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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板移載方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241029BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241029BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241029BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 P
H01L21/30 562
H01L21/30 564C
H01L21/30 569C
G03F7/20 521
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020150880
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045274
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】後藤 茂宏
(72)【発明者】
【氏名】中島 恵
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 丈二
(72)【発明者】
【氏名】徐 飛
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-219953(JP,A)
【文献】特開平4-333212(JP,A)
【文献】特開平2-94540(JP,A)
【文献】特開2009-70996(JP,A)
【文献】特開2019-57706(JP,A)
【文献】特開2006-24837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/683
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して搬送する搬送保持部を含む基板搬送部と、
前記搬送保持部により搬送された基板を支持する基板支持部を含む基板処理部と、
前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させることにより、前記搬送保持部により保持された基板を前記基板支持部に移載するように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御する制御部とを備え、
前記搬送保持部は、基板を保持する第1の保持状態と基板の保持を解除する第1の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記基板支持部は、基板を吸引により保持する第2の保持状態と、基板の吸引を解除する第2の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記制御部は、基板を前記第1の保持状態で保持する前記搬送保持部が前記基板支持部の上方の位置から下降し、前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部が前記第2の解除状態から前記第2の保持状態に切り替えられることにより前記基板支持部が前記搬送保持部により保持された基板を前記第2の保持状態で保持した後に、前記搬送保持部が前記第1の解除状態に切り替わるように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御
前記基板支持部は、基板の下面を保持して回転させるように構成された回転保持部である、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板処理部は、前記基板支持部による基板の吸引圧力を検出する圧力センサを含み、
前記制御部は、前記搬送保持部が前記第1の保持状態で基板を保持するとともに前記基板支持部が前記第2の保持状態で基板を保持する状態で前記圧力センサにより検出された前記吸引圧力が予め定められたしきい値を超えたときに、前記搬送保持部を前記第1の保持状態から前記第1の解除状態に切り替えるように前記基板搬送部を制御する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板支持部は、基板の下面を支持する支持面を有し、
前記搬送保持部は、基板の下面を保持する保持面を有し、
前記制御部は、前記基板支持部の上方の位置から前記搬送保持部の下降を開始させ、前記搬送保持部の前記保持面が前記基板支持部の前記支持面よりも予め定められた第1の値だけ高い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させる、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を保持して搬送する搬送保持部を含む基板搬送部と、
前記搬送保持部により搬送された基板を支持する基板支持部を含む基板処理部と、
前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させることにより、前記搬送保持部により保持された基板を前記基板支持部に移載するように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御する制御部とを備え、
前記搬送保持部は、基板を保持する第1の保持状態と基板の保持を解除する第1の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記基板支持部は、基板を吸引により保持する第2の保持状態と、基板の吸引を解除する第2の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記制御部は、基板を前記第1の保持状態で保持する前記搬送保持部が前記基板支持部の上方の位置から下降し、前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部が前記第2の解除状態から前記第2の保持状態に切り替えられることにより前記基板支持部が前記搬送保持部により保持された基板を前記第2の保持状態で保持した後に、前記搬送保持部が前記第1の解除状態に切り替わるように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御し、
前記基板処理部は、前記基板支持部による基板の吸引圧力を検出する圧力センサを含み、
前記制御部は、前記搬送保持部が前記第1の保持状態で基板を保持するとともに前記基板支持部が前記第2の保持状態で基板を保持する状態で前記圧力センサにより検出された前記吸引圧力が予め定められたしきい値を超えたときに、前記搬送保持部を前記第1の保持状態から前記第1の解除状態に切り替えるように前記基板搬送部を制御し、
前記搬送保持部は、基板の下面を保持する保持面を有し、
前記制御部は、一の基板を保持する前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させ、前記吸引圧力が前記しきい値を超えたときの前記搬送保持部の前記保持面の位置よりも高い第1の位置を決定しかつ記憶し、前記一の基板に後続する基板を保持する前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させる場合に、前記搬送保持部の前記保持面が前記記憶された第1の位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させる、基板処理装置。
【請求項5】
基板を保持して搬送する搬送保持部を含む基板搬送部と、
前記搬送保持部により搬送された基板を支持する基板支持部を含む基板処理部と、
前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させることにより、前記搬送保持部により保持された基板を前記基板支持部に移載するように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御する制御部とを備え、
前記搬送保持部は、基板を保持する第1の保持状態と基板の保持を解除する第1の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記基板支持部は、基板を吸引により保持する第2の保持状態と、基板の吸引を解除する第2の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記制御部は、基板を前記第1の保持状態で保持する前記搬送保持部が前記基板支持部の上方の位置から下降し、前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部が前記第2の解除状態から前記第2の保持状態に切り替えられることにより前記基板支持部が前記搬送保持部により保持された基板を前記第2の保持状態で保持した後に、前記搬送保持部が前記第1の解除状態に切り替わるように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御し、
前記基板支持部は、基板の下面を支持する支持面を有し、
前記搬送保持部は、基板の下面を保持する保持面を有し、
前記制御部は、前記基板支持部の上方の位置から前記搬送保持部の下降を開始させ、前記搬送保持部の前記保持面が前記基板支持部の前記支持面よりも予め定められた第1の値だけ高い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させ、
前記制御部は、前記搬送保持部の前記保持面が前記基板支持部の前記支持面よりも予め定められた第2の値だけ低い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を上昇させる、基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記一の基板を保持する前記搬送保持部の下降時に、前記吸引圧力が前記しきい値を超えたときの前記搬送保持部の前記保持面の位置よりも低い第2の位置を決定しかつ記憶し、前記後続する基板を保持する前記搬送保持部の下降時に、前記搬送保持部の前記保持面が前記記憶された第2の位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を上昇させる、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を保持して搬送する搬送保持部を含む基板搬送部と、
前記搬送保持部により搬送された基板を支持する基板支持部を含む基板処理部と、
前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させることにより、前記搬送保持部により保持された基板を前記基板支持部に移載するように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御する制御部とを備え、
前記搬送保持部は、基板を保持する第1の保持状態と基板の保持を解除する第1の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記基板支持部は、基板を吸引により保持する第2の保持状態と、基板の吸引を解除する第2の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記制御部は、基板を前記第1の保持状態で保持する前記搬送保持部が前記基板支持部の上方の位置から下降し、前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部が前記第2の解除状態から前記第2の保持状態に切り替えられることにより前記基板支持部が前記搬送保持部により保持された基板を前記第2の保持状態で保持した後に、前記搬送保持部が前記第1の解除状態に切り替わるように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御し、
基板の湾曲状態を検出する湾曲状態検出部をさらに備え、
前記基板支持部は、基板の下面を支持する支持面を有し、
前記制御部は、前記基板支持部の上方の位置から前記搬送保持部の下降を開始させ、前記湾曲状態検出部により検出された基板の湾曲状態に基づいて、前記搬送保持部に保持された基板の下面中央部が前記基板支持部の前記支持面よりも予め定められた第3の値だけ高い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させる、基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記基板支持部が前記第2の保持状態にありかつ前記搬送保持部が前記第1の解除状態になったときに前記搬送保持部の下降速度を上昇させる、請求項3、4または7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板を保持して搬送する搬送保持部を含む基板搬送部と、
前記搬送保持部により搬送された基板を支持する基板支持部を含む基板処理部と、
前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させることにより、前記搬送保持部により保持された基板を前記基板支持部に移載するように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御する制御部とを備え、
前記搬送保持部は、基板を保持する第1の保持状態と基板の保持を解除する第1の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記基板支持部は、基板を吸引により保持する第2の保持状態と、基板の吸引を解除する第2の解除状態とに切り替え可能に構成され、
前記制御部は、基板を前記第1の保持状態で保持する前記搬送保持部が前記基板支持部の上方の位置から下降し、前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部が前記第2の解除状態から前記第2の保持状態に切り替えられることにより前記基板支持部が前記搬送保持部により保持された基板を前記第2の保持状態で保持した後に、前記搬送保持部が前記第1の解除状態に切り替わるように、前記基板搬送部および前記基板処理部を制御し、
前記基板支持部は、基板の下面を支持するとともに上下方向に移動可能に構成された3本以上の昇降ピンである、基板処理装置。
【請求項10】
基板を搬送保持部により第1の保持状態で保持させるステップと、
前記第1の保持状態で基板を保持する前記搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させるステップと、
前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部を基板の吸引による第2の保持状態に切り替えることにより、前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持された基板を前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持させるステップと、
基板が前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持されかつ前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持された後に、前記搬送保持部を解除状態に切り替えるステップとを含
前記基板支持部は、基板の下面を保持して回転させるように構成された回転保持部である、基板移載方法。
【請求項11】
基板が前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持されるとともに前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持された状態で前記基板支持部による基板の吸引圧力を圧力センサにより検出するステップをさらに備え、
前記搬送保持部を解除状態に切り替えるステップは、前記圧力センサにより検出された圧力が予め定められたしきい値を超えたときに、前記搬送保持部を前記解除状態に切り替えることを含む、請求項10に記載の基板移載方法。
【請求項12】
基板を保持する前記搬送保持部の保持面が前記基板支持部の支持面よりも予め定められた第1の値だけ高い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させるステップをさらに含む、請求項10または11に記載の基板移載方法。
【請求項13】
基板を搬送保持部により第1の保持状態で保持させるステップと、
前記第1の保持状態で基板を保持する前記搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させるステップと、
前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部を基板の吸引による第2の保持状態に切り替えることにより、前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持された基板を前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持させるステップと、
基板が前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持されかつ前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持された後に、前記搬送保持部を解除状態に切り替えるステップと、
基板が前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持されるとともに前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持された状態で前記基板支持部による基板の吸引圧力を圧力センサにより検出するステップをさらに備え、
前記搬送保持部を解除状態に切り替えるステップは、前記圧力センサにより検出された圧力が予め定められたしきい値を超えたときに、前記搬送保持部を前記解除状態に切り替えることを含み、
一の基板を保持する前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させ、前記吸引圧力が前記しきい値を超えたときの基板を保持する前記搬送保持部の保持面の位置よりも高い第1の位置を決定しかつ記憶するステップと、
前記一の基板に後続する基板を保持する前記搬送保持部を前記基板支持部の上方の位置から下降させる場合に、前記搬送保持部の前記保持面が前記記憶された第1の位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させるステップとをさらに含む、基板移載方法。
【請求項14】
基板を搬送保持部により第1の保持状態で保持させるステップと、
前記第1の保持状態で基板を保持する前記搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させるステップと、
前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部を基板の吸引による第2の保持状態に切り替えることにより、前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持された基板を前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持させるステップと、
基板が前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持されかつ前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持された後に、前記搬送保持部を解除状態に切り替えるステップと、
基板を保持する前記搬送保持部の保持面が前記基板支持部の支持面よりも予め定められた第1の値だけ高い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させるステップとを含み、
前記搬送保持部の前記保持面が前記基板支持部の前記支持面よりも予め定められた第2の値だけ低い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を上昇させるステップをさらに含む、基板移載方法。
【請求項15】
前記一の基板を保持する前記搬送保持部の下降時に、前記吸引圧力が前記しきい値を超えたときの前記搬送保持部の前記保持面の位置よりも低い第2の位置を決定しかつ記憶するステップと、
前記後続する基板を保持する前記搬送保持部の下降時に、前記搬送保持部の前記保持面が前記記憶された第2の位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を上昇させるステップとをさらに含む、請求項13記載の基板移載方法。
【請求項16】
基板を搬送保持部により第1の保持状態で保持させるステップと、
前記第1の保持状態で基板を保持する前記搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させるステップと、
前記搬送保持部が前記第1の保持状態にあるときに前記基板支持部を基板の吸引による第2の保持状態に切り替えることにより、前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持された基板を前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持させるステップと、
基板が前記搬送保持部により前記第1の保持状態で保持されかつ前記基板支持部により前記第2の保持状態で保持された後に、前記搬送保持部を解除状態に切り替えるステップと、
湾曲状態検出部により基板の湾曲状態を検出するステップと、
前記基板の湾曲状態に基づいて、前記搬送保持部に保持された基板の下面中央部の高さが前記基板支持部の支持面よりも予め定められた第3の値だけ高い位置に下降したときに前記搬送保持部の下降速度を低下させるステップとを含、基板移載方法。
【請求項17】
前記基板支持部が前記第2の保持状態にありかつ前記搬送保持部が第1の解除状態になったときに前記搬送保持部の下降速度を上昇させるステップをさらに含む、請求項1213または16に記載の基板移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、複数の基板処理部および基板搬送部を備える。複数の基板処理部としては、基板にレジスト液を塗布する塗布ユニット、基板上のレジスト膜を現像する現像ユニット、基板を加熱する加熱ユニット、および基板を冷却する冷却ユニット等が用いられる。基板搬送部は、基板を複数の基板処理部の間で搬送する。
【0003】
例えば、塗布ユニットは、基板の下面を吸着するスピンチャック(回転保持部)を備える。基板がスピンチャックにより水平姿勢で保持されるとともに鉛直軸の周りで回転され、回転される基板上にレジスト液が供給される。基板搬送部は、基板を保持するハンド(搬送保持部)を有し、ハンドに保持した基板を塗布ユニットのスピンチャック上に移載する。例えば、特許文献1には、チャンバ内で基板を保持する基板保持装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-142647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の基板保持装置よれば、基板が反っている場合でも、好適に基板を吸着保持することが可能となる。
【0006】
しかしながら、基板搬送部のハンドに保持された基板がスピンチャックに移載される際に基板の位置ずれが生じることがある。具体的には、基板を保持したハンドがスピンチャックの上方の位置から下降し、ハンドによる基板の保持が解除された後に、スピンチャックの上面に基板が載置される。このとき、基板の位置ずれが生じることがある。この場合、基板がずれた状態でスピンチャックに保持される。
【0007】
本発明の目的は、基板搬送部の搬送保持部から基板処理部の基板支持部へ基板を移載する際に基板の位置ずれが防止された基板処理装置および基板移載方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る基板処理装置は、基板を保持して搬送する搬送保持部を含む基板搬送部と、搬送保持部により搬送された基板を支持する基板支持部を含む基板処理部と、搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させることにより、搬送保持部により保持された基板を基板支持部に移載するように、基板搬送部および基板処理部を制御する制御部とを備え、搬送保持部は、基板を保持する第1の保持状態と基板の保持を解除する第1の解除状態とに切り替え可能に構成され、基板支持部は、基板を吸引により保持する第2の保持状態と、基板の吸引を解除する第2の解除状態とに切り替え可能に構成され、制御部は、基板を第1の保持状態で保持する搬送保持部が基板支持部の上方の位置から下降し、搬送保持部が第1の保持状態にあるときに基板支持部が第2の解除状態から第2の保持状態に切り替えられることにより基板支持部が搬送保持部により保持された基板を第2の保持状態で保持した後に、搬送保持部が第1の解除状態に切り替わるように、基板搬送部および基板処理部を制御する。
【0009】
この基板処理装置においては、搬送保持部が基板を第1の保持状態で保持するとともに基板支持部の上方の位置から下降する。基板支持部が第2の解除状態から第2の保持状態に切り替わることにより基板支持部が基板を吸引により保持した後に、搬送保持部が第1の保持状態から第1の解除状態に切り替わる。それにより、基板が搬送保持部から基板支持部に移載される。
【0010】
この構成によれば、基板が搬送保持部から基板支持部に移載される際に、基板は、搬送保持部および基板支持部の両方により同時に保持された後に搬送保持部による基板の保持が解除される。この場合、基板が基板支持部に接触するときの衝撃による基板の位置ずれおよび基板の振動による基板の位置ずれが防止される。その結果、基板支持部に移載される際の基板の位置ずれが防止される。
【0011】
(2)基板処理部は、基板支持部による基板の吸引圧力を検出する圧力センサを含み、制御部は、搬送保持部が第1の保持状態で基板を保持するとともに基板支持部が第2の保持状態で基板を保持する状態で圧力センサにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えたときに、搬送保持部を第1の保持状態から第1の解除状態に切り替えるように基板搬送部を制御してもよい。
【0012】
この場合、基板が基板支持部により確実に保持された後に搬送保持部による基板の保持が解除される。その結果、搬送保持部から基板支持部への基板の移載時における基板の位置ずれが確実に防止される。
【0013】
(3)基板支持部は、基板の下面を支持する支持面を有し、搬送保持部は、基板の下面を保持する保持面を有し、制御部は、基板支持部の上方の位置から搬送保持部の下降を開始させ、搬送保持部の保持面が基板支持部の支持面よりも予め定められた第1の値だけ高い位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を低下させてもよい。
【0014】
この場合、搬送保持部に保持された基板は、搬送保持部の下降速度が低下された状態で基板支持部の支持面に接触する。それにより、基板を搬送保持部から基板支持部に移載するときの衝撃が低減される。その結果、基板支持部の支持面での基板の位置ずれがさらに防止される。
【0015】
(4)搬送保持部は、基板の下面を保持する保持面を有し、制御部は、一の基板を保持する搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させ、吸引圧力がしきい値を超えたときの搬送保持部の保持面の位置よりも高い第1の位置を決定しかつ記憶し、一の基板に後続する基板を保持する搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させる場合に、搬送保持部の保持面が記憶された第1の位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を低下させてもよい。
【0016】
この場合、一の基板を保持する搬送保持部の下降時に第1の位置が決定および記憶される。後続する基板を保持する搬送保持部の下降速度は、第1の位置で低下される。この場合、基板支持部により基板が確実に保持される位置よりも高い位置に第1の位置が決定される。それにより、基板を搬送保持部から基板支持部に移載するときの衝撃が低減される。その結果、基板支持部の支持面での基板の位置ずれがさらに防止される。
【0017】
(5)制御部は、搬送保持部の保持面が基板支持部の支持面よりも予め定められた第2の値だけ低い位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を上昇させてもよい。この場合、基板が搬送保持部から離れた後に搬送保持部の下降速度が上昇するため、基板の搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【0018】
(6)制御部は、一の基板を保持する搬送保持部の下降時に、吸引圧力がしきい値を超えたときの搬送保持部の保持面の位置よりも低い第2の位置を決定しかつ記憶し、後続する基板を保持する搬送保持部の下降時に、搬送保持部の保持面が記憶された第2の位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を上昇させてもよい。
【0019】
この場合、一の基板を保持する搬送保持部の下降時に第2の位置が決定および記憶される。後続する基板を保持する搬送保持部の下降速度は、第2の位置で上昇される。この場合、基板が搬送保持部から離れた後に搬送保持部の下降速度が上昇するため、基板の搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【0020】
(7)基板処理装置は、基板の湾曲状態を検出する湾曲状態検出部をさらに備え、基板支持部は、基板の下面を支持する支持面を有し、制御部は、基板支持部の上方の位置から搬送保持部の下降を開始させ、湾曲状態検出部により検出された基板の湾曲状態に基づいて、搬送保持部に保持された基板の下面中央部が基板支持部の支持面よりも予め定められた第3の値だけ高い位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を低下させてもよい。
【0021】
このような構成により、基板が湾曲している場合でも、搬送保持部の下降速度が低下された状態で、搬送保持部に保持された基板の下面中央部が基板支持部の支持面に接触する。それにより、基板を搬送保持部から基板支持部に移載するときの衝撃が低減される。その結果、基板支持部の支持面上での基板の位置ずれがさらに防止される。
【0022】
(8)制御部は、基板支持部が第2の保持状態にありかつ搬送保持部が第1の解除状態になったときに搬送保持部の下降速度を上昇させてもよい。この場合、搬送保持部が第1の解除状態になったときに搬送保持部の下降速度が上昇するため、基板の搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【0023】
(9)基板支持部は、基板の下面を保持して回転させるように構成された回転保持部であってもよい。この場合、基板処理部において、回転される基板に処理が行われる。上記の構成により、搬送保持部から回転保持部への基板の移載時に、衝撃による基板の位置ずれおよび基板の振動による基板の位置ずれが防止される。
【0024】
(10)基板支持部は、基板の下面を支持するとともに上下方向に移動可能に構成された3本以上の昇降ピンであってもよい。この場合、基板処理部において、3本以上の昇降ピンにより処理位置に移動された基板に処理が行われる。上記の構成により、搬送保持部から昇降ピンへの基板の移載時に、衝撃による基板の位置ずれおよび基板の振動による基板の位置ずれが防止される。
【0025】
(11)本発明に係る基板移載方法は、基板を搬送保持部により第1の保持状態で保持させるステップと、第1の保持状態で基板を保持する搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させるステップと、搬送保持部が第1の保持状態にあるときに基板支持部を基板の吸引による第2の保持状態に切り替えることにより、搬送保持部により第1の保持状態で保持された基板を基板支持部により第2の保持状態で保持させるステップと、基板が搬送保持部により第1の保持状態で保持されかつ基板支持部により第2の保持状態で保持された後に、搬送保持部を解除状態に切り替えるステップとを含む。
【0026】
この基板移載方法においては、基板が搬送保持部により第1の保持状態で保持されるとともに基板支持部の上方の位置から下降される。基板支持部が第2の解除状態から第2の保持状態に切り替えられることにより基板が基板支持部により保持された後に、搬送保持部が第1の保持状態から第1の解除状態に切り替えられる。それにより、基板が搬送保持部から基板支持部に移載される。
【0027】
この方法によれば、基板が搬送保持部から基板支持部に移載される際に、基板は、搬送保持部および基板支持部の両方により同時に保持された後に搬送保持部による基板の保持が解除される。この場合、基板が基板支持部に接触するときの衝撃による基板の位置ずれおよび基板の振動による基板の位置ずれが防止される。その結果、基板支持部に移載される際の基板の位置ずれに発生が防止される。
【0028】
(12)基板移載方法は、基板が搬送保持部により第1の保持状態で保持されるとともに基板支持部により第2の保持状態で保持された状態で基板支持部による基板の吸引圧力を圧力センサにより検出するステップをさらに含み、搬送保持部を解除状態に切り替えるステップは、圧力センサにより検出された圧力が予め定められたしきい値を超えたときに、搬送保持部を第1の保持状態から解除状態に切り替えることを含んでもよい。
【0029】
この場合、基板が基板支持部により確実に保持された後に搬送保持部の基板の保持が解除される。その結果、搬送保持部から基板支持部への基板の移載時における基板の位置ずれが確実に防止される。
【0030】
(13)基板移載方法は、基板を保持する搬送保持部の保持面が基板支持部の支持面よりも予め定められた第1の値だけ高い位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を低下させるステップをさらに含んでもよい。
【0031】
この場合、搬送保持部に保持された基板は、搬送保持部の下降速度が低下された状態で基板支持部の支持面に接触する。それにより、基板を搬送保持部から基板支持部に移載するときの衝撃が低減される。その結果、基板支持部の支持面での基板の位置ずれがさらに防止される。
【0032】
(14)基板移載方法は、一の基板を保持する搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させ、吸引圧力がしきい値を超えたときの搬送保持部の保持面の位置よりも高い第1の位置を決定しかつ記憶するステップと、一の基板に後続する基板を保持する搬送保持部を基板支持部の上方の位置から下降させる場合に、搬送保持部の保持面が記憶された第1の位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を低下させるステップとをさらに含んでもよい。
【0033】
この場合、一の基板を保持する搬送保持部の下降時に第1の位置が決定および記憶される。後続する基板を保持する搬送保持部の下降速度は、第1の位置で低下される。この場合、基板支持部により基板が確実に保持される位置よりも高い位置に第1の位置が決定される。それにより、基板を搬送保持部から基板支持部に移載するときの衝撃が低減される。その結果、基板支持部の支持面での基板の位置ずれがさらに防止される。
【0034】
(15)基板移載方法は、搬送保持部の保持面が基板支持部の支持面よりも予め定められた第2の値だけ低い位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を上昇させるステップをさらに含んでもよい。この場合、基板が搬送保持部から離れた後に搬送保持部の下降速度が上昇するため、基板の搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【0035】
(16)一の基板を保持する搬送保持部の下降時に、吸引圧力がしきい値を超えたときの搬送保持部の保持面の位置よりも低い第2の位置を決定しかつ記憶するステップと、後続する基板を保持する搬送保持部の下降時に、搬送保持部の保持面が記憶された第2の位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を上昇させるステップとをさらに含んでもよい。
【0036】
この場合、一の基板を保持する搬送保持部の下降時に第2の位置が決定および記憶される。後続する基板を保持する搬送保持部の下降速度は、第2の位置で上昇される。この場合、基板が搬送保持部から離れた後に搬送保持部の下降速度が上昇するため、基板の搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【0037】
(17)基板移載方法は、湾曲状態検出部により基板の湾曲状態を検出するステップと、基板の湾曲状態に基づいて、搬送保持部に保持された基板の下面中央部の高さが基板支持部の支持面よりも予め定められた第3の値だけ高い位置に下降したときに搬送保持部の下降速度を低下させるステップとをさらに含んでもよい。
【0038】
このような方法により、基板が湾曲している場合でも、搬送保持部の下降速度が低下された状態で、搬送保持部に保持された基板の下面中央部が基板支持部の支持面に接触する。それにより、基板を搬送保持部から基板支持部に移載するときの衝撃が低減される。その結果、基板支持部の支持面上での基板の位置ずれがさらに防止される。
【0039】
(18)基板移載方法は、基板支持部が第2の保持状態にありかつ搬送保持部が第1の解除状態になったときに搬送保持部の下降速度を上昇させるステップをさらに含んでもよい。この場合、搬送保持部が第1の解除状態になったときに搬送保持部の下降速度が上昇するため、基板の搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置のスループットが向上する。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、基板搬送部の搬送保持部から基板処理部の基板支持部へ基板を移載する際に基板の位置ずれが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本実施の形態に係る基板処理装置の構成要素のレイアウトの一例を示す模式的平面図である。
図2図1の基板処理装置の基板搬送部、塗布処理部、現像処理部、熱処理部の構成の例を示す模式的正面図である。
図3図2の基板搬送部の模式的平面図である。
図4図2の塗布処理部の基板支持部の模式的平面図である。
図5図2の熱処理部の基板支持部の模式的平面図である。
図6】基板搬送部の搬送保持部から塗布処理部の回転保持部への基板の移載時の第1の動作例である。
図7】基板搬送部の搬送保持部から塗布処理部の回転保持部への基板の移載時の第2の動作例である。
図8図2の制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図9図8の制御装置による第1の動作例の制御を示すフローチャートである。
図10図8の制御装置による第2の動作例の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0043】
(1)基板処理装置の構成
図1は、一実施の形態に係る基板処理装置の各構成要素のレイアウトの一例を示す模式的平面図である。図1に示すように、基板処理装置100は露光装置200に隣接するように設けられる。基板処理装置100は、インデクサブロックID、処理ブロックPRおよびインターフェイスブロックIFを含む。
【0044】
インデクサブロックIDは、基板搬送部(基板搬送ロボット)70および複数のキャリア載置部80を含む。各キャリア載置部80には、複数の基板Wを多段に収納するキャリア81が載置される。
【0045】
処理ブロックPRは、インデクサブロックIDとインターフェイスブロックIFとの間に配置される。処理ブロックPRは、塗布処理部20、現像処理部30、複数の熱処理部40および1または複数の基板搬送部(基板搬送ロボット)10を含む。図1の例では、2つの基板搬送部10が設けられる。一方の基板搬送部10は、塗布処理部20と1つの熱処理部40との間に設けられ、他方の基板搬送部10は、現像処理部30と1つの熱処理部40との間に設けられる。本実施の形態では、インデクサブロックIDと処理ブロックPRとの境界部に湾曲状態検出部50が設けられる。インターフェイスブロックIFは、処理ブロックPRと露光装置200との間に配置される。インターフェイスブロックIFは、基板搬送部(基板搬送ロボット)90を含む。
【0046】
インデクサブロックIDの少なくとも1つのキャリア載置部80上には、未処理の基板Wが収容されたキャリア81が載置される。基板搬送部70は、キャリア81から湾曲状態検出部50に未処理の基板Wを搬送する。湾曲状態検出部50は、基板Wの湾曲状態(反りの程度)を検出する。
【0047】
処理ブロックPRの基板搬送部10は、未処理の基板Wを塗布処理部20、熱処理部40および湾曲状態検出部50の間で搬送する。それにより、基板Wの上面にレジスト膜が形成される。その後、基板搬送部10は、レジスト膜が形成された基板WをインターフェイスブロックIFに搬送する。
【0048】
インターフェイスブロックIFの基板搬送部90は、レジスト膜が形成された基板Wを露光装置200に搬入する。露光装置200は、基板W上のレジスト膜に露光処理を行う。基板搬送部90は、露光処理後の基板Wを処理ブロックPRに搬送する。
【0049】
処理ブロックPRの基板搬送部10は、露光処理後の基板Wを現像処理部30および熱処理部40の間で搬送する。それにより、露光処理後の基板W上のレジスト膜が現像される。その後、基板搬送部10は、現像後の基板WをインターフェイスブロックIFに搬送する。インデクサブロックIDの基板搬送部70は、現像後の基板Wをキャリア載置部80に搬送する。
【0050】
図2は、図1の基板処理装置100の基板搬送部10、塗布処理部20、現像処理部30および熱処理部40の構成の例を示す模式的正面図である。図3は、図2の基板搬送部10の模式的平面図である。図4は、図2の塗布処理部20の回転保持部21の模式的平面図である。図5は、図2の熱処理部40の昇降ピン41の模式的平面図である。
【0051】
図2に示すように、基板搬送部10は、吸引部10a、移動部材11、回転部材12、支持部材13、2つの搬送保持部(ハンド)H1,H2および搬送駆動部14を含む。移動部材11は、ガイドレール(図示せず)に沿って水平方向に移動可能であるとともに上下方向に昇降可能に構成される。
【0052】
移動部材11上には、略直方体形状の回転部材12が上下方向の軸の周りで回転可能に設けられる。回転部材12には搬送保持部H1,H2がそれぞれ支持部材13により支持される。搬送保持部H1,H2は、回転部材12の長手方向に進退可能に構成される。本実施の形態においては、搬送保持部H2が回転部材12の上面の上方に位置し、搬送保持部H1が搬送保持部H2の上方に位置する。移動部材11、回転部材12および搬送保持部H1,H2は、搬送駆動部14により駆動される。搬送駆動部14は、例えば電動モータにより構成される。
【0053】
図3に示すように、搬送保持部H1,H2の各々は、ガイド部Haおよびアーム部Hbを含む。ガイド部Haは略円弧形状を有し、アーム部Hbは長方形状を有する。ガイド部Haの内周部には、ガイド部Haの内方に向かうように複数(本例では3つ)の突出部prが形成される。各突出部prには、基板Wの下面を吸着保持するための吸着パッドpdが設けられる。吸着パッドpdの略中心には、吸引孔smが設けられる。本実施の形態では、吸着パッドpdの上面が基板Wの下面を保持する保持面hfとなる。吸引孔smは、図2の吸引部10aに気体流路を通して接続される。吸引部10aは、例えばエジェクタまたはアスピレータ等により構成される。
【0054】
複数の突出部prの吸着パッドpd上に基板Wの下面周縁部が載置される。この状態で、基板Wの下面周縁部の複数箇所が複数の吸引孔smを通して図2の吸引部10aにより吸引される。それにより、基板Wが突出部prの保持面hfに吸着保持される。
【0055】
以下、搬送保持部H1,H2が基板Wを保持する状態を第1の保持状態と呼び、搬送保持部H1,H2が基板Wの保持を解除する状態を第1の解除状態と呼ぶ。搬送保持部H1,H2は、図2の吸引部10aの吸引動作および吸引動作の停止により第1の保持状態と第1の解除状態とに切り替え可能に構成される。
【0056】
図2に示すように、塗布処理部20は、吸引部20a、圧力センサ20b、回転保持部(スピンチャック)21、処理液ノズル26およびカップ27を含む。回転保持部21は、回転部材24およびモータ25により構成される。回転保持部21は、基板Wの下面を支持する支持面22を有する。
【0057】
図4に示すように、支持面22には、複数の吸引孔23が設けられる。吸引孔23は、気体流路を通して図2の吸引部20aに接続される。図2の吸引部20aは、例えばエジェクタまたはアスピレータ等により構成される。吸引孔23と図2の吸引部20aとを接続する気体流路には、圧力センサ20b(図2)が設けられる。図2の圧力センサ20bは、吸引孔23における吸引圧力を検出する。
【0058】
回転部材24の支持面22上に基板Wが載置される。この状態で、基板Wの下面が図2の吸引部20aにより複数の吸引孔23を通して吸引される。それにより、基板Wが回転部材24の支持面22に吸着保持される。
【0059】
図2に示すように、回転部材24は、モータ25により上下方向の軸の周りで回転可能に構成される。処理液ノズル26は、回転保持部21に保持および回転される基板Wの上面に向かってレジスト液等の塗布液を吐出する。本実施の形態では、塗布液としてレジスト液が吐出される。それにより、基板Wの上面にレジスト液が塗布される。カップ27は、塗布液等の飛散を防止するために回転保持部21の周囲を覆うように設けられる。
【0060】
図2に示すように、現像処理部30は、吸引部30a、圧力センサ30b、回転保持部(スピンチャック)31、処理液ノズル36およびカップ37を含む。回転保持部31は、回転部材34およびモータ35により構成される。回転保持部31は、基板Wの下面を支持する支持面32を有する。支持面32には、図4の支持面22と同様に、複数の吸引孔23と同様の複数の吸引孔が形成される。
【0061】
図2の現像処理部30における吸引部30a、圧力センサ30b、回転保持部31、処理液ノズル36およびカップ37の構成および動作は、次の点を除いて図2の吸引部20a、圧力センサ20b、回転保持部21、処理液ノズル26およびカップ27の構成および動作と同様である。現像処理部30の処理液ノズル36は、回転保持部31に保持および回転される基板Wの上面に現像液を吐出する。それにより、露光処理後の基板W上のレジスト膜が現像される。
【0062】
図2に示すように、熱処理部40は、吸引部40a、圧力センサ40b、3本の昇降ピン41および熱処理プレート45を含む。熱処理プレート45は、基板Wを加熱する加熱プレートまたは基板Wを冷却する冷却プレートである。昇降ピン41は、熱処理プレート45を上下に貫通して昇降可能に設けられる。各昇降ピン41の上端面が基板Wの下面を支持する支持面42となる。
【0063】
図5に示すように、各昇降ピン41の支持面42には、吸引孔43が設けられる。吸引孔43は、図2の吸引部40aに気体流路を通して接続される。図2の吸引部40aは、例えばエジェクタまたはアスピレータ等により構成される。昇降ピン41の吸引孔43と図2の吸引部40aとを接続する気体流路には、圧力センサ40b(図2)が設けられる。図2の圧力センサ40bは、吸引孔43における吸引圧力を検出する。
【0064】
基板Wが熱処理部40に搬入された際に、昇降ピン41は上昇する。昇降ピン41の支持面42上に基板Wが載置される。この状態で、基板Wの下面が吸引部40aにより各昇降ピン41の吸引孔43を通して吸引される。それにより、昇降ピン41の支持面42に基板Wが吸着保持される。
【0065】
熱処理プレート45の上面には、熱処理面46が形成される。昇降ピン41が基板Wを保持した状態で、昇降ピン41が下降する。それにより、基板Wが熱処理面46に載置されるとともに基板Wに熱処理が行われる。
【0066】
以下、回転保持部21,31または昇降ピン41が基板Wを保持する状態を第2の保持状態と呼び、回転保持部21,31または昇降ピン41が基板Wの保持を解除する状態を第2の解除状態と呼ぶ。回転保持部21,31および昇降ピン41は、それぞれ吸引部20a,30a,40aの吸引動作および吸引動作の停止により第2の保持状態と第2の解除状態とに切り替え可能に構成される。
【0067】
図2の湾曲状態検出部50は、例えば、複数の光学センサにより水平状態の基板Wの下面周縁部の高さおよび下面中央部の高さを検出する。それにより、基板Wの湾曲状態が検出される。あるいは、湾曲状態検出部50は、基板Wの下面周縁部を支持する3本以上の周縁部用昇降ピンおよび基板Wの下面中央部を支持する中央部用昇降ピンを備えてもよい。この場合、周縁部用昇降ピンが基板Wの下面周縁部を支持した状態で、中央部用昇降ピンが上昇する。中央部用昇降ピンが基板Wに当接したときの周縁部用昇降ピンの上端の高さおよび中央部用昇降ピンの上端の高さから基板Wの湾曲状態が検出される。
【0068】
制御装置60は、基板搬送部10、塗布処理部20、現像処理部30および熱処理部40の動作を制御する。制御装置60の構成および動作の詳細については後述する。
【0069】
(2)第1の動作例
次に、図2の基板搬送部10の搬送保持部H1から塗布処理部20の回転保持部21へ基板Wを移載する際の搬送保持部H1および回転保持部21の第1の動作例を説明する。第1の動作例では、湾曲していない基板Wが移載される。
【0070】
図6は、基板搬送部10の搬送保持部H1から塗布処理部20の回転保持部21への基板Wの移載時の第1の動作例を示す図である。図6の左部分には、搬送保持部H1と回転保持部21との位置(高さ)関係の時間的変化が順に示される。白抜きの矢印は、搬送保持部H1の下降速度を表す。図6の中央部には、搬送保持部H1の保持面hfの位置(高さ)の時間的変化が直線L1,L2,L3で示される。図6の右部分には、搬送保持部H1の保持面hfの位置(高さ)と搬送保持部H1の下降速度との関係が直線L4,L5,L6で示される。
【0071】
まず、回転保持部21の上方の位置に搬送保持部H1により基板Wが搬入される。搬送保持部H1は第1の保持状態である。回転保持部21は第2の解除状態である。搬送保持部H1は、基板Wの中心と回転保持部21の回転中心とが一致するように位置決めされる。このとき、搬送保持部H1の保持面hfは、回転保持部21の支持面22よりも上方の位置P1にある。本例では、基板Wの下面の位置は搬送保持部H1の保持面hfの位置に等しい。
【0072】
搬送保持部H1の保持面hfが位置P1から位置P2まで下降するように、基板Wを保持する搬送保持部H1が下降する。搬送保持部H1の下降開始と同時または下降開始後に塗布処理部20の図2の吸引部20aによる吸引動作が開始される。それにより、回転保持部21の支持面22において吸引が開始される。
【0073】
本例では、時点t1で搬送保持部H1が下降を開始し、時点t2で搬送保持部H1の保持面hfが位置P2に下降する。位置P2は、回転保持部21の支持面22よりも予め定められた第1の値だけ高い位置に設定される。第1の値は、例えば4mmであるが、これに限定されない。時点t1から時点t2までの搬送保持部H1の保持面hfの位置の時間的変化が直線L1で表される。時点t1から時点t2までの搬送保持部H1の下降速度が直線L4で表される。
【0074】
搬送保持部H1の保持面hfが位置P2に下降したときに、搬送保持部H1の下降速度が低下される。この状態で、基板Wを保持した搬送保持部H1の保持面hfが回転保持部21の支持面22の位置P3まで下降する。それにより、基板Wの下面が回転保持部21の支持面22に接触する。この場合、回転保持部21の支持面22の複数の吸引孔23が基板Wの下面により閉塞される。その結果、図2の圧力センサ20bにより検出される吸引圧力が増加する。
【0075】
基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で、図2の圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、回転保持部21が確実に第2の保持状態になる。この場合、基板Wは、搬送保持部H1の保持面hfおよび回転保持部21の支持面22の両方により保持される。
【0076】
基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で、図2の圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、搬送保持部H1が第1の保持状態から第1の解除状態に切り替えられる。それにより、基板Wの下面から搬送保持部H1の保持面hfが離間可能となる。
【0077】
本例では、時点t3で搬送保持部H1の保持面hfが位置P3に下降し、時点t4で搬送保持部H1の保持面hfが位置P4に下降する。位置P4は、回転保持部21の支持面22よりも予め定められた第2の値だけ低い位置に設定される。第2の値は、例えば4mmであるが、これに限定されない。時点t2から時点t4までの搬送保持部H1の保持面hfの位置の時間的変化が直線L2で表される。時点t2から時点t4までの搬送保持部H1の下降速度が直線L5で表される。直線L5で表される下降速度は、直線L4で表される下降速度よりも低い。
【0078】
搬送保持部H1の保持面hfが位置P4に下降すると、搬送保持部H1の下降速度が上昇される。時点t4以降の搬送保持部H1の保持面hfの位置の時間的変化が直線L3で表される。時点t4以降の搬送保持部H1の下降速度が直線L6で表される。直線L6で表される下降速度は、直線L5で表される下降速度よりも高い。
【0079】
このように、第1の動作例では、基板Wが搬送保持部H1により保持された状態から基板Wが搬送保持部H1および回転保持部21の両方により保持された状態を経由して基板Wが回転保持部21により保持される。
【0080】
搬送保持部H2から回転保持部21に基板Wを移載する場合の動作は、搬送保持部H1から回転保持部21に基板Wを移載する場合の動作と同様である。また、搬送保持部H1または搬送保持部H2から現像処理部30の回転保持部31に基板Wを移載する場合の動作は、搬送保持部H1または搬送保持部H2から回転保持部21に基板Wを移載する場合の動作と同様である。
【0081】
さらに、搬送保持部H1または搬送保持部H2から熱処理部40の昇降ピン41に基板Wを移載する場合の動作は、搬送保持部H1または搬送保持部H2から回転保持部21に基板Wを移載する場合の動作と同様である。この場合、基板Wが昇降ピン41の支持面42に接触したときに、搬送保持部H1が第1の保持状態にありかつ昇降ピン41が第2の保持状態にある。それにより、基板Wが昇降ピン41の支持面42および搬送保持部H1の保持面hfの両方により保持される。
【0082】
(3)第2の動作例
次に、図2の基板搬送部10の搬送保持部H1から塗布処理部20の回転保持部21へ基板Wを移載する際の搬送保持部H1および回転保持部21の第2の動作例を説明する。第2の動作例では、下に凸に湾曲した基板Wが移載される。
【0083】
図7は、基板搬送部10の搬送保持部H1から塗布処理部20の回転保持部21への基板Wの移載時の第2の動作例を示す図である。図7の左部分には、搬送保持部H1と回転保持部21との位置(高さ)関係の時間的変化が順に示される。白抜きの矢印は、搬送保持部H1の下降速度を表す。図7の中央部には、搬送保持部H1の保持面hfの位置(高さ)の時間的変化が直線L11,L12,L13で示される。図7の右部分には、搬送保持部H1の保持面hfの位置(高さ)と搬送保持部H1の下降速度との関係が直線L14,L15,L16で示される。
【0084】
まず、回転保持部21の上方の位置に搬送保持部H1により基板Wが搬入される。搬送保持部H1は第1の保持状態である。回転保持部21は第2の解除状態である。搬送保持部H1は、基板Wの中心と回転保持部21の回転中心とが一致するように位置決めされる。このとき、搬送保持部H1の保持面hfは、回転保持部21の支持面22よりも上方の位置P1にある。本例では、基板Wの下面中央部の位置は搬送保持部H1の保持面hfの位置よりも低い。
【0085】
搬送保持部H1の保持面hfが位置P1から下降するように、基板Wを保持する搬送保持部H1が下降する。搬送保持部H1の下降開始と同時または下降開始後に、塗布処理部20の図2の吸引部20aによる吸引動作が開始される。それにより、回転保持部21の支持面22において吸引が開始される。
【0086】
本例では、時点t11で搬送保持部H1が下降を開始し、時点t12aで搬送保持部H1の保持面hfが位置P2aに下降する。位置P2aは、基板搬送部10の搬送保持部H1に保持された基板Wの下面中央部が回転保持部21の支持面22よりも予め定められた第3の値だけ高い位置にあるように設定される。この場合、図2の湾曲状態検出部50により検出された湾曲状態に基づいて、基板Wが水平姿勢にある状態で、基板Wの下面周縁部の高さと基板Wの下面中央部の高さとの差が予め算出される。また、算出された差が第3の値に加算されることにより、加算値が得られる。位置P2aは、回転保持部21の支持面22の位置P3よりも加算値だけ高い位置に設定される。第3の値は、例えば6mmであるが、これに限定されない。時点t11から時点t12aまでの搬送保持部H1の保持面hfの位置の変化が直線L11で表される。時点t11から時点t12aまでの搬送保持部H1の下降速度が直線L14で表される。
【0087】
搬送保持部H1の保持面hfが位置P2aに下降したときに、搬送保持部H1の下降速度が低下される。この状態で、基板Wを保持した搬送保持部H1がさらに下降する。それにより、基板Wの下面中央部が回転保持部21の支持面22に接触する。このとき、基板Wが湾曲しているため、回転保持部21の支持面22の複数の吸引孔23の一部は、基板Wの下面で閉塞されない。この状態で、基板Wを保持した搬送保持部H1がさらに下降する。それにより、基板Wの形状が平坦な状態に変形する。この場合、回転保持部21の支持面22の複数の吸引孔23が基板Wの下面により閉塞される。その結果、圧力センサ20bにより検出される吸引圧力が増加する。
【0088】
基板Wが回転保持部21の支持面22に接触した状態で、図2の圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、回転保持部21が確実に第2の保持状態になる。この場合、基板Wは、搬送保持部H1の保持面hfおよび回転保持部21の支持面22の両方により保持される。
【0089】
本例では、時点t13で基板Wを保持した搬送保持部H1の保持面hfが回転保持部21の支持面22の位置P3まで下降する。それにより、湾曲した基板Wが一時的に平坦となる。その結果、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超える。このとき、搬送保持部H1が第1の保持状態から第1の解除状態に切り替えられる。したがって、基板Wの下面からが搬送保持部H1の保持面hfが離間可能となる。また、時点t13で、搬送保持部H1の下降速度が上昇される。
【0090】
本例では、時点t12aから時点t13までの搬送保持部H1の保持面hfの位置の時間的変化が直線L12で表される。時点t12aから時点t13までの搬送保持部H1の下降速度が直線L15で表される。直線L15で表される下降速度は、直線L14で表される下降速度よりも低い。時点t13以降の搬送保持部H1の保持面hfの位置の時間的変化が直線L13で表される。時点t13以降の搬送保持部H1の下降速度が直線L16で表される。直線L16で表される下降速度は、直線L15で表される下降速度よりも高い。
【0091】
このように、第2の動作例では、湾曲した基板Wが搬送保持部H1により保持された状態から基板Wが搬送保持部H1および回転保持部21の両方により保持された状態を経由して基板Wが回転保持部21により保持される。
【0092】
基板Wが上に凸に湾曲している場合にも、搬送保持部H1の下降開始時または下降開始後に、回転保持部21の支持面22において吸引が開始される。また、基板Wの下面中央部が回転保持部21の支持面22の位置P3よりも予め定められた第3の値だけ上方の位置に下降したときに搬送保持部H1の下降速度が低下される。この場合、図2の湾曲状態検出部50により検出された湾曲状態に基づいて、基板Wが水平姿勢にある状態で、基板Wの下面中央部の高さと基板Wの下面周縁部の高さとの差が予め算出される。また、第3の値から算出された差が減算されることにより、減算値が得られる。位置P2aは、回転保持部21の支持面22の位置P3(高さ)よりも減算値だけ高い位置に設定される。基板Wの下面中央部が回転保持部21の支持面22に接触した後、図2の圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、回転保持部21が確実に第2の保持状態になる。この場合、基板Wは、搬送保持部H1の保持面hfおよび回転保持部21の支持面22の両方により保持される。
【0093】
基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で図2の圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、塗布処理部20の図2の吸引部20aによる吸引動作が停止される。このとき、搬送保持部H1が第1の保持状態から第1の解除状態に切り替えられる。それにより、基板Wの下面から搬送保持部H1の保持面hfが離間可能になる。
【0094】
搬送保持部H2から回転保持部21に湾曲した基板Wを移載する場合の動作は、搬送保持部H1から回転保持部21に湾曲した基板Wを移載する場合の動作と同様である。また、搬送保持部H1または搬送保持部H2から現像処理部30の回転保持部31に湾曲した基板Wを移載する場合の動作は、搬送保持部H1または搬送保持部H2から回転保持部21に湾曲した基板Wを移載する場合の動作と同様である。
【0095】
さらに、搬送保持部H1または搬送保持部H2から熱処理部40の昇降ピン41に湾曲した基板Wを移載する場合の動作は、搬送保持部H1または搬送保持部H2から塗布処理部20の回転保持部21に湾曲した基板Wを移載する場合の動作と同様である。この場合、基板Wの下面中央部が昇降ピン41の支持面42に接触する。基板Wが昇降ピン41の支持面42に接触した状態で、図2の圧力センサ40bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、昇降ピン41が確実に第2の保持状態になる。この場合、基板Wは、搬送保持部H1の保持面hfおよび昇降ピン41の支持面42の両方により保持される。
【0096】
(4)制御装置の機能的な構成
図8は、図2の制御装置60の機能的な構成を示すブロック図である。制御装置60は、位置情報記憶部61、搬送制御部62、位置判定部63、吸引動作制御部64および吸引圧力判定部65を含む。制御装置60は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置により構成される。CPUがROMまたは記憶装置等の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、制御装置60の各構成要素の機能が実現される。なお、制御装置60の一部またはすべての構成要素が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0097】
位置情報記憶部61には、図2の回転保持部21,31および昇降ピン41の支持面22,32,42の位置(高さ)が記憶される。搬送制御部62は、パルス信号を搬送駆動部14に与えることにより搬送保持部H1または搬送保持部H2の移動を制御する。図6の第1の動作例および図7の第2の動作例では、搬送制御部62は、搬送保持部H1または搬送保持部H2の保持面hfが回転保持部21の上方の位置P1から下降するように搬送駆動部14を制御する。また、搬送制御部62は、搬送保持部H1または搬送保持部H2の下降速度が上昇および低下されるように搬送駆動部14を制御する。この場合、搬送保持部H1または搬送保持部H2の位置(高さ)は、パルス信号におけるパルス数により特定される。搬送制御部62は、パルス信号におけるパルス数に基づいて搬送保持部H1,H2の保持面hfの現在位置(高さ)を位置判定部63に与える。
【0098】
搬送制御部62および位置判定部63には、湾曲状態検出部50から基板Wの湾曲状態を示す湾曲情報が与えられる。本実施の形態では、湾曲情報は、水平姿勢にある基板Wの下面周縁部の位置(高さ)と下面中央部の位置(高さ)との差を含む。この場合、基板Wの下面周縁部の位置(高さ)と下面中央部の位置(高さ)との差が0の場合、基板Wは湾曲していない。
【0099】
基板Wが湾曲していない場合、位置判定部63は、位置情報記憶部61に記憶される回転保持部21の支持面22の位置および搬送制御部62により与えられる現在の位置に基づいて、搬送保持部H1または搬送保持部H2の保持面hfの位置を判定する。また、基板Wが湾曲している場合、位置判定部63は、位置情報記憶部61に記憶される回転保持部21の支持面22の位置、搬送制御部62により与えられる現在の位置および湾曲状態検出部50により与えられる湾曲情報に基づいて、搬送保持部H1または搬送保持部H2の位置および搬送保持部H1または搬送保持部H2に保持された基板Wの下面中央部の位置を判定する。搬送制御部62は、位置判定部63の判定結果に基づいて搬送駆動部14を制御することにより搬送保持部H1,H2の下降速度を上昇または低下させる。
【0100】
吸引動作制御部64は、位置判定部63の判定結果に基づいて、塗布処理部20の吸引部20a、現像処理部30の吸引部30aまたは熱処理部40の吸引部40aの吸引動作および吸引動作の停止をそれぞれ制御する。それにより、回転保持部21,31または昇降ピン41が第2の解除状態と第2の保持状態との間で切り替えられる。
【0101】
吸引圧力判定部65は、基板Wが回転保持部21、回転保持部31または昇降ピン41上に支持された状態で、圧力センサ20b,30b,40bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えたか否かを判定する。
【0102】
また、吸引動作制御部64は、位置判定部63の判定結果および吸引圧力判定部65の判定結果に基づいて、基板搬送部10の吸引部10aの吸引動作および吸引動作の停止を制御する。それにより、搬送保持部H1または搬送保持部H2が第1の保持状態と第1の解除状態との間で切り替えられる。
【0103】
(5)制御装置60の制御例
以下、図8の制御装置60による図6の第1の動作例における制御を説明する。図9は、図8の制御装置60による第1の動作例の制御を示すフローチャートである。
【0104】
搬送制御部62は、搬送駆動部14により搬送保持部H1の保持面hfを回転保持部21の上方の位置P1から下降させる(ステップS1)。また、吸引動作制御部64は、吸引部10aにより回転保持部21における吸引を開始させる(ステップS2)。位置判定部63は、搬送保持部H1の保持面hfが位置P2まで下降したか否かを判定する(ステップS3)。搬送保持部H1の保持面hfが位置P2まで下降していない場合、ステップS3の判定が繰り返し行われる。搬送保持部H1の保持面hfが位置P2まで下降した場合、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を低下させる(ステップS4)。
【0105】
吸引圧力判定部65は、基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えたか否かを判定する(ステップS5)。圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えていない場合、ステップS5の判定が繰り返し行われる。圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、吸引動作制御部64は、搬送保持部H1を第1の保持状態から第1の解除状態に切り替える(ステップS6)。
【0106】
位置判定部63は、搬送保持部H1の保持面hfが位置P4まで下降したか否かを判定する(ステップS7)。搬送保持部H1の保持面hfが位置P4まで下降していない場合、ステップS7の判定が繰り返し行われる。搬送保持部H1の保持面hfが位置P4まで下降した場合、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を上昇させる(ステップS8)。
【0107】
次に、図8の制御装置60による図7の第2の動作例における制御を説明する。図10は、図8の制御装置60による第2の動作例の制御を示すフローチャートである。
【0108】
搬送制御部62は、搬送駆動部14により搬送保持部H1の保持面hfを回転保持部21の上方の位置P1から下降させる(ステップS11)。また、吸引動作制御部64は、吸引部10aにより回転保持部21における吸引を開始させる(ステップS12)。
【0109】
位置判定部63は、搬送保持部H1の保持面hfが位置P2aまで下降したか否かを判定する(ステップS13)。搬送保持部H1の保持面hfが位置P2aまで下降していない場合、ステップS13の判定が繰り返し行われる。搬送保持部H1の保持面hfが位置P2aまで下降した場合、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を低下させる(ステップS14)。
【0110】
吸引圧力判定部65は、基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えたか否かを判定する(ステップS15)。圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えていない場合、ステップS15の判定が繰り返し行われる。圧力センサ20bにより検出された吸引圧力が予め定められたしきい値を超えた場合、吸引動作制御部64は、搬送保持部H1を第1の保持状態から第1の解除状態に切り替える(ステップS16)。このとき、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を上昇させる(ステップS17)。
【0111】
(6)搬送保持部H1の下降速度の低下位置および上昇位置の決定方法の例
図6の位置P2および位置P4は、予め決定されていてもよいが、1番目の基板Wの移載時に以下の方法により決定されてもよい。ここで、1番目の基板Wとは、例えば、図1のキャリア81に収容された複数の基板Wのうち1番目に取り出される基板である。ここでは、搬送保持部H1が基板Wを保持しているときの動作について説明するが、搬送保持部H2が基板Wを保持しているときの動作も同様である。下記と同様の動作により、図7の位置P2aが決定されてもよい。
【0112】
まず、搬送制御部62は、搬送駆動部14にパルス信号を与えることにより1番目の基板Wを保持する搬送保持部H1を回転保持部21の上方の位置P1から一定の速度で下降させる。また、吸引動作制御部64は、吸引部10aにより回転保持部21における吸引を開始させる。
【0113】
吸引圧力判定部65は、1番目の基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えたか否かを判定する。圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えた場合、吸引動作制御部64は、搬送保持部H1を第1の保持状態から第1の解除状態に切り替える。
【0114】
このとき、搬送制御部62は、吸引圧力がしきい値を超えたときのパルス信号のパルス数から所定数を減算することにより得られるパルス数を位置P2に対応する第1のパルス数として位置情報記憶部61に記憶する。また、搬送制御部62は、吸引圧力がしきい値を超えたときのパルス信号のパルス数に所定数を加算することにより得られるパルス数を位置P4に対応する第2のパルス数として位置情報記憶部61に記憶する。
【0115】
一の基板Wに後続する各基板Wについては、以下の動作および制御が行われる。
【0116】
搬送制御部62は、搬送駆動部14にパルス信号を与えることにより後続する基板Wを保持する搬送保持部H1を回転保持部21の上方の位置P1から下降させる。また、吸引動作制御部64は、吸引部10aにより回転保持部21における吸引を開始させる。
【0117】
位置判定部63は、搬送制御部62により与えられるパルス信号のパルス数が位置情報記憶部61に記憶された第1のパルス数に達したか否かを判定する。パルス信号のパルス数が第1のパルス数に達すると、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を低下させる。
【0118】
吸引圧力判定部65は、基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えたか否かを判定する。圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えた場合、吸引動作制御部64は、搬送保持部H1を第1の保持状態から第1の解除状態に切り替える。
【0119】
位置判定部63は、搬送制御部62により与えられるパルス信号のパルス数が位置情報記憶部61に記憶された第2のパルス数に達したか否かを判定する。パルス信号のパルス数が第2のパルス数に達すると、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を上昇させる。
【0120】
また、パルス信号のパルス数の代わりに例えばタイマにより計測される時間に基づいて以下の方法で図6の位置P2および位置P4が決定されてもよい。
【0121】
まず、搬送制御部62は、1番目の基板Wを保持する搬送保持部H1を回転保持部21の上方の位置P1から下降させる。この場合、タイマが搬送保持部H1の下降開始からの経過時間を計測する。
【0122】
吸引圧力判定部65は、1番目の基板Wが搬送保持部H1により保持された状態で、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えたか否かを判定する。圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えた場合、タイマは、吸引圧力がしきい値を超えたときの経過時間から所定時間を減算することにより得られる時間を位置P2に対応する第1の経過時間として位置情報記憶部61に記憶する。また、タイマは、吸引圧力がしきい値を超えたときの経過時間に所定時間を加算することにより得られる時間を位置P4に対応する第2の経過時間として位置情報記憶部61に記憶する。
【0123】
一の基板Wに後続する各基板Wについては、以下の動作および制御が行われる。搬送制御部62は、後続する基板Wを保持する搬送保持部H1を回転保持部21の上方の位置から下降させる。この場合、タイマが搬送保持部H1の下降開始からの経過時間を計測する。
【0124】
位置判定部63は、タイマにより計測された経過時間が位置情報記憶部61に記憶された第1の経過時間に達したか否かを判定する。計測された経過時間が第1の経過時間に達すると、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を低下させる。
【0125】
圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えた場合、位置判定部63は、タイマにより計測された経過時間が位置情報記憶部61に記憶された第2の経過時間に達したか否かを判定する。計測された経過時間が第2の経過時間に達すると、搬送制御部62は、搬送保持部H1の下降速度を上昇させる。
【0126】
(7)実施の形態の効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、基板Wが基板搬送部10の搬送保持部H1から塗布処理部20の回転保持部21に移載される際に、基板Wが搬送保持部H1および回転保持部21の両方により保持された後に、搬送保持部H1による基板Wの保持が解除される。この場合、基板Wが回転保持部に接触するときの衝撃による基板Wの位置ずれおよび基板Wの振動による基板Wの位置ずれが防止される。
【0127】
また、基板Wが基板搬送部10の搬送保持部H1から塗布処理部20の回転保持部21に移載される際に、回転保持部21の支持面22における吸引圧力が予め定められたしきい値を超えたときに、搬送保持部H1が第1の保持状態から第1の解除状態に切り替えられる。それにより、基板Wが回転保持部21により確実に保持された後に搬送保持部H1による基板Wの保持が解除される。その結果、搬送保持部H1から回転保持部21への基板Wの移載時における基板Wの位置ずれが確実に防止される。
【0128】
また、搬送保持部H1に保持された基板Wは、搬送保持部H1の下降速度が低下された状態で回転保持部21の支持面22に接触する。それにより、基板Wを搬送保持部H1から回転保持部21に移載するときの衝撃が低減される。
【0129】
さらに、基板Wが搬送保持部H1から離れた後に搬送保持部H1の下降速度が上昇される。それにより、基板Wの搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置100のスループットが向上する。
【0130】
また、基板Wが湾曲している場合でも、搬送保持部H1の下降速度が低下された状態で、搬送保持部H1に保持された基板Wの下面中央部が回転保持部21の支持面22に接触する。それにより、基板Wを搬送保持部H1から回転保持部21に移載するときの衝撃が低減される。その結果、回転保持部21の支持面22上での基板Wの位置ずれがさらに防止される。
【0131】
また、基板Wが湾曲している場合でも、搬送保持部H1が第1の解除状態になったときに搬送保持部H1の下降速度が上昇するため、基板Wの搬送処理の時間が削減される。その結果、基板処理装置100のスループットが向上する。
【0132】
基板搬送部10の搬送保持部H2から回転保持部21の支持面22への基板Wの移載時にも、上記と同様の効果が得られる。また、基板搬送部10の搬送保持部H1または搬送保持部H2から塗布処理部20の現像処理部30の回転保持部21への基板Wへの移載時にも、上記と同様の効果が得られる。さらに、基板搬送部10の搬送保持部H1または搬送保持部H2から熱処理部40の昇降ピン41への基板Wへの移載時にも、上記と同様の効果が得られる。
【0133】
(8)他の実施の形態
(a)上記実施の形態においては、塗布処理部20、現像処理部30および熱処理部40が圧力センサ20b,30b,40bをそれぞれ含み、制御装置60が吸引圧力判定部65を含むが、本発明はこれに限定されない。塗布処理部20、現像処理部30および熱処理部40が圧力センサ20b,30b,40bを含まず、制御装置60が吸引圧力判定部65を含まなくてもよい。この場合、例えば、搬送保持部H1により保持される基板Wの下面が回転保持部21、回転保持部31または昇降ピン41の支持面22,32,42に接触した後でかつ所定の時間が経過したときに搬送保持部H1または搬送保持部H2が第1の保持状態から第1の解除状態に切り替えられてもよい。
【0134】
(b)上記実施の形態においては、塗布処理部20、現像処理部30および熱処理部40において上記実施の形態の移載動作が行われるが、本発明はこれに限定されない。塗布処理部20、現像処理部30および熱処理部40のいずれかにおいて上記実施の形態の移載動作が行われなくてもよい。例えば、熱処理部40において基板Wの位置ずれが生じないかまたは位置ずれが問題にならない場合には、熱処理部40において上記実施の形態の移載動作が行われなくてもよい。
【0135】
(c)上記実施の形態の移載動作は、基板搬送部10から塗布処理部20、現像処理部30および熱処理部40への基板Wの移載に適用されるが本発明はこれに限定されない。上記実施の形態の移載動作は、基板搬送部10から周辺露光装置における回転保持部への基板Wの移載、基板搬送部10から膜厚計における回転保持部への基板Wの移載、基板搬送部10から外観検査機における回転保持部への基板Wの移載、基板搬送部10から基板形状測定機における回転保持部への基板Wの移載、または基板搬送部10から基板受け渡し部における3本以上の支持ピンへの基板Wの移載に適用されてもよい。
【0136】
(d)上記実施の形態においては、搬送保持部H1,H2の下降速度が変化するように構成されるが、本発明はこれに限定されない。基板Wを移載する際の衝撃または振動が問題にならない場合、およびスループットの向上が要求されない場合等においては、搬送保持部H1,H2の下降速度が一定であってもよい。
【0137】
(e)上記実施の形態においては、搬送保持部H1,H2として、吸引により基板Wの下面周縁部を吸着保持する吸着保持型の搬送保持部が用いられるが、本発明はこれに限定されない。搬送保持部H1,H2として、例えば基板の外周部を機械的に保持するエッジ保持型の搬送保持部が用いられてもよい。
【0138】
(f)上記実施の形態において、昇降ピン41は3本であるが、本発明はこれに限定されない。昇降ピン41は3本以上で構成されてもよい。
【0139】
(g)上記実施の形態においては、インデクサブロックIDと処理ブロックPRとの境界に湾曲状態検出部50が設けられるが、他の位置に設けられてもよい。また、基板Wの湾曲状態が予め既知の場合または基板Wが湾曲していない場合には、湾曲状態検出部50が設けられなくてもよい。
【0140】
(h)上記実施の形態においては、平坦な基板Wの移載時には、搬送保持部H1,H2の保持面hfが回転保持部21の支持面22より下方の位置P4に低下したときに搬送保持部H1,H2の下降速度が上昇されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7の例と同様に、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えたときに搬送保持部H1,H2の下降速度が上昇されてもよい。
【0141】
(i)上記実施の形態においては、湾曲した基板Wの移載時に、圧力センサ20bにより検出された吸引圧力がしきい値を超えたときに搬送保持部H1,H2の下降速度が上昇されるが、本発明はこれに限定されない。湾曲した基板Wの移載時にも、図6の例と同様に、搬送保持部H1,H2の保持面hfが回転保持部21の支持面22より下方の位置P4に低下したときに搬送保持部H1,H2の下降速度が上昇されてもよい。
【0142】
(j)上記実施の形態では、少なくとも2番目以降の基板Wの移載時に、搬送保持部H1,H2の下降速度が低下および上昇するが、本発明はこれに限定されない。搬送保持部H1,H2の下降速度が一定であってもよい。また、搬送保持部H1,H2の下降速度が曲線的に低下および上昇してもよい。
【0143】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
上記実施の形態においては、回転保持部21,31または昇降ピン41が基板支持部の例であり、塗布処理部20、現像処理部30または熱処理部40が基板処理部の例であり、位置P2または位置P2aが第1の位置の例であり、位置P4が第2の位置の例である。
【符号の説明】
【0144】
2…搬送保持部,10…基板搬送部,11…移動部材,12…回転部材,13…支持部材,14…搬送駆動部,20…塗布処理部,30…現像処理部,21,31…回転保持部,22,32…支持面,23,33…吸引孔,24,34…回転部材,25,35…モータ,26,36…処理液ノズル,27,37…カップ,40…熱処理部,41…昇降ピン,42…支持面,43…吸引孔,45…熱処理プレート,46…熱処理面,10a,20a,30a,40a…吸引部,20b,30b,40b…圧力センサ,50…湾曲状態検出部,60…制御装置,61…位置情報記憶部,62…搬送制御部,63…位置判定部,64…吸引動作制御部,65…吸引圧力判定部,70…基板搬送部,80…キャリア載置部,81…キャリア,90…基板搬送部,100…基板処理装置,200…露光装置,H1…搬送保持部,H2…搬送保持部,Ha…ガイド部,Hb…アーム部,PR…処理ブロック,W…基板,hf…保持面,pd…吸着パッド,pr…突出部,sm…吸引孔
図1
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図10