(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】警報システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20241029BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20241029BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20241029BHJP
H04N 21/436 20110101ALI20241029BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G08B25/00 520C
G08B27/00 Z
G08B21/10
H04N21/436
H04B1/16 M
(21)【出願番号】P 2020062384
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028569(JP,A)
【文献】特開2011-216927(JP,A)
【文献】特開2006-279523(JP,A)
【文献】特開2009-129348(JP,A)
【文献】特開2004-023591(JP,A)
【文献】特開2010-081087(JP,A)
【文献】米国特許第06204761(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第101567118(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H04B 1/06
1/16
H04N 7/10
7/14- 7/173
7/20- 7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の緊急放送信号を受信した場合、緊急報知を行わせるための信号であって緊急報知の内容を示す緊急報知情報を含む緊急報知信号を送信する受信装置と、
前記緊急報知信号に基づいて緊急報知を行う報知装置と、
を備え、
前記受信装置は、
前記緊急放送信号
の開始信号を受信した場合に、前記緊急報知情報として予め記憶された緊急放送告知コンテンツを読み出して前記報知装置に転送して
繰り返し再生させ、
前記緊急放送告知コンテンツの再生中に前記緊急放送信号の終了信号を受信した場合、当該再生を終了させ、
前記開始信号を受信せずに前記終了信号を受信した場合
は、予め記憶された試験用告知コンテンツを読み出して前記報知装置に転送して再生させることを特徴とする警報システム。
【請求項2】
請求項1記載の警報システム
であって、
前記受信装置は、前記報知装置が報知を行う状態となるように前記報知装置を制御する制御信号を送信することを特徴とする警報システム。
【請求項3】
請求項2記載の警報システム
であって、
前記報知装置
は、前記緊急報知信号とは異なる信号に基づき報知を行っている
状態で、前記受信装置から
前記制御信号を受信した
場合は、前記緊急報知信号に基づく報知を
行うことを特徴とする警報システム。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の警報システム
であって、
前記受信装置は
、
他の装置から受信した信号に基づく信号を前記報知装置に送信可能に構成され、
前記緊急放送信号を受信した場合に、前記報知装置に送信する信号を他の装置から受信した信号から前記緊急報知信号に変更することを特徴とする警報システム。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の警報システム
であって、
前記報知装置
は、少なくとも2以上の信号の入力が可能であ
り、出力する信号を切り替え可能な入力切替器を介して前記受信装置が接続されたことを特徴とする警報システム。
【請求項6】
請求項1記載の警報システム
であって、
前記受信装置は、前記
緊急放送告知コンテンツとして予め記憶された画像情報と音声情報を読み出して前記報知装置に転送し、
前記報知装置は、受信した前記画像情報を画面表示させると共に受信した前記音声情報により音声出力することを特徴とする警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震や津波などの緊急放送をテレビのHDMI(登録商標)端子を使用して出力させる警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビ、FMラジオ又はAMラジオにより受信する緊急放送には、緊急地震速報(EEW:Earthquake Early Warning)と緊急警報放送(EWS:Emergency Warning System)がある。
【0003】
緊急地震速報は、一般向けの場合、推定最大震度5弱以上で気象庁から発表される警報であり、強い揺れが予想される地域に対し、地震動により重大な災害が起こるおそれのある旨を警告する放送である。緊急地震速報は例えば「(チャイム音2回)緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。・・・・・」といった放送を繰り返す。
【0004】
緊急警報放送は、地震などの対規模災害が発生した場合や、津波警報が発表された場合などに行われる警報であり、待機状態にあるテレビやラジオのスイッチを自動的にオンさせる。緊急警報放送の開始と終了には、第1種開始信号、第2種開始信号及び終了信号を使用する。
【0005】
第1種開始信号は、地震警戒宣言が発表された場合、または自治体の知事や長から避難指示が発動された場合などに送信され、受信機を自動的にオンさせる。また、第2種開始信号は、津波警報が発表された場合にのみ送信され、同じく受信機を自動的にオンさせる。
【0006】
終了信号は第1種または第2種開始信号の送信から所定時間後に送信され、受信機を自動的にオフさせる。また受信機の動作を確認するために試験信号を例えば月1回所定の時刻、例えば毎月1日の正午前に送信しており、この試験信号は終了信号と同一であり、終了信号のみを受信した場合は受信機が正常に動作するかの確認動作を行わせる。
【0007】
このような緊急放送に対応し、テレビでは緊急警報放送の受信モードを予め設定しておくことで、電源スイッチをオフしても、電源供給状態にあれば、緊急警報放送を受信した場合に自動的に電源をオンして視聴できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-150615号公報
【文献】特開2015-038772号公報
【文献】特開2017-041265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のテレビにあっては、緊急警報放送を受信するためには、緊急警報放送の自動受信機能を備えたテレビが必要であり、全てのテレビに緊急警報放送の自動受信機能が設けられているとは云えず、また、緊急警報放送の自動受信機能が設けられていても、利用者が自動受信機能を有効とするモード設定が必要であり、テレビをつけていないと、緊急警報放送を確実に受信することができない状況にある。
【0010】
また、緊急地震速報については、テレビに自動受信機能を設けたものは市販されておらず、テレビをつけていないと、緊急地震速報を受信することができず、携帯電話サービスで送られている緊急地震速報の警報音を聞いてテレビをつけるといった方法がとられている。
【0011】
本発明は、一般家庭のほとんど全てに設置されているHDMI(登録商標)規格に従ったテレビ装置等を報知装置として連携することにより緊急警報放送や緊急地震速報を含む緊急放送の告知機能を強化して利用者による迅速且つ適切な対応を可能とする警報システムを提供することを目的とする。なお、HDMIは登録商標であるが、以下の説明では登録商標の表記は省略している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(警報システム)
本発明は警報システムであって、
所定の緊急放送信号を受信した場合、緊急報知を行わせるための信号であって緊急報知の内容を示す緊急報知情報を含む緊急報知信号を送信する受信装置と、
緊急報知信号に基づいて緊急報知を行う報知装置(例えばテレビ装置)と、
を備え、
受信装置は、
緊急放送信号の開始信号を受信した場合に、緊急報知情報として予め記憶された緊急放送告知コンテンツを読み出して報知装置に転送して繰り返し再生させ、
緊急放送告知コンテンツの再生中に緊急放送信号の終了信号を受信した場合、当該再生を終了させ、
開始信号を受信せずに前記終了信号を受信した場合は、予め記憶された試験用告知コンテンツを読み出して報知装置に転送して再生させることを特徴とする。
【0013】
(報知装置の状態制御)
受信装置は、報知装置が報知を行う状態となるように報知装置を制御する制御信号を送信する。
【0014】
(報知装置の経路制御)
報知装置は、緊急報知信号とは異なる信号に基づき報知を行っている状態で、受信装置から制御信号を受信した場合は、緊急報知信号に基づく報知を行う。
【0015】
(他の装置からの入力を受け付け、緊急時に出力を切り替える受信装置)
受信装置(例えば緊急放送アダプタ)は、他の装置から受信した信号に基づく信号を報知装置(例えばテレビ装置)に送信可能に構成され、
緊急放送信号を受信した場合に、報知装置に送信する信号を他の装置から受信した信号から緊急報知信号に変更する。
【0016】
(入力切替器を介した接続)
報知装置は、少なくとも2以上の信号の入力が可能であり、出力する信号を切り替え可能な入力切替器を介して受信装置が接続される。
【0017】
(画面と音声による報知)
受信装置は、緊急放送告知コンテンツとして予め記憶された画像情報と音声情報を読み出して報知装置に転送し、
報知装置は、受信した画像情報を画面表示させると共に受信した音声情報により音声出力する。
【発明の効果】
【0018】
(基本的な効果)
本発明は、警報システムであって、所定の緊急放送信号を受信した場合、緊急報知を行わせるための信号であって緊急報知の内容を示す緊急報知情報を含む緊急報知信号を送信する受信装置と、緊急報知信号に基づいて緊急報知を行う報知装置(例えばテレビ装置)とが設けられたため、受信装置で緊急放送の受信を判別した場合に、受信装置に予め記憶した緊急報知情報を読み出してテレビ装置等の報知装置の画面に緊急報知の静止画像や動画画像で表示すると共に音声メッセージがスピーカから出力されることとなり、緊急警報放送の受信機能を持たないテレビ装置や緊急警報放送の自動受信機能があっても自動受信の設定が行われていないテレビ装置であっても、緊急警報放送や緊急地震速報を確実に報知し、津波警報の報知に対しては迅速な避難を可能とし、緊急地震速報の報知に対しては安全な場所に身を隠して揺れに備えるといった行動を取ることができる。
【0019】
(報知装置の状態制御による効果)
また、受信装置は、報知装置が報知を行う状態となるように報知装置を制御する制御信号を送信するようにしたため、例えば、テレビ装置等の報知装置の主電源がオンかつ表示および音声出力を行わないスタンバイ状態の場合は表示および音声出力する状態である報知状態とすることで、確実に緊急報知を行うことが可能となる。
【0020】
(報知装置の経路制御による効果)
また、制御信号はさらに、報知装置が自ら受信した信号又は受信装置とは異なる装置から受信した信号に基づき報知を行っている場合は、受信装置から受信した信号に基づく報知を行うように報知装置を制御する、制御信号としたため、受信装置から制御信号を受信した報知装置は、例えば、他の装置から受信した信号の再生中であれば、他の装置の再生を停止して受信装置からの緊急報知情報の受信再生に自動的に切り替わり、この結果、報知装置は緊急報知が行われたときの報知装置の利用状態に関わらず緊急報知の報知動作を優先的に行うことができる。
(他の装置からの入力を受け付け、緊急時に出力を切り替える受信装置の効果)
また、受信装置(例えば緊急放送アダプタ)は、他の装置から受信した信号に基づく信号を報知装置(例えばテレビ装置)に送信可能に構成され、緊急放送信号を受信した場合に、報知装置に送信する信号を他の装置から受信した信号から緊急報知信号に変更するようにしたため、他の装置と報知装置の接続の間に挿入可能な機器とできるため、受信装置からの信号を受信するために報知装置側で入力端子を増やす必要がなくなり、報知装置の入力端子が限られている場合であっても、受信装置を報知装置に接続することが可能となる。
【0021】
(入力切替器を介した接続の効果)
また、報知装置に、少なくとも2以上の信号の入力が可能であって出力する信号を切り替え可能な入力切替器を介して受信装置が接続されるようにしたため、例えば、HDMI規格では、報知装置の記録デバイスの論理アドレスは4番、8番、11番の3アドレスしか割り当てられておらず、受信装置を含めて最大3台までしかプレーヤ装置を報知装置のHDMI端子に接続できず、プレーヤ装置3台に加えてアダプタ1台を接続する場合には、例えば2入力1出力のHDMI切替器の1出力のHDMI端子を報知装置のHDMI端子に接続し、HDMI切替器の2入力の一方のHDMI端子に3台目のプレーヤ装置を接続すると共に切替器の2入力の一方のHDMI端子に受信装置を接続することで、受信装置からの緊急報知情報を、HDMI切替器を介して報知装置に転送して再生することができる。
【0022】
(画面と音声による報知の効果)
また、受信装置は、緊急報知情報として予め記憶された画像情報と音声情報を読み出して報知装置に転送し、報知装置は、受信した画像情報を画面表示させると共に受信した音声情報により音声出力するようにしたため、テレビ装置等の報知装置から緊急報知が画面表示と音声出力により行われ、利用者に緊急報知の内容を確実に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】緊急放送アダプタの機能構成を示したブロック図である。
【
図3】テレビ装置の機能構成を示したブロック図である。
【
図4】テレビ装置、緊急放送アダプタ、プレーヤ装置の物理アドレスの設定を示した説明図である。
【
図5】テレビ装置に表示される緊急警報放送画面を示した説明図である。
【
図6】テレビ装置に表示される緊急地震速報画面を示した説明図である。
【
図7】緊急放送アダプタの制御動作を示したフローチャートである。
【
図8】テレビ装置の制御動作を示したフローチャートである。
【
図9】HDMI切替器を用いた警報システムの概略を示した説明図である。
【
図10】HDMI切替器の機能構成をテレビ装置と共に示したブロック図である。
【
図11】テレビ装置、HDMI切替器、緊急放送アダプタ、プレーヤ装置の物理アドレスの設定を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る警報システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により、この発明が限定されるものではない。
【0025】
[実施の形態の基本的な概念]
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、警報システムに関するものである。
【0026】
本実施の形態の警報システムは、受信装置と報知装置で構成される。
【0027】
受信装置は、緊急放送信号を受信した場合、緊急報知を行わせるための信号であって緊急報知の内容を示す緊急報知情報を含む緊急報知信号を送信するものである。ここで、「緊急放送」とは、地震や台風等の自然災害や紛争等の人的災害等の事態が発生したときに緊急に国民に知らせるための放送であり、テレビ放送、FMラジオ放送及びAMラジオ放送等を含み、一例として、緊急警報放送(EWS)や緊急地震速報(EEW)を含む概念である。また「緊急報知情報」とは、緊急放送に対応した緊急報知の内容を示す情報であり、画像情報と音声情報を含む情報コンテンツを含む概念であり、更に、受信した緊急放送の放送内容そのものを含む概念である。
【0028】
報知装置は、受信装置が伝送路を介して受信端子に接続され、受信装置から送信された緊急報知信号を受信して再生するものであり、具体的には、画像と音声を再生するテレビ装置を含む概念である。
【0029】
また、受信装置は、緊急放送信号を受信した場合に、例えばワンタッチプレイの制御信号をテレビ装置等の報知装置に送信し、テレビ装置等の報知装置は、受信装置が伝送路を介して受信端子に接続され、受信装置から送信された緊急報知情報を受信して再生するものである。
【0030】
ここで「ワンタッチプレイの制御信号」とは、受信装置から緊急報知情報をテレビ装置等の報知装置に自動的に転送して再生させる制御信号である。詳細には、受信装置からテレビ装置等の報知装置に至る伝送路による転送経路を確定させて緊急報知情報を転送させる制御を行うものであり、また、テレビ装置等の報知装置の主電源がオンかつ表示および音声出力を行わないスタンバイ状態の場合は表示および音声出力する状態である報知状態とし、他の受信端子に接続されたプレーヤ装置等から転送された情報を受信再生している場合は、他のプレーヤ装置からの信号の受信再生を停止して受信装置からの緊急報知情報の受信再生に切り替える制御を行うものである。
【0031】
本実施の形態の警報システムを構成する受信装置とテレビ装置等の報知装置の間の情報の転送は、一例として、HDMI(High Definition Multimedia Interface:高精度マルチメディアインタフェース)規格に基づくものである。このため、受信装置はHDMI伝送路を介してテレビ装置のHDMI端子に接続され、緊急放送信号を受信した場合、緊急報知情報を読み出してHDMI伝送路を介してテレビ装置に転送して再生させるものである。
【0032】
また、テレビ装置等の報知装置と受信装置の間の制御は、HDMI-CEC(High Definition Multimedia Interface-Consumer Electronics Control)規格に基づくものである。このため、受信装置は、緊急放送信号を受信したときに、ワンタッチプレイの制御信号であるワンタッチプレイのCECコマンドを、HDMI伝送路を介してテレビ装置等の報知装置に送信して緊急報知情報を転送再生するものである。
【0033】
以下に示す具体的な実施の形態では、「受信装置」が「緊急放送アダプタ」であり、「報知装置」が「テレビ装置」であり、「伝送路」が「HDMI伝送路」であり、「受信端子」が「HDMI端子」であり、「緊急放送」が「緊急警報放送及び又は緊急地震速報」であり、「ワンタッチプレイの制御信号」が「ワンタッチプレイのCECコマンド」であり、「緊急報知情報」が「緊急放送告知コンテンツ」である場合について説明する。
【0034】
[実施の形態の具体的内容]
本実施の形態による警報システムの具体的内容について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a .警報システムの概要
b. 緊急放送アダプタ
c. テレビ装置
d. テレビ装置のコンテンツ再生
d1. 緊急警報放送画面
d2. 緊急地震速報画面
e. 緊急放送アダプタの制御動作
f. テレビ装置の制御動作
g. HDMI切替器を用いた警報システム
h. 本発明の変形例
【0035】
[a.警報システムの概要]
図1は本発明の警報システムの概略を示した説明図であり、住宅に設置された場合を例にとっている。
【0036】
図1の例にあっては、住宅12の台所、居間、子供部屋、主寝室の内、居間に置かれたテレビ装置14を警報システムの報知装置としている。テレビ装置14はHDMI-CEC規格におけるシンクとして機能し、テレビ装置14には3つのHDMI端子が設けられ、最大で3台のソースとして機能する再生デバイス又は再生記録デバイスの接続を可能としている。
【0037】
本実施形態にあっては、テレビ装置14のHDMI端子の一つには受信装置として機能する緊急放送アダプタ10を接続し、残り2つのHDMI端子にDVDプレーヤ、CDプレーヤ等のプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)を接続している。
【0038】
緊急放送アダプタ10は、緊急警報放送又は緊急地震速報を含む緊急放送信号の受信を判別した場合、予め記憶された緊急放送告知コンテンツを読み出してHDMIストリームをテレビ装置14に転送し、画像と音声により再生させる。
【0039】
[b.緊急放送アダプタ]
図2は緊急放送アダプタの機能構成を示したブロック図である。緊急放送アダプタ10はプロセッサ18を備える。プロセッサ18に対してはアンテナ22を接続したテレビ放送受信部20、CECインタフェース26及びHDMI送信部28が設けられ、CECインタフェース26及びHDMI送信部28はHDMI端子24に接続されている。
【0040】
緊急放送アダプタ10は図示しない電池電源で動作する。また、電池として充電可能なリチウムイオン電池等の二次電池を使用し、HDMIケーブルによりテレビ装置14側からのDC電源の供給を受けて充電するようにしてもよい。
【0041】
テレビ放送受信部20は、アンテナ22が接続されたチューナ30、音声再生部32及び緊急放送判別部34で構成される。アンテナ22で受信された緊急放送信号はチューナ30に入力され、予め設定した放送局をチャンネル選択したデジタル放送信号を音声再生部32に出力し、音声再生部32でデジタル音声信号に復調し、プロセッサ18及び緊急放送判別部34に出力する。
【0042】
緊急放送判別部34は、緊急警報放送信号の第1種開始信号を判別したとき、緊急警報放送判別信号をプロセッサ18に出力する。また、緊急放送判別部34は、緊急警報放送信号の第2種開始信号を判別したとき、津波警報判別信号をプロセッサ18に出力する。また、緊急放送判別部34は、緊急警報放送信号の終了信号を判別したとき、終了判別信号をプロセッサ18に出力する。
【0043】
更に、緊急放送判別部34は緊急地震速報信号のチャイム音として知られた「ピロピロ」音を判別したとき、緊急地震速報判別信号をプロセッサ18に出力する。
【0044】
プロセッサ18にはCPU36が設けられ、CPU36からのバス45に、制御ロジック38、ROM40、RAM42が接続されている。CPU36にはプログラムの実行により実現されるアダプタ制御部44の機能が設けられる。
【0045】
また、RAM42にはコンテンツ46が予め記憶されている。RAM42のコンテンツ46には、緊急放送告知コンテンツとして、緊急警報放送コンテンツ、津波警報コンテンツ、緊急地震速報コンテンツが含まれる。これらのコンテンツは、静止画、動画、音声を組み合わせた告知番組として予め作成され、また、音声としては放送音をそのまま使用することもできる。
【0046】
CECインタフェース26とHDMI送信部28は、HDMI-CEC規格に従い、HDMIケーブルを介してコントロール信号を伝送し、機器間の連携動作を実現する。
【0047】
このうち家電制御として知られたCECは、HDMIリンク上の全デバイスをデイジーチェーン接続したシングルラインに基づく独立した機能であり、CEC対応のデバイスは、CECライン上の全てのデバイスと情報を交換することができる。
【0048】
緊急放送アダプタ10とテレビ装置14との間で双方向に送信される制御コマンドは、CECプロトコルに準拠する。以下、CECプロトコルに準拠した制御コマンドを「CECコマンド」と呼ぶ。
【0049】
CPU36に設けられたアダプタ制御部44は、CEC規格の共通コマンドとして提供されている「ワンタッチプレイ」の機能を利用し、テレビ放送受信部20の緊急放送判別部34から緊急警報放送判別信号、津波警報判別信号又は緊急地震速報判別信号の何れかを受信した場合に、CECインタフェース26に指示して「ワンタッチプレイ」の制御コマンドをテレビ装置14に送信し、これによりテレビ装置14の電源オンや他のプレーヤ装置に対する入力切替えを行って転送経路を確定させ、テレビ装置14から転送経路確定通知を受信した場合に、RAM42のコンテンツ46の中から対応する緊急警報放送コンテンツ、津波警報コンテンツ又は緊急地震速報コンテンツを読み出してHDMI送信部28に指示し、ビデオとオーディオ及び各種のパケットデータを、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)と呼ばれる方式でテレビ装置14に、HDMIストリームとして転送する制御を行う。
【0050】
[c.テレビ装置]
図3はテレビ装置の機能構成を示したブロック図である。
図3に示すように、テレビ装置14は、HDMI-CEC規格のシンクとして機能し、CPU48のバス55に、メモリ50、チューナ52、デコーダ54、出力制御部56、HDD62が接続されており、アンテナ受信信号をチューナ52に入力してチャンネル選択したデジタル放送信号をデコーダ54で復調し、出力制御部56により液晶カラーディスプレイ等の表示部58とスピー
カ60に出力してテレビ放送を再生させている。
【0051】
これに加えテレビ装置14には、再生デバイス又は再生記録デバイスを接続するためのHDMI端子として機能する3つのHDMI端子64(64-1)~64(64-3)が設けられ、CPU48のバス55との間に、HDMI端子64(64-1)~64(64-3)に対応してCECインタフェース66(66-1)~66(66-3)とHDMI受信部68(68-1)~68(68-3)のペアが接続されている。なお、HDMI-CEC規格では、再生デバイスには3つの論理アドレス(4,8,11)が割り当てられていることから、テレビ装置14には最大で3つのHDMI端子64(64-1)~64(64-3)が設けられている。
【0052】
本実施形態では、テレビ装置14のHDMI端子64(64-1)に緊急放送アダプタ10が接続され、残りのHDMI端子64(64-2),64(64-3)にプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)が接続されている。
【0053】
図3に示すように、テレビ装置14のHDMI端子64(64-1)~64(64-3)に緊急放送アダプタ10及びプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)をHDMIケーブルにより接続すると、HPD(Hot-Plug-Detect)として知られたホットプラグ検出機能により、シンクデバイスとなるテレビ装置14とソースデバイスとなる緊急放送アダプタ10及びプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)の間の起動時の通信シーケンスが開始され、テレビ装置14は緊急放送アダプタ10及びプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)の接続を認識し、例えば、HDMIストリームの転送に必要な物理アドレスが設定される。
【0054】
図4はテレビ装置、緊急放送アダプタ、プレーヤ装置の物理アドレスの設定を示した説明図である。
図4に示すように、テレビ装置14の3つのHDMI受信部68(68-1),68(68-2),68(68-3)には、物理アドレス(1.0.0.0)、(2.0.0.0)及び(3.0.0.0)が設定され、HDMIケーブルにより緊急放送アダプタ10及びプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)を接続してホットプラグ検出が行われると、緊急放送アダプタ10のHDMI送信部28には物理アドレス(1.0.0.0)が設定され、プレーヤ装置16(16-1),16(16-2)のHDMI送信部70,72には物理アドレス(2.0.0.0)、(3.0.0.0)が設定される。
【0055】
緊急放送アダプタ10のワンタッチプレイは、緊急放送アダプタ10がテレビ装置14を映像データの表示を行うモードに変更し、テレビ装置14の入力を緊急放送アダプタ10に切り替える動作である。
【0056】
また、テレビ装置14の電源がスタンバイ状態である場合に、ワンタッチプレイが行われると、緊急放送アダプタ10は、テレビ装置14の電源をスタンバイ状態からオン状態に変更する動作を行う。ワンタッチプレイが行われた場合、テレビ装置14は、緊急放送アダプタ10から受信した映像データを表示部58に表示することができる状態となる。また、ワンタッチプレイが行われた場合、テレビ装置14は、緊急放送アダプタ10から受信した音声データをスピーカ60から出力することができる状態となる。
【0057】
CECコマンドによるワンタッチプレイの概要は次のようになる。緊急放送アダプタ10が緊急放送信号を受信した場合、緊急放送アダプタ10はHDMI伝送路で接続された全機器に向けて<Active Source>CECコマンドを送信する。<Active Source>CECコマンドには、送信元となる緊急放送アダプタ10の物理アドレス「1.0.0.0」が付加される。
【0058】
テレビ装置14は、<Active Source>CECコマンドに付加されている緊急放送アダプタ10の物理アドレス「1.0.0.0」を参照することで、入力を切り替える。
【0059】
この場合、<Active Source>CECコマンドに付加されている物理アドレスが[1.0.0.0]なので、テレビ装置14は左から1個目の数値「1」に従いHDMI端子64(64-1)からの入力に切り替える。これにより緊急放送アダプタ10から読み出し転送されたコンテンツを、テレビ装置14を用いて自動的に受信再生することができる。
【0060】
[d.テレビ装置のコンテンツ再生]
(d1.緊急警報放送画面)
図5はテレビ装置に表示される緊急警報放送画面を示した説明図である。テレビ装置14は緊急放送アダプタ10から緊急警報放送用のHDMIストリームを受信すると、表示部58に緊急警報放送画面74を表示する。
【0061】
緊急警報放送画面74は、例えば、最上段に「14時46分 地震発生」とする地震情報を表示し、その下に、「大津波警報」と大きく表示し、その下に大津波警報の対応として「大津波の到来が予想されます。海岸近くの方は、すぐ逃げてください。海岸には近づかないでください。」として取るべき行動を表示している。
【0062】
また、緊急警報放送画面74の表示に合わせて音声メッセージとして例えば「14時46分に地震が発生しました。大津波警報が発令されました。大津波の到来が予想されます。海岸近くの方は、すぐ逃げてください。海岸には近づかないでください。」を繰り返し出力する。
【0063】
このような緊急警報放送画面74がテレビ装置14に緊急警報放送信号の受信に連動して表示され、併せて音声メッセージが出力されることで、利用者が海岸近くに住んでいる場合には、直ぐに近くの高いビルや高い場所に避難することができる。
【0064】
また、音声メッセージとして緊急警報放送信号の放送音をそのまま出力された場合には、大津波警報の内容を更に詳細に知って適切な対応行動を迅速にとることができる。
【0065】
(d2.緊急地震速報画面)
図6はテレビ装置に表示される緊急地震速報画面を示した説明図である。テレビ装置14は緊急放送アダプタ10から緊急地震速報用のHDMIストリームを受信すると、表示部58に緊急地震速報画面76を表示する。
【0066】
緊急地震速報画面76は、例えば、最上段に「12月20日午後14時43分」とする地震発生時刻を表示し、その下に、「緊急地震速報」と大きく表示し、その下に緊急地震速報の対応として「強い揺れに備えてください。火を消してください。テーブルの下などの安全な場所に避難してください。揺れが収まるまで外に出ないでください。」として、取るべき行動を表示している。
【0067】
また、緊急地震速報画面76の表示に合わせて音声メッセージとして例えば「14時43分に地震が発生しました。強い揺れに備えてください。火を消してください。テーブルの下などの安全な場所に避難してください。揺れが収まるまで外に出ないでください。」を繰り返し出力する。
【0068】
このような緊急地震速報画面76がテレビ装置14に緊急地震速報信号の受信に連動して表示され、併せて音声メッセージが出力されることで、利用者は家具などから離れた安全な場所に移動し、また調理中であれば直ぐに火を止め、揺れに備えることができる。
【0069】
また、音声メッセージとして緊急地震速報信号の放送音をそのまま出力された場合には、更に詳しい地震の情報を知って適切な対応行動を迅速にとることができる。
【0070】
[e.緊急放送アダプタの制御動作]
図7は緊急放送アダプタの制御動作を示したフローチャートであり、
図2に示したCPU36に設けられたアダプタ制御部44による制御動作となる。
【0071】
図7に示すように、アダプタ制御部44は、ステップS1で緊急警報放送信号の受信を判別すると、具体的には緊急警報放送信号における第1種開始信号又は第2種開始信号の受信を判別するとステップS2に進み、ワンタッチプレイのCECコマンドをテレビ装置14に対して送信し、テレビ装置14からの転送経路確定通知(ACK)を受けてステップS3で緊急放送アダプタ10からテレビ装置14に至るHDMI伝送路による転送経路が確定される。
【0072】
続いて、アダプタ制御部44はステップS4でRAM42のコンテンツ46の中から第1種開始信号の場合は所定の緊急警報放送コンテンツを読み出してテレビ装置14にHDMIストリームとして転送し、また、第2種開始信号の場合は所定の津波警報コンテンツを読み出してテレビ装置14にHDMIストリームとして転送し、例えば
図5に示したように、緊急警報放送画面74及びその音声メッセージを再生させる。
【0073】
続いてアダプタ制御部44はステップS5で緊急警報放送信号の受信で再生された放送音声データをテレビ装置14にHDMIストリームとして転送し、放送音を再生させる。
【0074】
続いて、アダプタ制御部44は、例えばテレビ装置14のリモコン装置を使用した停止操作等によるコンテンツの再生終了を判別すると、ステップS6で復旧操作ありを判別してステップS7に進み、コンテンツの読出し転送や放送音声データの転送を停止してステップS1に戻る。
【0075】
なお、第1種又は第2種開始信号を受信した場合には、所定時間後に終了信号が受信されることから、終了信号の受信を判別した場合にコンテンツの再生を終了させても良い。
【0076】
一方、アダプタ制御部44は、ステップS1で緊急警報速報信号の受信を判別しない場合はステップS8に進み、ステップS8で緊急地震速報信号の受信、具体的には、緊急地震速報信号によるチャイム音の受信を判別するとステップS9に進み、ワンタッチプレイのCECコマンドをテレビ装置14に対して送信し、テレビ装置14からの転送経路確定通知(ACK)を受けてステップS10で緊急放送アダプタ10からテレビ装置14に至るHDMI伝送路による転送経路が確定される。
【0077】
続いて、アダプタ制御部44はステップS11でRAM42のコンテンツ46の中から緊急地震速報コンテンツを読み出してテレビ装置14にHDMIストリームとして転送し、テレビ装置14にHDMIストリームとして転送し、例えば
図6に示したように、緊急地震速報画面76及びその音声メッセージを再生させる。
【0078】
続いてアダプタ制御部44はステップS12で緊急地震速報信号の受信で再生された放送音声データをテレビ装置14にHDMIストリームとして転送し、放送音を再生させる。
【0079】
続いて、アダプタ制御部44は、例えばテレビ装置14のリモコン装置を使用した停止操作等によるコンテンツの再生終了を判別すると、ステップS6で復旧操作ありを判別してステップS7に進み、コンテンツの読出し転送や放送音声データの転送を停止してステップS1に戻る。
【0080】
[f.テレビ装置の制御動作]
図8はテレビ装置の制御動作を示したフローチャートであり、
図3に示したテレビ装置14に設けられたCPU48による制御動作となる。
【0081】
図8に示すように、テレビ装置14のCPU48は、ステップS21でプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)の再生又は記録再生するための通常のHDMI-CEC制御を行なっている。
【0082】
続いて、CPU48はステップS22に進み、緊急放送アダプタ10からワンタッチプレイのCECコマンドの受信を判別するとステップS23に進み、テレビ装置14の電源オフを判別した場合はステップS24に進んでテレビ装置14の電源をオンし、また、ステップS25で例えばプレーヤ装置16(16-1)の再生中を判別した場合はステップS26に進んでプレーヤ装置16(16-1)の再生を停止して緊急放送アダプタ10に切替え、ステップS27で緊急放送アダプタ10に対し転送経路確定通知を送信し、コンテンツの転送を開始させる。
【0083】
続いて、CPU48はステップS28で緊急放送アダプタ10から転送されたHDMIストリームを受信してコンテンツを再生し、再生中にステップS29で緊急放送アダプタ10の再生終了を判別するとステップS1の処理に戻る。
【0084】
[g.HDMI切替器を用いた警報システム]
図9はHDMI切替器を用いた警報システムの概略を示した説明図、
図10はHDMI切替器の機能構成をテレビ装置と共に示したブロック図、
図11はテレビ装置、HDMI切替器、緊急放送アダプタ、プレーヤ装置の物理アドレスの設定を示した説明図である。
【0085】
図9に示すように、本実施形態の警報システムにあっては、居間に設置されたテレビ装置14に、プレーヤ装置16(16-1)~16(16-3)に緊急放送アダプタ10を加えた4台のソースデバイスの接続を予定しているが、テレビ装置14でソースデバイスを接続するHDMI端子は3つしかないことから、2台のプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)はテレビ装置14の2つのHDMI端子の各々に接続するが、緊急放送アダプタ10とプレーヤ装置16(16-3)の2台は入力切替器として機能するHDMI切替器80を介してテレビ装置14の残り1つのHDMI端子に接続している。
【0086】
入力切替器として機能するHDMI切替器80は、
図10に示すように、CPU82に対し2入力となるCECインタフェース86(86-1),86(86-2)とHDMI受信部88(88-1),88(88-2)のペアを接続したHDMI端子84(84-1),84(84-2)に緊急放送アダプタ10とプレーヤ装置16(16-3)をHDMIケーブルで接続し、また、CPU82に対し1出力となるCECインタフェース92とHDMI送信部94のペアを接続したHDMI端子90をHDMIケーブルによりテレビ装置14のHDMI端子64(64-1)に接続している。
【0087】
HDMI切替器80のCPU82にはプログラムの実行により実現される切替制御部96としての機能が設けられる。
【0088】
テレビ装置14にHDMI切替器80を介して緊急放送アダプタ10とプレーヤ装置16(16-3)をHDMIケーブルにより接続すると、テレビ装置14のCPU48によるホットプラグ検出機能により、シンクデバイスとなるテレビ装置14とソースデバイスとなるプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)とHDMI切替器80を介して接続された緊急放送アダプタ10とプレーヤ装置16(16-3)の間の起動時の通信シーケンスが開始され、テレビ装置14はプレーヤ装置16(16-1),16(16-2)、HDMI切替器80、緊急放送アダプタ10及びプレーヤ装置16(16-3)の接続を認識し、
図11に示すように、HDMIストリームの転送に必要な物理アドレスが設定される。
【0089】
図11に示す物理アドレスは、プレーヤ装置16(16-1),16(16-2)については、
図4と同じであるが、緊急放送アダプタ10のHDMI送信部28には物理アドレス(1.1.0.0)が設定され、プレーヤ装置16(16-3)のHDMI送信部9
4には物理アドレス(1.2.0.0)が設定され、HDMI切替器80のHDMI受信部88(88-1)に物理アドレス(1.1.0.0)が設定され、HDMI受信部88(88-2)には物理アドレス(1.2.0.0)が設定され、更に、HDMI送信部94には物理アドレス(1.0.0.0)が設定される。
【0090】
このため緊急放送アダプタ10が緊急放送信号を受信してワンタッチプレイのCECコマンドを送信すると、HDMI切替器80の切替制御部96はHDMI送信部94に対する入力経路をHDMI受信部88(88-1)に切替え、同じ物理アドレス(1.1.0.0)を持つ緊急放送アダプタ10のHDMI送信部28とHDMI切替器80のHDMI受信部88(88-1)の間と、同じ物理アドレス(1.0.0.0)を持つHDMI切替器80のHDMI送信部94とテレビ装置14のHDMI受信部68(68-1)との間に、HDMI切替器80のCPU82をスルーしたHDMIストリームの転送経路が自動的に確立され、緊急放送アダプタ10から緊急放送告知コンテンツをテレビ装置14に読み出し転送して再生させることができる。
【0091】
なお、HDMI切替器80としては、2入力の自動切替え機能を備えた市販の機器を使用することができる。また、HDMI切替器80は2入力1出力以外に、更に入力数の多いものが使用できる。
【0092】
また、テレビ装置14にHDMI切替器80を内蔵させても良く、この場合には、テレビ装置14はソースデバイスを接続するHDMI端子を実質的に4つ備えた拡張機能を持つことになり、テレビ装置14のHDMI端子に最大3台のプレーヤ装置16(16-1)~16(16-3)に加え、4台目として緊急放送アダプタ10を直接接続できる。
【0093】
[h.本発明の変形例]
(緊急放送アダプタ)
また、受信装置として機能する緊急放送アダプタは、入出力のHDMIコネクタを備え、通常時は他の装置から受信した信号に基づく信号を報知装置として機能するテレビ装置に送信し、緊急報知信号を受信した場合には、テレビ装置に送信する信号を他の装置から受信した信号から緊急報知信号に変更するように内部で信号を切り替えるようにしてもよい。このような構成とすることで、受信装置をDVDプレーヤ等の他の装置とテレビ装置の接続の間に挿入可能な機器とできるため、受信装置からの信号を受信するために報知装置側で入力端子を増やす必要がなくなり、テレビ装置の入力端子(受信端子)が限られている場合であっても、緊急放送アダプタをテレビ装置に接続することが可能となる。
【0094】
(HDMI-CECコマンド)
上記の実施形態は、緊急放送アダプタからワンタッチプレイの共通CECコマンドをテレビ装置に送信して伝送路を自動的に確立してコンテンツのHDMIストリームを転送して再生させているが、本発明はこれに限定されず、共通コマンド以外の他の所定のCECコマンドによるワンタッチプレイをテレビ装置に対して行うようにしても良い。
【0095】
(緊急放送)
上記の実施形態は、テレビ放送局による緊急放送信号を受信して告知する場合を例にとっているが、これに限定されず、AM放送局又はFM放送局による緊急放送信号の受信を判別して告知するようにしても良い。
【0096】
更に、ワンセグ放送局による緊急放送信号の受信を判別して告知するようにしても良い。ワンセグ放送局は、携帯電話や移動体端末向けの1セグメント部分受信サービスを提供する放送局であり、地上デジタル放送推進協会によりワンセグという名称が決定されている。
【0097】
地上デジタル放送方式では、1チャンネルが13のセグメントに分割されており、セグメントをいくつか束ねて映像データや音声データを送信している。必要とするセグメント数は、ハイビジョン放送では12セグメント、通常画質の放送では4セグメントで済むことから、3つの異なる番組を同時に放送することを可能とする。13セグメントの内、1つのセグメントが移動体向け放送に予約されており、これを使って放送を行うのがワンセグ放送である。
【0098】
(警報システムの動作試験)
緊急放送局は、例えば毎月1日の正午に試験信号を送信しており、この試験信号は終了信号と同じであり、緊急放送アダプタで試験信号の受信を判別した場合(終了信号のみの受信を判別した場合)に試験動作を行い、試験用の告知コンテンツを読み出してテレビ装置に転送して再生させることで、動作確認ができるようにしても良い。
【0099】
(HDMI切替器)
上記の実施形態は、HDMI切替器と緊急放送アダプタを別体としていたが、HDMI切替器と緊急放送アダプタを一体としても良い。
【0100】
また、緊急放送アダプタ側の機能により緊急放送の告知内容を表示するコンテンツ転送要求が発生したとき、HDMI切替器はその時点で表示している物理アドレスを記憶しておき、コンテンツの再生終了時に、記憶していた物理アドレスに基づき、コンテンツ転送要求前に表示していた機器の表示に戻すようにしても良い。
【0101】
(その他)
また、報知装置はテレビに限られず、モニタやインターホン表示器等の適宜の表示手段を取っても良い。
【0102】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0103】
10:緊急放送アダプタ
12:住宅
14:テレビ装置
16(16-1)~16(16-3):プレーヤ装置
18:プロセッサ
20:テレビ放送受信部
24,64(64-1)~64(64-3),84(84-1),84(84-2),90:HDMI端子
26,66(66-1)~66(66-3),86(86-1),86(86-2),92:CECインタフェース
28,94:HDMI送信部
44:アダプタ制御部
46:コンテンツ
58:表示部
68(68-1)~68(68-3),88(88-1),88(88-2):HDMI受信部
74:緊急警報放送画面
76:緊急地震速報画面
80:HDMI切替器
96:切替制御部