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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ラージサイズ半導体集積回路用のトレー
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H01L21/68 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024020247
(22)【出願日】2024-02-14
【審査請求日】2024-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592180476
【氏名又は名称】シノン電気産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【弁理士】
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】張 亮
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-142375(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029217(WO,A1)
【文献】特開平11-105874(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2001-0073537(KR,A)
【文献】国際公開第2018/207942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概ね矩形の形状の半導体集積回路を収容するための1つ又は複数のポケットを有するトレーであって、
該半導体集積回路用のトレーの表側面に形成された上記ポケットの内底面に、円形の輪郭を有する凹状の曲面が形成されており、
上記ポケットの内底面の裏側面にも円形の輪郭を有する凹状の曲面が形成されており、さらには、
上記円形の中心と上記ポケットの中心とが概ね同心状に形成されていることを特徴とする、ラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【請求項2】
上記ポケットが、平面視で120mm×120mm四方よりも大きい寸法の基板を収容することのできる寸法を有することを特徴とする、請求項1に記載のラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【請求項3】
上記凹状の曲面は、所定の曲率半径を有する球冠の曲面からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【請求項4】
該ラージサイズ半導体集積回路用のトレーの長手方向に延びる辺縁から短手方向に突出する突出部が形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【請求項5】
上記突出部が概ね長方形の形状に形成されていることを特徴とする、請求項に記載のラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【請求項6】
上記突出部が概ね台形の形状に形成されていることを特徴とする、請求項に記載のラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【請求項7】
上記突出部が概ね弓形の形状に形成されていることを特徴とする、請求項に記載のラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【請求項8】
上記突出部は、該ラージサイズ半導体集積回路用のトレーの長手方向に延びる辺縁の各端部から所定の距離以上離れた位置に形成されていることを特徴とする、請求項に記載のラージサイズ半導体集積回路用のトレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路(IC等)の基板を収容するための半導体集積回路用のトレーに関し、詳しくは、特に大きい寸法を有する半導体集積回路の基板等(パッケージを含む)を収容するためのラージサイズ半導体集積回路用のトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路用のトレー(以下、単に「トレー」ともいう)には、半導体集積回路の基板を収容するための1つまたは複数のポケットが形成されている。また、半導体集積回路の基板の周縁部を下方から支持するための支持段部が、ポケットの周縁の壁から水平方向に延在するように形成されており、PGAやBGA等のグリッドアレイ系の半導体集積回路の基板がトレーのポケットに収容されたときにも、その基板の底面の端子がポケットの内底面に接触することは通常はない。
【0003】
また、半導体集積回路用のトレーは一般的に、JEDEC半導体技術協会(以下、単に「JEDEC」という。)の標準規格に準拠する寸法(約315.0mm(乃至322.6mm)×約135.9mmの長方形)を有し、JEDEC規格に準拠して作られた半導体製造装置(最低限な装置改造を含む)によって操作され得るように構成されている。
【0004】
しかし、大型(ラージサイズ)の半導体集積回路の基板は、製造誤差などによる若干の歪み(変形)を有していることがあり、そのラージサイズ半導体集積回路の基板を収容している大型の半導体集積回路用のトレーを取り扱う者が誤ってそのトレーに外力を加え過ぎてしまったときに、そのトレーが曲げられると、基板の底面の端子がトレーのポケットの内底面に接触し損傷してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-142375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
JEDEC規格の上限近くの大型の半導体集積回路の基板(例えば、平面視で120mm×120mm四方の寸法を有する基板)用のトレーが外力を受けて撓むと、基板の端子(特には基板の中央付近の端子)が、トレーのポケット内の内底面に接触してしまうことがある。また、そのような大型の(平面視で120mm×120mm四方よりも大きな寸法を有する)基板を収容するためのトレーについては、JEDEC規格の半導体集積回路用のトレーを操作するために用いられている既存の半導体製造装置を使って操作することが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例においては、概ね矩形の形状の半導体集積回路を収容するための1つ又は複数のポケットを有するトレーであって、該半導体集積回路用のトレーの表側面に形成されたポケットの内底面に、円形の輪郭を有する凹状の曲面が形成されている、ラージサイズ半導体集積回路用のトレーを提供する。
【0008】
また、円形の中心とポケットの中心(矩形のポケットの2本の対角線の交点)とが概ね同心状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、半導体集積回路用のトレーのポケットの内底面の裏側面に、円形の輪郭を有する凹状の曲面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、裏側面における円形の中心とポケットの中心(矩形のポケットの2本の対角線の交点)とが概ね同心状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
さらには、凹状の曲面は、所定の曲率半径を有する球冠の曲面からなることを特徴とする。
【0012】
他の実施例においては、該ラージサイズ半導体集積回路用のトレーの長手方向に延びる辺縁から短手方向に突出する突出部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、突出部が概ね長方形の形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、突出部が概ね台形の形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、突出部が概ね弓形の形状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
さらには、突出部は、該ラージサイズ半導体集積回路用のトレーの長手方向に延びる辺縁の各端部から所定の距離以上離れた位置に形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のラージサイズ半導体集積回路用のトレーの一例を示す図。
図2図1中のA-A線に沿って切り出された断面などを示す図。
図3】ポケットの内底面に凹状の曲面が形成されたトレーを示す図。
図4】内定面の裏側面に凹状の曲面が形成されたトレーを示す図。
図5】ポケットの内底面及び裏側面に凹状の曲面が形成されたトレーを示す図。
図6】トレーの表側のポケットの内底面の凹状の曲面のアーチ状断面を示す図。
図7】トレーのポケットの内底面の裏側面の凹状の曲面のアーチ状断面を示す図。
図8】トレーのポケットの内底面及び裏側面の凹状の曲面のアーチ状断面を示す図。
図9】概ね長方形の形状の突出部が形成されたトレーを示す図。
図10】概ね台形の形状の突出部が形成されたトレーを示す図。
図11】概ね弓形の形状の突出部が形成されたトレーを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のラージサイズ半導体集積回路用のトレーについて添付の図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例における半導体集積回路用のトレー1の斜視図である。トレー1の表側面には、半導体集積回路の基板の大きさに応じて1つ又は複数のポケット2が形成されている。また、そのポケット2には、半導体集積回路の基板の底面の端子をポケット2の内底面4に接触させないように、半導体集積回路の基板の周縁部を下方から支持するための支持段部6が水平方向に延びている。
【0020】
一実施例においては、トレー1の表側面の2つのポケット2の各々の内底面に、円形の輪郭8を有する凹状の曲面が形成されている。
【0021】
図2(a)は、図1中のA-A線に沿って切り出された断面を示している。
【0022】
図2(b)は、凹状の曲面10を認識できるように誇張して描いたものであり(実際の曲面8は肉眼で認識するのが難しいほど僅かに湾曲している。)、この図2(b)に示されるように、トレー1のポケット2の内底面4に、凹状の曲面10が形成され得る。
【0023】
図2(c)は、凹状の曲面10が、仮想の球冠(内底面4によって切断される球の一部)の曲面からなる場合を示している斜視図である。図2(c)は、球冠の曲面を明確に認識できるように誇張して描かれている。このようにポケット2の内底面4に凹状の曲面10が形成されていれば、ポケット2に収容されるべき半導体集積回路の基板の端子(特には基板の中央付近の端子)がポケット2の内底面4から離間されるため、ポケット2の内底面4に接触してしまうことがない。なお、図2中の一点鎖線は、図2(a)~(c)における互いの対応箇所を示している。
【0024】
図3はトレー1の一実施例を示しており、図3(a)は、図1中のA-A線に沿って切り出された断面図である。この実施例においては、図3(b)に示されるように、トレー1のポケット2の内底面4に凹状の曲面10が形成されている。また、図3(b)には、一実施例における凹状の曲面10の円形の輪郭8が示されており、この円形の中心とポケット2の中心とは概ね同心状に形成されている。他の実施例においては、図示した円形の半径とは異なる半径を有する円形の輪郭8とする場合もある。また、特定の実施例において、凹状の曲面10は、所定の大きさの曲率半径(一実施例においては1000mm~5000mmの曲率半径、例えば約3000mmの球半径)を有する球冠の曲面からなる場合がある。
【0025】
図4はトレー1の他の実施例を示しており、図4(a)は、図1中のA-A線に沿って切り出された断面図である。この実施例においては、図4(b)に示されるように、トレー1のポケット2の内底面4の裏側面に凹状の曲面10が形成されている。また、図4(b)には、一実施例における凹状の曲面10の円形の輪郭8が示されており、この円形の中心とポケット2の中心とは概ね同心状に形成されている。他の実施例においては、図示した円形の半径とは異なる半径を有する円形の輪郭8とする場合もある。また、特定の実施例において、凹状の曲面10は、所定の大きさの曲率半径を有する球冠(上記裏側面によって切断される球の一部)の曲面からなる場合がある。
【0026】
図5はトレー1のさらに他の実施例を示しており、図5(a)は、図1中のA-A線に沿って切り出された断面図である。この実施例においては、図5(b),(c)に示されるように、トレー1のポケット2の内底面4と、該内底面4の裏側面とに凹状の曲面10が形成されている。図5(b)は、トレー1のポケット2の内底面4に形成された凹状の曲面10を示している。図5(c)は、トレー1のポケット2の内底面4の裏側面に形成された凹状の曲面10を示している。また、図5(b),(c)には、一実施例における凹状の曲面10の円形の輪郭8が示されており、この円形の中心とポケット2の中心とは概ね同心状に形成されている。他の実施例においては、図示した円形の半径とは異なる半径を有する円形の輪郭8とする場合もある。このようなトレー1は、半導体集積回路の基板の重さを架橋構造で支える構造を有するため、従来のトレーと比較して、大型の基板を収容したときにもトレー1の変形(反りや撓み)が生じにくい。また、特定の実施例において、各凹状の曲面10は、所定の大きさの曲率半径を有する球冠の曲面からなる場合がある。
【0027】
図6は一実施例におけるトレー1を示しており、図6(a)は、図1中のA-A線に沿って切り出された断面図である。図6(b)は、トレー1のポケット2の内底面4に形成された凹状の曲面10のアーチ状断面12を示す図であり、そのアーチ状断面12を明確に認識できるように誇張して描かれている。このようにポケット2の内底面4に凹状の曲面10が形成されていれば、ポケット2に収容される半導体集積回路の基板の端子(特には基板の中央付近の端子)がポケット2の内底面4から離間されるため、ポケット2の内底面4に接触してしまうことがない。
【0028】
図7は他の実施例におけるトレー1を示しており、図7(a)は、図1中のA-A線に沿って切り出された断面図である。図7(b)は、トレー1のポケット2の内底面4の裏側面に形成された凹状の曲面10のアーチ状断面12を示す図であり、アーチ状断面12を明確に認識できるように誇張して描かれている。このように、トレー1のポケット2の内底面4の裏側面に凹状の曲面10が形成されていれば、ポケット2に収容されるべき大型の半導体集積回路の基板の重さを架橋構造で支えることができるので、トレー1が薄くても丈夫で破損しにくいという利点がある。
【0029】
図8はさらに他の実施例におけるトレー1を示しており、図8(a)は、図1中のA-A線に沿って切り出された断面図である。図8(b)は、トレー1のポケット2の内底面4に形成された凹状の曲面10のアーチ状断面12を示している。図8(c)は、トレー1のポケット2の内底面4の裏側面に形成された凹状の曲面10のアーチ状断面12を示している。図8(b),(c)は、アーチ状断面12を明確に認識できるように誇張して描かれている。
【0030】
図9~11に示す半導体集積回路用のトレー1は、大型の半導体集積回路の基板(平面視で120mm×120mm四方よりも大きい寸法を有する基板)を収容することができるように、トレー1の短手方向に突出する突出部14を有する。これらの突出部14の形状及び寸法は、トレー1に収容されるべき半導体集積回路の基板の大きさや重量などに応じて設計され得る。また、大型の半導体集積回路の基板を収容するために変形されたトレー1であっても、そのトレー1の長手方向に延びる辺縁16の各端部をJEDEC規格用の既存の半導体製造装置で保持することができれば、JEDEC規格のトレーと同様に既存の半導体製造装置を使って操作することが可能となる。そうするためには、トレー1の長手方向に延びる辺縁16の各端部から所定の距離(例えば、20mm~70mm)以上離れた箇所に、突出部14を形成するようにして、トレー1の端部における横幅(短手方向の長さ)を変えないことが必要である。
【0031】
図9は、平面視で概ね十字形のトレー1となるように、概ね長方形の形状の突出部14が形成されているトレー1を示している。このトレー1において、突出部14が短手方向へ突出し始める位置18は、辺縁16の各端部から所定の距離以上離れている。
【0032】
図10は、概ね台形の形状の突出部14が形成されたトレー1を示している。
【0033】
図11は、概ね弓形(中心角180°未満の円弧とその円弧の両端点を結ぶ弦とによって囲まれた形状)の突出部14が形成されたトレー1を示している。
【符号の説明】
【0034】
1…(ラージサイズ半導体集積回路用の)トレー
2…ポケット
4…(ポケットの)内底面
6…支持段部
8…円形の輪郭
10…凹状の曲面
12…アーチ状断面
14…突出部
16…(トレーの長手方向に延びる)辺縁
18…(突出部の)突出し始める位置
【要約】
【目的】 大型の半導体集積回路の基板が収容されるべき半導体集積回路用のトレーのポケットの内底面に、該基板の底面の端子が接触しないようにする。また、JEDEC規格の半導体集積回路の基板を操作するための既存の半導体製造装置(最低限な装置改造を含む)で操作可能なラージサイズ半導体集積回路用のトレーを提供する。
【解決手段】 1つ又は複数のポケットを有する半導体集積回路用のトレーの長手方向に延びる辺縁から、短手方向に突出する突出部が形成されている。また、該半導体集積回路用のトレー1の表側面に形成された1つ又は複数のポケット2の内底面4に、円形の輪郭を有する凹状の曲面10が形成されている、ラージサイズ半導体集積回路用のトレー1を提供する。一実施例において、凹状の曲面10は、所定の曲率半径を有する球冠の曲面からなり得る。
【選択図】 図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11