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特許7578402事故リスクを制限するための方法および制御機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】事故リスクを制限するための方法および制御機器
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20241029BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241029BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20241029BHJP
【FI】
B60W30/09
G08G1/16 C
B60W30/095
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020021308
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2020132143
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】10 2019 201 888.2
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】エーリヒ・ゾンターク
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-クリスティアン・スボボダ
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ・フライエンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・フォルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ベルガー
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020578(JP,A)
【文献】特開2012-096558(JP,A)
【文献】特開2015-191264(JP,A)
【文献】特表2014-511301(JP,A)
【文献】特開2007-045181(JP,A)
【文献】特開2010-018122(JP,A)
【文献】特開2018-199357(JP,A)
【文献】国際公開第2018/068861(WO,A1)
【文献】特表2011-510852(JP,A)
【文献】特開2004-142539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(105)の事故リスクを制限するために、前記車両(105)の外部の演算装置(110)および/または前記車両(105)に搭載された演算装置(110)で実施される方法(1100)であって、
前記車両(105)の室内状況の変化に起因する事故リスクの増加を認識するステップ(1110)であって、前記車両(105)の室内状況の変化は、シート装置の位置が変更されたシート設定であり、前記シート装置は、少なくとも、調整可能なシート、ベンチ、および、車両室内テーブルのいずれかを含むステップ(1110)と、
前記車両(105)の室内状況の変化に応答して、室内パラメータを変更して、事故リスクを制限するために、前記車両(105)を駆動制御する制御信号(173)を提供するステップ(1130)と、
を有する方法において、
前記提供するステップ(1130)において、事故リスクを低減するように、前記制御信号(173)を使用して前記位置が変更された、前記シート、前記ベンチ、および/もしくは前記車両室内テーブルを駆動制御し、ならびに、光学的、音響的および/もしくは触覚的警告(182)を車両乗員に提供することにより、室内パラメータが変更される、
方法(1100)。
【請求項2】
前記認識するステップ(1110)において、変更された車両室内状況が、室内カメラユニット(120)からの信号(149)を使用して認識される、請求項1に記載の方法(1100)。
【請求項3】
前記認識するステップ(1110)において、変更された車両室内状況が、シート装置(135)からの信号(152)を使用して認識され、前記信号(152)は、前記シート装置(135)の位置が変更されたシート設定を表す、請求項1に記載の方法(1100)。
【請求項4】
前記認識するステップ(1110)および/または前記提供するステップ(1130)が、繰り返し実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法(1100)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(1100)を、対応するユニット(140、143、146)において実施するために設定された制御機器(100)。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(1100)を実施するために設定されたコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムが保存されている機械可読メモリ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルにかかる装置または方法に基づく。本発明の対象は、コンピュータプログラムでもある。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両を高速道路上で横方向および/または縦方向に自動的に案内する車両の自動操縦システムは、車両が静止物および/または他の道路利用者を、例えば60km/hよりも速く通過しないような相対速度を考慮する。警告、例えば渋滞警告がある場合、渋滞の最後部が突然発生した場合にブレーキによるエネルギーを低減させ、ひいてはより迅速に停止するために、車両の速度が低下する。
【発明の概要】
【0003】
この背景に対して、ここで提示される方法は、事故リスクを制限するための方法、さらにこの方法を使用する制御機器、および最後に、主な請求項にかかる対応するコンピュータプログラムを提示する。従属請求項で挙げられた手段によって、独立請求項に記載された装置の有利な展開形態および改善形態が可能になる。
【0004】
ここで提示される方法は、例えば、車両の走行方法、および/または走行ルート、および/または室内パラメータを、車両の室内状況、および/または車両の周辺環境における交通状況の認識された変化に応答して変更することによって、車両の室内状況の変化および/または車両の周辺環境における交通状況の変化に起因する自動走行車両の事故リスクの増加が制限され、さらには乗員の自由および走行快適性が保証されるという事実に基づく。
【0005】
事故リスクを制限するための方法が提示され、この方法は以下のステップを有する。
車両の室内状況の変化および/または車両の周辺環境における交通状況の変化に起因する事故リスクの増加を認識するステップ。
【0006】
車両の室内状況、および/または車両の周辺環境の交通状況の認識された変化に応答して、走行方法および/または走行ルートおよび/または室内パラメータを変更して、事故リスクを制限するために、車両を駆動制御する制御信号を提供するステップ。
【0007】
事故リスクとは、例えば、高速道路で走行する車両が危険に遭遇したり、高速道路での車両の走行が有害な影響をもたらしたりする確率であると理解できる。したがって、事故リスクとは事故の危険性であると理解することもできる。ここで、事故の危険性の増加は、一定の交通シナリオにおいて、例えば、シートベルトを外すことおよび/または新しいシート位置による、車両乗員の行動の変化により引き起こされる可能性がある。さらに、事故の危険性の増加は、既存の室内状況および新しい交通状況、例えば渋滞警告および/または交通密度の増加によっても引き起こされる可能性がある。どちらの場合も事故の危険性が増加し、例えば、車両の防御的な走行方法によって調整を試みることができる。室内状況とは、多数の要素を有する可能性のある車両内の事象であると理解できる。事象は、例えば、車両乗員によるシート位置の調整、および/または車両乗員によるシートベルトの取り外しであり得る。変化した室内状況を認識できるようにするために、例えば、センサおよび/またはカメラユニットによって実行可能な検出装置が車両に存在すると有利である。室内状況および/または車両の周辺環境における交通状況に応じて、車両乗員の高い安全性が十分に確保できなくなった場合に、車両が適切に反応することができる。これにより、運転者や車両の他の乗員を保護するだけでなく、全体的な交通安全性を向上させることもできる。制御信号を出力することにより、例えば、走行方法、走行ルートおよび/または室内パラメータを変更することができる。したがって、車両の走行方法の変化とは、例えば、加速プロセスまたは制動プロセスの開始であると理解することができ、走行ルートの変更とは、例えば、車両の車線変更および/または一時的に必要となる停止の可能性についての走行ルートの変更であると理解できる。最後に、室内パラメータの変化とは、例えば、車両のシート装置の位置の変化および/または車両乗員への警告の出力であると理解できる。車両は、人の搬送のための車両、例えば高度に自動化されて走行する車両であり得る。また車両とは、人や商品を輸送するための商用車、例えば高度に自動化されて走行するトラックやバスであると理解できる。交通状況とは、車両密度、交通障害、および/または全ての交通路と交通手段の気象状況を考慮した、車両の周辺環境の現在の交通状態であると理解できる。
【0008】
ここで提示される方法の利点は、特に、車両の走行方法および/または走行ルートおよび/または室内パラメータを変更することによって、自動走行車両の事故リスクを制限するにもかかわらず、乗員の自由度および走行快適性が制限されず、むしろ増加され得ることである。ここで提示する方法によれば、車両の事故リスクはセンサによって監視でき、事故の危険性が低い場合でも、乗員には複数の自由が許可され、車両乗員は、例えば乗員にとって快適なシート位置を選択することができる。反対に、車両乗員は、車両室内での行動によって自動操縦の走行特性に影響を与えることができ、例えば、車両乗員によって選択されたシート位置が潜在的な事故の際に傷害の危険性を引き上げる恐れがある場合、車両はより低速で走行する。
【0009】
一実施形態によれば、認識するステップにおいて、変更された車両室内状況は、室内カメラユニットからの信号および/またはシート装置からの信号を使用して認識でき、シート装置からの信号は、シート装置の変更されたシート設定を表し、特に、認識するステップにおいて、車両の変更された室内状況を使用して、車両乗員の(差し迫った)傷害の重症度の程度が決定される。シート装置は、例えば、調整可能なシート、ベンチ、車両室内テーブル、および/または車両室内のホルダであり得る。例えば、車両の室内および/または車両乗員は、室内カメラユニットを使用して観察され、および/または車両乗員のシート設定が監視される。ここで、車両乗員の行動および/またはシート位置および/または姿勢および/または頭の位置の知識を使用して、車両乗員の起こり得る傷害の重症度を有利に決定することができる。ここに提示される方法のそのような実施形態は、また、事故リスクと組み合わされて決定された傷害の重症度によって、走行方法、特に車両の速度を変更でき、および/または車両の先行するおよび/または後続する走行する車両に対する車両の間隔を適合でき、それによって車両乗員に所望の自由を与え、潜在する危機的な交通状況を早期に認識して回避するという利点を提供する。
【0010】
さらなる実施形態によれば、本方法は、先行するおよび/または後続する車両の測定された速度、ならびに車両の速度を使用して、車両と、その車両に先行する少なくとも1つおよび/またはその車両に後続する少なくとも1つの車両との間の相対速度および/または相対速度範囲を算出する算出ステップを有することができ、提供するステップでは、算出された相対速度および/または算出された相対速度範囲に応じて制御信号が提供される。測定された速度に関する情報は、自車両自体だけでなく、他の車両および/または交通流センサなどのインフラストラクチャ要素によっても測定でき、無線インターフェースを介して利用可能になる。ここで提示される方法のそのような実施形態は、例えば、算出された相対速度の高さおよび/または算出された相対速度範囲の大きさに応じて車両を駆動制御できるため、適切な手段を講じて、車両の事故リスクを制限でき、ひいては全体的な交通安全性を向上させるという利点を提供する。
【0011】
さらに、一実施形態によれば、算出するステップでは、算出された相対速度および/または相対速度範囲を使用して、車両室内状況および/または交通状況を変更するための車両の目標速度を算出でき、特に、算出するステップでは、車両の算出された目標速度が相対速度閾値の外側にあるかどうかがさらに検査され、提供するステップでは、制動するための制御信号を使用して車両を駆動制御することにより、車両の走行方法が変更される。走行方法は、例えば、運転者または運転者支援システムまたは操縦システムが車両を操縦する個々の様式に関連付けることができる。このために、例えば走行中の運転者のシート位置および/または姿勢を考慮することができる。したがって、ここに提示される方法のそのような実施形態は、例えば車両の速度を低下させることによって車両の走行方法を変更することにより、車両の事故リスクまたは事故の危険性を低減でき、ひいては全体的な交通安全を向上できるという利点を提供する。
【0012】
また、一実施形態によれば、算出するステップにおいて、車両の進行方向で車両に対して右および/または左車線を走行する車両の相対速度および/または相対速度範囲を算出することができ、算出するステップは、右および/または左車線を走行する車両の測定された平均速度、および車両の速度を使用して算出され、提供するステップでは、車線変更のための制御信号を使用して車両を駆動制御することによって車両の走行ルートが変更され、特に、車線変更は、車線変更によって車両の目標速度が達成される場合に実施される。ここに提示される方法のそのような実施形態は同様に、例えば車両の車線変更によって車両の走行ルートを変更することにより、車両の事故リスクまたは事故の危険性を低減でき、ひいては全体的な交通安全性を向上できるという利点を提供する。
【0013】
一実施形態によれば、算出するステップにおいて、車両と、車両に後続するおよび/または車両に先行する少なくとも1つの車両との間の間隔が、所定の距離閾値および/もしくは所定の時間閾値よりも大きい場合、ならびに/または、車両の周囲環境センサの到達範囲が所定の視覚範囲閾値よりも大きい場合に、相対速度範囲を増加させることができる。この時、一実施形態によれば、相対速度範囲間の連続的な移行も可能である。ここに提示される方法のそのような実施形態は、ここに提示される方法がフレキシブルに構成され、それによって、車両の事故リスクを制限し、車両乗員の自由を保証し、全体的な交通安全性を向上させるために、車両が車両の周辺環境における多数の様々な交通状況に有利に適応できるという利点を提供する。また、センサ到達範囲が大きい場合、例えば視認範囲が良い場合、早期の行動が可能になり、ひいては潜在的に危険な交通状況を緩和するために他の道路利用者も想定できる。
【0014】
さらなる実施形態では、算出するステップにおいて、相対速度および/または相対速度範囲は、許容範囲を考慮して算出することができ、許容範囲は設定され、および/またはマップから取得され、および/または車両の周辺環境データから生成される。ここで、許容範囲は、1つの車線に対して車両の目標速度を対応付ける時に考慮できる。このようにして、一部の車両は、車両と同じ車線でより低速で走行でき、他の車両はより速く走行できる。よって、車両に先行する車両の速度によって、車両に後続する車両の速度を推定できない。同様に、車両に先行する車両が、低速の車両がいるために場合によって制動し、および/または回避するため、先行する車両が現在の速度を一定に保持できるとは考えられない。ここで提示される方法のそのような実施形態は、複数の車両間で情報および/またはデータを交換するために機能する車両間通信を使用して、車両および/または運転者に、早期に危機的かつ危険な状況を通知し、これにより、算出した許容範囲を低減できるという利点を提供する。また、例えば、車両移動データのマップデータが配置されている外部サーバと通信を行うことも考えられる。マップ内のデータは、例えば他の道路利用者によっても検出され得るが、場合によって、交通監視カメラや速度制御装置などのインフラストラクチャ要素によっても検出され得る。
【0015】
さらに、一実施形態によれば、相対速度範囲を算出するステップにおいて、相対速度範囲は、上方および下方相対速度範囲に分割することができ、下方相対速度範囲は、車両に後続する最も高速の車両の速度を考慮し、上方相対速度範囲は、車両に先行する最も低速の車両を考慮して分割および/または変更されている。算出された相対速度範囲を使用して、車線内の車両の目標速度および/または目標速度範囲は決定できる。ここに提示された実施形態では、この速度範囲は、上記の上方および下方相対速度範囲に分けられる。したがって、ここで提示される方法のそのような実施形態は、車線内の車両の目標速度および/または目標速度範囲を算出する際の、起こり得る不正確性を考慮できるという利点を提供する。また、これにより、車線上の道路利用者の異なる速度を考慮でき、これは事故リスクを制限するために特に有利である。
【0016】
また、さらなる実施形態によれば、特に、車両の進行方向に隣の車線を走行するより低速の車両の速度範囲を考慮して、上方相対速度範囲を選択することができる。これにより、車両が隣接する車線から車両の車線に進入する際に、相対速度がそこでも十分に低く、したがって、車両が進入車両に早期に反応できることを有利に保証することができる。これは、例えば、車両が左車線から中央車線に、他の車両が右車線から中央車線に切り替えたい場合に特に当てはまる。
【0017】
さらに、一実施形態によれば、提供するステップにおいて、制御信号を使用してシート装置、車両室内テーブルおよび/もしくは調整用の車両室内のホルダを駆動制御し、ならびに/または光学的、音響的および/もしくは触覚的警告を車両乗員に提供することにより、室内パラメータを変更でき、特に、車両の走行方法および/または走行ルートの変更が所定の時間内に実施できない場合に、室内パラメータが変更される。相対速度範囲が小さすぎる、および/または交通量が多すぎることから、例えば車両の速度低減による走行方法の変更、および/または、例えば車両の車線変更による走行ルートの変更が実施できない場合は、車両の室内パラメータが変更される。このようにして、例えば、車両のシート装置を自動的に調整することができ、および/またはシート装置の調整を中断することができる。さらに、情報および/もしくは警告を車両乗員に出力し、ならびに/または車両乗員に、状況によって走行タスクを自分で引き継ぐよう要求することもできる。しかしながら、乗員が自動走行事象に関わるや否や、または車両の室内が車両乗員によって所望されるものとは異なるように変更された場合、これは、例えば、車両の走行方法の適合として車両乗員から受け入れられづらいと考えられる。ここに提示される方法のそのような実施形態は、車両乗員に可能な限りの自由と快適性を保証するために、可能な限り長期間にわたって安全面を維持しながら、車両の速度、ひいては車両の走行方法が変更されるという利点を提供する。
【0018】
最後に、一実施形態によれば、認識するステップおよび/または提供するステップは、車両の外部演算装置および/または車両に搭載された演算装置で実施することができ、特に、認識するステップおよび/または提供するステップは繰り返し実施される。ここに提示される方法のそのような実施形態は、例えば、車両の外部演算装置におけるデータの処理が、車両自体におけるより少ない計算の必要性を意味し、それに関連するより少ないエネルギー消費量、または他の機能のためにリソースの使用を可能にするという利点を提供する。さらに、外部演算装置は、車載コンピュータよりも大きな計算能力を有することができる。
【0019】
また、ここで提示される方法は、ここに提示される方法の変形例のステップを、対応する装置で実施、駆動制御または実現するように構成された制御機器を生成する。制御機器の形態の本発明のこの実施形態変形例によって、本発明が基礎とする課題を迅速かつ効率的に解決できる。
【0020】
このために、制御機器は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの演算装置と、信号またはデータを保存するための少なくとも1つのメモリユニットと、センサからセンサ信号を読み込むための、またはアクチュエータに制御信号を出力するための、センサまたはアクチュエータへの少なくとも1つのインターフェースと、および/または、通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み込むための、もしくは出力するための少なくとも1つの通信インターフェースとを有する。演算装置は、例えば、信号プロセッサ、マイクロコントローラなどとすることができ、メモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROMまたは磁気メモリユニットとすることができる。通信インターフェースは、無線および/または有線でデータを読み込むか、出力するように構成でき、有線でデータを読み込むか、または出力できる通信インターフェースは、対応するデータ伝送線から、例えば電気的または光学的にこのデータを読み込むか、対応するデータ伝送線に出力できる。
【0021】
本明細書では、制御機器とは、センサ信号を処理し、それに応じて制御信号および/またはデータ信号を出力する電気装置であると理解できる。制御機器は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって構成できるインターフェースを有することができる。ハードウェアによる構成の場合、インターフェースは、例えば、制御機器の様々な機能を含む、いわゆるシステムASICの一部とすることができる。しかしながら、インターフェースが個別の集積回路であるか、または少なくとも部分的に別々の構成要素からなることも可能である。ソフトウェアによる構成の場合、インターフェースは、他のソフトウェアモジュールに加えて、例えばマイクロコントローラ上に存在するソフトウェアモジュールとすることができる。
【0022】
有利な実施形態では、速度を変更するために、および/または走行ルートを変更するために、および/または車両の室内パラメータを変更するために、制御機器によって車両の駆動制御が行われる。このために、制御機器は、例えば、入力信号またはセンサ信号にアクセスできる。駆動制御は、例えば車両を加速するためのモーター制御、または車両を制動するためのブレーキアクチュエータなどのアクチュエータを介して行われる。代替的または追加的に、走行ルートまたは走行軌道を変更するためのステアリングアクチュエータ、または車両乗員のシート位置を調整するためのシート調整アクチュエータも駆動制御することができる。
【0023】
特に、プログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置で実施される場合に、半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光学メモリなどの機械可読キャリアまたはメモリ媒体に保存でき、上記の実施形態の1つによる方法のステップを実施、実現、および/または駆動制御するために使用されるコンピュータプログラム製品またはプログラムコードを含むコンピュータプログラムも有利である。
【0024】
ここに提示される方法の実施例は、図面に示され、以下の説明で詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例にかかる、事故リスクを制限するために車両を駆動制御するための制御機器のブロック図を示す。
図2】実施例にかかる、事故リスクを制限するための方法を使用するための交通状況の概略図を示す。
図3】実施例にかかる、高速道路上での走行する平均車両速度の概略図を示す。
図4】実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両の速度変化の概略図を示す。
図5】実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両の速度変化の概略図を示す。
図6】実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両の速度変化の概略図を示す。
図7】実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両の車線変更の概略図を示す。
図8】実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両の車線変更の概略図を示す。
図9】実施例にかかる、高速道路上での車両の予想される相対速度範囲の概略図を示す。
図10】実施例にかかる、事故リスクを制限するための方法の実施例のフローチャートを示す。
図11】実施例にかかる、事故リスクを制限するための方法の実施例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の有利な実施例の以下の説明では、異なる図に示され、同様に作用する要素に対して同一または同様の符号が使用され、これらの要素の繰り返しの説明は省略される。
図1は、実施例にかかる、事故リスクを制限するために車両105を駆動制御するための制御機器100のブロック図を示す。制御機器100は、ここでは一例として、車両105に配置されている。追加的または代替的に、制御機器100は車両外部の演算装置110上に配置することもできる。制御機器100は、例えば、センサ信号を処理し、それに応じて制御信号および/またはデータ信号を出力する電気機器であると理解できる。一実施例によれば、車両105は、車両105の環境を光学的および感覚的に検出するためのカメラユニット115と、車両105の室内状況を光学的および感覚的に検出するための室内カメラユニット120とを有する。車両105はまた、少なくとも2つの周辺環境センサ125、130を有し、実施例にかかる周辺環境センサ125、130は、特に他の道路利用者の速度を検出するために機能するそれぞれレーダセンサおよび/またはライダセンサである。最後に、実施例にかかる車両105は、車両乗員のための少なくとも1つのシート装置135を有する。
【0027】
一実施例によれば、制御機器100は、認識ユニット140と、算出ユニット143と、提供ユニット146とを有する。一実施例によれば、認識ユニット140は、車両105の変化した室内状況および/または車両105の周辺環境における変化した交通状況に起因する増加した事故リスクを認識するように構成されている。ここで、車両105の変更された室内状況は、例えば、室内カメラユニット1からの信号149、およびシート装置135の変更されたシート設定を表すシート装置135からの信号152を使用して認識される。車両105の周辺環境における変化した交通状況は、例えば、車両105のカメラユニット115からの信号155を使用して認識できる。追加的にまたは代替的に、車両105の周辺環境における変化した交通状況に対する情報158は、車両外部の演算装置115によって、および/または認識ユニット140への車両間通信インターフェースを介して提供できる。
【0028】
一実施例によれば、算出ユニット143は、認識ユニット140によって提供される室内状況信号161、ならびに/または交通状況信号164、車両105と、車両105に先行する少なくとも1つおよび/もしくは車両105に後続する少なくとも1つの車両との間の相対速度、ならびに/または相対速度範囲に応答して、先行するおよび/または後続する車両の測定速度と、車両105の速度とを使用して算出するように構成されている。ここで、車両105の周辺環境センサ125、130は、車両105に先行するおよび/または後続する少なくとも1つの車両の速度を測定し、この情報をそれぞれ速度信号167の形態で算出ユニット143に提供するように構成されている。追加的にまたは代替的に、車両105に先行するおよび/または後続する車両の速度は、車両間通信インターフェースを使用して、および/または速度情報170によって、車両外部の演算装置110から算出ユニット143に提供することができる。
【0029】
また、算出ユニット143は、算出された相対速度および/または相対速度範囲を使用して、車両105の目標速度を算出するように構成されている。さらに、算出ユニット143は、例えば、算出された車両105の目標速度が相対速度閾値の外側にあるかどうかを検査するように構成されている。
【0030】
一実施例によれば、算出ユニット143は、追加的または代替的に、車両105の進行方向の右および/または左車線を走行する車両の相対速度、および/または相対速度範囲を算出するように構成されている。これは、例えば、車両105が高速道路および/または多車線道路を走行する場合に該当する。ここで、算出ユニット143は、例えば、右および/または左車線を走行する車両の測定された平均速度および車両105の速度を使用して、車両105の進行方向における右および/または左車線を走行する車両の相対速度および/または相対速度範囲を算出するように構成されている。ここで、少なくとも1つの車両の平均速度は、例えば、車両105の周辺環境センサ125、130を使用して測定することができ、それぞれは速度信号167によって算出ユニット143に提供できる。
【0031】
一実施例によれば、提供ユニット146は、車両105の走行方法、および/または走行ルート、および/または室内パラメータを、車両105の室内状況、および/または車両105の周辺環境における交通状況の認識された変化に応答して変更することによって、事故リスクを制限するために車両105を駆動制御するための制御信号173を出力するように構成されている。また、この時提供ユニット146は、算出ユニット143によって算出され、提供ユニット146に提供された相対速度176、および/または算出され、提供ユニット146に提供された相対速度範囲179に応じて制御信号173を提供するように構成されている。一実施例によれば、車両105が制御信号173を使用して制動するよう駆動制御されることで、まず車両105の走行方法を、制御信号173を使用して変更できる。以下、制御信号173を使用して車両105が車線変更のために駆動制御されることで、車両105の走行ルートを、制御信号173を使用して変更することができ、特に、車両105の目標速度が車線変更によって達成することができる時に、車線変更は実施される。最後に、例えば、制御信号173を使用して、シート装置135または車両室内テーブルなどの図示されていない他の室内装置、および/もしくは車両105室内のホルダが、調整のために駆動制御され、ならびに/または光学的、音響的および/もしくは触覚的警告が、警告信号182の形態で車両乗員へ提供されることによって、車両105の室内パラメータを変更できる。この時、提供ユニット146は、特に、車両105の走行方法および/または走行ルートの変更が所定の時間内に実施できない場合に、室内パラメータを変更するように構成されている。
【0032】
図2は、一実施例にかかる、事故リスクを制限するための方法を使用するための交通状況の概略図を示す。例えば、図2には高速道路205が示され、高速道路205は、左車線210、中央車線215、および右車線220を有する。車両の属する速度は、図2の下部に、それぞれ概略的なタコメータ223上に示されている。ここで、車線210、215、220が高速道路205上で左側に配置されているほど、車両がこの車線210、215、220を走行する速度が高くなる。一実施例によれば、車両105は中央車線215を走行する。ここに示す交通状況では、車両が右走行ルールで走行する、すなわち、左車線210の車両が中央車線215の車両よりも速く走行しており、中央車線215の車両が右車線220の車両よりも速く走行することがわかる。左車線210を走行する車両の平均速度は、例えば、120km/hである。中央車線215を走行する車両の平均速度は、例えば、90km/hである。右車線220を走行する車両の平均速度は、例えば、70km/hである。実施例に応じて、右車線220は、図2に示されるように、車両によって完全に占有されるか、または(明確に示されていない)隙間を有してもよい。
【0033】
図示された交通状況では、車両105は、車両105の進行方向に先行する車両225から一定間隔で、90km/hの平均速度で移動する。車両105の速度が、例えば車両乗員の行動によって車両105の室内状況が変化したことに起因して低下した場合、先行する車両225に対する間隔を得るために、これによる結果として、車両105の相対速度が上昇させる。車両105と先行する車両225との間の間隔が大きすぎる場合、車両105の進行方向の右車線220および/または左車線210を走行する別の車両230または235が割り込んで、先行する車両225に対する車両105の間隔が突然小さくなるというリスクがある。すなわち、他の道路利用者の行動によっては、単に車両105を先行する車両225から離しておくだけでは不十分であることを意味する。したがって、車両105の速度の全体的な低減は必要であるが、相対速度の増加、およびそれに伴う車両105の潜在的な事故の深刻さにつながる可能性がある。
【0034】
図3は、一実施例にかかる高速道路205上の走行する平均車両速度の概略図を示す。これは、増加速度を表す図3の横軸に示されている矢印によって示されている。Lはここで高速道路205の左車線210の速度を表し、Mはここで中央車線215の速度を表し、Rはここで右車線220の速度を表す。これらに属する車両の走行する平均速度は、図3の右側に、それぞれ概略図なタコメータ223上に示されている。一実施例によれば、暗いバーは、中央車線215を走行する車両105の速度を表す(図3およびさらなる続く図面では速度が示されているが、より見やすくするために、図2の車両には符号のみが使用されている)。一実施例によれば、明るいバーはそれぞれ、中央車線215で車両105に先行する車両225、左車線210を走行する、少なくとも車両105を追い越す車両235、および右車線220を走行する、少なくとも車両230の、少なくとも1つの速度を表す。左車線210を走行する車両235の平均速度は、例えば、120km/hである。中央車線215を走行する車両105、225の平均速度は、例えば、90km/hである。右車線220を走行する車両230の平均速度は、例えば、70km/hである。ここで、車両105は、例えば、車両205に先行する車両225と同じ速度を有する。
【0035】
図4は、実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両105の速度変化の概略図を示す。Lはここで、高速道路205の左車線210の速度を表し、Mはここで中央車線215の速度を表し、Rはここで右車線220の速度を表す。一実施例によれば、暗いバーは中央車線215を走行する車両105の速度を表す。一実施例によれば、明るいバーはそれぞれ、中央車線215で車両105に先行する車両225、左車線210を走行する少なくとも車両105を追い越す車両235、および右車線220を走行する、少なくとも車両230の少なくとも1つの速度を表す。
【0036】
車両105の乗員が室内で行動する場合、すなわち、例えば、車両105のシート装置を調整し、ベルトを外し、および/または車両105の進行方向の反対方向に回転すると、車両105の室内状況が変化し、車両105の潜在的な事故リスクが増加する。この場合、車両105の運転者支援システムは、車両105の速度を変更することにより、潜在的な事故リスクを制限しようとする。しかしながら、速度を変えることにより、この場合は速度を低下させることにより、特に、中央車線215で車両105に先行する車両225、および、例えば図示されていない後続する道路利用者に対して、車両105の相対速度が増加する。したがって、先行する車両225に対する相対速度は、(記載されているように)増加または減少するが、例えば、車線内の他の道路利用者に対する相対速度も増加させることができる。例えば、車両105が激しくブレーキをかける場合、速度変化によって、静止物体に起こり得る衝撃エネルギーを予防的に減少させるか、または起こり得る事故状況に反応するための時間が得られる。すなわち、先行する車両225に対して状況が良くなる(すなわち、事故リスクの低減が達成される)。
【0037】
後続する交通に対する速度変化は、まさに反対のことをもたらす。ブレーキによって、相対速度が上がる。図2に示されていない後続する道路利用者がブレーキに気付かない場合、事故が発生する可能性がある。ブレーキによって、後続する車両に対する相対速度は、ひいては衝突の可能性が増加する。
【0038】
ここで説明する方法は、前方への事故リスクを制限し、同時に後方への事故リスクを増加させないために、速度をどれだけ低下できるかを検討する必要がある状況をまさに扱う。ここで、本明細書では、車線を一定速度で走行する、すなわち、先行する車両225と後続する車両とは同じ速度であることを前提とする。
【0039】
図4に、この状況は左にずれた速度によって、すなわち、車両105の速度が低減されることが示されている。中央車線215で車両105に先行する車両225は、車両105よりも高速になる。矢印305は、車両105の速度として正しく指定されている2つの左右のバーが同じ車両に属しているが、1つは減速305前、1つは減速305後であることを示す。
【0040】
図5は、実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両105の速度変化の概略図を示す。Lはここで高速道路205の左車線210を表し、Mはここで中央車線215を表し、Rはここで右車線220を表す。一実施例によれば、暗いバーは、中央車線215を走行する車両105の速度を表す。明るいバー225は、極端な場合には、車線上の全ての車両の速度を表すこともできる(その速度が中央車線215の暗いバー105によって印されている自車両を除く)。一実施例によれば、明るいバーは、中央車線215で車両105に先行する少なくとも車両225、左車線210で走行する、車両105を追い越す少なくとも車両235、および右車線220を走行する、少なくとも車両230を表す。先行する車両225が正確にこの速度を有するという特別な場合を有する、明るいバー225が全ての車両の速度を表す変形例も考えられる。図2には示されていない後続する道路利用者も、明るいバーの速度を有するであろう。
【0041】
車両225、230、235の周りの長方形の範囲405、410、415はそれぞれ、車両105と車両225、230、235との間の算出された相対速度範囲を表しており、例えば、車両105と車両105に先行する車両225(および、例えば車両235、225、および230を含む、車線210、215、および220の他の車両)との間の相対速度範囲405が重要である。範囲405(またはバー405)は、相対速度が許容範囲内にある許容速度範囲を示す。ここで、図5では、車両105の相対速度が速すぎて、これにより、車両105の事故の危険性が高まるという問題が、左にずれた速度マーキング305によって示されている。また、後続する道路利用者(図示せず)に対する相対速度も関係している。保護するためには、速度を低下させ、先行する車両(および場合によっては、割り込んだ低速車両)に対する相対速度を改善させるが、特に、後続する交通または後続する車両に対する相対速度は悪化する。
【0042】
図6は、実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両105の速度変化の概略図を示す。Lはここで高速道路205の左車線210を表し、Mはここで中央車線215を表し、Rはここで右車線220を表す。一実施例によれば、暗いバーは、中央車線215を走行する車両105を表す。一実施例によれば、明るいバーは、中央車線215を走行する、車両105に先行する少なくとも車両225、左車線210を走行する、車両105を追い越す少なくとも車両235、および右車線220を走行する、少なくとも車両230を表す。車両225、230、235の周りの長方形の範囲405、410、415はそれぞれ、車両105と車両225、230、235との間の算出された相対速度範囲を表しており、特に、例えば車両105と車両105に先行する車両225との間の相対速度範囲405は重要である。
【0043】
車両105が速度を変化した室内状況に適合させた場合、車両105の相対速度が高くなりすぎて、事故の危険性が高まる。したがって、車両105と車両105に先行する車両225との間の算出された相対速度範囲405を使用して、車両105の目標速度が事故リスクを制限するために算出され、また、車両105の目標速度が相対速度閾値範囲外にあるかどうか、その後車両105がこの速度まで最大に制動されたかどうかが検査される。この速度低下は、左にずれた速度マーキング305によって示されている。ここに示す例では、車両105の目標速度がまだ相対速度範囲405内にあるため、車両105の相対速度は許容可能である。
【0044】
また、図6は、例えば、車両105の室内状況の重大な変化により、車両105の目標速度が非常に大きく変更または低減され、車両105の目標速度が相対速度閾値範囲外になり、車両105に後続する車両との事故が高い確率で発生する、中央車線215の代替位置(斜線)にある車両105を示す。したがって、車両105の速度変化は実施不可能および/または推奨されないので、事故リスクを制限するために、車両105の走行ルートおよび/または車両105の室内状況のいずれかを変更するべきである。
【0045】
図7は、実施例にかかる、事故リスクを制限するための車両105の車線変更の概略図を示す。Lはここで高速道路205の左車線210を表し、Mはここで中央車線215を表し、Rはここでの右車線220を表す。一実施例によれば、暗いバーは、中央車線215を走行する車両105を表す。一実施例によれば、明るいバーは、中央車線215で車両105に先行する少なくとも車両225、左車線210で走行する、車両105を追い越す少なくとも車両235、および右車線220を走行する、少なくとも車両230を表す。車両225、230、および235の周りの長方形の範囲405、410、および415はそれぞれ、車両105と車両225、230、および235との間の算出された相対速度範囲を表す。ここで、長方形の範囲は、車両105が関連する車線(L、M、R)を移動でき、事故リスクが許容範囲内にとどまる速度範囲を表す。
【0046】
車両105の走行方法の変更、例えば図4、5および6に示されているような速度の変更を実施できない場合、事故の危険性を限定するために車両105の速度を大幅に低下させる必要があるため、車両105はその走行ルートを変更し、例えば車線変更を実施する。ここで、車両105は、車線変更、好ましくは右車線220への変更が可能になるまで、中央車線215でその速度を減少させる。その結果、車両105は、車線変更の結果として許容可能な相対速度でその速度を低下させることができ、これにより、車両105の事故の危険性を低下させることができる。
【0047】
車両105の車線を中央車線215から左車線210に変更することも、ここでは相対速度の面から可能であるが、車両105の速度の増加は事故の危険性を低減しない。所定の時間窓内で車線を変更できない場合、例えば、車両105のシート装置を調整することにより、および/または間接的に少なくとも1人の車両乗員に警告を出力することにより、車両105の室内状況を変更する必要がある。
【0048】
図8は、実施例による事故リスクを制限するための車両105の車線変更の概略図を示す。Lはここで高速道路205の左車線210を表し、Mはここで中央車線215を表し、Rはここで右車線220を表す。一実施例によれば、暗いバーは、中央車線215を走行する車両105を表す。一実施例によれば、明るいバーは、中央車線215で車両105に先行する少なくとも車両225、左車線210で走行する、車両105を追い越す少なくとも車両235、および右車線220を走行する、少なくとも車両230を表す。車両225、230、および235の周りの長方形範囲405、410、および415はそれぞれ、車両105と車両225、230、および235との間の算出された相対速度範囲を表す。
【0049】
一実施例によれば、車両105から車両105に先行する車両225および/または車両105に後続する車両までの間隔、ならびに高速道路205上の車両の全体的な存在を評価し、ここに提示される事故リスクを制限するための方法を考慮できる。例えば、車両105と、場合によっては後続する車両との間の間隔が、中央車線215および右車線220において、所定の距離閾値および/または所定の時間閾値よりも大きい場合、および/または、車両105の少なくとも1つの周辺環境センサの到達範囲が所定の視認範囲閾値よりも大きく、少なくとも1つの周辺環境センサの所定の視認範囲で後続する車両が検出されない場合、および/または、他の道路利用者の視認範囲が所定の視認範囲閾値よりも大きいと想定できる場合、車両105の車線変更が可能になる。例えば、他の道路利用者の視認範囲は、センサの視認範囲を評価することによって、低速の自車両に反応するのに十分な時間があるかどうかを査定することによって推定できる。車両105が中央車線215および右車線220上の後続する車両から大きな間隔がある場合、および/または車両105の少なくとも1つの周辺環境センサが高い視野を有する場合、拡張された相対速度範囲805を使用できる。視野が小さく、および/または車両105が中央車線215および右車線220上の後続する車両から短い間隔にある場合、それぞれのより小さな相対速度範囲405、410が使用される。
【0050】
図9は、実施例にかかる高速道路上の車両の予想される相対速度範囲の概略図を示す。ここで、図9において、速度決定の精度に応じて車両の相対速度範囲405、410、415を示す。Lはここで高速道路205の左車線210を表し、Mはここでは中央車線215を表し、Rはここで右車線220を表す。速度範囲は、車両105が許容できる事故リスクで取ることができる速度を表す。
【0051】
例えば、同じ車線の非常に高速の車両と非常に低速の車両の場合、低速の車両だけが走行する場合よりも、低速の車両に許可される相対速度(=最小速度)が高くなり得る。
一実施例によれば、左車線210内の暗いバー905は、例えば、左車線210を走行する車両が移動している平均速度範囲を表す。一実施例によれば、中央車線215上の暗いバー910は、例えば、中央車線215を走行する車両が移動する平均速度範囲を表す。ここで、速度範囲905は速度範囲910より大きいことがわかる。一実施例によれば、右車線220上の暗いバー915は、例えば、右車線220を走行する車両が移動する平均速度範囲を表す。したがって、図9では、右車線220の車両は、ほぼ同じ速度で走行する。ここで、速度変動を考慮に入れた相対速度範囲410は、図7の相対速度範囲410にほぼ対応する。
【0052】
中央車線215において、車両の速度は変動し、これはより広い速度範囲910で見ることができる。速度範囲905、910、915は、上方および下方相対速度範囲を使用して算出でき、下方相対速度範囲は、車両105の後続する最速車両の速度を考慮して適合され、上方相対速度範囲は、車両105の先行する最も低速の車両を考慮して適合される。これは、速度が変動した場合に事故の危険性を相対速度から一定に保つことができるようにするために、中央車線215では右車線220よりも狭い幅を有する。左車線210の速度範囲905は、図10では非常に大きい。左側の車線210の高速車両は適時に停止する必要があり、同時に低速走行し、突然出現する車両に反応できるはずなので、結果として生じる速度範囲905は車線の平均速度範囲905よりも小さくなる。これは、斜線の領域で示される。最高速度に制動する時は、後続する車両の速度を考慮に入れる必要がある。
【0053】
図10は、実施例にかかる事故リスクを制限するための方法のフローチャートを示す。
一実施例によれば、方法の第1のプロセスステップ1010において、例えば車両乗員の行動の変化によって、および/または例えば緊急の渋滞の危険性によって変化した交通状況による、車両の室内状況の変化による事故リスクまたは事故の危険性の増大が、車両の周辺環境で認識される。
【0054】
後続のプロセスステップ1020では、車両の進行方向で車両に先行するおよび/または後続する少なくとも1つのさらなる車両の速度が算出される。追加的にまたは代替的に、車両に対して左および/または右車線を走行する、少なくとも1つのさらなる車両の速度も算出される。時間的に並行して実行されるプロセスステップ1030では、事故リスクを制限するために、車両がブレーキをかけるように制御されるべきである、車両の目標速度が算出される。
【0055】
車両の進行方向に車両に先行するおよび/もしくは後続する少なくとも1つのさらなる車両、ならびに/または車両に対して左および/もしくは右車線を走行する、少なくとも1つのさらなる車両のプロセスステップ1020で測定された速度を使用し、および、車両の現在の速度を使用して、プロセスステップ1040で、車両と、少なくとも1つの先行する車両と、ならびに/または少なくとも1つの後続する車両と、ならびに/または車両に対して左および/もしくは右車線を走行する少なくともさらなる車両との間の相対速度および/または相対速度範囲が算出される。
【0056】
第1の決定ステップ1050では、車両の目標速度が相対速度閾値を下回っているかどうか?という質問がされる。はいの場合、プロセスステップ1060が続き、車両の事故リスクが制限されるように車両の速度が変更される。これは理想的なケースである。速度差が小さい場合(つまり、相対速度が低い場合)、速度を直接適合できる。
【0057】
いいえの場合、決定ステップ1070が続き、ここで、車両の目標速度または車両の事故リスクの制限が車両の車線を変更することによって達成できるかどうか?という質問がされる。はいの場合、プロセスステップ1080が続き、そこで車線変更が行われ、その後、車両の速度が変更される。決定ステップ1070がいいえで返答される場合、プロセスステップ1090が続き、ここでは車両の室内パラメータが、車両の事故リスクが制限されるように変更される。
【0058】
プロセスステップ1090の実施後、一実施形態によれば、プロセスステップ1010に戻ることができる。
図11は、1つの実施例にかかる、事故リスクを制限するための方法1100の実施例のフローチャートを示す。方法1100は、ここでは、例えば、図1からの事故リスクを制限するための制御機器上で実施できる。
【0059】
方法1100のステップ1110では、車両の室内状況の変化および/または車両の周辺環境における交通状況の変化に起因する事故リスクの増加が認識される。以下において、方法1100はステップ1120を有し、そこでは、車両と先行するおよび/もしくは後続する車両と、ならびに/または車両の進行方向で右および/もしくは左車線を走行する車両との間の相対速度および/または相対速度範囲が、先行する、および/または後続する、および/または車両の進行方向で右および/または左車線を走行する車両の測定された速度ならびに車両の速度を使用して算出される。最後に、方法1100は、車両の周辺環境における車両の室内状況および/または交通状況の検出された変化に応答して、車両の走行方法および/または走行ルートおよび/または車両の室内パラメータを変更して、事故リスクを制限するために、車両を駆動制御するための制御信号が提供されるステップ1130を有する。
【0060】
一実施例によれば、方法1100のステップ1110および/またはステップ1130は繰り返し実施される。
実施例が第1の特徴と第2の特徴との間の「および/または」の連結を含む場合、これは、一実施形態によると、実施例が第1の特徴および第2の特徴の両方を有し、さらなる実施形態によると、第1の特徴のみ、または第2の特徴のみを有するように読まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11