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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】刺繍化粧用物品
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A45D34/04 530
A45D34/04 510A
A45D34/04 560
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020570105
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2019065950
(87)【国際公開番号】W WO2019243296
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】1855353
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク・ルブラン
(72)【発明者】
【氏名】オドレイ・テナン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリエット・バルク
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】長馬 望
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0016283(KR,A)
【文献】特表2015-513987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用組成物(C)を塗布、収集又は分配するための表面(17)を画定する1つの布地(15)を含む化粧用物品(1)において、前記布地は、テキスタイルベース材料(30)上に一体的に構築された浮き出し模様(20)を形成する少なくとも1つの糸ステッチ(40)を含み、前記布地(15)は、前記化粧用組成物(C)に対して少なくとも部分的に透過性であり、
前記布地(15)は、前記布地(15)の伸長時に、前記化粧用組成物を含有する区画から、前記化粧用組成物を、前記布地(15)のうち前記浮き出し模様(20)が形成されていない区画を通して、放出するよう構成されており、
前記化粧用組成物(C)を含有する区画を有する本体(3)を有するケース(2)を含み、前記布地(15)は、前記化粧用組成物(C)のすぐ上に配置され、前記ケース(2)は、前記本体(3)と協働するように配置されたカバー(5)を含む、ことを特徴とする化粧用物品。
【請求項2】
前記糸ステッチ(40)は、前記テキスタイルベース材料(30)上でかがり縫いで縫われ、ステッチされ、編まれ、且つ好ましくは刺繍されることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記浮き出し模様(20)は、前記化粧用組成物(C)を塗布、収集又は分配するための前記表面の総表面に対して、前記化粧用組成物(C)を塗布、収集又は分配するための前記表面の10%~95%をカバーするという事実によって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記テキスタイルベース材料(30)は、刺繍横糸を有するという事実によって特徴付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記テキスタイルベース材料(30)は、横糸と縦糸とを含むという事実によって特徴付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記テキスタイルベース材料(30)は、帆布、あや織又は繻子の織りを有するという事実によって特徴付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記テキスタイルベース材料(30)は、ポリアミド、エラステイン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ビスコース、アセテート、絹、羊毛、綿、リンネル、麻の糸を含むという事実によって特徴付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記糸ステッチ(40)は刺繍ステッチ(40)であり、前記刺繍ステッチ(40)は、フィルステッチ、特に直線のフラットパススルーステッチ又はエンクローチングステッチを含むという事実によって特徴付けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記糸ステッチ(40)は刺繍ステッチ(40)であり、前記刺繍ステッチ(40)は、ループステッチを含むという事実によって特徴付けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記糸ステッチ(40)は刺繍ステッチ(40)であり、前記刺繍ステッチ(40)は、チェーンステッチを含むという事実によって特徴付けられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記糸ステッチ(40)は刺繍ステッチ(40)であり、前記刺繍ステッチ(40)は、テキスタイル糸、特に綿糸又は絹糸で作られているという事実によって特徴付けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記布地(15)は、エラステインを含む少なくとも1つの弾性のある糸で作られているという事実によって特徴付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
少なくとも1つの方向における前記布地(15)の伸長率は、10%~200%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記化粧用組成物(C)は、吸収性支持体に含浸される、請求項1~13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記ケース(2)は、化粧用組成物(C)アプリケータを保持するためのアプリケータ保持器(6)を収容する、請求項1~13のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、より詳細には、限定するものではないが、化粧又はヒトの角質物質、特に皮膚のケアを意図された化粧用物品の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
「化粧用製品」は、化粧用製品に関する2009年11月30日の欧州議会及び理事会の規制(EC)第1223/2009号において定義された任意の製品を意味する。
【0003】
化粧用組成物上にスクリーンを配置することは、既知である。いくつかの特許出願公報は、このタイプの化粧用物品を扱っている。
【0004】
異なる塗布特性を有するいくつかのゾーンを備えたスクリーンは、既に提案されている。
【0005】
特許文献1は、スロットと開口とを含むスクリーンを開示している。スクリーンは、ナイロン、ポリエステル、綿、絹、羊毛、アセテート、アクリル、金属、ポリエチレン、不織布、ポリプロピレン又はポリウレタンで作られ得る。
【0006】
特許文献2は、ナイロン、ポリエステル、綿、絹、アセテート、アクリル、金属、ポリエチレン、不織布及びポリウレタンで作られた第1スクリーンと、弾性のある材料で作られた第2スクリーンとを含むダブルスクリーンを開示している。第2スクリーンは、第1スクリーン上に配置され、それは、第1スクリーンの開口に対するその開口の位置により化粧用製品の拡散を制御する。
【0007】
異なる塗布特性を備えたいつかのゾーンを有する、拭き取りのための布も提案されている。
【0008】
特許文献3は、皮膚洗浄又はケア物品であって、それらの表面上に浮き出し模様を含む皮膚洗浄又はケア物品を開示している。浮き出し模様は、0.2~2.0mmに含まれる高さHの突出部を有する。これは、製品を受けることを意図された複数の空洞を画定する。物品は、綿繊維に基づき得る。これは、物品の表面に浮き出し模様を作り出すために、一緒に接合された吸収性繊維状材料の2つの外部層と、外部層間に配置された少なくとも一連の糸とを含む。
【0009】
このタイプの物品に生じる問題は、全てが狭い空間にあり、且つ大規模な市場の要件に適合する製造コストによるとき、大量の組成物を保管し、且つそれを使用中に次第に及び可能な限り完全に元に戻すための能力、形状記憶から利益を得る必要性並びに様々な粘度の組成物を受ける能力など、様々なパラメータ間に見られる妥協である。
【0010】
別の問題は、大きい収集表面にわたる化粧用製品の拡散を制御し、且つ異なる粘度の化粧用組成物の拡散を制御するための、化粧用製品の拡散の制御に関する。
【0011】
さらに、皮膚がユーザにとって心地よい物品と接触した状態で組成物が収集されるか、分配されるか、又は施されることを可能にする化粧用物品を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国特許第101380587号明細書
【文献】国際公開第2016148371号パンフレット
【文献】欧州特許第2039815号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、化粧用組成物を含有するリザーバを含む化粧用物品をさらに改良することを目的とする。
【0014】
本発明の別の目的は、アプリケータとしての役割を果たし得る化粧用物品を提案することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、したがって、第1態様によると、化粧用組成物を塗布、収集又は分配するための表面を画定する布地を含む化粧用物品であって、布地は、テキスタイルベース材料上に構築された浮き出し模様を形成する少なくとも1つの糸ステッチ、特に刺繍ステッチを含み、布地は、化粧用組成物に対して少なくとも部分的に透過性である、化粧用物品に関する。
【0016】
本発明は、異なる塗布特性を有する2つのゾーン、すなわち特に刺繍を含む浮き彫りのゾーン及び任意選択的に刺繍ステッチがないゾーンを有する布地を提供する。これは、心地よい感触を与え、且つ組成物の収集及び投与を円滑にする。実際、収集された製品は、指又はアプリケータ上に不均一に分配される。したがって、製品は、人により自然な外観を与えるために、処理又は化粧される身体領域上でより良好に広げられ得る。
【0017】
さらに、ジュース(juice)とも呼ばれる組成物は、刺繍ステッチがないゾーンに集積するため、表面で直接的に利用可能である。ジュースは、表面と同一平面である。これは、ジュースのより良好な分布を確実にする。特に液体組成物について、水たまりを形成せずにより広い含浸を得るために軽く押すのみで十分である。ジュースは、身体表面により一様に分配される。スクリーンと比べて、ジュースは、染み込まない。本発明において、物品は、表面リザーバ機能とジュース通過機能とを有する。
【0018】
布地により画定された表面は、化粧用組成物が施されることを可能にする表面であるのみならず、代替的に収集又は分配されることを可能にする表面でもある。したがって、この表面は、塗布表面、収集表面又は分配表面として理解されるべきである。布地は、弾性的に変形可能であり得、これは、特定の形状記憶を維持しつつ、製品が収集されるときに容易に変形され得る。
【0019】
布地は、好ましくは、非リバーシブルであり、すなわち布地の2つの側の一方のみ、すなわち布地の表面が塗布、収集又は分配表面を形成する。裏面は、表面とは区別され得る。
【0020】
テキスタイルベース材料は、有利には、織るか又は編むことにより作られる。
【0021】
布地を構成する材料は、好ましくは、ユーザにとって特にやわらかい絹のような感触を塗布表面に与えるように選択される。特に、超極細繊維の存在は、この知覚的利点が得られることを可能にし得る。
【0022】
布地を構成する材料は、有利には、布地に弾性を与えるように選択される。特に、エラステインの存在は、形状記憶により布地が即座にその初期形状に戻ることを可能にしつつ、特に組成物を収集するために、布地が押圧されたときの布地の変形を促す。
【0023】
同様に組成物に対して透過性であり得る刺繍による浮き出し模様は、特にアプリケータ又はユーザの指と接触する前記表面の部分を形成し、浮き出し模様がないテキスタイルゾーンへのアクセスは、あまり即時に行われない。刺繍による浮き出し模様は、例えば、超極細繊維の存在により、触れると心地よい質感であり得る。
【0024】
物品が化粧用組成物と接触しているとき、これは、フレームを含むことができ、布地は、組成物が特に組成物に対する布地の圧力によって布地を通過し得るように、フレームによって組成物の保留分の上に保持され、任意選択的に伸ばされる。
【0025】
代替的に、化粧用組成物は、吸収性支持体で含浸され得る。
【0026】
物品は、化粧用組成物を含有する区画を有する本体を含むケースを含み得、布地は、化粧用組成物の上に配置され、ケースは、ケースの密封された閉鎖を可能にするために、本体と協働するように配置されたカバーを含む。
【0027】
代替的に、化粧用物品は、化粧用組成物アプリケータを形成する。この場合、物品は、パッド又はパフを形成し得る。物品は、このとき、洗濯可能であり得る。代替的に、アプリケータは、把持部に取り付けられる。化粧用組成物は、液体又は粉末、好ましくは液体であり得る。
【0028】
主な定義
「テキスタイルベース材料」は、材料を作るのに好適な繊維又は糸で構成されているか、又は材料を作るのに好適な繊維又は糸に分割され得る材料である。
【0029】
好ましくは、本発明によると、テキスタイルは、布地を形成する。
【0030】
より優先的には、布地は、同じ平面において糸を編み合わせることの結果である織布により得られる。
【0031】
テキスタイルベース材料は、
- 天然材料、特に羊毛、綿、絹又はリンネル、
- 人工材料、例えばビスコース、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル、エラステイン、
- 任意選択的に天然材料と混合されている、特に炭化水素又はデンプン由来の合成材料
で作られ得る。
【0032】
特に、テキスタイルベース材料は、織布材料、不織布材料、綿、綿網織物、刺繍、レース、網織物、綿あや織物、ニット、フランネル、綿畝織り、クレトン、ジャージ、ポプリン、綿布地、リンネル布、絹、羊毛、カシミヤ、ポリエステル布地、ビスコース、アクリル、アセテート、帆布、チュール、フランネル、ラメ、波紋織り、繻子又は琥珀織りである。
【0033】
「刺繍」は、糸模様をテキスタイルベース材料に加えることを含む。模様は、特に刺繍ステッチを形成するためにテキスタイルベース材料の横糸及び/又は縦糸間に刺繍糸を通すことにより、手又は機械により作られる。刺繍ステッチのセットが刺繍模様を形成する。
【0034】
縦糸及び横糸を交差させる方法に依存して、「織物」と呼ばれる異なるタイプの布地がある。
【0035】
「糸ステッチ」は、糸の一部により、通常、ベース材料において針で作られた2つのステッチを原則としてベース材料における2つのステッチ間で接続する。これは、例えば、裁縫ステッチ又は刺繍ステッチと呼ばれる。
【0036】
好ましい実施形態
好ましくは、本発明によるデバイスは、以下の特徴の1つ又は複数を単独で又は組み合わせて有する。
- 糸ステッチは、ベース布地上で縫われ、ステッチされ、編まれ、且つ好ましくは刺繍される。ベース材料上のステッチ組立体は、強い。
- 浮き出し模様は、組成物(C)を塗布、収集又は分配するための総表面に対して、組成物(C)を塗布、収集又は分配するためのものの表面の10%~95%、好ましくは30%~70%、なおより優先的には40%~60%に及ぶ。この塗布領域は、角質物質上、特に皮膚上での製品の良好な分布のために化粧品分野で最適である。
- テキスタイルベース材料は、刺繍横糸を有する。布地の製造は、単純である。
- テキスタイルベース材料は、横糸と縦糸とからなる。刺繍は、より良好に画定される。
- テキスタイルベース材料は、帆布、あや織又は繻子の織りを有する。織りの選択に依存して、物品は、特定の用途のためにより好適となり得る。
- テキスタイルベース材料は、ポリアミド、エラステイン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ビスコース、アセテート、絹、羊毛、綿、リンネル、麻の糸からなる。これは、触れるのに心地よい。
- 刺繍ステッチは、フィルステッチ、特に直線のフラットパススルーステッチ又はエンクローチングステッチを含む。感覚は、指に対して様々である。
- 刺繍ステッチは、ループステッチを含む。このステッチは、葉又は花模様の製造に好適である。
- 刺繍ステッチは、チェーンステッチを含む。太い線ほど良好に画定される。
- 刺繍ステッチは、テキスタイル糸、特に綿又は絹糸で作られている。浮き出し模様は、強調される。
- 布地は、少なくとも1つの弾性のある糸で作られている。物品は、支持体上で伸ばされ得る。
- 少なくとも1つの方向における布地の伸長は、10%~200%に含まれる。この伸長は、製品に対するアクセスを容易にする。
【0037】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、本発明の実装形態の非限定的な例を読むこと及び添付図面の検討から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】第1布地で作られている、本発明によるケースの例の概略斜視図である。
図2】本発明による物品の布地の第2例の塗布、収集又は分配表面の図である。
図3】本発明による物品の布地の第3例の塗布、収集又は分配表面の図である。
図4図3の布地の概略的なAA断面図である。
図5】本発明によるアプリケータの概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
説明の残りの部分において、同一の要素又は同一の機能を備えた要素に同じ参照記号が付されている。本説明の簡潔さのために、それらは、図の各々に隣接して記載されず、実施形態間の違いのみが説明される。
【0040】
図1は、本体3を有するケース2を含む、本発明による化粧用物品1を示す。ケース2は、本例では本体3に蝶番で連結されたカバー5も有する。カバー5は、本体3にねじで取り付けられるなど、別の方法で取り付けられ得る。
【0041】
ケース2は、本例ではカバー5と本体3との間のヒンジの回転軸に垂直な回転軸の周りで本体3に蝶番で連結されたアプリケータ保持器6も収納する。アプリケータは、この図に示されていない。カップ4がケース2の本体3の区画8に収納される。カップ4は、化粧用組成物のリザーバを収納する。
【0042】
本発明によると、リザーバには、本例では刺繍ステッチ40を備えた弾性的に変形可能な布地15が載っており、テキスタイルベース材料30上に構築された刺繍の浮き出し模様20を形成している。布地15は、組成物の塗布、収集又は分布のための表面17を画定し、布地15の表面を形成する。
【0043】
この表面17は、下にあるリザーバに含まれる化粧用組成物を塗布することを目的としている。テキスタイルベース材料30は、組成物に対して透過性であり、それを構成しているメッシュを組成物が通過することを可能にする。
【0044】
刺繍の浮き出し模様20は、本例では布地15全体にわたって広がる葉及び花の形状の幾何学的模様を形成する。これは、そうではない可能性もある。
【0045】
図2は、布地15の第2例を示す。これは、チュールで作られたベース材料30上に構築された刺繍ステッチ40を含む。模様20は、かがり縫いステッチ25で取り巻かれ、次いでブルドン又は花綱ステッチ28で再び刺繍され、それらは、ベース材料30上に組み立てられていない「車輪」26又は「スパイダー」27により一緒に接続される。
【0046】
かがり縫いステッチの高さhは、有利には、ベース布地を含む正中面に垂直に測定されて0.1mm~2mmに含まれる。
【0047】
模様20の高さhは、有利には、ベース布地を含む正中面に垂直に測定されて0.1mm~5mmに含まれる。
【0048】
図3は、布地15の第3例を示す。これは、花模様20を形成する、帆布ベース材料30上に構築された刺繍ステッチ40を含む。花弁49は、パススルーステッチ48である。花綱ステッチ41は、花弁49の縁45を形成する。花の芯46及び雄しべ47は、ブルドンステッチ43及び53で刺繍されている。
【0049】
図4は、本発明による布地が、その表面において、
- ベース布地30及びパススルーステッチにより形成され、花綱ステッチ41により境界を定められた第1ゾーン21、
- ベース布地30のみにより形成された第2ゾーン22、
- ベース布地30及びブルドンステッチ43により形成された第3ゾーン23、
- ベース布地30のみにより形成された第4ゾーン24、
- ベース布地30及びパススルーステッチにより形成され、花綱ステッチ41により境界を定められた第5ゾーン25、
- ベース布地30のみにより形成された第6ゾーン27、
- ベース布地30のみにより形成された第7ゾーン28
を含むことを示す。
【0050】
化粧用組成物は、例えば、図1で説明された場合において布地の裏面に接触され得る。
【0051】
静止時、布地15は、スクリーンとして機能し、化粧用組成物が出ることを防ぐ。加えて、刺繍間に位置するゾーン22、24は、数回の使用後、毛細管効果と組み合わされたテキスタイルの構造を原因として化粧用組成物Cの集積の区画を形成する。
【0052】
他方では、刺繍模様20は、刺繍ステッチに依存して組成物の通路を完全に又は部分的に塞ぎ得る。ゾーン21、23及び25は、したがって、化粧用組成物の通路を完全に又は部分的に塞ぐ。
【0053】
使用中、ユーザは、表面17に圧力をかけ、2つの同時に起こる現象が生じる。一方では、ベース布地30の伸ばされたメッシュが開き、上向きの矢印で示されたとおり、組成物Cのための通路を解放する。他方では、布地は、伸ばされ、区画22及び24の静止時に画定された容積を減少させ、これらの区画22及び24に含まれる組成物を表面上に放出する。組成物は、区画22及び24によってのみ放出され、周辺ゾーン27及び28によっても放出される。
【0054】
図5の例において、花綱ポイント28を含む布地15は、見えない下にある構造に接合により取り付けられて、組成物が含浸されていない化粧用組成物アプリケータを形成する。このアプリケータは、柄29を含む。これは、組成物を載せた表面又は製品ケーキから組成物を収集し、且つ手に保持されている間にそれを塗布するために使用されるか、又は代替的に他の方法で施された組成物の輪郭をぼやけさせるために使用される。
【0055】
本発明によると、用いることができる組成物は、ファンデーションである。
【0056】
本発明によるファンデーションは、ジェル、クリーム、ミルク又はローションの中から好ましくは選択される。好ましくは、ファンデーションは、水性分散液、油性組成物又は多相組成物、例えば水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、二相又は三相組成物のようなエマルジョンであり得る。本発明による好適なファンデーションは、当業者に既知であり、ファンデーション中に一般に存在する1つ又は複数の化合物を含み得る。特に、本発明によるファンデーションは、溶媒、特に皮膚又は他の角質組織と接触すると蒸発する揮発性溶媒、ワックス及び/又は樹脂、顔料、フィルム形成ポリマー、充填剤、有効成分、例えば保湿剤、ビタミン、UVフィルタを含み得る。
【0057】
高粘度組成物、例えば粘度が高いクリームについて、25℃及び大気圧下で測定された粘度は、200s-1のせん断速度で4.5Pa.s以上及び50Pa.s以下である(No.4スピンドルを備えたBrookfield Rheomat RM 180粘度計を使用、測定は、回転速度及び粘度を安定させるためにスピンドルの回転の10分後に実施される)。
【0058】
本発明は、図示された例に限定されず、特に、図示された例の特徴は、互いに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0059】
1 化粧用物品
15 布地
17 表面
20 浮き出し模様
30 テキスタイルベース材料
40 刺繍ステッチ(糸ステッチ)
C 化粧用組成物
図1
図2
図3
図4
図5