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特許7578336β-エレメンビニル化カップリング誘導体、及びその調製、並びに抗腫瘍薬の調製における使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】β-エレメンビニル化カップリング誘導体、及びその調製、並びに抗腫瘍薬の調製における使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/215 20060101AFI20241029BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241029BHJP
   C07D 213/64 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 31/277 20060101ALI20241029BHJP
   C07D 249/08 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 31/235 20060101ALI20241029BHJP
   C07D 209/08 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241029BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241029BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241029BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20241029BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20241029BHJP
   C07C 41/30 20060101ALI20241029BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20241029BHJP
   C07C 255/50 20060101ALI20241029BHJP
   C07C 67/30 20060101ALI20241029BHJP
   C07C 69/767 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C07C43/215
A61P35/00
A61P1/00
A61P11/00
A61K31/085
A61P13/08
A61P15/00
C07D213/64 CSP
A61K31/44
A61K31/277
C07D249/08 511
A61K31/4196
A61K31/235
C07D209/08
A61K31/404
A61K9/48
A61K9/20
A61K9/16
A61K9/14
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/38
A61K47/06
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/42
A61K47/44
C07C41/30
C07C253/30
C07C255/50
C07C67/30
C07C69/767
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023550584
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2022132420
(87)【国際公開番号】W WO2023160035
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】202210185780.6
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523160748
【氏名又は名称】杭州師範大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 恬
(72)【発明者】
【氏名】葉 楊
(72)【発明者】
【氏名】徐 氷
(72)【発明者】
【氏名】葉 向陽
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101239915(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1850779(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1736991(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110683932(CN,A)
【文献】特表2008-505893(JP,A)
【文献】国際公開第2015/022798(WO,A1)
【文献】J. Nat. Prod.,2010年,73,1184-1187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物であって、前記β-エレメン誘導体の構造が式(I)で表されることを特徴とするβ-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物。
【化1】
(式(I)中、Rは、それぞれ独立して、以下の構造フラグメントから選ばれるいずれか1つである。)
【化2】
【請求項2】
前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体は、化合物1~22で表される構造から選ばれるいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載のβ-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物。
【化3】
【請求項3】
以下の合成経路において、
【化4】
式中、Rは、それぞれ独立して、以下の構造フラグメントから選ばれるのいずれか1つであり、
【化5】

1)まず、β-エレメン(A-1)のアリル位への単臭素置換反応により中間体(A-2)を得るステップと、
(2)そして、中間体(A-2)の選択的求核置換反応により中間体(A-3)を得るステップと、
(3)最後に、中間体(A-3)とアルケンブロマイド(A-4)とのビニル化カップリングにより、式(I)で表される構造を有するβ-エレメンビニル化カップリング誘導体を得るステップと、を含む合成経路を採用することを特徴とする請求項1又は2に記載のβ-エレメンビニル化カップリング誘導体の調製方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のβ-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物の、抗腫瘍薬の調製における使用。
【請求項5】
前記腫瘍は、結腸がん、肺がん、肝臓がん、胃がん、前立腺がん、卵巣がん、乳がん又は神経膠腫を含むことを特徴する請求項に記載の使用。
【請求項6】
前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、可能なジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物の投与方法は、経口、腫瘍内、直腸、胃腸管外及び局所投与であることを特徴とする請求項に記載の使用。
【請求項7】
経口投与のために用いられる固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤を含み、
前記固体剤形では、前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、可能なジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物は、少なくとも1種の不活性賦形剤又は担体(但し、前記不活性賦形剤又は担体は、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウムを含む。)とが混合されているか、或いはフィラー又は可溶化剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸着剤、潤滑剤(但し、前記フィラー又は可溶化剤は、デンプン、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸であり、前記結合剤は、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアラビアガムであり、前記保湿剤は、グリセリンであり、前記崩壊剤は、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある複合型ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムであり、前記溶解遅延剤は、パラフィンであり、前記吸収促進剤は、第四級アンモニウム化合物であり、前記湿潤剤は、セチルアルコール、及びモノステアリン酸グリセリルであり、前記吸着剤は、カオリンであり、前記潤滑剤は、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体状ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、又はそれらの混合物である。)とが混合されている、ことを特徴とする請求項に記載の使用。
【請求項8】
1日投与量は、体重60kgのヒトに対して、1~5000mgであることを特徴とする請求項に記載の使用。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のβ-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、可能なジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物を安全かつ有効量含む、ことを特徴とする抗腫瘍薬。
【請求項10】
前記抗腫瘍薬は、さらに、薬学的に許容される賦形剤又は担体を含む、ことを特徴とする請求項に記載の抗腫瘍薬。
【請求項11】
前記腫瘍は、結腸がん、肺がんを含む、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の抗腫瘍薬。
【請求項12】
前記抗腫瘍薬では、前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、可能なジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物を1~2000mg/剤(但し、1剤は、1つのカプセル又は錠剤である。)含む、ことを特徴とする請求項に記載の抗腫瘍薬。
【請求項13】
前記薬学的に許容される担体は、セルロース及びその誘導体、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤、硫酸カルシウム、植物油、多価アルコール、乳化剤、湿潤剤、着色剤、調味料、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、パイロジェンフリー水である、ことを特徴とする請求項に記載の抗腫瘍薬。
【請求項14】
前記錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤は、コーティング被膜及び殻材により調製される、ことを特徴とする請求項に記載の抗腫瘍薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年02月28日に中国特許局へ出願された出願番号がCN202210185780.6、発明名称が「β-エレメンビニル化カップリング誘導体、及びその調製、並びに抗腫瘍薬の調製における応用」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全内容は援用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、β-エレメン誘導体の調製技術分野に関し、具体的には、β-エレメンビニル化カップリング誘導体、及びその調製並びに抗腫瘍薬の調製における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エレメンは、小分子揮発油類化合物であり、主に温郁金(Curcuma wenyujin Y.H.Chen et C.Ling)の塊根から抽出して得られたものである。現在文献で報告されているエレメンは、主にα-エレメン、(±)-β-エレメン、γ-エレメン、及びδ-エレメンを含み、これらの中でも、(-)-β-エレメンは、抗腫瘍作用を発揮する主要な活性成分であり、広範な抗腫瘍活性を有し、多種のがんに対していずれも一定の治療効果があり、例えば、肝臓がん、乳がん、肺がんなどが挙げられる。現在、エレメンを主成分とする多種の製剤は臨床的に一定の抗がん治療効果を取得している。
【0004】
β-エレメンは、我が国の自主知的財産権を持つ数少ない抗腫瘍新薬として、その誘導体への研究は近年大きな進展を遂げている。構造活性相関の研究結果から見ると、β-エレメンの二重結合及びその骨格は活性に重要な影響を与え、3つの二重結合を破壊しない化合物であれば、その活性はいずれもあまり影響を受けていない。しかし、エレメンは、極性が小さく、水溶性が悪いため、経口投与時の生物学的利用率が低く、その臨床応用が制限されている。従って、水溶性が良く、経口投与時の生物学的利用率がより高く、生物学的活性がエレメンより優れ、且つ副作用が小さいエレメン誘導体を得るように、エレメンに構造改造を行う必要とする。
【0005】
β-エレメンへの構造修飾は、1970年代から始まり、現在まで発展し、合成されたβ-エレメン誘導体の数としては、150種以上があり、還元酸化、硫黄含有、窒素含有、エステル類、酸類、アルコル類、グリコシド類などの幾つかの大類に関する。現在、β-エレメンビニル化カップリングに関連する研究は、非常に少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、従来技術の不足に対して、β-エレメンを母体として一連のβ-エレメンビニル化カップリング誘導体を構築し、β-エレメンビニル化カップリング誘導体を提供し、その抗腫瘍活性を研究することである。これにより新たな抗腫瘍薬の開発が期待される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、β-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、可能なジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物を提供し、ここで、前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体の構造は、式(I)で表される。
【化1】
式(I)中、Rは、それぞれ独立して、以下の構造フラグメントから選ばれるいずれか1つである。
【化2】
さらに、前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体は、化合物1~22で表される構造から選ばれるいずれか1つである。
【化3】
本発明の第2の目的は、前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体の調製方法を提供する。
【0008】
本発明では、式(I)で表される構造を有するβ-エレメンビニル化カップリング誘導体の調製については、以下の合成経路において、
【化4】
具体的には、
(1)まず、β-エレメン(A-1)の13番目のアリル位への単臭素置換反応により中間体(A-2)を得るステップと、
(2)そして、中間体(A-2)への選択的求核置換反応により中間体(A-3)を得るステップと、
(3)最後に、中間体(A-3)とアルケンブロマイド(A-4)とのビニル化カップリングにより、式(I)で表される構造を有するβ-エレメンビニル化カップリング誘導体を得るステップと、を含む、合成経路を採用する。
【0009】
本発明に係る式(I)で表される構造を有するβ-エレメンビニル化カップリング誘導体は、上記のような方法により作製されたが、上記方法の条件、例えば、反応物、溶媒、使用される化合物の量、反応温度、反応所要時間などは上記の説明に限定されない。本発明にかかる化合物は、本明細書に記載されているか、または当業者に知られている様々な合成方法を任意に組み合わせて便利に製造することもでき、そのような組み合わせは、当業者によって容易に行うことができる。
【0010】
本発明にかかる各合成経路のステップ(1)は、いずれも従来技術、例えば、公開番号CN110683932Aに開示されていることを採用することができる。
【0011】
本発明の第3の目的は、前記のβ-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、可能なジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物の、抗腫瘍薬の調製における応用を提供する。
【0012】
本発明の第4の目的は、前記のβ-エレメンビニル化カップリング誘導体、又はその光学異性体、ラセミ体、単一のエナンチオマー、可能なジアステレオマー、又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素化誘導体、水和物、溶媒化物を安全かつ有効量含む抗腫瘍薬を提供する。
【0013】
好ましくは、前記抗腫瘍薬には、さらに、薬学的に許容される担体を含む。
【0014】
好ましくは、前記応用及び前記抗腫瘍薬において、前記腫瘍は、結腸がん、肺がんを含む。
【0015】
本発明に係る化合物は、各種の腫瘍細胞株の増殖を阻害する活性を有するため、本発明に係る化合物及びその各種の結晶形、薬学的に許容される無機又は有機塩、水和物又は溶媒和物、並びに本発明に係る化合物を主な活性成分として含む医薬組成物は、種々のがんを含む各種の疾患への治療、予防及び緩和に適用することができる。
【0016】
本発明に係る医薬組成物は、本発明に係る化合物又はその薬理学的に許容される塩、及び薬理学的に許容される賦形剤又は担体を安全かつ有効量の範囲内で含む。中でも、「安全かつ有効量」とは、深刻な副作用を生じることなく病状を明らかに改善するのに十分な化合物の量を指す。一般、医薬組成物は、1剤あたり本発明に係る化合物を1~2000mg含有し、より好ましくは、1剤あたり本発明に係る化合物を5~1000mg含有する。好ましくは、前記の「1剤」は、1つのカプセル又は錠剤である。
【0017】
「薬学的に許容される担体」とは、ヒトの使用に適しており、十分な純度と十分に低い毒性を必要とする、1種又は複数種の相溶性固体又は液体フィラー又はゲル状物質を意味する。「相溶性」とは、化合物の薬効を著しく低下させることなく、組成物中の各成分が、本発明に係る化合物と、及びそれらの間で互いにドープできることを意味する。薬学的に許容される担体部分の例としては、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、酢酸セルロースなど)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、大豆油、ごま油、落花生油、オリーブ油など)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤、湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、調味料、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、パイロジェンフリー水などがある。
【0018】
本発明に係る化合物又は医薬組成物の投与方法は、特に限定されていないが、代表的な投与方法としては、経口、腫瘍内、直腸、胃腸管外(静脈内、筋肉内または皮下)及び局所投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
経口投与のために用いられる固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤を含む。これらの固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの通常の不活性賦形剤(又は担体)、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムと混合されるか、或いは、(a)フィラー又は可溶化剤、例えば、デンプン、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸;(b)結合剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアラビアガム;(c)保湿剤、例えば、グリセリン;(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、複合型ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム;(e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン;(f)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル;(h)吸着剤、例えば、カオリン;(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体状ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム又はそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤では、剤形に緩衝剤を含むこともできる。
【0020】
錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤のような固体剤形は、コーティング被膜及び殻材、例えば、腸溶性被膜及び他の当技術分野で公知の材料により調製されることができる。それらは、不透明剤を含んでもよく、このような組成物において活性化合物又は化合物の放出は、消化管内のある部位で遅延して放出されてもよい。使用できる包埋成分の具体的な例は、重合物及びワックス系物質である。必要に応じて、活性化合物は、上記賦形剤のうちの1種又は複数種とマイクロカプセルとして形成してもよい。
【0021】
経口投与のために使用される液体剤形には、薬学的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップ剤又はチンキ剤が含まれる。液体剤形には、活性化合物に加えて、当技術分野で従来使用されている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、並びに油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油又はこれらの物質の混合物などを含むことができる。
【0022】
組成物には、これらの不活性希釈剤に加えて、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、矯味剤、及び香料を含むことができる。
【0023】
懸濁液には、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメトキシドおよび寒天又はこれらの物質の混合物などを含むことができる。
【0024】
胃腸管外注射用組成物は、生理学的に許容される滅菌水溶液または無水溶液、分散液、懸濁液又は乳液、及び滅菌注射用溶液または分散液に再溶解するための滅菌粉末を含むことができる。適当な水含有及び非水担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤としては、水、エタノール、多価アルコール、及びそれらの適当な混合物を含む。
【0025】
局所投与のために使用される本発明に係る化合物の剤形としては、軟膏剤、散剤、貼付剤、スプレー剤及び吸入剤が含まれる。活性成分は、無菌条件下で生理的に許容される担体および任意の防腐剤、緩衝剤、または必要に応じて推進剤と一緒に混合する必要がある可能性がある。
【0026】
本発明に係る化合物は、単独して投与されるか、又は他の薬学的に許容される化合物と併用投与されることができる。
【0027】
医薬組成物を使用する場合には、本発明に係る化合物の安全かつ有効量は、治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に適用され、中でも、投与時の用量は、薬学的に有効な投与量であり、60kg体重のヒトについては、1日あたり投与量は、通常、1~5000mgであり、好ましくは5~2000mgである。もちろん、具体的な用量は、投与経路、患者の健康状態などの要因も考慮する必要があり、これらは熟練した医師の技術的範囲内にある。
【0028】
従来技術と比較して、本発明は、主な利点が以下の通りである。本発明は、式(I)で表される構造を有するβ-エレメンビニル化カップリング誘導体、式(I)で表される構造を有するβ-エレメンビニル化カップリング誘導体を含む医薬組成物及び水和物、並びにそれらの化合物の同位体誘導体、キラル異性体、バリアント、異なる塩、プロドラッグ及び製剤などを提供する。本発明は、さらに、前記β-エレメンビニル化カップリング誘導体の調製方法、用途、及び各種の腫瘍細胞株の増殖に対するそれらの化合物の阻害活性を提供する。本発明に係るβ-エレメンC(sp)-C(sp)結合カップリング誘導体は、各種のがん、例えば、肺がん、肝臓がん、結直腸癌、胃がん、前立腺がん、卵巣がん、乳がん又は神経膠腫などを治療する抗腫瘍薬候補となることが期待される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、具体的な実施例と組み合わせて本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。以下の実施例では具体的な条件を示していない操作方法は、通常、従来の条件またはメーカーが推奨する条件に従う。
【0030】
実施例1:化合物1の調製
【化5】
中間体1d
(1)0℃の条件下で、化合物1a(20mmol、100mol%)のジクロロメタン(DCM、80 mL)溶液にCBr(30mmol、150mol%)を加え、その後、窒素ガス保護の条件下で定圧滴下ロートによりPPh(60mmol、300mol%)のDCM(70 mL)溶液を1滴ずつ徐々に滴下した。反応の進行をTLCにて監視し、完全に反応させた後、約半分のジクロロメタンを減圧下で除去し、その後、石油エーテル(PE、100 mL)を加えてトリフェニルホスフィンオキサイド(TPPO)を沈殿させた。セライトろ過及び蒸発後、残渣をPE(50mL)に溶解させ、TPPOをさらに沈殿させた。これを数回繰り返して粗製二臭化物1b(~20mmol、100mol%)を得、次のステップで直接使用した。
(2)室温の条件下で、粗製二臭化物1b(~20mmol、100mol%)とNEt(60mmol、300mol%)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、20mL)溶液にジメチルホスファイト(60mmol、300mol%)を加え、一晩撹拌した。DMFを減圧下で留去し、水溶液(60mL)を加え、PE(2×100mL)で抽出し、合わせた有機相を塩酸水溶液(1M、55mL)で洗浄し、その後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥させた。乾燥剤を濾去し、濾液を減圧濃縮し、得られた粗生成物1cを次のステップで直接使用した。
(3)前のステップからの粗産物1c(~20mmol、100mol%)をイソプロパノール(i-PrOH、30mL)に溶解させた。固体の水酸化ナトリウム(17mmol、85mol%)を加え、5時間以上加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、n-ヘキサン(100mL)で抽出し、合わせた有機相を塩酸水溶液(1M、75mL)、水溶液(2×100mL)で順に洗浄し、その後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥させた。乾燥剤を濾去し、濾液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(0.5%)のシステムによる溶出)により精製し、白色固体1d(2.65g、収率62%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.25-7.21 (m、 2H)、 7.04 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 6.87-6.83 (m、 2H)、 6.61 (d、 J = 13.9 Hz、 1H)、 3.81 (s、 3H).
【0031】
化合物1
マグネティックスターラーを備えたオーブンで乾燥させたシュレンク管に、中間体1d(0.150mmol、1.0 equiv)、中間体1e(0.300mmol、2.0 equiv)、触媒NiCl(PPh(9.8 mg、0.015mmol、10mol%)、還元剤Zn粉末(19.6 mg、 0.300mmol、 2.0 equiv)、配体4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン(4.0 mg、0.015mmol、10mol%)及び添加剤MgCl(28.6 mg、0.300mmol、2.0 equiv)を順に加えた。次いで、反応系が窒素雰囲気下になるようにシュレンク管を二列管で3回排気し、最後にN,N-ジメチルアセトアミド(DMA、1.0mL)溶液をシリンジで加え、25℃で12時間撹拌した。完全に反応させた後、後処理をせずに、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(2%)のシステムによる溶出)により直接精製し、無色油状液体1(43.3 mg、収率86%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.31 (d、 J = 8.7 Hz、 2H)、 6.85 (d、 J = 8.7 Hz、 2H)、 6.37 (d、 J = 15.8 Hz、 1H)、 6.08 (dt、 J = 15.7、 7.1 Hz、 1H)、 5.83 (dd、 J = 17.4、 10.9 Hz、 1H)、 4.92 (dd、 J = 8.1、 1.2 Hz、 1H)、 4.89 (s、 1H)、 4.87 (s、 1H)、 4.83 (dd、 J = 5.0、 1.3 Hz、 2H)、 4.61 (s、 1H)、 3.81 (s、 3H)、 2.95 (d、 J = 7.0 Hz、 2H)、 2.02 (dd、 J = 11.8、 4.3 Hz、 2H)、 1.72 (s、 3H)、 1.64-1.59 (m、 2H)、 1.54-1.42 (m、 4H)、 1.02 (s、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 158.92、 153.40、 150.38、 147.81、 130.81、 130.65、 127.27、 126.63、 114.06、 112.26、 110.01、 108.76、 55.41、 52.90、 44.30、 40.09、 39.98、 38.83、 33.36、 27.33、 24.93、 16.76. HRMS (ESI) m/z ([M-H]) calcd for C2431O: 335.2380. Found: 335.2380.
【0032】
実施例2:化合物2の調製
【化6】
中間体2d
実施例1での中間体1dの合成ステップを参照し、無色油状液体2d(881 mg、収率21%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 8.07 (d、 J = 2.5 Hz、 1H)、 7.55 (dd、 J = 8.6、 2.5 Hz、 1H)、 7.03 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 6.71 (d、 J = 8.7 Hz、 1H)、 6.66 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 3.94 (s、 3H).
化合物2
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体2(36.9 mg、収率73%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 8.08 (t、 J = 5.5 Hz、 1H)、 7.64 (dd、 J = 8.6、 2.4 Hz、 1H)、 6.69 (d、 J = 8.6 Hz、 1H)、 6.34 (d、 J = 15.9 Hz、 1H)、 6.10 (dt、 J = 15.8、 7.0 Hz、 1H)、 5.81 (dd、 J = 17.3、 11.0 Hz、 1H)、 4.99-4.75 (m、 5H)、 4.59 (s、 1H)、 3.93 (s、 3H)、 2.95 (d、 J = 6.9 Hz、 2H)、 1.99 (ddd、 J = 15.9、 11.2、 5.0 Hz、 2H)、 1.71 (s、 3H)、 1.65-1.56 (m、 3H)、 1.50-1.41 (m、 3H)、 1.01 (s、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 163.43、 153.06、 150.32、 147.77、 145.08、 135.54、 128.25、 127.52、 126.97、 112.29、 110.93、 110.07、 109.01、 53.61、 52.90、 44.41、 40.02 (d、 J = 11.8 Hz)、 38.83、 33.37、 29.84、 27.32、 24.93、 16.76. HRMS (ESI) m/z ([M+H]) calcd for C2332NO: 338.2478. Found: 338.2475.
【0033】
実施例3:化合物3の調製
【化7】
化合物3
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体3(39.7 mg、収率80%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.75 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 7.43 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 6.36 (ddd、 J = 30.6、 15.8、 11.4 Hz、 2H)、 5.81 (dd、 J = 17.3、 11.0 Hz、 1H)、 4.94-4.87 (m、 3H)、 4.82 (d、 J = 5.9 Hz、 2H)、 4.59 (s、 1H)、 2.99 (d、 J = 6.8 Hz、 2H)、 2.01 (dt、 J = 18.0、 10.4 Hz、 2H)、 1.71 (s、 3H)、 1.64-1.56 (m、 3H)、 1.52-1.42 (m、 3H)、 1.01 (s、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 169.12、 152.70、 150.29、 147.77、 141.53、 131.61、 130.50、 127.86、 126.29、 112.31、 110.10、 109.32、 100.12、 52.89、 44.48、 40.01 (d、 J = 9.9 Hz)、 38.82、 33.36、 29.84、 27.30、 24.93、 16.77. HRMS (ESI) m/z ([M+H]) calcd for C2430N: 332.2373. Found: 332.2378.
【0034】
実施例4:化合物4の調製
【化8】
化合物4
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体4(43.1 mg、収率77%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 8.54 (s、 1H)、 8.10 (s、 1H)、 7.61 (d、 J = 8.5 Hz、 2H)、 7.49 (d、 J = 8.6 Hz、 2H)、 6.44 (d、 J = 15.8 Hz、 1H)、 6.29 (dt、 J = 15.8、 7.0 Hz、 1H)、 5.82 (dd、 J = 17.3、 11.0 Hz、 1H)、 4.97-4.87 (m、 3H)、 4.83 (d、 J = 1.4 Hz、 2H)、 4.60 (s、 1H)、 2.99 (d、 J = 6.9 Hz、 2H)、 2.06-1.97 (m、 2H)、 1.71 (s、 3H)、 1.64-1.58 (m、 3H)、 1.52-1.42 (m、 3H)、 1.01 (s、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) 152.81、 152.68、 150.29、 147.77、 140.84、 137.95、 135.73、 130.55、 130.06、 127.38、 120.29、 112.32、 110.11、 109.26、 52.90、 44.49、 40.06、 39.98、 38.78、 33.37、 27.32、 24.94、 16.77. HRMS (ESI) m/z ([M+H]) calcd for C2532: 374.2591. Found: 374.2590.
【0035】
実施例5:化合物5の調製
【化9】
中間体5g
実施例1での中間体1dの合成ステップを参照し、白色固体5dを得、次に、氷浴条件下、化合物5d(358 mg、1.58mmol)と化合物5f(288.4 mg、1.5mmol)の無水DCM(10mL)溶液に、DMAP(37 mg、0.3mmol)、DCC(464 mg、2.25mmol)を順に加え、一晩撹拌した。減圧条件下でDCMを蒸発除去し、残留物に水溶液(40mL)を加え、その後、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水(2×20mL)で洗浄し、その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤を濾去し、濾液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(0.5%)のシステムによる溶出)により精製し、白色固体5g(581 mg、収率97%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.93 (d、 J = 8.4 Hz、 2H)、 7.32 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 7.18 (d、 J = 8.0 Hz、 2H)、 7.15-7.07 (m、 3H)、 6.90 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 4.42-4.33 (m、 2H)、 3.26-3.18 (m、 1H)、 2.45 (d、 J = 7.2 Hz、 2H)、 1.84 (dt、 J = 13.5、 6.8 Hz、 1H)、 1.38 (d、 J = 7.0 Hz、 3H)、 0.89 (d、 J = 6.6 Hz、 6H).
化合物5
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体5(67.6 mg、収率86%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.91 (d、 J = 7.9 Hz、 2H)、 7.38 (d、 J = 8.0 Hz、 2H)、 7.19 (d、 J = 7.7 Hz、 2H)、 7.10 (d、 J = 7.7 Hz、 2H)、 6.49-6.30 (m、 2H)、 5.82 (d、 J = 6.4 Hz、 1H)、 5.01 (s、 1H)、 4.93-4.92 (m、 1H)、 4.89 (s、 1H)、 4.83 (s、 2H)、 4.58-4.57 (m、 1H)、 4.42-4.31 (m、 2H)、 3.21 (dd、 J = 13.9、 7.0 Hz、 1H)、 2.99 (d、 J = 6.7 Hz、 2H)、 2.45 (d、 J = 7.1 Hz、 2H)、 2.09 (s、 3H)、 2.01 (d、 J = 6.8 Hz、 2H)、 1.85 (dt、 J = 13.3、 6.7 Hz、 1H)、 1.60 (s、 2H)、 1.47 (s、 4H)、 1.38 (d、 J = 6.8 Hz、 3H)、 0.99 (s、 3H)、 0.90 (d、 J = 6.6 Hz、 6H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 194.56、 170.79、 166.38、 152.57、 150.20、 150.07、 148.49、 147.40、 142.14、 140.45、 140.09、 131.70、 130.66、 129.96、 129.30、 127.11、 125.95、 112.38、 111.02、 110.13、 109.28、 70.02、 66.20、 52.77、 45.13、 44.42、 41.93、 39.90、 38.79、 33.13、 30.29、 27.13、 24.90、 22.48 (d、 J = 3.1 Hz)、 21.08、 18.13、 16.69. HRMS (ESI) m/z ([M+H]) calcd for C3749: 525.3727. Found: 525.3722.
【0036】
実施例6:化合物6の調製
【化10】
中間体6g
実施例5での中間体5gの合成ステップを参照し、無色油状液体6g(267 mg、収率82%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.98 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 7.34 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 7.13 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 6.91 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 5.09 (t、 J = 7.1 Hz、 1H)、 4.40-4.29 (m、 2H)、 1.99 (dd、 J = 22.5、 7.6 Hz、 2H)、 1.80 (dt、 J = 12.5、 6.3 Hz、 1H)、 1.66 (s、 3H)、 1.59 (s、 3H)、 1.34-1.28 (m、 2H)、 1.24 (dd、 J = 15.0、 7.7 Hz、 2H)、 0.96 (d、 J = 6.6 Hz、 3H).
化合物6
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体6(63.7 mg、収率87%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.97 (d、 J = 7.9 Hz、 2H)、 7.41 (d、 J = 8.0 Hz、 2H)、 6.50-6.29 (m、 2H)、 5.82 (dd、 J = 17.4、 10.8 Hz、 1H)、 5.10 (dd、 J = 6.9、 5.9 Hz、 1H)、 4.92 (s、 1H)、 4.91 (s、 1H)、 4.89 (d、 J = 2.6 Hz、 1H)、 4.82 (d、 J = 5.1 Hz、 2H)、 4.60 (s、 1H)、 4.46-4.27 (m、 2H)、 2.99 (d、 J = 6.8 Hz、 2H)、 2.07-1.97 (m、 4H)、 1.92 (d、 J = 10.1 Hz、 1H)、 1.86-1.79 (m、 1H)、 1.75 (d、 J = 9.2 Hz、 1H)、 1.71 (s、 3H)、 1.68 (s、 3H)、 1.61 (s、 3H)、 1.56 (d、 J = 8.1 Hz、 1H)、 1.51-1.44 (m、 3H)、 1.31 (dd、 J = 17.7、 7.5 Hz、 4H)、 1.01 (s、 3H)、 0.97 (d、 J = 6.5 Hz、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 166.64、 152.66、 150.27、 147.72、 142.14、 131.72、 131.48、 130.72、 130.00、 129.01 125.99、 124.71、 112.30、 110.08、 109.31、 63.53、 52.87、 44.47、 40.00 (d、 J = 10.8 Hz)、 38.84、 37.13、 35.66、 35.06、 33.35、 29.72、 27.30、 25.84、 25.54、 24.93、 19.65、 17.80、 16.75. HRMS (ESI) m/z ([M+H]) calcd for C3449: 489.3727. Found: 489.3730.
【0037】
実施例7:化合物7の調製
【化11】
中間体7g
実施例5での中間体5gの合成ステップを参照し、無色油状液体7g(281 mg、収率89%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 8.00 (d、 J = 8.2 Hz、 2H)、 7.35 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 7.13 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 6.91 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 5.84 (s、 1H)、 4.73-4.70 (m、 3H)、 2.17 (d、 J = 3.6 Hz、 1H)、 1.93-1.89 (m、 2H)、 1.74 (s、 3H)、 1.58-1.49 (m、 2H)、 1.30 (d、 J = 9.8 Hz、 2H).
化合物7
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体7(59.5 mg、収率82%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.97 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 7.40 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 6.38 (dt、 J = 15.8、 12.4 Hz、 2H)、 5.82-5.80 (m、 2H)、 5.00 (s、 1H)、 4.91 (s、 1H)、 4.88 (d、 J = 2.1 Hz、 1H)、 4.81 (s、 2H)、 4.71 (dd、 J = 8.9、 5.0 Hz、 4H)、 4.57 (s、 1H)、 2.98 (d、 J = 6.7 Hz、 2H)、 2.17 (d、 J = 5.1 Hz、 3H)、 2.08 (s、 3H)、 2.01 (s、 2H)、 1.90 (d、 J = 10.0 Hz、 3H)、 1.70-1.69 (m、 3H)、 1.59 (s、 2H)、 1.46 (d、 J = 3.4 Hz、 4H)、 1.29 (s、 1H)、 1.00-0.99 (m、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 194.56、 170.79、 154.90、 152.57、 150.06、 148.48、 147.40、 132.89、 131.73、 130.66、 130.02、 125.96、 125.59、 112.36、 111.01、 110.12、 108.90、 68.78、 66.20、 55.80、 52.76、 48.46、 45.71、 44.42、 41.92、 40.95、 39.89、 38.79、 36.51、 35.00、 33.12、 30.56. HRMS (ESI) m/z ([M+H]) calcd for C3445: 485.3414. Found: 485.3409.
【0038】
実施例8:化合物8の調製
【化12】
化合物8
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体8(50.1 mg、収率75%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 8.01 (d、 J = 7.7 Hz、 1H)、 7.59 (d、 J = 3.6 Hz、 1H)、 7.32 (d、 J = 7.5 Hz、 1H)、 7.24 (t、 J = 3.9 Hz、 1H)、 6.72 (d、 J = 3.3 Hz、 2H)、 6.32 (dt、 J = 15.7、 7.1 Hz、 1H)、 5.80 (dd、 J = 17.4、 10.9 Hz、 1H)、 4.93-4.77 (m、 5H)、 4.58 (s、 1H)、 3.02 (d、 J = 7.0 Hz、 2H)、 2.00 (dd、 J = 12.0、 3.9 Hz、 2H)、 1.70 (s、 3H)、 1.65 (s、 12H)、 1.46 (ddd、 J = 9.0、 7.8、 2.6 Hz、 3H)、 1.00 (s、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 153.17、 150.37、 147.82、 135.65、 134.23、 130.42 (d、 J = 8.5 Hz)、 128.63、 125.92、 124.48、 119.37、 115.42、 114.66、 113.93、 112.29、 110.04、 109.06、 105.62、 83.83、 52.92、 44.45、 40.05 (d、 J = 12.6 Hz)、 39.20、 33.41、 29.85、 28.34、 27.36、 24.94、 16.78. HRMS (ESI) m/z ([M-H]) calcd for C3038NO: 444.2908. Found: 444.2908.
【0039】
実施例9:化合物9の調製
【化13】
中間体9g
実施例5での中間体5gの合成ステップを参照し、無色油状液体9g(416 mg、収率69%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.99 (d、 J = 8.4 Hz、 2H)、 7.34 (d、 J = 8.3 Hz、 2H)、 7.13 (d、 J = 14.1 Hz、 1H)、 6.90 (d、 J = 14.0 Hz、 1H)、 5.45 (t、 J = 7.0 Hz、 1H)、 4.83 (d、 J = 7.0 Hz、 2H)、 2.04 (d、 J = 5.1 Hz、 2H)、 1.75 (s、 3H)、 1.51 (dd、 J = 13.3、 6.7 Hz、 1H)、 1.39-1.11 (m、 20H)、 0.88-0.81 (m、 12H).
化合物9
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体9(73.6 mg、収率78%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.98 (d、 J = 8.4 Hz、 2H)、 7.40 (d、 J = 8.4 Hz、 2H)、 6.54-6.26 (m、 2H)、 5.82 (dd、 J = 17.3、 11.0 Hz、 1H)、 5.46 (dd、 J = 7.0、 6.0 Hz、 1H)、 4.93-4.89 (m、 2H)、 4.83 (dd、 J = 5.9、 4.0 Hz、 3H)、 4.60 (s、 1H)、 3.20 (dt、 J = 13.3、 5.0 Hz、 1H)、 2.99 (d、 J = 6.8 Hz、 2H)、 2.07-1.98 (m、 5H)、 1.95-1.89 (m、 2H)、 1.75 (s、 3H)、 1.71 (s、 3H)、 1.63-1.57 (m、 5H)、 1.48 (ddd、 J = 13.1、 9.9、 5.1 Hz、 8H)、 1.16-1.12 (m、 5H)、 1.09-1.05 (m、 5H)、 1.01 (s、 3H)、 0.86 (d、 J = 5.5 Hz、 12H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 166.66、 152.68、 150.29、 147.74、 142.87、 142.13、 131.69、 130.74、 130.07、 129.03、 125.98、 118.37、 112.31、 110.08、 109.32、 61.98、 55.89、 52.88、 44.47、 40.05、 39.79、 39.52、 38.85、 37.57、 37.51、 37.44、 36.77、 35.07、 33.36、 32.87 (d、 J = 15.3 Hz)、 29.85、 28.12、 27.30、 25.60、 25.19、 24.94、 24.61、 22.82 (d、 J = 11.7 Hz)、 19.88 (d、 J = 3.7 Hz)、 16.69 (d、 J = 18.4 Hz)、 14.27. HRMS (ESI) m/z ([M+H]) calcd for C4469: 629.5292. Found: 629.5291.
【0040】
実施例10:化合物10の調製
【化14】
中間体10g
実施例5での中間体5gの合成ステップを参照し、白色固体10g(1.07 g、収率91%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.97 (dd、 J = 8.5、 1.6 Hz、 2H)、 7.39-7.34 (m、 2H)、 7.34-7.30 (m、 2H)、 7.30-7.27 (m、 2H)、 7.20 (dd、 J = 8.1、 6.8 Hz、 2H)、 7.16-7.10 (m、 4H)、 6.91 (d、 J = 14.1 Hz、 1H)、 6.82-6.76 (m、 2H)、 6.62-6.56 (m、 2H)、 4.57 (dd、 J = 5.5、 3.9 Hz、 2H)、 4.16 (dd、 J = 5.6、 3.9 Hz、 2H)、 3.41 (t、 J = 7.4 Hz、 2H)、 2.92 (t、 J = 7.5 Hz、 2H).
化合物10
実施例1での化合物1の合成ステップを参照し、無色油状液体10(86.4 mg、収率81%)を得た。H NMR (500 MHz、 CDCl) δ 7.96 (d、 J = 8.2 Hz、 2H)、 7.42-7.36 (m、 4H)、 7.31 (d、 J = 6.2 Hz、 3H)、 7.23-7.19 (m、 2H)、 7.16 (d、 J = 7.2 Hz、 3H)、 6.82 (d、 J = 8.7 Hz、 2H)、 6.61 (d、 J = 8.7 Hz、 2H)、 6.51-6.31 (m、 2H)、 5.86-5.80 (m、 1H)、 5.11 (d、 J = 13.8 Hz、 1H)、 4.92 (s、 1H)、 4.91 (s、 1H)、 4.84 (d、 J = 6.9 Hz、 2H)、 4.61 (s、 1H)、 4.59-4.56 (m、 2H)、 4.20-4.14 (m、 2H)、 3.43 (t、 J = 7.4 Hz、 2H)、 3.00 (d、 J = 8.7 Hz、 2H)、 2.95-2.91 (m、 2H)、 2.05-2.00 (m、 2H)、 1.73 (s、 3H)、 1.62 (dd、 J = 7.5、 3.3 Hz、 2H)、 1.51-1.45 (m、 4H)、 1.03 (s、 3H). 13C NMR (126 MHz、 CDCl) δ 166.44、 156.86、 152.58、 150.24、 148.88、 147.68、 142.94、 142.41、 141.75、 141.03、 135.41 (d、 J = 5.3 Hz)、 131.93、 131.86、 130.62、 130.16、 129.63、 129.49、 128.46、 128.34、 127.07、 126.73、 125.98、 113.72、 113.13、 112.29、 110.07、 109.33、 79.52、 65.88、 63.33、 52.83、 44.43、 42.93、 41.65、 39.96 (d、 J = 9.6 Hz)、 38.75 (d、 J = 14.8 Hz)、 33.31、 29.81、 27.26、 24.92. HRMS (ESI) m/z ([M+Na]) calcd for C4851ClNaO: 733.3419. Found: 733.3482.
【0041】
実施例11:腫瘍細胞増殖阻害アッセイ
in vitro 抗腫瘍活性評価
1. 実験設備及び試薬
1.1機器
生物学的安全キャビネット(上海百基生物科技有限公司)、恒温二酸化炭素インキュベーター(THERMO)、酵素免疫測定装置(Spark)、倒立顕微鏡(Nikon)、ピペットガン(eppendorf)及び遠心機(beckman coulter)。
1.2試薬
McCoy’S 5A(浙江森瑞生物科技有限公司)、RPMI 1640(浙江森瑞生物科技有限公司)、Fatal Bovine Serum(BI)、PBS(浙江森瑞生物科技有限公司)、Trypsin(浙江森瑞生物科技有限公司)、DMSO(Coolaber)及びCCK-8(Coolaber)。
1.3細胞株
ヒト結腸がん細胞(HCT116)、ヒト肺がん細胞(A549)。
【0042】
2. 実験方法
1)対数増殖期の被験細胞を採取し、トリプシン消化し、計数した後、5×10/mLの濃度で96ウェルプレートに1ウェルあたり100μL(5×10個の細胞/ウェル)で播種し、37℃で、5%COインキュベーターで24h培養した。
2)被験薬物は、McCoy’S 5A又はRPMI 1640完全培地で異なる濃度に希釈された。実験群では、異なる濃度被験サンプルを含む培養液を交換し、対照群では、同じ体積の溶媒(DMSO)を含む培養液を交換し、各群あたり3つの並列培養用ウェルを設定し、37℃で、5%COインキュベーターで48h培養し続けた。
中でも、HCT116細胞は、McCoy’S 5A完全培地を使用し、A549細胞は、RPMI 1640完全培地を使用した。
3)各ウェルあたり10μLのCCK-8溶液を加え、37℃で1~4h培養し続け、マイクロプレートリーダーにより490nmで各ウェルの吸光度値(OD値)を測定した。
4)生存率及び阻害率は、以下の式により算出された
細胞生存率=[(A-A)/(A-A)]×100%
阻害率=[(A-A)/(A-A)]×100%
GraphPad Prism 7.0ソフトウェアを使用し、非線形回帰モデルを使用してシグモイド型用量-生存率曲線をプロットし、IC50値を算出した。
:実験ウェル(細胞を含有する培地、CCK-8、被験薬物)の吸光度
:対照ウェル(細胞を含有する培地、CCK-8、溶媒(DMSO)の吸光度
:ブランクウェル(細胞と被験薬物とを含まない培地、CCK-8)の吸光度
【0043】
3. 実験結果
2つの腫瘍細胞の増殖への目的化合物及び陽性対照薬であるβ-エレメンの阻害作用を、上記実験方法に従って測定した結果を、表1に示した。
【表1】
100μMの化合物を腫瘍細胞に48h作用させた。
結果より、化合物4の腫瘍細胞増殖阻害作用は、陽性対照であるβ-エレメンよりも有意に強いことを示した。
化合物4を選択して、上記実験方法に従ってIC50値を測定した結果を、表2に示した。
【表2】
異なる濃度の化合物を腫瘍細胞に48h作用させた。
結果より、化合物4は、陽性対照であるβ-エレメンよりも有意に強い細胞増殖阻害活性を示すことが分かった。
さらに、本発明への上記説明を読んだ後、当業者は本発明にさまざまな変更または修正を加えることができ、これらの等価な形態も添付の請求項の範囲によって限定される範囲内に含まれることを理解すべきである。