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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】通信システム、通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20241029BHJP
   G08B 29/00 20060101ALI20241029BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G08B29/00 Z
H04L12/28 200Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020075738
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021175041
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】藤井 信彦
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信二
(72)【発明者】
【氏名】田中 康孝
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-259224(JP,A)
【文献】特開2014-007535(JP,A)
【文献】特開平09-134490(JP,A)
【文献】特開2002-008166(JP,A)
【文献】特開2015-113634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
G08B 29/00
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数珠つなぎに接続される複数台の機器と、
前記複数台の機器に接続されるとともに、前記複数台の機器から前記機器に関するデータを取得し、取得した前記データを外部システムに送信する通信装置と、を備え、
前記通信装置および前記外部システムの間の通信と、前記通信装置および前記機器の間の通信とは、互いに異なる通信規格の通信であり、
前記複数台の機器の各々は、機器点検の通信を受付可能であり、
前記通信装置は、制御部を含み、
少なくとも一部の前記機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、前記通信装置の前記制御部が、警報しきい値を超える検知対象を検知していない前記機器に、機器点検の指示を送信し、検知していない前記機器が機器点検の指示を受け付ける、通信システム。
【請求項2】
機器点検は、前記通信装置を介して前記外部システムからの指示に基づいて実施される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信装置は、定期的に、前記外部システムからの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行うように構成されている、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信装置は、少なくとも一部の前記機器が前記検知対象を検知している場合、前記検知対象の検知情報を含む前記データの前記外部システムへの通信周期を短くする一方、機器点検の指示を確認するための前記外部システムへの通信周期を変えずに維持するように構成されている、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記データの前記外部システムへの通信周期は、機器点検の指示を確認するための前記外部システムへの通信周期よりも短い、請求項3または4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信装置は、長距離広域無線ネットワークを用いて前記外部システムと通信を行うように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
少なくとも一部の前記機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、警報しきい値を超える検知対象を検知していない前記機器が、メンテナンスモードに設定するための機器点検の指示を受け付ける、請求項1~6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信装置は、前記複数台の機器の各々を識別するための識別情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記通信装置の前記制御部は、前記複数台の機器の各々の前記識別情報により、前記複数台の各々を指定した機器点検の指示を行うことが可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
外部システムに接続される第1通信部と、
数珠つなぎに接続される複数台の機器に接続される第2通信部と、
前記第2通信部を介して前記複数台の機器から前記機器に関するデータを取得し、取得した前記データを前記第1通信部を介して前記外部システムに送信する制御部と、を備え、
前記第1通信部および前記外部システムの間の通信と、前記第2通信部および前記機器の間の通信とは、互いに異なる通信規格の通信であり、
前記複数台の機器の各々は、前記第2通信部を介して機器点検の指示を受付可能であり、
少なくとも一部の前記機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、前記制御部が、警報しきい値を超える検知対象を検知していない前記機器に、機器点検の指示を送信し、検知していない前記機器が機器点検の指示を受け付ける、通信装置。
【請求項10】
複数台の機器が数珠つなぎに接続される通信装置により、前記複数台の機器から前記機器に関するデータを取得するステップと、
外部システムからの機器点検の指示を受信するステップと、
少なくとも一部の前記機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、前記通信装置の制御部により、警報しきい値を超える検知対象を検知していない前記機器に、機器点検の指示を送信し、検知していない前記機器が機器点検の指示を受け付けるステップと、を備え、
前記通信装置および前記外部システムの間の通信と、前記通信装置および前記機器の間の通信とは、互いに異なる通信規格の通信である、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信システム、通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数台の機器に接続される通信システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数台のガス検知器と、複数台のガス検知器に接続される管理装置とを備える環境監視システム(通信システム)が開示されている。複数台のガス検知器は、監視対象空間に配置されている。また、管理装置は、監視対象空間とは離れた中央監視室に配置されている。複数台のガス検知器と管理装置とは、LANおよびRS-485などのインターフェースを利用したネットワークによって、互いに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-257123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、上記特許文献1に記載されるような環境監視システムでは、ガス検知器がガスを検知している場合に、校正などの機器点検の通信を受け付けない場合があると考えられる。この場合、検知しているガス検知器だけでなく、同じネットワークに接続された他の検知していないガス検知器も機器点検を行うことができなくなると、複数台の機器が同じネットワークに接続されている構成において、機器点検の利便性が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数台の機器が同じネットワークに接続されている構成において、機器点検の利便性を高めることが可能な通信システム、通信装置および通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による通信システムは、数珠つなぎに接続される複数台の機器と、複数台の機器に接続されるとともに、複数台の機器から機器に関するデータを取得し、取得したデータを外部システムに送信する通信装置と、を備え、通信装置および外部システムの間の通信と、通信装置および機器の間の通信とは、互いに異なる通信規格の通信であり、複数台の機器の各々は、機器点検の通信を受付可能であり、通信装置は、制御部を含み、少なくとも一部の機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、通信装置の制御部が、警報しきい値を超える検知対象を検知していない機器に、機器点検の指示を送信し、検知していない機器が機器点検の指示を受る。
【0008】
この発明の第1の局面による通信システムでは、上記のように、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合にも、検知していない機器が機器点検の通信を受付可能である。これにより、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合にも、同じネットワーク(通信装置)に接続された検知していない機器が機器点検の通信を受け付けて、機器点検を行うことができる。その結果、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合に、検知していない機器が機器点検を行うことができなくなる場合に比べて、複数台の機器が同じネットワーク(通信装置)に接続されている構成において、機器点検の利便性を高めることができる。
【0009】
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、機器点検は、通信装置を介して外部システムからの指示に基づいて実施される。このように構成すれば、ユーザが外部システムから機器点検の指示を出して、機器点検を行うことができる。その結果、ユーザの指示による機器点検を容易に行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、通信装置は、定期的に、外部システムからの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行うように構成されている。このように構成すれば、定期的に外部システムからの機器点検の指示を確認することができる。その結果、ユーザの指示による機器点検を迅速に行うことができる。
【0011】
上記定期的に外部システムからの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行う構成において、好ましくは、通信装置は、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合、検知対象の検知情報を含むデータの外部システムへの通信周期を短くする一方、機器点検の指示を確認するための外部システムへの通信周期を変えずに維持するように構成されている。このように構成すれば、迅速に通信する必要性が高い検知対象の検知情報を含むデータを外部システムに通常よりも短周期で送信することができる。その結果、検知対象の検知状況の変化に迅速に対応することができる。また、迅速に通信する必要性が低い機器点検の指示を確認するための情報については、短周期にせずに通常の周期で送信することができる。その結果、通信量の増加を抑制することができる。これらの結果、通信量の増加を抑制しつつ、検知対象の検知状況の変化に迅速に対応することができる。
【0012】
上記定期的に外部システムからの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行う構成において、好ましくは、データの外部システムへの通信周期は、機器点検の指示を確認するための外部システムへの通信周期よりも短い。このように構成すれば、迅速に通信する必要性が高いデータを、迅速に通信する必要性が低い機器点検の指示を確認するための情報よりも短周期で送信することができる。その結果、通信装置から外部システムへの通信を効果的に行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、通信装置は、長距離広域無線ネットワークを用いて外部システムと通信を行うように構成されている。ここで、「長距離広域無線ネットワーク」とは、たとえば、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)などを含む概念である。このように構成すれば、長距離広域無線ネットワークにより広域で通信を行うことができる。その結果、通信装置と外部システムとが広域で離れて配置されている場合にも、通信装置と外部システムとの通信を容易に行うことができる。
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、少なくとも一部の機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、警報しきい値を超える検知対象を検知していない機器が、メンテナンスモードに設定するための機器点検の指示を受け付ける。
上記第1の局面による通信システムにおいて、好ましくは、複数台の機器の各々は、数珠つなぎに接続されており、少なくとも一部の機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、数珠つなぎに接続された、検知していない機器が機器点検の通信を受付可能である。
この発明の第2の局面による通信装置は、外部システムに接続される第1通信部と、数珠つなぎに接続される複数台の機器に接続される第2通信部と、第2通信部を介して複数台の機器から機器に関するデータを取得し、取得したデータを第1通信部を介して外部システムに送信する制御部と、を備え、第1通信部および外部システムの間の通信と、第2通信部および機器の間の通信とは、互いに異なる通信規格の通信であり、複数台の機器の各々は、第2通信部を介して機器点検の指示を受付可能であり、少なくとも一部の機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、制御部が、警報しきい値を超える検知対象を検知していない機器に、機器点検の指示を送信し、検知していない機器が機器点検の指示を受け付ける。
この発明の第3の局面による通信方法は、複数台の機器が数珠つなぎに接続される通信装置により、複数台の機器から機器に関するデータを取得するステップと、外部システムからの機器点検の指示を受信するステップと、少なくとも一部の機器が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、通信装置の制御部により、警報しきい値を超える検知対象を検知していない機器に、機器点検の指示を送信し、検知していない機器が機器点検の指示を受け付けるステップと、を備え、通信装置および外部システムの間の通信と、通信装置および機器の間の通信とは、互いに異なる通信規格の通信である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記のように、複数台の機器が同じネットワークに接続されている構成において、機器点検の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による通信システムを示した模式図である。
図2】一実施形態による通信システムの機器を説明するためのブロック図である。
図3】一実施形態による通信システムの通信装置を説明するためのブロック図である。
図4】一実施形態による通信システムのデータ要求およびデータ送信を説明するための模式図である。
図5】一実施形態による通信システムの機器点検確認および機器点検指示を説明するための模式図である。
図6】一実施形態による通信システムのデータの外部システムへの通信周期を説明するための模式図である。
図7】一実施形態による通信システムの機器点検確認の外部システムへの通信周期を説明するための模式図である。
図8】一実施形態による通信システムの通信装置のデータ処理を説明するためのフローチャートである。
図9】一実施形態による通信システムの通信装置の機器点検処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図7を参照して、一実施形態による通信システム100の構成について説明する。
【0018】
(通信システムの構成)
図1に示すように、通信システム100は、外部システム(上位システム)200と共に、工場の状態を監視するように構成されている。通信システム100は、複数台の機器(電子機器)10と、通信装置20とを備えている。複数台の機器10は、測定対象(検知対象)を測定する測定器(検知器)として設けられている。具体的には、複数台の機器10は、測定対象のガスを測定するガス測定器として設けられている。複数台の機器10は、たとえば、ガス配管により測定個所に流体的に接続されている。通信装置20は、複数台の機器10に接続されるとともに、機器10に関するデータを取得し、取得したデータを外部システム200に送信するように構成されている。機器10に関するデータは、機器10のステータス情報およびガス濃度情報などを含んでいる。
【0019】
外部システム200は、ユーザ側の監視システムである。外部システム200は、通信装置201と、制御装置202と、表示装置203とを備えている。通信装置201は、通信装置20と通信を行い、機器10に関するデータを受信するように構成されている。制御装置202は、機器10に関するデータを取得し、取得したデータに基づいて所定の処理を行うように構成されている。表示装置203は、制御装置202の指令に基づいて、警報に関する情報などを表示するように構成されている。
【0020】
通信装置20は、無線通信を用いて外部システム200と通信を行うように構成されている。具体的には、通信装置20は、長距離広域無線ネットワークを用いて外部システム200と通信を行うように構成されている。長距離広域無線ネットワークとは、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)である。通信装置20は、機器10、後述する機器30および機器50から取得した信号をLoRaWANの無線信号に変換する機能を有する無線変換器である。
【0021】
また、通信装置20は、有線通信を用いて機器10と通信を行うように構成されている。具体的には、通信装置20は、Modbus(登録商標)を用いて機器10と通信を行うように構成されている。また、機器10は、通信装置20に数珠つなぎに接続されている。これにより、通信装置20に1台の機器10を接続するだけでよいので、通信装置20に多数の接続ポートを設ける必要がない。通信装置20と機器10とは、Modbusに対応するケーブルにより接続されている。また、機器10同士も、Modbusに対応するケーブルにより接続されている。通信装置20は、末端の端末であるエンドポイントとして設けられている。複数台の機器10と通信装置20とは、Modbusを利用したネットワークにより、互いに接続されている。
【0022】
また、通信システム100は、機器30と、複数台の機器40とを備えている。機器30は、複数台の機器10を介して通信装置20に接続されている。機器30は、有線通信を用いて通信装置20と通信を行うように構成されている。機器30は、Modbusに対応するケーブルにより機器10に接続されている。また、複数台の機器40は、測定対象(検知対象)を測定する測定器(検知器)として設けられている。具体的には、複数台の機器40は、測定対象のガスを測定するガス測定器として設けられている。また、複数台の機器40は、4-20mAのアナログ出力に対応するケーブルにより機器30に接続されている。機器30は、機器40から取得した4-20mAのアナログ出力信号をModbus信号に変換する機能を有している。これにより、Modbus非対応の機器40を通信装置20に接続することができる。機器40は、Modbus非対応の機器である。
【0023】
また、通信システム100は、機器50を備えている。機器50は、通信装置20に接続されている。機器50は、有線通信を用いて通信装置20と通信を行うように構成されている。機器50は、4-20mAのアナログ出力に対応するケーブル、および、Modbus以外のデジタル出力に対応するケーブルの2つのケーブルにより通信装置20に接続されている。機器50は、Modbus非対応の機器である。
【0024】
通信装置20は、Modbus、4-20mAのアナログ出力、および、Modbus以外のデジタル出力の互いに異なる複数の通信形式に対応するマルチ入力可能な装置である。通信装置20が互いに異なる複数の通信形式で入力可能(マルチ入力可能)なことにより、通信装置20が1つの通信形式でのみ入力可能な場合に比べて、通信装置20の利便性を高めることができる。
【0025】
また、通信システム100は、警報装置60を備えている。警報装置60は、通信装置20に接続されている。警報装置60は、通信装置20からの接点出力に基づいて、警報を行うように構成されている。警報装置60は、光により警報を行う表示灯および音により警報を行うスピーカなどを含んでいる。警報装置60は、たとえば、機器10、機器40および機器50のいずれかにより外部システム200への通知が必要なしきい値を超える測定対象が測定された場合、光および音などにより警報を行うように構成されている。
【0026】
(機器の構成)
次に、機器10の詳細な構成について説明する。
【0027】
図2に示すように、機器10は、センサ部11と、第1通信部12と、第2通信部13と、表示部14と、操作部15と、記憶部16と、制御部17とを備えている。なお、図2では、最も上流側(通信装置20に近い側)の機器10の構成を図示している。
【0028】
センサ部11は、測定対象(検知対象)を測定(検知)するように構成されている。具体的には、センサ部11は、測定対象のガス濃度を測定するように構成されている。測定対象のガスは、測定個所に応じて適宜決定されるが、たとえば、水素、酸素、硫化水素、および、一酸化炭素などであり得る。センサ部11は、たとえば、熱線型半導体式の水素測定用のガスセンサ素子、隔膜ガルバニ電池式の酸素測定用のガスセンサ素子、定電位電解式の硫化水素測定用のガスセンサ素子、および、定電位電解式の一酸化炭素測定用のガスセンサ素子などを含んでいる。なお、センサ部11は、1種類のガスを測定するように1つのみ設けられていてもよいし、複数種類のガスを測定するように複数設けられていてもよい。
【0029】
第1通信部12は、通信装置20に通信可能に接続されている。第1通信部12は、Modbusに対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。なお、最も上流側の機器10以外の機器10では、第1通信部12は、1つ上流側(通信装置20に近い側)の機器10に接続されている。機器10は、第1通信部12を介して、上流側の装置(通信装置20または機器10)と信号を送受信可能に構成されている。第2通信部13は、1つ下流側(通信装置20から遠い側)の機器10に通信可能に接続されている。第2通信部13は、Modbusに対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。なお、最も下流側の機器10では、第2通信部13は、機器30に接続されている。機器10は、第2通信部13を介して、下流側の装置(機器10または機器30)と信号を送受信可能に構成されている。
【0030】
表示部14は、機器10のステータス(正常状態、警報状態、エラー状態など)に関する情報、および、ガス濃度に関する情報などを表示するように構成されている。表示部14は、情報を表示するための液晶パネルを含む液晶表示部である。操作部15は、機器10の電源のオンオフ操作、および、機器10のモードの切替操作などを受け付けるように構成されている。操作部15は、押しボタン式のボタン操作部である。
【0031】
記憶部16は、機器10に関する情報を記憶するように構成されている。具体的には、記憶部16には、機器10を識別する識別情報Aが記憶されている。識別情報Aは、特に限られないが、たとえば、機器10を識別する番号であり得る。複数台の機器10の各々は、自身を識別する識別情報Aを記憶部16に記憶している。記憶部16は、たとえばフラッシュメモリなどの書き換え可能な記録媒体を含んでいる。制御部17は、CPU(中央処理装置)を含み、機器10の全体の動作を制御する制御回路である。制御部17は、通信装置20との通信動作、および、測定対象ガスの測定動作などを制御するように構成されている。
【0032】
(通信装置の構成)
次に、通信装置20の詳細な構成について説明する。
【0033】
図3に示すように、通信装置20は、第1通信部21と、第2通信部22と、第3通信部23と、第4通信部24と、出力部25と、記憶部26と、制御部27とを備えている。
【0034】
第1通信部21は、外部システム200に通信可能に接続されている。第1通信部21は、LoRaWANに対応する無線信号を送受信するためのアンテナを含む無線通信部である。通信装置20は、第1通信部21を介して、外部システム200と信号を送受信可能に構成されている。第2通信部22は、通信装置20に最も近い機器10に通信可能に接続されている。これにより、第2通信部22は、数珠つなぎに接続された複数台の機器10に通信可能に接続されている。第2通信部22は、Modbusに対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。通信装置20は、第2通信部22を介して、複数台の機器10の各々と信号を送受信可能に構成されている。
【0035】
第3通信部23は、機器50に通信可能に接続されている。第3通信部23は、4-20mAのアナログ出力に対応するケーブルを接続するための接続部を含む有線通信部である。通信装置20は、第3通信部23を介して、機器50と信号を送受信可能に構成されている。第4通信部24は、機器50に通信可能に接続されている。第4通信部24は、Modbus以外のデジタル出力に対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である。通信装置20は、第4通信部24を介して、機器50と信号を送受信可能に構成されている。出力部25は、警報装置60に接続されている。出力部25は、接点出力を行うためのリレーを含む接点出力部である。通信装置20は、警報時に、出力部25を介して、警報装置60に接点出力を行い、警報を行わせるように構成されている。
【0036】
記憶部26は、機器10との通信に関する情報を記憶するように構成されている。具体的には、記憶部26には、複数台の機器10を識別する識別情報Aが記憶されている。通信装置20は、複数台の機器10を識別する識別情報Aを記憶部26に予め記憶するように構成されている。複数台の機器10の個別の識別情報Aにより、通信装置20は、複数台の機器10の各々を指定した通信を行うことが可能である。記憶部26は、たとえばフラッシュメモリなどの書き換え可能な記録媒体を含んでいる。制御部27は、CPU(中央処理装置)を含み、通信装置20の全体の動作を制御する制御回路である。制御部27は、機器10との通信動作、および、外部システム200との通信動作などを制御するように構成されている。
【0037】
(データ要求通信)
図4(A)(B)に示すように、通信装置20は、複数台の機器10にデータ要求通信を行い、複数台の機器10からデータを取得し、取得したデータを外部システム200に送信するように構成されている。
【0038】
具体的には、通信装置20の制御部27(図3参照)は、機器10に関するデータを要求するデータ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うように構成されている。また、機器10の制御部17(図2参照)は、データ要求通信により要求された自身のデータ(ステータス情報およびガス濃度情報など)を通信装置20に返信するように構成されている。これにより、通信装置20の制御部27は、複数台の機器10の各々のデータを順次取得するように構成されている。
【0039】
より具体的には、通信装置20の制御部27は、No.1の機器10の識別情報A(図3参照)に基づいてNo.1の機器10にデータ要求通信を行い、No.1の機器10からデータを受信し、No.2の機器10の識別情報Aに基づいてNo.2の機器10にデータ要求通信を行い、No.2の機器10からデータを受信し・・・というように、データ要求通信を複数台の機器10の各々に順次行うように構成されている。なお、図2では、便宜上、No.1の機器10およびNo.2の機器10のデータ要求通信のみを図示している。しかしながら、実際には、複数台の機器10の全てにデータ要求通信が行われる。
【0040】
通信装置20の制御部27は、定期的(たとえば、30秒毎)に、複数台の機器10にデータ要求通信を有線通信を用いて行い、複数台の機器10の各々のデータを有線通信を用いて取得するように構成されている。そして、通信装置20の制御部27は、定期的に、取得した複数台の機器10のデータを無線信号に変換して無線通信を用いて外部システム200に送信するように構成されている。なお、詳細な説明は省略するが、機器10へのデータ要求通信時には、機器30(図1参照)へのデータ要求通信も行われる。
【0041】
(機器点検の通信)
また、図5に示すように、複数台の機器10の各々は、機器点検の通信を受付可能に構成されている。機器点検の通信とは、機器10をメンテナンスのためのメンテナンスモードに設定するための通信である。メンテナンスモードでは、機器10の校正作業(標準ガスを用いた校正作業など)および機器10の部品交換作業(センサ部11の交換作業など)などを行うことが可能である。
【0042】
ここで、本実施形態では、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合にも、検知していない機器10が機器点検の通信を受付可能である。すなわち、複数台の機器10のうちの少なくとも一部が外部システム200への通知が必要なしきい値(警報しきい値)を超える検知対象のガスを検知している場合にも、検知していない他の機器10が機器点検の通信を受け付けて、メンテナンスモードになることが可能である。なお、メンテナンスモードになっても検知対象のガスの検知に影響しない場合(検知対象のガスの検知および検知情報の送信を継続可能な場合)には、検知している機器10も、外部システム200への通知が必要なしきい値を超える検知対象のガスを検知している場合に、機器点検の通信を受け付けて、メンテナンスモードになることが可能であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、機器点検は、通信装置20を介して外部システム200からの指示に基づいて実施される。具体的には、通信装置20の制御部27(図3参照)は、定期的(たとえば、60秒毎)に、外部システム200からの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行うように構成されている。これにより、通信装置20の制御部27は、定期的に、外部システム200から機器点検の指示を取得し、取得した機器点検の指示を機器10に送信するように構成されている。機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信とは、外部システム200に機器点検の指示に関する肯定応答(acknowledgement)を促す情報を含んだ通信(いわゆる、アック付き通信)である。外部システム200は、ユーザによる機器点検の指示の設定が行われている場合、通信装置20からのアック付き通信に応答する形で、肯定応答として機器点検の指示を送信する。
【0044】
たとえば、通信装置20の制御部27が、ある定期通信時に、外部システム200からNo.1の機器10の機器点検の指示を取得したとする。この場合、通信装置20の制御部27は、No.1の機器10の識別情報A(図3参照)に基づいてNo.1の機器10に機器点検の指示を行う。そして、No.1の機器10の制御部17(図2参照)は、通信装置20からの機器点検の指示を受け付けて、自身をメンテナンスモードに設定する。この際、No.2の機器10が検知対象を検知していたとしても、検知していないNo.1の機器10は、通信装置20からの機器点検の指示を受け付けて、自身をメンテナンスモードに設定する。なお、便宜上、No.1の機器10の機器点検の指示を取得する例を説明したが、No.1の機器10以外の機器10の機器点検の指示を取得することも可能である。また、機器点検の指示は、1つのみ取得されてもよいし、複数取得されてもよい。また、定期通信時に、外部システム200から機器点検の指示を取得できない場合には、その定期通信時の通信装置20から機器10への機器点検の指示は行われない。
【0045】
また、本実施形態では、図6に示すように、通信装置20の制御部27(図3参照)は、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合、検知対象の検知情報(ガス濃度情報など)を含むデータの外部システム200への通信周期T1を短くするように構成されている。すなわち、通信装置20の制御部27は、少なくとも一部の機器10が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合、検知対象の検知情報(ガス濃度情報など)を含むデータの外部システム200との定期通信の頻度を増加するように構成されている。たとえば、通信装置20の制御部27は、通信周期T1を数分の1程度に短くする。その後、通信装置20の制御部27は、機器10が検知対象を検知しなくなった場合、通信周期T1を通常の周期に戻すように構成されている。
【0046】
一方、図7に示すように、通信装置20の制御部27(図3参照)は、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合にも、機器点検の指示を確認するための外部システム200への通信周期T2を変えずに維持するように構成されている。すなわち、通信装置20の制御部27は、少なくとも一部の機器10が警報しきい値を超える検知対象を検知している場合にも、機器点検の指示を確認するための外部システム200との定期通信の頻度を変えずに維持するように構成されている。通信装置20の制御部27は、機器10の検知対象の検知状態にかかわらず、一定の通信周期T2で、機器点検の指示を確認するための情報を外部システム200に送信するように構成されている。
【0047】
また、本実施形態では、図6および図7に示すように、検知対象の検知情報を含むデータの外部システム200への通信周期T1は、機器点検の指示を確認するための外部システム200への通信周期T2よりも短い。具体的には、データの外部システム200への通信周期T1は、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合、および、全ての機器10が検知対象を検知していない場合のいずれにおいても、機器点検の指示を確認するための外部システム200への通信周期T2よりも短い。たとえば、通信周期T1は、通信周期T2の数分の1程度である。
【0048】
なお、機器点検の指示を確認するための定期通信は、データの定期通信と別々のタイミングで(タイミングをずらして)行われてもよいし、同じタイミングで(タイミングを合わせて)行われてもよい。同じタイミングで行われる場合には、データの定期通信の何回かに1回、データと共に、機器点検の指示を確認するための情報を外部システム200に送信すればよい。
【0049】
(データ処理)
次に、図8を参照して、本実施形態の通信装置20によるデータ処理をフローチャートに基づいて説明する。ステップS1~S4は、起動時の処理である。また、ステップS5~S9は、起動後の処理である。
【0050】
図8に示すように、電源が投入される(起動される)と、ステップS1において、制御部27のCPUの初期設定が行われる。そして、ステップS2において、設定情報の読み出しが行われる。そして、ステップS3において、機器10の接続確認が終了されたか否かが判定される。ステップS3において、機器10の接続確認が終了されていないと判定された場合、ステップS4に進む。
【0051】
そして、ステップS4において、起動時の接続確認および通常動作時の接続先の決定が行われる。すなわち、ステップS4では、複数台の機器10に初期設定情報を要求するデータ要求通信が行われる。初期設定情報は、測定対象ガスの濃度のフルスケールの情報、および、測定対象ガスの警報のしきい値の情報などを含んでいる。そして、ステップS4では、通信エラーが発生せずに正常に接続されていると判定された機器10が接続先として決定される。
【0052】
また、ステップS3において、機器10の接続確認が終了されていると判定された場合、ステップS5に進む。そして、ステップS5において、有線通信タイミング(Modbus通信タイミング)であるか否かが判定される。すなわち、ステップS5では、通信装置20から機器10へのデータ要求通信の定期通信タイミングであるか否かが判定される。ステップS5において、有線通信タイミングでないと判定された場合、ステップS6およびS7の処理を飛ばして、ステップS8に進む。また、ステップS5において、有線通信タイミングであると判定された場合、ステップS6に進む。
【0053】
そして、ステップS6において、接続先に選択されている機器10へのステータス情報およびガス濃度情報などを要求するデータ要求通信が行われる。そして、機器10から要求したデータが返信されて取得される。そして、ステップS7では、機器10から取得されたデータへの通信情報処理が行われる。
【0054】
そして、ステップS8において、無線通信タイミング(LoRaWAN通信タイミング)であるか否かが判定される。すなわち、ステップS8では、通信装置20から外部システム200へのデータ送信の定期通信タイミングであるか否かが判定される。ステップS8において、無線通信タイミングでないと判定された場合、ステップS9の処理を飛ばして、ステップS5に戻る。また、ステップS8において、無線通信タイミングであると判定された場合、ステップS9に進む。そして、ステップS9において、外部システム200へのデータ送信が行われる。そして、ステップS5に戻る。その後、電源オンの間、ステップS5~S9の処理が適宜行われる。
【0055】
なお、接続先に選択されている機器10のいずれかにより警報しきい値を超える検知対象ガスが検知された場合には、定期通信時でなくても、通信装置20から外部システム200に即時に機器10から取得したデータが送信される。また、接続先に選択されている機器10のいずれかにより警報しきい値を超える検知対象ガスが検知された場合には、データの外部システム200への通信周期T1が短くされる。すなわち、ステップS5において有線通信タイミングであると判定される時間間隔およびステップS8において無線通信タイミングであると判定される時間間隔が短くなる。この際、通信周期T2は変わらない。
【0056】
(機器点検処理)
次に、図9を参照して、本実施形態の通信装置20による機器点検処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
図9に示すように、ステップS11において、機器点検確認タイミング(LoRaWAN通信タイミング)であるか否かが判定される。すなわち、ステップS11では、外部システム200からの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信の定期通信タイミングであるか否かが判定される。ステップS11において、機器点検確認タイミングでないと判定された場合、ステップS11の処理を繰り返す。また、ステップS11において、機器点検確認タイミングであると判定された場合、ステップS12に進む。
【0058】
そして、ステップS12において、外部システム200からの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信が行われる。そして、ステップS13において、外部システム200から機器点検の指示を受信したか否かが判断される。ステップS13において、外部システム200から機器点検の指示を受信していないと判断された場合、ステップS11に戻る。また、ステップS13において、外部システム200から機器点検の指示を受信したと判断された場合、ステップS14に進む。そして、ステップS14において、外部システム200から指定された機器10への機器点検の指示が行われる。この際、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知していたとしても、検知していない機器10は、機器点検の指示を受け付ける。そして、ステップS11に戻る。その後、電源オンの間、ステップS11~S14の処理が適宜行われる。
【0059】
なお、機器10の検知対象ガスの検知状態にかかわらず、機器点検の指示を確認するための外部システム200への通信周期T2は変わらない。すなわち、機器10の検知対象ガスの検知状態にかかわらず、ステップS11において機器点検確認タイミングであると判定される時間間隔は変わらない。
【0060】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、上記のように、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合にも、検知していない機器10が機器点検の通信を受付可能である。これにより、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合にも、同じネットワーク(通信装置20)に接続された検知していない機器10が機器点検の通信を受け付けて、機器点検を行うことができる。その結果、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合に、検知していない機器10が機器点検を行うことができなくなる場合に比べて、複数台の機器が同じネットワーク(通信装置20)に接続されている構成において、機器点検の利便性を高めることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、機器点検は、通信装置20を介して外部システム200からの指示に基づいて実施される。これにより、ユーザが外部システム200から機器点検の指示を出して、機器点検を行うことができる。その結果、ユーザの指示による機器点検を容易に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、通信装置20を、定期的に、外部システム200からの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行うように構成する。これにより、定期的に外部システム200からの機器点検の指示を確認することができる。その結果、ユーザの指示による機器点検を迅速に行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、通信装置20を、少なくとも一部の機器10が検知対象を検知している場合、検知対象の検知情報を含むデータの外部システム200への通信周期T1を短くする一方、機器点検の指示を確認するための外部システム200への通信周期T2を変えずに維持するように構成する。これにより、迅速に通信する必要性が高い検知対象の検知情報を含むデータを外部システム200に通常よりも短周期で送信することができる。その結果、検知対象の検知状況の変化に迅速に対応することができる。また、迅速に通信する必要性が低い機器点検の指示を確認するための情報については、短周期にせずに通常の周期で送信することができる。その結果、通信量の増加を抑制することができる。これらの結果、通信量の増加を抑制しつつ、検知対象の検知状況の変化に迅速に対応することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、データの外部システム200への通信周期T1を、機器点検の指示を確認するための外部システム200への通信周期T2よりも短くする。これにより、迅速に通信する必要性が高いデータを、迅速に通信する必要性が低い機器点検の指示を確認するための情報よりも短周期で送信することができる。その結果、通信装置20から外部システム200への通信を効果的に行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、通信装置20を、長距離広域無線ネットワークを用いて外部システム200と通信を行うように構成する。これにより、長距離広域無線ネットワークにより広域で通信を行うことができる。その結果、通信装置20と外部システム200とが広域で離れて配置されている場合にも、通信装置20と外部システム200との通信を容易に行うことができる。
【0067】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0068】
たとえば、上記実施形態では、機器が、ガス測定器として設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機器が、ガス測定器以外の圧力測定器(圧力センサ)および温度測定器(温度センサ)などの測定器として設けられていてもよい。また、通信装置に接続される機器は、1種類(ガス測定器のみなど)に限られず、複数種類(ガス測定器、圧力測定器および温度測定器の3種類など)であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、通信装置が、LoRaWANを用いて外部システムと通信を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信装置が、LoRaWAN以外のSIGFOXやNB―IoT、WiFiなどの無線通信を用いて機器と通信を行うように構成されていてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、通信装置が、Modbusを用いて機器と通信を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信装置が、Modbus以外のPoE(Power over Ethernet)などの有線通信を用いて機器と通信を行うように構成されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、通信システムが、アナログ出力信号をModbus信号に変換する機器を備えている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信システムが、アナログ出力信号をModbus信号に変換する機器を備えていなくてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、複数台の機器が、通信装置に数珠つなぎに接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数台の機器の各々が、通信装置に直接接続されていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、機器点検が、通信装置を介して外部システムからの指示に基づいて実施される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機器点検が、外部システムを介さない通信装置からの指示に基づいて実施されてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、通信装置が、定期的に、外部システムからの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信装置が、ユーザの指示に基づいて、外部システムからの機器点検の指示を確認するための情報を含んだ通信を行ってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、外部システムが、通信装置からの通信に応答する形で、機器点検の指示を通信装置に送信する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、外部システムが、通信装置からの通信にかかわらず、所定のタイミングで、機器点検の指示を通信装置に送信してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、通信装置が、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合に、検知対象の検知情報を含むデータの外部システムへの通信周期を短くする一方、機器点検の指示を確認するための外部システムへの通信周期を変えずに維持する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信装置が、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合に、検知対象の検知情報を含むデータの外部システムへの通信周期を短くしなくてもよい。また、通信装置が、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合に、機器点検の指示を確認するための外部システムへの通信周期を短くしてもよい。また、通信装置が、少なくとも一部の機器が検知対象を検知している場合に、機器点検の指示を確認するための外部システムへの通信周期を長くしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、データの外部システムへの通信周期が、機器点検の指示を確認するための外部システムへの通信周期よりも短い例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、データの外部システムへの通信周期が、機器点検の指示を確認するための外部システムへの通信周期と同じであってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、外部システムに対して、1つの通信装置が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、外部システムに対して、複数台の通信装置が設けられていてもよい。この場合、複数台の通信装置の各々の定期通信周期は、たとえば機器番号に基づいて設定された乱数に基づいて決めてもよい。このようにすれば、複数台の通信装置の定期通信のタイミングが重なることを抑制することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、通信システム100が、機器30、50、60を備えている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、通信システム100が、機器30、50、60の少なくともいずれかを備えていなくてもよく、全てを備えていなくてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、機器40は、Modbus非対応の機器とする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、機器40は、4-20mAのアナログ出力信号とModbus信号のどちらも出力可能であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、通信装置20の第4通信部24が、Modbus以外のデジタル出力に対応するケーブルを差し込むための接続ポートを含む有線通信部である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第4通信部24が、Modbusにも対応するように構成されてもよい。
【0082】
上記実施形態では、通信装置20が、複数台の機器10の個別の識別情報Aにより、複数台の機器10の各々を指定した通信を行うことが可能な例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、記憶部26の内容によらず、全ての機器10を指定して通信を行うことが可能なようにしてもよい。また、複数台の機器10の各々を指定した通信と全ての機器10を指定しての通信のどちらも実施可能なようにしてもよい。この場合、いずれか一方の通信態様を特殊な操作(たとえばスイッチを押した状態で電源オンとする)を行うことで実施するようにしてもよい。
【0083】
また、本発明では、通信装置および機器は、防爆仕様であってもよいし、非防爆仕様であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 機器
20 通信装置
100 通信システム
200 外部システム
T1 通信周期
T2 通信周期
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9