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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】クレーンの表示装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/90 20060101AFI20241029BHJP
   B66C 13/16 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B66C23/90 M
B66C13/16 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020067425
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160919
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】望田 雄真
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0101694(US,A1)
【文献】特開2004-284729(JP,A)
【文献】特開2012-166918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/16;19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
クレーンアタッチメントの傾斜角度又は前記クレーンアタッチメントの作業半径と、前記クレーンアタッチメントに吊り上げられた吊り荷の限界荷重との関係を表すモーメントカーブに基づいて、現在の前記クレーンアタッチメントの傾斜角度又は前記クレーンアタッチメントの傾斜角度から算出された前記クレーンアタッチメントの作業半径に対する、前記吊り荷の限界荷重を前記表示部に表示させることが可能な制御部と、
入力部と、
を具備し、
前記制御部は、
前記モーメントカーブを前記表示部に表示させることが可能であり、
前記クレーンアタッチメントの中途部において前記吊り荷を吊り上げ可能な主フック、又は前記主フックよりも前記クレーンアタッチメントの先端側において前記吊り荷を吊り上げ可能な補フックのいずれで、前記吊り荷を吊上げているかを、前記表示部に表示させることが可能であり、
前記モーメントカーブは、少なくとも、前記主フックを使用する場合の第一モーメントカーブと、前記補フックを使用する場合の第二モーメントカーブとを含み、
前記制御部は、
記憶された前記第一モーメントカーブ及び前記第二モーメントカーブを含む複数の前記モーメントカーブを切り替えて表示可能であり、
前記入力部による入力値に基づいて、前記モーメントカーブを修正、又は新規に記憶することが可能であり、
前記入力部による入力値に基づいて、前記モーメントカーブを修正する場合、修正前の前記モーメントカーブと、修正予定の前記モーメントカーブと、を比較できるように、修正前の前記モーメントカーブと修正予定の前記モーメントカーブとを異ならせた態様で重ねて表示させることが可能である、
クレーンの表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記入力部によって入力される前記クレーンアタッチメントの傾斜角度又は前記クレーンアタッチメントの作業半径の第一サンプル値と、当該第一サンプル値に対する前記吊り荷の限界荷重の第二サンプル値と、に基づいて、前記モーメントカーブを修正、又は新規に記憶することが可能である、
請求項1に記載のクレーンの表示装置。
【請求項3】
前記表示部及び前記入力部は、一体化されたタッチパネルによって構成されている、
請求項1又は請求項2に記載のクレーンの表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンアタッチメントに吊り上げられた吊り荷の限界荷重を表示させることが可能なクレーンの表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンアタッチメントに吊り上げられた吊り荷の限界荷重を表示させることが可能なクレーンの表示装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、コントローラが生成する画像信号に基づいて、ディスプレイにクレーン等のイラストと、作業に関する各種の数値と、が表示される。具体的には、吊り荷の作業半径、吊り荷の荷重(吊り荷重)、現在の作業半径において吊り上げることが可能な荷重の限界値(限界荷重)等が、数値によってディスプレイに表示される。コントローラは、予め記憶されたモーメントカーブ(作業半径と限界荷重の関係を示すグラフ)に基づいて、現在の作業半径における限界荷重を算出している。ディスプレイの表示を確認することで、作業者(オペレータ)は作業に関する情報を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-284730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、モーメントカーブは、限界荷重を算出するための重要な情報であり、必要に応じて作業者等がモーメントカーブを確認できる状態にしておくことが望ましい。しかしながら特許文献1に記載の技術では、ディスプレイに表示された限界荷重等は確認できるものの、限界荷重を算出するためのモーメントカーブは確認できない点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、モーメントカーブを確認することが可能なクレーンの表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、表示部と、クレーンアタッチメントの傾斜角度又は前記クレーンアタッチメントの作業半径と、前記クレーンアタッチメントに吊り上げられた吊り荷の限界荷重との関係を表すモーメントカーブに基づいて、現在の前記クレーンアタッチメントの傾斜角度又は前記クレーンアタッチメントの傾斜角度から算出された前記クレーンアタッチメントの作業半径に対する、前記吊り荷の限界荷重を前記表示部に表示させることが可能な制御部と、入力部と、を具備し、前記制御部は、前記モーメントカーブを前記表示部に表示させることが可能であり、前記クレーンアタッチメントの中途部において前記吊り荷を吊り上げ可能な主フック、又は前記主フックよりも前記クレーンアタッチメントの先端側において前記吊り荷を吊り上げ可能な補フックのいずれで、前記吊り荷を吊上げているかを、前記表示部に表示させることが可能であり、前記モーメントカーブは、少なくとも、前記主フックを使用する場合の第一モーメントカーブと、前記補フックを使用する場合の第二モーメントカーブとを含み、前記制御部は、記憶された前記第一モーメントカーブ及び前記第二モーメントカーブを含む複数の前記モーメントカーブを切り替えて表示可能であり、前記入力部による入力値に基づいて、前記モーメントカーブを修正、又は新規に記憶することが可能であり、前記入力部による入力値に基づいて、前記モーメントカーブを修正する場合、修正前の前記モーメントカーブと、修正予定の前記モーメントカーブと、を比較できるように、修正前の前記モーメントカーブと修正予定の前記モーメントカーブとを異ならせた態様で重ねて表示させることが可能であるものである。
【0010】
請求項においては、前記制御部は、前記入力部によって入力される前記クレーンアタッチメントの傾斜角度又は前記クレーンアタッチメントの作業半径の第一サンプル値と、当該第一サンプル値に対する前記吊り荷の限界荷重の第二サンプル値と、に基づいて、前記モーメントカーブを修正、又は新規に記憶することが可能であるものである。
【0011】
請求項においては、前記表示部及び前記入力部は、一体化されたタッチパネルによって構成されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、モーメントカーブを確認することができる。また、利便性を向上させることができる。また、モーメントカーブを適切に修正することができる。
【0017】
請求項においては、モーメントカーブを容易に修正、又は新規に記憶することができる。
【0018】
請求項においては、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態に係る表示装置を具備するクレーンの概略構成を示した側面図。
図2】表示装置の構成を示したブロック図。
図3】メータ計量画面を示した図。
図4】数値計量画面を示した図。
図5】モーメントカーブ表示画面のモーメントカーブ表示を示した図。
図6】モーメントカーブ表示画面のサンプル設定値表示を示した図。
図7】モーメントカーブ設定画面を示した図。
図8】(a)サンプル設定値、演算係数及び演算式の一例を示した図。(b)サンプル設定値から算出されたモーメントカーブの一例を示した図。
図9】作業半径と限界荷重の関係(モーメントカーブ)の一例を示した図。
図10】第二実施形態に係るメータ計量画面を示した図。
図11】第三実施形態に係るモーメント設定画面を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る表示装置10を具備するクレーン1の概略構成について説明する。
【0023】
クレーン1は、吊り荷を吊り上げて水平に運搬する装置である。クレーン1は、主として走行体2、旋回体3、クレーンアタッチメント(以下、単に「ジブ」と称する)4、主フック5、補フック6、主巻ドラム7、補巻ドラム8及び表示装置10を具備する。
【0024】
走行体2は、クレーン1を走行させるための走行装置が設けられる部分である。走行体2は、クローラ等を具備する。旋回体3は、走行体2の上部に旋回可能に設けられる部分である。旋回体3は、運転席が設けられたキャビン等を具備する。
【0025】
ジブ4は、吊り荷を吊り上げて運搬作業を行うための部分である。ジブ4は、旋回体3に回動可能に設けられる。
【0026】
主フック5は、比較的重い吊り荷を吊り上げるための吊り具である。主フック5は、ジブ4の中途部に設けられる。補フック6は、比較的軽い吊り荷を吊り上げるための吊り具である。補フック6は、ジブ4の先端部に設けられる。
【0027】
主巻ドラム7は、主フック5を昇降させるためのものである。主巻ドラム7には、主フック5に接続された主巻ロープ(不図示)が巻き掛けられている。補巻ドラム8は、補フック6を昇降させるためのものである。補巻ドラム8には、補フック6に接続された補巻ロープ(不図示)が巻き掛けられている。主巻ドラム7及び補巻ドラム8は、旋回体3に設けられる。
【0028】
表示装置10は、クレーン1に関する各種の情報を適宜取得し、表示させることが可能なものである。
【0029】
以下では、図2を用いて、表示装置10の構成について説明する。表示装置10は、主として表示部11、主巻用ロードセル12、補巻用ロードセル13、角度計14及び制御部15を具備する。
【0030】
表示部11は、各種の情報を表示可能なものである。表示部11は、タッチ操作が可能なタッチパネルにより構成されている。すなわち、表示部11は、各種の情報を表示する表示装置と、各種の情報を入力可能な入力装置を兼ねている。表示部11は、走行体2の運転席の近傍(作業者が視認可能かつ操作可能な位置)に設けられる。
【0031】
主巻用ロードセル12は、主フック5に吊り上げられた吊り荷の荷重を検出するものである。主巻用ロードセル12は、主フック5に接続された主巻ロープ(不図示)の張力を検出することで、吊り荷の荷重を検出することができる。
【0032】
補巻用ロードセル13は、補フック6に吊り上げられた吊り荷の荷重を検出するものである。補巻用ロードセル13は、補フック6に接続された補巻ロープ(不図示)の張力を検出することで、吊り荷の荷重を検出することができる。
【0033】
角度計14は、ジブ4の傾斜角度αを検出するものである。より具体的には、角度計14は、水平方向に対するジブ4の傾斜角度α(図1参照)を検出することができる。
【0034】
制御部15は、表示装置10に関する各種の演算や記憶等の制御を行うためのものである。制御部15は、CPU等の演算手段や、メモリ等の記憶手段等を具備する。制御部15は、主巻用ロードセル12、補巻用ロードセル13及び角度計14に接続され、当該主巻用ロードセル12等の検出値を取得することができる。また制御部15は、表示部11に接続され、表示部11に入力された各種の情報を取得することができると共に、表示部11に所望の画像や文字列等を表示させることができる。
【0035】
なお、制御部15は、本実施形態で例示した主巻用ロードセル12等の検出値に限らず、クレーン1に関する各種の情報を取得することができる。
【0036】
また、制御部15は、各種の情報を外部に出力することができる。例えば、後述するように、吊り荷の荷重が限界荷重に達した場合、適宜の制御信号を外部へと出力することができる。当該制御信号に基づいてクレーン1の動作を制限する(ジブ4の動作を制限する)ことで、クレーン1に過度なモーメントが加わることを防止することができる。このように、本実施形態の表示装置10は、クレーン1に過度なモーメントが加わるのを防止するためのシステム(いわゆる、モーメントリミッタ)として利用することができる。
【0037】
次に、図3から図9までを用いて、表示装置10(表示部11)に表示される各種画面について具体的に説明する。
【0038】
上述の如く、制御部15によって表示部11に各種の情報(画像や文字列等)を表示させることができる。表示部11に表示される画面は、後述するボタン表示101を適宜操作することで任意に切り替えることができる。本実施形態では、表示部11に表示される画面の一例として、メータ計量画面100、数値計量画面200、モーメントカーブ表示画面300及びモーメントカーブ設定画面400について、順に説明する。
【0039】
まず、メータ計量画面100について説明する。図3に示すメータ計量画面100は、吊り荷の荷重及び吊り荷の作業半径を、目盛を用いて表示することが可能な画面である。メータ計量画面100には、主としてボタン表示101、状態表示102、メッセージ表示103、荷重目盛104、半径目盛105、荷重指針106、半径指針107、荷重表示108、半径表示109及び限界荷重表示110が表示される。
【0040】
ボタン表示101は、作業者が入力操作を行うためのボタンを表示するものである。ボタン表示101は、表示部11の右端部に表示される。ボタン表示101は、複数の矩形状のボタンの画像を有している。作業者は、所望のボタンに触れることで、当該ボタンに割り当てられた機能を実行することができる。
【0041】
状態表示102は、ジブ4の状態を表示するものである。より具体的には、状態表示102は、上述のように、現在、吊り荷の荷重が限界荷重に達してジブ4の動作が制限されている状態か否かを表示するものである。
【0042】
メッセージ表示103は、クレーン1の動作に関する情報を表示するものである。より具体的には、メッセージ表示103は、クレーン1が現在どのような動作を行っているか(例えば、主巻ドラム7を巻き上げ中など)を表示するものである。
【0043】
荷重目盛104は、現在の吊り荷の荷重を示す基準となるものである。荷重目盛104は、表示部11の概ね中央に表示される。荷重目盛104は、所定の点を中心とした円周上に延びる主軸Xに沿って表示される。荷重目盛104は、主軸Xの外側に表示される。荷重目盛104は、主軸Xに沿う円周上に等間隔に目盛を付すように表示されている。荷重目盛104は、周方向一側(図3の例では、時計回り方向)に向かって値が大きくなるように表示される。
【0044】
半径目盛105は、現在の吊り荷の作業半径(旋回体3の旋回中心から、吊り荷までの水平距離)を示す基準となるものである。半径目盛105は、表示部11の概ね中央に表示される。半径目盛105は、主軸Xに沿って表示される。すなわち、半径目盛105は、荷重目盛104と同心円周上に沿うように表示される。半径目盛105は、主軸Xの内側に表示される。半径目盛105は、周方向他側(図3の例では、反時計回り方向)に向かって値が大きくなるように表示される。
【0045】
制御部15は、荷重目盛104と半径目盛105を互いに対応付けた位置に表示させる。具体的には、制御部15は、主軸X上において半径目盛105と同じ位置に表示される荷重目盛104が、その半径目盛105が示す作業半径における限界荷重を示すように、荷重目盛104及び半径目盛105を表示させる。
【0046】
ここで、図9を用いて、限界荷重について説明する。
【0047】
限界荷重とは、クレーン1が吊り上げることができる吊り荷の荷重の限界値である。限界荷重の値は、吊り荷の荷重によるモーメント(荷重×作業半径)の限界値に依存する。すなわち、限界荷重は、作業半径に応じて定めることができる。図9には、作業半径に応じて設定された限界荷重のグラフの一例を示している。以下、このように作業半径と限界荷重の関係を示すグラフを「モーメントカーブ」と称する。モーメントカーブのグラフは、横軸が作業半径(m)、縦軸が限界荷重(t)をそれぞれ示している。図9に示すように、作業半径が大きくなるほど、限界荷重は概ね小さくなる。制御部15は、図9に示すようなモーメントカーブを用いて、限界荷重を算出することができる。
【0048】
制御部15には、予め図9に示したようなモーメントカーブが複数記憶されている。具体的には、主フック5と補フック6とで作業半径が異なるため(図1参照)、主フック5を使用する場合と、補フック6を使用する場合とで、異なるモーメントカーブが用いられる。また、モーメントカーブは任意に設定することができるため、例えば同じ主フック5を使用する場合であっても、異なる複数のモーメントカーブから任意の1つのモーメントカーブを選択して使用することができる。このように使用される複数のモーメントカーブが、制御部15に記憶される。
【0049】
制御部15は、図9に示すようなモーメントカーブから限界荷重を算出し、当該限界荷重に基づいて、上述のように荷重目盛104と半径目盛105を互いに対応付けた位置に表示させる(図3参照)。図3に示した例では、等間隔に表示された荷重目盛104に対して、対応する位置に半径目盛105が表示されるため、半径目盛105は不等間隔に表示されている。
【0050】
図3に示す荷重指針106は、荷重目盛104を指し示すことで、現在の吊り荷の荷重を示すものである。荷重指針106は、主軸Xの内側から荷重目盛104を指し示すように表示される。制御部15は、主巻用ロードセル12又は補巻用ロードセル13によって検出された吊り荷の荷重(検出結果)に相当する荷重目盛104を指し示すように、荷重指針106を表示させる。図3の例では、主巻用ロードセル12によって検出された荷重(即ち、主フック5によって吊り上げられた吊り荷の荷重)を荷重目盛104が指し示した様子を示している。
【0051】
半径指針107は、半径目盛105を指し示すことで、現在の吊り荷の作業半径を示すものである。半径指針107は、主軸Xの内側から半径指針107を指し示すように表示される。制御部15は、角度計14によって検出されたジブ4の傾斜角度α(検出結果)に基づいて作業半径を算出し、当該作業半径に相当する半径目盛105を指し示すように、半径指針107を表示させる。なお、作業半径は、傾斜角度αとジブ4の形状等に基づいて、幾何学的に算出することができる。ジブ4の形状等は、制御部15に適宜入力する(記憶させる)ことができる。
【0052】
荷重表示108は、現在の吊り荷の荷重を数値で表示するものである。荷重表示108は、表示部11の略中央(荷重目盛104及び半径目盛105の内側)に表示される。制御部15は、主巻用ロードセル12又は補巻用ロードセル13によって検出された吊り荷の荷重を、荷重表示108に数値で表示させる。図3の例では、主巻用ロードセル12によって検出された吊り荷の荷重を示した例を示しており、荷重表示108の上にはその旨を示す「主巻」の文字が表示される。
【0053】
半径表示109は、現在の吊り荷の作業半径を数値で表示するものである。半径表示109は、荷重表示108の下方に表示される。制御部15は、角度計14によって検出されたジブ4の傾斜角度αに基づいて作業半径を算出し、当該作業半径を半径表示109に数値で表示させる。
【0054】
限界荷重表示110は、現在の作業半径における限界荷重(許容荷重)を数値で表示するものである。限界荷重表示110は、半径表示109の下方に表示される。制御部15は、現在の作業半径及びモーメントカーブに基づいて限界荷重を算出し、当該限界荷重を限界荷重表示110に数値で表示させる。なお、図3の例では、限界荷重表示110のすぐ上に「許容荷重」と表示しているが、本実施形態において「許容荷重」は「限界荷重」と同義である。
【0055】
上述のメータ計量画面にどの荷重(主巻用ロードセル12により検出された荷重、又は補巻用ロードセル13により検出された荷重)を表示するかは、ボタン表示101の操作等によって作業者が任意に選択することができる。また、限界荷重を算出するために用いるモーメントカーブは、ボタン表示101の操作等によって作業者が任意に選択することができる。制御部15は、モーメントカーブが選択(変更)されると、荷重目盛104及び半径目盛105を、当該モーメントカーブに基づく荷重目盛104及び半径目盛105に切り替えてを表示部11に表示させる。
【0056】
次に、上述のメータ計量画面100における表示態様について説明する。
【0057】
上述のように、荷重指針106は、荷重目盛104を指し示すことで、現在の吊り荷の荷重を示すように表示される。例えば吊り荷の荷重が増加すると、図3に示すように、荷重指針106は時計回りに移動する。また半径指針107は、半径目盛105を指し示すことで、現在の吊り荷の作業半径を示すように表示される。例えば作業半径が増加すると、図3に示すように、半径指針107は反時計回りに移動する。
【0058】
ここで、上述のように、半径目盛105と荷重目盛104は、半径目盛105と同じ位置に表示される荷重目盛104が、その半径目盛105が示す作業半径における限界荷重を示すように対応付けて表示されている。すなわち、荷重指針106と半径指針107とが同じ位置を指した(重複するように表示された)場合、現在の吊り荷の荷重が限界荷重に達したことを意味している。現在の吊り荷の荷重が限界荷重に達すると、制御部15は、適宜の制御信号を外部へと出力し、ジブ4の動作を制限する。
【0059】
このように、クレーン1による作業において、荷重指針106と半径指針107とが主軸Xに沿って互いに近づき、同じ位置を示した(重複した)時点で、現在の吊り荷の荷重が限界荷重に達する。作業者は、この指針の動きを確認することにより、あとどの程度で限界荷重に到達するか、また、限界荷重に到達したか等を、感覚的に把握することができる。
【0060】
また制御部15は、荷重指針106と半径指針107とがある程度近づくと(より具体的には、現在の荷重が限界荷重の一定の割合以上の値になると)、状態表示102にその旨を報知する表示(例えば、「警告」の文字)を表示させる。さらに制御部15は、荷重指針106と半径指針107とが同じ位置を示すと(より具体的には、現在の荷重が限界荷重に達すると)、ジブ4の動作を制限し、状態表示102にその旨を報知する表示(例えば、「遮断」の文字)を表示させる。
【0061】
また、現在の荷重、作業半径及び限界荷重が数値(荷重表示108、半径表示109及び限界荷重表示110)でも表示されているため、所望の数値を確認することで、必要に応じて正確な値を把握することもできる。
【0062】
次に、数値計量画面200について説明する。図4に示す数値計量画面200は、吊り荷の荷重及び吊り荷の作業半径を、数値を用いて表示することが可能な画面である。数値計量画面200には、主としてボタン表示101、状態表示102、メッセージ表示103、荷重表示204、半径表示205及び限界荷重表示206が表示される。
【0063】
なお、数値計量画面200のボタン表示101、状態表示102及びメッセージ表示103は、メータ計量画面100のボタン表示101、状態表示102及びメッセージ表示103(図3参照)と概ね同様であるため、説明を省略する。
【0064】
荷重表示204は、現在の吊り荷の荷重を数値で表示するものである。荷重表示204は、表示部11の中央よりやや上側に表示される。制御部15は、主巻用ロードセル12又は補巻用ロードセル13によって検出された吊り荷の荷重を、荷重表示204に数値で表示させる。図4の例では、主巻用ロードセル12によって検出された吊り荷の荷重を示した例を示しており、荷重表示204の上にはその旨を示す「主巻」の文字が表示される。
【0065】
半径表示205は、現在の吊り荷の作業半径を数値で表示するものである。半径表示205は、表示部11の中央よりやや下側(荷重表示204の下方)に表示される。制御部15は、角度計14によって検出されたジブ4の傾斜角度αに基づいて作業半径を算出し、当該作業半径を半径表示205に数値で表示させる。
【0066】
限界荷重表示206は、現在の作業半径における限界荷重(許容荷重)を数値で表示するものである。限界荷重表示206は、表示部11の下部(半径表示205の下方)に表示される。制御部15は、現在の作業半径及びモーメントカーブに基づいて限界荷重を算出し、当該限界荷重を限界荷重表示206に数値で表示させる。
【0067】
次に、上述の数値計量画面200における表示態様について説明する。
【0068】
上述のように、数値計量画面200では、現在の荷重、作業半径及び限界荷重が数値(荷重表示204、半径表示205及び限界荷重表示206)で表示されている。特に、数値計量画面200では、荷重表示204等の数値の表示サイズが、メータ計量画面100(図3参照)の荷重表示108等の数値の表示サイズよりも大きく設定されている。このため、数値計量画面200では、荷重等の数値を視認し易く、ひいては荷重等の正確な値を容易に把握することができる。
【0069】
次に、モーメントカーブ表示画面300について説明する。図5及び図6に示すモーメントカーブ表示画面300は、制御部15に記憶されているモーメントカーブを表示することが可能な画面である。モーメントカーブ表示画面300には、主としてボタン表示101、状態表示102、荷重表示304、モーメントカーブ表示305及びサンプル設定値表示306が表示される。
【0070】
なお、モーメントカーブ表示画面300のボタン表示101及び状態表示102は、メータ計量画面100等のボタン表示101及び状態表示102(図3参照)と概ね同様であるため、説明を省略する。
【0071】
荷重表示304は、現在の吊り荷の荷重を数値で表示するものである。荷重表示304は、表示部11の上部に表示される。制御部15は、主巻用ロードセル12又は補巻用ロードセル13によって検出された吊り荷の荷重を、荷重表示304に数値で表示させる。図5の例では、主巻用ロードセル12によって検出された吊り荷の荷重を示した例を示しており、荷重表示304の左にはその旨を示す「主巻」の文字が表示される。
【0072】
図5に示すモーメントカーブ表示305は、現在選択されているモーメントカーブを表示するものである。モーメントカーブ表示305は、表示部11の概ね中央に表示される。モーメントカーブ表示305には、制御部15が現在選択しているモーメントカーブが表示される。
【0073】
また、モーメントカーブ表示画面300において、ボタン表示101のボタンを適宜操作することで、モーメントカーブ表示305(図5参照)をサンプル設定値表示306(図6参照)に切り換えることができる。
【0074】
図6に示すサンプル設定値表示306は、モーメントカーブを決定(算出)するために用いられたサンプル設定値を表示するものである。本実施形態において、サンプル設定値とは、作業半径の数値と、その作業半径における限界荷重(許容荷重)の数値の組合せを意味する。詳しくは後述するが、本実施形態において、制御部15は、記憶された複数のサンプル設定値から、モーメントカーブを算出している。サンプル設定値表示306は、モーメントカーブ表示305(図5参照)に表示されるモーメントカーブを算出する基となった複数のサンプル設定値の具体的な値を並べて表示することができる。
【0075】
このように、モーメントカーブ表示画面300でモーメントカーブを表示させることにより、制御部15に記憶されているモーメントカーブの内容を確認することができる。これによって、例えば、クレーン1で用いられているモーメントカーブと、クレーン1の製造会社から入手したモーメントカーブとを比較して、適切なモーメントカーブが用いられているかどうかを確認することができる。
【0076】
また、モーメントカーブ表示画面300において、ボタン表示101のボタンを適宜操作することで、制御部15に記憶されている複数のモーメントカーブを切り替えて表示部11に表示させることができる。これによって、所望のモーメントカーブを表示部11に表示させ、確認することができる。
【0077】
次に、モーメントカーブ設定画面400について説明する。図7に示すモーメントカーブ設定画面400は、限界荷重を算出するためのモーメントカーブを設定することが可能な画面である。モーメントカーブ設定画面400には、主としてボタン表示101及びサンプル入力値表示404が表示される。
【0078】
なお、モーメントカーブ設定画面400のボタン表示101は、メータ計量画面100等のボタン表示101(図3参照)と概ね同様であるため、説明を省略する。
【0079】
サンプル入力値表示404は、モーメントカーブを決定(算出)するために用いられるサンプル設定値を入力するためのものである。サンプル入力値表示404は、表示部11の概ね中央に表示される。サンプル入力値表示404には、複数のサンプル設定値(作業半径と、それに対応する限界荷重)が、数値を入力可能(変更可能)な状態で表示される。モーメントカーブ設定画面400では、ボタン表示101のボタンを適宜操作することで、サンプル設定値を修正、又は新規に入力することができる。
【0080】
なお、モーメントカーブはクレーン1の緒元に応じて定められるものであり、具体的なモーメントカーブはクレーン1の製造会社等から入手することができる。この入手したモーメントカーブから、いくつかのサンプル設定値を抽出し、サンプル入力値表示404に入力することができる。
【0081】
制御部15は、モーメントカーブ設定画面400で入力された複数のサンプル設定値に基づいて、モーメントカーブを算出する。また、ボタン表示101のボタンで所定の操作を行うことにより、算出されたモーメントカーブを制御部15に記憶(確定)することができる。以下では、図8を用いて、モーメントカーブの算出方法の一例について説明する。
【0082】
制御部15は、複数のサンプル設定値を所定の近似関数P=a/R+bを用いて近似することで、モーメントカーブを算出する。より具体的には、制御部15は、隣接する2つ(2点)のサンプル設定値を近似(2点近似)することで、モーメントカーブを算出する。図8には、一例として、4つ(4点)のサンプル設定値(Rn,Pn)=(80,500)、(100,500)、(130,440)、(150,420)を示している。なお、R(Rn)は作業半径、P(Pn)は限界荷重である。
【0083】
2点のサンプル設定値(例えば、(X1,Y1)と(X2,Y2)の間)の近似関数の係数a、bの算出式は、以下の式(1)及び(2)である。
(1)X1=X2、または、Y1=Y2の場合 :
a=0
b=Y1
(2)上記以外の場合 :
a=(Y1-Y2)・X1・X2/(X2-X1)
b=(X1・Y1-X2・Y2)/(X1-X2)
【0084】
上記式(1)及び(2)に従って係数a、bを算出すると、図8(a)に示すような値となる。この係数a、bを近似関数P=a/R+bに当てはめることで、図8(b)に示すようなモーメントカーブを算出することができる。
【0085】
このようにして制御部15は、モーメントカーブ設定画面400で入力された複数のサンプル設定値に基づいて、モーメントカーブを算出することができる。モーメントカーブ設定画面400では、主フック5を使用する場合の(主巻用の)サンプル設定値と、補フック6を使用する場合の(補巻用の)サンプル設定値を、それぞれ入力することができる。さらに、主巻用、補巻用のそれぞれに対して、複数のパターンのサンプル設定値を入力することができる。
【0086】
以上の如く、本実施形態に係るクレーン1の表示装置10は、
表示部11と、
前記ジブ4の作業半径を示す基準となる第一目盛(半径目盛105)、
前記ジブ4に吊り上げられた吊り荷の荷重を示す基準となる第二目盛(荷重目盛104)、
前記第一目盛を指し示すことで、前記ジブ4の傾斜角度αから算出された前記ジブ4の作業半径を示す第一指針(半径指針107)、
並びに、前記第二目盛を指し示すことで、前記吊り荷の荷重を示す第二指針(荷重指針106)を、
前記表示部11に表示させることが可能な制御部15と、
を具備し、
前記制御部15は、
前記第一指針と前記第二指針が同じ位置を指し示した際に、前記第二指針が前記吊り荷の限界荷重を示すように、前記第一目盛と前記第二目盛を互いに対応付けた位置に表示させるものである。
このように構成することにより、作業半径と限界荷重の関係を容易に把握することができる。すなわち、表示部11に表示された第一指針と第二指針の間隔を把握することで、あとどれくらいで(作業半径をどの程度まで大きくすれば)限界荷重に達するかを視覚的に把握することができる。
【0087】
また、前記制御部15は、
前記傾斜角度を検出可能な角度検出部(角度計14)による検出結果に応じて、前記第一目盛における前記第一指針の表示位置を変更し、
前記吊り荷の荷重を検出可能な荷重検出部(主巻用ロードセル12及び補巻用ロードセル13)による検出結果に応じて、前記第二目盛における前記第二指針の表示位置を変更するものである。
このように構成することにより、現在の作業状態(ジブ4の傾斜角度や吊り荷の荷重)を速やかに把握することができる。
【0088】
また、前記制御部15は、
前記第一目盛を、所定の点を中心とする円周上に沿うように、かつ、周方向一側(反時計回り)に向かって値が増加するように表示させ、
前記第二目盛を、前記第一目盛と同心円周上に沿うように、かつ、周方向他側(時計回り)に向かって値が増加するように表示させるものである。
このように構成することにより、作業半径と限界荷重の関係を容易に把握することができる。すなわち、第一目盛及び第二目盛を円周上に沿うように(ダイヤル状に)表示させることで、作業半径と限界荷重の関係を感覚的に把握し易くすることができる。
【0089】
また、前記制御部15は、
前記ジブ4の作業半径と、前記吊り荷の限界荷重との関係を表すモーメントカーブに基づいて、前記第一目盛と前記第二目盛を互いに対応付けるものである。
このように構成することにより、作業半径と限界荷重の関係を適切に把握することができる。すなわち、限界荷重を示すモーメントカーブに基づいて、前記第一目盛と前記第二目盛を適切に対応付けることができ、ひいては作業半径と限界荷重の関係を適切に把握することができる。
【0090】
また、前記制御部15は、
前記ジブ4の作業半径の第一サンプル値(R)と、当該第一サンプル値に対する前記吊り荷の限界荷重の第二サンプル値(P)と、に基づいて、前記モーメントカーブを算出するものである。
このように構成することにより、モーメントカーブを容易に使用することができる。すなわち、厳密なモーメントカーブを使用するのではなく、第一サンプル値及び第二サンプル値からモーメントカーブを算出するため、モーメントカーブを容易に使用することができる。
【0091】
また、前記制御部15は、
複数の種類の前記モーメントカーブに基づく前記第一目盛及び前記第二目盛を切り替えて前記表示部11に表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、所望のモーメントカーブに基づく前記第一目盛及び前記第二目盛を用いて、作業半径と限界荷重の関係を把握することができる。
【0092】
また、前記制御部15は、
前記モーメントカーブを前記表示部11(モーメントカーブ表示画面300)に表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、モーメントカーブを確認することができる。
【0093】
また、前記制御部15は、
前記第一目盛及び前記第二目盛と併せて、現在の前記ジブ4の作業半径に対する前記吊り荷の限界荷重を前記表示部11に表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、限界荷重を用意に把握することができる。
【0094】
また、以上の如く本実施形態に係るクレーン1の表示装置10は、
表示部11と、
前記ジブ4の作業半径と、前記ジブ4に吊り上げられた吊り荷の限界荷重との関係を表すモーメントカーブに基づいて、現在の前記ジブ4の傾斜角度αから算出された前記ジブ4の作業半径に対する、前記吊り荷の限界荷重を前記表示部11に表示させることが可能な制御部15と、
を具備し、
前記制御部15は、
前記モーメントカーブを前記表示部11に表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、モーメントカーブを確認することができる。モーメントカーブを確認することによって、適切なモーメントカーブが用いられているかどうか等の確認を容易に行うことができる。
【0095】
また、クレーン1の表示装置10は、
入力部(タッチパネルにより構成された表示部11)をさらに具備し、
前記制御部15は、
前記入力部による入力値に基づいて、前記モーメントカーブを修正、又は新規に記憶することが可能なものである。
このように構成することにより、利便性を向上させることができる。すなわち、パーソナルコンピュータ等の外部装置を用いることなく、表示装置10によりモーメントカーブの修正や新規登録(記憶)が可能となる。
【0096】
また、前記制御部15は、
前記入力部によって入力される前記ジブ4の傾斜角度α又は前記ジブ4の作業半径の第一サンプル値(R)と、当該第一サンプル値に対する前記吊り荷の限界荷重の第二サンプル値(P)と、に基づいて、前記モーメントカーブを修正、又は新規に記憶することが可能なものである。
このように構成することにより、モーメントカーブを容易に修正、又は新規に記憶することができる。すなわち、厳密なモーメントカーブを使用するのではなく、第一サンプル値及び第二サンプル値からモーメントカーブを算出するため、モーメントカーブを容易に使用することができる。
【0097】
また、前記表示部及び前記入力部は、一体化されたタッチパネルによって構成されるものである。
このように構成することにより、利便性を向上させることができる。すなわち、表示部11による表示を確認しながら直感的な入力操作が可能となるため、モーメントカーブの修正等の作業を容易に行うことができる。
【0098】
また、前記制御部15は、
記憶された複数の前記モーメントカーブを切り替えて表示可能なものである。
このように構成することにより、複数のモーメントカーブの確認を容易に行うことができる。
【0099】
また、前記制御部15は、
前記ジブ4の作業半径を示す基準となる第一目盛(半径目盛105)、
前記吊り荷の荷重を示す基準となる第二目盛(荷重目盛104)、
前記第一目盛を指し示すことで、前記ジブ4の作業半径を示す第一指針(半径指針107)、
並びに、前記第二目盛を指し示すことで、前記吊り荷の荷重を示す第二指針(荷重指針106)を、
前記表示部11に表示させることが可能であり、
前記第一指針と前記第二指針が同じ位置を指し示した際に、前記第二指針が前記吊り荷の限界荷重を示すように、前記第一目盛と前記第二目盛を互いに対応付けた位置に表示させるものである。
このように構成することにより、作業半径と限界荷重の関係を容易に把握することができる。
【0100】
なお、本実施形態に係る主巻用ロードセル12及び補巻用ロードセル13は、本発明に係る荷重検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る角度計14は、本発明に係る角度検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る半径目盛105は、本発明に係る第一目盛の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る荷重目盛104は、本発明に係る第二目盛の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る半径指針107は、本発明に係る第一指針の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る荷重指針106は、本発明に係る第二指針の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るサンプル設定値のR及びPは、それぞれ本発明に係る第一サンプル値及び第二サンプル値の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る表示部11(タッチパネル)は、本発明に係る表示部及び入力部の実施の一形態である。
【0101】
以下では、上述の実施形態の変形例について説明する。
【0102】
例えば、第一実施形態に係るメータ計量画面100(図3参照)では、所定の点を中心とした円周上に延びる主軸Xに沿って目盛を表示するものとしたが、図10に示す変形例(第二実施形態)に係るメータ計量画面100Aのように、直線的に延びる主軸Xに沿って目盛(荷重目盛104及び半径目盛105)を表示することもできる。
【0103】
このように、目盛の表示態様は限定するものではなく、任意の形状とすることが可能である。
【0104】
また、例えば、第一実施形態に係るモーメントカーブ設定画面400(図7参照)では、サンプル設定値を入力することでモーメントカーブを変更(修正)することができるものとしたが、この際に、図11に示す変形例(第三実施形態)に係るモーメントカーブ設定画面400Aのように、変更前のモーメントカーブと変更後のモーメントカーブを比較できるように表示させることも可能である。この場合、制御部15は、変更前のモーメントカーブと、変更後のモーメントカーブを一時的に記憶し、両者を比較できるようなモーメントカーブ比較表示405を表示部11に表示させる。例えば制御部15は、図11に示すように2つのモーメントカーブを表示部11に同時に表示させたり、所定の操作によって2つのモーメントカーブの表示を切り替えて比較できるようにすることが可能である。また制御部15は、一方のモーメントカーブを破線、他方を実線で表示するなど、両者の表示態様を異ならせた状態(両者を区別できる態様)で、両者を重ねて表示させるようにしてもよい。
【0105】
作業者は、変更前後のモーメントカーブを比較し、ボタン表示101のボタンを適宜操作し、より適切なモーメントカーブを選択することができる。制御部15は、選択されたモーメントカーブを採用し、選択されなかったモーメントカーブの記憶を削除する。
【0106】
このように、第三実施形態に係る前記制御部15は、
前記入力部による入力値に基づいて、前記モーメントカーブを修正する場合、修正前の前記モーメントカーブと、修正予定の前記モーメントカーブと、を比較できるように表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、モーメントカーブを適切に修正することができる。すなわち、修正前後のモーメントカーブを比較できるため、より適切なモーメントカーブを選択することができる。
【0107】
また、第一実施形態においては、モーメントカーブ設定画面400(図7参照)において、ボタン表示101が操作されることにより、サンプル設定値を修正、又は新規に入力し、制御部15は当該サンプル設定値に基づいてモーメントカーブを算出するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。
【0108】
例えば、変形例(第四実施形態)として、外部機器を用いてモーメントカーブやサンプル設定値を入力する構成とすることも可能である。例えば、パーソナルコンピュータ(以下、単に「パソコン」と称する)や各種記憶媒体(例えば、USBメモリ等)を表示部11に接続し、当該パソコン等からモーメントカーブやサンプル設定値に関する情報を表示部11(ひいては、制御部15)に入力することも可能である。
【0109】
制御部15は、モーメントカーブが入力された場合、当該モーメントカーブを記憶することができる。また制御部15は、サンプル設定値が入力された場合、当該サンプル設定値からモーメントカーブを算出し、記憶することができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0111】
例えば、上記実施形態では、吊り荷の作業半径を表示部11に表示したり、吊り荷の作業半径に基づくモーメントカーブを用いたりする例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、作業半径に代えて、ジブ4の傾斜角度αを表示部11に表示したり、傾斜角度αに基づくモーメントカーブ(傾斜角度αと限界荷重との関係を示すグラフ)を用いたりすることが可能である。
【0112】
また、上記実施形態では、例えば図3に示すように、限界荷重(許容荷重)を表示部11に表示させる例を示したが、例えば、限界荷重に代えて(又は、限界荷重と共に)、限界半径(又は限界角度)を表示部11に表示させることも可能である。なお、限界荷重(限界角度)とは、クレーン1が吊り上げている吊り荷の重さに対して、作業を行うことができる作業半径(又は、ジブ4の角度)の限界値である。
【0113】
また、上記実施形態においては、上記式(1)及び(2)を用いて、サンプル設定値からモーメントカーブを算出する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、サンプル設定値に基づいて適切なモーメントカーブを算出することができるものであれば、その他種々の計算式を用いてモーメントカーブを算出することが可能である。
【0114】
また、上記実施形態においては、入力されたいくつかのサンプル設定値からモーメントカーブを決定(算出)する例を示したが、例えば、入力されるサンプル設定値の選定を、作業者が行うのではなく制御部15が自動的に行うことも可能である。例えば制御部15に機械学習等によってサンプル設定値の適切な選定条件を学習させ、クレーン1の製造会社等から入手したモーメントカーブから、当該学習に基づいて自動的にサンプル設定値を選定することが可能である。このような構成によって、作業者の作業負担を軽減させることができ、モーメントカーブの決定が容易になる。
【0115】
また、上記実施形態において示した表示部11の画面(メータ計量画面100等)は一例であり、表示部11にはその他種々の画面を表示させたり、当該表示部11を用いて各種の操作(例えば、クレーン1に関する各種の設定操作、表示部11の表示に関する各種の設定操作等)を行うことが可能である。
【0116】
また、上記実施形態において示したクレーン1の構成は一例であり、本発明はその他種々のクレーンに適用することが可能である。
【0117】
また上記実施形態においては、表示装置10が主巻用ロードセル12、補巻用ロードセル13及び角度計14を具備するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、表示装置10は、外部から吊り荷の荷重やジブ4の傾斜角度αに関する情報を取得することも可能であり、このような場合、必ずしも表示装置10自身が主巻用ロードセル12等を具備する必要はない。
【符号の説明】
【0118】
1 クレーン
4 ジブ
10 表示装置
11 表示部
12 主巻用ロードセル
13 補巻用ロードセル
14 角度計
15 制御部
100 メータ計量画面
104 荷重目盛
105 半径目盛
106 荷重指針
107 半径指針
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11