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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】比例弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
F16K31/06 305K
F16K31/06 305L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020097439
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021110452
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2020003715
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】志知 和幸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠馬
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-169270(JP,A)
【文献】特開平03-096780(JP,A)
【文献】特開2001-317652(JP,A)
【文献】特開平08-021558(JP,A)
【文献】特開2001-165239(JP,A)
【文献】実開昭54-136466(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0278070(US,A1)
【文献】特開2017-089747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
31/06-31/11
F23K 5/00- 5/22
F23N 1/00
5/26
G05D 16/00-16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給路に介設される比例弁であって、流入側の一次圧室と、一次圧室の上方の流出側の二次圧室と、一次圧室と二次圧室との間の弁座とを有するケーシングと、一次圧室の下面を覆うダイヤフラムと、ダイヤフラムに連結される弁軸を有し、弁座の二次圧室側の面に対向する弁体と、弁体に上方への押圧力を付与すると共にこの押圧力を可変する電磁ソレノイドとを備え、弁体に、二次圧室の上面を覆う上蓋部に向けて上方にのびるストッパ軸が設けられ、ストッパ軸が上蓋部に当接することで弁体の上方へのストローク端位置が規定されるようにしたものにおいて、
ストッパ軸の径方向の動きを規制する規制手段を備え
上蓋部に、弁体が弁座に着座する閉弁位置に存する状態で、ストッパ軸の上方への移動は許容するが径方向の動きは規制するように、ストッパ軸の雄型又は雌型の被係合部に対しストッパ軸の径方向又は周方向に所定のクリアランスを存して対向する雌型又は雄型の係合部が設けられ、これら被係合部と係合部とで前記規制手段が構成され、
ストッパ軸の径方向又は周方向に対向する被係合部と係合部との互いの対向面が、ストッパ軸の上動に伴い対向面間のクリアランスが次第に減少するようなテーパー面に形成されることを特徴とする比例弁。
【請求項2】
ガス供給路に介設される比例弁であって、流入側の一次圧室と、一次圧室の上方の流出側の二次圧室と、一次圧室と二次圧室との間の弁座とを有するケーシングと、一次圧室の下面を覆うダイヤフラムと、ダイヤフラムに連結される弁軸を有し、弁座の二次圧室側の面に対向する弁体と、弁体に上方への押圧力を付与すると共にこの押圧力を可変する電磁ソレノイドとを備え、弁体に、二次圧室の上面を覆う上蓋部に向けて上方にのびるストッパ軸が設けられ、ストッパ軸が上蓋部に当接することで弁体の上方へのストローク端位置が規定されるようにしたものにおいて、
ストッパ軸の径方向の動きを規制する規制手段を備え、
この規制手段は、ストッパ軸の上端に取付けられた第1の永久磁石と、上蓋部の外面に、第1の永久磁石に対向するように着脱自在に取付けられ、第1の永久磁石との間で反発力を発生する第2の永久磁石とで構成されることを特徴とする比例弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給路に介設される比例弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の比例弁として、流入側の一次圧室と、一次圧室の上方の流出側の二次圧室と、一次圧室と二次圧室との間の弁座とを有するケーシングと、一次圧室の下面を覆うダイヤフラムと、ダイヤフラムに連結される弁軸を有し、弁座の二次圧室側の面に対向する弁体と、弁体に上方への押圧力を付与すると共にこの押圧力を可変する電磁ソレノイドとを備えるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、ガス流量が電磁ソレノイドへの通電電流値に比例して変化すると共に、一次圧が変動しても、ダイヤフラムに連動して弁体が変位して、一次圧の変動によるガス流量の変動が防止される。
【0003】
また、このものでは、弁体に、二次圧室の上面を覆う上蓋部に向けて上方にのびるストッパ軸が設けられている。そして、ストッパ軸が上蓋部に当接することで弁体の上方へのストローク端位置が規定され、ダイヤフラムが過度に変形しないようにしている。
【0004】
ところで、比例弁の製造後、比例弁を一時的に弁軸及びストッパ軸の軸方向がほぼ水平になるような横倒し姿勢で置いてしまうことがある。比例弁を横倒し姿勢にすると、弁軸が自重で傾いてダイヤフラムが変形してしまう。その後、比例弁を弁軸及びストッパ軸の軸方向が鉛直になる正規姿勢で製品に組み込んでも、直ぐにはダイヤフラムの変形が解除されない。そのため、ダイヤフラムの変形が解除される前に製品検査が行われることがある。この場合は、ダイヤフラムの変形に起因したガス流量のずれにより、本来合格品であるのに不合格と誤判定され、或いは、本来不合格品であるのに合格と誤判定されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-89747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、横倒し姿勢にしたときのダイヤフラムの変形を抑制できるようにした比例弁を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ガス供給路に介設される比例弁であって、流入側の一次圧室と、一次圧室の上方の流出側の二次圧室と、一次圧室と二次圧室との間の弁座とを有するケーシングと、一次圧室の下面を覆うダイヤフラムと、ダイヤフラムに連結される弁軸を有し、弁座の二次圧室側の面に対向する弁体と、弁体に上方への押圧力を付与すると共にこの押圧力を可変する電磁ソレノイドとを備え、弁体に、二次圧室の上面を覆う上蓋部に向けて上方にのびるストッパ軸が設けられ、ストッパ軸が上蓋部に当接することで弁体の上方へのストローク端位置が規定されるようにしたものにおいて、ストッパ軸の径方向の動きを規制する規制手段を備えることを前提とする。
【0008】
上記前提によれば、比例弁を横倒し姿勢にした場合、規制手段でストッパ軸の径方向の動きが規制される。そのため、比例弁を横倒し姿勢にしたときのダイヤフラムの変形を、比例弁の正規姿勢への復帰で直ちに変形が解除される程度に抑制することができる。これにより、製品検査での誤判定を回避できる。
【0009】
ここで、本発明は、上記前提において、弁体が弁座に着座する閉弁位置に存する状態で、ストッパ軸の上方への移動は許容するが径方向の動きは規制するように、ストッパ軸の雄型又は雌型の被係合部に対しストッパ軸の径方向又は周方向に所定のクリアランスを存して対向する雌型又は雄型の係合部を設け、これら被係合部と係合部とで上記規制手段を構成し、更に、ストッパ軸の径方向又は周方向に対向する被係合部と係合部との互いの対向面を、ストッパ軸の上動に伴い対向面間のクリアランスが次第に減少するようなテーパー面に形成することを特徴とする。このものでは、比例弁を横倒し姿勢にすると、ストッパ軸の径方向又は周方向に所定のクリアランスを存して対向する被係合部と係合部との互いの対向面同士が当接して、ストッパ軸の傾き角度が所定のクリアランスで規定される角度に制限される。従って、この角度が僅かになるように所定のクリアランスを設定しておくことで、比例弁を横倒し姿勢にしたときのダイヤフラムの変形を、比例弁の正規姿勢への復帰で直ちに変形が解除される程度に抑制することができる。尚、係合部と被係合部との間にクリアランスが確保されるため、弁体が変位する際に、被係合部が係合部に接触して摺動抵抗が発生するようなことはなく、ガス流量の制御精度が良好になる。
【0010】
更に、本発明によれば、上記の如くストッパ軸の径方向又は周方向に対向する被係合部と係合部との互いの対向面が、ストッパ軸の上動に伴い対向面間のクリアランスが次第に減少するようなテーパー面に形成されるため、弁体が変位する際に、弁体と共にストッパ軸が傾くなどして被係合部が係合部に当接しても、被係合部は係合部に引掛ることなくスムーズに摺動し、ガス流量の制御精度が悪化することはない。
【0011】
また、本発明は、上記前提において、上記規制手段を、ストッパ軸の上端に取付けられた第1の永久磁石と、上蓋部の外面に、第1の永久磁石に対向するように着脱自在に取付けられ、第1の永久磁石との間で反発力を発生する第2の永久磁石とで構成することを特徴とする。このものでは、比例弁の製造後、比例弁を横倒し姿勢で置く前に、上蓋部の外面に第2の磁石を取付けることにより、ストッパ軸が第1の永久磁石に作用する第2の永久磁石に対する反発力で上蓋部から離隔する方向に動いて、弁体が弁座に押し付けられる。そのため、比例弁を横倒し姿勢にしても、ストッパ軸及び弁軸は径方向に動かず、ダイヤフラムの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の比例弁の切断側面図。
図2】(a)第1実施形態の比例弁に設けられる弁体の斜め上方から見た斜視図、(b)第1実施形態の比例弁に設けられる上蓋部の斜め下方から見た斜視図。
図3】本発明の第2実施形態の比例弁の切断側面図。
図4】(a)第2実施形態の比例弁に設けられる弁体の斜め上方から見た斜視図、(b)第2実施形態の比例弁に設けられる上蓋部の斜め下方から見た斜視図。
図5】本発明の第3実施形態の比例弁の切断側面図。
図6】(a)第3実施形態の比例弁に設けられる弁体の斜め上方から見た斜視図、(b)第3実施形態の比例弁に設けられる上蓋部の斜め下方から見た斜視図。
図7】本発明の第4実施形態の比例弁の切断側面図。
図8】(a)第4実施形態の比例弁に設けられる弁体の斜め上方から見た斜視図、(b)第4実施形態の比例弁に設けられる上蓋部の斜め下方から見た斜視図。
図9】本発明の第5実施形態の比例弁の切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す本発明の実施形態の比例弁Aは、ガスバーナに対するガス供給路に介設されるものであり、ガス入口11aを介してガス供給路の上流側部分に連通する流入側の一次圧室11と、一次圧室11の上方に位置し、図外のガス出口を介してガス供給路の下流側部分に連通する流出側の二次圧室12と、一次圧室11と二次圧室12との間の弁座13とを有するケーシング1を備えている。弁座13には、一次圧室11と二次圧室12とを接続する弁孔14が開設されている。二次圧室12の上面は、ケーシング1に取付けた上蓋部15で覆われている。
【0014】
比例弁Aは、更に、一次圧室11の下面を覆うダイヤフラム2と、弁座13の二次圧室12側の面に対向する弁体3と、弁体3に上方への押圧力を付与すると共にこの押圧力を可変する電磁ソレノイド4とを備えている。
【0015】
ダイヤフラム2の外周部分は、ケーシング1の下面に締結する押え板21により、一次圧室11の下面外周部に挟圧固定されている。そして、ダイヤフラム2と押え板21との間に、大気開放される背圧室22が画成されるようにしている。また、ダイヤフラム2の下側には、ダイヤフラム2の下面に座金23を介して接する上端のフランジ部24aを有する筒状のバルブホルダ24が設けられている。
【0016】
弁体3は、下方にのびる弁軸31を有している。弁軸31の下端部には、ダイヤフラム2の上面に接する肩面から下方に突出する小径軸部31aが突設されており、この小径軸部31aをダイヤフラム2の中心に形成した孔を通してバルブホルダ24に嵌合固定することにより、弁軸31をダイヤフラム2に連結している。また、弁体3には、上蓋部15に向けて上方にのびる中空のストッパ軸32も設けられている。そして、ストッパ軸32が上蓋部15に当接することで弁体3の上方へのストローク端位置が規定され、ダイヤフラム2が過度に変形しないようにしている。
【0017】
電磁ソレノイド4は、押え板21の下面に取付けられるヨーク41と、ヨーク41に接するボビン42に巻回したコイル43と、ヨーク41の内周の筒状ガイド44に上下方向に移動自在に挿通したプランジャ45と、プランジャ45を上方に付勢してプランジャ45の自重をキャンセルするスプリング46とを有している。プランジャ45は、弁軸31の小径軸部31aの下端に当接し、コイル43への通電電流値に比例した押圧力で弁体3を上方に押圧する。
【0018】
ここで、電流値を大きくするほど弁体3が上方の開き側に変位して、二次圧室12内のガス圧が増加する。従って、ガスバーナへの供給ガス量が電流値に比例して変化することになる。また、一次圧室11内のガス圧が変動すると、ダイヤフラム2を介して弁体3が変位して、ガス圧変動を吸収するように開度が変化し、二次圧室12内のガス圧変動が抑制される。そのため、一次圧室11内のガス圧変動を生じても、二次圧室12内のガス圧は電流値に応じた所定圧に維持される。
【0019】
ところで、比例弁Aを弁軸31及びストッパ軸32の軸方向がほぼ水平になるような横倒し姿勢で置いたときに、ダイヤフラム2が変形すると、その後、比例弁Aを弁軸31及びストッパ軸32の軸方向が鉛直になる正規姿勢で製品に組み込んでも、直ぐにはダイヤフラム2の変形が解除されない。そのため、ダイヤフラム2の変形が解除される前に製品検査が行われた場合、ダイヤフラム2の変形に起因したガス流量のずれにより、本来合格品であるのに不合格と誤判定され、或いは、本来不合格品であるのに合格と誤判定されてしまう。
【0020】
そこで、本実施形態では、横倒し姿勢にしたときのダイヤフラム2の変形を抑制できるように、ストッパ軸32の径方向の動きを規制する規制手段5を設けている。具体的には、上蓋部15に、弁体3が弁座13に着座する閉弁位置に存する状態で、ストッパ軸32の上方への移動は許容するが径方向の動きは規制するように、ストッパ軸32の雄型の被係合部51にストッパ軸32の径方向に所定のクリアランスを存して対向する雌型の係合部52を設け、これら被係合部51と係合部52とで規制手段5を構成している。
【0021】
より具体的に説明すれば、ストッパ軸32の外周面に、図2(a)に示す如く、周方向の間隔を存して上下方向にのびる複数の突条32aを形成し、これら突条32aの上部で雄型の被係合部51を構成している。また、上蓋部15の下面中央部に、図1図2(b)に示す如く、被係合部51を受け入れるようにして下方に突出する環状のボス部15aを突設し、このボス部15aで雌型の係合部52を構成している。更に、ストッパ軸32の径方向に対向する被係合部51と係合部52との互いの対向面51a,52a、即ち、突条32aの上部外側面51aとボス部15aの内周面52aとを、ストッパ軸32の上動に伴い対向面間のクリアランスが次第に減少するようなテーパー面、即ち、上方に向かって縮径するテーパー面に形成している。
【0022】
これによれば、比例弁Aを横倒し姿勢にすると、ストッパ軸32の径方向に所定のクリアランスを存して対向する被係合部51と係合部52との互いの対向面51a,52a同士が当接して、ストッパ軸32の径方向の動きが規制され、ストッパ軸32の傾き角度が所定のクリアランスで規定される角度に制限される。従って、この角度が1°程度の僅かな角度になるように所定のクリアランスを設定しておくことで、比例弁Aを横倒し姿勢にしたときのダイヤフラム2の変形を、比例弁Aの正規姿勢への復帰で直ちに変形が解除される程度に抑制することができる。これにより、製品検査での誤判定を回避できる。尚、被係合部51と係合部52との間にクリアランスが確保されるため、弁体3が変位する際に、被係合部51が係合部52に接触して摺動抵抗が発生するようなことはなく、ガス流量の制御精度が良好になる。また、被係合部51と係合部52との互いの対向面51a,52aを上記テーパー面に形成することで、弁体3が変位する際に、弁体3と共にストッパ軸32が傾くなどして被係合部51が係合部52に当接しても、被係合部51は係合部52に引掛ることなくスムーズに摺動し、ガス流量の制御精度が悪化することはない。
【0023】
次に、図3図4に示す第2実施形態の比例弁Aについて説明する。第2実施形態の比例弁Aの基本的な構成は、上記第1実施形態のものと特に異ならず、第1実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の比例弁Aの第1実施形態のものとの相違点は、上蓋部15に、弁体3が閉弁位置に存する状態で、ストッパ軸32の上方への移動は許容するが径方向の動きは規制するように、ストッパ軸32の雌型の被係合部53にストッパ軸32の径方向に所定のクリアランスを存して対向する雄型の係合部54を設け、これら被係合部53と係合部54とでストッパ軸32の径方向の動きを規制する規制手段5を構成したことである。
【0024】
より具体的に説明すれば、ストッパ軸32の内周面に、図4(a)に示す如く、周方向の間隔を存して上下方向にのびる複数の突条32bを形成し、これら突条32bの上部で雌型の被係合部53を構成している。また、上蓋部15の下面中央部に、図3図4(b)に示す如く、被係合部53に挿入されるようにして下方に突出する凸部15bを突設し、この凸部15bで雄型の係合部54を構成している。更に、ストッパ軸32の径方向に対向する被係合部53と係合部54との互いの対向面53a,54a、即ち、突条32bの上部内側面53aと凸部15bの外周面54aとを、ストッパ軸32の上動に伴い対向面間のクリアランスが次第に減少するようなテーパー面、即ち、上方に向かって拡径するテーパー面に形成している。これにより、上記第1実施形態のものと同様の作用効果が得られる。
【0025】
次に、図5図6に示す第3実施形態の比例弁Aについて説明する。第3実施形態の比例弁Aの基本的な構成も、上記第1、第2実施形態のものと特に異ならず、第1、第2実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第3実施形態の比例弁Aの第1、第2実施形態のものとの相違点は、上蓋部15に、弁体3が閉弁位置に存する状態で、ストッパ軸32の上方への移動は許容するが径方向の動きは規制するように、ストッパ軸32の雌型の被係合部55にストッパ軸32の周方向に所定のクリアランスを存して対向する雄型の係合部56を設け、これら被係合部55と係合部56とでストッパ軸32の径方向の動きを規制する規制手段5を構成したことである。
【0026】
より具体的に説明すれば、ストッパ軸32の上部に、図5図6(a)に示す如く、周方向の間隔を存して複数の切欠き32cを形成し、各切欠き32cで雌型の被係合部55を構成している。また、上蓋部15の下面中央部に、図5図6(b)に示す如く、各被係合部55に挿入されるようにして下方に突出する突起15cを周方向の間隔を存して複数突設し、各突起15cで雄型の係合部56を構成している。更に、ストッパ軸32の周方向に対向する被係合部55と係合部56との互いの対向面55a,56a、即ち、各切欠き32cの周方向各側面55aと各突起15cの周方向各側面56aとを、ストッパ軸32の上動に伴い対向面間のクリアランスが次第に減少するようなテーパー面、即ち、上方に向かって周方向外方に傾斜するテーパー面に形成している。これにより、上記第1実施形態のものと同様の作用効果が得られる。
【0027】
次に、図7図8に示す第4実施形態の比例弁Aについて説明する。第4実施形態の比例弁Aの基本的な構成も、上記第1~第3実施形態のものと特に異ならず、第1~第3実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第4実施形態の比例弁Aの第1~第3実施形態のものとの相違点は、上蓋部15に、弁体3が閉弁位置に存する状態で、ストッパ軸32の上方への移動は許容するが径方向の動きは規制するように、ストッパ軸32の雄型の被係合部57にストッパ軸32の周方向に所定のクリアランスを存して対向する雌型の係合部58を設け、これら被係合部57と係合部58とでストッパ軸32の径方向の動きを規制する規制手段5を構成したことである。
【0028】
より具体的に説明すれば、ストッパ軸32の上部に、図7図8(a)に示す如く、周方向の間隔を存して複数の切残し突起部32dを形成し、各切残し突起部32dで雄型の被係合部57を構成している。また、上蓋部15の下面中央部に突設した凸部15dに、図7図8(b)に示す如く、各被係合部57を受け入れる切欠き15eを周方向の間隔を存して複数形成し、各切欠き15eで雌型の係合部58を構成している。更に、ストッパ軸32の周方向に対向する被係合部57と係合部58との互いの対向面57a,58a、即ち、各切残し突起部32dの周方向各側面57aと各切欠き15eの周方向各側面58aとを、ストッパ軸32の上動に伴い対向面間のクリアランスが次第に減少するようなテーパー面、即ち、上方に向かって周方向内方に傾斜するテーパー面に形成している。これにより、上記第1実施形態のものと同様の作用効果が得られる。
【0029】
次に、図9に示す第5実施形態の比例弁Aについて説明する。第5実施形態の比例弁Aの基本的な構成も、上記第1~第4実施形態のものと特に異ならず、第1~第4実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第5実施形態の比例弁Aの第1~第4実施形態のものとの相違点は、ストッパ軸32の径方向の動きを規制する規制手段5を、ストッパ軸32の上端に取付けられた第1の永久磁石59と、上蓋部15の外面に、第1の永久磁石59に対向するように着脱自在に取付けられ、第1の永久磁石59との間で反発力を発生する第2の永久磁石59とで構成したことである。尚、上蓋部15の第1の永久磁石59に対向する部分には、下方への窪み部15fが形成されている。そして、第2の永久磁石59を、窪み部15fに凹入させた状態で、上蓋部15の外面に治具や両面接着テープ等で着脱自在に取付けるようにしている。
【0030】
第5実施形態のものでは、比例弁Aの製造後、比例弁Aを横倒し姿勢で置く前に、上蓋部15の外面に第2の永久磁石59を取付ける。これにより、ストッパ軸32が第1の永久磁石59に作用する第2の永久磁石59に対する反発力で上蓋部15から離隔する方向、即ち、下方に動いて、弁体3が弁座13に押し付けられる。そのため、比例弁Aを横倒し姿勢にしても、ストッパ軸32及び弁軸31は径方向に動かず、ダイヤフラム2の変形を抑制することができる。尚、当然ではあるが、製品検査前には、第2の永久磁石59を上蓋部15から取外す。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
A…比例弁、1…ケーシング、11…一次圧室、12…二次圧室、13…弁座、15…上蓋部、2…ダイヤフラム、3…弁体、31…弁軸、32…ストッパ軸、4…電磁ソレノイド、5…規制手段、51,53,55,57…被係合部、51a,53a,55a,57a…被係合部の対向面、52,54,56,58…係合部、52a,54a,56a,58a…係合部の対向面、59…第1の永久磁石、59…第2の永久磁石。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9