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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】硬質表面用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/65 20060101AFI20241029BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20241029BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20241029BHJP
   C11D 1/86 20060101ALI20241029BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C11D1/65
C11D1/62
C11D1/04
C11D1/86
C11D1/90
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020142429
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038114
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄己
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-53092(JP,A)
【文献】特開2002-241791(JP,A)
【文献】特開2020-56039(JP,A)
【文献】特開2005-290049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含有する硬質表面用洗浄剤組成物であって、
界面活性剤として、(a1)ジメチルデシルベンジルアンモニウム塩〔以下、(a1)成分という〕と(a2)炭素数8以上20以下の脂肪酸又はその塩〔以下、(a2)成分という〕とを含有し、
陽イオン界面活性剤中の(a1)成分の割合が80質量%以上であり、
(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量との質量比である(a1)/(a2)が0.07以上10以下であり、
25℃のpHが10以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項2】
陰イオン界面活性剤中の(a2)成分の割合が70質量%以上である、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項3】
界面活性剤として両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項4】
界面活性剤中の(a1)成分の割合が1.8質量%以上21質量%未満である、請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項5】
界面活性剤中の(a2)成分の割合が1.8質量%以上23質量%以下である、請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項6】
界面活性剤を1質量%以上20質量%以下含有する、請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項7】
(b)キレート剤を含有する、請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項8】
(c)水溶性溶剤を含有する、請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面洗浄剤組成物を硬質表面に付着させた後、擦り洗いせずにすすぐ、硬質表面の洗浄方法。
【請求項10】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を泡の状態で硬質表面に付着させる、請求項に記載の硬質表面の洗浄方法。
【請求項11】
前記硬質表面洗浄剤組成物を硬質表面に付着させた後、所定時間放置した後、擦り洗いせずにすすぐ、請求項9又は10に記載の硬質表面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用洗浄剤組成物、及び硬質表面の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室などの水廻りの硬質表面は皮脂や石鹸カスなどの疎水性汚れが付着しやすく、また水中の硬度成分によりスカム化し強固に付着するため、洗浄しづらい汚れの一つである。このような汚れに対しては、洗浄剤を付着させてスポンジなどを用いた擦り洗いが行われる。
【0003】
浴室、洗面台などの硬質表面に使用できる洗浄剤組成物が、従来、種々提案されている。
特許文献1には、(a)アルキルトリメチルアンモニウム塩等の所定のカチオン界面活性剤、(b)アルキルアミノ酢酸ベタイン等の所定の両性界面活性剤及び(c)所定の脂肪酸又はその塩を含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、少なくとも界面活性剤、キレート剤、高分子化合物、溶剤及び香料を含有する浴室用洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献3には、(a)炭素数6~16のアルキル基を1~3個を有する特定の第4級アンモニウム塩型陽イオン界面活性剤、(b)炭素数8~16のアルキル基又はアルケニル基を有するカルボン酸塩型陰イオン界面活性剤、(c)炭素数8~16のアルキル基を有し単糖の平均縮合度が1~3であるアルキルポリグリコシドを、特定の比率で含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献4には、(a)特定の構成単位を含むカチオン変性ポリビニルアルコール等のカチオン基を有する高分子化合物、(b)界面活性剤、及び水を含有する硬質表面用洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-53092号公報
【文献】特開2003-183698号公報、
【文献】特開2005-290049号公報、
【文献】特開2007-308556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴室などの硬質表面をスポンジなどの可撓性材料で擦り洗いするのは、作業者にとって重労働である。擦り洗いを省いて、すすぐだけで汚れを除去できれば作業性は格段に向上する。例えば、洗浄剤を泡状にして硬質表面に適用して汚れに密着させる方法は、擦り洗いを省く方法に適していると考えられるが、洗浄剤の起泡性を向上させると、すすぎ性が低下し、多量の水ですすぎ洗いをする必要がある。従って、擦り洗いをする必要がなく、しかもすすぎ性が良好な洗浄剤が求められている。
【0006】
本発明は、硬質表面に付着した汚れ、例えば、皮脂汚れや石鹸カス汚れに対して高い洗浄力を発揮し、且つ良好なすすぎ性を有する硬質表面用洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、界面活性剤を含有する硬質表面用洗浄剤組成物であって、
界面活性剤として、(a1)ジメチルデシルベンジルアンモニウム塩〔以下、(a1)成分という〕と(a2)炭素数8以上20以下の脂肪酸又はその塩〔以下、(a2)成分という〕とを含有し、
(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量との質量比である(a1)/(a2)が0.07以上10以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、前記本発明の硬質表面洗浄剤組成物を硬質表面に付着させた後、擦り洗いせずにすすぐ、硬質表面の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、硬質表面に付着した汚れ、例えば、皮脂汚れや石鹸カス汚れに対して高い洗浄力を発揮し、且つ良好なすすぎ性を有する硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法が提供される。例えば、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を用いると、擦り洗いをせずにすすぐだけで硬質表面に付着した皮脂汚れや石鹸カス汚れを洗浄でき、且つすすぎ性もよいため、作業性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例で行ったすすぎ性の評価方法を示す概略図
図2】実施例のすすぎ性の評価で用いた硬水の導入手段(ジョウロ)の穿孔状態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔硬質表面用洗浄剤組成物〕
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を含有し、界面活性剤として、(a1)成分のジメチルデシルベンジルアンモニウム塩と(a2)成分の炭素数8以上20以下の脂肪酸又はその塩〔以下、(a2)成分という〕とを含有し、(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量との質量比である(a1)/(a2)が0.07以上10以下である。
【0012】
(a1)成分は、ジメチルデシルベンジルアンモニウム塩である。(a1)成分は、陽イオン界面活性剤に属する界面活性剤である。
(a1)成分の塩となる対イオンは、塩化物イオンなどのハロゲンイオン、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などアルキルスルホン酸イオン、メチル硫酸、エチル硫酸などのアルキル硫酸イオンが挙げられ、塩化物イオンが好ましい。
【0013】
(a2)成分は、炭素数8以上20以下の脂肪酸又はその塩である。(a2)成分は、陰イオン界面活性剤に属する界面活性剤である。
(a2)成分の脂肪酸の炭素数は、好ましくは10以上、そして、好ましくは14以下である。
(a2)成分の脂肪酸は、直鎖脂肪酸、分岐鎖脂肪酸の何れでもよいが、直鎖脂肪酸が好ましい。
(a2)成分の脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の何れでもよいが、飽和脂肪酸が好ましい。
(a2)成分の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
【0014】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、洗浄力及びすすぎ性の観点から、(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量との質量比である(a1)/(a2)が0.07以上10以下である。(a1)/(a2)の質量比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。ここで、本発明では、(a1)成分の量は、対イオンを塩化物イオン(Cl)に置き換えた化合物に基づく量、すなわち塩化物換算の量である。また、本発明では、(a2)成分の量は、酸型化合物に基づく量、すなわち酸型化合物換算の量である。各成分の含有量の質量%なども同様である。
【0015】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤として陽イオン界面活性剤を含有する。陽イオン界面活性剤は、(a1)成分と、(a1)成分以外の任意の陽イオン界面活性剤とであってよい。ここで、本発明では、(a1)成分以外の任意の陽イオン界面活性剤の量は、対イオンを塩化物イオン(Cl)に置き換えた化合物に基づく量、すなわち塩化物換算の量である。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤として陽イオン界面活性剤を含有し、陽イオン界面活性剤として少なくとも(a1)成分を含有する。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、陽イオン界面活性剤中の(a1)成分の割合が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
【0016】
(a1)成分以外の陽イオン界面活性剤としては、窒素原子に結合する4つの基のうち、1つ又は2つが炭素数6以上18以下の炭化水素基であり、残りが炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基及びアリールアルキル基(ベンジル基等)からなる群から選ばれる基である4級アンモニウム塩型陽イオン界面活性剤((a1)成分を除く)、アルキルピリジニウム塩、アルケニルピリジニウム塩などが挙げられる。
【0017】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤として陰イオン界面活性剤を含有する。陰イオン界面活性剤は、(a2)成分と、(a2)成分以外の任意の陰イオン界面活性剤とであってよい。また、本発明では、炭素数が7以下又は21以上の脂肪酸の量は、酸型化合物に基づく量、すなわち酸型化合物換算の量である。また、本発明では、(a2)成分と炭素数が7以下又は21以上の脂肪酸以外の陰イオン界面活性剤の量は、Na塩型化合物に基づく量、すなわちNa塩型化合物換算の量である。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤として陰イオン界面活性剤を含有し、陰イオン界面活性剤として少なくとも(a2)成分を含有する。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、陰イオン界面活性剤中の(a2)成分の割合が、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
【0018】
(a2)成分以外の陰イオン界面活性剤としては、炭素数が7以下又は21以上の脂肪酸又はその塩、アルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル又はアルケニル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸又はその塩などが挙げられる。これらのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は8以上22以下であってよい。
【0019】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤として両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含有することができる。
【0020】
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルイミダゾリン型ベタイン、アルキルアミンオキシドからなる群より選ばれる1以上の両性界面活性剤を用いることが洗浄力、泡立ちの観点から好ましい。これらのアルキル基の炭素数は8以上22以下であってよい。中でもアルキル(炭素数8以上22以下)アミドプロピルベタイン及びアルキル(炭素数8以上22以下)ヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる両性界面活性剤が好ましく、更には(3-ラウラミドプロピル)ジメチルベタイン及びラウリルジメチルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる両性界面活性剤が好ましい。また、ここに列挙した両性界面活性剤の2種類以上を混合して用いても良い。
【0021】
非イオン界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリンエステル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付加物、アルキルポリグルコシド、モノアルキル又はアルキレングリセリルエーテルを用いることが洗浄力、泡立ち、泡消えの観点より好ましい。これらのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は8以上22以下であってよい。中でも洗浄力と泡消えの観点よりアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルからなる群より選ばれる1以上の非イオン界面活性剤を用いることが好ましく、炭素数8以上18以下の1級又は2級アルコールに、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドが平均0モルを超え30モル以下付加したポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルが更に好ましく、炭素数10以上16以下の2級アルコールに、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドが平均1モルを超え20モル以下付加したポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルがより更に好ましい。またここに列挙した非イオン界面活性剤の2種類以上を混合して用いても良い。
【0022】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物が、界面活性剤として両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含有する場合、該組成物は、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下含有する。また、界面活性剤中の両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。さらに、両性界面活性剤と非イオン界面活性剤の質量比である(両性界面活性剤)/(非イオン界面活性剤)は、特に限定されないが、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.5以上、そして、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下である。
【0023】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤中の(a1)成分の割合が、好ましくは1.8質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは21質量%未満、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、より更に好ましくは16質量%以下である。
【0024】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤中の(a2)成分の割合が、好ましくは1.8質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上、そして、好ましくは23質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは16質量%以下、より更に好ましくは12質量%以下である。
【0025】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下含有する。
【0026】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)キレート剤〔以下、(b)成分という〕を含有することができる。
【0027】
(b)成分は、金属イオンをキレート化して封鎖する能力を有するものであれば特に制限されない。(b)成分の具体例としては、下記(b1)~(b3)から選ばれる一種以上のキレート剤が挙げられる。
(b1)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩
(b2)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノカルボン酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩
(b3)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩
【0028】
これらの中でも、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸等のアミノカルボン酸、及びこれらの塩が好ましい。中でも、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が好ましい。
【0029】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分を、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する。
【0030】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)水溶性溶剤〔以下、(c)成分という〕を含有することができる。
(c)成分について、水溶性とは、25℃の水100gに、5g以上溶解することをいう。
【0031】
(c)成分としては、1価のアルコール、ジオール、トリオール、モノ-、ジ-又はトリ-アルキレングリコールモノエーテル、及びモノ-、ジ-又はトリ-アルキレングリコールジエーテルなどから選ばれる1種以上の水溶性溶剤が挙げられる。(c)成分はアルキル基を有するものが挙げられる。アルキル基は、種々の炭素数のアルキル基から選択できる。アルキル基の炭素数は1以上が好ましく、3以上がより好ましく、そして、10以下が好ましく、8以下がより好ましい。(c)成分としては、配合安定性と洗浄力の観点から、具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1,2-ヘキサンジオール、エチレングリコールモノ-メチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-メチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-メチルエーテル、エチレングリコールモノ-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-ブチルエーテルが好ましく、エタノール、エチレングリコールモノ-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-ブチルエーテルがより好ましく、ジエチレングリコールモノ-ブチルエーテルが更に好ましい。
【0032】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)成分を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
【0033】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、水を含有する。水を含有する液体組成物であってよい。水は、組成物の全量が100質量%となるような量で用いられる。
【0034】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、25℃のpHが、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更により好ましくは6以上、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、更により好ましくは8以下である。
【0035】
水回りの設備、例えば、浴室、洗面台、台所、トイレなどでは、硬質表面、例えば疎水性硬質表面を与える材質が多用されており、且つ食品や人体由来の汚れが付着しやすい環境にある。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、浴室、洗面台、台所、トイレなどの硬質表面に付着した皮脂汚れや石鹸カス汚れ対して優れた洗浄力を発揮し、またすすぎ性にも優れている。よって、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、浴室用、台所用、又はトイレ用として用いられることが好ましい。具体的には、本発明の組成物は、浴室まわりの硬質表面(壁、床、浴槽など)や浴室で用いられる製品(浴室用イス、洗面器など)の硬質表面に対して適用できる。また、本発明の組成物は、台所まわりの硬質表面(壁、床、シンクなど)や台所で用いられる製品(コンロ、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など)の硬質表面に対して適用できる。また、また、本発明の組成物は、トイレの硬質表面(壁、床、便器など)やトイレで用いられる製品(収納棚、ごみ箱など)の硬質表面に対して適用できる。中でも浴室用の硬質表面用洗浄剤組成物としてより好ましく用いられる。
【0036】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、噴霧又は塗布して、皮脂汚れ、石鹸カス汚れ等が付着した硬質表面に接触させて用いることが好ましい。噴霧や塗布には、スプレー手段を用いることができる。本発明により、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、スプレイヤーを具備する容器に充填してなる、スプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品が提供される。
【0037】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品における本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を充填するスプレイヤーを具備する容器は、トリガー式スプレー容器、ポンプ式スプレー容器等の噴射剤を使用しない手動式スプレー装置、噴射剤を用いるエアゾール等が挙げられる。前記スプレイヤーを具備する容器は、内容物を液滴状又は泡状にして噴霧又は塗布することができるトリガー式スプレーが好ましく、内容物を液滴状に噴霧する機構を備えたトリガー式スプレー又は泡を形成する機構(泡形成機構)を備えたトリガー式スプレーがより好ましい。
【0038】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品において、液滴状に本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を噴霧する機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、前記組成物を入れるスプレー容器の噴射ノズルの噴口径は、スプレーのし易さや、噴射された液滴が荒くなく、直線状にスプレーされず、スプレーできる面積が極端に狭くならないために、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の範囲である。
液滴状に噴霧する機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.1mL以上、より好ましくは0.3mL以上、そして、好ましくは5mL以下、より好ましくは2mL以下の組成物を噴霧する。
【0039】
また本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品において、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、好ましくはスピンエレメント及び直径4~8mmの円形状の空間部分に棒状の突起を数個設置された液体通過板を有するものが好適である。ここでスピンエレメントとは、スピンエレメントを通じて液状物の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出する機構であり、その詳細な構造としては特開平8-332422号公報や特開平8-108102号公報の図4(b)、特開2002-68265号公報の図1などを参考にすることができる。
【0040】
泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.5mL以上、より好ましくは1mL以上、そして、好ましくは30mL以下、より好ましくは15mL以下、更に好ましくは5mL以下の組成物を噴霧する。
【0041】
泡形成機構のもう一つの部材である液体通過板は、直径5~7mmの円形状の空間部分に棒状の突起を好ましくは3~8個設置されたものであり、通過する板を平面で見た場合に、好ましくは幅0.8~1.2mm、長さ2~4mmの長方形状の棒状の突起が好適である。また、棒状の突起を除いた空間部分に対する棒状の突起の占める面積は、好ましくは30面積%以上、より好ましくは40面積%以上、そして、好ましくは90面積%以下、より好ましくは80面積%以下、更に好ましくは70面積%以下であり、このような液体通過板を設置することで、垂直表面への泡の付着滞留性が良好になる。
【0042】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品の容器は、一般に使用されている容器を用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを原料として得られるものであり、ブロー成形などによって製造することができる。容器の肉厚は底面と側面と異なってもよく、0.01~2mmが好ましく、容器の容量は100~1000mLが好ましい。容器に充填される硬質表面用洗浄剤組成物の量は、取り扱い上、200~500mLが望ましい。また液の充填は、常識的な空隙を残して行われる。
【0043】
〔硬質表面の洗浄方法〕
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に付着させた後、擦り洗いせずにすすぐ、硬質表面の洗浄方法である。
すなわち、本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を用いる。該組成物の好ましい態様は、前記した本発明の硬質表面用洗浄剤組成物と同じである。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、皮脂汚れ及び/又は石鹸カス汚れが付着した硬質表面に付着させた後、擦り洗いせずにすすぐ、硬質表面の洗浄方法として好適に実施できる。
【0044】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に付着させる。
具体的には、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、原液で、硬質表面に付着させる、又は前記硬質表面用洗浄剤組成物を、原液で、希釈せずに硬質表面に付着させる、つまり、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、希釈することなく、硬質表面に付着させる洗浄方法が挙げられる。更に、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、希釈することなく、硬質表面に付着させる洗浄方法が挙げられる。
前記硬質表面用洗浄剤組成物を希釈することなく硬質表面に付着させるとは、該洗浄剤組成物を、意図的に水などで希釈した後、硬質表面と付着させないことである。例えば、水滴等が付着した硬質表面と付着させたり、前記硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に付着させた後、硬質表面に水滴が付着したりする場合は、前記硬質表面用洗浄剤組成物を希釈することなく硬質表面に付着させると理解できる。
本発明では、前記硬質表面用洗浄剤組成物の原液をそのまま、つまり組成を変動させることなく、硬質表面に付着させることが好ましい。例えば、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、含水したスポンジに付着させることなく、汚れが付着した硬質表面に付着させる。硬質表面に付着した後は、前記硬質表面用洗浄剤組成物の組成が変動してもよい。すなわち、硬質表面に付着した後は、前記硬質表面用洗浄剤組成物の組成が希釈又は濃縮されてもよい。
【0045】
但し、本発明の(a)成分、(b)成分、(c)成分を含む濃厚組成物を調製しておき、該濃厚組成物を水で希釈して本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を調製し、硬質表面に付着させてもよい。すなわち、本発明の(a)成分、(b)成分、(c)成分を含有する濃厚組成物を水で希釈して本発明の硬質表面用洗浄剤組成物に調製し、該硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に付着させた後、擦り洗いせずにすすぐ、硬質表面の洗浄方法であってもよい。
【0046】
また、本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に付着させた後、擦り洗いをせずにすすぐ、好ましくは硬質表面に付着させた後、所定時間放置した後、擦り洗いせずにすすぐ、洗浄方法が挙げられる。つまり、スポンジ等の可撓性材料や手指等を用いた擦り洗いをすることなく付着させ、外力をかけずにそのまま放置する洗浄方法が挙げられる。前記組成物の付着後、必要により所定時間放置した後は、硬質表面を水ですすぐ。すすぐ際は、手などで外力(物理的力)を掛けてもよく、単に水流ですすいでもよい。
【0047】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、対象物である硬質表面の面積100cmに対して、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.3g以上、更に好ましくは0.4g以上、そして、好ましくは5g以下、より好ましくは3g以下、更に好ましくは2g以下の割合で付着させる、更に、塗布又は噴霧することが好ましい。
【0048】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、洗浄力を高める観点から、硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に付着後、好ましくは10秒以上、より好ましくは20秒以上、更に好ましくは30秒以上、より更に好ましくは40秒以上、そして、同様の観点から、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下、より更に好ましくは10分以下、放置する。この場合、最初に前記組成物が硬質表面に付着した時点を放置の開始としてよい。前記所定時間がこの範囲の時間であってよい。
なお、放置する際の温度は、室温でよく、例えば、10℃以上30℃以下が挙げられる。
【0049】
また、本発明の硬質表面の洗浄方法では、洗浄力を高める観点から、好ましくは10秒以上、より好ましくは20秒以上、更に好ましくは30秒以上、より更に好ましくは40秒以上、そして、同様の観点から、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下、より更に好ましくは10分以下、前記液体洗浄剤組成物と洗浄対象である硬質表面とを付着させる。
【0050】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、前記硬質表面用洗浄剤組成物を、汚れが付着した硬質表面を該組成物中に浸漬させて付着させてもよいが、効率的に洗浄力を高める観点から、噴霧又は塗布して、汚れが付着した硬質表面に付着させる方法が好ましい。本発明では、前記硬質表面用洗浄剤組成物を泡状で硬質表面に付着させることが好ましい。
前記硬質表面用洗浄剤組成物を、汚れが付着した硬質表面に付着させる方法は、噴霧又は塗布が好ましく、液滴状にして噴霧する又は泡状にして塗布する方法が好ましい。前記した本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品を用いることが好ましい。
【0051】
本発明の硬質表面の洗浄方法は、浴室、台所又はトイレの洗浄方法、更に浴室の洗浄方法として好ましい。
【0052】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を直接硬質表面に付着させる。そして、前記組成物が付着した状態で放置すればよいため、洗浄時において、スポンジ等の可撓性材料による擦り洗いのような外力をかける作業を必要としない。
さらに、本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、好ましくは泡状の前記組成物を、硬質表面に塗布してそのまま放置するため、硬質表面に前記組成物を長く留めることができる。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記硬質表面用洗浄剤組成物を付着させた硬質表面を、水ですすぐ、好ましくは前記硬質表面用洗浄剤組成物を付着させた硬質表面を、所定時間放置後、水ですすぐ。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物はすすぎ性がよいため、少量の水ですすぎを完了できる。
【実施例
【0053】
表1~3に記載の成分を配合して硬質表面用洗浄剤組成物を調製した。各組成物のpH(25℃)は、塩酸又は水酸化ナトリウムで調整した。これらの組成物について、洗浄力及びすすぎ性を以下の方法で評価した。結果を表1~3に示す。
【0054】
<皮脂汚れ洗浄力>
浴室の浴槽に付着する皮脂汚れの組成をもとに調製したモデル皮脂汚れをクロロホルムに溶解させ、5質量%モデル皮脂汚れ溶液を調製した。この溶液にポリプロピレン製プレート(サイズ7cm×2cm)を10秒間浸漬することにより、モデル皮脂汚れを前記プレートに製膜した後、1晩自然乾燥させた。なお、モデル皮脂汚れの組成は、リノール酸40質量%、オレイン酸20質量%、パルミチン酸20質量%、コレステロール10質量%及び流動パラフィン10質量%である。プレートの汚れ部分に、表1~3の硬質表面用洗浄剤組成物10μlを滴下し、25℃で1分放置後、水洗し、目視により下記基準で洗浄力を評価した。
◎:擦り洗いなしで、液を滴下した場所の汚れがすべて落ちた
〇:擦り洗いなしで、液を滴下した箇所の汚れはすべて落ちなかったが、半分以上の汚れは落ちた
△:擦り洗いなしで、液を滴下した箇所の汚れは落ちたが、半分より少ない箇所の汚れしか落ちなかった
×:擦り洗いなしで、液を滴下した箇所の汚れがほとんど落ちなかった
【0055】
<石鹸カス汚れ洗浄力>
浴室に付着する石鹸カス汚れの組成を参考にして調製したモデル石鹸カス汚れをポリプロピレン製プレート(サイズ8cm×12cm)上に製膜した。モデル石鹸カス汚れの調製と製膜の方法は、前記プレートを、固形石鹸(花王(株)製、「ホワイト」)を溶かした水溶液(2質量%)、塩化カルシウム水溶液(0.7質量%)に順に浸漬させ、その後乾燥させる工程を10回繰り返すことでモデル石鹸カス汚れの調製と製膜を行った。モデル石鹸カス汚れを前記プレートに製膜した後、プレートの汚れ部分に、表1~3の硬質表面用洗浄剤組成物10μlを滴下し、25℃で10分放置後、水洗し、目視により下記基準で洗浄力を評価した。
◎:擦り洗いなしで、液を滴下した場所の汚れがすべて落ちた
〇:擦り洗いなしで、液を滴下した箇所の汚れはすべて落ちなかったが、半分以上の汚れは落ちた
△:擦り洗いなしで、液を滴下した箇所の汚れは落ちたが、半分より少ない箇所の汚れしか落ちなかった
×:擦り洗いなしで、液を滴下した箇所の汚れがほとんど落ちなかった
【0056】
<すすぎ性>
市販のスプレー式浴室用洗浄剤(花王株式会社、バスマジックリン)の容器を洗浄して用いた。該容器に、表1~3の硬質表面用洗浄剤組成物を充填した。該容器のトリガーを5回引き切ることにより、5gの泡を500mlのメスシリンダーの中に作製した。なお、引き切るスピードは、1回あたり1秒のスピードで行なった。このとき、メスシリンダーの目盛りからその容量を記録した。これを、初期泡量とした。
次に、メスシリンダーの上部に設置した硬水の導入手段(手製のジョウロ)を通して3.5°DH硬水を泡に50ml添加し、1分経過後毎に硬水50ml添加するという操作を計9回実施(50mlの硬水を添加するのは計9回で、合計添加量は450mlとなる)した。50mlの硬水を添加する操作ごとに、硬水の全量添加から30秒後の泡量を測定した。これを、硬水添加後の泡量とした。
硬水をメスシリンダーに添加するときの様子を図1に示す。図1中、1はメスシリンダー、2は泡、3は硬水の導入手段(手製のジョウロ)、4は該導入手段の開口部であり、図2は硬水の導入手段3の開口部4の穿孔状態を示す概略図である。硬水の導入手段である手製のジョウロの作製方法は、以下の通りである。先ず、250mlのポリプロピレン製広口びん(アズワン製:アイボーイ広口びん)の底部から高さ約3分の1の本体部分迄を切除した。次いで、直径4cmの薄い円状のポリエチレン製板に対して、図2に示すように、9mm間隔で13個の直径2mmの穴を開けたポリエチレン製多孔板を用意した。最後に、切除した広口びん上部のフタ開口部(直径4cm)に対して、上記のポリエチレン製多孔板を開口部4として固定して硬水の導入手段3(手製のジョウロ)を作製した。このようにして作製した硬水の導入手段3(手製のジョウロ)を、図1のように、倒置状態に保ちながら、メスシリンダー1の開口部にはめ込んだ。硬水は広口びんの切除側から投入した。
初期泡量と硬水添加後の泡量とから、次式で示す泡量変化率を求め、泡消え性を評価した。泡消え性は、泡量変化率が50%以下になる硬水添加量が少ないほど良好であり、上記の評価では、泡量変化率が50%以下になる硬水添加量が250ml以下(硬水添加操作が5回以下)のとき、速やかな泡消えが達成できるものとして「○」と評価し、泡量変化率が50%以下になる硬水添加量が300ml(硬水添加操作が6回)のとき、ある程度速やかな泡消えが達成できるものとして「△」と評価し、泡量変化率が50%以下になる硬水添加量が350ml以上(硬水添加操作が7回以上)のとき、速やかな泡消えが達成できないものとして「×」と評価した。
泡量変化率(%)=[1-(硬水添加後の泡量/初期泡量)]×100
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
表中、(a)成分の陽イオンは陽イオン界面活性剤、陰イオンは陰イオン界面活性剤、両性は両性界面活性剤、非イオンは非イオン界面活性剤の意味である。
また、表中の成分は以下のものである。
AES:ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:4.0)アルキル(炭素数10~16)エーテル硫酸エステルナトリウム
ラウリン酸アミドプロピルベタイン:アンヒトール20AB、花王株式会社
非イオン界面活性剤(1):ソフタノール70H、株式会社日本触媒
非イオン界面活性剤(2):ソフタノール33、株式会社日本触媒
EDTA:エチレンジアミン4酢酸4Na
図1
図2