(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】メモリ素子を有する半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20241029BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20241029BHJP
G11C 11/401 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H10B12/00 801
H10B12/00 671A
H10B12/00 671Z
G11C16/04
G11C11/401
(21)【出願番号】P 2023528237
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2022048611
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】311014428
【氏名又は名称】ユニサンティス エレクトロニクス シンガポール プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Unisantis Electronics Singapore Pte Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 望
(72)【発明者】
【氏名】各務 正一
(72)【発明者】
【氏名】作井 康司
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/208658(WO,A1)
【文献】特開2019-197772(JP,A)
【文献】特表2010-519770(JP,A)
【文献】特開2009-026448(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0227478(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
G11C 16/04
G11C 11/401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメモリ素子と、MOSトランジスタと、第2のメモリ素子とを含む半導体装置であって、
前記第1のメモリ素子は、
基板上に、前記基板に対して、垂直方向に立つ第1の半導体柱と、
前記第1の半導体柱の底部に繋がる第1の不純物層と、
前記第1の半導体柱の下方を覆う第1のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層の一部又は全てを覆う第1のゲート導体層と、
前記第1の不純物層と前記第1のゲート導体層との間にある第1の絶縁層と、
前記第1のゲート導体層上にあり、且つ前記第1の半導体柱を囲んだ第2の絶縁層と、
垂直方向において、前記第1のゲート絶縁層より上方の前記第1の半導体柱の上面、又は前記上面と、前記上面に繋がる両側面と、を覆った第2のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート絶縁層を覆った第2のゲート導体層と、
前記第2のゲート絶縁層で覆われていない部分の前記第1の半導体柱の水平方向における両端にある第2の不純物層と、第3の不純物層と有し、
前記
第2の不純物層と、前記
第3の不純物層と、前記
第1のゲート導体層と、前記
第2のゲート導体層と、に印加する電圧を制御して、前記第1の半導体柱の上部内に、前記第1の不純物層と前記第2の不純物層との間に流す電流によるインパクトイオン化現象、またはゲート誘起ドレインリーク電流により電子群及び正孔群を発生させ、発生させた前記電子群と前記正孔群の内、多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群の一部または全てを、主に前記第1のゲート絶縁層で囲まれた前記第1の半導体柱内に残存させる、メモリ書き込み動作と、
残存させた多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群を前記第1の不純物層と、前記第2の不純物層と、前記第3の不純物層とのいずれか、もしくは全てから抜きとる、メモリ消去動作とを行い、
前記MOSトランジスタは、
前記基板上に、前記基板に対して、垂直方向に立つ第2の半導体柱と、
前記第2の半導体柱の下部を囲んで下から第3の絶縁層と、絶縁材料又は導体材料である
第1の中間材料層と、第4の絶縁層と、からなる第1の材料層とを有し、
垂直方向において、前記第1の材料層より上方の前記第2の半導体柱の上面、又は前記上面と対面する両側面と、を覆った第3のゲート絶縁層と、前記第3のゲート絶縁層を覆った第3のゲート導体層と、
前記第3のゲート絶縁層で覆われていない部分の前記第2の半導体柱の水平方向における両端にある第4の不純物層と、第5の不純物層と有しており、
前記第2のメモリ素子は、
前記基板上に、前記基板に対して、垂直方向に立つ第3の半導体柱と、
前記第3の半導体柱の下部を囲んで下から第5の絶縁層と、絶縁材料又は導体材料である第2の中間材料層と、第6の絶縁層と、からなる第2の材料層とを有し、
垂直方向において、前記第2の材料層より上方の前記第3の半導体柱の上面、又は前記上面と対面する両側面を覆った、絶縁層で挟まれた信号電荷蓄積層を有するメモリ層と、 前記メモリ層を覆った第4のゲート導体層と、
前記信号電荷蓄積層で覆われていない部分の前記第3の半導体柱の水平方向における両端にある第6の不純物層と、第7の不純物層と有しており、
前記第1の半導体柱と、前記第2の半導体柱と、前記第3の半導体柱の底部が垂直方向において実質的に同じ位置にあり、前記第1の半導体柱と、前記第2の半導体柱と、前記第3の半導体柱の頂部が、垂直方向において実質的に同じ位置にある、
ことを特徴とするメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第2の絶縁層と、前記第1の材料層と、前記第2の材料層の上面位置が、垂直方向において実質的に同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項3】
前記第1の中間材料層と前記第2の中間材料層の一方もしくは両方が絶縁材料よりなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項4】
前記第1の中間材料層と前記第2の中間材料層の一方もしくは両方が導体材料よりな
り、前記第2の半導体柱と前記第3の半導体柱の一方又は両方の底部に第8の不純物層を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項5】
前記第1のゲート絶縁層と、前記第1の絶縁層とが同じ材料からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項6】
前記信号電荷蓄積層が半導体、金属、合金などの導電層、または絶縁層よりなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項7】
前記第1のメモリ素子の、前記第1の半導体柱の上部と、前記第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート導体層と、前記第2の不純物層と、前記第3の不純物層と、からなるトランジスタがプレナー型であり、前記MOSトランジスタの前記第2の半導体柱の上部と、前記第3のゲート絶縁層と、前記第3のゲート導体層と、前記第4の不純物層と、前記第5の不純物層からなるトランジスタと、前記第2のメモリ素子の、前記第3の半導体柱の上部と、前記メモリ層と、前記第4のゲート導体層と、前記第6の不純物層と、前記第7の不純物層からなるトランジスタはプレナー型である、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項8】
前記第1のメモリ素子の、前記第1の半導体柱の上部と、前記第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート導体層と、前記第2の不純物層と、前記第3の不純物層と、からなるトランジスタがフィン型であり、前記MOSトランジスタの前記第2の半導体柱の上部と、前記第3のゲート絶縁層と、前記第3のゲート導体層と、前記第4の不純物層と、前記第5の不純物層からなるトランジスタと、前記第2のメモリ素子の、前記第3の半導体柱の上部と、前
記信号電荷蓄積層と、前記第4のゲート導体層と、前記第6の不純物層と、前記第7の不純物層からなるトランジスタはフィン型である、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項9】
前記第1の不純物層が前記第1の半導体柱に隣接した他の第1のメモリ素子の半導体柱の底部に繋がっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項10】
前記第1の不純物層が前記第1の半導体柱に隣接した他の第1のメモリ素子の半導体柱の底部の不純物層から分離している、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【請求項11】
前記第1のゲート導体層が水平方向、垂直方向の一方、又は両方において、2つ以上の導体層に分割して、各前記導体層を同期、または非同期で駆動する、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリ素子を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ素子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large Scale Integration)技術開発において、メモリ素子を用いた半導体装置の高集積化、高性能化、低消費電力化、高機能化が求められている。
【0003】
通常のプレナー型MOSトランジスタでは、チャネルが半導体基板の上表面に沿う水平方向に延在する。これに対して、SGTのチャネルは、半導体基板の上表面に対して垂直な方向に延在する(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。このため、SGTはプレナー型MOSトランジスタと比べ、半導体装置の高密度化が可能である。このSGTを選択トランジスタとして用いて、キャパシタを接続したDRAM(Dynamic Random Access Memory、例えば、非特許文献2を参照)、抵抗変化素子を接続したPCM(Phase Change Memory、例えば、非特許文献3を参照)、RRAM(Resistive Random Access Memory、例えば、非特許文献4を参照)、電流により磁気スピンの向きを変化させて抵抗を変化させるMRAM(Magneto-resistive Random Access Memory、例えば、非特許文献5を参照)などの高集積化を行うことができる。また、キャパシタを有しない、1個のMOSトランジスタで構成された、DRAMメモリセル(非特許文献6を参照)、キャリアをためる溝部とゲート電極を二つ有したDRAMメモリセル(非特許文献8を参照)などがある。しかし、キャパシタを持たないDRAMは、フローティングボディのワード線からのゲート電極のカップリングに大きく左右され電圧マージンが十分とれない問題点があった。本願は、抵抗変化素子やキャパシタを有しない、MOSトランジスタのみで構成可能な、半導体素子を用いたメモリ装置に関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Hiroshi Takato, Kazumasa Sunouchi, Naoko Okabe, Akihiro Nitayama, Katsuhiko Hieda, Fumio Horiguchi, and Fujio Masuoka: IEEE Transaction on Electron Devices, Vol.38, No.3, pp.573-578 (1991)
【文献】H. Chung, H. Kim, H. Kim, K. Kim, S. Kim, K.W.Song, J. Kim, Y.C. Oh, Y. Hwang, H. Hong, G. Jin, and C. Chung: “4F2 DRAM Cell with Vertical Pillar Transistor(VPT),” 2011 Proceeding of the European Solid-State Device Research Conference, (2011)
【文献】H. S. Philip Wong, S. Raoux, S. Kim, Jiale Liang, J. R. Reifenberg, B. Rajendran, M. Asheghi and K. E. Goodson: “Phase Change Memory,” Proceeding of IEEE, Vol.98, No 12, December, pp2b012b27 (2010)
【文献】K. Tsunoda, K .Kinoshita, H. Noshiro, Y. Yamazaki, T. Iizuka, Y. Ito, A. Takahashi, A. Okano, Y. Sato, T. Fukano, M. Aoki, and Y. Sugiyama : “Low Power and high Speed Switching of Ti-doped NiO ReRAM under the Unipolar Voltage Source of less than 3V,” IEDM (2007)
【文献】W. Kang, L. Zhang, J. Klein, Y. Zhang, D. Ravelosona, and W. Zhao: “Reconfigurable Codesign of STT-MRAM Under Process Variations in Deeply Scaled Technology,” IEEE Transaction on Electron Devices, pp.1-9 (2015)
【文献】M. G. Ertosun, K. Lim, C. Park, J. Oh, P. Kirsch, and K. C. Saraswat : “Novel Capacitorless Single-Transistor Charge-Trap DRAM (1T CT DRAM) Utilizing Electron,” IEEE Electron Device Letter, Vol. 31, No.5, pp.405-407 (2010)
【文献】E. Yoshida, T, Tanaka, “A Capacitorless 1T-DARM Technology Using Gate-Induced Drain-Leakage (GIDL) Current for Low-Power and High-Speed Embedded Memory”, IEEE Trans, on Electron Devices vol.53, pp.692-697 (2006)
【文献】Md. Hasan Raza Ansari, Nupur Navlakha, Jae Yoon Lee, Seongjae Cho, “Double-Gate Junctionless 1T DRAM With Physical Barriers for Retention Improvement”, IEEE Trans, on Electron Devices vol.67, pp.1471-1479 (2020)
【文献】Takashi Ohasawa and Takeshi Hamamoto, “Floating Body Cell -a Novel Body Capacitorless DRAm Cell”, Pan Stanford Publishing (2011)
【文献】Martin M. Frank, “High-k/Metal Gate Innovations Enabling Continued CMOS Scaling” Proc.of the 41th European Solid-state Device Research Conference pp.50-58(2011)
【文献】H.Miyagawa etal.“Metal-Assisted Solid―Phase Crystallization Process for Vertical Monocrystalline Si Channel in 3D Flash Memory”, IEDM19 digest paper,pp.650-653 (2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メモリ装置においてキャパシタを無くした、1個のトランジス型のDRAM(ゲインセル)では、ワード線とフローティング状態の素子があるボディとの容量結合カップリングが大きく、データ読み出し時や書き込み時にワード線の電位を振幅させると、直接半導体基板のボディへのノイズとして、伝達されてしまう問題点があった。この結果、誤読み出しや記憶データの誤った書き換えの問題を引き起こし、キャパシタを無くした1トランジス型のDRAMの実用化が困難となっていた。そして、上記問題を解決すると共に、DRAMメモリセルを高密度化する必要がある。更に、同じ基板上にCMOSロジック回路、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを如何に低コストで集積させるかの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、第1発明に係るメモリ素子を有する半導体装置は、第1のメモリ素子と、MOSトランジスタと、第2のメモリ素子とを含む半導体装置であって、
前記第1のメモリ素子は、
基板上に、前記基板に対して、垂直方向に立つ第1の半導体柱と、
前記第1の半導体柱の底部に繋がる第1の不純物層と、
前記第1の半導体柱の下方を覆う第1のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層の一部又は全てを覆う第1のゲート導体層と、
前記第1の不純物層と前記第1のゲート導体層との間にある第1の絶縁層と、
前記第1のゲート導体層上にあり、且つ前記第1の半導体柱を囲んだ第2の絶縁層と、
垂直方向において、前記第1のゲート絶縁層より上方の前記第1の半導体柱の上面、又は前記上面と、前記上面に繋がる両側面と、を覆った第2のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート絶縁層を覆った第2のゲート導体層と、
前記第2のゲート絶縁層で覆われていない部分の前記第1の半導体柱の水平方向における両端にある第2の不純物層と、第3の不純物層と有し、
前記2の不純物層と、前記3の不純物層と、前記1のゲート導体層と、前記2のゲート導体層と、に印加する電圧を制御して、前記第1の半導体柱の上部内に、前記第1の不純物層と前記第2の不純物層との間に流す電流によるインパクトイオン化現象、またはゲート誘起ドレインリーク電流により電子群及び正孔群を発生させ、発生させた前記電子群と前記正孔群の内、多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群の一部または全てを、主に前記第1のゲート絶縁層で囲まれた前記第1の半導体柱内に残存させる、メモリ書き込み動作と、
残存させた多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群を前記第1の不純物層と、前記第2の不純物層と、前記第3の不純物層とのいずれか、もしくは全てから抜きとる、メモリ消去動作とを行い、
前記MOSトランジスタは、
前記基板上に、前記基板に対して、垂直方向に立つ第2の半導体柱と、
前記第2の半導体柱の下部を囲んで下から第3の絶縁層と、絶縁材料又は導体材料である中間材料層と、第4の絶縁層と、からなる第1の材料層とを有し、
垂直方向において、前記第1の材料層より上方の前記第2の半導体柱の上面、又は前記上面と対面する両側面と、を覆った第3のゲート絶縁層と、前記第3のゲート絶縁層を覆った第3のゲート導体層と、
前記第3のゲート絶縁層で覆われていない部分の前記第2の半導体柱の水平方向における両端にある第4の不純物層と、第5の不純物層と有しており、
前記第2のメモリ素子は、
前記基板上に、前記基板に対して、垂直方向に立つ第3の半導体柱と、
前記第3の半導体柱の下部を囲んで下から第5の絶縁層と、絶縁材料又は導体材料である第2の中間材料層と、第6の絶縁層と、からなる第2の材料層とを有し、
垂直方向において、前記第2の材料層より上方の前記第3の半導体柱の上面、又は前記上面と対面する両側面を覆った、絶縁層で挟まれた信号電荷蓄積層を有するメモリ層と、 前記メモリ層を覆った第4のゲート導体層と、
前記信号電荷蓄積層で覆われていない部分の前記第3の半導体柱の水平方向における両端にある第6の不純物層と、第7の不純物層と有しており、
前記第1の半導体柱と、前記第2の半導体柱と、前記第3の半導体柱の底部が垂直方向において実質的に同じ位置にあり、前記第1の半導体柱と、前記第2の半導体柱と、前記第3の半導体柱の頂部が、垂直方向において実質的に同じ位置にある、
ことを特徴とするメモリ素子を有する半導体装置。
【0007】
第2発明は、上記の第1発明において、前記第2の絶縁層と、前記第1の材料層と、前記第2の材料層の上面位置が、垂直方向において実質的に同じであることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、上記の第1発明において、前記第1の中間材料層と前記第2の中間材料層の一方もしくは両方が絶縁材料よりなることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、上記の第1発明において、前記第1の中間材料層と前記第2の中間材料層の一方もしくは両方が導体材料よりなることを特徴とする。
【0010】
第5発明は、上記の第1発明において、前記第1のゲート絶縁層と、前記第1の絶縁層とが同じ材料からなることを特徴とする。
【0011】
第6発明は、上記の第1発明において、前記信号電荷蓄積層が半導体、金属、合金などの導電層、または絶縁層よりなることを特徴とする。
【0012】
第7発明は、上記の第1発明において、前記第1のメモリ素子の、前記第1の半導体柱の上部と、前記第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート導体層と、前記第2の不純物層と、前記第3の不純物層と、からなるトランジスタがプレナー型であり、前記MOSトランジスタの前記第2の半導体柱の上部と、前記第3のゲート絶縁層と、前記第3のゲート導体層と、前記第4の不純物層と、前記第5の不純物層からなるトランジスタと、前記第2のメモリ素子の、前記第3の半導体柱の上部と、前記メモリ層と、前記第4のゲート導体層と、前記第6の不純物層と、前記第7の不純物層からなるトランジスタはプレナー型であることを特徴とする。
【0013】
第8発明は、上記の第1発明において、前記第1のメモリ素子の、前記第1の半導体柱の上部と、前記第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート導体層と、前記第2の不純物層と、前記第3の不純物層と、からなるトランジスタがフィン型であり、前記MOSトランジスタの前記第2の半導体柱の上部と、前記第3のゲート絶縁層と、前記第3のゲート導体層と、前記第4の不純物層と、前記第5の不純物層からなるトランジスタと、前記第2のメモリ素子の、前記第3の半導体柱の上部と、前記第信号電荷蓄積層と、前記第4のゲート導体層と、前記第6の不純物層と、前記第7の不純物層からなるトランジスタはフィン型であることを特徴とする。
【0014】
第9発明は、上記の第1発明において、前記第1の不純物層が前記第1の半導体柱に隣接した他の第1のメモリ素子の半導体柱の底部に繋がっていることを特徴とする。
【0015】
第10発明は、上記の第1発明において、前記第1の不純物層が前記第1の半導体柱に隣接した他の第1のメモリ素子の半導体柱の底部の不純物層から分離していることを特徴とする。
【0016】
第11発明は、上記の第1発明において、前記第2の半導体柱と前記第3の半導体柱の一方又は両方の底部に第8の不純物層を有することを特徴とする。
【0017】
第12発明は、上記の第1発明において、前記第1のゲート導体層が水平方向、垂直方向の一方、又は両方において、2つ以上の導体層に分割して、各前記導体層を同期、または非同期で駆動することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る半導体素子を用いたRAM装置の構造を説明するための図である。
【
図2】実施形態に係る半導体素子を用いたRAM装置のデータ書き込み動作を説明するための図である。
【
図3】実施形態に係る半導体素子を用いたRAM装置のデータ消去動作を説明するための図である。
【
図4A】本実施形態に係る同一基板上に形成したRAMセルと、ROMセル、ロジック回路のMOSトランジスタとの構造を説明するための図である。
【
図4B】本実施形態に係る同一基板上に形成したRAMセルと、ROMセル、ロジック回路のMOSトランジスタとの構造を説明するための図である。
【
図5A】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5B】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5C】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5D】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5E】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5F】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5G】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5H】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【
図5I】本実施形態に係るRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタとを同一基板上に形成する製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る、半導体素子を用いたメモリ装置と、製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1を用いて、本実施形態に係るランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:以後RAMと呼ぶ)セルの構造を説明する。
図2を用いて、本実施形態に係るRAMセルのデータ書き込みメカニズムを説明する。
図3を用いて、本実施形態に係るRAMセルのデータ消去メカニズムを説明する。
図4A、
図4Bを用いて同一基板上に形成した、本実施形態に係る同一基板上にあるRAMセルと、ROM(Read Only Memory: 以後ROMと呼ぶ)セルとロジック回路のMOSトランジスタ(MOS電界効果トランジスタ、以後MOSトランジスタと呼ぶ)の構造を説明する。そして、
図5A~
図5Iを用いて、
図4Aで示した、本実施形態に係る、同一基板上に形成するRAMセルと、ROMセルと、ロジック回路のMOSトランジスタの製造方法を説明する。
【0021】
図1に、本発明の実施形態に係るRAMセルの垂直断面構造を示す。P層基板1(特許請求の範囲の「基板」の一例である)上にドナー不純物を含むN
+層2(特許請求の範囲の「第1の不純物層」の一例である)がある(以下、ドナー不純物を高濃度で含む半導体領域を「N
+層」と称する。)。N
+層2の上層と、アクセプタ不純物を含む柱状P層3よりなる柱状P層(特許請求の範囲の「第1の半導体柱」の一例である)3がある。柱状P層3は、水平断面が矩形状であり、垂直断面が長方形である。平面視において、柱状P層3の外周部のN
+層2の上面を覆って第1の絶縁層4(特許請求の範囲の「第1の絶縁層」の一例である)がある。柱状P層3の下方を覆って第1のゲート絶縁層5(特許請求の範囲の「第1のゲート絶縁層」の一例である)がある。第1のゲート絶縁層5を囲んで第1のゲート導体層6(特許請求の範囲の「第1のゲート導体層」の一例である)がある。第1のゲート絶縁層5と第1のゲート導体層6上に第2の絶縁層8(特許請求の範囲の「第2の絶縁層」の一例である)がある。柱状P層3は第1のゲート絶縁層5で覆われた柱状P層3aと、その上部にある柱状P層3bより構成されている。柱状P層3bの紙面における片側に高濃度のドナー不純物を含んだN
+層11a(特許請求の範囲の「第2の不純物層」の一例である)がある。N
+層11aの反対側の紙面における片側にN
+層11b(特許請求の範囲の「第3の不純物層」の一例である)がある。柱状P層3bの上面を覆って第2のゲート絶縁層9(特許請求の範囲の「第2のゲート絶縁層」の一例である)がある。第2のゲート絶縁層9を覆って第2のゲート導体層10(特許請求の範囲の「第2のゲート導体層」の一例である)がある。
【0022】
そして、N+層11aは第1のソース線SL1に、N+層11bは第1のビット線BL1に、ゲート導体層10は第1のワード線WL1に、ゲート導体層6はプレート線PLに、N+層2は制御線CLに、それぞれ接続している。第1のソース線SL1、第1のビット線BL1、第1のプレート線PL1、第1のワード線WL1の電位を操作することで、メモリ動作をさせる。実際のメモリ装置では、上述のRAMセルがP層基板1上に2次元状に多数配置されている。
【0023】
なお、
図1でP層基板1はP型の半導体としたが、P層基板1内に不純物濃度分布が存在してもよい。また、N
+層2、柱状P層3内に不純物濃度分布が存在してもよい。また、柱状P層3a、3bは異なる不純物の濃度を設定してもよい。
【0024】
また、
図1ではN
+層2は制御線CLに接続されていた。この場合、N
+層2は隣接メモリセルのN
+層と繋がる。これに対して、N
+層2を柱状P層3の底部のみに形成させてもよい。
【0025】
また、N+層11aとN+層11bを、正孔が多数キャリアであるP+層(以下、アクセプタ不純物を高濃度で含む半導体領域を「P+層」と称する)で形成して、書き込みのキャリアを電子にしてメモリを動作させてもよい。この場合、第1のゲート導体層6の仕事関数は第2のゲート導体層10の仕事関数よりも低い材料を用いることが望ましい。
【0026】
また、
図1でP層基板1にPウェル構造、又はSOI(Silicon On Insulator)基板などを用いてもよい。
【0027】
また、
図1における絶縁層4は第1のゲート絶縁層5と一体のものとして形成してもよい。
【0028】
また、第1のゲート導体層6、第2のゲート導体層10は、金属、合金、高濃度にドープされた半導体層などの導体層であってもよい。また、第1のゲート導体層6、第2のゲート導体層10は、複数の導体層より構成されていてもよい。第2のゲート導体層10の仕事関数は第1のゲート導体層6の仕事関数よりも低いことが望ましい。
【0029】
図2を参照して、本発明の実施形態に係るRAMセルのデータ書き込み動作を説明する。例えば、プレート線PLに接続される第1のゲート導体層6にアクセプタ不純物を多く含むアクセプタ不純物を高濃度で含むポリSi(以下、アクセプタ不純物を高濃度で含むポリSiを「P
+ポリ」と称する。)を使用する。ワード線WLに接続される第2のゲート導体層10にドナー不純物を多く含むドナー不純物を高濃度で含むポリSi(以下、ドナー不純物を高濃度で含むポリSiを「N
+ポリ」と称する。)を使用する。
図2(a)に示すように、このメモリセルの中のMOSトランジスタはソースとなるN
+層11a、ドレインとなるN
+層11b、ゲート絶縁層となる第2のゲート絶縁層9、ゲートとなる第2のゲート導体層10、チャネルとなる柱状P層3bを構成要素として動作する。例えば、P層基板1に0Vを印加し,第1のソース線SL1の接続されたN
+層11aに0Vを入力し、第1のビット線BLの接続されたN
+層11bに3Vを入力し、プレート線PLの接続された第1のゲート導体層6に0Vを、第1のワード線WL1の接続された第2のゲート導体層10に1.5Vを入力する。ゲート導体層10の下にあるゲート絶縁層9の直下の柱状P層3bに一部反転層12が形成されて、ピンチオフ点13が存在する。この場合、第2のゲート導体層10を有するMOSトランジスタは飽和領域で動作する。
【0030】
この結果、第2のゲート導体層10を有するMOSトランジスタの中でピンチオフ点13とN+層11bの境界領域の間で電界は最大となり、この領域でインパクトイオン化現象が生じる。このインパクトイオン化現象により、第1のソース線SL1の接続されたN+層11aから第1のビット線BL1の接続されたN+層11bに向かって加速された電子がSi格子に衝突し、その運動エネルギーによって、電子・正孔対が生成される。生成された正孔14aはその濃度勾配によって、より正孔濃度の薄いほうに向かって拡散をしていく。また、生成された電子の一部は、ゲート導体層10に流れるが、大半は第1のビット線BL1に接続されたN+層11bに流れる。なお、上記のインパクトイオン化現象を起こさせる代わりに、ゲート誘起ドレインリーク(GIDL)電流を流して正孔群14aを生成してもよい(例えば非特許文献7を参照)。
【0031】
図2(b)にはデータ書き込み直後に第1のワード線WL1、第1のビット線BL1、プレート線PL、第1のソース線SL1が0Vになったときの柱状P層3aに蓄積された正孔群14bを示す。初期において、生成された正孔濃度は柱状P層3bの領域で高濃度となり、その濃度の勾配によって柱状P層3aの方へ拡散によって移動する。さらに、第1のゲート導体層6にN
+ポリよりも仕事関数の高いP
+ポリを用いるために、正孔群14bは柱状P層3aの第1のゲート絶縁層5の近傍により高濃度に蓄積される。この結果、柱状P層3aの正孔濃度は柱状P層3bの正孔濃度に比較して高濃度となる。柱状P層3aと柱状P層3bとが電気的につながっているために実質的にゲート導体層10を持つMOSトランジスタの基板である柱状P層3aを正バイアスに充電する。また、正孔群14bはN
+層11a、11b、又はN
+層2の方に移動し、電子と徐々に再結合するものの、第2のゲート導体層10をもつMOSトランジスタのしきい値電圧は、柱状P層3aに蓄積される正孔群14bによる正の基板バイアス効果によって、低くなる。これにより、
図2(c)に示すように、第1のワード線WL1の接続された第2のゲート導体層10をもつMOSトランジスタのしきい値電圧は低くなる。この書込み状態を論理記憶データ“1”に割り当てる。なお、上記の第1のビット線BL1、第1のソース線SL、第1のワード線WL1、プレート線PLに印加する電圧条件は、書き込み動作を行うための一例であり、書き込み動作ができる他の電圧条件であってもよい。
【0032】
また、
図2では第1のゲート導体層6と第2のゲート導体層10の組み合わせとしてP
+ポリ(仕事関数 5.15eV)とN
+ポリ(仕事関数 4.05eV)の組み合わせを例として示したが、これはNi(仕事関数 5.2eV)とN
+ポリ、NiとW(仕事関数 4.52eV)、NiとTaN(仕事関数 4.0eV)/W/TiN(仕事関数 4.7eV)など金属、金属の窒化物、もしくはその合金(シリサイドを含む)、積層構造であってもよい。また、第1のゲート導体層6と第2のゲート導体層10とを同じ導体層で形成して、駆動電圧を変えて、上記データ書き込み動作を行ってもよい。例えば、データ保持時に上記のような状態は同じ仕事関数の第1のゲート導体層6と第2のゲート導体層10を用いて、第1のビット線BL1、第1のワード線WL1、第1のソース線SL1に0V、プレー線PLに-0.5Vを印加することでも同様な効果を得ることができる。
【0033】
次に、
図3を用いてデータ消去動作メカニズムを説明する。
図3(a)にデータ消去動作前に、前のサイクルでインパクトイオン化により生成され、蓄積された正孔群14bが主に柱状P層3aに蓄えられた直後の状態を示している。
図3(b)に示すように、消去動作時には、第1のソース線SL1に負電圧VERAを印加する。また、プレート線PLの電圧を2Vにする。ここで、VERAは、例えば、-0.5Vである。その結果、P層3aの初期電位の値に関係なく、第1のソース線SL1が接続されているソースとなるN
+層11aと柱状P層3bとのPN接合が順バイアスとなる。その結果、前のサイクルでインパクトイオン化により生成された、主にP層3aに蓄えられていた正孔群14bが、第1のソース線SL1に接続されているN
+層11aに移動する。また、プレート線PLの電圧を2Vに印加した結果、第1のゲート絶縁層5と柱状P層3aの界面に反転層16が形成され、N
+層2と接触する。そのために柱状P層3aに蓄積された正孔14bはP層3aからN
+層2と、反転層16に流れ、電子と再結合する。その結果、柱状P層3aの正孔濃度は時間とともに低くなり、MOSトランジスタのしきい値電圧は、“1”を書き込んだ時よりも高くなり、初期の状態に戻る。これにより、
図3(c)に示すように、この第1のワード線WL1が接続されたゲート導体層10をもつMOSトランジスタは初期のしきい値に戻る。このメモリの消去状態は論理記憶データ“0”となる。このデータ消去時において、データ消去動作を確実に行うため、データ蓄積時と比べて、電子、正孔の再結合面積を実質的に増加させる。
【0034】
また、データの消去時にプレート線PLに、例えば2Vをかければ反転層16によってN+層11aと、N+層11bと、N+層2とが電気的に接続でき、データの消去時間を短縮できる。この場合、第1の絶縁層4および、第2の絶縁層8の膜厚を第1のゲート絶縁層5と同程度の膜厚にするのが望ましい。
【0035】
なお、上記の第1のビット線BL1、第1のソース線SL1、第1のワード線WL1、プレート線PLに印加する電圧条件は、データ消去動作を行うための一例であり、消去動作ができる他の電圧条件であってもよい。例えば、上記では第1のゲート導体層6を2Vにバイアスした例を説明したが、消去時に、例えば第1のビット線BL1に0.2V、第1のソース線SL1に0V、第1と第2のゲート導体層6、10に2Vでバイアスすれば、柱状P層3aと第1のゲート絶縁層5の界面、および柱状P層3bと第2のゲート絶縁層9の界面に電子が多数キャリアである反転層を形成することができる。これにより、電子と正孔の再結合面積を増やすことができ、さらに第1のビット線BL1と第1のソース線SL1の間に電子を多数キャリアとする電流を流すことでさらに積極的に消去時間を短くすることもできる。
【0036】
本実施形態の構造と、動作メカニズムには、以下の特徴がある。
(1) 第1のワード線WL1の接続された第2のゲート導体層10をもつMOSトランジスタの柱状P層3bは、柱状P層3aに電気的に接続されているので、発生された正孔群14aを蓄積できる容量を、柱状P層3aの体積を調節することで自由に変えることができる。つまり、保持時間を長くするために例えば、柱状P層3aの深さを深くすればよい。これにより、記憶データの保持特性の向上が図られる。
(2) また、信号である正孔群14bが主に蓄積されている柱状P層3aの体積に比べて、電子と再結合することに関与するN
+層2、N
+層11a、N
+層11bが接触する面積を意図的に小さくできる。これにより、信号電荷である正孔14bの電子との再結合を抑制でき、蓄積された正孔群14bの保持時間を長くできる。
(3) さらに、第1のゲート導体層6にP
+ポリを使用しているために蓄積されている正孔14bは第1のゲート絶縁層5に接した柱状P層3aの界面近くに蓄積される。これにより、電子と正孔の再結合のもととなるPN接合部分であるN
+層11a、N
+層11bとP層3bの接触部分から離れた箇所に正孔群14bを蓄積でき、これにより安定した正孔群14bの蓄積ができる。これにより、このRAM素子として基板バイアスの効果があがり、記憶を保持する時間が長くなり、“1”書き込みの動作電圧マージンが広がる。
図3で示したように、データ消去動作では、データ消去時において、データ蓄積時と比べて、電子、正孔の再結合面積を実質的に増加させた。これにより、論理情報データ“0”の安定した状態を短い時間で供与できる。これにより、メモリ素子の動作速度が向上する。
【0037】
(4) 本実施形態によれば、柱状P層3aは、P層基板1、N+層2と電気的に接続されている。更に、柱状P層3aの電位はゲート導体層6に印加する電圧により制御できる。これにより、データ書き込み動作においても、消去動作においても、例えば、SOI構造のようにMOSトランジスタ動作中に基板バイアスがフローティング状態で不安定になったり、第2のゲート絶縁層9の下の半導体部分が完全に空乏化したりすることがない。このために、MOSトランジスタのしきい値、駆動電流などが動作状況に左右されにくい。従ってMOSトランジスタの特性は、柱状P層3bの厚さ、不純物の種類、不純物濃度、プロファイル、P層3の不純物濃度、プロファイル、ゲート絶縁層9の厚さ、材料、第2のゲート導体層10、第1のゲート導体層6の仕事関数、を調整することで、幅広く所望のメモリ動作に係る電圧を設定できる。また、MOSトランジスタの下は完全空乏化せずに、空乏層が柱状P層3bの深さ方向に広がるので、キャパシタを持たないDRAMの欠点であったフローティングボディのワード線からのゲート電極のカップリングにほとんど左右されることがない。つまり、本実施形態によればメモリとしての動作電圧のマージンを広く設計できる。
【0038】
(5) また、本実施形態によれば、RAMセルの誤動作防止に効果がある。RAMセルの動作において、目的セルの電圧操作により、RAMセルアレイ内にある目的以外のセルの一部の電極に不要な電圧がかかり、誤動作をすることが大きな問題である(例えば、非特許文献9)。つまり、現象としては、“1”を書いたセルがほかのセル動作によって“0”になったり、“0”を書いたセルがほかのセル動作によって“1”になったりすることをいう(これ以降、この誤動作による現象をディスターブ不良と表記する)。本実施形態によれば、元来“1”がデータ情報として書かれている場合に、蓄積されている正孔群14bの量は、トランジスタ動作によって起こる電子と正孔の再結合量に比較して、柱状P層3aの深さを調節することで増加でき、従来のメモリでディスターブ不良の起きる条件でも、MOSFETのしきい値変動に与える影響が少なく、不良を起こしにくい。また、元来“0”がデータ情報として書かれている場合は、読み出しの際のトランジスタ動作によって意図しない正孔の生成がされたとしても、ただちに柱状P層3aに拡散していくので、同じく柱状P層3aの深さを深くすれば、P層3aとP層3b全体の正孔濃度の変化率は小さく、この場合もMOSトランジスタのしきい値に与える影響は少なく、従来よりもディスターブ不良の起こる確率を低減できる。したがって、本実施形態によれば、ディスターブ不良に強い構造になっている。
(6) 本RAMセルを平面視で見ると、1つのメモリセル領域は第2のゲート絶縁層9、第2のゲート導体層10、柱状P層3b、N+層11a、11bよりなる1個のMOSトランジスタとなる。即ち、信号電荷である正孔14bを保持する第1のゲート導体層6、第1のゲート絶縁層5、P層3a、N+層11aよりなる信号蓄積部は、メモリセル面積を増加させない。これにより、RAMセルの高集積化が図られる。
【0039】
図4Aを用いて同一基板上に形成した、本実施形態に係るRAMセルと、ロジック回路のNチャネルMOSトランジスタと、ROMセルとの構造を説明する。(a)はRAMセルの断面構造を示す。(b)はRAMセルと同じ基板上に形成したロジック回路のNチャネルMOSトランジスタの断面構造を示す。(c)はRAMセルと同じ基板上に形成したROMセルの断面構造を示す。なお、
図4Aにおいて、
図1と同じ構成部分には同じ符号を付してある。
【0040】
図4A(a)に示すRAMセル(特許請求の範囲の「第1のメモリ素子」の一例である)構造は
図1と同じである。
図4A(b)では、P層基板1(特許請求の範囲の「基板」の一例である)に繋がったP層基板1a上に垂直方向に立つ柱状P層3A(特許請求の範囲の「第2の半導体柱」の一例である)がある。平面視において、柱状P層3Aは矩形状をしている。柱状P層3Aの下部の柱状P層3aaを囲んで絶縁層5aがある。絶縁層5aを覆って、下から絶縁層4a(特許請求の範囲の「第3の絶縁層」の一例である)と、絶縁層13a(特許請求の範囲の「第1の中間材料層」の一例である)と、絶縁層8a(特許請求の範囲の「第4の絶縁層」の一例である)とから第1の材料層(特許請求の範囲の「第1の材料層」の一例である)を形成している。柱状P層3Aの上部の柱状P層3baの上表面を覆って第3のゲート絶縁層9a(特許請求の範囲の「第3のゲート絶縁層」の一例である)がある。第3のゲート絶縁層9aを覆って第3のゲート導体層10a(特許請求の範囲の「第3のゲート導体層」の一例である)がある。柱状P層3baの両端にN
+層11aa(特許請求の範囲の「第3の不純物層」の一例である)、11ba(特許請求の範囲の「第4の不純物層」の一例である)がある。これにより、ロジック回路のNチャネルMOSトランジスタ(特許請求の範囲の「MOSトランジスタ」の一例である)が形成される。垂直方向において、柱状P層3Aの外周部のP層基板1aの表面位置は、柱状P層3の外周部のN
+層2の表面位置とA線で実質的に一致している。垂直方向において、絶縁層8aの表面位置は、絶縁層8の表面位置とB線で実質的に一致している。垂直方向において、P層3Aの頂部の表面位置は、P層3の頂部の表面位置とC線で実質的に一致している。
【0041】
図4A(c)に示すように、P層基板1、1aに繋がったP層基板1b上に垂直方向に立ち、且つ平面視において矩形状をした、柱状P層3B(特許請求の範囲の「第3の半導体柱」の一例である)がある。柱状P層3Bの下部の柱状P層3abを囲んで絶縁層5bがある。絶縁層5bを覆って、下から絶縁層4b(特許請求の範囲の「第5の絶縁層」の一例である)と、絶縁層13b(特許請求の範囲の「第2の中間材料層」の一例である)と、絶縁層8b(特許請求の範囲の「第6の絶縁層」の一例である)とから第2の材料層(特許請求の範囲の「第2の材料層」の一例である)を形成している。P層3Bの上部の柱状P層3bbの上表面を覆って、絶縁層9b1、信号電荷蓄積層9b2(特許請求の範囲の「信号電荷蓄積層」の一例である)、絶縁層9b3よりなるメモリ層9b(特許請求の範囲の「メモリ層」の一例である)がある(
図4A(c)の上部にメモリ層9bのみを抜き出して示した)。そして、メモリ層9bを覆って、第4のゲート導体層10b(特許請求の範囲の「第4のゲート導体層」の一例である)がある。柱状P層3bbの両端にN
+層11ab(特許請求の範囲の「第6の不純物層」の一例である)、11bb(特許請求の範囲の「第7の不純物層」の一例である)がある。これにより、ROMセル(特許請求の範囲の「第2のメモリ素子」の一例である)が形成される。柱状P層3Bの外周部のP層基板1bの表面位置は、柱状P層3の外周部のN
+層2の表面位置とA線で実質的に一致している。垂直方向において、絶縁層8bの表面位置は、絶縁層8の表面位置とB線で実質的に一致している。垂直方向において、柱状P層3Bの頂部の表面位置は、柱状P層3の頂部の表面位置とC線で実質的に一致している。なお、信号電荷蓄積層9b2は、例えば、半導体、導体、合金などのフローティング導電層でもよいし、または窒化シリコン(SiN)などの電荷トラップ絶縁層であってもよい。また、絶縁層9b1はトンネルSiO
2層などの薄い絶縁層であってもよい。
【0042】
そして、第3のゲート導体層10aはゲート線Gに繋がり、N+層11aaはソース線Sに繋がり、N+層11baはドレイン線Dに繋がっている。第4のゲート導体層10bは第2のワード線WL2に繋がり、N+層11abは第2のソース線SL2に繋がり、N+層11bbは第2のビット線BL2に繋がっている。これにより、互いに繋がった基板1、1a、1b上にRAMセル、ロジック回路のNチャネルMOSトランジス、ROMセルが形成される。なお、実際のロジック回路では、PチャネルMOSトランジスタが、NチャネルMOSトランジスタと同じ基板1a上に形成される。このPチャネルMOSトランジスタは、N+層11aa、11baがP+層に代わること、基板1aに分離Nウェルを形成するなどの違いがあるが、基本構造は(b)のNチャネルMOSトランジスタと同じであり、そして、垂直方向の位置関係は同じである。また、分離Nウェルのドナー不純物濃度をN+層2と同じにして工程の簡易化を図ってもよい。また、(b)のNチャネルMOSトランジスタの柱状P層3A及び、(c)のROMセルの柱状P層3Bの底部、及びP層基板1a、1bの上部にウェルとなる不純物層を設けてもよい。
【0043】
なお、絶縁層4a、5a、8a、13は別々の材料でもよい。又は、絶縁層4と第1のゲート絶縁層5とが、同じ材料層で繋がっていてもよい。同じく、絶縁層4aと絶縁層5aとが、そして、絶縁層4bと絶縁層5bとが同じ材料層で繋がっていてもよい。また、絶縁層13a、8aが同じ材料層で繋がっていてもよい。同じく、絶縁層13b、8bが同じ材料層で繋がっていてもよい。また、絶縁層5a、5bはなくてもよい。
【0044】
(a)のRAMセルと、(b)のNチャネルMOSトランジスタと、(c)のROMセルの構造上の違いは、
(1)RAMセルにおけるN+層2がロジック回路のNチャネルMOSトランジスタとROMセルにはない。
(2)NチャネルMOSトランジスタ、ROMセルでは、RAMセルにおける第1のゲート導体層6に対応する部分には絶縁層13a、13bがある。
(3)RAMセルでのゲート絶縁層9の部分はROMセルではトンネル絶縁層9b1、信号電荷蓄積層9b2、絶縁層9b3よりなるメモリ層9Bとなっている。
上記以外では、RAMセル、NチャネルMOSトランジスタ、ROMセルの基本構造は実質的に同じである。
【0045】
なお、
図4A(a)、(b)、(c)における柱状P層3b、3ba、3bbに形成されるMOSトランジスタは、3者が同じプレナー型構造、またはフィン(Fin)型構造で形成される。これら3者のMOSトランジスタの構造パラメータは異なってもよいが、基本構造は実質的に同じになる。プレナー型構造では、第2のゲート導体層10、第3のゲート導体層10a、第4のゲート導体層10bが、柱状P層3、3A、3Bの垂直方向における上面を覆って形成される。また、フィン型構造では、柱状P層の上面、及び側面を覆って形成される。
【0046】
本実施形態では下記の特徴を得る。
(1) 垂直方向において、RAMセルの一部N+層2の上部を含んだ柱状P層3と、ロジック回路のMOSトランジスタの柱状P層3Aと、ROMセルの柱状P層3Bとの底部位置と頂部位置を同じにして、同じ高さに形成される。これは、柱状P層3、3A、3Bを囲んで形成される、RAMセル、ロジック回路のNチャネルMOSトランジスタ、ROMセルを持つ半導体装置の製造工程の簡易化に寄与する。
(2) RAMセル、NチャネルMOSトランジスタ、ROMセルのMOSトランジスタが、垂直方向において、同じ高さに形成される。これは、半導体装置の製造工程の簡易化に寄与する。
【0047】
図4Bを用いて同一基板上に形成した、本実施形態に係るRAMセルと、ロジック回路のNチャネルMOSトランジスタと、ROMセルの構造を説明する。(a)はRAMセルの断面構造を示す。(b)はRAMセルと同じ基板上に形成したロジック回路のNチャネルMOSトランジスタ、(c)はRAMセルと同じ基板上に形成したROMセルの断面構造を示す。なお、
図4Bにおいて、
図4Aと同じ構成部分には同じ符号を付してある。
【0048】
図4B(a)に示すRAMセルの断面構造は
図4A(a)に示したものと同じである。
図4B(b)では、
図4A(b)における絶縁層13aが導体層15aとなっている。そして、P層基板1a上にあってP層3Aの底部に繋がってN
+層2aがある。N
+層2aは制御線CL1に接続している。導体層15aは第1のバックゲート線BG1に接続している。
図4B(c)では、
図4A(c)の絶縁層13bが導体層15bになっている。そして、P層基板1b上にあって柱状P層3Bの底部に繋がってN
+層2bがある。N
+層2bは制御線CL2に接続している。そして、導体層15bは第2のバックゲート線BG2に接続している。
【0049】
第1のバックゲート線BG1に印加する電圧を制御して、柱状P層3aa母体の電圧を制御する。これによって、柱状P層3aa上にある柱状P層3ba、第3のゲート絶縁層9a、第3のゲート導体層10a、N+層11aa、11baよりなるMOSトランジスタの閾値電圧を変化させる。これにより、ロジック回路にある複数のMOSトランジスタの、それぞれの閾値電圧をバックゲート線BG1に印加する電圧を変えて任意に設定できる。同じく第2のバックゲート線BG2に印加する電圧を制御して、柱状P層3abの母体電圧を制御する。これによって、柱状P層3ab上にある柱状P層3bb、メモリ層9b、第4のゲート導体層10b、N+層11ab、11bbよりなるMOSトランジスタの閾値電圧を変化させることが出来る。
【0050】
なお、
図4Bでは、基本構造が同じRAMセル、MOSトランジスタ、ROMセルを形成した。これに対して、MOSトランジスタ、ROMセルのどちらか一方は
図4Aに示した構造を用いてもよい。これによっても、製造工程は基本的には
図4Aの場合と同じになる。
【0051】
本実施形態では下記の特徴が得られる。
(1) 実際のロジック回路では、複数の閾値電圧を持つMOSトランジスタが形成される。この閾値電圧の変化は、例えば第3のゲート導体層10aに異なる仕事関数の金属層を用いる方法、又は柱状P層3baの不純物濃度を変えるなどにより行う。これに対して、本実施形態では第3のゲート導体層10aに異なる仕事関数の金属層を用い、又は柱状P層3baの不純物濃度を変えるなどをしないで、ロジック回路のMOSトランジスタとメモリセルの基本構造を同じにして、この閾値電圧を設定することが出来る。同様に、ROMセルにおいて、バックゲート線BG2に印加する電圧によりROMセルの読出しの閾値電圧を変更できる。これは、例えば、RAM、MOSトランジスタ、ROMにおけるP層3,3A,3Bのアクセプタ不純物濃度を同じにして、それぞれの駆動動作の最適化を図ることも出来る。これらにより、製造方法の簡易化が図られて、メモリ装置の低価格が図られる。
(2) RAMセルと、MOSトランジスタと、ROMセルとの、基本構造を同じに出来る。これにより、製造工程の簡略化が図られて、これによる本半導体装置の低コスト化が図られる。
【0052】
図5A~
図5Iを用いて、同一基板上にRAMセル、ロジック回路のNチャネルMOSトランジスタ、ROMセルを形成する工程を説明する。(a)はRAMセルの断面構造を示し、(b)はRAMセルと同じ基板上に形成するロジック回路のNチャネルMOSトランジスタの断面構造を示し、(c)は同じ基板上に形成したROMセルの断面構造を示す。なお、これらの各図において、水平方向における3者の距離や位置関係は任意であるが、高さ方向の位置関係は、図示の通りである。
【0053】
図5Aに示すように、(a)のRAMセルではP層基板20の上層にN
+層22を形成する。(b)に示すNチャネルMOSトランジスタでは、(a)に示すP層基板20と繋がり、且つ表面位置がN
+層22の上面位置のA’線で一致しているP層基板21aがある。(c)に示すROMセルでは、P層基板21bは(a)に示すP層基板20と繋がり、且つ表面位置がN
+層22の上面位置のA’線で一致しているP層基板21bがある。N
+層22はP層基板20へのイオン注入、プラズマ不純物ドーピング、エピタキシャル結晶成長法などを用いて形成する。エピタキシャル結晶成長法では、P層20を所定の深さエッチングして、その後、ドナー不純物を含んだ半導体層のエピタキシャル結晶成長、そしてRAMセル、NチャネルMOSトランジスタ、ROMセルの表面位置を同じくするための、表面CMP(Chemical Mechanical Polishing)などの工程を行う。
【0054】
次に、
図5Bに示すように、N
+層22上とP層21a、21b上に、例えばエピタキシャル結晶成長法により、同時にP層23a、23b、23cを形成する。そして、P層23a上にマスク材料層24aと、P層23b上にマスク材料層24bと、P層23c上にマスク材料層24cとを形成する。なお、P層23a、23b、23cのアクセプタ不純物濃度を変える場合は、例えば、それぞれの領域に異なる条件によるイオン注入を行う。
【0055】
次に、
図5Cに示すように、マスク材料層24a、24b、24cをマスクにして、例えばRIE(Reactive Ion Etching)法によりP層23a、23b、23cを、エッチング底部の位置がA線になるようにエッチングして、平面視において矩形状であり、垂直断面において柱状のP層25a、25b、25cを形成する。RAMでは、そのエッチング底部がN
+層22aの上部になるようにエッチングする。これにより、RAMでの柱状P層25aの外周部のN
+層22と、MOSトランジスタでの柱状P層25bと、ROMの柱状P層21cの外周部の表面位置が実質的にA線の高さになる。そして、柱状P層25aと、柱状P層25bと、柱状P層25cの頂部上面位置が実質的にC線の高さで同じになる。実際のRIEエッチングではN
+層22とP層21a、21bでのRIEエッチング速度は不純物濃度の違い、又はそれぞれのP層基板20、21a、21b内の場所の違いなどにより、N
+層22a、P層基板21a、21bの上面の垂直方向の位置に僅かな差が生じるが、実質的にA’線の高さで同じになる。
【0056】
次に、
図5Dに示すように、N
+層22、P層21a、21bの表層、及び柱状P層25a、25b、25cの露出部を酸化して酸化絶縁層27a、27b、27cを形成する。RAMでの柱状P層25aの外周部のN
+層22と、MOSトランジスタでの柱状P層25bと、ROMの柱状P層21cとの外周部の表面位置が実質的にA線の高さになる。
実際の酸化ではN
+層22とP層21a、21bでの酸化速度は不純物濃度の違い、又はそれぞれのP層基板20、21a、21b内の場所の違いなどにより、N
+層22、P層基板21a、21bの上面の垂直方向の位置に僅かな差が生じるが、実質的にA線の高さで同じになる。酸化絶縁層27a、27b、27cは例えばALD(Atomic Layer Deposition)などの他の方法で形成してもよい。この場合は、N
+層22、P層基板21a、21bの上面の垂直方向の位置はA’線で変わらない。また、酸化絶縁層27a、27b、27cは柱状P層25a、25b、25cの外周部と、側面とで別々に形成してもよい。
【0057】
次に、
図5Eに示すように、柱状P層25a、25b、25cを覆った部分の酸化絶縁層27a、27b、27cの下方を囲んで、例えばドナー又はアクセプタ不純物を多く含んだポリSi層29a、29b、29cを形成する。そして、ポリSi層29a、29b、29c上に、絶縁層30a、30b、30cを形成する。これにより、絶縁層30a、30b、30cの表面位置はB線の高さで、実質的に同じになる。絶縁層30a、30b、30cはポリSi層29a、29b、29cを酸化するなどの他の方法で形成してもよい。
【0058】
次に、
図5Fに示すように、MOSトランジスタのポリSi層29bと、ROMセルのポリSi層29cを除去する。そして、この除去した空間に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりSiO
2などの絶縁層32a、32bを形成する。この絶縁層32a、32bはSiO
2以外の他の絶縁材料層で形成してもよい。
【0059】
次に、
図5Gに示すように、露出している酸化絶縁層27a、27b、27cをエッチングして、酸化絶縁層27aa、27ba、27caを形成する。マスク材料層24a、24b、24cを除去する。柱状P層25a、25b、25cの頂部の上面、又は露出した上面と側面とを覆って第2のゲート絶縁層32a、第3のゲート絶縁層32b、メモリ層32cを形成する。
図5G(c)の上部に抜き出して示したように、メモリ層32cは下からトンネル絶縁層32c1、信号電荷蓄積層32c2、絶縁層32c3より形成される。第2のゲート導体層33a、第3のゲート導体層33b、第4のゲート導体層33cを形成する。なお、柱状P層25a、25b、25cの上部にプレナー型MOSトランジスタを形成する場合は、第1乃至第3のゲート絶縁層32a~32cと、第2乃至第4のゲート導体層33a~33cは、柱状P層25a、25b、25cの垂直方向上面に形成される。柱状P層25a、25b、25cの上部にプレナー型MOSトランジスタを形成する場合は、第1乃至第3のゲート絶縁層32a~32cと、第2乃至第4のゲート導体層33a~33cは、柱状P層25a、25b、25cの垂直方向上面と、両側面に形成される。第2のゲート導体層33a、第3のゲート導体層33b、第4のゲート導体層33cは、例えばGate-first法、又はGate-last法などの方法で形成してもよい(例えば、非特許文献10を参照)。
【0060】
次に、
図5Hに示すように、柱状P層25aの頂部の紙面における両端にあり、且つ絶縁層30a上にN
+層35a、35bを形成する。同じく柱状P層25bの頂部の両端にあり、且つ絶縁層30b上にN
+層35aa、35baを形成する。同じく柱状P層25cの頂部の両端にあり、且つ絶縁層30c上にN
+層35ab、35bbを形成する。なお、N
+層35a、35b、35aa、35ba、35あb、35bbは、柱状P層25a、25b、25cの上部の紙面の手前と、奥行きには形成されない。柱状P層25aとN
+層35a、35bとの間、そして柱状P層25bとN
+層35aa、35baとの間、柱状P層25cとN
+層35ab、35bbとの間に、LDD(Lightly-Doped Drain)領域を形成してもよい。
【0061】
次に、
図5Iに示すように、全体を絶縁層37、37a、37bで覆う。そして、N
+層35aに繋がる配線層38と、ゲート導体層33aに繋がる配線層39と、N
+層35bに繋がる配線層40と、N
+層35aaに繋がる配線層41aと、ゲート導体層33bに繋がる配線層42aと、N
+層35baに繋がる配線層43aと、N
+層35abに繋がる配線層41bと、ゲート導体層33cに繋がる配線層42bと、N
+層35bbに繋がる配線層43bと、を形成する。配線層38は第1のソース線SL1に繋がり、配線層39は第1のワード線WL1に繋がり、配線層40は第1のビット線BL1に繋がっている。配線層41aはソース配線Sに繋がり、配線層42aはゲート線Gに繋がり、配線層43aはドレイン線Dに繋がっている。配線層41bは第2のソース線SL2に繋がり、配線層42bは第2のワード線WL2に繋がり、配線層43bは第2のビット線BL2に繋がっている。ポリSi層29aはプレート線(PL)に接続している。これによって、繋がったP層基板20、21a、21b上にRAMセル、NチャネルMOSトランジスタ、ROMセルが形成される。
【0062】
なお、
図5A~
図5Iではロジック回路領域のNチャネルMOSトランジスタの製造方法を説明した。実際のロジック回路領域では、同じP層基板21a上にPチャネルMOSトランジスタも形成される。このPチャネルMOSトランジスタは、NチャネルMOSトランジスタでのN
+層35aa、35baがアクセプタ不純物を多く含むP
+層になり、設計要求によってゲート絶縁層32b、ゲート導体層33bの材料、厚さなどが変えられる場合があるが、基本構造はNチャネルMOSトランジスタと同じである。PチャネルMOSトランジスタが形成される柱状P層25bに対応する半導体柱の底部位置の高さは実質的にA線にあり、頂部位置の高さは実質的にC線にある。そして、PチャネルMOSトランジスタの底部の高さはNチャネルMOSトランジスタの底部と同じく実質的にB線にある。また、PチャネルMOSトランジスタの柱状半導体層は、N層は、アクセプタ濃度の低いP層を用いてもよい。また、NチャネルMOSトランジスタとPチャネルMOSトランジスタとの電気的分離には、ウェル構造、STI(Shallow Trench Isolation)などが用いられる。
【0063】
また、N+層22と柱状P層25aとの境界位置は、垂直方向において、第1のゲート導体層29aの底面位置より高くてもよく、または低くてもよい。
【0064】
また、柱状P層25a、25b、25cの形成は、層状に第1のゲート導体層29aとなる材料層、この上下の絶縁層を堆積した後に、これらの層を貫通する孔を開け、そして選択結晶エピタキシャル法、MILC(Metal Induced Lateral crystallization)法(例えば、参考文献11を参照)などにより形成してもよい。また、第1のゲート導体層29aは最初に形成したダミーゲート材料をエッチングした後に、出来た空間に第1のゲート導体層29aを埋め込んで形成してもよい。
【0065】
図5A~
図5Iに示した本実施形態の製造方法では下記の特徴を有する。
(1)
図5B、
図5Cに示したように、P層23a、23b、23cをマスク材料層24a、24b、24cをエッチングマスクにして同時にエッチングして、RAMセルの一部N
+層22の上部を含んだ柱状P層25aと、MOSトランジスタの柱状P層25bと、ROMセルの柱状P層25cとを形成するので、N
+層22の上部を含んだ柱状P層25aと、柱状P層25bと、柱状P層25cの底面と頂部位置とをA線とC線で同じに形成できる。そして、この後工程を柱状P層25a、25b、25cを基準にして行うことにより工程の簡略化が図られる。
(2) RAMセルの第1のゲート導体層29aと、MOSトランジスタとROMセルの絶縁層32a、32bの形成工程を除いて、この前後の多くの工程を同じにできる。これにより工程の簡略化が図られる。
【0066】
なお、
図1のP層基板1は半導体でも絶縁層でもよい。またはウェル層であってもよい。このことは、他の実施形態についても同様である。
【0067】
また、
図1では、ゲート導体層6と、ゲート導体層10の組み合わせとして、ゲート導体層6の仕事関数がゲート導体層10の仕事関数よりも大きい、例えば、P
+ポリ(5.15eV)/WとTiNの積層(4.7eV)、P
+ポリ(5.15eV)/シリサイドとN
+ポリ(4.05eV)の積層、TaN(5.43eV)/WとTiNの積層(4.7eV)などの組み合わせであってもよい。また、P層3にN型半導体を使用した場合には、第1のゲート導体層6の仕事関数が第2のゲート導体層10の仕事関数よりも小さければ、例えば、N
+ポリをゲート導体層22に、ゲート導体層10にP
+ポリに用いれば、同様の効果が得られる。なお第1のゲート導体層6、第2のゲート導体層10は半導体であっても金属であっても、その化合物であってもよい。このことは、他の実施例においても同様である。
【0068】
また、
図1の柱状P層3の垂直断面形状は矩形状として説明したが、台形状の形であってもよい。これは他の実施形態においても同様である。また、柱状P層3の水平断面は正方形状、又は長方形状であってもよい。このことは、他の実施例においても同様である。
【0069】
また、
図1ではN
+層2は隣接のメモリセルまで繋がっているように描いているが、柱状P層3の底部のみにあってもよい。この場合、N
+層は制御線CLには接続されなくても、又は、平面視において、N
+層11a、11bが繋がる方向に対して直交する方向に伸延させて、これに制御線CLを接続させてもよい。これらの場合でも、正常なメモリ動作を行うことができる。このことは、他の実施例においても同様である。
【0070】
また、
図1で示したN
+層2が隣接のメモリセルまで繋がって、制御線CLに繋がれている場合、平面視において、柱状P層3の外周部のN
+層2の一部、又は全面に導体層を設けてもよい。このことは、他の実施例においても同様である。
【0071】
また、
図4Aのメモリ層9bを構成している絶縁層9b1、信号電荷蓄積層9b2、絶縁層9b3の、それぞれは単層、又は複数の異なる材料層で形成されていてもよい。このことは、他の実施例においても同様である。
【0072】
また、
図5Iに示したRAMセルの第1のソース線SL1に繋がるN
+層35aが隣同士のセルで共有されていてもよい。また、第1のビット線BL1に繋がるN
+層35bが隣同士のセルで共有されていてもよい。これによって、RAM領域の高集積化が図られる。このことは、他の実施例においても同様である。
【0073】
また、
図1において、第1のゲート導体層6、第2のゲート導体層10は、水平、又は垂直方向で複数に分割して、同期、又は非同期で駆動されてもよい。これによっても、正常なメモリ動作がなされる。また、
図4Bにおいて、第1のゲート導体層6と、導体層15a、15bは、分割した第1のゲート導体層6と同じく水平、又は垂直方向に分割してもよい。このことは、他の実施例においても同様である。
【0074】
なお、
図1におけるP層基板1はSOI(Silicon On Insulator)基板、又はウェル構造などの基板を用いてもよい。また、N
+層2の下に、絶縁層で分離されたMOSトランジスタ回路が設けられてもよい。このことは、他の実施例においても同様である。
【0075】
図5Aから
図5Iにおいて、柱状P層25a、25b、25cは、マスク材料層24a、24b、24cをエッチングマスクにしてP層23a、23b、23cをエッチングして形成した。これに対して、例えば、上下を絶縁層で挟まれた、全面に水平方向に繋がるポリSi層を形成し、このポリSi層に空孔を開け、その側面に酸化絶縁層27a、27b、27cを形成した後、柱状P層25a、25b、25cを、例えばエピタキシャル結晶成長法により形成してもよい。このことは、他の実施例においても同様である。
【0076】
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した各実施形態は、本発明の実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記実施例及び変形例は任意に組み合わせることができる。さらに、必要に応じて上記実施形態の構成要件の一部を除いても本発明の技術思想の範囲内となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る、メモリ素子を有する半導体装置を用いれば高性能で、且つ低コストの半導体装置を供与することができる。
【符号の説明】
【0078】
1、1a、1b、20、21a、21b:P層基板
2、2a、2b、11a、11b、11aa、11ba、11ab、11bb、22:N+層
23a、23b、23c:P層
3、3a、3b、3A、3B、3aa、3ba、3ab、3bb、25a、25b、25c:柱状P層
4:第1の絶縁層
8:第2の絶縁層
4a:第3の絶縁層
5a、8a、30a、30b、30c、9b1、9b3、32c1、32c3、37、37a、37b:絶縁層
5:第1のゲート絶縁層
9、32a:第2のゲート絶縁層
9a、32b:第3のゲート絶縁層
6:第1のゲート導体層
10:第2のゲート導体層
10a:第3のゲート導体層
10b:第4のゲート導体層
9b、32c:メモリ層
9b2、32c2:信号電荷蓄積層
29a、29b、29c:ポリSi層
27a、27b、27c、27aa、27ba、27ca:酸化絶縁層
13a:第1の材料層
13b:第2の材料層
24a、24b、24c:マスク材料層
29a、29b、29c:ポリSi層
38、39、40、41a、41b、42a、42b、43a、43b:配線層
SL1:第1のソース線
SL2:第2のソース線
WL1:第1のワード線
WL2:第2のワード線
BL1:第1のビット線
BL2:第2のビット線
S:ソース配線
G:ゲート線
D:ドレイン線
PL:プレート線
BG1:第1のバックゲート線
BG2:第2のバックゲート線
12:反転層
13:ピンチオフ点
14a、14b:正孔群
16:反転層
24a、24b:マスク材料層
27a、27b:酸化絶縁層
29a、29b:ポリSi層
38、39,40、41、42、43:配線層
【要約】
P層基板1、1a、1b上に立つ柱状P層3、3A,3Bと、P層3aを囲んだ第1のゲート絶縁層5と第1のゲート導体層6と、P層3bを囲んだ第2ゲート絶縁層9と、第2のゲート導体層10と、P層3bの両端のN+層11a、11bと、を有するRAMセルと、P層3baを囲んだ第3のゲート絶縁層9aと、第3のゲート導体層10a、P層3baの両端のN+層11aa、11baと、を有するMOSトランジスタと、P層3bbを囲んだメモリ層9bと、第4のゲート導体層10b、P層3bbの両端のN+層11ab、11bbと、を有するROMセルにおいて、P層3、3A、3Bとの底部位置と、頂部との位置とが垂直方向において実質的に同じA線とC線にあり、P層3b、3ba、3bbの底部位置が実質的に同じB線にある。