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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20241029BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B25J19/00 F
H01L21/68 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020218961
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104004
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 洋
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-025587(JP,A)
【文献】特開平07-328982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/00
H01L 21/677
B25J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中で搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、
前記搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが固定されるハンド支持部材と、前記ハンド支持部材が水平方向へ直線的に往復移動可能となるように前記ハンド支持部材を保持するアームと、前記アームが連結される本体部と、前記アームに対して前記ハンド支持部材を往復移動させる駆動機構とを備えるとともに、
前記アームに対する前記ハンド支持部材の往復移動方向を前後方向とすると、
前記アームの後端部に固定されるリンク支持部材と、一端部が前記リンク支持部材に回動可能に連結されるとともに他端部が前記ハンドの後端部に回動可能に連結されるリンク機構と、前記リンク機構に沿って前記リンク支持部材と前記ハンドとの間で引き回される配線とを備え、
前記リンク機構は、基端部が前記リンク支持部材に回動可能に連結される第1リンク部材と、先端部が前記ハンドの後端部に回動可能に連結されるとともに基端部が前記第1リンク部材の先端部に回動可能に連結される第2リンク部材とを備え、
前記第1リンク部材は、前記リンク支持部材に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、
前記第2リンク部材は、前記ハンドおよび前記第1リンク部材に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になっており、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材は、細長い四角溝状に形成され、
前記リンク機構に沿って引き回される前記配線は、四角溝状に形成される前記第1リンク部材および前記第2リンク部材の内側に収容され、
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材には、前記第1リンク部材の内側に収容される前記配線の一部および前記第2リンク部材の内側に収容される前記配線の一部を保持するための配線保持部材が固定されていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記リンク機構は、前記第1リンク部材の基端部と前記リンク支持部材との連結部となる第1支点部と、前記第2リンク部材の先端部と前記ハンドの後端部との連結部となる第2支点部と、前記第1リンク部材の先端部と前記第2リンク部材の基端部との連結部となる第3支点部とを備え、
前記第1支点部は、前記第1リンク部材の基端部および前記リンク支持部材のいずれか一方に固定される第1固定軸と、前記第1固定軸を回動可能に支持する第1軸受とを備え、
前記第2支点部は、前記第2リンク部材の先端部および前記ハンドの後端部のいずれか一方に固定される第2固定軸と、前記第2固定軸を回動可能に支持する第2軸受とを備え、
前記第3支点部は、前記第1リンク部材の先端部および前記第2リンク部材の基端部のいずれか一方に固定される第3固定軸と、前記第3固定軸を回動可能に支持する第3軸受とを備えることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
上下方向と前後方向とに直交する方向を左右方向とすると、
前記第1リンク部材の基端部は、前記アームよりも左右方向の一方側で前記リンク支持部材に連結され、
前記第2リンク部材の先端部は、前記ハンドの左右方向の一方側の端部に連結され、
前記第1リンク部材の先端部と前記第2リンク部材の基端部との連結部は、前記第1リンク部材の基端部と前記リンク支持部材との連結部、および、前記第2リンク部材の先端部と前記ハンドとの連結部よりも左右方向の他方側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記ハンドとしての第1ハンドおよび第2ハンドと、一端部が前記リンク支持部材に回動可能に連結されるとともに他端部が前記第1ハンドの後端部に回動可能に連結される前記リンク機構としての第1リンク機構と、一端部が前記リンク支持部材に回動可能に連結されるとともに他端部が前記第2ハンドの後端部に回動可能に連結される前記リンク機構としての第2リンク機構とを備え、
前記第1ハンドと前記第2ハンドとは、前後方向から見たときに上下方向で重なっており、
前記リンク支持部材に連結される前記第1リンク機構の一端部と前記第2リンク機構の一端部とは上下方向で重なっていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空中で搬送対象物を搬送するための産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空中でガラス基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、ガラス基板が搭載される2個のハンドと、ハンドが固定される2個のハンド支持部材と、2個のハンド支持部材を保持するアームと、アームが連結される本体部とを備えている。アームは、前後方向に細長い略直方体状に形成されている。ハンド支持部材は、アームに対して前後方向へ直線的に往復移動可能となっている。特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ハンドおよびアームは、真空チャンバー内(真空中)に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-25587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載の産業用ロボットのように真空中でガラス基板等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、搬送対象物の検知等を行うためのセンサをハンドに取り付けることを検討している。この場合、アームとハンドとの間で配線を引き回す必要がある。そこで、本願発明者は、アームとハンドとの間で配線を案内するとともに保護するため、アームとハンドとの間にケーブルベア(登録商標)を設置することを検討した。
【0005】
しかしながら、ケーブルベア(登録商標)は、互いに回動可能に連結される多数のリンク部材によって構成されており、多くの可動部分を備えている。そのため、アームとハンドとの間にケーブルベア(登録商標)を設置すると、アームに対してハンドが移動したときに、多くの可動部分が摺動箇所となって、塵埃が発生しやすくなる。すなわち、アームとハンドとの間にケーブルベア(登録商標)を設置すると、真空中で塵埃が発生しやすくなり、その結果、真空中での塵埃の処理が問題になる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、搬送対象物が搭載されるとともにアームに対して前後方向へ直線的に往復移動するハンドを備え、真空中で搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、アームとハンドとの間で配線が引き回されていても、アームとハンドとの間で配線を適切に案内することおよび保護することが可能になるとともに、塵埃の発生を抑制することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、真空中で搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが固定されるハンド支持部材と、ハンド支持部材が水平方向へ直線的に往復移動可能となるようにハンド支持部材を保持するアームと、アームが連結される本体部と、アームに対してハンド支持部材を往復移動させる駆動機構とを備えるとともに、アームに対するハンド支持部材の往復移動方向を前後方向とすると、アームの後端部に固定されるリンク支持部材と、一端部がリンク支持部材に回動可能に連結されるとともに他端部がハンドの後端部に回動可能に連結されるリンク機構と、リンク機構に沿ってリンク支持部材とハンドとの間で引き回される配線とを備え、リンク機構は、基端部がリンク支持部材に回動可能に連結される第1リンク部材と、先端部がハンドの後端部に回動可能に連結されるとともに基端部が第1リンク部材の先端部に回動可能に連結される第2リンク部材とを備え、第1リンク部材は、リンク支持部材に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、第2リンク部材は、ハンドおよび第1リンク部材に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になっており、第1リンク部材および第2リンク部材は、細長い四角溝状に形成され、リンク機構に沿って引き回される配線は、四角溝状に形成される第1リンク部材および第2リンク部材の内側に収容され、第1リンク部材および第2リンク部材には、第1リンク部材の内側に収容される配線の一部および第2リンク部材の内側に収容される配線の一部を保持するための配線保持部材が固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の産業用ロボットは、アームの後端部に固定されるリンク支持部材に一端部が回動可能に連結されるとともに他端部がハンドの後端部に回動可能に連結されるリンク機構を備えており、配線は、リンク機構に沿ってリンク支持部材とハンドとの間で引き回されている。そのため、本発明では、リンク機構によって、アームとハンドとの間で配線を適切に案内することが可能になるとともに、配線を適切に保護することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、リンク機構は、基端部がリンク支持部材に回動可能に連結される第1リンク部材と、先端部がハンドの後端部に回動可能に連結されるとともに基端部が第1リンク部材の先端部に回動可能に連結される第2リンク部材とを備えている。そのため、本発明では、アームに対してハンドが移動したときの摺動箇所を、第1リンク部材の基端部とリンク支持部材との連結部、第2リンク部材の先端部とハンドの後端部との連結部、および、第1リンク部材の先端部と第2リンク部材の基端部との連結部のみとすることが可能になる。したがって、本発明では、アームとハンドとの間で配線が引き回されていても、塵埃の発生を抑制することが可能になる。
また、本発明では、第1リンク部材および第2リンク部材は、細長い四角溝状に形成され、リンク機構に沿って引き回される配線は、四角溝状に形成される第1リンク部材および第2リンク部材の内側に収容され、第1リンク部材および第2リンク部材には、第1リンク部材の内側に収容される配線の一部および第2リンク部材の内側に収容される配線の一部を保持するための配線保持部材が固定されているため、比較的簡易な構成によって、アームとハンドとの間で配線を適切に案内することが可能になるとともに、配線を適切に保護することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、リンク機構は、第1リンク部材の基端部とリンク支持部材との連結部となる第1支点部と、第2リンク部材の先端部とハンドの後端部との連結部となる第2支点部と、第1リンク部材の先端部と第2リンク部材の基端部との連結部となる第3支点部とを備え、第1支点部は、第1リンク部材の基端部およびリンク支持部材のいずれか一方に固定される第1固定軸と、第1固定軸を回動可能に支持する第1軸受とを備え、第2支点部は、第2リンク部材の先端部およびハンドの後端部のいずれか一方に固定される第2固定軸と、第2固定軸を回動可能に支持する第2軸受とを備え、第3支点部は、第1リンク部材の先端部および第2リンク部材の基端部のいずれか一方に固定される第3固定軸と、第3固定軸を回動可能に支持する第3軸受とを備えている。
【0012】
本発明において、上下方向と前後方向とに直交する方向を左右方向とすると、第1リンク部材の基端部は、アームよりも左右方向の一方側でリンク支持部材に連結され、第2リンク部材の先端部は、ハンドの左右方向の一方側の端部に連結され、第1リンク部材の先端部と第2リンク部材の基端部との連結部は、第1リンク部材の基端部とリンク支持部材との連結部、および、第2リンク部材の先端部とハンドとの連結部よりも左右方向の他方側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、アームに対するハンドの移動距離が長くなっていて、その結果、第1リンク部材および第2リンク部材の長さが長くなっていても、リンク機構が折れ曲がって縮んだときの産業用ロボットの外形を小さくすることが可能になる。
【0013】
本発明において、産業用ロボットは、たとえば、ハンドとしての第1ハンドおよび第2ハンドと、一端部がリンク支持部材に回動可能に連結されるとともに他端部が第1ハンドの後端部に回動可能に連結されるリンク機構としての第1リンク機構と、一端部がリンク支持部材に回動可能に連結されるとともに他端部が第2ハンドの後端部に回動可能に連結されるリンク機構としての第2リンク機構とを備え、第1ハンドと第2ハンドとは、前後方向から見たときに上下方向で重なっており、リンク支持部材に連結される第1リンク機構の一端部と第2リンク機構の一端部とは上下方向で重なっている。
【0014】
この場合には、第1リンク機構の一端部と第2リンク機構の一端部とが共通のリンク支持部材に連結されているため、第1リンク機構の一端部が連結されるリンク支持部材と第2リンク機構の一端部が連結されるリンク支持部材とが個別に設けられている場合と比較して、産業用ロボットの構成を簡素化することが可能になる。また、この場合には、リンク支持部材に連結される第1リンク機構の一端部と第2リンク機構の一端部とが上下方向で重なっているため、第1リンク機構と第2リンク機構との2個のリンク機構が産業用ロボットに設置されていても、2個のリンク機構をコンパクトに配置することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、搬送対象物が搭載されるとともにアームに対して前後方向へ直線的に往復移動するハンドを備え、真空中で搬送対象物を搬送する産業用ロボットにおいて、アームとハンドとの間で配線が引き回されていても、アームとハンドとの間で配線を適切に案内することおよび保護することが可能になるとともに、塵埃の発生を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
図2図1に示す産業用ロボットの側面図である。
図3図1に示す産業用ロボットの背面図である。
図4図1に示す産業用ロボットの構成を説明するための平面図である。
図5図4に示す駆動機構およびガイド機構の構成を説明するための側面図である。
図6図4に示すガイド機構の構成を説明するための背面図である。
図7】(A)は、図1に示すリンク機構の構成を説明するための平面図であり、(B)は、図2に示すリンク機構の構成を説明するための側面図である。
図8】(A)は、図7(A)のE部の拡大図であり、(B)は、図7(A)のF部の拡大図である。
図9図7(B)のG部の拡大図である。
図10図7(B)のH部の拡大図である。
図11図7(B)のJ部の拡大図である。
図12】(A)は、図7(A)のK-K断面の断面図であり、(B)は、図7(A)のL-L断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(産業用ロボットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1の側面図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1の背面図である。図4は、図1に示す産業用ロボット1の構成を説明するための平面図である。図5は、図4に示す駆動機構18およびガイド機構20の構成を説明するための側面図である。図6は、図4に示すガイド機構19、20の構成を説明するための背面図である。
【0019】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、真空中で搬送対象物2(以下、「ワーク2」とする。)を搬送するためのロボットである。ロボット1によって搬送されるワーク2の重量は、比較的重くなっている。たとえば、ワーク2の重量は、270kg程度となっている。ワーク2は、長方形の平板状に形成されている。ロボット1は、ワーク2が搭載される2個のハンド5、6と、ハンド5が固定されるハンド支持部材7(図6参照)と、ハンド6の基端部が固定されるハンド支持部材8と、ハンド支持部材7、8を保持するアーム9と、アーム9が連結される本体部10とを備えている。本形態のハンド5は第1ハンドであり、ハンド6は第2ハンドである。
【0020】
本体部10は、アーム9が固定される回動軸11と、回動軸11を回動させる回動機構12と、回動軸11および回動機構12を昇降させる昇降機構と、これらの構成が収容されるケース体13とを備えている。回動軸11は、細長い円筒状に形成されている。回動軸11は、回動軸11の軸方向と上下方向とが一致するように配置されており、上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。回動機構12は、たとえば、回動軸11を回動させるためのモータと、モータの動力を回動軸11に伝達するプーリおよびベルト等を備えている。ケース体13は、略有底円筒状に形成されている。ケース体13の上端には、円板状に形成されたフランジ14が固定されている。フランジ14には、回動軸11の上端側部分が配置される貫通穴が形成されている。
【0021】
ハンド5、6、ハンド支持部材7、8およびアーム9は、本体部10の上側に配置されている。上述のように、ロボット1は、真空中でワーク2を搬送する。本形態では、ロボット1の、フランジ14の下端面よりも上側の部分が真空領域VRの中に配置されており、ハンド5、6、ハンド支持部材7、8およびアーム9は、真空チャンバー内(真空中)に配置されている。一方、ロボット1の、フランジ14の下端面よりも下側の部分は、大気領域ARの中(大気中)に配置されている。
【0022】
アーム9は、ハンド支持部材7、8が水平方向へ直線的に往復移動可能となるようにハンド支持部材7、8を保持している。具体的には、アーム9は、ハンド支持部材7とハンド支持部材8とが水平方向の同じ方向へ直線的に往復移動可能となるように(すなわち、ハンド5とハンド6とが水平方向の同じ方向へ直線的に往復移動可能となるように)ハンド支持部材7、8を保持している。本形態では、アーム9に対するハンド支持部材7、8の移動距離が比較的長くなっている。たとえば、アーム9に対するハンド支持部材7、8の移動距離は、4700mmとなっている。
【0023】
以下の説明では、アーム9に対するハンド支持部材7、8の往復移動方向(図1等のX方向)を「前後方向」とし、上下方向(鉛直方向)と前後方向とに直交する図1等のY方向を「左右方向」とする。また、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とし、左右方向の一方側である図1等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である図1等のY2方向側を「左」側とする。
【0024】
ロボット1は、アーム9に対してハンド支持部材7を往復移動させる駆動機構17と、アーム9に対してハンド支持部材8を往復移動させる駆動機構18と、ハンド支持部材7を前後方向に案内するガイド機構19と、ハンド支持部材8を前後方向に案内するガイド機構20とを備えている。
【0025】
また、ロボット1は、アーム9の後端部に固定されるリンク支持部材21と、一端部がリンク支持部材21に回動可能に連結されるとともに他端部がハンド5の後端部に回動可能に連結されるリンク機構22と、一端部がリンク支持部材21に回動可能に連結されるとともに他端部がハンド6の後端部に回動可能に連結されるリンク機構23と、リンク機構22、23に沿ってリンク支持部材21とハンド5、6との間で引き回される配線(ケーブル)24とを備えている。本形態のリンク機構22は第1リンク機構であり、リンク機構23は第2リンク機構である。
【0026】
アーム9は、ハンド5、6の下側に配置されている。アーム9は、前後方向に細長い略直方体状に形成されている。アーム9は、アーム9の中心部を構成するブロック状のアーム本体27(図4参照)と、アーム本体27に固定される平板状の複数の平板部材28とを備えている。アーム本体27は、前後方向に細長い直方体状に形成されている。平板部材28は、アーム本体27の前後方向の両側および左右方向の両側に配置されている。図6に示すように、アーム9の左右方向の両端部の高さは、アーム9の左右方向の中央部の高さよりも高くなっている。
【0027】
アーム本体27は、回動軸11に固定されている。具体的には、アーム本体27の左右方向の中心部分が回動軸11の上端面に固定されている。アーム本体27の、回動軸11が固定される位置には、上下方向でアーム本体27を貫通する貫通穴27aが形成されている(図4参照)。貫通穴27aは、円筒状に形成される回動軸11の軸心を中心とする円形状に形成されている。
【0028】
ハンド5は、ワーク2が搭載される複数のフォーク40と、複数のフォーク40の基端部が固定されるハンド基部41とを備えている。ハンド6は、ハンド5と同様に、ワーク2が搭載される複数のフォーク40と、複数のフォーク40の基端部が固定されるハンド基部42とを備えている。本形態のハンド5、6は、4本のフォーク40を備えている。フォーク40は、前後方向に細長い直線状に形成されている。ハンド基部41、42には、フォーク40の後端部が固定されている。ハンド基部41は、ハンド5の後端部を構成し、ハンド基部42は、ハンド6の後端部を構成している。
【0029】
ハンド基部41、42は、左右方向に細長い略長方形状の平板状に形成されている。ハンド基部41の長さ(左右方向の長さ)は、ハンド基部42の長さ(左右方向の長さ)よりも短くなっている。ハンド基部41とハンド基部42とは、前後方向から見たときに、上下方向で重なるように配置されている。すなわち、ハンド5とハンド6とは、前後方向から見たときに、上下方向で重なっている。本形態では、前後方向から見たときに、ハンド6が上側に配置され、ハンド5が下側に配置されている。
【0030】
ハンド5、6の左右方向の幅は、アーム9の左右方向の幅よりも広くなっている。図3図6に示すように、ハンド5とハンド6とは、前後方向から見たときに、ハンド5の中心とハンド6の中心とが左右方向において一致するように配置されている。また、ハンド5、6は、前後方向から見たときに、ハンド5、6の中心とアーム9の中心とが左右方向において一致するように配置されている。
【0031】
フォーク40の先端(前端)は、アーム9に対してハンド5、6が最も後ろ側に移動しているときでも、本体部10よりも前側に配置されている(図1参照)。すなわち、ハンド5、6の先端は、アーム9に対してハンド支持部材7、8が最も後ろ側に移動しているときでも、本体部10よりも前側に配置されている。そのため、ハンド5、6の先端は、ハンド支持部材7、8がアーム9に対して前側に移動するにしたがって本体部10から離れる。
【0032】
ハンド支持部材7は、ハンド基部41の下側に配置される2個のスライド部材43によって構成されている(図6参照)。2個のスライド部材43は、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。左右方向において、2個のスライド部材43は、高さが高くなっているアーム9の左右方向の両端部の間に配置されている。前後方向から見たときのスライド部材43の形状は略L形状となっている。ハンド基部41は、スライド部材43の上端面に固定されている。
【0033】
ハンド支持部材8は、ハンド基部42の下側に配置される2個のスライド部材44によって構成されている。2個のスライド部材44は、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。また、2個のスライド部材44は、左右方向においてアーム9の外側に配置されている。前後方向から見たときのスライド部材44の形状は略L形状となっている。ハンド基部42は、スライド部材44の上端面に固定されている。
【0034】
駆動機構17は、モータ46と、モータ46の動力をハンド支持部材7に伝達するための動力伝達機構45とを備えている。モータ46は、アーム9の後面に固定されるモータ収容部材56の中に収容されている。動力伝達機構45は、図4に示すように、プーリ47、48、51およびベルト53、55等を備えている。ベルト55は、アーム9の後端部の上面側に配置され上下方向を回転の軸方向として回転するプーリ51と、アーム9の前端部の上面側に配置され上下方向を回転の軸方向として回転するプーリとに掛け渡されている。ベルト55には、ハンド支持部材7が固定されている。ベルト55は、左右方向において、2個のスライド部材43の間に配置されている。
【0035】
駆動機構18は、モータ61と、モータ61の動力をハンド支持部材8に伝達するための動力伝達機構60とを備えている。モータ61は、アーム9の後面の右端部に固定されるモータ収容部材71の中に収容されている。動力伝達機構60は、図4図5に示すように、プーリ62~64、66、67およびベルト68~70を備えている。ベルト70は、アーム9の後端部の左右方向の両側に配置され左右方向を回転の軸方向として回転するプーリ66と、アーム9の前端部の左右方向の両側に配置され左右方向を回転の軸方向として回転するプーリ67とに掛け渡されている。ベルト70には、ハンド支持部材8が固定されている。ベルト70は、アーム9の左右方向の外側に配置されている。
【0036】
ガイド機構19は、アーム9の上面側に配置されている。また、ガイド機構19は、スライド部材43の下側に配置されている。ガイド機構19は、前後方向を長手方向とする4本のガイドレール76と、ガイドレール76に上側から係合する複数のガイドブロック77とを備えている。ガイドレール76は、アーム9の上面に固定されている。ガイドブロック77は、スライド部材43の下端面に固定されている。なお、アーム9には、ガイド機構19およびベルト55等を上側から覆うカバー78が固定されている(図6参照)。
【0037】
ガイド機構20は、左右方向におけるアーム9の両側に配置されている。ガイド機構20は、前後方向を長手方向とする4本のガイドレール80と、ガイドレール80に左右方向の外側から係合する複数のガイドブロック81とを備えている。4本のガイドレール80のうちの2本のガイドレール80は、アーム9の右側に配置され、残りの2本のガイドレール80は、アーム9の左側に配置されている。アーム9の左右方向の両側では、2本のガイドレール80の間にベルト70が配置されている。ガイドブロック81は、左右方向におけるスライド部材44の内側面に固定されている。なお、アーム9には、ガイド機構20およびベルト70等を左右方向の外側から覆うとともに上下方向の両側から覆うカバー82が固定されている(図6参照)。
【0038】
(リンク支持部材およびリンク機構の構成、配線の引き回し)
図7(A)は、図1に示すリンク機構23の構成を説明するための平面図であり、図7(B)は、図2に示すリンク機構22、23の構成を説明するための側面図である。図8(A)は、図7(A)のE部の拡大図であり、図8(B)は、図7(A)のF部の拡大図である。図9は、図7(B)のG部の拡大図である。図10は、図7(B)のH部の拡大図である。図11は、図7(B)のJ部の拡大図である。図12(A)は、図7(A)のK-K断面の断面図であり、図12(B)は、図7(A)のL-L断面の断面図である。
【0039】
リンク支持部材21は、アーム9の後面に固定されている。リンク支持部材21は、アーム9の後面から後ろ側に向かって伸びる第1支持部21aと、第1支持部21aの後端から右側に向かって伸びる第2支持部21bと、第2支持部21bの右端から上側に向かって伸びる第3支持部21cとによって構成されている。第1支持部21a、第2支持部21bおよび第3支持部21cは、四角柱状に形成されている。第3支持部21cは、アーム9よりも右側に配置されている。
【0040】
前後方向から見たときに、リンク機構22は、リンク機構23の下側に配置されている。リンク機構22、23は、基端部がリンク支持部材21に回動可能に連結されるリンク部材85と、先端部がハンド5、6の後端部に回動可能に連結されるリンク部材86とを備えている。リンク部材85、86は、直線状に形成されている。リンク部材86の基端部は、リンク部材85の先端部に回動可能に連結されている。本形態のリンク部材85は第1リンク部材であり、リンク部材86は第2リンク部材である。
【0041】
また、リンク機構22、23は、リンク部材85の基端部とリンク支持部材21との連結部となる支点部87と、リンク部材86の先端部とハンド5、6の後端部との連結部となる支点部88と、リンク部材85の先端部とリンク部材86の基端部との連結部となる支点部89とを備えている。本形態の支点部87は第1支点部であり、支点部88は第2支点部であり、支点部89は第3支点部である。
【0042】
リンク部材85の基端部は、リンク支持部材21に対して上下方向を回動の軸方向とするリンク部材85の回動が可能となるように、リンク支持部材21に連結されている。すなわち、リンク部材85は、リンク支持部材21に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている。また、リンク部材85の基端部は、第3支持部21cの後面側に連結されている。上述のように、第3支持部21cは、アーム9よりも右側に配置されているため、リンク部材85の基端部は、アーム9よりも右側でリンク支持部材21に連結されている。
【0043】
第3支持部21cの後面側に連結されるリンク機構22のリンク部材85の基端部と、第3支持部21cの後面側に連結されるリンク機構23のリンク部材85の基端部とは、前後左右方向において同じ位置に配置されており、上下方向で重なっている。すなわち、リンク支持部材21に連結されるリンク機構22の一端部と、リンク支持部材21に連結されるリンク機構23の一端部とは、上下方向で重なっている。
【0044】
リンク部材86の先端部は、ハンド5、6に対して上下方向を回動の軸方向とするリンク部材86の回動が可能となるように、ハンド5、6の後端部(具体的には、ハンド基部41、42の後面側)に連結されている。また、リンク部材86の基端部は、リンク部材85に対して上下方向を回動の軸方向とするリンク部材86の回動が可能となるように、リンク部材85の先端部に連結されている。すなわち、リンク部材86は、ハンド5、6およびリンク部材85に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている。
【0045】
また、リンク部材86の先端部は、ハンド基部41、42の右端部に回動可能に連結されている。すなわち、リンク部材86の先端部は、ハンド5、6の右端部に連結されている。ハンド基部41の後面側に連結されるリンク機構22のリンク部材86の先端部と、ハンド基部42の後面側に連結されるリンク機構23のリンク部材86の先端部とは、左右方向において同じ位置に配置されており、前後方向から見たときに上下方向で重なっている。すなわち、ハンド5に連結されるリンク機構22の他端部と、ハンド6に連結されるリンク機構23の他端部とは、前後方向から見たときに上下方向で重なっている。
【0046】
支点部89(すなわち、リンク部材85の先端部とリンク部材86の基端部との連結部)は、支点部87(すなわち、リンク部材85の基端部とリンク支持部材21との連結部)および支点部88(すなわち、リンク部材86とハンド基部41、42との連結部)よりも左側に配置されている。図1の二点鎖線で示すように、ハンド5、6が本体部10に対して前側に移動すると、リンク機構22、23は伸びる。一方、図1の実線で示すように、ハンド5、6が本体部10に対して後ろ側に移動すると、リンク機構22、23は折れ曲がって縮む。
【0047】
リンク部材85、86は、細長い四角溝状に形成されている(図12参照)。具体的には、リンク部材85、86は、水平方向の一方側が開口する細長い四角溝状に形成されており、上下方向に平行な平板状の底面部と、底面部の上下の両端から水平方向の一方側に伸びる平板状の2個の側面部とによって構成されている。本形態では、リンク機構22、23が伸びた状態において、リンク部材85、86の右側が開口している。リンク部材85の上下方向の幅(高さ)は、リンク部材86の上下方向の幅(高さ)よりも広くなっている。
【0048】
支点部87は、リンク部材85の基端部に固定される固定軸90と、固定軸90を回動可能に支持する軸受91とを備えている。支点部88は、リンク部材86の先端部に固定される固定軸92と、固定軸92を回動可能に支持する軸受93とを備えている。支点部89は、リンク部材85の先端部に固定される固定軸94と、固定軸94を回動可能に支持する軸受95とを備えている。軸受91、93、95は、転がり軸受である。具体的には、軸受91、93、95は、真空環境用の玉軸受である。本形態の固定軸90は第1固定軸であり、軸受91は第1軸受であり、固定軸92は第2固定軸であり、軸受93は第2軸受であり、固定軸94は第3固定軸であり、軸受95は第3軸受である。
【0049】
固定軸90は、リンク部材85の基端部の上下の両側のそれぞれに固定されている。すなわち、リンク部材85の基端部には、2本の固定軸90が固定されている。固定軸90は、リンク部材85の基端部から上下の両側に突出している。軸受91は、第3支持部21cの後面に取り付けられている。リンク機構22のリンク部材85の基端部に固定される固定軸90と、リンク機構23のリンク部材85の基端部に固定される固定軸90とは、前後左右方向において同じ位置に配置されている。
【0050】
固定軸92は、リンク部材86の先端部の上下の両側のそれぞれに固定されている。すなわち、リンク部材86の先端部には、2本の固定軸92が固定されている。固定軸92は、リンク部材86の先端部から上下の両側に突出している。軸受93は、ハンド基部41、42の後面に取り付けられている。リンク機構22のリンク部材86の先端部に固定される固定軸92と、リンク機構23のリンク部材86の基端部に固定される固定軸92とは、左右方向において同じ位置に配置されている。
【0051】
固定軸94は、リンク部材85の先端部の上下の両側のそれぞれに固定されている。すなわち、リンク部材85の先端部には、2本の固定軸94が固定されている。固定軸94は、リンク部材85の先端部の内側に配置されている。軸受95は、リンク部材86の基端部に取り付けられている。
【0052】
配線24は、本体部10の内部からハンド5、6まで引き回されている。配線24の一端は、ハンド5、6に設置されるセンサに接続されている。配線24の一部は、回動軸11の内周側およびアーム本体27の貫通穴27aの中に配置されている。図4に示すように、貫通穴27aから引き出される配線24は、アーム9の上面に沿って後ろ側に向かって引き回された後、第1支持部21aの上面、第2支持部21bの前面および第3支持部21cの前面に沿って第3支持部21cの上端側まで引き回されている。
【0053】
回動軸11の上端部の内周側には、真空領域VRへの空気の流入を防止するためのコネクタが取り付けられており、配線24は、このコネクタにおいて分割されている。また、アーム本体27の上面の、貫通穴27aの近傍(具体的には、貫通穴27aの後ろ側)、および、第1支持部21aの上面の後端部には端子台96が取り付けられており、配線24は、端子台96においても分割されている。
【0054】
第3支持部21cの上端側まで引き回された配線24は、リンク機構22、23に沿ってハンド基部41、42まで引き回されている。リンク機構22、23に沿って引き回される配線24は、四角溝状に形成されるリンク部材85、86の内側に収容されている。リンク部材85には、リンク部材85の内側に収容される配線24の一部を保持するための配線保持部材97が固定されている。同様に、リンク部材86には、リンク部材86の内側に収容される配線24の一部を保持するための配線保持部材97が固定されている。
【0055】
図7(B)に示すように、配線保持部材97は、リンク部材85、86の長手方向において所定の間隔で複数配置されている。図12に示すように、配線保持部材97は、リンク部材85、86の底面部に固定されている。配線保持部材97は、薄い金属板を所定形状に折り曲げることで形成されており、リンク部材85、86の底面部との間で配線24の一部を保持する保持部と、リンク部材85、86の底面部に固定される被固定部とから構成されている。なお、アーム9の上面、第1支持部21aの上面、第2支持部21bの前面および第3支持部21cの前面に沿って引き回される配線24の一部も配線保持部材97と同様の配線保持部材によって保持されている。
【0056】
支点部87の近傍には、第3支持部21cからリンク部材85の基端部に引き込まれる配線24を案内するためのガイド部材98が設置されている。ガイド部材98は、第3支持部21cに固定されている。支点部88の近傍には、リンク部材86の先端部からハンド基部41、42に引き込まれる配線24を案内するためのガイド部材99、100が設置されている。ガイド部材99は、ハンド基部41、42に固定され、ガイド部材100は、リンク部材86の先端部に固定されている。支点部89の近傍には、支点部89において配線24を案内するためのガイド部材101が設置されている。ガイド部材101は、リンク部材85とリンク部材86とに固定されている。すなわち、支点部89の近傍には、2個のガイド部材101が設置されている。ガイド部材98~101は、薄い金属板で形成された板バネである。なお、図8(B)では、ガイド部材100の図示を省略している。
【0057】
本形態では、ハンド5、6が本体部10に対して最も後ろ側まで移動している状態(図1の実線で示す状態)で回動軸11が回動して、ハンド5、6およびアーム9が回動する。すなわち、リンク機構22、23は折れ曲がっている状態でハンド5、6およびアーム9が回動する。このときの最大旋回半径R1(図1参照)は、ロボット1がリンク機構22、23を備えていないときの最大旋回半径とほぼ等しくなっている。なお、ハンド5、6が本体部10に対して最も後ろ側まで移動していて折れ曲がっている状態のリンク機構22、23は、デッドスペースとなるモータ収容部材56、71の上側の空間に配置されている。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のロボット1は、アーム9の後端部に固定されるリンク支持部材21に一端部が回動可能に連結されるとともに他端部がハンド5の後端部に回動可能に連結されるリンク機構22を備えており、配線24は、リンク機構22に沿ってリンク支持部材21とハンド5との間で引き回されている。また、ロボット1は、リンク支持部材21に一端部が回動可能に連結されるとともに他端部がハンド6の後端部に回動可能に連結されるリンク機構23を備えており、配線24は、リンク機構23に沿ってリンク支持部材21とハンド6との間で引き回されている。そのため、本形態では、リンク機構22、23によって、アーム9とハンド5、6との間で配線24を適切に案内することが可能になるとともに、配線24を適切に保護することが可能になる。
【0059】
本形態では、リンク機構22、23は、主として、基端部がリンク支持部材21に回動可能に連結されるリンク部材85と、先端部がハンド5、6の後端部に回動可能に連結されるとともに基端部がリンク部材85の先端部に回動可能に連結されるリンク部材86とによって構成されている。そのため、本形態では、アーム9に対してハンド5、6が移動したときの摺動箇所を、3箇所の支点部87~89のみとすることが可能になる。したがって、本形態では、アーム9とハンド5、6との間で配線24が引き回されていても、塵埃の発生を抑制することが可能になる。
【0060】
なお、本形態では、アーム9に対するハンド5、6の移動距離が比較的長くなっていて配線24の長さが比較的長くなっているため、アーム9とハンド5、6との間で配線24を引き回すためのケーブルベア(登録商標)が設置されている場合には、このケーブルベア(登録商標)の設置スペースが大きくなるおそれがある。これに対して本形態では、2本のリンク部材85、86に沿って配線24が引き回されているため、配線24の長さが比較的長くなっていても、リンク部材85、86の設置スペースを小さくすることが可能になる。
【0061】
本形態では、リンク機構22、23に沿って引き回される配線24は、細長い四角溝状に形成されるリンク部材85、86の内側に収容されている。また、本形態では、リンク部材85、86に、リンク部材85、86の内側に収容される配線24の一部を保持するための配線保持部材97が固定されている。そのため、本形態では、比較的簡易な構成によって、アーム9とハンド5、6との間で配線24を適切に案内することが可能になるとともに、配線24を適切に保護することが可能になる。
【0062】
本形態では、リンク部材85の基端部は、アーム9よりも右側でリンク支持部材21に連結され、リンク部材86の先端部は、ハンド5、6の左端部に連結されている。また、本形態では、支点部89は、支点部87および支点部88よりも左側に配置されている。そのため、本形態では、アーム9に対するハンド5、6の移動距離が長くなっていて、その結果、リンク部材85、86の長さが長くなっていても、リンク機構22、23が折れ曲がって縮んだときのロボット1の外形を小さくすることが可能になる。
【0063】
たとえば、リンク部材85の基端部がアーム9の左右方向の中心においてリンク支持部材21に連結され、リンク部材86の先端部がハンド5、6の左右方向の中心部に連結されている場合と比較して、リンク機構22、23が折れ曲がって縮んだときのロボット1の外形を小さくすることが可能になる。したがって、本形態では、上述のように、最大旋回半径R1を、ロボット1がリンク機構22、23を備えていないときの最大旋回半径とほぼ等しくすることが可能になる。
【0064】
本形態では、リンク機構22の一端部とリンク機構23の一端部とが共通のリンク支持部材21に連結されている。そのため、本形態では、リンク機構22の一端部が連結されるリンク支持部材とリンク機構23の一端部が連結されるリンク支持部材とが個別に設けられている場合と比較して、ロボット1の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、リンク支持部材21に連結されるリンク機構22の一端部とリンク機構23の一端部とが上下方向で重なっているため、2個のリンク機構22、23がロボット1に設置されていても、2個のリンク機構22、23をコンパクトに配置することが可能になる。
【0065】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0066】
上述した形態において、リンク支持部材21の第3支持部21cに固定軸90が固定され、軸受91がリンク部材85の基端部に取り付けられていても良い。また、上述した形態において、固定軸92がハンド基部41、42の後面(すなわち、ハンド5、6の後端部)に固定され、軸受93がリンク部材86の先端部に取り付けられていても良い。また、上述した形態において、固定軸94がリンク部材86の基端部に固定され、軸受95がリンク部材85の先端部に取り付けられていても良い。
【0067】
上述した形態において、リンク部材85、86は、四角溝状以外の溝状に形成されていても良いし、溝状以外の形状に形成されていても良い。また、上述した形態において、ロボット1が備えるハンドの数は、1個であっても良い。この場合には、リンク機構22またはリンク機構23が不要になる。また、上述した形態において、ボールネジを用いてハンド支持部材7、8を前後方向に移動させても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ワーク(搬送対象物)
5 ハンド(第1ハンド)
6 ハンド(第2ハンド)
7、8 ハンド支持部材
9 アーム
10 本体部
17、18 駆動機構
21 リンク支持部材
22 リンク機構(第1リンク機構)
23 リンク機構(第2リンク機構)
24 配線
85 リンク部材(第1リンク部材)
86 リンク部材(第2リンク部材)
87 支点部(第1支点部)
88 支点部(第2支点部)
89 支点部(第3支点部)
90 固定軸(第1固定軸)
91 軸受(第1軸受)
92 固定軸(第2固定軸)
93 軸受(第2軸受)
94 固定軸(第3固定軸)
95 軸受(第3軸受)
97 配線保持部材
X 前後方向
Y 左右方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12