(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20241029BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241029BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2023122398
(22)【出願日】2023-07-27
【審査請求日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2022173350
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 吉正
(72)【発明者】
【氏名】村井 章人
(72)【発明者】
【氏名】西村 洋文
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/073193(WO,A1)
【文献】特開2019-73191(JP,A)
【文献】特開2019-104336(JP,A)
【文献】特開2019-182038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を示す周辺画像に基づいて駐車枠を検知する駐車枠検知部と、
前記車両の乗員の操作または前記車両の運動の何れかの履歴を記憶する記憶部と、
前記履歴に基づいて、前記乗員の駐車指示を検出する指示検出部と、
前記指示検出部が前記駐車指示を検出した後に、前記車両の自動駐車を行う車両制御部と、
を備え、
前記指示検出部は、前記履歴が、前記車両が直進から転舵して旋回した後に停車したことを示し、かつ、前記乗員が所定の駐車指示操作を行った場合に、前記駐車指示を検出した、と判定する
駐車支援装置であって、
前記所定の駐車指示操作は、ハンドルの解放、ブレーキの解放、ハザードランプの点灯、駐車指示に対応するボタンの操作、のうちの少なくとも一つを含む、
駐車支援装置。
【請求項2】
車両の周辺を示す周辺画像に基づいて駐車枠を検知する駐車枠検知部と、
前記車両の乗員の操作または前記車両の運動の何れかの履歴を記憶する記憶部と、
前記履歴に基づいて、前記乗員の駐車指示を検出する指示検出部と、
前記指示検出部が前記駐車指示を検出した後に、前記車両の自動駐車を行う車両制御部と、
を備え、
前記指示検出部は、前記履歴が、前記車両が直進から転舵して旋回した後に停車したことを示し、かつ、前記乗員が所定の駐車指示操作を行った場合に、前記駐車指示を検出した、と判定する駐車支援装置であって、
場面が、前記車両が駐車する駐車シーンであるか否かについて判定するシーン判定部と、
前記場面が駐車シーンではない時に、前記駐車支援装置の機能を制限する機能制限部と、
をさらに備え、
前記機能制限部が行う機能制限は、
前記場面が駐車シーンではない場合、前記駐車枠検知部による駐車枠検知の制限、
前記場面が駐車シーンではない場合、前記記憶部による前記履歴の記憶の制限、
のうちの少なくとも一つである、
駐車支援装置。
【請求項3】
車両の周辺を示す周辺画像に基づいて駐車枠を検知する駐車枠検知部と、
前記車両の乗員の操作または前記車両の運動の何れかの履歴を記憶する記憶部と、
前記履歴に基づいて、前記乗員の駐車指示を検出する指示検出部と、
前記指示検出部が前記駐車指示を検出した後に、前記車両の自動駐車を行う車両制御部と、
を備え、
前記指示検出部は、前記履歴が、前記車両が直進から転舵して旋回した後に停車したことを示し、かつ、前記乗員が所定の駐車指示操作を行った場合に、前記駐車指示を検出した、と判定する駐車支援装置であって、
前記自動駐車の経路を計算する経路計算部をさらに備え、
前記駐車指示は、前記車両を駐車させる目標駐車枠の指示を含み、
前記指示検出部は、前記駐車枠検知部が検出した駐車枠のうち、前記車両の停車位置とは、前記車両の直進時の進路を挟んで反対側に位置し、かつ、前記履歴と符合する駐車枠を、目標駐車枠として選択し、
前記経路計算部は、前記目標駐車枠の情報に基づいて前記経路を計算する、
駐車支援装置。
【請求項4】
前記指示検出部は、前記履歴が示す、直進から旋回に移行した時点における車両、または乗員の位置に基づいて、前記履歴と符合する駐車枠を選択する、
請求項
3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記指示検出部は、
前記履歴が示す、前記車両が停車した時点における旋回方向と逆方向の旋回を検出し、
前記逆方向の旋回が始まった時の車両の位置、または、
前記逆方向の旋回が終わった時の車両の位置、または車体の向き、のいずれかに基づいて、前記履歴と符合する駐車枠を選択する、
請求項
3に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記車両の走行中に撮影された前記周辺画像、または、前記車両の走行中に検出した駐車枠の情報、のいずれかを記憶し、
前記指示検出部は、前記記憶部が記憶する前記車両の走行中に撮影された前記周辺画像に基づいて、前記駐車枠検知部が検出した駐車枠の情報、または、前記記憶部が記憶する前記車両の走行中に検出した駐車枠の情報、から、前記目標駐車枠を選択する、
請求項
3に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記駐車枠検知部は、
前記車両が停車した時に撮影された前記周辺画像に基づく駐車枠検知を行い、
前記車両が停車した時に撮影された前記周辺画像に基づく駐車枠を検出した場合に、前記車両が停車した時に撮影された前記周辺画像に基づく駐車枠の情報から、前記目標駐車枠を選択する、
請求項
6に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記乗員の位置は、前記乗員の頭の位置である、
請求項
4または請求項
5に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記車体の向きは、
前記車体の、前記逆方向の側の側面が指す方向、または、
前記車体の、前記逆方向の側の先端の角の進行方向、または、
前記車体の、前記逆方向の側の先端の角を、前記乗員が見た方向、
のいずれかである、
請求項
5に記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記車両制御部は、前記駐車指示を検出した、と判定した場合、ハザードランプを点灯させる指令を出力する、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項11】
前記車両の乗員に対して報知を行う報知部をさらに備え、
前記報知は、前記駐車枠検知部が検出した駐車枠の情報に基づく報知を含む、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項12】
前記報知は、前記駐車枠へ駐車する意図の照会を含み、前記駐車枠と車体が所定の位置関係にある時に報知される、
請求項
11に記載の駐車支援装置。
【請求項13】
前記報知は、前記車両を転舵させるタイミングの報知を含む、
請求項
11に記載の駐車支援装置。
【請求項14】
前記報知は、駐車を意図する駐車枠を指定する操舵を求める報知を含む、
請求項
11に記載の駐車支援装置。
【請求項15】
前記意図する駐車枠を指定する操舵は、
意図する駐車枠の間口で、意図する駐車枠と逆側に転舵する操舵、
意図する駐車枠の間口で、意図する駐車枠の側に一時的に転舵する操舵、
意図する駐車枠に、車体を向ける操舵、
意図する駐車枠に、車体を接近させる操舵、
のいずれかを含む、
請求項
14に記載の駐車支援装置。
【請求項16】
前記報知部は、前記駐車枠検知部が検出した駐車枠が一つである時は、前記駐車枠検知部が検出した駐車枠が複数ある時よりも、報知を少なくする、
請求項
11~
15の何れか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項17】
前記機能制限部は、前記車両が、道路外に位置し、かつ、車速が規定値以下である時は、前記駐車枠検知部による白線の検知の実行を制限しない、
請求項
2に記載の駐車支援装置。
【請求項18】
前記シーン判定部は、
前記車両が道路外に位置し、かつ、車速が規定値以下であること、および、
前記車両の進行方向とのなす角度が所定範囲内の角度である白線を複数検出していること、
のうちの何れか、または両方に該当する場合、前記場面が駐車シーンであると判定する、
請求項
2に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置および駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車枠の周辺の所定の位置で車両を転舵させて、所定角転向した位置から後退走行することで車両を駐車枠に自動駐車させることが可能な駐車支援装置が知られている。例えば、特許文献1には、駐車枠に車両を横付けして駐車支援装置を起動し、駐車枠における車両の駐車位置を一意に決める構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の構成では、駐車支援装置を起動した後で、駐車枠の検知を行い、駐車に際して車両が通過する領域の安全確認を求める必要があるので、通路上で車両が滞留する時間が長くなる。その結果、全体として駐車に要する時間が長くなり、駐車支援装置を操作している間に、後続車からクラクションを鳴らされることもある。
【0005】
本開示の目的は、短い時間でスムーズに自動駐車を行うことが可能な駐車支援装置および駐車支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る駐車支援装置は、
車両の周辺を示す周辺画像に基づいて駐車枠を検知する駐車枠検知部と、
前記車両の乗員の操作または前記車両の運動の何れかの履歴を記憶する記憶部と、
前記履歴に基づいて、前記乗員の駐車指示を検出する指示検出部と、
前記指示検出部が前記駐車指示を検出した後に、前記車両の自動駐車を行う車両制御部と、
を備え、
前記指示検出部は、前記履歴が、前記車両が直進から転舵して旋回した後に停車したことを示し、かつ、前記乗員が所定の駐車指示操作を行った場合に、前記駐車指示を検出した、と判定する駐車支援装置であって、
前記所定の駐車指示操作は、ハンドルの解放、ブレーキの解放、ハザードランプの点灯、駐車指示に対応するボタンの操作、のうちの少なくとも一つを含む。
【0007】
本開示に係る駐車支援方法は、
車両の周辺を示す周辺画像に基づいて駐車枠を検知するステップと、
前記車両の乗員の操作または前記車両の運動の何れかの履歴を記憶するステップと、
前記履歴に基づいて、前記乗員の駐車指示を検出するステップと、
前記駐車指示を検出した後に、前記車両の自動駐車を行うステップと、
を有し、
前記駐車指示を検出するステップにおいて、前記履歴が、前記車両が直進から転舵して旋回した後に停車したことを示し、かつ、前記乗員が所定の駐車指示操作を行った場合に、前記駐車指示を検出した、と判定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、短い時間でスムーズに自動駐車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る駐車支援装置を適用した車両による自動駐車を説明するための図である。
【
図2】本実施の形態に係る駐車支援装置を適用可能な車両を示す図である。
【
図3】駐車支援装置が適用されるシステムのネットワーク上の構成を示す図である。
【
図4】駐車支援装置の機能を実装したハードウェアを示すブロック図である。
【
図6】駐車枠検知領域の設定について説明するための図である。
【
図7】リアカメラで駐車枠検知を行う例を示す図である。
【
図8】カメラで駐車枠全体を捉えられない例を示す図である。
【
図9】フロントカメラで駐車枠の全体を捉えた例を示す図である。
【
図10】複数の駐車枠を検出した例を示す図である。
【
図11】第1の実施の形態に係る駐車支援装置における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図12】第1の実施の形態に係る駐車支援装置における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】第1の実施の形態に係る駐車支援装置における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】第2の実施の形態における車両の駐車例を説明するための図である。
【
図15】第2の実施の形態に係る駐車支援装置における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図16】第2の実施の形態に係る駐車支援装置における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図17】第2の実施の形態に係る駐車支援装置における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図18】第3の実施の形態における車両の操舵行動の例を説明するための図である。
【
図19】第3の実施の形態における車両の操舵行動の例を説明するための図である。
【
図20】第3の実施の形態における車両の操舵行動の例を説明するための図である。
【
図21】第3の実施の形態における車両の操舵行動の例を説明するための図である。
【
図22】第3の実施の形態における車両の操舵行動の例を説明するための図である。
【
図23】第3の実施の形態における車両の操舵行動の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、本開示の第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る駐車支援装置100を適用した車両1による自動駐車を説明するための図である。
図2は、本実施の形態に係る駐車支援装置100を適用可能な車両1を示す図である。なお、
図1等の説明においては、直交座標系(X,Y)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y)で示している。例えば、X方向が駐車位置(駐車枠内の車両1の位置)に対する左右方向を示し、Y方向が駐車位置に対する前後方向を示している。また、車両1の位置を表す時は、原則として、車両1の代表点の位置で表す。車両1の代表点は、二つの後輪の接地点の中点である。また、車両1の移動の軌跡を表す時は、車両1の代表点の軌跡で表す。
【0011】
図1に示すように、車両1は、車両周辺を監視するカメラ2(
図2等参照)を備え、
図3に示す駐車支援装置100により、1つ以上の駐車枠が配置された駐車場において、自動駐車を行うことが可能に構成されている。駐車枠は、略平行な2本の駐車枠線で挟まれた領域である。各駐車枠線は、車両1の幅よりも大きい間隔で配置されている。
【0012】
図1に示す例では、X方向の-側から順に3つの駐車枠S1,S2,S3が配置された駐車場が示されている。駐車枠S1は、駐車枠線L1,L2に挟まれた駐車枠であり、駐車枠S2は、駐車枠線L2,L3で挟まれた駐車枠であり、駐車枠S3は、駐車枠線L3,L4で挟まれた駐車枠である。駐車枠線L2,L3と平行で、駐車枠線L2,L3の両方と等距離な線を境として、左側をX方向の-側、右側をX方向の+側とする。Y方向の+-の境界線は、駐車枠の短辺のうち、車両1に近い側の辺とする。
【0013】
ここで、車両1が、駐車枠S2に自動駐車をする場合の一例について説明する。まず、3つの駐車枠S1,S2,S3よりもY方向の+側の部分を、X方向の-側から+側に向かう方向に車両1が直進する。直進状態の車両1は、駐車枠S2の駐車枠線L2,L3のうち、X方向の-側に位置する駐車枠線L2の手前の位置P1で転舵し、Y方向の+側に前進しつつ旋回して、位置P2で停車する。位置P2は、駐車枠線L3よりもX方向の+側で、かつ、Y方向の+側の位置であり、車両1が位置P2から後退しつつ旋回することで、駐車枠線L2,L3の間に駐車することが可能な位置である。位置P2までの車両1の走行は、乗員の手動操作によるものである。
【0014】
そして、車両1は、乗員がギヤをR(リバース)に入れる等の駐車指示操作を行った時に、自動駐車を行う。車両1は、位置P2から後退しつつ旋回して、駐車枠S2内に入り、後退走行で駐車枠S2内の位置P3で停車する。自動駐車の際には、ハザードランプが点灯されても良い。また、どの駐車枠に駐車されるかは、転舵した位置と転舵した方向で判断可能なので、自動駐車の際に乗員は駐車位置を指示する必要がない。以下の説明では、自動駐車の際に、車両1が上記の挙動を行うものとする。
【0015】
図2に示すように、車両1の車体の前後左右の4箇所には、カメラ2が設けられている。各カメラ2は、魚眼レンズを備えており、水平方向に180度以上の視野範囲(破線参照)をもつ。各カメラ2は、路面をとらえるために俯角を付けて装着されているので、路面が映る範囲を水平方向の視野に換算すると、240度程度の範囲の路面が1つのカメラ2に映る。例えば、車体の左右に設けられるサイドカメラ2Aの撮影画像には、前輪と後輪と、車体の側面とが映りこむ。
【0016】
また、
図3に示すように、車両1は、4つのカメラ2の他、操作装置10と、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)装置20と、車両制御装置30と、駐車支援装置100とを備える。操作装置10は、運転者(乗員)が手動で操作するためのものであり、運転席のパネル上の物理的なスイッチ、タッチパネル上に表示されたソフト的なスイッチの他、ハンドル、ペダル、ギヤのような運転操作のためのものを含む。HMI装置20は、例えば、車両1に設けられるナビゲーション装置40に付属するタッチパネル等、乗員が駐車支援装置100へ操作入力するためのHMIとして利用される。タッチパネルは、操作装置10に含まれても良いし、運転席に接地された各種のスイッチ類も操作装置10に含まれても良いので、操作装置10およびHMI装置20は、重複したものであっても良い。
【0017】
車両制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力回路を備えている。乗員が操作装置10を操作すると、車両制御装置30は、操作を受け付ける。通常の運転モードでは、操作の情報に応じて、車両制御装置30がモーター(不図示)を駆動することにより、舵角や車速を制御すると同時に、操作の情報と舵角や車速等の車両情報をLAN(Local Area Network:車内LAN等)に出力する。駐車支援モードになると、車両制御装置30は、LAN経由で速度や舵角の指令を駐車支援装置100から受け、指令に応じて速度や舵角を制御する。
【0018】
駐車支援装置100は、車両制御装置30が操作装置10の動作を監視していることから、操作装置10の操作情報をLAN経由で取得する。乗員は、HMI装置20を介して、駐車支援装置100を操作可能である。駐車支援装置100は、ナビゲーション装置40が出力する車両1の位置情報をLAN経由で受信しても良いし、ナビゲーション装置40から直接、取得しても良い。カメラ2は、撮影画像を駐車支援装置100に常時出力しており、駐車支援をしない時も、駐車支援装置100は、撮影画像から車両周辺を示す表示画像を生成して出力する。また、上記のタッチパネルは、駐車支援装置100が生成した表示画像を出力するディスプレイとしても機能するので、駐車支援装置100とHMI装置20とは直結している。駐車支援装置100は、タッチパネルに行われた操作の情報を直接受信しても良いし、LAN経由で受信するようにしても良い。また、駐車支援装置100は、ナビゲーション装置40が出力する車両1の位置情報をLAN経由で受信することができる。
【0019】
また、駐車支援装置100の機能は、
図4に示すハードウェアに実装されても良い。駐車支援装置100は、CPU101、ROM102、RAM103、I/O(入出力インターフェース)104およびIMP(Image Processor)105を備える。駐車支援装置100は、各要素をバスで接続するコンピュータでも良い。また、複数の要素が一つのチップに収容されていても良いし、一つの要素が複数のチップで構成されていても良い。バスは、単独ではなく、複数の種類のバスが組み合わされたものでも良い。例えば、一つのチップに収容されたCPU101、ROM102、RAM103およびIMP105がパラレルバスで接続され、複数のチップで構成されたI/O104が、CPU101等を収容したチップとシリアルバスで接続されるようにしても良い。
【0020】
CPU101は、駐車支援装置100全体を制御する。ROM102は、電気的に書き換え可能なメモリであり、CPU101が実行するプログラムを記憶するとともに、不揮発なデータ保存領域としても機能し、駐車支援装置100の電源が切られてもデータ等を保持する。RAM103は、CPU101の作業領域として一時記憶に用いられる。例えば、最新の周辺画像のように、一時的に記憶できれば良いデータは、RAM103に記憶される。RAM103は、周辺画像を複数枚、記憶可能な容量を持つ。IMP105は、画像処理に特化して処理性能を上げたプロセッサであり、
図5に示す画像取得部130、駐車枠検知部140、表示画像出力部180の処理を実行する。
【0021】
上述のカメラ2は、撮影したカメラ画像を駐車支援装置100に常時、出力している。駐車支援装置100は、駐車支援をしない時もカメラ画像から車両1周辺を示す表示画像を生成して出力する。
図5に示すように、駐車支援装置100は、操作受付部110と、状態管理部120と、画像取得部130と、駐車枠検知部140と、経路計算部150と、走行制御部160と、記憶部170と、表示画像出力部180とを有する。
【0022】
操作受付部110は、運転操作を含む乗員の操作を示す操作情報を受け付ける。
【0023】
状態管理部120は、操作情報や、車両の状態に応じて、駐車支援の状態(ステート)を管理する。駐車支援のステートとしては、例えば、ステート0からステート8の複数のステートがある。
【0024】
ステート0は、初期状態であり、駐車支援機能が起動していない時の状態である。ステート1は、休止状態であり、車速情報と位置情報を取得して車速が閾値以下に下がったら、自車位置が道路上であるか否かを判定する時の状態である。道路は、地図上の道路であり、例えば、駐車枠が配置された駐車場ではない公道等である。
【0025】
ステート2は、監視状態であり、低頻度で白線検知を実行する時の状態である。ステート3は、準備状態であり、撮影画像を時刻情報と紐付けて記録する時の状態である。ステート4は、検知状態であり、投機的に駐車枠の検知を実行する時の状態である。ステート5は、計算状態であり、30度以上転向して停車したら、投機的に駐車経路計算を実行して、乗員に駐車の意思を照会する時の状態である。
【0026】
ステート6は、照会状態であり、駐車経路を表示して駐車指示操作を待つ時の状態である。ステート7は、自走状態であり、計算した経路に従って自動駐車を行う時の状態である。ステート8は、終了状態であり、自動駐車の終了を報知する時の状態である。
【0027】
画像取得部130は、カメラ画像を取得して、車両1周辺を示す周辺画像を生成する。周辺画像は、カメラ画像を路面に投影した俯瞰画であっても良いし、別の形式の画像であっても良いし、カメラ画像のままでも良い。本実施の形態では、周辺画像は俯瞰画であるものとする。
【0028】
駐車枠検知部140は、周辺画像の中に、駐車枠を検知する駐車枠検知領域を設定し、駐車枠検知領域内の周辺画像から、白線を抽出する。駐車枠検知領域は、周辺画像全体の領域であっても良いが、周辺画像における、駐車枠を期待する領域であっても良い。駐車枠検知領域が駐車枠を期待する領域に限定されることで、検知に要する処理時間を短くすることができる。また、駐車枠検知領域の大きさを、一つの駐車枠が収まるが、二つの駐車枠は収まらない大きさに制限することにより、二つの駐車枠を同時に検出した場合の処理を省くことができる。一般に、検知は特定の物について情報を得る事を目的として行い、検知の結果、特定の物が存在すれば「検出した」と判定し、検出した物についての情報を出力する。検知の結果は、検出した場合と、検出しなかった場合に分かれ、検出しなかった場合は検知の目的が達成されない。検出した場合は、検知の目的が達成されているので、検出した事を、検知に成功した、と言い換えても良い。
【0029】
駐車枠検知部140は、さらに、抽出した白線の対を生成し、白線の対のうち、駐車枠の条件に合うものを探索する。例えば、駐車枠検知部140は、周辺画像から白線の対を検出した時に、2本の白線が路面上で平行であること、2本の白線が車長より長いこと、2本の白線の間隔が車幅より大きいこと、の三つの条件が成立する場合、2本の白線で挟まれた領域が、車両1を駐車可能な領域(すなわち駐車枠)を検出した、と判定する。駐車枠を検出した場合、駐車枠を構成する白線は、駐車枠線であると言える。駐車枠検知部140は、2本の駐車枠線の端点、つまり、駐車枠の4隅の座標を出力する。この座標は、自車両を基準とする相対座標である。
【0030】
経路計算部150は、駐車枠検知部140が出力した駐車可能な領域の四隅の座標の中央に、車体の中央が収まるよう目標駐車位置を設定し、かつ、駐車可能な領域の長辺と平行になるように、目標駐車角(目標駐車位置に駐車した時の車体の向き)を設定して、目標駐車位置までの駐車経路を計算する。駐車経路計算は、提案されている公知の方法を適用すれば良い。
【0031】
走行制御部160は、算出された駐車経路に沿って車両1が走行するように、舵角および車速を制御する。より具体的には、走行制御部160は、舵角および車速の目標値に従った、舵角および車速の指示値を車両制御装置30に出力する。走行制御部160は、車両制御装置30が出力するデータに基づいて舵角および車速の実測値を算出する。例えば、車速の実測値は、車輪の回転数のデータと、車輪の外周長のデータと、から算出される。舵角の実測値は、操舵装置から得られたデータであっても良いし、車輪の回転数の差から算出された内輪差から算出されても良い。走行制御部160は、目標値と実測値との差がある時に、舵角および車速の実測値が、舵角および車速の目標値と同じになるように、舵角および車速の指示値を補正する。
【0032】
走行制御部160は、算出した舵角および車速の実測値に基づいて、走行中の車両1の位置および向きを追跡する。つまり、走行制御部160は、自動走行中または手動走行中に、車両1の走行軌跡を算出する。走行軌跡は、単位時間毎に、移動距離と移動方向と車体の角度とを、時刻に加えた移動情報の形式で算出されても良い。移動情報の形式は、これに限定されず、例えば、座標情報を用いた形式でも良い。
【0033】
走行制御部160は、自動走行中、経路計算部150が算出した駐車経路と、移動情報で表される走行軌跡とを比較して、走行軌跡が駐車経路を辿るように舵角を補正する。例えば、車両1が、舵角を付けて旋回しながら後退する際に、旋回の中心点から見て、走行軌跡が駐車経路よりも外側を通っている時に、走行制御部160は、舵角を増やして回転半径を小さくする。これにより、車両1の走行軌跡が駐車経路の方に引き戻される。
【0034】
記憶部170は、操作受付部110が取得した操作情報、走行制御部160が計算した移動情報、画像取得部130が生成した周辺画像、駐車枠検知部140が検出した駐車枠線や駐車枠の位置情報等を時系列的に、時刻に紐付けて、履歴情報領域に記憶する。車両1は、乗員の操作に応じて移動するので、移動情報と操作情報のうち一方が記憶部170に記憶されなくても良いが、本実施の形態では、移動情報および操作情報の両方が記憶部170に記憶される。
【0035】
記憶部170は、例えば、情報の追記を単位時間毎に行い、1回の追記に割り当てる記憶領域の大きさ(メモリブロックサイズ)を固定しても良い。そうすると、履歴情報領域はメモリブロックに分割され、情報の先頭番地が単位時間毎に単調増加するので、情報を記憶する番地に時刻が紐付けされる。または、記憶部170は、メモリサイズを固定せずに、先頭番地を時刻に紐付ける先頭番地テーブルを別に設け、情報を追記する毎に先頭番地テーブルを更新するようにしても良い。
【0036】
何れかの方法で、時刻を特定すれば、その時点で最新だった情報にアクセスすることができる。また、その時点までの移動情報を積算すれば、その時点での位置の、現在位置に対する相対的な位置関係を特定することもできる。逆に、位置情報を時系列的に追記して履歴情報としておき、その時点での位置情報と現在位置の差分から、現在位置に対する相対的な位置関係を特定しても良い。つまり、履歴情報から位置情報を算出することができる。
【0037】
また、周辺画像のようにサイズが大きいデータは、先頭番地だけを履歴情報領域に記憶すれば良い。
【0038】
履歴情報は、所定の時間だけ遡って参照できれば良いので、必要がなくなった古い履歴情報は記憶部170から消去しても良い。例えば、履歴情報領域を先頭番地と最終番地で挟まれる固定の領域として記憶部170に設定し、情報を記憶する番地が最終番地に達したら、先頭番地に記憶を続けるループメモリにすると良い。そうすれば、ループを1周遡った過去の履歴情報が上書きされて消去されるので、消去の処理が必要なくなる。
【0039】
履歴情報領域への記憶は、常時行う必要はなく、上記のステート2からステート7で行われれば良い。
【0040】
また、記憶部170は、経路計算部150が計算した駐車経路を記憶し、走行制御部160が駐車経路を参照できるようにする。
【0041】
また、駐車枠検知は処理に時間がかかるので、カメラ画像の撮影時刻から大きく遅れた時刻において、検知結果である駐車枠の情報が得られることがある。その場合でも、駐車枠の情報は、撮影時刻に紐付けて記憶部170に記憶される。例えば、記憶部170における情報の追記が単位時間毎に行われ、1回の追記に割り当てられる記憶領域の容量(メモリブロックサイズ)を固定としておくことで、1回の追記で書き込まれるデータ量と関係なく、メモリブロックが固定で割り当てられる。記憶部170における情報の追記が行われる時に、周辺画像の先頭番地は得られているが、その周辺画像で駐車枠を検出した結果(駐車枠情報)が、その時点で得られていない場合には、駐車支援装置100は、駐車枠情報を待たずに、得られている情報だけをメモリブロックに書き込んでおき、駐車枠情報が得られた時に、その検知の対象となった周辺画像の先頭番地が書かれているメモリブロックに駐車枠情報を書き込むようにする。
【0042】
例えば、ステート3で転舵があって、ステート4に進んだ時に、投機的に駐車枠検知が実行された場合、車両1が転舵してから停止するまでの時間と、駐車枠検知に要する時間との大小関係により、ステート5に進んだ時点で、駐車枠情報が得られているか、得られていないか、が変わる。例えば、ステート5に進んだ時点で、該当するメモリブロックに駐車枠情報が書かれていない場合、経路計算を開始させる処理は、駐車枠情報が書かれる番地をポーリングする待ちループを回しても良いし、駐車枠検知が終わった時点で、割り込みを発生させるように、駐車枠検知を行うプロセッサ(例えば、IMP)が設定されていても良い。そのようにすれば、駐車枠検知が終わった時点で、直ちに経路計算を開始させることができる。このように、撮影時刻に紐付けて駐車枠情報等を記憶部170に記憶しておくことで、効率的に自動駐車の処理を制御することができる。
【0043】
表示画像出力部180は、カメラ画像または周辺画像に基づいて表示画像を生成する。表示画像は、車両1周辺を上方から俯瞰する俯瞰画像であっても良い。つまり、表示画像出力部180は、俯瞰画像を表示画像として出力しても良い。
【0044】
表示画像出力部180は、状態管理部120の要求に応じて、表示画像にメッセージや図形を重畳して表示する。例えば、表示画像出力部180は、自動駐車を開始する際には、駐車枠検知部140が検出した駐車枠の位置を示す半透過の長方形を俯瞰画像上に重畳して表示し、経路計算部150が算出した、自車両から目標駐車位置に向かう経路を点線で表示させても良い。
【0045】
メッセージは、画像上に表示されるだけでなく、音声で読み上げられても良い。または、メッセージは、音声だけで出力されても良い。具体的には、状態管理部120は、予め設定されたテキストの一つを指定して出力するように指令し、これに応じて表示画像出力部180は、指定されたテキストに対応する文字列の画像を生成して、これを表示画像に重畳してHMI装置20に出力すると同時に、表示画像出力部180は、テキストとともに保存されていた音声データを、表示画像と併せてHMI装置20に出力する。これにより、乗員は、HMI装置20を見ていなくてもメッセージを受け取ることができる。
【0046】
次に、状態管理部120が管理するステートの詳細について説明する。上記したように、状態管理部120は、乗員の操作を受け付け、駐車支援の状態(ステート)を管理する。乗員の操作は、駐車支援装置100の操作に限定されず、運転のための操作を含む。例えば、乗員が、IG(Ignition)-ONで車両1を起動すると、車両1の起動シーケンスの中で駐車支援装置100も起動し、ステートが、ステート0(初期状態)からステート1(休止状態)に進む。
【0047】
ステート1(休止状態)では、状態管理部120と走行制御部160だけが動作する。状態管理部120は、走行制御部160を介して車速情報を取得し、車速が閾値(例えば、時速10km)以下に下がったら、ナビゲーション装置40に車両1が道路上に位置するか照会する。そこで、車両1が道路外(例えば、店舗の敷地)にある場合、状態管理部120はステートを2に進める。ステート1は、道路走行シーンと言っても良い。ステートはシーンと対応するので、状態管理部120は後出するシーン判定部の一例である、と言っても良い。また、状態管理部120はステート(シーン)に応じて、駐車枠検知部などの機能を、部分的または全体的に制限するので、機能制限部の一例でもある、と言って良い。
【0048】
ステート2(監視状態)では、駐車枠検知部140の一部も動作する。言い換えると、ステート1(道路走行シーン)では駐車枠検知部140の全機能の実行が制限されている。駐車枠検知部140は、定期的(例えば、1秒間隔)に白線検知を実行する。白線検知は、駐車枠検知部140の機能の一部を制限解除して実行し、白線が駐車枠線であるか否かの評価など、他の機能は実行しない。駐車枠検知部140は、車両1の周辺を撮影した画像から、車両1の対称軸(車両の前端中央と、車両1の後端中央とを通る線)に対し、所定範囲内の角度(60度~120度)である白線を検知する。白線検知は車両1が駐車場にあるか否かを判定する目的で行うので、白線の間隔や長さなどは評価しない。よって、周辺画像のうち、駐車枠線の手前の部分だけが映るような、限られた範囲を検知範囲としても良い。駐車枠検知部140が条件に合う白線を複数、検出した場合、車両1が駐車場にあると判断し、状態管理部120は、ステートを進める。
【0049】
なお、
図1に示す例では、駐車枠S1,S2,S3よりもY方向の+側の部分を車両1が直進している時の状態で、かつ、白線を検出する前の状態がステート2である。
【0050】
ステート3(準備状態)では、周辺画像が時刻情報と紐付けられて記憶部170に記憶される。白線検知に用いられた画像のうち、白線(車両1の対称軸に略直角な白線)が検出された画像だけが周辺画像として記憶されても良いし、定期的(例えば、1秒毎)に撮影された画像が選別されずに周辺画像として記憶されても良い。
【0051】
状態管理部120は、舵角が概ね0の直進状態から、閾値(例えば、1kg)以上の操舵力がハンドルに加わった時点を、転舵時点として記憶部170に記憶させ、ステートを進める。
【0052】
なお、
図1に示す例では、駐車枠S1,S2,S3よりもY方向の+側の部分を車両1が直進している時の状態で、白線を検出してから位置P1で転舵するまでの状態がステート3である。
【0053】
ステート4(検知状態)では、駐車枠検知部140は、撮影時点が転舵時点の直前である画像から駐車枠を検知する。または、駐車枠検知部140は、転舵時点で撮影された画像から駐車枠を検知しても良い。
【0054】
この時点で、自動駐車を行うか否かが決まっていないので、この駐車枠検知は投機的な駐車枠検知であると言っても良い。駐車枠に駐車車両がある場合、駐車枠線の一部が駐車車両により遮蔽されるので、検出される白線の長さが条件を満たさず、駐車枠が検出されないことになる。そのため、駐車枠が検出された時は、空き駐車枠が検出された時、と言い換えても良い。
【0055】
状態管理部120は、転舵地点から車体が30度から60度旋回して、車両1が停車した場合、ステートを進める。
【0056】
なお、
図1に示す例では、車両1が位置P1で転舵した後、位置P2で停車するまでの状態がステート4である。
【0057】
ステート5(計算状態)では、経路計算部150は、駐車枠を検出した画像の撮影時点から、車両1が停車した時点までの移動情報を積算して、現在の車両位置を基準とした、撮影時点の車両位置(座標オフセット)を算出する。経路計算部150は、駐車枠検知が終わったら、駐車枠の位置情報に座標オフセットを加算して、現在の車両位置を基準とする駐車枠の位置情報を算出する。経路計算部150は、現在の車両位置から、駐車枠に駐車するための駐車経路を算出する。
【0058】
この時点で、自動駐車を行うか否かは決まっていないので、投機的な経路計算であると言っても良い。駐車経路が算出されたら、表示画像出力部180は、駐車枠と駐車経路とを表示した画像を出力し、乗員に駐車の意思を照会するメッセージを出力する。画像およびメッセージの出力後、状態管理部120は、ステートを進める。
【0059】
なお、
図1に示す例では、車両1が位置P2で停車して、駐車支援装置100が駐車経路を計算した後、上記のメッセージを出力するまでの状態がステート5である。
【0060】
ステート6(照会状態)では、操作受付部110は、駐車指示操作を受け付ける。駐車指示操作があったら、状態管理部120は、ステートを進める。なお、
図1に示す例では、メッセージ出力後、乗員の駐車指示操作が行われるまでの状態がステート6である。
【0061】
ステート7(自走状態)では、走行制御部160は、計算した経路に従って自動駐車を行う。自動駐車が終わったら、状態管理部120は、ステートを進める。なお、
図1に示す例では、車両1が位置P2から位置P3まで自動駐車を行う状態がステート7である。
【0062】
ステート8(終了状態)では、駐車支援装置100は、自動駐車の終了を報知する。報知終了後、状態管理部120は、ステートをステート2に戻す。なお、
図1に示す例では、車両1が位置P3で停車した後、上記の報知を行うまでの状態がステート8である。
【0063】
なお、車両1が駐車する空き駐車枠の所まで走行する際に、乗員は、駐車枠が空いていることを視認した時に転舵する。よって、駐車枠検知部140は、転舵した時の乗員の位置に応じて駐車枠検知領域を設定しても良い。乗員の位置は、乗員の頭の位置、と特定されても良い。
【0064】
乗員は、車両1の進行方向も視認する必要があることから、斜め前方に位置する駐車枠を視認する。ただし、空き駐車枠を見てから転舵するまでに時間差があり、転舵した時点で空き駐車枠の側方に車両1が進んでいることがある。そのため、駐車枠検知部140は、乗員の側方から斜め前方を駐車枠検知領域に設定すると良い。
【0065】
図6には、
図1に示すものと同様の駐車枠S1,S2,S3が示されおり、駐車枠S1,S2,S3よりY方向の-側の部分をX方向の+側から-側に向けて走行する車両1が駐車枠S2に駐車しようとしている例が示されている。この例では、車両1が駐車枠S2に駐車するために、駐車枠線L3より手前の位置P4で転舵した際に、乗員の側方(Y方向の+側)から斜め前方(X方向の-側かつY方向の+側)の部分が駐車枠検知領域D1として設定されている。
【0066】
乗員は後退駐車のために転舵を行うので、駐車枠検知領域は、車両1が直進した線を挟んで、車両1とは反対側に位置する。よって、駐車枠検知領域は、車両1が旋回した方向とは、車両1が直進した線を挟んで反対側にあり、かつ、車両1が転舵した時の乗員の位置を基準として、乗員の側方、乃至、斜め前方を含むように設定されると良い。車両1が直進した線は、車両1が走行してきた経路の直線部分を延長した線、と言い換えても良い。転舵する時に
図6のように、車両1の側部に設けられたカメラ2A(サイドカメラ)が空き駐車枠の側方に位置することが多いので、駐車枠検知部140は、サイドカメラの側方を駐車検知領域としても良い。
【0067】
また、空き駐車枠の正面に乗員が位置した時に転舵され、車両1が約45度旋回して停車した場合、
図7のように車両1の後部に設けられたカメラ2(リアカメラ)が空き駐車枠全体を捉える場合が多い。
【0068】
図7には、
図6と同様に、駐車枠S2に車両1が駐車しようとしている例が示されており、車両1が駐車枠S2に駐車するために転舵した後、前進しながら旋回して停車した際に、車両1の後部に設けられたカメラ2で、駐車枠S2の4隅を検知可能となった例を示している。
【0069】
そこで、例えば、駐車枠検知部140が、ステート4で投機的な駐車枠検知を行わず、ステート5で、先ず、リアカメラの画像から駐車枠検知を行い、そこで駐車枠を検出しなかった場合に、転舵時点の画像を利用して駐車枠検知をするようにしても良い。
【0070】
このようにすると、ステート4で駐車枠検知が投機的に開始された場合より、処理時間の隠蔽効果が小さいが、車両1が停車した時点で自動駐車の指示を待たずに投機的に駐車枠検知を開始しているので、従来の方式より、駐車にかかる時間は短くなる。
【0071】
例えば、空き駐車枠の正面を乗員が通り過ぎてから転舵が行われたり、舵角が小さく、かつ、大きな回転半径で車両1が旋回したりすると、車体全体が、空き駐車枠の間口方向を通り過ぎることがある。そうすると、空き駐車枠に隣接する駐車枠に駐車車両があった場合、駐車車両で、空き駐車枠(長辺)が遮られ、リアカメラで空き駐車枠全体が捉えられないことがある(例えば、
図8参照)。ステート4で投機的な駐車枠検知を行わない場合、ステート5で、先ず、リアカメラの画像で駐車枠検知が行われ、その駐車枠検知が失敗した後に、転舵時点の画像で駐車枠検知が行われることになる。
【0072】
図8には、
図6と同様に、駐車枠S2に車両1が駐車しようとしている例が示されており、車両1が駐車枠S2に駐車するために転舵した後、前進しながら旋回した際に、駐車枠S2よりX方向の-側の駐車枠S1の駐車車両1Aが駐車枠線L2を遮ることにより、車両1の後部に設けられたカメラ2で、駐車枠S2全体を捉えられない例が示されている。
【0073】
そうすると、駐車枠検知が2回行われるので、従来の方式より駐車にかかる時間が長くなる。ただし、乗員の運転が適切であれば、そのような状態にならないので、その状態の発生確率は低いと言って良い。よって、駐車にかかる時間の期待値は、従来の方式よりも小さくなる。
【0074】
また、例えば、転舵後のステート4で投機的な駐車枠検知が開始されるのではなく、ステート3で投機的な駐車枠検知が実行されても良い。そうすれば、車両1が旋回して停車してステート5になった時点で、駐車枠検知が完了していると期待できる。その場合、ステート5では、経路計算だけが行われれば良いので、ステート4で駐車枠検知を行う場合よりも、早いタイミングで駐車位置と駐車経路を提示可能となる。
【0075】
その際、車両1の前部に設けられるカメラ2(フロントカメラ)の画像で駐車枠検知が行われても良い。フロントカメラは、乗員より前に駐車枠の間口に差し掛かるので、より早いタイミングで駐車枠を検知可能である。
【0076】
例えば、
図9では、駐車枠S3よりX方向の+側からX方向の-側に向けて直進する車両1のフロントカメラ2で、駐車枠S1,S2,S3のうち、X方向の最も-側(最も前方)に位置する駐車枠S1の全体を捉えた例が示されている。
【0077】
なお、駐車枠線の長辺を延長した線をフロントカメラが超えると、長辺がカメラの視野外になる課題があるが、駐車枠線は、周期的に引かれているので、駐車枠検知に適した位置を予測することで対策が可能である。フロントカメラはサイドカメラよりも位置が低いので、長辺を延長した線の手前からでも、駐車車両に遮られずに、駐車枠線を捉えられることが多い。
【0078】
ステート3で投機的な駐車枠検知が実行される場合、ステート5になった時点で、
図10における駐車枠S1および駐車枠S2のように、複数の駐車枠を検出していることが起こり得る。そのような場合は、履歴情報から撮影時点が転舵時点の位置P5の直前である駐車枠の情報(例えば、駐車枠S1)が選択される(転舵時点で得られている駐車枠検知結果のうち最新のもの、ではない)。駐車に要する時間の短縮が目的であるので、乗員に選択させない方が目的にかなうことになる。
【0079】
車両1が駐車枠を1枠分進むのに要する時間が、駐車枠検知に要する時間より短い場合、駐車枠S1の周辺画像の生成時点で、駐車枠S1の領域の駐車枠検知が終わっていないことになる。そのような場合、駐車枠検知部140は、駐車枠S1の周辺画像を記憶部170に記憶させ、駐車枠検知はスキップして、駐車枠S1の情報が必要になった時に駐車枠検知を行うようにしても良い。駐車枠S2の領域の駐車枠検知を打ち切って、駐車枠S1の領域の駐車枠検知を始めると、駐車枠S2の情報が必要になった時に、打ち切った駐車枠S2の駐車枠検知を再実行する事になる。そのため、駐車にかかる時間の期待値は、打ち切る方が大きくなる。または、駐車枠検知のスキップが必要なくなるように、駐車支援装置100は、乗員に車両1の減速を求めて、駐車枠S1および駐車枠S2の両方を駐車枠検知できるようにしても良い。
【0080】
また、駐車枠線(駐車枠線の長辺)の間隔は、2.5mが標準と定められている。駐車枠の前を車両1が秒速2.5mで走行すると、毎秒1枠分、車両1が前進することになる。秒速2.5mは時速9kmであるので、多くの駐車場で掲示されている時速8kmより少し速い速度である。空き駐車枠を探しながら車両1を走行させる時は、時速8kmよりさらに遅い速度で走行させるので、例えば、毎秒1コマの間隔で周辺画像を記憶部170に記憶しながら車両1を走行させれば、空き駐車枠を撮り損ねるおそれはない。
【0081】
例えば、フロントカメラで撮影した画像から駐車枠が検出される場合、駐車枠線を延長した線の、少し手前にフロントカメラが位置する状態で撮影すると良いので、撮影の時間間隔を一定にするのではなく、撮影する位置の間隔を一定(例えば、2.5m間隔)にすると良い。ステート2以降で駐車枠線検知を繰り返せば、駐車枠線間の距離が判るので、次の駐車枠線がある位置を予測し、その位置まで車両1が進んだ時に撮影を行えば、駐車枠検知に適した位置で撮ったフロントカメラ画像が得られる。時速8kmで走行する場合、フロントカメラ画像を記憶する時間間隔は、1秒以上になる。また、速度は必ずしも一定でなく、撮影の時間間隔が不定期になるので、撮影時刻を併せて記憶しておくと良い。
【0082】
例えば、移動情報を1秒間隔でメモリブロックに記憶する場合、最新のメモリブロックに周辺画像の先頭番地を記憶するとともに、撮影時刻の1秒未満の端数も記憶しておくと良い。そうすれば、移動情報の記憶時刻から撮影時刻までの間に、車両1が移動した距離を補完法で算出できる。そうすると、その周辺画像から検出した駐車枠までの距離を、後で正しく算出することができる。
【0083】
また、転舵した時点から、移動情報の記憶間隔を短く(例えば、0.1秒間隔)しても良い。移動情報を細かく記憶した方が、転舵点から停車位置までの車両1の移動を、正確に推定することができる。転舵する前の移動情報は、駐車枠の位置の推定精度に直接関係しないので、記憶間隔は荒くても良い。自動駐車を開始する時点と撮影した時点とが異なる場合、その間の移動量を補償する必要があるが、上記の方法により補償することができる。
【0084】
次に、第1の実施の形態に係る駐車支援装置100の動作例について説明する。
図11、
図12および
図13は、第1の実施の形態に係る駐車支援装置100における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。なお、以下のフローチャートは、車両1の電源がONになったことにより開始される。
【0085】
図11に示すように、駐車支援装置100(状態管理部120)は、駐車支援の状態をステート0に設定する(ステップS101)。ステップS101においては、状態管理部120は、駐車支援装置100の内部状態を初期化する。
【0086】
次に、状態管理部120は、駐車支援の状態をステート1に設定する(ステップS102)。ステップS102において、状態管理部120は、走行制御部160から車速情報を取得する。
【0087】
続いて、状態管理部120は、車速が速度閾値(例えば、時速10km)未満であるか否かについて判定する(ステップS103)。判定の結果、車速が速度閾値以上である場合(ステップS103、YES)、処理はステップS102に戻る。
【0088】
一方、車速が速度閾値未満である場合(ステップS103、NO)、駐車支援装置100(状態管理部120)は、車両1が道路上にあるか否かについて判定する(ステップS104)。車両1が道路上にあるか否かについての判定は、ナビゲーション装置40の情報に基づいて行われる。判定の結果、車両1が道路上にある場合(ステップS104、YES)、処理はステップS102に戻る。
【0089】
一方、車両1が道路上にない場合(ステップS104、NO)、状態管理部120は、駐車支援の状態をステート2に設定する(ステップS105)。なお、ナビゲーション装置40の情報が得られない場合も、ステート2に進むようにしても良い。これを、ステップS104をスキップする、と言い換えても良い。ステート2(ステップS105)において、駐車支援装置100(駐車枠検知部140)は、低頻度(1秒間隔)で白線検知を実行する。
【0090】
ステート2において、駐車支援装置100(状態管理部120)は、駐車シーンの判定条件が成立したか否かについて判定する(ステップS106)。駐車シーンの判定条件は、車両1の対称軸と略直角な複数の白線があり、これらの白線が互いに平行であることである。判定の結果、駐車シーンの判定条件が成立していない場合(ステップS106、NO)、処理はステップS105に戻る。
【0091】
一方、駐車シーンの判定条件が成立した場合(ステップS106、YES)、状態管理部120は、駐車支援の状態をステート3に設定する(ステップS107)。ステップS107において、駐車支援装置100(記憶部170)は、周辺画像を時刻情報と紐付けて記憶する。
【0092】
続いて、状態管理部120は、走行制御部160から舵角のデータを取得し、舵角の絶対値が角度閾値(例えば、5度)より大きいか否かについて判定する(ステップS108)。判定の結果、舵角の絶対値が角度閾値より大きい場合(ステップS108、YES)、ステップS108の処理が繰り返される。
【0093】
一方、舵角の絶対値が角度閾値未満である場合(ステップS108、NO)、
図12に示すように、状態管理部120は、ハンドルに加えられた転舵力のデータを走行制御部160から取得し、転舵力の絶対値が閾値(例えば、1kg)より大きいか否かについて判定する(ステップS109)。すなわち、旋回中、つまり、舵角が大きい時においては、転舵したと判定せず、直進状態、つまり、舵角が小さい状態になってから転舵力が加わった時に、転舵したと判定する。また、直進の判定条件には、舵角が小さい状態で所定距離(例えば、1m)前進したことが含まれていても良い。
【0094】
判定の結果、転舵力の絶対値が閾値未満である場合(ステップS109、NO)、処理はステップS108に戻る(
図11も参照)。一方、転舵力の絶対値が閾値より大きい場合(ステップS109、YES)、状態管理部120は、駐車支援の状態をステート4に設定する(ステップS110)。
【0095】
ステップS110においては、駐車支援装置100(記憶部170)は、転舵時刻を記憶し、駐車枠検知部140は転舵時刻の直前に撮影した画像を対象として、駐車枠検知を開始する。また、駐車支援装置100(経路計算部150)は、転舵時刻より前の履歴情報に基づいて、直進方位を決定する。具体的には、転舵した時点で、転舵直前に撮影された画像から生成した周辺画像がメモリ上に残っているので、記憶部170は、その周辺画像を収める領域の上書きを禁止し、その先頭番地と撮影時刻をメモリブロックに書き込む。その上で、状態管理部120は、駐車枠検知部140に先頭番地を渡し、駐車枠検知を指示する。また、状態管理部120は、経路計算部150にも先頭番地を渡し、経路計算部150は、転舵時刻の3秒前から転舵時刻までの車両1の進行方向(ヨー角)を履歴情報(3秒前までのメモリブロック)から読み出し、その平均値を直進方位として決定する。なお、上記の処理や数値は一例である。
【0096】
次に、駐車支援装置100(経路計算部150)は、直進方位を基準とする旋回角を算出し(ステップS111)、状態管理部120は、旋回角が第1角度(例えば、60度)より大きいか否かについて判定する(ステップS112)。旋回角は、例えば、ヨー角から直進方位を減算して、その絶対値を求めることにより算出される。
【0097】
判定の結果、旋回角が第1角度より大きい場合(ステップS112、YES)、駐車支援装置100は、駐車枠検知を打ち切り、転舵時刻を取り消す(ステップS113)。その後、本処理はステップS108に戻る(
図11も参照)。ステップS113においては、旋回角が第1角度より大きい場合、駐車支援装置100(状態管理部120)は、車両1が右左折をしたと判定し、転舵に伴う処理をキャンセルする。
【0098】
一方、旋回角が第1角度以下である場合(ステップS112、NO)、駐車支援装置100は、車速が0であるか否かについて判定する(ステップS114)。判定の結果、車速が0ではない場合(ステップS114、NO)、処理はステップS111に戻る。つまり、車両1が停車するまで、旋回角の監視処理がループ状態となる。
【0099】
一方、車速が0である場合(ステップS114、YES)、駐車支援装置100(状態管理部120)は、旋回角が第2角度(例えば、30度)より大きいか否かについて判定する(ステップS115)。判定の結果、旋回角が第2角度以下である場合(ステップS115、NO)、処理はステップS111に戻る。つまり、旋回角が小さければ、旋回角の監視処理がループ状態となる。
【0100】
一方、旋回角が第2角度より大きい場合(ステップS115、YES)、状態管理部120は、駐車支援の状態をステート5に設定する(ステップS116)。これを、車両1が直進状態から45度±15度旋回して停車するとステート5(ステップS116)に進む、と言い換えてもよい。ステップS116においては、駐車支援装置100は、撮影時刻以降の車両1の移動量を特定する。例えば、経路計算部150が、履歴情報に記録された、駐車枠検知の対象である画像の撮影時刻以降の移動量を積算し、画像撮影時刻の車両1の位置を基準とする現在位置(相対座標とヨー角を含む)を算出する。
【0101】
ステート5において、駐車支援装置100(状態管理部120)は、駐車枠検知が完了したか否かについて判定する(ステップS117)。判定の結果、駐車枠検知が完了していない場合(ステップS117、NO)、ステップS117の処理が繰り返される。一方、駐車枠検知が完了した場合(ステップS117、YES)、駐車支援装置100は、駐車枠検知が成功したか否かについて判定する(ステップS118)。
【0102】
判定の結果、駐車枠検知が成功していない場合(ステップS118、NO)、駐車支援装置100(表示画像出力部180)は、駐車枠を検出しない旨のメッセージを出力して(ステップS119)、本制御は終了する(
図13も参照)。駐車枠検知が成功していない場合は、駐車枠検知部140が駐車枠を検出しなかった場合、と言い換えても良く、駐車枠検知が成功した場合は、駐車枠検知部140が駐車枠を検出した場合、と言い換えても良い。
【0103】
一方、駐車枠検知が成功した場合(ステップS118、YES)、
図13に示すように、駐車支援装置100は、駐車枠の位置を算出する(ステップS120)。ステップS116において画像撮影時刻の車両1の位置を基準とする現在位置を算出しており、駐車枠検知の結果は、画像撮影時刻の車両1の位置を基準とする駐車枠の位置を示すので、両者を合算すれば、現在位置を基準とする駐車枠の位置を算出できる。この計算は、経路計算部150が行っても良い。続いて、経路計算部150は、現在位置を基準とする駐車枠の位置に基づいて、駐車経路計算を実行する(ステップS121)。
【0104】
次に、駐車支援装置100(状態管理部120)は、駐車経路計算が完了したか否かについて判定する(ステップS122)。判定の結果、駐車経路計算が完了していない場合(ステップS122、NO)、ステップS122の処理が繰り返される。一方、駐車経路計算が完了した場合(ステップS122、YES)、駐車支援装置100は、駐車経路計算が成功したか否かについて判定する(ステップS123)。
【0105】
判定の結果、駐車経路計算が成功していない場合(ステップS123、NO)、駐車支援装置100(表示画像出力部180)は、駐車経路を設定できない旨のメッセージを出力し(ステップS124)、本制御は終了する。
【0106】
一方、駐車経路計算が成功した場合(ステップS123、YES)、状態管理部120は、駐車支援の状態をステート6に設定する(ステップS125)。ステップS125においては、表示画像出力部180は、自動駐車を選択するか否かについて乗員に問うメッセージを出力し、状態管理部120はタイマーを0に設定する。タイマーは、上記のメッセージ、つまり、自動駐車の照会に対する、乗員の応答を待つ待ち時間を計測するためのものである。
【0107】
ステート6において、状態管理部120は、タイマーが3秒未満であるか否かについて判定する(ステップS126)。タイマーが3秒以上である場合(ステップS126、NO)、駐車支援装置100は、自動駐車をキャンセルする旨のメッセージを出力し(ステップS127)、本制御は終了する。これを、3秒以内に乗員が応答しない場合、乗員が自動駐車を選択しなかったと見做す、と言い換えても良い。
【0108】
一方、タイマーが3秒未満である場合(ステップS126、YES)、駐車支援装置100は、駐車指示操作があったか否かについて判定する(ステップS128)。駐車指示操作は、ギヤポジションの変更、ハンドルの解放、ブレーキの解放、ハザードランプの点灯、駐車指示に対応するボタンの操作、のうち、少なくとも一つ、または、それらの二つ以上の組み合わせを含む。例えば、ギヤがRで、ハンドルおよびブレーキが解放されたら、駐車支援装置100は、駐車指示操作があったと判定する。
【0109】
判定の結果、駐車指示操作がない場合(ステップS128、NO)、処理はステップS126に戻る。一方、駐車指示操作があった場合(ステップS128、YES)、状態管理部120は、駐車支援の状態をステート7に設定する(ステップS129)。ステップS129においては、駐車支援装置100(走行制御部160)は、車両1を制御して自動走行を開始する。これを、3秒以内に乗員が駐車指示操作をした場合、乗員が自動駐車を選択したと見做して自動駐車を開始する、と言い換えても良い。
【0110】
次に、駐車支援装置100は、自車位置が駐車位置であるか否かについて判定する(ステップS130)。判定の結果、自車位置が駐車位置ではない場合(ステップS130、NO)、ステップS130の処理が繰り返される。これを、車両1が駐車位置に到達するまで自動走行を続ける、と言い換えても良い。
【0111】
一方、自車位置が駐車位置である場合(ステップS130、YES)、駐車支援装置100は、自動駐車を終了した旨のメッセージを出力する(ステップS131)。その後、処理は、ステップS105に戻る。
【0112】
なお、上記のステップS104からステップS124おいて、車速が速度閾値より大きくなった場合、直ちにステップS102の処理に遷移するようにしても良い。また、上記のステップS105からステップS124において、車両1の位置が道路上になった場合、直ちにステップS102の処理に遷移するようにしても良い。つまり、道路外を低速走行中で、白線を検出し、車両1の移動情報の記憶を開始していた場合であっても、道路上に車両1が出たり、車速が上がったりした時には、場面(シーン)が駐車シーンではないと駐車支援装置100が判断して、駐車シーンであるか否かを判断するステップS102に戻すようにしても良い。
【0113】
また、ステップS125以降の判定処理では、自動駐車を行わない指示を乗員が行える様にしても良い。例えば、ステップ126とステップ128で駐車指示操作を待っている時に、自動駐車を行わない指示をHMI装置20で受け付けても良い。乗員の指示があった場合、指示の方が優先するので、車両1の位置や車速では判定しない様にしても良い。また、どのステップにおいても、IG-OFFとなった場合、本制御は終了する。
【0114】
また、自動駐車を選択するか否かについて乗員に問うメッセージの出力は、ステップS125より早いタイミングであっても良い。これを、経路計算の終了を待たずに、投機的に乗員に照会する、と言い換えても良い。例えば、ステップS116において、45度±15度、車両1が旋回して停車した時点で、上記のメッセージが出力されても良い。そうすれば、乗員が駐車指示操作を行うのと並行して経路計算が行われるので、全体として駐車に要する時間を短くすることができる。
【0115】
また、駐車指示操作は、複数あり、複数の駐車指示操作のそれぞれが行われる順序があることを考慮して、駐車指示操作を判定するステップを複数に分けても良い。例えば、ステップS116以降にギヤポジションがRになった時点で、自動駐車を選択するか否かについて乗員に問うメッセージを出力し、その後にハンドルとブレーキの解放が行われた時点で、駐車指示操作の受付を完了し、自動走行を開始しても良い。
【0116】
このように、乗員に照会するタイミングを早める場合、駐車支援装置100は、ステップS126で照会の待ち時間(乗員が自動駐車を選択しなかったと見做すまでの時間)を、乗員が操作に要する時間や、並行して行われる計算処理の時間を考慮して、長くしても良い。例えば、駐車支援装置100は、ギヤポジションがRになった時点で照会を行う場合、上記の待ち時間をステップS126における3秒から1秒増やして4秒とし、例えば、ステップS116の時点(停車の時点)で照会を行う場合、3秒から3秒増やして6秒としても良い。
【0117】
以上のように構成された本実施の形態によれば、状態管理部120が、記憶部170に記憶される、車両1の操作情報または移動情報の履歴に基づいて、乗員の駐車指示を検出する。状態管理部120は、本開示の「指示検出部」に対応する。
【0118】
具体的には、状態管理部120は、車両1の操作情報または移動情報の履歴が、車両1が直進から転舵して旋回した後に停車したことを示し、かつ、乗員が所定の駐車指示操作を行った時に、駐車指示を検出したと判定する。走行制御部160は、状態管理部120が駐車指示を検出した時に、駐車枠の情報に基づいて車両1の自動駐車を行う指令を車両制御装置30に出力する。走行制御部160は、本開示の「車両制御部」に対応する。
【0119】
これにより、車両1が転舵した後、停車した際に、駐車指示があったことにより、自動駐車を開始することができる。自動駐車の経路は、概ね、車両1が通過した範囲と重なるので、改めて安全確認を求める必要がない。また、どこに駐車するかは、転舵をした位置と転舵をした方向で判断できるので、駐車位置を指示させる必要もない。
【0120】
このように、本実施の形態では、自動駐車を開始する際に、確認や指示が必要ないので、短時間で自動駐車を開始することができる。
【0121】
また、本実施の形態では、車両1が直進状態から転舵を行うことをトリガとして、投機的に駐車枠検知を行うので、転舵してから停車するまでの時間を利用して、駐車枠検知を行うことができる。その結果、停車後に駐車枠検知を行う構成よりも、短時間で自動駐車を開始することができる。従って、本実施の形態では、よりスムーズに自動駐車を行うことができる。
【0122】
また、状態管理部120が、場面(シーン)が、車両1が駐車する駐車シーンであるか否かについて判定し、駐車シーンである時に駐車支援の状態をステート3とし、駐車シーンか否か判定する場面の駐車支援の状態をステート2とし、駐車シーンか否か判定しない場面(道路上を走行中のシーン)の駐車支援の状態をステート1とする。つまり、状態管理部120は、駐車シーンではない時に、駐車支援の状態を、ステート3以降よりも駐車支援装置100の機能を制限したステート2とし、駐車シーンか判定不要な時は、駐車支援装置100の機能を更に制限したステート1とする。よって、状態管理部120は、本開示の「シーン判定部」および「機能制限部」に対応する。
【0123】
つまり、道路上を走行中であって明らかに駐車シーンではない場合(ステート1)に、状態管理部120は駐車枠検知部140を全く機能させない。また、駐車シーンか否か判定する場面(ステート2)では、状態管理部120は駐車枠検知部140に低頻度で白線検知を行なわせるのみで、駐車枠検知部140による駐車枠検知や、記憶部170による履歴の記憶は、それらを行わせない。状態管理部120が行う機能制限により、シーンに応じて、駐車枠検知部140による駐車枠検知や、記憶部170による履歴の記憶が制限される、と言い換えても良い。
【0124】
これにより、常時、駐車枠検知や、履歴の記憶が行われないので、駐車支援装置100の動作負荷を低減することができる。なお、上記の駐車枠検知の制限および履歴の記憶の制限は、何れか一方が行われるようにしても良い。
【0125】
また、状態管理部120は、車両1が道路外に位置し、かつ、車速が規定値(上記の速度閾値)以下である時は、駐車支援の状態をステート2とし、それ以外の時はステート1とする。言い換えると、状態管理部120は、車両1が道路外に位置し、かつ、車速が規定値(上記の速度閾値)以下である時は、駐車枠検知部140による白線の検知の実行を制限しない。
【0126】
これにより、道路外、つまり、駐車場と想定できる場所で、車両1が比較的低速で走行している際に、白線の検知が制限されずに行われるので、駐車シーンであることを判定するための動作負荷が、不必要に発生しない様にすることができる。
【0127】
また、状態管理部120は、車両1が道路外に位置し、かつ、車速が規定値以下である、および、車両1の進行方向とのなす角度が略直角である白線を複数検出している場合、駐車シーンであると判定する。
【0128】
このように、駐車シーンを判定する際に、通路を表示する白線を駐車枠線と区別するので、駐車枠が無い場面を駐車シーンと誤判定する事が避けられる。なお、状態管理部120は、車両1が道路外に位置し、かつ、車速が規定値以下であること、および、車両1の進行方向とのなす角度が略直角である白線を複数検出していること、の何れか一方である場合、駐車シーンであると判定しても良い。例えば、車両1が道路外に位置する事を判定条件から外しても良い。
【0129】
また、駐車枠検知部140が、車両1が直進した線を挟んで、車両1が旋回した方向とは反対側にあり、かつ、車両1が転舵した時の乗員の位置を基準として、乗員の側方、乃至、斜め前方を含むように、駐車枠検知領域を設定しても良い。
【0130】
これにより、駐車枠検知領域が駐車枠を期待する領域に限定されることで、検知に要する処理時間を短くすることができる。また、駐車枠検知領域の大きさを、一つの駐車枠が収まるが、二つの駐車枠は収まらない大きさに制限することにより、二つの駐車枠を同時に検出した場合の処理を省くことができる。
【0131】
また、駐車枠検知部140が、周辺画像のうち、車両1が直進した線を挟んで、車両1が旋回した方向とは反対側にあり、かつ、車両1が転舵した時の乗員の位置を基準として、乗員の側方、乃至、斜め前方に位置する領域を含む周辺画像を選択して、選択された周辺画像に基づいて駐車枠検知を行っても良い。
【0132】
これによっても、駐車枠検知領域が駐車枠を期待する領域に限定されることで、検知に要する処理時間を短くすることができる。
【0133】
また、経路計算部150は、周辺画像の中から選択された駐車枠の情報、つまり、駐車枠検知部140により検出された駐車枠の情報に基づいて、駐車経路を計算する。
【0134】
これにより、ターゲットを絞って経路計算を行うことができるので、全ての駐車枠において駐車経路を計算する構成よりも処理時間を短くすることができる。
【0135】
また、走行制御部160は、駐車枠検知部140が停車位置で駐車枠を検出した場合、検出した駐車枠に向かう自動駐車を行い、停車位置で駐車枠を検出しなかった場合、駐車枠検知部140は、転舵時または転舵前に撮影された周辺画像に基づいて駐車枠を検知しても良い。
【0136】
つまり、駐車支援装置100は、先ず、停車位置でリアカメラの画像から駐車枠検知を行い、そこで駐車枠を検出しなかった場合に、転舵時点の画像を利用して駐車枠検知をするようにしても良い。
【0137】
このようにすると、車両1が停車する以前に、投機的に駐車枠検知を開始する事はしないので、駐車枠検知の為の動作負荷が不必要に発生することが無い。なお、停車位置でリアカメラの画像から駐車枠を検出できない確率は低いので、駐車枠検知の為に要する時間の期待値は、1回の駐車枠検知に要する時間より著しく大きくなることは無く、車両1の操作情報または移動情報の履歴に基づいて駐車指示を検出する事による時間短縮の効果がある。その結果、従来の方式より、駐車にかかる時間を短くすることができる。
【0138】
また、自動駐車中にハザードランプが点灯しても良い。つまり、走行制御部160は、車両1が直進状態から転舵して、所定角以上転向した位置で停車して自動走行を行う場合、ハザードランプを点灯させる指令を出力しても良い。
【0139】
これにより、自動走行中であることを周囲に認識させやすくすることができる。
【0140】
(第1の実施の形態の変形例)
以下、本開示の第1の実施の形態の変形例について説明する。第1の実施の形態では、シーン判定が行い、車両1が道路外に出ると、シーン判定の結果に従って白線検知を開始し、周期的に引かれた白線を検出すると、シーン判定の結果に従って駐車枠検知を開始する例を示した。
【0141】
具体的には、状態管理部120がシーン判定部、および機能制限部として機能し、駐車シーンであるか否か判定して、判定結果に基づいて、駐車枠検知や記憶部による運動履歴の記憶を制限したが、この判定を乗員に委ねても良い。例えば、駐車支援装置100を起動する起動ボタンが設けられ、駐車枠検知部140は、起動ボタンが押された時に駐車枠検知を開始しても良い。つまり、乗員の操作をシーン判定に代えても良い。
【0142】
また、第1の実施の形態では、車両1の走行中に周辺画像を記憶し、転舵があった時に駐車枠検知部140が駐車枠検知を行う例を示したが、駐車枠検知を特定のタイミングのみで行うのではなく、常時実行しても良い。また、記憶部170が、検出した駐車枠の情報を記憶し、経路計算部150が、記憶部170に記憶された駐車枠の情報に基づいて経路計算を行うようにしても良い。
【0143】
また、第1の実施の形態では、直進から旋回に移行した時点における乗員の位置に基づいて、履歴と符合する駐車枠を選択する例を示したが、直進から旋回に移行した時点における車両、または乗員の位置に基づいて、履歴と符合する駐車枠を選択するようにしても良い。例えば、車両1の前部に設けられたカメラ2(フロントカメラ)の画像を乗員が見ている場合、フロントカメラは、乗員より前に駐車枠の間口に差し掛かるので、より早いタイミングで駐車枠が空いている事が判るし、フロントカメラ画像で駐車枠を検知すれば、乗員が目視する前に駐車枠を検出したと報知される事がある。つまり、乗員の位置に関わらず、空き駐車枠があると判断して旋回に移行する事があるので、車両の位置に基づいて、履歴と符合する駐車枠を選択するようにしても良い。なお、駐車枠の間口とは、駐車枠の前の通路上の領域に便宜的に名付けた称呼であり、駐車枠の入口の短辺に接する領域と言っても良く、また、駐車枠を通路側に伸ばした領域、と言い換えても良い。
【0144】
(第2の実施の形態)
以下、本開示の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、乗員が車両を駐車場内で停車させるまでの操作または経路を履歴として記憶し、車両を駐車させる目標駐車枠の指示を含む駐車指示と見做して、駐車枠検知部が検出した駐車枠のうち、車両の停車位置とは、車両の直進時の進路を挟んで反対側に位置し、かつ、履歴と符合する駐車枠を、目標駐車枠として選択する例を示した。つまり、停車位置までの運転により、その後の自動駐車の駐車位置が決まる。駐車枠が検出されると、その時点での駐車枠に対する車両1の位置関係の情報が得られ、車速と進路の情報を加えると、駐車を意図している場合の位置関係の推移が予測可能となる。そこで、車両1と駐車枠の位置関係、または、乗員と駐車枠の位置関係が特定の位置関係になる時点で、駐車枠検知部が検出した駐車枠の情報に基づく適切な報知を行うことにより、停車位置までの運転を支援することができる。第2の実施の形態では、停車位置までの運転支援について開示する。
【0145】
また、第1の実施の形態では、駐車枠検知領域を二つの駐車枠が収まらない大きさに制限する例を示していたが、複数の駐車枠を同時に検出できるように駐車枠検知領域を設定しても良い。そして、連続する複数の駐車枠が検出されている場合に、乗員が駐車したいと意図する駐車枠に駐車できるように、停車位置までの運転支援が行われても良い。
【0146】
図10における駐車枠S1と駐車枠S2のように、連続する複数の駐車枠の検出がある場合、乗員が意図する駐車枠と、目標駐車枠(目標駐車位置が設定される駐車枠)とが一致しないことがある。駐車支援装置100は、転舵した時の直進から旋回に移行した時点における車両、または乗員の位置に基づいて目標駐車枠を決定する。つまり、目標駐車枠が駐車枠S1になる位置の範囲と、目標駐車枠が駐車枠S2になる位置の範囲とが存在するので、二つの範囲を分ける境界線付近に乗員が位置する時に、乗員が意図する駐車枠と目標駐車枠の不一致が起き易い。
【0147】
例えば、乗員が斜め前方の駐車枠S1を見て、駐車枠S1に駐車させるつもりで車両1を転舵させた際に、ハンドルを切り始めた地点がP5であったとする。ここで、駐車支援装置100が、車両1が転舵した地点P5が駐車枠S2の前(間口)に位置したことに基づいて、駐車枠S2を目標駐車枠として選択すると、目標駐車枠S2は乗員が意図する駐車枠S1と不一致になる。
【0148】
第2の実施の形態では、駐車支援装置100は報知による支援を行う事により、誤推定が起きやすいタイミングを避けてハンドルを廻すように乗員を誘導する。以下、第2の実施の形態について説明する。
【0149】
図14に示す例では、X方向の-側から順に3つの駐車枠S4,S5,S6が配置された駐車場が示されている。駐車枠S4は、駐車枠線L5,L6に挟まれた駐車枠であり、駐車枠S5は、駐車枠線L6,L7で挟まれた駐車枠であり、駐車枠S6は、駐車枠線L7,L8で挟まれた駐車枠である。
図14に示す例では、空き駐車枠がS5,S6であり、車両1が3つの駐車枠S4,S5,S6に面した通路を、X方向の-側から+側に向かって進行している状況が示されている。
【0150】
図14には、車両1が駐車枠の前を通過する場合の、各時点における乗員(運転手)の位置であるQ1~Q5を例示している。なお、Q1の位置では乗員と車両1の位置を示しているが、Q2~Q5の各位置では、車両1を略し、乗員のみ示している。Q1は、例えば、駐車枠S5を検出した事を報知された時点の乗員の位置である。ここに至るまでの時点、例えば、駐車支援装置100が駐車枠検知を開始した時に、「カウントダウンしている間にハンドルを切って下さい」のように、カウントダウンがあることと、カウントダウンしている時にハンドルを切れば良いこととを、予め報知しておくと良い。そうしておけば、乗員は自身の駐車意図と報知に応じたタイミングで、ハンドルを切ることが出来る。
【0151】
例えば、乗員の位置がQ1からQ2までの範囲に位置している間に、駐車支援装置100は「手前の駐車枠に入れますか?」とアナウンスする。すると、駐車枠S6は駐車枠S5よりも乗員から遠く、駐車枠S5の方が手前にあるので、乗員には、駐車枠S5に車両1を停めるかを聞かれていると判断できる。続いて、乗員の位置がQ2からQ3まで進む間に、駐車支援装置100は、「3、2、1」とカウントダウンする。乗員は、事前に「カウントダウンしている間にハンドルを切って下さい」と聞いているので、駐車枠S5に駐車したい場合は、その通りにハンドルを切れば良い。そうすると、目標駐車位置が駐車枠S5に設定される。乗員が駐車枠S5に駐車したくない場合は、ハンドルを切らなければ良い。
【0152】
乗員の位置がQ3に到達すると、駐車支援装置100は「次の枠に入れますか?」とアナウンスする。乗員は、駐車枠と車両1との位置関係から、次の枠が駐車枠S6を指すと判る。続いて、乗員の位置がQ4からQ5まで進む間に、駐車支援装置100は、「3、2、1」とカウントダウンする。この間に、乗員がハンドルを切ると、目標駐車位置が駐車枠S6に設定される。
【0153】
このように、駐車枠との相対位置に応じたタイミングの報知を受け、報知に応じてハンドルを廻させることにより、乗員が駐車したいと意図する駐車枠に、目標駐車位置を確実に設定することができる。
【0154】
次に、第2の実施の形態に係る駐車支援装置100の動作例について説明する。
図15および
図16は、第2の実施の形態に係る駐車支援装置100における駐車支援制御の動作例を示すフローチャートである。
図16のフローは駐車支援装置100を起動するボタンが押された時にスタートしている。スタートの時点で、車両1は駐車場の通路を低速走行していて、その進路は検出された白線群と略直角であると仮定する。以下に示す
図15および
図16のフローチャートは、報知に関係する部分を示し、報知に関係しない部分を省略している。そのため、第1の実施の形態における
図11、乃至、
図13に示す処理が、以下のフローチャートの処理と平行して実行されていても良い。
【0155】
駐車支援装置100を起動するボタンが押されると、
図15に示すように、駐車支援装置100は、速度制御を開始する(ステップS201)。この速度制御は、乗員が駐車枠を判断する時間の余裕を増すため、車両1の速度を抑える制御である。例えば、車速が3km/hに制御されると、車両1は、2.5m間隔の駐車枠の前を3秒で通過する。
【0156】
駐車支援装置100は更に、駐車枠検知を開始する(ステップS202)。駐車枠検知は、フロントカメラの画像に基づいて行われる。速度制御および駐車枠検知は、上記のステップに限らず、ステップS202以降の処理にて継続的に実行される。
【0157】
ステップS202の後、駐車支援装置100は、駐車枠を検出したか否かについて判定する(ステップS203)。判定の結果、駐車枠を検出していない場合(ステップS203、NO)、ステップS203の処理が繰り返される。
【0158】
一方、駐車枠を検出した場合(ステップS203、YES)、駐車支援装置100は、駐車枠までの距離と車速に基づいて、時間余裕を計算する(ステップS204)。時間余裕は、例えば、案内終了点に車両1が到達するまでの時間である。案内終了点は、
図14のQ3やQ5に相当する位置であり、駐車支援装置100によるカウントダウンが終了する位置である。
【0159】
ステップS204の後、駐車支援装置100は、時間余裕が5秒以下であるか否かについて判定する(ステップS205)。判定の結果、時間余裕が5秒を超えた場合(ステップS205、NO)、処理はステップS204に戻る。
【0160】
時間余裕が5秒以下である場合(ステップS205、YES)、駐車支援装置100は、メッセージAの出力を開始する(ステップS206)。つまり、時間余裕が5秒になるまで待ってメッセージAを出力する。メッセージAは、例えば、「この駐車枠に入れますか、3、2、1」の様にカウントダウンを含むメッセージであっても良い。この様にして、駐車支援装置100は、メッセージAの出力終了時に車両1が案内終了点に達するように時間調整する。
【0161】
次に、駐車支援装置100は、舵角の絶対値が5度より大きいか否かについて判定する(ステップS207)。なお、ステップS207とステップS208の処理は、ステップS206におけるメッセージAの出力中に実行される。つまり、カウントダウン中にハンドルが廻されたか否か判定する。
【0162】
判定の結果、舵角の絶対値が5度より大きい場合(ステップS207、YES)、処理はステップS218に遷移する。一方、舵角の絶対値が5度以下である場合(ステップS207、NO)、駐車支援装置100は、時間余裕が0秒以下であるか否かについて判定する(ステップS208)。この時間余裕は、メッセージAとして報知される数字と同じである。つまり、カウントダウンの報知で、ゼロと報知する前にハンドルが廻されたか否か判定する。判定の結果、時間余裕が0秒より大きい場合(ステップS208、NO)、処理はステップS207に戻る。一方、時間余裕が0秒以下である場合(ステップS208、YES)、つまりゼロと報知していた場合は、駐車支援装置100は、タイマーを0秒にして、計時を開始する(ステップS209)。タイマーは、計時を開始して以降の経過時間をカウントする。
【0163】
ステップS209の後、駐車支援装置100は、「ブー」の様なビープ音を出力する(ステップS210)。ビープ音は、案内期間中に操舵操作を検出しなかったので、ステップS203で検出した駐車枠を目標駐車枠としないことを通知するための音であり、このステップS210の処理が実行されている間だけ継続される。
【0164】
図16に示すように、ステップS210の後、駐車支援装置100は、駐車枠を検出したか否かについて判定する(ステップS211)。ステップS211で判定の対象となる駐車枠は、ステップS203で検出した最初の駐車枠ではなく、次の駐車枠である。ステップS203で駐車枠を検出した後も、継続して駐車枠検知を行い、次の駐車枠を検出していた場合は、ステップS211で直ちにYESと判定する。判定の結果、駐車枠を検出していない場合(ステップS211、NO)、駐車支援装置100は、タイマーが1秒未満であるか否かについて判定する(ステップS212)。
【0165】
判定の結果、タイマーが1秒より大きい場合(ステップS212、NO)、処理はステップS203に戻る。ステップS203は最初の駐車枠を検出するステップなので、1秒以内に次の駐車枠を検出しない場合は、駐車枠を連続して検出する状況ではない、と判定する事を意味する。つまり、1秒以内に次の駐車枠を検出しない場合は、次に検出した駐車枠は、最初の駐車枠として扱われる。一方、タイマーが1秒未満である場合(ステップS212、YES)、処理はステップS210に戻る。ステップS210はビープ音のステップなので、ビープ音が1秒間を上限として出力される事になる。
【0166】
ステップS211の判定に戻り、次の駐車枠を検出した場合(ステップS211、YES)、駐車支援装置100は、時間余裕を計算する(ステップS213)。時間余裕は、例えば、案内終了点に車両1が到達するまでの時間である。
【0167】
ステップS213の後、駐車支援装置100は、時間余裕が4秒以下であるか否かについて判定する(ステップS214)。判定の結果、時間余裕が4秒を超えた場合(ステップS214、NO)、処理はステップS213に戻る。
【0168】
一方、時間余裕が4秒以下である場合(ステップS214、YES)、駐車支援装置100は、メッセージBの出力を開始する(ステップS215)。つまり、時間余裕が4秒になるまで待ってメッセージBを出力する。時間閾値がステップS205より短い事は、メッセージBが二つ目の駐車枠に対する案内のため、メッセージAより短い事に対応する。メッセージBは、例えば、「次に入れますか、3、2、1」等のカウントダウンに関するメッセージであっても良い。また、駐車支援装置100は、メッセージBの出力終了時に車両1が案内終了点に達するように時間調整を行う。
【0169】
次に、駐車支援装置100は、舵角の絶対値が5度より大きいか否かについて判定する(ステップS216)。なお、ステップS216とステップS217の処理は、メッセージBの出力中に実行される。つまり、カウントダウン中にハンドルが廻されたか否か判定する。
【0170】
判定の結果、舵角の絶対値が5度以下である場合(ステップS216、NO)、駐車支援装置100は、時間余裕が0秒以下であるか否かについて判定する(ステップS217)。この時間余裕は、メッセージAとして報知される数字と同じである。つまり、カウントダウンの報知で、ゼロと報知する前にハンドルが廻されたか否か判定する。判定の結果、時間余裕が0秒より大きい場合(ステップS217、NO)、処理はステップS216に戻る。
【0171】
一方、時間余裕が0秒以下である場合(ステップS217、YES)、処理はステップS209に戻る。つまりゼロと報知していた場合は、「ブー」の様なビープ音で検出した駐車枠を目標駐車枠としないことを通知する。
【0172】
ステップS216の判定に戻り、舵角の絶対値が5度より大きい場合(ステップS216、YES)、処理はステップS218に遷移する。ステップS207でYESの場合も同様である。ステップS218では、駐車支援装置100は、メッセージCの出力を開始する(ステップS218)。メッセージCは、目標駐車枠が決定した事の報知であり、例えば、「この枠に自動駐車します。枠に背を向けて停車して下さい」等のメッセージであっても良い。ステップS218の後、本制御は終了する。
【0173】
以上のように構成された第2の実施の形態によれば、空き駐車枠が連続する場合であっても、車両1が駐車する枠が不明確にならないように、駐車枠を指示する動作を受け付けることができる。
【0174】
なお、
図15および
図16に示すフローチャートは、目標駐車枠が特定できるタイミングでハンドルを廻す様に誘導する制御の一例であり、そこで特定された駐車枠に駐車する際の報知について、以下に制御の一例を示す。
図17に示すフローチャートの処理が駐車する際の報知の制御の一例であり、これが、
図16のステップS218の後に行われても良い。
【0175】
図17に示すフローチャートは、前提として、乗員がハンドルを切り、後退開始位置(切り返し位置)に向けて前進している状態でスタートする。後退開始位置に達した事を検知する為に、駐車支援装置100は、車速が0であるか否かについて判定する(ステップS219)。判定の結果、車速が0出ない場合(ステップS219、NO)、ステップS219の処理が繰り返される。
【0176】
一方、車速が0である場合(ステップS219、YES)車両は後退開始位置に達しているので、駐車支援装置100は、車両1の周辺画像に枠画像を重畳表示し、駐車経路を計算しつつ、メッセージDを出力する(ステップS220)。メッセージDは、目標駐車枠の確認要求であり、例えば「この駐車枠で良ければ、ギヤをRに入れてブレーキを解除して下さい」等のメッセージであっても良い。
【0177】
次に、駐車支援装置100は、ギヤがRで、かつ、ブレーキが開放された状態を、検出したか否かについて判定する(ステップS221)。判定の結果、ギヤがRで、かつ、ブレーキが開放された状態を、検出していない場合(ステップS221、NO)、ステップS221の処理が繰り返される。つまり、乗員が目標駐車枠を確認するのを待つ。
【0178】
一方、ギヤがRで、かつ、ブレーキの開放を検出した場合(ステップS221、YES)、駐車支援装置100は、自動駐車の開始を報知するメッセージEを出力する(ステップS222)。メッセージEは、例えば「自動駐車を開始します。車両周辺に注意して下さい」等のメッセージであっても良い。
【0179】
ステップS222の後、駐車支援装置100は、駐車経路に沿って車両1を自動走行させる(ステップS223)。
【0180】
ステップS223の後、駐車支援装置100は、車両1が終点に到達したか否かについて判定する(ステップS224)。判定の結果、車両1が終点に到達していない場合(ステップS224、NO)、処理はステップS223に戻る。
【0181】
一方、車両1が終点に到達した場合(ステップS224、YES)、駐車支援装置100は、車両1を自動停止させ、自動駐車の終了を報知するメッセージFを出力する(ステップS225)。メッセージFは、例えば「自動駐車を終了しました。ギヤをパーキングに入れて下さい」等のメッセージであっても良い。
【0182】
ステップS225の後、駐車支援装置100は、ギヤがPになったことを検出したか否かについて判定する(ステップS226)。判定の結果、ギヤがPになったことを検出していない場合(ステップS226、NO)、ステップS226の処理が繰り返される。一方、ギヤがPになったことを検出した場合(ステップS226、YES)、本制御は終了する。
【0183】
なお、フローチャートが煩雑になることを避ける観点から、乗員がメッセージの指示に従わない場合等の例外処理における図示および説明は省略する。この例外処理は、適宜補って実施可能である。例えば、駐車枠を検出している時に乗員がハンドルを切ったが、検出された駐車枠に駐車する意図はなく、通路を曲がっただけだった、と言う様な場合もある。その様な場合の例外処理として、ステップS219において、車速が所定時間を経過しても0にならない事を条件として、ハンドル操作が駐車枠を指示する操作ではないと判定し、ステップS203に処理を遷移させても良い。
【0184】
このようにして、
図10における駐車枠S1および駐車枠S2のように、複数の駐車枠の検出がある場合は、報知による支援があると目標駐車枠の設定誤りを予防することができる。しかし、
図6のように、検出した駐車枠が一つだけである場合は、目標駐車枠の設定誤りが発生しないので、報知による支援は効果がなく、乗員が煩わしいと感じすることもある。
【0185】
そこで、検出した駐車枠が一つだけである場合、検出した駐車枠が複数ある場合よりも、報知の数を少なくすると良い。例えば、検出した駐車枠が複数ある場合は、「この駐車枠に入れますか、3、2、1」と駐車の意図の照会と時間余裕が報知されるが、検出した駐車枠が一つだけである場合は、「この駐車枠に入れますか」のように、駐車の意図の照会だけが報知されるだけであっても良い。また、検出した駐車枠が一つだけである場合は、何も報知されないようにしても良い。
【0186】
(第3の実施の形態)
以下、本開示の第3の実施の形態について説明する。駐車を意図する駐車枠が目標駐車枠として確実に設定される様にすれば、乗員は、目標駐車枠を確認する手間や、目標駐車枠を訂正する手間を省くことができる。そこで、駐車支援装置100は、乗員に対して、駐車を意図する駐車枠を特定するような操舵を行わせ、その操舵行動の観測および分析に基づいて目標駐車枠を設定しても良い。
【0187】
図18~
図23は、第3の実施の形態における車両1の操舵行動の例を説明するための図である。
【0188】
図18等に示す例では、X方向の-側から順に4つの駐車枠S7,S8,S9,S10が配置された駐車場が示されている。駐車枠S7は、駐車枠線L9,L10に挟まれた駐車枠であり、駐車枠S8は、駐車枠線L10,L11で挟まれた駐車枠であり、駐車枠S9は、駐車枠線L11,L12で挟まれた駐車枠であり、駐車枠S10は、駐車枠線L12,L13で挟まれた駐車枠である。
図18等に示す例では、空き駐車枠がS8,S9であり、車両1が4つの駐車枠S7,S8,S9,S10に面した通路を、X方向の+側から-側に向かって進行し、その間に駐車を意図する駐車枠を特定するような操舵行動をしている状況が示されている。
【0189】
駐車支援装置100は、履歴が示す、車両が停車した時点における旋回方向と逆方向の旋回を検出し、逆方向の旋回が始まった時の車両の位置、または、逆方向の旋回が終わった時の車両の位置、または車体の向き、のいずれかに基づいて、履歴と符合する駐車枠を選択する。逆方向の旋回とは、停車位置と反対側、つまり駐車枠の方に車体の前端を振る操舵であり、逆ハンドルと呼んでも良い。例えば、
図18に示すように、乗員が、駐車を意図する駐車枠に向かって、車体の前端の角が接近していくように操舵させた際に、車体の角が最接近した駐車枠を判定して、目標駐車枠を設定しても良い。
図18の例では、車両1が最もY方向の+側に移動した際の位置に対応する駐車枠S9が目標駐車枠として設定される。
【0190】
また、駐車支援装置100は、例えば、
図19に示すように、乗員が停車位置に向かってハンドルを切り返した時に、車体の右の側面、つまり、駐車枠に面した側面を前方に延長した線Wが指す駐車枠を特定して、目標駐車枠を設定しても良い。
図19の例では、線Wと重なる駐車枠S8が目標駐車枠として設定される。
【0191】
また、駐車支援装置100は、例えば、
図20に示すように、車両1が左に転舵する直前の右前角の移動方向Mを特定し、その移動方向M(矢印Mの方向)にある駐車枠を目標駐車枠に設定しても良い。
図20の例では、移動方向Mと重なる駐車枠S9が目標駐車枠として設定される。
【0192】
また、駐車支援装置100は、例えば、
図21に示すように、車両1が左に転舵する直前に、乗員から見た右前角の方向E(矢印Eの方向)を特定し、その方向Eにある駐車枠を目標駐車枠に設定しても良い。
図21の例では、方向Eと重なる駐車枠S8が目標駐車枠として設定される。つまり、意図する駐車枠を指定する操舵は、意図する駐車枠の間口で、意図する駐車枠と逆側に転舵する操舵、意図する駐車枠の間口で、意図する駐車枠の側に一時的に転舵する操舵、意図する駐車枠に、車体を向ける操舵、意図する駐車枠に、車体を接近させる操舵、のいずれであっても良い。車体の向き(方向)に基づいて駐車枠を特定する場合、駐車位置とは逆方向の側の側面が指す方向、または、駐車位置とは逆方向の側の、車体の先端の角の進行方向、または、駐車位置とは逆方向の側の先端の角を、乗員が見た方向、のいずれであっても良い。
【0193】
方向に基づいて駐車枠を特定する場合、駐車支援装置100は、駐車枠の通路側の間口から、駐車枠の中央にかけての領域を、駐車枠を代表する判定部位として判定すると良い。この判定部位は、駐車枠を選ぶ時に乗員が目線を向ける範囲であり、乗員が駐車枠に向かう操作をする時は、この判定部位に向けて車両1を操作するからである。例えば、駐車支援装置100は、判定部位の中心をそれぞれ設定し、方向を延長した線と各中心との距離を評価して、複数の判定部位の中心のうち、方向を延長した線との距離が最も小さい駐車枠を目標駐車枠として設定しても良い。
【0194】
また、乗員が駐車を意図する駐車枠を特定する操舵は、
図22および
図23に示すような、逆ハンドル操作に基づく操舵であっても良い。逆ハンドル操作とは、例えば、左に大きく転舵する前に、小さく右に転舵して、軌跡を右に膨らませる操舵行動である。逆ハンドルはクセとして習慣的に行われる事もあり、無意識で逆ハンドル操作を行う人も多く存在する。そのため、駐車のために車両1を転舵させる際に、乗員が逆ハンドル操作を行っても、周囲から特異な行動とみられるおそれがない。
【0195】
逆ハンドル操作を行った位置は、逆ハンドル操作が始まった位置に特定しても良い。例えば、
図22に示すように、逆ハンドル操作が始まった時点の車体前端の位置が、複数の駐車枠のうち、駐車枠S9の中心線C1に最も近ければ、駐車支援装置100は、目標駐車枠を駐車枠S9に設定する。また、
図23に示すように、逆ハンドル操作が始まった時点の車体前端の位置が、複数の駐車枠のうち、駐車枠S8の中心線C2に最も近ければ、駐車支援装置100は、目標駐車枠を駐車枠S8に設定する。つまり、逆方向の旋回が始まった時の車両の位置、または、逆方向の旋回が終わった時の車両の位置、または車体の向き、のいずれかに基づいて、履歴と符合する駐車枠を選択すればよい。
【0196】
なお、
図10における駐車枠S1および駐車枠S2のように、複数の駐車枠が検出された場合は、駐車を意図する駐車枠を指定するような操舵は有効であるが、
図6のように、検出した駐車枠が一つだけである場合は、目標駐車枠の設定誤りが発生しないので、特別な操舵は必要ない。
【0197】
そこで、駐車支援装置100は、検出した駐車枠が複数ある場合のみ、駐車を意図する駐車枠を指定するための操舵を求め、検出した駐車枠が一つだけである場合、操舵について報知しない、または、簡単な報知で済ませるようにしても良い。
【0198】
例えば、空き駐車枠が車両1の右側に複数存在する場合、駐車支援装置100は、所定のメッセージをアナウンスするようにしても良い。所定のメッセージは、例えば、「停めたい駐車枠の前でハンドルを切って下さい」、「停めたい駐車枠に向けて、軽く車体の先端を振って下さい」、「停めたい駐車枠に車体の角を近づけて下さい」、「左に車体の先端を振る前に、停めたい駐車枠に向けて先端を向けて下さい」のうちの何れかであっても良い。
【0199】
駐車支援装置100は、所定のメッセージに続けて、例えば「駐車枠に背を向けて停車すると自動駐車を開始します」とアナウンスしても良い。また、駐車支援装置100は、検出した駐車枠が一つだけである場合、停めたい駐車枠を指定する操舵を求めず、単に「駐車枠に背を向けて停車すると自動駐車を開始します」とだけアナウンスするようにしても良い。
【0200】
また、駐車支援装置100は、空き駐車枠が複数ある場合においても、駐車枠毎に報知を繰り返す必要はない。例えば、駐車枠S1の前で、意図する駐車枠を指定するような操舵がなかった場合、目標駐車枠の候補が一つに絞られるので、駐車枠S2についてアナウンスが繰り返される必要がないからである。例えば、駐車支援装置100は、二つ目の駐車枠を検出した時に、1回だけ「停めたい駐車枠に向けて、軽く車体の先端を振って下さい」とアナウンスしても良い。そして、駐車支援装置100は、最初の駐車枠S1の前で対応する動作がなかった場合、次の駐車枠S2の前で対応する動作がなくても、駐車の意図を判断できるので、駐車枠S2を目標駐車枠としても良い。
【0201】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本開示の装置は、短い時間でスムーズに自動駐車を行うことが可能な駐車支援装置および駐車支援方法として有用である。
【符号の説明】
【0203】
1 車両
2 カメラ
10 操作装置
20 HMI装置
30 車両制御装置
40 ナビゲーション装置
100 駐車支援装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 I/O
105 IMP
110 操作受付部
120 状態管理部
130 画像取得部
140 駐車枠検知部
150 経路計算部
160 走行制御部
170 記憶部
180 表示画像出力部