成するバレル部材とプラグ部材とが分離された様子と結合された様子とを示す図である。
【
図3】
図3は、バレル部材の内側を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、バレル部材に形成された突出型スパイクニードルの側面を例示した図である。
【
図5】
図5は、スパイクニードルの後断面と側面を例示した図である。
【
図6】
図6は、スパイクニードルを背面方向から見た分解斜視図および側面図である。
【
図7】
図7は、バレル部材とプラグ部材とが分離された状態における断面を例示した図である。
【
図8】
図8は、第1流路、第2流路および第3流路が配置された様子を例示した図である。
【
図9】
図9は、バレル部材とバイアルの上部キャップを固定支持するための把持部が結合された様子(a)と、バレル部材およびスパイクニードルが挿入支持されるラバーストッパとバレル部材が挿入支持される保護部(b)とが結合された様子とを示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例による薬剤混合ユニットがシリンジと結合した様子と、バイアルに結合する前にラバーストッパと保護部とが除去された様子とをそれぞれ示すものである。
【
図11】
図11は、本発明の実施例による薬剤混合ユニットと、把持部、保護部、ラバーストッパ、およびシリンジのそれぞれを例示した図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例による薬剤混合ユニットと、把持部、保護部、ラバーストッパ、および上部キャップが結合した状態からバイアルと結合する様子を時系列的に例示した図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例による薬剤混合ユニットに把持部が装着された状態でバイアルと結合して、薬液がシリンジのシリンダに移動する様子と、最終使用前に混合された薬品と外部空気を遮断するための栓部材とが結合された様子とを時系列的に例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
前記技術的課題を解決するための本発明の一態様による薬剤混合ユニットは、薬液が引き入れられるための第1流路が形成されたバレル部材;および前記バレル部材に挿入される挿入部が備えられ、前記挿入部の内側に混合薬剤が引き出されるための第2流路と前記挿入部の一側面に前記第2流路と連結された貫通ホールとが形成されたプラグ部材;を含み、前記プラグ部材は前記バレル部材と結合して所定の薬剤混合空間を形成し、前記薬剤混合空間には、前記第1流路を介して引き入れられた薬液と混合して前記混合薬剤を形成するための薬剤が備えられ、前記バレル部材の内側面に、前記混合薬剤が前記薬剤混合空間から前記貫通ホールに移動するための第3流路が形成され、前記バレル部材は外側一面に第1流路を形成する突出型スパイクニードルを備え、前記スパイクニードルは、外側面に前記第1流路と連結された複数の開口を備え、前記第1流路は、前記バレル部材の内側底面に隣接するほど広い半径を有するように設けられ、前記薬剤混合空間は、前記第1流路と離隔する所定の位置から前記第3流路に至るまでらせん状の経路を形成し、前記らせん状の経路は、前記バレル部材の内側底部から前記プラグ部材の挿入部外側底面に接するように設けられた連続する隔壁部によって形成され、前記第2流路は、前記薬液が引き入れられるための負圧を提供するシリンジと結合し、前記第1流路、第2流路および第3流路は、互いに直接連結されないように備えられる。
【0037】
ここで、プラグ部材は、第2流路を形成する突出結合部を備え得る。
【0038】
ここで、貫通ホールと第3流路とは、所定の距離を離隔して配置され得る。
【0039】
ここで、薬剤混合ユニットは、第1流路を外気と遮断するために備えられたバレル部材が挿入支持される保護部と、保護部と薬液が保管されたバイアルの上部キャップを固定支持するための把持部が一体で形成されたアンダーキャップをさらに含み得る。
【0040】
ここで、薬剤混合ユニットは、第2流路を外気と遮断するための上部キャップをさらに含み得る。
【0041】
ここで、薬剤混合ユニットは、第1流路を外気と遮断するためにスパイクニードルが挿入支持されるラバーストッパをさらに含み得る。
【0042】
ここで、第1流路は、バレル部材の内側底部から所定の高さで突出して形成されるが、プラグ部材の挿入部下端面よりも低い高さで形成され得る。
【0043】
ここで、薬剤は、液状薬剤、粉状薬剤、または粒状薬剤であり得る。
【0044】
ここで、プラグ部材とバレル部材とは、相互結合支持するための凹凸部により結合するか、またはネジ山による回転結合式で結合されるように備えられ得る。
【0045】
ここで、挿入部よりも大きい外径を有するように設けられた支持部をさらに含み、プラグ部材の挿入部と支持部との間に、バレル部材と結合する際に外気との遮断のためのシリコンリング部材をさらに含み得る。
【0046】
ここで、貫通ホールの内径は、第1流路の内径よりも大きく、第2流路よりも小さく形成され得る。
【実施例】
【0047】
本発明の目的および効果、並びにそれらを達成するための技術的構成は、添付の図面とともに詳細に後述される実施例を参照すると明らかになることである。本発明の説明において、公知の機能または構成に関する具体的な説明が不要に本発明の要旨を曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明における実施例の説明のために定義された用語であって、これは、ユーザ、運用者の意図または慣例などに応じて変わり得る。
【0048】
しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、様々な異なる形態で実現され得る。ただ、本実施例は、本発明の開示が完全となるようにし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を全うに知らせるために提供されるものであり、本発明は特許請求の範囲によって定義されるのみである。したがって、その定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいてなされるべきである。
【0049】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」または「備える」と言うとき、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「~ユニット」、「~部」または「~モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位のことを意味し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現され得る。
【0050】
以下においては、本発明の実施例によるシリンジ用薬剤混合ユニットについて、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0051】
図1は、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000を示す図であり、
図2は、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000を構成するバレル部材100とプラグ部材200とが分離された様子および結合された様子を示す図である。薬剤混合ユニット1000を構成するプラグ部材200とバレル部材100とは、相互結合支持するための凹凸部により結合するか、またはネジ山による回転結合式で結合するように備えられ得る。
【0052】
図1は、嵌合式によりプラグ部材200とバレル部材100とが互いに凹凸部によって結合支持された様子を示している。
【0053】
図1を参照すると、本発明の一実施例による薬剤混合ユニット1000は、薬液が引き入れられるための第1流路10が形成されたバレル部材100と;バレル部材100に挿入される挿入部230が備えられ、挿入部230の内側に混合薬剤が引き出されるための第2流路20と、挿入部230の外側面に第2流路20と連結された貫通ホール220とが形成されたプラグ部材200と;を含み、プラグ部材200はバレル部材100と結合して所定の薬剤混合空間を形成し、薬剤混合空間には、第1流路10を介して引き入れられた薬液と混合して混合薬剤を形成するための薬剤が備えられ、バレル部材100の内側面に、混合薬剤が薬剤混合空間から貫通ホール220に移動するための第3流路30が形成されている。
【0054】
プラグ部材200は、バレル部材100に挿入されるための挿入部230を備える。プラグ部材200の内側には、挿入部230に形成された貫通ホール220と連結された第2流路20が形成される。
図2を参照すると、挿入部230の側面に貫通ホール220が形成された様子を確認し得る。
【0055】
この際、貫通ホール220は、第2流路20と連結されるように形成される場合であれば、挿入部230の一方から第2流路20と出会うポイントまで、または一方と反対側の他方まで貫通した形状で形成され得る。ただし、これに限定されず、第1流路10、薬剤混合空間、第3流路30と第2流路20との気密な連結のための場合は、貫通ホール220は複数で形成され得る。
【0056】
混合薬剤が移動する場合、貫通ホール220の内径は、第1流路10の内径よりは大きく、第2流路20よりは小さく形成され得る。これにより、バイアル等に保管されている希釈液等の薬液の吸入圧力を維持して、一定量の薬液および/または混合薬剤が、第1流路10から第2流路20に円滑な流れを有するようにし得る。
【0057】
図2を参照すると、薬剤混合空間は、バレル部材100とプラグ部材200とが互いに結合する場合、プラグ部材200の挿入部230下端面とバレル部内の内側面との間に形成される。
【0058】
薬剤混合空間は、第1流路10と離隔された所定の位置から第3流路30に至るまでらせん状の経路を形成し、らせん状経路は、バレル部材100の内側底面110からプラグ部材200の挿入部230外側底面に接するように設けられた連続する隔壁部120によって形成され得る。
【0059】
図3は、バレル部材100の内側を示す斜視図である。
図3を参照して、薬剤混合空間をより詳細に説明する。
図3を参照すると、バレル部材100に形成された第1流路10の末端部に隣接して隔壁部120が連続するらせん状の経路を形成することを確認し得る。
【0060】
らせん状経路をなす隔壁部120は、プラグ部材200の挿入部230下端面と当接して、貫通ホール220から伝達される負圧によって第1流路10から供給される薬液が移動し得る気密な移動経路を形成するようになり得る。らせん状経路上には、第1流路10を介して引き入れられた薬液と混合するための薬剤が予め備えられ得る。したがって、このようならせん状経路は、薬液と予め用意された薬剤とが混合される薬剤混合空間として利用され得る。薬液は、薬剤を希釈するための希釈剤であり得るが、これに限定されるものではなく、前記薬剤を溶解し得る溶媒として機能し得る薬品であれば、いかなるものも制限なく使用され得る。
【0061】
一方、薬剤は、液状薬剤、粉状薬剤または粒状薬剤であり得る。例えば、前記薬剤は、凍結乾燥した粉状または粒状の薬品であり得る。凍結乾燥された薬品は、第1流路10を通って流出されない程度の固形性を保持し得る。または、図示してはいないが、第1流路10の末端部には、予め保管されている薬剤が流出しないようにする遮断膜が設けられ、保管されている薬剤の流出を防止し得る。そのような場合、前記遮断膜は、薬液によって溶解するが、前記薬液と薬剤との混合物の効能または効果に影響を及ぼさない素材が使用され得る。
【0062】
また他の例として、第1流路10は、バレル部材100の内側底面110から所定の高さで突出して形成されるが、プラグ部材200の挿入部230下端面よりも低い高さで形成され得る。すなわち、前記第1流路10の末端部は、隔壁部120よりも低い高さで突出して第1流路10の末端部高さに達するようにして、薬剤が第1流路10に排出されることを防止し得る。第1流路10は、バイアル等に保管されている薬液が負圧によって移動する経路であるため、バレル部材100の内側底面110から突出して形成された高さが、隔壁部120にほぼ近い高さまで形成されても、薬剤が保管されているらせん状経路に移動し得る。
【0063】
次に、第1流路10は、薬剤を溶解し得る薬液が移動する通路として用いられる。第1流路10は、スパイクニードル140の内側に形成され、バレル部材100の内側底面110に至るまで薬液の通路となり得る。
【0064】
以下、
図4~
図6を参照して、スパイクニードル140および第1流路10について詳細に説明する。なお、スパイクニードル140はバレル部材100と一体で形成され得るが、説明の便宜のために仮想の分離状態における様子により説明することとする。
【0065】
本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000において、バレル部材100は、外側一面に第1流路10を形成する突出型スパイクニードル140を備え、スパイクニードル140は、外側面に第1流路10と連結された少なくとも1つ以上の開口40a、40b、40c…を形成し得る。
【0066】
図4は、バレル部材100に形成された突出型スパイクニードル140の側面を例示した図であり、
図5は、スパイクニードル140の後断面と側面とを例示した図であり、
図6は、スパイクニードル140を背面方向から見た分解斜視図と側面図である。
【0067】
図4を参照すると、スパイクニードル140の外側面に開口40a、40b、40c…が形成された様子を確認し得る。開口40a、40b、40c…は、少なくとも1つ以上形成されてよく、開口40a、40b、40c…を介して引き入れられた薬液は、第1流路10に移動して薬剤混合空間へ移動することとなる。
【0068】
図5を参照すると、前記スパイクニードル140の外側面に形成された開口40a、40b、40c…から供給された薬液が引き入れられる第1流路10の半径R1は、バレル部材100の内側底面110に隣接する第1流路10の半径R2に比べて小さいことが確認できる。これは、多量の薬液が開口40a、40b、40c…を介して引き入れられる際、一定の圧力を維持しながら引き入れられるが、薬剤に達する前に圧力が下がるようにすることにより、薬剤混合空間に予め準備された薬剤に均等に伝達できるようにするためのものである。
【0069】
図6の(a)を参照すると、3つの開口40a、40b、40cが形成され、薬液の引き入れ通路として設けられ、第1流路10の狭い流入路に進入することによって高圧状態で移動し、予め保管されている薬剤に伝達されるのに広い吐出路に排出することによって排出圧力を下げ得るので、薬液が円滑に移動できるようにする。
【0070】
図6の(b)を参照すると、スパイクニードル140の先端部と開口40a、40b、40c…との間にスパイクニードル140の約1/3~1/2の長さで形成されている開口40a、40b、40c…を確認し得る。これは、大量の薬液を第1流路10に移送することにより、薬液が安定して一定の量で薬剤混合空間に移送され得るようにするためである。スパイクニードル140の下端部iおよび下端部から延びて開口40a、40b、40c…に至る胴体iiは、薬液を保管するバイアルの容量などに応じて適切な長さに形成され得る。この際、前記下端部iは、バイアル等と結合する際に気密性を確保するよう、胴体iiに比べて広い直径を有するように形成されることが好ましい。
【0071】
次に、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000のプラグ部材200について説明する。
【0072】
図1を参照すると、プラグ部材の挿入部230の外側面に貫通ホール220が形成されていることを確認し得る。貫通ホール220は、プラグ部材200の内側に形成された第2流路20と連結され、薬剤混合空間で混合された薬品が第2流路20に移送されるようにする。
【0073】
前述のように、薬液は開口40a、40b、40c…を経て第1流路10に引き入れられ薬剤混合空間に移動し、薬剤混合空間で混合された薬品は、第3流路30を通過して貫通ホール220に移送され、貫通ホール220から移送された混合薬剤(または混合薬品)が第2流路20を介して引き出されるように備えられ得る。
【0074】
薬液、混合薬剤等が移動する第1流路10、第2流路20および第3流路30は、互いに直接連結されないように備えられ得る。以下、
図7および
図8を参照して詳細に説明する。
【0075】
図7は、バレル部材100とプラグ部材200とが分離された状態における断面を例示した図であり、
図8は第1流路10、第2流路20、および第3流路30が配置された様子を例示した図である。
【0076】
図7の(a)を参照すると、プラグ部材200の内部に形成された第2流路20および第2流路20と連結された貫通ホール220を確認し得る。プラグ部材200は、挿入部230よりも大きい外径を有するように設けられた支持部240をさらに含み、プラグ部材200の挿入部230と支持部240との間に、バレル部材100と結合する際、外気を遮断するためのシリコンリング部材をさらに含み得る。
【0077】
挿入部230がバレル部材100に挿入されると、支持部240とバレル部の安着部130とが締結され、挿入部230とバレル部の内側面の隔壁部120とが薬剤混合空間を形成することは前述の通りである。この際、支持部240の下部面には、安着部130との気密結合のためにシリコン部材が挿入固定されるための溝231をさらに備え得る。
【0078】
図8の(a)を参照すると、貫通ホール220は、バレル部材100の内側面と離隔して形成されることを確認し得る。すなわち、挿入部230において貫通ホール220と下部面との間の外側面は、隙間なく当接して結合され、貫通ホール220は、バレル部材100の内側面と所定の隙間を形成するように設けられる。
【0079】
図2および
図8の(b)を参照すると、薬剤混合空間から貫通ホール220に、混合された薬品が移動するように備えられた第3流路30を確認し得る。
【0080】
図8の(b)から分かるように、貫通ホール220と第3流路30とは、所定の距離で離隔して配置され得る。貫通ホール220と第3流路30とが直接連結されるよりは、第3流路30を介して移動した混合薬品が、前記挿入部230の貫通ホール220上部の外側面とバレル部材100の内側面とに形成された所定の隙間を全て満たした後、貫通ホール220に移動するようにすることによって、より混合に必要な十分な時間を設けることが好ましい。
【0081】
前記隙間は、前記シリコン部材により確保された気密性によって、貫通ホール220に伝わるシリンジSから提供される負圧が維持され得る。また、第2流路20は、薬液が引き入れられるための負圧を提供するシリンジSと結合するように備えられ得る。
【0082】
本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000は、シリンジSと結合して使用され得るが、そのためにプラグ部材200は、第2流路20を形成する突出結合部250を備え得る。突出結合部250はシリンジSと結合して、シリンジSのプランジャが移動することによって形成される負圧が第2流路20を介して伝達できるようにする。
【0083】
本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000は、第1流路10を外気と遮断するために備えられた、バレル部材100が挿入支持される保護部3000と、保護部3000と薬液が保管されたバイアルの上部キャップを固定支持するための把持部2000が一体で形成されたアンダーキャップをさらに含み得る。
【0084】
図9は、薬剤混合ユニット1000と、バイアルの上部キャップを固定支持するための把持部2000とが結合された様子と、バレル部材100とスパイクニードル140が挿入支持されるラバーストッパ4000とバレル部材100が挿入支持される保護部3000とが結合された様子を示す図である。
【0085】
図9の(a)を参照すると、バレル部材100が挿入支持される保護部3000と、保護部3000と薬液が保管されたバイアルの上部キャップを固定支持するための把持部2000が一体に形成されたアンダーキャップを確認し得る。把持部2000は、バイアルの外側凹凸部を把持することにより、スパイクニードル140が安定してバイアルに締結されているようにし得る。
【0086】
図9の(b)を参照すると、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000は、第1流路10を外気と遮断するためにスパイクニードル140が挿入支持されるラバーストッパ4000が結合された様子を確認し得る。薬剤混合ユニット1000のスパイクニードル140は、第1流路10と連結された広い開口40a、40b、40c…を形成するので、これにより内部の薬剤が流出されることのないように、ラバーストッパ4000を用いてスパイクニードル140が外気と遮断されるようにし得る。
【0087】
図10は、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000がシリンジSと結合した様子と、バイアルに結合する前にラバーストッパ4000と保護部3000とが除去された様子とをそれぞれ示すものである。
図10の(a)を参照すると、ラバーストッパ4000と保護部3000とが結合した状態でシリンジSと結合し、
図10の(b)に示すように、バイアルにスパイクニードル140を締結する直前にラバーストッパ4000と保護部3000とを除去して使用し得る。
【0088】
図11は、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000と、把持部2000、保護部3000、ラバーストッパ4000、およびシリンジSのそれぞれを例示した図である。図面に配置されたように、隣接する構成順に、薬剤混合ユニット1000と、把持部2000、保護部3000、ラバーストッパ4000、およびシリンジSは、相互嵌合式またはネジ山による回転結合式などにより結合し得る。
【0089】
図12は、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000と、把持部2000、保護部3000、ラバーストッパ4000、および上部キャップが結合された状態からバイアルと結合する様子を時系列的に例示した図である。
【0090】
本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000は、シリンジSと結合して使用される前に、予め薬剤を保管しているので、外部の空気などとは遮断されることが好ましい。そのために、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000は、第2流路20を外気と遮断するための上部キャップをさらに含み得る。
図12の(a)および(b)を参照すると、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000に結合された上部キャップが、使用直前に分離される様子を確認し得る。
【0091】
図12は、バイアルに締結されるまでの様子であり、突出結合部250から上部キャップが除去され、除去された突出結合部250にシリンジSが結合された後、保護部3000および把持部2000が除去され、把持部2000がバイアルの上部キャップと結合する順で使用し得る。
【0092】
次に、
図13は、本発明の実施例による薬剤混合ユニット1000に把持部2000が装着された状態でバイアルと結合して、薬液がシリンジSのシリンダに移動する様子と、最終使用前の混合された薬品と外部空気を遮断するための栓部材が結合された様子とを時系列的に例示した図である。
【0093】
薬剤の流出を防止するために、バイアルと締結するまで、薬剤混合ユニット1000がバイアルよりも地面から上部に位置した状態で下方に移動して結合されることが好ましい。
【0094】
一方、
図13(h)を参照すると、シリンジSのプランジャが地面から上部方向に移動しながらバイアルの薬液が移動するようにする様子が示されている。ただし、これに限定されず、バイアルの大きさ、バイアルに含まれている薬液の量、スパイクニードル140に形成された開口40a、40b、40c…がバイアルに挿入された後の空間的位置等を考慮して、傾けるかまたはバイアルがシリンジSよりも上方に位置するようにして、薬液がシリンジSのシリンダに移動するようにする方法により使用し得る。
【0095】
図13(h)~(l)を参照すると、混合薬剤がシリンジSのシリンダに充填された後、シリンジSの混合薬剤を使用する前まで気密栓を締結して、外気との接触を遮断した状態で保管できることを確認し得る。
【0096】
本明細書および図面には、本発明の好ましい実施例について開示しており、たとえ特定の用語が使用されていても、これは単に本発明の技術内容を分かりやすく説明し、発明の理解を助けるための一般的な意味で使用されたものであって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに開示された実施例の他にも、本発明の技術的思想に基づく他の変形例が実施可能であることは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に自明なことである。