(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20241029BHJP
G03B 13/02 20210101ALI20241029BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20241029BHJP
H04N 23/53 20230101ALI20241029BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G03B13/02
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
G03B11/00
H04N23/53
(21)【出願番号】P 2021045417
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2020117533
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関 克矢
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-044575(JP,U)
【文献】実開平04-061307(JP,U)
【文献】実開昭59-041312(JP,U)
【文献】特開昭59-195206(JP,A)
【文献】特開2006-284628(JP,A)
【文献】特開2010-217747(JP,A)
【文献】特開2009-244394(JP,A)
【文献】特開平01-009409(JP,A)
【文献】特開2015-139027(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107636489(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 13/02
G03B 11/00
H04N 23/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズを保持するレンズホルダーと、を備え、
前記レンズホルダーは、前記レンズと接触すると共に前記レンズホルダーの内側と外側へ向かって撓むことが可能な第一弾性部と、前記レンズと接触すると共に前記レンズホルダーの内側と外側へ向かって撓むことが可能な第二弾性部と、を有し、
前記第二弾性部の剛性は、前記第一弾性部の剛性よりも高
く、
前記レンズホルダーの一側面には、視度調整部材と係合するボスが形成され、
前記第二弾性部は、前記ボスが形成された前記一側面に設けられている、
ことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第一弾性部は、前記レンズを前記レンズホルダーの内側へ向かう第一方向に付勢する弾性を有し、
前記レンズホルダーは、前記レンズを前記レンズホルダーの内側へ向かう第二方向に付勢するレンズ付勢突起を有し、
前記レンズは、前記第一弾性部と前記レンズ付勢突起とにより、前記レンズホルダーの一つの前記レンズホルダーの側面同士を接続する角部に向かって付勢され、
前記角部は、前記レンズホルダーの前記ボスが形成された前記一側面とその他の一側面とで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記レンズホルダーは、前記レンズホルダーの側面同士を接続する角部に、前記レンズホルダーの底面に向かって延在する切り込みを有し、
前記レンズの一部は、前記切り込みを介して前記レンズホルダーの外側へ露出し、
前記角部は、前記レンズホルダーの前記ボスが形成された前記一側面とその他の一側面とで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記レンズホルダーを収納する筐体を備え、
前記レンズホルダーの外側面又は前記筐体の内側面には、複数の細線状の突起が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
反射型液晶表示装置等に搭載されるレンズユニットは、例えば、レンズと、レンズを収納するためのレンズホルダーとで構成される。レンズは、レンズホルダーの内側に位置決めされた状態で保持される。
【0003】
図9は従来のレンズユニットの断面図、
図10は従来のレンズユニットのレンズホルダーにレンズを取り付ける状態を示す断面図、
図11は従来のレンズユニットのレンズホルダーの斜視図である。特許文献1に開示されている従来のレンズユニットでは、レンズ22の側面に、相対する1組の突起22aが形成され、レンズ保持枠(レンズホルダー)21の側面に、レンズ22の突起22aを係止する二つの穴21aと、レンズ保持枠21の側面を撓み易くするための二つのスリット21bとが形成されている。レンズ22をレンズ保持枠21の内側に取り付ける際には、レンズ22の一方の突起22aをレンズホルダー21の一方の穴21aに引っ掛け、二つのスリット21bに挟まれたレンズホルダー21の側面(弾性部)を外側へ撓ませながらレンズ22の他方の突起22aをレンズホルダー21の他方の穴21aにはめ込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に開示されたレンズユニットでは、レンズ22をレンズホルダー21の内側に組み込み易くするために、レンズホルダー21の側面にスリット21bを形成することで弾性部を設けているが、弾性部は、レンズホルダー21の側面の一箇所にのみ設けられているため、レンズ22の形状等によっては、レンズ22をレンズホルダー21の内側に組み込み難い場合がある。この問題を解決するための手段として、弾性部の数を増やすことが考えられるが、弾性部の数が増えると、その分だけレンズホルダー21の剛性が低下し、レンズ22の位置ずれを生じる恐れがある。レンズ22の位置ずれが生じると、レンズ22の光軸がずれ、レンズユニットの光学的特性が悪化するといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、レンズをレンズホルダーに組み込み易く、且つ、レンズを所定の位置に安定して保持することが可能なレンズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レンズと、前記レンズを保持するレンズホルダーと、を備え、前記レンズホルダーは、前記レンズと接触すると共に前記レンズホルダーの内側と外側へ向かって撓むことが可能な第一弾性部と、前記レンズと接触すると共に前記レンズホルダーの内側と外側へ向かって撓むことが可能な第二弾性部と、を有し、前記第二弾性部の剛性は、前記第一弾性部の剛性よりも高い、レンズユニットとする。
【0008】
前記第一弾性部は、前記レンズホルダーに形成された第一の切り込みと第二の切り込みとに挟まれた部位であり、前記第二弾性部は、前記レンズホルダーに形成された第三の切り込みと第四の切り込みとに挟まれた部位であり、前記第三の切り込みと前記第四の切り込みは、共に前記第一の切り込みと前記第二の切り込みよりも短い、レンズユニットであっても良い。
【0009】
前記第一弾性部は、前記レンズが前記レンズホルダーの内側から外側へ脱落するのを防止する突起を有する、レンズユニットであっても良い。
【0010】
前記第一弾性部は、前記レンズを前記レンズホルダーの内側へ向かう第一方向に付勢する弾性を有し、前記レンズホルダーは、前記レンズを前記レンズホルダーの内側へ向かう第二方向に付勢するレンズ付勢突起を有し、前記レンズは、前記第一弾性部と前記レンズ付勢突起とにより、前記レンズホルダーの一つの角部に向かって付勢されている、レンズユニットであっても良い。
【0011】
前記レンズホルダーを収納する筐体を備え、前記筐体の一部は、着脱可能なカバーとして構成され、前記カバーは、前記レンズホルダーを前記筐体の内側へ向かって付勢する弾性を有する、レンズユニットであっても良い。
【0012】
前記レンズの一部を覆う遮光マスクを備え、前記遮光マスクと前記レンズは、それぞれ突起を有し、前記レンズホルダーは、前記遮光マスクの前記突起と前記レンズの前記突起が共に係合する開口部を有し、前記遮光マスクと前記レンズは、互いに密着して前記レンズホルダーの内側に保持されている、レンズユニットであっても良い。
【0013】
前記開口部は、互いに接続された第一開口部と第二開口部とを含み、前記第一開口部と前記第二開口部は、互いに段差形状を形成し、前記遮光マスクの前記突起は、前記第一開口部に係合し、前記レンズの前記突起は、前記第二開口部に係合する、レンズユニットであっても良い。
【0014】
前記レンズホルダーは、前記レンズホルダーの側面同士を接続する角部に、前記レンズホルダーの底面と接する第五の切り込みを有し、前記第五の切り込みを介して前記レンズの一部が前記レンズホルダーの外側へ露出している、レンズユニットであっても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レンズをレンズホルダーに組み込み易く、且つ、レンズを所定の位置に安定して保持することが可能なレンズユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1におけるレンズユニットを搭載した電子ビューファインダーの分解斜視図
【
図2】本発明の実施例1におけるレンズユニットのレンズホルダーにレンズを組み込む状態を示す斜視図
【
図3】本発明の実施例1におけるレンズユニットのレンズホルダーの斜視図
【
図4】本発明の実施例1の変形例におけるレンズユニットのレンズホルダーの斜視図
【
図5】本発明の実施例1におけるレンズユニットを収納した筐体の上面図
【
図6】本発明の実施例1におけるレンズユニットを収納した筐体から側面カバーを取り外した状態を示す上面図
【
図7(a)】本発明の実施例2におけるレンズユニットの斜視図
【
図7(b)】本発明の実施例2におけるレンズユニットの側面図
【
図8】本発明の実施例3におけるレンズユニットの斜視図
【
図10】従来技術におけるレンズホルダーにレンズを組み込む状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1におけるレンズユニットを搭載した電子ビューファインダーの分解斜視図である。電子ビューファインダー1は、反射型液晶表示装置2と、レンズ3と、レンズホルダー4と、筐体5と、側面カバー6と、視度調整ダイヤル7と、上面カバー8と、を備えている。レンズ3とレンズホルダー4は、互いに一体化されてレンズユニットを構成し、筐体5の一側面に設けられた開口部から筐体5の内部に組み込まれ、収容されている。側面カバー6は、レンズユニット(レンズ3、レンズホルダー4)が筐体5の内部に組み込まれた後に、筐体5の開口部を覆うように着脱可能に取り付けられ、筐体5の一部として機能している。上面カバー8は、平板状の透明カバーであり、筐体5の上部開口を覆うように接着剤等により取り付けられている。視度調整ダイヤル7は、筐体5の一側面に設けられた回転軸に取り付けられている。筐体5の下部は、反射型液晶表示装置2の外周部に取り付けられている。反射型液晶表示装置2から出射された画像は、筐体5の下部から内部へ入射し、レンズ3と上面カバー8を透過して外部へ出射される。視度調整ダイヤル7を所定の方向へ回転させることにより、レンズユニットが筐体5の内面に沿って上下方向へ移動し、画像に対する視度調整が行われる。
【0019】
図2は本発明の実施例1におけるレンズユニットのレンズホルダーにレンズを組み込む状態を示す斜視図、
図3は本発明の実施例1におけるレンズユニットのレンズホルダーの斜視図である。レンズ3は、例えばガラス製又はプラスチック製の3枚のレンズが光軸方向へ積層されて一体化されたものである。レンズ3の短辺側の互いに対向する両側面には、突起3aがそれぞれ形成されている。突起3aの下面には、レンズ3の外側且つ上側へ向かって傾斜する傾斜面が形成されている。レンズホルダー4は、例えば概ね四角形の樹脂製の箱である。反射型液晶表示装置2から出射された光を通過させるために、また、レンズ3を組み込むために、レンズホルダー4の上面および下面にはそれぞれ所定の大きさの開口部が設けられている。レンズ3は、レンズホルダー4の上面に設けられた開口部からレンズホルダー4の内側に組み込まれ、所定の位置に収納される。レンズホルダー4の一側面には、円柱状のボス4aが形成されている。ボス4aは、視度調整ダイヤル7に設けられた任意のカム構造(不図示)と係合し、視度調整ダイヤル7の回転力をレンズホルダー4に伝達する役割を果たす。
【0020】
レンズホルダー4の短辺側の互いに対向する両側面には、
図3に示す様に切り込み9a、9b、9c、9dが形成されている。レンズホルダー4は、外力に対してある程度の復元性を有する樹脂等により形成されている。一方の側面に形成された切り込み9a、9bは、レンズホルダー4の上端から底面にまで達する長さを有し、他方の側面に形成された切り込み9c、9dは、共に切り込み9c、9dよりも短く、レンズホルダー4の上端から側面の高さの半分程度の位置にまで達する長さを有する。このようにレンズホルダー4の側面に切り込みを形成することにより、レンズホルダー4の一側面には、切り込み9a、9bに挟まれた弾性部14aが形成され、それと対向する一側面には、切り込み9c、9dに挟まれた弾性部14bが形成されている。切り込みが長いほどレンズホルダー4の側面の弾性は、大きくなり、切り込み9c、9dは、切り込み9a、9bよりも短いことから、弾性部14bの弾性は、弾性部14aの弾性よりも小さい。言い換えると、弾性部14bの剛性は、弾性部14aの剛性よりも高い。つまり、弾性部14bは、レンズホルダー4の内側と外側へ適度に撓むことができるが、弾性部14aよりはレンズホルダー4の内側と外側へ撓み難い。
【0021】
切り込み9a、9bに挟まれた弾性部14aの上部には、レンズホルダー4の内側へ向かって突出する曲面を有する突起11aと、レンズ3の一方の突起3aと係合する矩形状の穴10aとが形成されている。切り込み9c、9dに挟まれた弾性部14bの上部には、レンズ3の他方の突起3aと係合する矩形状の穴10bが形成されている。二つの穴10a、10bは、互いに対向するように同様の位置、形状、及び大きさに形成されているが、互いに異なる位置、形状、又は大きさに形成されていても良く(レンズ3の二つの突起3aの互いの関係性も同様)、この場合には、互いの相違を識別することで、レンズホルダー4にレンズ3を正しい向きに容易に取り付けることができる。
【0022】
図2に示す様にレンズ3をレンズホルダー4に組み込む際には、切り込み9a、9bに挟まれた弾性部14aと切り込み9c、9dに挟まれた弾性部14bをレンズホルダー4の外側へ適度に撓ませながら、レンズ3の本体と二つの突起3aをレンズホルダー4の上面(開口部)から内側に押し込み、レンズ3の一方の突起3aをレンズホルダー4の穴10aに係合させ、他方の突起3aをレンズホルダー4の穴10bに係合させると共に、レンズ3の外周部上端に弾性部14aの突起11aを係止させる。これらにより、レンズ3は、レンズホルダー4の内側の所定の位置に位置決めされ、保持された状態となる。この状態において、レンズ3は、弾性部14aの弾性力により、反対側の弾性部14bに向かって付勢(片寄せ)され、弾性部14bとレンズホルダー4の一側面に押し付けられて固定されている。また、レンズ3の外周部上端に係止された弾性部14aの突起11aにより、レンズ3が上から押さえられ、レンズ3がレンズホルダー4の内側から外側へ脱落するのが防止されている。弾性部14bの剛性は、弾性部14aの剛性よりも高いため、レンズ3を弾性部14bに押し付けることにより、レンズ3を所定の位置に安定して保持することができる。この実施形態では、弾性部14bが形成されているレンズホルダー4の一側面にボス4aが設けられており、その分だけその一側面の剛性が比較的高いため、上述の効果が特に高い。
【0023】
図4は本発明の実施例1の変形例におけるレンズユニットのレンズホルダーの斜視図である。
図3に示した上述のレンズホルダー4の他の形態として、
図4に示すレンズホルダー4では、レンズホルダー4の長辺側の一側面にレンズホルダー4の内側へ向かって突出する曲面を有する突起11bが形成されている。突起11bは、レンズホルダー4の内側に収納されているレンズ3の長辺側の一側面に当接し、レンズ3を反対側へ付勢することにより、レンズ3をレンズホルダー4の長辺側のもう一側面に適度に押し付ける。この変形例では、レンズホルダー4の弾性部11aおよび突起11bにより、レンズ3を互いに直交する2方向からレンズホルダー4の剛性の高い一つの角部に向かって付勢(片寄せ)することができるため、レンズ3を所定の位置に更に安定して保持することができる。
【0024】
図5は本発明の実施例1におけるレンズユニットを収納した筐体の上面図である。
図5に示す様に、レンズホルダー4の外側面には、上下方向へ延在する複数の細線状の突起(リブ)12が形成されている。複数の突起12は、レンズホルダー4の角部周辺に密集するように互いに所定の間隔を空けて配置されている。複数の突起12は、筐体5の内側面にそれぞれ接触し、これにより、レンズホルダー4が筐体5の内側に位置決めされている。この構成によれば、レンズホルダー4の外側面と筐体5の内側面とを面同士で接触させる場合と比べて寸法のばらつきの影響が低減されるため、レンズホルダー4を筐体5の内側に精度良く位置決めすることができる。突起12は、レンズホルダー4の外側面ではなく、筐体5の内側面に形成されていても良い。このような突起12を介した部材同士の接触構造は、レンズ3の外側面とレンズホルダー4の内側面との間にも適用することができる(レンズ3の外側面又はレンズホルダー4の内側面に突起12を形成する)。
【0025】
図6は本発明の実施例1におけるレンズユニットを収納した筐体から側面カバーを取り外した状態を示す上面図である。
図6に示す様に、側面カバー6は、レンズホルダー4を筐体5の内側へ向かって付勢する弾性を有し、筐体5に装着された状態においてレンズホルダー4を筐体5の一側面(内面)に適度に押し付ける。なお、レンズホルダー4が押し付けられる筐体5の側面(内面)は、1面のみではなく、2面であっても良い。この場合には、レンズホルダー4を筐体5の二つの側面(内面)に同時に押し付けられるようにするため、側面カバー6の形状を例えば概ねL字状に変更しても良い。上述のように側面カバー6でレンズホルダー4を付勢することにより、レンズホルダー4を筐体5の内側に安定して保持することができる。
【0026】
図5、6に示す様に、上面カバー8が取り付けられる筐体5の上端部には、切り欠き13が設けられている。切り欠き13は、上面カバー8をリペア等の際に筐体5から取り外し易くするためのものである。切り欠き13からは上面カバー8の側面が露出しており、露出している上面カバー8の側面に例えば工具の先端を引っ掛けることにより、上面カバー8を筐体5から容易に取り外すことができる。切り欠き13は、筐体5の上端部の一辺中心付近に設けられていると、そこから露出する上面カバー8の側面中心付近に工具の先端による負荷が集中し、上面カバー8が割れる恐れがあるため、筐体5の角部に寄せて設けられていることが望ましい。切り欠き13を筐体5の角部に寄せて設けることで、上面カバー8を割ることなく筐体5から容易に取り外すことができる。
【実施例2】
【0027】
図7(a)は本発明の実施例2におけるレンズユニットの斜視図、
図7(b)は本発明の実施例2におけるレンズユニットの側面図である。本発明の実施例2におけるレンズユニットでは、出射光の乱反射による迷光が反射型液晶表示装置の画像表示に影響を与えることを防止するために、レンズホルダー4の内側から外側へ露出しているレンズ3の上面に遮光マスク23が配置されている。遮光マスク23は、レンズ3の上面の中央部を被覆せず、レンズ3の上面の外周部のみを被覆するように配置されている。遮光マスク23を配置する際には、レンズホルダー4の穴10a、10bの一部を上側へ拡張して凸状の段差形状を有する穴としたうえで、穴10a、10bの面積が大きい下側の開口部にレンズ3の突起3aをはめ込んで係合させ、面積が小さい上側の開口部に遮光マスク23の突起23aをはめ込んで係合させる。これにより、遮光マスク23は、レンズホルダー4の切り込み9a、9bに挟まれた弾性部14aと、切り込み9c、9dに挟まれた弾性部14bにより、レンズホルダー4の内側にレンズ3と共に保持される。なお、遮光マスク23は黒色の樹脂もしくは黒色に塗装した金属等で形成される。この実施例2では、レンズ3の突起3が係合する穴10a、10bに遮光マスク23の突起23aも係合するため、レンズ3に遮光マスク23を確実に密着させることができる。また、レンズ3の突起3aと遮光マスク23の突起23aは、穴10a、10bに設けられた二つの開口部にそれぞれ個別に係合するため、係合の強さをそれぞれ個別に調節して最適化することができる。
【実施例3】
【0028】
図8は本発明の実施例3におけるレンズユニットの斜視図である。レンズホルダー4は、迷光対策などから、黒色の成型部品を採用することが多いため、レンズホルダー4の内側にレンズ3が正確に配置されているのか等の確認を組立後にレンズホルダー4の外側から目視で行うことは困難であった。これに対し、本発明の実施例3におけるレンズユニットでは、レンズホルダー4の側面同士を接続する四つの角部のうち何れか一つに、レンズホルダー4の底面と接する切り込み9eが設けられており、切り込み9eを介してレンズ3の傾きなどの配置状況を目視で確認したり微調整したりすることができる。切り込み9eは、レンズホルダー4の四つの角部のうち二つ以上に設けられていても良いが、数が増えるにつれてレンズホルダー4の剛性が低下するため、必要最低限の数だけ設けるのが好ましい。切り込み9eは、レンズホルダー4の角部以外の側面に設けられていても良いが、角部以外の側面に設けると側面の剛性が大きく低下することがあるため、角部に設けるのが好ましい。
【0029】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、その他の形態を取り得る。例えば、弾性部14aと弾性部14bは、互いに対向しない位置に設けられていても良い。筐体5は、箱型ではなく、その他の形状を有するものであっても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 レンズユニット
2 反射型液晶表示装置
3 レンズ
3a 突起
4 レンズホルダー
5 筐体
6 側面カバー
7 視度調整ダイヤル
8 上面カバー
9a 切り込み
9b 切り込み
9c 切り込み
9d 切り込み
9e 切り込み
10a 穴
10b 穴
11a 突起
11b 突起
12 突起(リブ)
13 切り欠き
14a 弾性部
14b 弾性部
21 レンズ保持枠(レンズホルダー)
21a 穴
21b スリット
22 レンズ
22a 突起
23 遮光マスク
23a 突起