IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

<>
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図1
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図2
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図3
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図4
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図5
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図6
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図7
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図8
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図9
  • 特許-ワゴン装置、及び什器システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ワゴン装置、及び什器システム
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20241029BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A47B31/00 G
A47B17/00 C
A47B31/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020183855
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073702
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇之
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼本 隆之
(72)【発明者】
【氏名】上田 洋士
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-329469(JP,A)
【文献】特開平10-201542(JP,A)
【文献】登録実用新案第3024260(JP,U)
【文献】特開2004-105276(JP,A)
【文献】登録実用新案第371214(JP,Z1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
A47B 17/00
A47B 13/00
B42F 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
机の天板の下側の空間における前記机の左右方向における左側の第1位置及び前記机の前記左右方向における右側の第2位置のそれぞれの位置に配置可能なワゴン装置であって、
前記ワゴン装置の上側及び下側が閉塞されると共に、前記ワゴン装置の前側に開口する収容空間を内部に有するワゴン本体と、
前記ワゴン本体を支持すると共に、面上を移動可能な移動部と、
前記収容空間の少なくとも一つに収容され、前記収容空間を前記ワゴン装置の左右方向に仕切って、前記収容空間の一部に物品を保管可能な物品保管空間を形成する筐体と、
前記筐体を前記ワゴン本体に固定する第1固定部を備え、
前記ワゴン本体は、前記筐体が前記収容空間の開口側から見て前記ワゴン装置の左側或いは右側のうちいずれか一方に配置される、ワゴン装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記収容空間を閉塞する上面に沿って配置された頂板と、前記収容空間を閉塞する下面に沿って配置されるとともに、前記頂板との間に前記ワゴン装置における前後方向一方側に開口する開口部を形成する底板と、前記開口部を開閉する蓋部と、を備えている
請求項1に記載のワゴン装置。
【請求項3】
前記蓋部には、前記蓋部の閉状態を維持する錠前部が設けられている請求項2に記載のワゴン装置。
【請求項4】
前記筐体は、他の筐体を隣接して固定する第2固定部を備える、請求項1から3のうちいずれか1項に記載のワゴン装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記物品保管空間を上下方向に仕切る上部載置部を備える、請求項1から4のうちいずれか1項に記載のワゴン装置。
【請求項6】
机と、
前記机のうち、天板の下側の空間における前記机の左右方向における左側の第1位置及び前記机の前記左右方向における右側の第2位置のそれぞれの位置に配置可能な、請求項1から請求項5の何れか1項に記載のワゴン装置と、を備える、
什器システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚状の収容空間に物品を収納する空間を形成するワゴン装置、及び什器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや研究施設、病院、学校などの執務空間において、机等の天板の下方の空間の左右いずれか一方に、挿入して使用される移動自在なワゴン装置が知られている。ワゴン装置は、例えば、前面が開口した内部空間が棚板により仕切られた棚状の収容空間を有する。このような収容空間において、錠前を備えた扉などを設けて機密文書や個人の荷物を収納する物品保管空間を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-230719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、机の天板の下方の空間において、机の前面方向から見てワゴン装置の位置を左右方向に入れ替えるように移動した場合、物品保管空間が収容空間において机の前面から奥まった位置に配置され、利用者の利便性が低下する。机の下方に配置されるワゴン装置に物品保管空間を形成する場合、利用者に近い側に物品保管空間が確保されることが望ましい。
【0005】
本発明は、利便性を確保しつつ棚状の収容空間に物品保管空間を形成するワゴン装置、及び什器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、机の天板の下側の空間における前記机の左右方向における左側の第1位置及び前記机の前記左右方向における右側の第2位置のそれぞれの位置に配置可能なワゴン装置であって、上側及び下側が閉塞されると共に、前記前側に開口する収容空間を内部に有するワゴン本体と、前記ワゴン本体を支持すると共に、前記床面上を移動可能な移動部と、前記収容空間の少なくとも一つに収容され、前記収容空間を左右方向に仕切って、前記収容空間の一部に物品を保管可能な物品保管空間を形成する筐体と、前記筐体を前記ワゴン本体に固定する第1固定部を備え、前記ワゴン本体は、前記収容空間の開口側から見て左右端のうちいずれか一方に前記筐体が配置される、ワゴン装置である。
【0007】
本発明によれば、ワゴン装置を机の天板の下方の空間において移動した際に、固定部の固定を解除することで物品収容空間における筐体の位置を利用者に近い側に移動することができ、利便性を向上することができる。
【0008】
本発明の前記第1固定部は、前記筐体を前記ワゴン本体に着脱可能に固定するように構成されていてもよい。
【0009】
本発明によれば、筐体をワゴン本体に対して着脱して収容空間の開口側から見て左側或いは右側のうちいずれか一方に任意に配置することができる。
【0010】
本発明の前記筐体は、前記収容空間を閉塞する上面に沿って配置された頂板と、前記収容空間を閉塞する下面に沿って配置された底板とを有し、前記頂板と前記底板との間に前記前後方向一方側に開口する開口部が形成され、前記蓋部は、前記開口部を閉塞していてもよい。
【0011】
本発明によれば、筐体に蓋部が設けられていることにより、筐体の内部に形成された物品収容空間を閉塞又は開放することができ、物品収容空間に物品を出し入れすることができる。
【0012】
本発明の前記筐体は、他の筐体を隣接して固定する第2固定部を備えていてもよい。
【0013】
本発明によれば、収容空間において筐体を隣接して固定することができ、物品を保管する物品保管空間を増やすことができる。
【0014】
本発明の前記筐体は、前記物品保管空間を上下方向に仕切る上部載置部を備えていてもよい。
【0015】
本発明によれば、物品保管空間に上部載置部が設けられていることにより、机の天板の下方の空間においてワゴン装置を配置した際に、利用者が使用頻度の高い物品を上部載置部に載置することができ、利便性を向上することができる。
【0016】
本発明は、前記机と、前記ワゴン装置と、を備えるワゴン装置である。
【0017】
本発明によれば、利用者に近い側に物品収納ユニットを配置できる机とワゴン装置を備える什器システムを実現できる。
【0018】
上側及び下側が閉塞されると共に、前側に開口する収容空間を内部に有する物品収納庫の前記収容空間を左右方向に仕切って、前記収容空間の一部に物品を保管可能な物品保管空間を形成し、前記物品保管空間は、上下方向にA4サイズの収容物を収容可能に形成されている筐体と、前記筐体を前記物品収納庫に固定する固定部を備え、前記固定部は、前記収容空間の開口側から見て左側或いは右側のうちいずれか一方に前記筐体を固定可能である、物品収納ユニットである。
【0019】
本発明によれば、物品収納庫の収容空間においてA4サイズの物品を収納可能な物品収納ユニットを固定して物品収容空間を確保すると共に、物品収納ユニットを取り外すことで、他の収容空間に移動することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ワゴン装置において利便性を確保しつつ棚状の収容空間に物品保管空間を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る什器システムの構成を示す平面図である。
図2】什器システムの構成を示す正面図である。
図3】ワゴン装置の構成を示す上側から見た斜視図である。
図4】ワゴン装置の構成を示す下側から見た斜視図である。
図5】物品収納ユニットの蓋部の開状態を示す前面方向の斜視図である。
図6】物品収納ユニットの蓋部の開状態を示す背面方向の斜視図である。
図7】物品収納ユニットにおける上部載置部の構成を示す斜視図である。
図8】変形例に係る物品収納ユニットの構成を示す斜視図である。
図9】変形例に係る物品収納ユニットの構成を示す断面斜視図である。
図10】変形例に係る物品収納ユニットの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るワゴン装置の構成について説明する。実施形態のワゴン装置は、例えば、机の天板の下側の空間に配置される収納什器である。
【0023】
図1及び図2に示されるように、什器システム100は、机200と、机200と共に使用されるワゴン装置1とを備える。以下、机200について、使用者の使用状態から見て手前側から奥側に向かう方向を前後方向と呼ぶ。使用者の使用状態から見て左右に向かう方向を左右方向と呼ぶ。
【0024】
机200は、板状に形成された天板210と、天板210を支持する左側の脚部220と、右側の脚部230とを備える。天板210の下面側、一対の脚部220,230、床面の間には空間Vが形成されている。空間Vにおける机200の左右方向に沿った左側の位置を第1位置と呼ぶ。空間Vにおいて左側の脚部220に隣接した位置が第1位置である。空間Vにおける机200の左右方向に沿った右側の位置を第2位置と呼ぶ。空間Vにおいて右側の脚部230に隣接した位置が第2位置である。ワゴン装置1の説明において、後述の収容空間の開口がある側を前側、前側から収容空間の奥行方向をみた方向を前後方向、前後方向に水平方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0025】
図3及び図4に示されるように、ワゴン装置1は、収容物を収容する収容空間Sが形成されたワゴン本体2(物品収納庫)と、ワゴン本体2を支持すると共に、床面上を移動可能な移動部Mと、収容空間Sに設けられた物品収納ユニット10とを備える。ワゴン本体2は、棚状に上下に複数設けられ、それぞれ上側及び下側が閉塞されると共に、前側に開口する収容空間Sを内部に有する。実施形態の収容空間Sは、2段に形成されている。収容空間Sは、2段以上に形成されていてもよい。ワゴン本体2は、例えば、書類等の収納対象物を収納及び整理するための整理棚である。
【0026】
ワゴン本体2は、床面等の載置面に設置される底板3を備える。底板3は、矩形の板状に形成されている。底板3の短手の両側面から両側面から上方の直交方向に起立して一対の縦杆4,5が配置されている。一対の縦杆4,5は、矩形の板状に形成されている。
【0027】
一対の縦杆4,5の上端には、底板3と対向して頂板6が配置されている。頂板6は、矩形の板状に形成されている。頂板6の短手の両辺側には、一対の把手6Aが設けられている。収容空間Sにおける背面側の矩形の開口は、背面板7によって塞がれている。背面板7は、底板3、一対の縦杆4,5、頂板6によって形成された収容空間Sにおける背面側の端部に固定されるように矩形の板状に形成されている。底板3、一対の縦杆4,5、頂板6、背面板7によって内部空間Wが形成されている。
【0028】
ワゴン本体2の内部には、内部空間Wを水平方向に仕切る棚板8が設けられている。棚板8は、矩形の板状に形成されている。棚板8は、内部空間Wにおいて任意の高さに調整されて取り付けられる。棚板8は、例えば、短手の両側面が一対の縦杆4,5に支持されている。
【0029】
棚板8は、例えば、内部空間Wにおいて頂板6との間に収容空間Sを形成する。本実施形態においては、棚板8は、収容空間Sを所定寸法(例えば、A4サイズ)の書類を収容可能な高さに調整されて固定されている。収容空間Sにおいて前面側に矩形の開口が形成されている。棚板8は、複数個設けられていてもよい。収容空間Sが1つの場合棚板8は、底板3であってもよい。底板3、一対の縦杆4,5、頂板6、背面板7、棚板8は、例えば、金属板を折り曲げ加工して組み合わせて曲げ剛性を確保できる所定の厚みを有する板状に形成されている。
【0030】
底板3の下面側には、移動部Mが設けられている。移動部Mは、例えば、複数の(例えば、4個の)キャスターDを備える。キャスターDは、例えば、底板3の四隅にそれぞれ配置されている。キャスターDの配置、個数は例示した限りでなく、異なる配置、個数でもよい。キャスターDが設けられていることにより、ワゴン装置1は、床面に対して走行することができる。
【0031】
棚板8において収容空間S側には、物品収納ユニット10が固定されている。物品収納ユニット10は、例えば、収容空間Sにおいて開口方向から見て所定の位置に固定されている。物品収納ユニット10は、収容空間Sにおいて前後方向に沿った前側から後側に見て左右方向の左側或いは右側のいずれか一方の側に寄せて設置される。
【0032】
図5から図7に示されるように、物品収納ユニット10は、収容空間Sに収容される筐体11を備える。筐体11は、複数の収容空間Sの少なくとも一つに収容される。実施形態の筐体11は、上部の収容空間Sに収容されている。筐体11は、収容空間Sにおいて前後方向に沿った前側から後側に見て左右方向に仕切って、収容空間Sの一部に物品を保管可能な物品保管空間Bを形成する。物品保管空間Bは、上下方向にA4サイズの収容物を収容可能に形成されている。筐体11は、前側から見て少なくとも両側面を閉塞する箱状に形成され、内部に物品保管空間Bを形成する。
【0033】
筐体11は、収容空間Sを閉塞する上面に沿って配置された頂板15と、収容空間Sを閉塞する下面に沿って配置された底板12とを有する。筐体11は、頂板15と底板12との間に前後方向一方側に開口する略矩形の開口部が形成されている。蓋部20は、開口部を閉塞している。底板12は、例えば、矩形の板状に形成されている。底板12は、短手方向の一辺が正面となるように棚板8に設置される。
【0034】
底板12は、例えば、後述のように棚板8に固定するための第1固定部が設けられている。底板12の長手方向の両辺には、一対の側板13,14が上方の直交方向に起立して設けられている。一対の側板13,14は、矩形の板状に形成されている。一対の側板13,14には、後述の第2固定部が設けられている。
【0035】
一対の側板13,14の上端には、一対の側板13,14の上端を架設する頂板15が設けられている。頂板15は、例えば、ワゴン本体2の頂板6の下面に接触するように、或いはわずかな間隔において離間するように配置される。頂板15は、矩形の板状に形成されている。頂板15には、ワゴン本体2の開口方向から見て凹凸状にリブが形成されていてもよい。
【0036】
筐体11の背面には、開口が形成されている。この開口は、筐体11が収容空間Sに固定された状態において、背面板7に閉塞される。上記構成により、筐体11の内部には、底板12、一対の側板13,14、頂板15、背面板7に囲まれて物品保管空間Bが形成される。筐体11において、物品保管空間Bの前面には、開口が形成されている。物品保管空間Bの前面の開口側(収容空間Sの開口側)には、開閉自在な蓋部20が設けられている。蓋部20は、例えば、収容空間Sの開口の高さと略同一に形成されている。底板12、一対の側板13,14、頂板15、例えば、金属板を加工して板状に形成されている。
【0037】
蓋部20は、例えば、金属板を折り曲げ加工して組み合わせて所定の厚みを有する板状に形成されている。底板12、一対の側板13,14、頂板15、蓋部20は、パンチングメタルを用いて物品保管空間Bが視認されるように形成されていてもよく、棒状体やメッシュ板を用いてルーバー状、メッシュ状に形成されていてもよい。
【0038】
蓋部20は、例えば、筐体11に対して収容空間Sの開口方向にスライド自在に開閉する。蓋部20の物品保管空間Bに面した裏面側には、例えば、筐体11の内部に収容される物品を収容する物品ワゴン本体Cを備える。
【0039】
物品ワゴン本体Cは、物品保管空間Bの上部に配置された上部載置部C1及び物品保管空間Bの下部に配置された下部載置部C2を備える。上部載置部C1は、物品保管空間Bを上下方向に仕切るように配置されている。上部載置部C1は、上部が開口した箱状(トレイ)に形成されている。
【0040】
上部載置部C1は、蓋部20の裏面に片持ちにより支持されている。蓋部20の裏面には、上部載置部C1を固定するための複数の固定穴21が設けられている。蓋部20の裏面には、鉛直方向に沿った固定穴21群が鉛直方向に沿った一対の長辺に近位して2列形成されている。固定穴21は、長手方向が鉛直方向に沿った矩形の貫通孔に形成されている。
【0041】
上部載置部C1の前面には、固定穴21に係止するための一対のフック部Fが形成されている。フック部Fは、上部載置部C1の前面方向に突出して形成されている。フック部Fの基端には、下方に切欠きが形成されている。上記構成により、フック部Fを固定穴21に挿入し、上部載置部C1を下方に移動し、切欠きを蓋部20の裏面の板に係止すると、フック部Fと上部載置部C1の正面とが協働して上部載置部C1を蓋部20の裏面側に片持ちにより支持する。
【0042】
フック部Fは、上部載置部C1に載置される物品の荷重により生じるモーメントに対抗する強度が確保されている。フック部Fを高さが異なる固定穴21に係止することにより、上部載置部C1の高さ方向における取り付け位置を変更することができる。
【0043】
下部載置部C2は、上部が開口した箱状に形成されている。下部載置部C2の前面は、蓋部20の裏面側に固定されている。これにより、下部載置部C2は、蓋部20の裏面側に片持ちにより支持されている。上記構成により、蓋部20、上部載置部C1、下部載置部C2は、一体に形成されている。
【0044】
上部載置部C1、下部載置部C2の蓋部20に対する固定方法は上記の限りでなく、蓋部20の裏面側に枠状のフレーム(不図示)を固定して、フレーム状に上部載置部C1、下部載置部C2を載置するようにしてもよい。下部載置部C2の下方には蓋部20、上部載置部C1、下部載置部C2を筐体11に対して移動自在に支持するレール部Rが設けられている。
【0045】
レール部Rは、筐体11の前面側の開口から伸縮自在に形成された2段式のスライドレールである。レール部Rは、2段以上に伸縮自在に形成されていてもよい。レール部Rは、一対の側板13,14の物品保管空間B側に面した裏面側に設けられた一対のアウターレールR1と、アウターレールR1に対して移動するインナーレールR2とを備える。アウターレールR1は、例えば、水平方向に沿って取り付けられた長尺部材である。アウターレールR1は、例えば、C断面に形成された内溝を有する。
【0046】
インナーレールR2は、アウターレールR1の内溝に沿って前後方向に摺動する移動部材である。インナーレールR2には、例えば、アウターレールR1の内溝を走行する1個以上の車輪が設けられていてもよい。インナーレールR2は、下部載置部C2の下方に固定されている。レール部Rにより、蓋部20、上部載置部C1、下部載置部C2は、筐体11に対して前面から突出するように移動自在に支持される。
【0047】
レール部Rは、底板12と下部載置部C2の底面との間に敷設され、下部載置部C2を開口から水平方向に突出するように移動自在に支持するものであってもよい。
【0048】
物品収納ユニット10は、収容空間Sにおける所定位置に固定される。物品収納ユニット10は、例えば、収容空間Sにおける開口から見て左側或いは右側のいずれか一方に固定される。物品収納ユニット10は、筐体11をワゴン本体2に着脱可能に固定する第1固定部を備える。第1固定部30は、筐体11を収容空間Sに固定する。
【0049】
第1固定部30は、筐体11の内部からワゴン装置1の収容空間Sにおける所定の固定位置に固定するための固定具である。第1固定部30は、第1位置(図1及び図2参照)の場合に、前後方向前側から後側に見て、収容空間Sの左側に筐体11を固定可能である。第1固定部30は、第2位置(図1及び図2参照)の場合に前後方向前側から後ろ側に見て、収容空間Sの右側に筐体11を固定可能である。
【0050】
第1固定部30は、机の天板の下側における第1位置或いは第2位置において、物品収納ユニット10を机200の前側、即ち、利用者に近い側に配置されるように固定する。第1固定部30は、ワゴン装置1の収容空間Sの左側或いは右側のいずれか一方の所定の固定位置に固定する。
【0051】
第1固定部30は、例えば、底板12に形成された少なくとも1つの貫通孔12Hと、貫通孔12Hと棚板8とを共締めする少なくとも1つのビスPと、棚板8に形成されたビス穴とを備える。棚板8には、貫通孔12Hの数、位置に対応して少なくとも1つのビス穴(不図示)が形成されている。図示された貫通孔12Hの位置は、一例であり、底板12において他の位置に形成されていてもよい。貫通孔は、底板12だけでなく、頂板15に設けられていてもよい。この場合、物品収納ユニット10は、棚板8だけでなく、頂板6に固定されてもよい。
【0052】
棚板8側に形成されたビス穴は、所定の位置に予め形成されている。ビス穴には、棚板8の内部側にナット(不図示)が固定されていてもよい。ビス穴は、使用者が使用時にドリル等を用いて形成してもよい。ビスPは、例えば、ネジやタッピングビスであり、ドライバーやレンチ等の工具を用いて取り付けられる。ビスPは、蝶ボルト、つまみネジ等の工具を必要としないビス、ネジが用いられてもよい。
【0053】
一対の側板13,14は、他の筐体11を隣接して固定する第2固定部40を備える。第2固定部40は、筐体11の内部から隣接する他の筐体11を固定する固定具である。第2固定部40は、一対の縦杆4,5に固定するために用いられてもよい。
【0054】
第2固定部40は、例えば、側板13,14の所定の位置に設けられた少なくとも1つの貫通孔13H,14Hと、貫通孔13H,14Hと固定対象物とを共締めする少なくとも1つのビスUとを備える。貫通孔13Hは、例えば、側板13に4個形成されている。貫通孔14Hは、例えば、側板14に4個形成されている。
【0055】
隣接する他の筐体11の側板13には、側板14の貫通孔14Hの位置に対応して少なくとも1つの貫通孔13Hが形成されている。同様に、隣接する他の筐体11の側板14には、側板13の貫通孔13Hの位置に対応して少なくとも1つの貫通孔14Hが形成されている。一対の縦杆4,5にも貫通孔13H,14Hの位置に対応して固定穴(不図示)が設けられていてもよい。ビスUは、例えば、固定穴に設けられたナット(不図示)と協働して筐体11と一対の縦杆4,5のいずれか一方とを固定してもよい。
【0056】
ビスUは、例えば、ナット(不図示)と協働して筐体11と隣接する他の筐体11とを固定する。ビスUは、タッピングビスであってもよい。この場合、ナットを用いなくてもよい。ビスUは、蝶ボルト、つまみネジ等の工具を必要としないビス、ネジが用いられてもよい。
【0057】
蓋部20には物品保管空間Bを保持するように蓋部20の閉状態を維持する錠前部Kが設けられている。錠前部Kは、筐体11側の閉状態を維持するように設けられている。錠前部Kは、例えば、シリンダー錠(不図示)とシリンダー錠に設けられた係止部(不図示)とを備える。係止部は、シリンダー錠に鍵が挿入されて施錠方向に回転した際に連動して回転し、蓋部20の上部に設けられた開口22から上方に突出する。
【0058】
係止部は、例えば、突出した状態において頂板15に設けられた被係止部(不図示)に引っ掛けられ、蓋部20の前方への移動を制限し、閉状態を維持する。係止部は、シリンダー錠に鍵が挿入されて開錠方向に回転した際に蓋部20の内部に収納され、被係止部との引っ掛かりが解除される。蓋部20は、錠前部Kの開錠によって前方方向へ移動自在となる。
【0059】
錠前部Kが設けられていることにより、蓋部20を閉状態に保持して物品保管空間Bを閉塞し、利用者の機密品を保管する機密保管空間を形成することができる。錠前部Kが施錠状態である場合、蓋部20が閉状態となり、第1固定部30のビスPを取り外すことができず、物品収納ユニット10の持ち出しが制限される。第1固定部30のビスP或いは第2固定部40のビスUを取り外すことで、物品収納ユニット10を移動することができる。
【0060】
机の天板の下方の空間において、利用者から見てワゴン装置1の左右における位置を変更した場合、物品収納ユニット10を移動することができる。物品収納ユニット10は、第1固定部30のビスP或いは第2固定部40のビスUを取り外すことで、収容空間Sから取り外される。物品収納ユニット10は、利用者から見て収容空間Sにおける一対の縦杆4,5のいずれかの側のうち、利用者から近い側に第1固定部30或いは第2固定部40により固定され、利用者の利便性が向上する。
【0061】
また、物品収納ユニット10は、収容空間Sから取り外されて、他のワゴン装置1に固定されてもよい。この場合、筐体11の背面の開口は、板状体により閉塞されていてもよい。即ち、物品収納ユニット10に個人的な物品が収納されている場合に、物品収納ユニット10が可搬性を有しているため、利用者の席替え時における利便性を向上することができる。
【0062】
錠前部Kが開錠状態である場合、蓋部20が移動自在となり、第1固定部30のビスPを取り外すことができる。これにより、物品収納ユニット10は、収容空間Sにおける一対の縦杆4,5のいずれか一方側に自在に移動され、再びビスPによって棚板8に固定される。錠前部Kは、蓋部20の上部だけでなく、他の位置に固定されていてもよい。錠前部Kは、蓋部20だけでなく、筐体11側に設けられていてもよい。
【0063】
上述したように、本発明によれば、物品収納ユニット10によって棚状の収容空間を仕切り、物品保管空間内を形成することができる。物品収納ユニット10は、収容空間の開口側から見て左側或いは右側のいずれか一方の側に任意に固定部によって固定できるため、ワゴン装置を移動した場合においても筐体の取り付け位置を変更でき、使用者の利便性が向上する。また、物品収納ユニット10自体を運搬してもよく、席替え等の利用者の移動時の利便性が向上する。
【0064】
本発明によれば、筐体の両側面が閉塞されているため、収容空間の開口側から見て左右のいずれか一方の側に任意に固定された場合において、物品保管空間を確保することができる。本発明によれば、蓋部が筐体に設けられていることにより、物品保管空間を閉塞でき、収容空間において物品を保管することができる。
【0065】
本発明によれば、上部載置部が設けられていることにより、収容空間が下方に位置している場合に、使用者が使用頻度の高い物品を収納し易くなる。本発明によれば、蓋部の閉状態を維持する錠前部が設けられていることにより、物品保管空間に機密物を収容できる。
【0066】
[変形例]
上記の物品収納ユニット10は、蓋部20が引き出し式に開閉自在に設けられていた。蓋部20の開閉方法は、これに限らず蝶番により開閉されるものであってもよい。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成については同一の名称及び符号を用い、重複する説明は適宜省略する。
【0067】
図8及び図9に示されるように、変形例に係る物品収納ユニット10Aは、筐体11と、筐体11に蝶番Tを介して開閉自在に取り付けられた蓋部20とを備える。蓋部20は、例えば、筐体11の前側の開口に対して開閉する。蝶番は、例えば、開口の下側に設けられている。蓋部20は、蝶番Tにより下辺を回転軸に筐体11に対して上開きに開閉する。蝶番Tは、例えば、ヒンジ構造を有する。蝶番Tは、可撓性を有する板状体により形成されていてもよい。
【0068】
蓋部20の上部と筐体11の開口の上部側との間には、例えば、磁気吸着するマグネットキャッチ(不図示)やマグネットラッチ(不図示)が設けられている。筐体11の開口の上部側には、錠前部Kが設けられている。錠前部Kは、閉状態において、係止部K1が蓋部20の上端に形成された係止孔20Kに係止される。
【0069】
蓋部20の開状態において、筐体11の開口から物品保管空間Bが開放される。物品保管空間Bには、上部載置部C3が設けられている。上部載置部C3は、例えば、物品保管空間B内において、蓋部20が開状態において物品保管空間Bの開口方向に引き出し自在に取り付けられている。上部載置部C3は、例えば、上面が開口したトレイ状に形成されている。上部載置部C3の開口の周囲には、水平方向に突出したフランジ部Gが延在して形成されている。フランジ部は、長手方向において延在して形成されている一対のフランジ部材G1を有する。
【0070】
図10に示されるように、筐体11の側板13,14の物品保管空間B側には、例えば、一対のフランジ部材G1を支持するレール部R5が設けられている。レール部R5は、側板13,14の所定の高さ位置において水平方向に沿って延在して形成されている。フランジ部材G1は、レール部R5に載置されている。レール部R5は、フランジ部材を上下から挟持するように形成されていてもよい。蓋部20の開状態において、上部載置部C3を開口側に向かって水平方向に引き出すと、フランジ部材G1は、レール部R5上を移動する。これにより、上部載置部C3内に収納した物品を開口から取り出すことができる。
【0071】
上述したように、変形例に係る物品収納ユニット10Aによれば、蓋部20が蝶番Tにより開閉自在に設けられているので、装置構成を簡略化することができる。
【0072】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせ、または置換して構成してもよい。例えば、蓋部20は、引き出しにより水平方向に開閉するものだけでなく、蝶番により開閉するものであってもよい。この場合、蓋部20は、鉛直方向に沿った回転軸回りに左右開きに開閉するものであってもよい。この場合、上部載置部C1、下部載置部C2は、筐体11に対して開状態の蓋部20の開口から水平方向に引き出し自在に取り付けられていてもよい。物品収納ユニット10は、収容空間Sだけでなく、収容空間Sに比して下方の収容空間Sに固定されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…ワゴン装置、2…ワゴン本体、3…底板、4…縦杆、5…縦杆、6…頂板、6A…把手、7…背面板、8…棚板、10…物品収納ユニット、10A…物品収納ユニット、11…筐体、12…底板、12H…貫通孔、13…側板、13H…貫通孔、14…側板、14H…貫通孔、15…頂板、20…蓋部、20K…係止孔、21…固定穴、22…開口、30…第1固定部、40…第2固定部、100…什器システム、200…机、210…天板、220…脚部、230…脚部、B…物品保管空間、C…物品ワゴン本体、C1…上部載置部、C2…下部載置部、C3…上部載置部、D…(例えば、4個)キャスター、D…キャスター、F…フック部、G…フランジ部、G1…フランジ部材、K…錠前部、K1…係止部、M…移動部、P…ビス、R…レール部、R1…アウターレール、R2…インナーレール、R5…レール部、S…収容空間、T…蝶番、U…ビス、V…空間、W…内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10