(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】蛍光ピンクトナー及び関連方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20241029BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20241029BHJP
G03G 9/093 20060101ALI20241029BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20241029BHJP
G03G 9/09 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G03G9/08 381
G03G9/097 365
G03G9/093
G03G9/087 331
G03G9/09
(21)【出願番号】P 2021027996
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2024-02-22
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ユ・チ
(72)【発明者】
【氏名】ジュディス・ヴァンデウィンケル
(72)【発明者】
【氏名】チュンリアン・ル
(72)【発明者】
【氏名】エリウド・ロブルスフロアズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・シ
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180239(JP,A)
【文献】特開2014-137598(JP,A)
【文献】特開2011-081378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08
G03G 9/097
G03G 9/093
G03G 9/087
G03G 9/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光ピンクトナーの製造方法であって、前記方法は、
赤色蛍光剤、黄色蛍光剤、第1の種類の非晶質樹脂、及び第2の種類の非晶質樹脂を含む1種以上の蛍光ラテックスを形成することであって、前記第1の種類の非晶質樹脂及び前記第2の種類の非晶質樹脂は、2:3~3:2の範囲の重量比で前記1種以上の蛍光ラテックス中に存在する、ことと、
前記1種以上の蛍光ラテックスと、結晶性樹脂、前記第1の種類の非晶質樹脂、前記第2の種類の非晶質樹脂、及び任意選択的にワックス分散体を含む1種以上のエマルションとを含む混合物を形成することと、
前記混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、
前記所定のサイズの前記粒子の上方にシェルを形成してコア-シェル粒子を形成することと、
前記コア-シェル粒子を合体させて蛍光ピンクトナーを形成することであって、前記赤色蛍光剤がソルベントレッド49であり、前記黄色蛍光剤がソルベントイエロー160:1、又はソルベントイエロー98、又はこれらの組合せである、形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の種類の非晶質樹脂及び前記第2の種類の非晶質樹脂は、1:1の重量比で前記1種以上の蛍光ラテックス中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蛍光ピンクトナーは、0.65mg/cm
2の面積当たりのトナー質量(TMA)において少なくとも67の明度L
*値、前記TMAにおいて74~77の範囲の色チャネルa
*値、及び前記TMAにおいて-5~-9の範囲の色チャネルb
*値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光ピンクトナーは、0.45mg/cm
2のTMAにおいて、440nm~460nmの波長範囲で少なくとも70、前記TMAにおいて、600nm~620nmで少なくとも100の反射率を更に有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記結晶性樹脂、前記第1の種類の非晶質樹脂、及び前記第2の種類の非晶質樹脂はポリエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、式I:
【化1】
式I
を有し、式中、a及びbのそれぞれは1~12の範囲であり、pは10~100の範囲である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルサクシネート)であり、前記第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルサクシネート-トリメリト酸無水物)である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)であり、前記第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルサクシネート)であり、前記第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルサクシネート-トリメリト酸無水物)である、請求項
5に記載の方法。
【請求項10】
前記赤色蛍光剤及び前記黄色蛍光剤は、前記1種以上の蛍光ラテックスの1.5重量%~3.5重量%の範囲で前記1種以上の蛍光ラテックス中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記蛍光ピンクトナーは、0.65mg/cm
2のTMAにおいて少なくとも67の明度L
*値、前記TMAにおいて74~77の範囲の色チャネルa
*値、及び前記TMAにおいて-5~-9の範囲の色チャネルb
*値を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記蛍光ピンクトナーは、0.45mg/cm
2のTMAにおいて、440nm~460nmの波長範囲で少なくとも70、前記TMAにおいて、600nm~620nmで少なくとも100の反射率を更に有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トナー用途の従来の電子写真式印刷システムは、シアン、マゼンタ、黄色、及び黒色(CMYK)トナーステーションからなる4つのステーションで構成される。例えば、第5の色、又は特殊色の追加によって色域拡張を可能にする追加的な電子写真式ステーションの概念を含む印刷システムが開発されてきた。この機械は、CMYKトナーに加えて第5のステーション内の第5の色をいつでも実行することができる。想定される第5の色としていくつかのトナーが開発されてきたが、独特の色及び光学特性を有する他のトナーが望ましい。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、蛍光ピンクトナー、当該トナーの製造方法、及び当該トナーの使用方法を提供する。
【0003】
一態様では、蛍光ピンクトナーの製造方法を提供する。いくつかの実施形態では、かかる方法は、赤色蛍光剤、黄色蛍光剤、第1の種類の非晶質樹脂、及び第2の種類の非晶質樹脂を含む1種以上の蛍光ラテックスを形成することであって、第1の種類の非晶質樹脂及び第2の種類の非晶質樹脂は、2:3~3:2の範囲の比率で存在する、ことと、1種以上の蛍光ラテックスと、結晶性樹脂、第1の種類の非晶質樹脂、第2の種類の非晶質樹脂、及び任意選択的にワックス分散体を含む1種以上のエマルションとを含む混合物を形成することと、混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、所定のサイズの粒子の上方にシェルを形成してコア-シェル粒子を形成することと、コア-シェル粒子を合体させて蛍光ピンクトナーを形成することと、を含む。かかる方法を用いて製造された蛍光ピンクトナーも提供する。
【0004】
別の態様では、蛍光ピンクトナーを提供する。いくつかの実施形態では、かかる蛍光ピンクトナーは、赤色蛍光剤が組み込まれた、第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、黄色蛍光剤が組み込まれた第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、赤色蛍光剤が組み込まれた第2の種類の非晶質ポリエステル、黄色蛍光剤が組み込まれた第2の種類の非晶質ポリエステル、結晶性ポリエステル樹脂、追加量の第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、追加量の第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂、及び任意選択的にワックスを含むコアと、コアの上方のシェルであって、シェルは、第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂及び第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂を含む、シェルと、を含む。蛍光ピンクトナーの使用方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、蛍光ピンクトナー、当該トナーの製造方法、及び当該トナーの使用方法を提供する。
【0006】
蛍光ピンクトナーは、1種以上のポリマー樹脂中に分散した赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤を含むコアと、コアの上方のシェルと、を含み、シェルはまた、コア内の樹脂と同一であってもなくてもよい1種以上のポリマー樹脂を含む。いくつかの蛍光トナーが開発されてきたが、蛍光剤の光学特性に悪影響を及ぼすことなく、蛍光剤をトナーに組み込むことは特に困難である。例えば、蛍光剤の蛍光は、トナー内で容易に消光され、結果として、トナーは、ほとんど又は全く蛍光を有さない。本開示は、かかる消光を阻止し、蛍光ピンクトナーの高い明度L*値、色チャネルa*値、及び色チャネルb*値など特定の光学特性を有する蛍光ピンクトナーをもたらす、改善されたトナー調製プロセスの開発に少なくとも部分的に基づいている。
【0007】
赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤
【0008】
本発明のトナーは、トナーのコア内に赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤の両方を含む。いくつかの実施形態では、赤色/黄色蛍光剤は、電磁スペクトルのUV部分(10nm~400nm)の波長を有する光を吸収する紫外線(UV)蛍光剤である。これは、電磁スペクトルのUV部分において最大(ピーク)吸収を有する赤色/黄色蛍光剤を含む。赤色蛍光剤は、一般に、(UV光での照明時に)600nm~620nmの範囲の波長を有する蛍光を発する。この波長範囲は、蛍光発光におけるピークの位置を指し得る。黄色蛍光剤は、一般に、(UV光での照明時に)500nm~530nmの範囲の波長を有する蛍光を発する。この波長範囲は、蛍光発光におけるピークの位置を指し得る。
【0009】
例示的な赤色蛍光剤としては、ソルベントレッド49、ソルベントレッド149、ソルベントレッド196、ソルベントレッド197、及びソルベントレッド242が挙げられる。一般に、赤色蛍光剤は、水溶性赤色染料、例えば、ベーシックレッド1:1又はベーシックレッド1ではない。例示的な黄色蛍光剤としては、ソルベントイエロー160:1、ソルベントイエロー98、ソルベントイエロー172、ソルベントイエロー171、ソルベントイエロー185、ソルベントイエロー145、ソルベントイエロー85、ソルベントイエロー44、ソルベントイエロー195、ソルベントイエロー196などが挙げられる。一般に、黄色蛍光剤は、水溶性黄色染料、例えば、ベーシックイエロー40ではない。いくつかの実施形態では、黄色蛍光剤はピグメントイエロー101ではなく、トナーはピグメントイエロー101を含まない。異なる種類の赤色蛍光剤の組み合わせ及び異なる種類の黄色蛍光剤の組み合わせが使用されてよい。
【0010】
一般に、トナーには他の蛍光剤は含まれない。すなわち、いくつかの実施形態では、(上記に列挙した蛍光剤から選択される)赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤が、トナーに含まれる唯一の蛍光剤である。一般に、トナーには、顔料は含まれない。すなわち、いくつかの実施形態では、トナーには顔料が使用されていない。
【0011】
赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤の両方は、一般に、粒子の表面に、又は表面上に赤色/黄色蛍光剤が存在しないように、トナーの粒子(すなわち、コア-シェル粒子)内に封入されている。いくつかの実施形態では、赤色/黄色蛍光剤は、トナーのシェル内又はシェル上に存在しない。同様に、赤色/黄色蛍光剤は、一般に、トナーの粒子のコアの樹脂マトリックス全体に均質に分布している。上述したように、また、更に後述するように、蛍光剤がトナー粒子中などで他の構成成分と組み合わされるとき、又はトナー粒子が蛍光剤で高度に飽和しているとき、蛍光消光を阻止することは困難である。しかしながら、本開示は、蛍光剤の均質な分布及び封入を達成し、かつ消光の問題に対処するトナー調製プロセスの開発に少なくとも部分的に基づいている。更に後述するように、このプロセスは、トナー粒子のコアの形成時に、赤色/黄色蛍光剤及び2種の非晶質樹脂(それぞれ異なる種類の非晶質樹脂)を含む別個のラテックスを使用することを含む。
【0012】
赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤は、特定の重量比でトナー中に存在する。この特定の重量比は、特定の赤色蛍光剤及び特定の黄色蛍光剤に応じて異なる。しかしながら、いくつかの実施形態では、赤色:黄色の重量比は、5:1~25:1、10:1~22:1、19:1~30:1、及び19:1~21:1など5:1~35:1の範囲である。
【0013】
赤色蛍光剤は、トナーの0.8重量%~2重量%の量でトナー中に存在してよい。これは、0.8重量%~1.8重量%、0.9重量%~1.6重量%、及び0.95重量%~1.2重量%の量を含む。これらの範囲外では、蛍光消光が問題となる。2種類以上の赤色蛍光剤が使用される場合、これらの量は、トナー中の赤色蛍光剤の総量を指す。使用される赤色蛍光剤の量及び選択された重量比が、トナー中の黄色蛍光剤の量を決定する。
【0014】
樹脂
【0015】
本発明のトナーは、上記の赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤の両方を含有するポリマーマトリックスを提供する様々な樹脂を含んでよい。本発明のトナーは、2種以上の異なる種類の樹脂を含んでよい。樹脂は、非晶質樹脂、結晶性樹脂、又は結晶性樹脂及び非晶質樹脂の混合物であってよい。樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、又は結晶性ポリエステル樹脂及び非晶質ポリエステル樹脂の混合物などポリエステル樹脂であってよい。
【0016】
結晶性樹脂
【0017】
樹脂は、任意選択的な触媒の存在下でジオールを二酸と反応させることによって形成される結晶性ポリエステル樹脂であってよい。結晶性ポリエステルを形成するための好適な有機ジオールとしては、それらの構造異性体を含め、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、これらの組み合わせなど、約2~約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約55モルパーセント、樹脂の約45~約53モルパーセントの量で選択され得、第2のジオールは、樹脂の約0~約10モルパーセント、又は樹脂の約1~4モルパーセントの量で選択され得る。
【0018】
結晶性樹脂の調製のために選択されるビニル二酸又はビニルジエステルなど有機二酸又はジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、ジメチルフマラート、ジメチルイタコネート、シス,1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマラート、ジエチルマレエート、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸及びメサコン酸、これらのジエステル又は無水物が挙げられる。有機二酸は、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約52モルパーセント、樹脂の約45~約50モルパーセントの量で選択され得、第2の二酸は、樹脂の約0~約10モルパーセントの量で選択され得る。
【0019】
結晶性(並びに非晶質)ポリエステルを形成するのに利用され得る重縮合触媒としては、テトラアルキルチタネート、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートなどのテトラアルキルスズ、及びブチルスズオキシド水酸化物などのジアルキルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。このような触媒は、例えば、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発二酸又はジエステルに基づいて、約0.01モルパーセント~約5モルパーセントの量で利用されてもよい。
【0020】
結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、これらの混合物などが挙げられる。特定の結晶性樹脂は、ポリ(エチレン-アジペート)、ポリ(プロピレン-アジペート)、ポリ(ブチレン-アジペート)、ポリ(ペンチレン-アジペート)、ポリ(ヘキシレン-アジペート)、ポリ(オクチレン-アジペート)、ポリ(エチレン-サクシネート)、ポリ(プロピレン-サクシネート)、ポリ(ブチレン-サクシネート)、ポリ(ペンチレン-サクシネート)、ポリ(ヘキシレン-サクシネート)、ポリ(オクチレン-サクシネート)、ポリ(エチレン-セバケート)、ポリ(プロピレン-セバケート)、ポリ(ブチレン-セバケート)、ポリ(ペンチレン-セバケート)、ポリ(ヘキシレン-セバケート)、ポリ(オクチレン-セバケート)、ポリ(デシレン-セバケート)、ポリ(デシレン-デカノエート)、ポリ(エチレン-デカノエート)、ポリ(エチレン-ドデカノエート)、ポリ(ノニレン-セバケート)、ポリ(ノニレン-デカノエート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-セバケート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-デカノエート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-ドデカノエート)、コポリ(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール-デカノエート)-コポリ(ノニレン-デカノエート)、ポリ(オクチレン-アジペート)、及びこれらの混合物などポリエステル系であってよい。ポリアミドの例としては、ポリ(エチレン-アジパミド)、ポリ(プロピレン-アジパミド)、ポリ(ブチレン-アジパミド)、ポリ(ペンチレン-アジパミド)、ポリ(ヘキシレン-アジパミド)、ポリ(オクチレン-アジパミド)、ポリ(エチレン-スクシンイミド)、ポリ(プロピレン-セバカミド)、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリイミドの例としては、ポリ(エチレン-アジピミド)、ポリ(プロピレン-アジピミド)、ポリ(ブチレン-アジピミド)、ポリ(ペンチレン-アジピミド)、ポリ(ヘキシレン-アジピミド)、ポリ(オクチレン-アジピミド)、ポリ(エチレン-スクシンイミド)、ポリ(プロピレン-スクシンイミド)、ポリ(ブチレンス-クシンイミド)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、結晶性ポリエステルは、以下の式(I):
【化1】
を有し、式中、a及びbのそれぞれは、1~12、2~12、又は4~12の範囲であってよく、更に、pは、10~100、20~80、又は30~60の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)であり、ドデカン二酸と1,6-ヘキサンジオールとの反応によって生成され得る。
【0022】
上記のように、開示する結晶性ポリエステル樹脂は、重縮合触媒の存在下で、好適な有機ジオールと好適な有機二酸とを反応させることによる重縮合プロセスによって調製され得る。有機ジオールと有機二酸との化学量論的等モル比が用いられ得るが、有機ジオールの沸点が約180℃~約230℃である場合には、約0.2~1モル当量のエチレングリコール又はプロピレングリコールなど過剰量のジオールが用いられて、蒸留によって重縮合プロセス中に除去され得る。利用される触媒の量は様々であってもよく、例えば、結晶性ポリエステル樹脂の約0.01~約1又は約0.1~約0.75モルパーセントなどの量で選択することができる。
【0023】
結晶性樹脂は、例えば、トナーの約1~約85重量%、トナーの約5~約50重量%、又はトナーの約10~約35重量%の量で存在してよい。
【0024】
結晶性樹脂は、例えば、約30℃~約120℃、約50℃~約90℃、約60℃~約80℃など様々な融点を有し得る。結晶性樹脂は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定する場合、例えば、約1,000~約50,000、約2,000~約25,000、又は約5,000~約20,000の数平均分子量(Mn)、及びGPCによって測定する場合、約2,000~約100,000、約3,000~約80,000、又は約10,000~約30,000の重量平均分子量(Mw)を有してよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2~約6、約3~約5、又は約2~約4であってよい。
【0025】
非晶質樹脂
【0026】
この樹脂は、任意選択的な触媒の存在下でジオールを二酸と反応させることによって形成される非晶質ポリエステル樹脂であってよい。非晶質ポリエステルの調製のために利用されるビニル二酸又はビニルジエステルを含む二酸又はジエステルの例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリト酸、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート、シス、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカンジ二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、無水フタル酸、ジエチルフタレート、ジメチルサクシネート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルドデシルサクシネート、及びこれらの組み合わせなどの、ジカルボン酸又はジエステルが挙げられる。有機二塩基酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約52モルパーセント、樹脂の約45~約50モルパーセントの量で存在してもよい。
【0027】
非晶質ポリエステルの生成に用いられ得るジオールの例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)-ビスフェノールA、ビス(2-ヒドロキシプロピル)-ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。選択される有機ジオールの量は様々であってもよく、有機ジオールは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約55モルパーセント、又は樹脂の約45~約53モルパーセントの量で存在してもよい。
【0028】
好適な非晶質樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、ポリプロピレンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
不飽和非晶質ポリエステル樹脂が樹脂として利用されてよい。このような樹脂の例としては、米国特許第6,063,827号に開示されるものが挙げられ、その開示の全容が、参照により本明細書に組み込まれる。例示的な不飽和非晶質ポリエステル樹脂としては、限定するものではないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
好適なポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールAコフマラート)樹脂などの非晶質ポリエステルであってもよい。そのような樹脂及びそれらの製造のためのプロセスの例としては、米国特許第6,063,827号に開示されるものが挙げられ、その開示の全容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
好適なポリエステル樹脂としては、非晶質酸性ポリエステル樹脂が挙げられる。非晶質酸ポリエステル樹脂は、プロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸無水物の任意の組み合わせ、例えばポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルスクシネート)の系統としてもよい。使用し得る別の非晶質酸ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシレート-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルコハク酸-トリメリト酸無水物)である。
【0032】
樹脂として利用され得る直鎖状プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas,Sao Paulo,Brazilから商品名SPAMIIで入手可能である。利用され得る、市販されている、他のプロポキシル化ビスフェノールAフマラート樹脂としては、Kao Corporation,JapanからのGTUF及びFPESL-2、並びにReichhold,Research Triangle Park,N.C.からのEM181635などが挙げられる。
【0033】
非晶質樹脂又は非晶質樹脂の組み合わせは、例えば、トナーの約5~約95重量%、トナーの約30重量~約90重量%、又はトナーの約35重量~約85重量%の量で存在してよい。
【0034】
非晶質樹脂又は非晶質樹脂の組み合わせは、約30℃~約80℃、約35℃~約70℃、又は約40℃~約65℃のガラス転移温度を有してよい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定し得る。非晶質樹脂は、GPCによって測定する場合、例えば、約1,000~約50,000、約2,000~約25,000、又は約1,000~約10,000のMnを有してよく、GPCによって測定する場合、例えば、約2,000~約100,000、約5,000~約90,000、約10,000~約90,000、約10,000~約30,000、又は約70,000~約100,000のMwを有してよい。
【0035】
1種、2種、又はそれ以上の樹脂が本発明のトナーで使用されてよい。2種以上の樹脂が使用される場合、樹脂は、例えば、約1%(第1の樹脂)/99%(第2の樹脂)~約99%(第1の樹脂)/1%(第2の樹脂)、約10%(第1の樹脂)/90%(第2の樹脂)~約90%(第1の樹脂)/10%(第2の樹脂)など任意の好適な比率(例えば、重量比)であってよい。樹脂が非晶質樹脂と結晶性樹脂との組み合わせを含む場合、樹脂は、例えば、約1%(結晶性樹脂)/99%(非晶質樹脂)~約99%(結晶性樹脂)/1%(非晶質樹脂)、又は約10%(結晶性樹脂)/90%(非晶質樹脂)~約90%(結晶性樹脂)/10%(非晶質樹脂)の重量比であってもよい。いくつかの実施形態では、樹脂の重量比は、約80重量%~約60重量%の非晶質樹脂及び約20重量%~約40重量%の結晶性樹脂である。このような実施形態では、非晶質樹脂は、非晶質樹脂、例えば、2つの非晶質樹脂の組み合わせであってもよい。
【0036】
本トナー中の樹脂(複数可)は、樹脂の末端に存在し得る酸基を有し得る。存在し得る酸基としては、カルボン酸基等が挙げられる。カルボン酸基の数は、樹脂を形成するために利用される材料及び反応条件を調整することによって制御してもよい。いくつかの実施形態では、樹脂は、約2mg KOH/gの樹脂~約200mg KOH/gの樹脂、約5mg KOH/gの樹脂~約50mg KOH/gの樹脂、又は約5mg KOH/gの樹脂~約15mg KOH/gの樹脂の酸価を有するポリエステル樹脂であってよい。酸含有樹脂は、テトラヒドロフラン溶液中に溶解してもよい。酸価は、指示薬としてフェノールフタレインを含有するKOH/メタノール溶液で滴定することによって検出してもよい。酸価は、次に、滴定の終点として同定された樹脂上の全ての酸基を中和するのに必要なKOH/メタノールの相当量に基づいて計算してもよい。
【0037】
ワックス
【0038】
任意選択的に、ワックスが、本発明のトナーに含まれてよい。1種類のワックス又は2種類以上の異なるワックスの混合物が使用されてよい。例えば、トナー粒子の形状、トナー粒子表面上のワックスの有無及び量、帯電及び/又は融着特性、光沢、ストリッピング、オフセット特性など特定のトナー特性を改善するために、1種のワックスが添加されてよい。あるいは、ワックスの組み合わせを添加して、複数の特性をトナー組成物に提供することができる。
【0039】
ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、トナーの約1重量%~約25重量%、又はトナー粒子の約5重量%~約20重量%の量で存在してよい。
【0040】
ワックスが使用される場合、ワックスは、乳化凝集トナーに従来使用されている様々なワックスのいずれかを含んでよい。選択され得るワックスとしては、例えば、約500~約20,000、又は約1,000~約10,000の平均分子量を有するワックスが挙げられる。使用され得るワックスとしては、例えば、Allied Chemical and Petrolite Corporationから市販されているような、直鎖状ポリエチレンワックスと分枝状ポリエチレンワックスを含むポリエチレン、直鎖状ポリプロピレンワックスと分枝状ポリプロピレンワックスを含むポリプロピレン、ポリメチレンワックス、ポリエチレン/アミド、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン/アミド、及びポリブテンワックスなどのポリオレフィン、例えば、Baker Petroliteから市販されているようなPOLYWAX(商標)ポリエチレンワックス、Michaelman,Inc.及びDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N-15(商標)、並びにSanyo Kasei K.K.から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレンのVISCOL 550-P(商標);カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ウルシワックス、及びホホバオイルなど植物系ワックス;蜜蝋などの動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレジン、パラフィンワックス、粗油の蒸留に由来するワックスなどの微結晶ワックス、シリコーンワックス、メルカプトワックス、ポリエステルワックス、ウレタンワックス、などのミネラル系ワックス及び石油系ワックス;変性ポリオレフィンワックス(カルボン酸末端ポリエチレンワックス又はカルボン酸末端ポリプロピレンワックスなど);Fischer-Tropschワックス;ステアリルステアレート及びベヘニルベヘネートなどの高級脂肪酸及び高級アルコールから得られるエステルワックス;ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、及びペンタエリスリトールテトラベヘネートなどの高級脂肪酸及び一価又は多価低級アルコールから得られるエステルワックス;ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート、及びトリグリセリルテトラステアレートなどの高級脂肪酸及び多価アルコールマルチマーから得られるエステルワックス;ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、並びにコレステリルステアレートなどのコレステロール高級脂肪酸エステルワックスが挙げられる。使用され得る官能化ワックスの例としては、例えば、アミン、アミド、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なAQUA SUPERSLIP 6550(商標)、SUPERSLIP 6530(商標)、フッ素化ワックス、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なPOLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYSILK 19(商標)、POLYSILK 14(商標)、脂肪族極性アミド官能化ワックスなど混合フッ素化アミドワックス;ヒドロキシル化不飽和脂肪酸のエステル、例えば、これもまたMicro Powder Inc.から入手可能なMICROSPERSION 19(商標)、イミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸又はアクリルポリマーエマルション、例えば、いずれもSC Johnson Waxから入手可能なJONCRYL 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)及び538(商標)、並びにAllied Chemical and Petrolite Corporation及びSC Johnson waxから入手可能な塩素化ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。前述のワックスの混合物及び組み合わせもまた、実施形態で使用されてもよい。ワックスは、例えば、定着機ロール剥離剤として含まれてもよい。実施形態では、ワックスは、結晶性又は非晶質であってもよい。
【0041】
トナー調製プロセス
【0042】
本発明のトナーを形成するために、上記の樹脂のはいずれも、例えば、溶媒系転相乳化プロセスを使用することによって、エマルションとして提供されてよい。次いで、エマルションは、例えば、エマルション凝集及び合体(EA)プロセスを使用することによって、トナーを形成するために原材料として利用され得る。しかしながら、トナーは、他のプロセスを用いて調製され得る。
【0043】
上記のように、赤色/黄色蛍光剤の同様の封入及び均質な分布を達成するために、並びに蛍光消光を阻止するために、一般に、赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤を含む別個のラテックス(蛍光ラテックス)が調製プロセスで使用される。所望の蛍光剤及び所望の非晶質樹脂を含む1種の別個のラテックスが使用されてよいか、又は複数種の別個のラテックスが使用されてよい(例えば、赤色蛍光剤と、2種類の非晶質樹脂とを含む1種の別個のラテックス、及び黄色蛍光剤と、2種類の非晶質樹脂とを含む別の別個のラテックスなど)。いずれにしても、トナーを形成するために使用されるラテックスは、蛍光剤及び2種の非晶質樹脂(それぞれ異なる種類の非晶質樹脂)を提供し、これらのラテックスは、2:3~3:2の重量比で2種の非晶質樹脂を提供する。これは、1:1の重量比を含む。すなわち、2種以上のラテックスが一緒に使用される場合、ラテックスは、この重量比の範囲内で2種の非晶質樹脂を提供する。これらの範囲は、トナー粒子中での蛍光剤の封入及び均質な分布を得るため、並びに蛍光消光を阻止するために重要であることが見出されている。これらの範囲外では、蛍光の消光に少なくとも部分的に起因して、トナーの蛍光特性が低下する。いくつかの実施形態では、非晶質樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂である。いくつかの実施形態では、非晶質樹脂の一方は、他方よりも大きいMn又はMwを有する。
【0044】
更に、蛍光消光を阻止するために、蛍光ラテックスの総重量と比較して1.5重量%~3.5重量%の範囲の量の蛍光剤(すなわち、赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤の両方の総量)を蛍光ラテックス中で使用することが有用である。この範囲外では、蛍光の消光に少なくとも部分的に起因して、トナーの蛍光特性が低下する。蛍光ラテックスが2種類以上の赤色蛍光剤及び2種類以上の黄色蛍光剤を含む場合、又は2種類以上の蛍光ラテックスが使用される場合、これらの量は、トナー中の蛍光剤の総量を指す。
【0045】
蛍光剤/非晶質樹脂は、直前に記したプロセス及び蛍光剤の量を使用してトナー粒子に組み込まれると、「蛍光剤が組み込まれた非晶質樹脂」と称され得る。得られるトナーの蛍光性及び光学特性は、以下の実施例に記載するように、インライン分光光度計(ILS)、例えば、X-Rite ILSを使用して確認し、明度L*、色チャネルa*、色チャネルb*、及び反射率を測定することができる。
【0046】
蛍光剤を含まないエマルションを使用して樹脂がトナー粒子に組み込まれる場合、当該樹脂は、蛍光剤に組み込まれていない樹脂、又は単に「樹脂」と称されてよい。すなわち、「蛍光剤が組み込まれた」という語句で修飾されない。
【0047】
ワックスが使用される場合、ワックスは、水中のワックスの別個の分散体としてトナーに組み込まれてよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明のトナーは、樹脂、赤色蛍光剤、黄色蛍光剤、及び任意選択的にワックスを含むエマルションの混合物を凝集させることと、次いで、混合物を合体させることとを含むプロセスによってなどEAプロセスによって調製される。上記のように、赤色/黄色蛍光剤は、一般に、上記のように1種以上の別個の蛍光ラテックスとして混合物に提供される。樹脂を含むエマルションは、1種以上の樹脂を含んでよいか、又は異なる樹脂が異なるエマルションとして提供されてよい。樹脂を含むエマルションは、一般に、蛍光剤を含まず、したがって蛍光剤は使用されていない。
【0049】
次に、混合物が均質化され得る。これは、毎分約600~約6,000回転で混合することによって達成されてよい。均質化は、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーを含む任意の好適な手段によって達成してもよい。PHを5未満に調整した後、凝集剤を混合物に添加してよい。任意の好適な凝集剤を利用してもよい。好適な凝集剤としては、例えば、二価カチオン又は多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などのポリアルミニウムハロゲン化物、又は対応する臭化物、フッ化物、若しくはヨウ化物など無機カチオン性凝集剤;ポリアルミニウムスルホシリケート(polyaluminum sulfosilicate、PASS)などのポリアルミニウムシリケート;又は塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、オキシ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、及び硫酸銅を含む水溶性金属塩;又はこれらの組み合わせであってもよい。凝集剤は、樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度で混合物に添加されてよい。凝集剤は、均質化下で混合物に添加されてもよい。
【0050】
凝集剤は、例えば、樹脂の総量の約0重量%~約10重量%、樹脂の総量の約0.2重量%~約8重量%、又は樹脂の総量の約0.5重量%~約5重量%の量で混合物に添加されてよい。
【0051】
混合物の粒子を、所定の所望の粒径が得られるまで凝集してもよい。所定の所望のサイズとは、形成前に決定される際に得られる所望の粒径を指し、粒径は、そのような粒径に達するまで成長プロセス中に監視される。サンプルは、成長プロセス中に採取され、体積平均粒径について、例えば、Coulter Counterで分析してもよい。したがって、凝集は、高温を維持すること、又は温度を、例えば、いくつかの実施形態では約30℃~約100℃、いくつかの実施形態では約30℃~約80℃、又はいくつかの実施形態では約30℃~約50℃にゆっくり上昇させることによって進行してよい。温度は、凝集粒子を提供するために、撹拌しながら、約0.5時間~約6時間、又は実施形態では約1~約5時間の期間保持されてもよい。所定の所望の粒径に達すると、シェルを添加してよい。シェルの適用前の粒子の体積平均粒径は、例えば、約3μm~約10μm、いくつかの実施形態では約4μm~約9μm、又は約6μm~約8μmであってよい。
【0052】
シェル樹脂
【0053】
実施形態では、凝集後であるが合体前に、凝集粒子に樹脂コーティングを適用して、その上にシェルを形成し得る。上述した任意の樹脂をシェルに利用してもよい。実施形態では、非晶質ポリエステル樹脂がシェルに利用される。いくつかの実施形態では、2種の非晶質ポリエステル樹脂がシェルで用いられる。実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂及び2つの異なる種類の非晶質ポリエステル樹脂がコアに利用され、同じ2つの種類の非晶質ポリエステル樹脂がシェルに利用される。シェル樹脂は、一般に、蛍光剤を含まず、したがって蛍光剤は使用されない。
【0054】
シェルは、上述したようにエマルション(複数可)の形態でシェル樹脂を使用することによって、凝集粒子に適用され得る。このようなエマルションは、凝集粒子上にコーティングを形成するのに十分な条件下で凝集粒子と組み合わされてもよい。例えば、凝集粒子の上方でのシェルの形成は、約30℃~約80℃、又は約35℃~約70℃の温度に加熱しながら生じてよい。シェルの形成は、約5分~約10時間、又は約10分~約5時間の期間にわたって行われてもよい。
【0055】
トナー粒子の所望のサイズが達成されると、混合物のpHを、pH制御剤、例えば、塩基を用いて、約3~約10、又はいくつかの実施形態では約5~約9の値に調整してよい。pHの調整は、トナー成長を停止させる凍結に利用されてもよい。トナー成長を停止するために利用される塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、これらの組み合わせなどのアルカリ金属水酸化物などの任意の好適な塩基を挙げることができる。実施形態では、上記の所望の値にpHを調整するのを助けるために、エチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid、EDTA)などのキレート剤を添加してもよい。他のキレート剤が使用されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、コア-シェルトナー粒子のサイズ(合体前)は、約3μm~約10μm、約4μm~約10μm、又は約6μm~約9μmであってよい。
【0057】
合体
【0058】
所望の粒径への凝集及びシェルの適用に続いて、粒子は、次いで、所望の最終形状に合体させられてよく、この合体は、例えば、約45℃~約150℃、約55℃~約99℃、又は約60℃~約90℃の温度に混合物を加熱することによって達成されてよい(この温度は、トナー粒子を形成するために用いられる樹脂のガラス転移温度以上であってよい)。加熱は継続してもよく、又は混合物のpHは、所望の円形度に達するように一定時間にわたって調節(例えば、低減)されてもよい。その時間は、約1時間~約5時間、又は約2時間~約4時間であってもよい。合体中に様々な緩衝剤を使用し得る。合体の総期間は、約1~約9時間、約1~約8時間、又は約1~約5時間としてもよい。攪拌は、合体中において、例えば、約20rpm~約1000rpm、又は約30rpm~約800rpmが利用され得る。
【0059】
凝集及び/又は合体後、混合物を室温まで冷却してもよい。冷却は、所望に応じて急速であっても遅くてもよい。好適な冷却プロセスは、反応器の周囲のジャケットに冷水を導入することを含んでもよい。冷却後、所望のサイズのふるいでトナー粒子を篩分けし、濾過し、水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。乾燥は、例えば凍結乾燥を含む任意の好適な乾燥プロセスによって達成されてもよい。
【0060】
他の添加剤
【0061】
実施形態では、本発明のトナーはまた、他の任意選択の添加剤を含有し得る。例えば、トナーは、正電荷又は負電荷制御剤を含んでもよい。表面添加剤も使用されてもよい。表面添加剤の例としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、これらの混合物などの金属酸化物;AEROSIL(登録商標)などコロイド状の非晶質シリカ、金属塩及び脂肪酸の金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムなど)、これらの混合物など;UNILIN700など長鎖アルコール;並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの表面添加剤は、トナーの約0.1%重量%~約5重量%、又はトナーの約0.25%重量%~約3重量%の量で存在してよい。
【0062】
トナー特性
【0063】
実施形態では、乾燥トナー粒子は、外部表面添加剤を除いて、以下の特性のうちの1つ以上を呈する。
【0064】
(1)約5.0μm~約10.0μm、約6.0μm~約10.0μm、又は約7.0μm~約9.0μmの体積平均粒径。
【0065】
(2)約0.90~約1.00、約0.92~約0.99、又は約0.95~約0.98の円形度。
【0066】
これらの特性は、以下の実施例に記載する技法に従って測定されてよい。
【0067】
実施形態では、乾燥トナー粒子は、外部表面添加剤を除いて、以下の特性のうちの1つ以上を呈する。
【0068】
(3)0.35mg/cm2~1.00mg/cm2の面積当たりのトナー質量(TMA)にわたって少なくとも60、又はこのTMA範囲にわたって60~80の範囲の明度L*。これは、0.45~0.75mg/cm2のTMA範囲にわたって、少なくとも65、少なくとも77、少なくとも67、少なくとも75、又は69~73の範囲の明度L*を含む。
【0069】
(4)0.35mg/cm2~1.00mg/cm2のTMA範囲にわたって60~80の範囲、又は0.45mg/cm2~0.75mg/cm2のTMA範囲にわたって65~76の範囲の色チャネルa*。これは、0.45mg/cm2~0.75mg/cm2のTMA範囲にわたって75のa*を含む。
【0070】
(5)0.35mg/cm2~1.00mg/cm2のTMA範囲にわたって-10~0の範囲、又は0.45mg/cm2~0.75mg/cm2のTMA範囲にわたって-7~-0.2の範囲の色チャネルb*。これは、0.45mg/cm2~0.75mg/cm2のTMA範囲にわたって-6のb*を含む。
【0071】
(6)(0.35mg/cm2~1.00mg/cm2のTMA範囲にわたって)600nm~620nmで少なくとも100、及び440nm~460nmの範囲で少なくとも70の反射率。これは、600nm~620nmで少なくとも110、600nm~620nmで少なくとも115、又は600nm~620nmで100~115の範囲、440nm~460nmで少なくとも75、440nm~460nmで少なくとも80、又は440nm~460nmで70~80の範囲の反射率を含む。
【0072】
明度L*、CIELAB色空間(CIE L*a*b*としても知られているか、又は時には単に「Lab」色空間と略される)は、International Commission on Illumination(CIE)によって定義される色空間である。黒色(0)から白色(100)までの明度のL*、緑色(-)から赤色(+)までのa*、及び青(-)から黄色(+)までのb*の3つの値として色を表す。
【0073】
3つのパラメータが測定されるので、空間自体それ自体は、無限に多くの取り得る色を可能にする3次元実数空間である。実際には、その空間は、通常、デジタル表現のための3次元整数空間上にマッピングされ、したがって、L*、a*、及びb*値は、通常、予め定義された範囲で絶対的である。明度値L*は、L*=0で最も暗い黒色を表し、L*=100で最も明るい白色を表す。色チャネルa*及びb*は、a*=0及びb*=0で真のニュートラルグレー値を表す。a*軸は、緑色-赤色成分を表し、負方向が緑色であり、正方向が赤色である。b*軸は、青色-黄色成分を表し、負方向が青色であり、正方向が黄色である。a*軸及びb*軸のスケーリング及び限界値は、特定の実装に依存するが、多くの場合、±100又は-128~+127の範囲で実行される(符号付き8ビット整数)。
【0074】
明度L*、色チャネルa*及びb*、並びに反射率の両方は、製造業者の指示に従って操作されるX-Rite ILSなどILSを使用して測定することができる。Lab値を測定するためにX-Rite ILSを用いて典型的に使用される2つの設定値は、M0(白色光及び未定義のUV)及びM1(白色光及び定義済みUV)である。M0は、基本色を評価するために最も一般的に使用されている。M1は、蛍光の測定値を評価するために最も一般的に使用されている。M1設定は、上記の本発明のトナーのL*及び反射率値を得るために使用される。
【0075】
これらの特性は、以下の実施例に記載する技法に従って測定されてよい。
【0076】
現像剤及び担体
【0077】
本発明のトナーは、現像剤組成物に配合されてもよい。現像剤組成物は、本開示のトナーを、鋼、フェライトなどのコーティングされた担体を含む既知の担体粒子と混合することによって調製することができる。かかる担体としては、米国特許第4,937,166号及び同第4,935,326号に開示されているものが挙げられ、これらのそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。トナーは、約1重量%~約15%重量%、約2重量%~約8重量%、又は約4重量%~約6重量%の量で担体内に存在してよい。担体粒子はまた、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)などのポリマーコーティングを有するコアも含むことができ、その中に導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散されている。担体コーティングとしては、メチルシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリフッ化ビニリデン及びアクリルなどの摩擦電気系列表(triboelectric series)で近接していない樹脂の混合物、アクリルなどの熱硬化性樹脂、これらの組み合わせ、及びその他の既知成分が挙げられる。
【0078】
適用
【0079】
本発明のトナーは、様々な電子写真式プロセスで、様々な電子写真式プリンタと共に使用し得る。電子写真式イメージングプロセスには、例えば、帯電構成要素、イメージング構成要素、光導電性構成要素、現像構成要素、転写構成要素、及び定着構成要素を含む電子写真式プリンタで画像を調製することが含まれる。実施形態では、現像構成要素は、担体を本明細書に記載のいずれかのトナーと混合することによって調製される現像剤を含んでもよい。電子写真式プリンタは、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタなどであってよい。画像がトナー/現像剤で形成されると、画像はその後、紙などの画像受容媒体に転写され得る。定着機ロール部材は、熱及び圧力を使用することによって、トナーを画像受容媒体に定着させるために使用され得る。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、本開示の実施形態を説明するために提出される。これらの実施例は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書全体を通して使用するとき、「室温」は、20℃~25℃の温度を指す。
【0081】
トナーの調製。まず、蛍光ラテックスを以下のように調製した。60℃の2L反応器内において(145/48/40g)の比率の酢酸エチル、イソプロピルアルコール、及びアンモニア水溶液の混合物に溶解させた、120gの第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、120gの第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂、及び6gの赤色蛍光剤の混合物から、赤色蛍光ラテックスを調製した。この混合物に、界面活性剤(Pilot Chemical Company製のCalfax DB-45)を含有する500gの脱イオン水を添加して、エマルションを形成した。反応器に蒸留塔を充填し、有機溶媒を留去した。最後に、得られたエマルションを25μmのふるいを通して濾過した。エマルションの平均粒径は約200nmであり、固形分含量は約30~40重量%であった。エマルション中の赤色蛍光剤含量は、約2.5重量%であった。黄色蛍光ラテックスを同様に調製した。ただし、約3重量%の黄色蛍光剤を使用した。得られたエマルションの平均粒径は約200nmであり、固形分含量は約30~50重量%であった。
【0082】
次に、蛍光ピンクトナーを以下のように調製した。混合物は、赤色蛍光ラテックス、黄色蛍光ラテックス、結晶性ポリエステル樹脂を含む第1のエマルション、第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂を含む第2のエマルション、及び第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂を含む第3のエマルションを組み合わせることによって形成した。(赤色蛍光剤):(黄色蛍光剤)の異なる比率を有する混合物(及び最終トナー)を得るために、様々な量の赤色蛍光ラテックス及び黄色蛍光ラテックスを添加した。次に、混合物を酸性化した。次に、混合物のpHを5未満に調整した後に、混合物を均質化しながら、硫酸アルミニウム(ALS)溶液をゆっくり添加した。高粘度混合物を2L反応器に移し、温度を約45℃に上昇させることによって凝集を開始させた。粒径(D50v)が約7.0μmに達したら、2種の非晶質ポリエステル樹脂を含有するエマルションを混合物に添加して、粒子の上方にシェルを形成し、粒子を引き続き成長させた。キレート剤(EDTA)及び塩基(NaOH)を添加することによって粒子を凍結させた。反応器の温度を、約84℃に上昇させて合体させた。粒子が所望の円形度に達したら、加熱を停止した。粒子スラリーをクエンチし、粒子をふるいにかけ、真空下で濾過した。ふるいにかけた粒子を脱イオン水で洗浄し、凍結乾燥させた。
【0083】
蛍光ピンクトナー粒子は、合計で約0.95~2.5重量%の赤色及び黄色の混合蛍光剤、並びに5:1、10:1、20:1、及び30:1など様々な(赤色蛍光剤):(黄色蛍光剤)の比率を有した。
【0084】
トナー特性。製造業者の指示に従って操作されたBeckman Coulter Multisizer 3を使用して、外部表面添加剤を除く乾燥トナー粒子から、トナー粒径を分析した。代表的なサンプリングを以下のように実施した。すなわち、少量(約1グラム)のトナーサンプルを得て、25μmのふるいを通して濾過した後、等張液に入れて約10%の濃度を得て、その後、そのサンプルをマルチサイザーで測定した。約20:1の(赤色蛍光剤):(黄色蛍光剤)の比率を有する蛍光ピンクトナーのD50vサイズは、約8.54μmであった。
【0085】
製造業者の指示に従って操作したSysmex 3000を使用して、外部表面添加剤を除いて、乾燥トナー粒子から円形度を分析した。約20:1の(赤色蛍光剤):(黄色蛍光剤)の比率を有する蛍光ピンクトナーの円形度は、約0.963であった。
【0086】
蛍光ピンクトナーの光学特性を、製造業者の指示に従って操作したX-Rite ILSを使用して分析した。結果は、約20:1の(赤色蛍光剤):(黄色蛍光剤)の比率(例えば、22.6:1及び19.6:1)を有する蛍光ピンクトナーが、0.65mg/cm2のTMAにおいて約75のa*、約-6のb*、及び約70のL*を得たことを示した。加えて、明度L*は、0.25mg/cm2~1.10mg/cm2のTMA範囲にわたって67 77の範囲であった。同時に、440nm~460nmの波長で70~80の反射率を得(TMAは0.45mg/cm2であった)、0.35mg/cm2~1.00mg/cm2のTMA範囲にわたって、600nm~620nmの波長で100超の反射率を得た。
【0087】
最後に、蛍光ピンクトナーは、UV照明下で蛍光を発した。この蛍光を測定し、その中の赤色/黄色蛍光剤の量を計算するのに使用した。赤色/黄色蛍光剤の測定量を、赤色/黄色蛍光剤の理論量(上記のトナー調製プロセスで使用した量に基づいて計算した)と比較した。この比較は、測定量が理論量とほぼ同一であることを示した。合わせて、これらの結果は、著しい蛍光消光を生じさせない、赤色/黄色蛍光剤の封入及び均質な分布を確認する。
【0088】
上記で開示されたものの変形例、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予期されない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、当業者によって後に行われてもよく、これらはまた、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
本発明のまた別の態様は、以下の通りであってもよい。
〔1〕蛍光ピンクトナーの製造方法であって、前記方法は、
赤色蛍光剤、黄色蛍光剤、第1の種類の非晶質樹脂、及び第2の種類の非晶質樹脂を含む1種以上の蛍光ラテックスを形成することであって、前記第1の種類の非晶質樹脂及び前記第2の種類の非晶質樹脂は、2:3~3:2の範囲の比率で存在する、ことと、
前記1種以上の蛍光ラテックスと、結晶性樹脂、前記第1の種類の非晶質樹脂、前記第2の種類の非晶質樹脂、及び任意選択的にワックス分散体を含む1種以上のエマルションとを含む混合物を形成することと、
前記混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、
前記所定のサイズの前記粒子の上方にシェルを形成してコア-シェル粒子を形成することと、
前記コア-シェル粒子を合体させて蛍光ピンクトナーを形成することと、を含む、方法。
〔2〕前記第1の種類の非晶質樹脂及び前記第2の種類の非晶質樹脂は、1:1で前記1種以上の蛍光ラテックス中に存在する、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記赤色蛍光剤及び前記黄色蛍光剤は、前記1種以上の蛍光ラテックスの1.5重量%~3.5重量%の範囲で前記1種以上の蛍光ラテックス中に存在する、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記蛍光ピンクトナーは、0.65mg/cm
2
の面積当たりのトナー質量(TMA)において少なくとも67の明度L
*
値、前記TMAにおいて74~77の範囲の色チャネルa
*
値、及び前記TMAにおいて-5~-9の範囲の色チャネルb
*
値を有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕前記蛍光ピンクトナーは、0.45mg/cm
2
のTMAにおいて、440nm~460nmの波長範囲で少なくとも70、前記TMAにおいて、600nm~620nmで少なくとも100の反射率を更に有する、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕前記赤色蛍光剤はソルベントレッド49であり、前記黄色蛍光剤は、ソルベントイエロー160:1、又はソルベントイエロー98、又はこれらの組み合わせである、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕前記結晶性樹脂、前記第1の種類の非晶質樹脂、及び前記第2の種類の非晶質樹脂はポリエステルである、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕前記結晶性ポリエステル樹脂は、式I:
【化2】
式I
を有し、式中、a及びbのそれぞれは1~12の範囲であり、pは10~100の範囲である、前記〔7〕に記載の方法。
〔9〕前記結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)である、前記〔7〕に記載の方法。
〔10〕前記第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルサクシネート)であり、前記第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルサクシネート-トリメリト酸無水物)である、前記〔7〕に記載の方法。
〔11〕前記赤色蛍光剤はソルベントレッド49であり、前記黄色蛍光剤は、ソルベントイエロー160:1、又はソルベントイエロー98、又はこれらの組み合わせであり、前記結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)であり、前記第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルサクシネート)であり、前記第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルサクシネート-トリメリト酸無水物)である、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕前記蛍光ピンクトナーは、0.65mg/cm
2
のTMAにおいて少なくとも67の明度L
*
値、前記TMAにおいて74~77の範囲の色チャネルa
*
値、及び前記TMAにおいて-5~-9の範囲の色チャネルb
*
値を有する、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記蛍光ピンクトナーは、0.45mg/cm
2
のTMAにおいて、440nm~460nmの波長範囲で少なくとも70、前記TMAにおいて、600nm~620nmで少なくとも100の反射率を更に有する、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕蛍光ピンクトナーであって、前記トナーは、前記〔1〕に記載の方法に従って形成され、前記赤色蛍光剤、前記黄色蛍光剤、前記結晶性樹脂、前記第1の種類の非晶質樹脂、前記第2の種類の非晶質樹脂、及び任意選択的に前記ワックスを含むコアを含み、前記トナーは、前記コアの上方に前記シェルを更に含む、蛍光ピンクトナー。
〔15〕蛍光ピンクトナーであって、
赤色蛍光剤が組み込まれた第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、黄色蛍光剤が組み込まれた第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、赤色蛍光剤が組み込まれた第2の種類の非晶質ポリエステル、黄色蛍光剤が組み込まれた第2の種類の非晶質ポリエステル、結晶性ポリエステル樹脂、追加量の前記第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、追加量の前記第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂、及び任意選択的にワックスを含むコアと、
前記コアの上方のシェルであって、前記シェルは、前記第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂及び前記第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂を含む、シェルと、を含む、蛍光ピンクトナー。
〔16〕前記蛍光ピンクトナーは、0.65mg/cm
2
のTMAにおいて少なくとも67の明度L
*
値、前記TMAにおいて74~77の範囲の色チャネルa
*
値、及び前記TMAにおいて-5~-9の範囲の色チャネルb*値を有する、前記〔15〕に記載の蛍光ピンクトナー。
〔17〕前記蛍光ピンクトナーは、0.45mg/cm
2
のTMAにおいて、440nm~460nmの波長範囲で少なくとも70、前記TMAにおいて、600nm~620nmで少なくとも100の反射率を更に有する、前記〔16〕に記載の蛍光ピンクトナー。
〔18〕前記〔15〕に記載の蛍光ピンクトナーの使用方法であって、前記方法は、
電子写真式プリンタを使用して前記トナーを含む画像を形成することと、
前記トナーを含む前記画像を画像受容媒体に転写することと、
前記画像受信媒体に前記トナーを融着させることと、を含む、方法。