(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
B62D 55/14 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
B62D55/14 Z
(21)【出願番号】P 2021050287
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 敦史
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-161230(JP,A)
【文献】特開2014-136507(JP,A)
【文献】実開昭53-154532(JP,U)
【文献】特開平09-175450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタフレーム、及び前記センタフレームの左右両端に位置する一対のサイドフレームを有する車体と、
前記一対のサイドフレームそれぞれに支持されて回転することによって、前記車体を進退させるクローラ装置とを備え、
前記クローラ装置は、走行モータと、前記サイドフレームの後端に支持されて、前記走行モータの駆動力によって回転する駆動輪と、前記サイドフレームの前端に回転可能に支持された従動輪と、前記駆動輪及び前記従動輪に掛け渡された履帯と、前記駆動輪及び前記従動輪の間に位置して前記履帯の内周面に当接して回転するガイドローラとを含んで構成される作業機械において、
前記サイドフレームには、前後方向に延びると共に、前記ガイドローラを前端位置及び後端位置に選択的に固定する支持穴が設けられており、
前記ガイドローラは、固定が外された状態では、前記前端位置と前記後端位置との間で前記支持穴に沿って前後方向に移動可能に構成され
、
前記ガイドローラは、ボルト穴が形成された支軸と、前記支軸に回転可能に支持されて前記履帯の内周面に当接するローラとで構成され、前記支持穴に挿通されたボルトが前記ボルト穴に締め込まれることによって、前記支軸及びボルトヘッドで前記サイドフレームを挟持して固定され、前記ボルトが緩められることによって、前記支持穴に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
センタフレーム、及び前記センタフレームの左右両端に位置する一対のサイドフレームを有する車体と、
前記一対のサイドフレームそれぞれに支持されて回転することによって、前記車体を進退させるクローラ装置とを備え、
前記クローラ装置は、走行モータと、前記サイドフレームの後端に支持されて、前記走行モータの駆動力によって回転する駆動輪と、前記サイドフレームの前端に回転可能に支持された従動輪と、前記駆動輪及び前記従動輪に掛け渡された履帯と、前記駆動輪及び前記従動輪の間に位置して前記履帯の内周面に当接して回転するガイドローラと
、前記ガイドローラより前方に位置する前ガイドローラと、前記ガイドローラより後方に位置する後ガイドローラとを含んで構成される作業機械において、
前記サイドフレームには、前後方向に延びると共に、前記ガイドローラを前端位置及び後端位置に選択的に固定する支持穴が設けられており、
前記ガイドローラは、固定が外された状態では、前記前端位置と前記後端位置との間で前記支持穴に沿って前後方向に移動可能に構成され
、
前記履帯の内周面には、凸部及び凹部が交互に配置されており、
前記支持穴の前端位置及び後端位置の一方は、前記前ガイドローラ及び前記後ガイドローラから等距離の位置に形成されており、
前記支持穴の前端位置及び後端位置の他方は、前記前ガイドローラ及び前記後ガイドローラが前記凸部に当接している場合には、前記ガイドローラが前記凹部に当接し、前記前ガイドローラ及び前記後ガイドローラが前記凹部に当接している場合には、前記ガイドローラが前記凸部に当接する位置に形成されていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の作業機械において、
前記支持穴は、前後方向に延びる横穴と、前記横穴の前端から上方に延びる第1縦穴と、前記横穴の後端から上方に延びる第2縦穴とで構成され、
前記ガイドローラは、前記第1縦穴及び前記第2縦穴それぞれの上端位置に固定されることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ式の作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業機械に搭載されるクローラ装置は、前後方向に離間した位置でサイドフレームに支持された駆動輪及び従動輪と、駆動輪及び従動輪に掛け渡された履帯と、駆動輪及び従動輪の間で履帯の内周面に当接して回転するガイドローラとを主に備える。
【0003】
また、履帯には、金属製の鉄クローラの他に、ゴム製のゴムクローラがある(例えば、特許文献1を参照)。そして、作業現場の状況や作業内容に合わせて、鉄クローラ及びゴムクローラを履き替えて作業機械を使用する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、鉄クローラ及びゴムクローラは材質及び構造が異なるので、履帯の種類に応じて、ガイドローラの最適配置も異なる。しかしながら、特許文献1の作業機械は、ガイドローラの配置を変更できる構成になっていないので、鉄クローラ及びゴムクローラの一方の最適配置にしかできない。
【0006】
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガイドローラの配置を容易に変更可能な作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、センタフレーム、及び前記センタフレームの左右両端に位置する一対のサイドフレームを有する車体と、前記一対のサイドフレームそれぞれに支持されて回転することによって、前記車体を進退させるクローラ装置とを備え、前記クローラ装置は、走行モータと、前記サイドフレームの後端に支持されて、前記走行モータの駆動力によって回転する駆動輪と、前記サイドフレームの前端に回転可能に支持された従動輪と、前記駆動輪及び前記従動輪に掛け渡された履帯と、前記駆動輪及び前記従動輪の間に位置して前記履帯の内周面に当接して回転するガイドローラとを含んで構成される作業機械において、前記サイドフレームには、前後方向に延びると共に、前記ガイドローラを前端位置及び後端位置に選択的に固定する支持穴が設けられており、前記ガイドローラは、固定が外された状態では、前記前端位置と前記後端位置との間で前記支持穴に沿って前後方向に移動可能に構成され、前記ガイドローラは、ボルト穴が形成された支軸と、前記支軸に回転可能に支持されて前記履帯の内周面に当接するローラとで構成され、前記支持穴に挿通されたボルトが前記ボルト穴に締め込まれることによって、前記支軸及びボルトヘッドで前記サイドフレームを挟持して固定され、前記ボルトが緩められることによって、前記支持穴に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガイドローラの配置を容易に変更することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】サイドフレームに支持された中ガイドローラを後方から見た図である。
【
図5】ゴムクローラとガイドローラとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る油圧ショベル1(作業機械)の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、作業機械の具体例は油圧ショベル1に限定されず、ホイールローダ、クレーン、ダンプトラック等でもよい。また、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、油圧ショベル1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。
【0011】
図1は、油圧ショベル1の側面図である。
図2は、下部走行体2の斜視図である。
図1に示すように、油圧ショベル1は、下部走行体2(車体)と、下部走行体2により支持された上部旋回体3とを備える。
【0012】
図2に示すように、下部走行体2は、センタフレーム8と、左右一対のサイドフレーム9L、9Rとで構成される。センタフレーム8は、下部走行体2の中央に位置している。センタフレーム8は、旋回輪8aを介して上部旋回体3を旋回可能に支持する。サイドフレーム9L、9Rは、センタフレーム8の左端及び右端に配置されている。サイドフレーム9L、9Rは、前後方向に延設されている。サイドフレーム9L、9Rそれぞれは、クローラ装置10を回転可能に支持している。
【0013】
図1に示すように、上部旋回体3は、旋回モータ(図示省略)によって旋回可能に下部走行体2に支持されている。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前方中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機4(作業装置)と、旋回フレーム5の前方左側に配置されたキャブ(運転席)7と、旋回フレーム5の後部に配置されたカウンタウェイト6とを主に備える。
【0014】
フロント作業機4は、上部旋回体3に起伏可能に支持されたブーム4aと、ブーム4aの先端に回動可能に支持されたアーム4bと、アーム4bの先端に回動可能に支持されたバケット4cと、ブーム4aを駆動させるブームシリンダ4dと、アーム4bを駆動させるアームシリンダ4eと、バケット4cを駆動させるバケットシリンダ4fとを含む。カウンタウェイト6は、フロント作業機4との重量バランスを取るためのもので、上面視円弧形状を成す重量物である。
【0015】
キャブ7には、油圧ショベル1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。キャブ7の内部空間には、オペレータが着席するシートと、シートに着席したオペレータにより操作される操作装置が配置されている。なお、
図1には出入口が常に開放された開放型のキャブ7を図示しているが、出入口をドアで開閉可能な閉鎖型のキャブでもよい。
【0016】
操作装置は、油圧ショベル1を動作させるためのオペレータの操作を受け付ける。オペレータによって操作装置が操作されることによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機4が動作する。なお、操作装置の具体例としては、レバー、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、スイッチ等が挙げられる。
【0017】
クローラ装置10は、左右一対のサイドフレーム9L、9Rそれぞれに支持されている。左右のクローラ装置10が独立して回転することによって、油圧ショベル1を前進、後退、及び旋回させる。左右のクローラ装置10の構成は共通するので、以下、左側のサイドフレーム9Lに支持されたクローラ装置10について詳細に説明する。
図1に示すように、クローラ装置10は、走行モータ11と、駆動輪12と、従動輪13と、履帯14と、前ガイドローラ15aと、中ガイドローラ15b(ガイドローラ)と、後ガイドローラ15c(以下、これらを総称して、「ガイドローラ15a~15c」と表記することがある。)とを主に備える。
【0018】
走行モータ11は、サイドフレーム9Lの後端に支持されている。走行モータ11は、作動油タンク(図示省略)に貯留された作動油が油圧ポンプ(図示省略)から供給されることによって回転(駆動力を発生)する。
【0019】
駆動輪12は、サイドフレーム9Lの後端に回転可能に支持されている。駆動輪12は、走行モータ11の駆動力によって回転する。従動輪13は、サイドフレーム9Lの前端に回転可能に支持されている。すなわち、駆動輪12及び従動輪13は、前後方向に離間した位置において、サイドフレーム9Lに回転可能に支持されている。
【0020】
履帯14は、無端環状の帯状に構成されている。履帯14は、駆動輪12及び従動輪13に掛け渡されている。履帯14の下側(駆動輪12及び従動輪13の下端同士の間の部分)は、地面に接地する。そして、履帯14は、駆動輪12の回転が伝達されて、駆動輪12及び従動輪13の間を回転する。また、従動輪13は、履帯14の回転が伝達されて回転する。
【0021】
クローラ装置10には、鉄製の履帯14(以下、「鉄クローラ14F」と表記する。)と、ゴム製の履帯14(以下、「ゴムクローラ14G」と表記する。)とを、油圧ショベル1の用途に応じて選択的に装着することができる。
【0022】
ガイドローラ15a~15cは、駆動輪12及び従動輪13の間に配置されている。ガイドローラ15a~15cは、前後方向に離間した位置において、サイドフレーム9Lに回転可能に支持されている。ガイドローラ15a~15cは、履帯14の下側の内周面に当接することによって、履帯14を地面に押圧する。そして、ガイドローラ15a~15cは、履帯14の回転に伴って回転する。
【0023】
前ガイドローラ15aは、中ガイドローラ15b及び後ガイドローラ15cより前方に配置されている。中ガイドローラ15bは、前ガイドローラ15aより後方で且つ後ガイドローラ15cより前方に配置されている。後ガイドローラ15cは、前ガイドローラ15a及び中ガイドローラ15bより後方に配置されている。但し、ガイドローラ15a~15cの数は3つに限定されない。
【0024】
次に、
図3及び
図4を参照して、サイドフレーム9L及び中ガイドローラ15bの構造と、サイドフレーム9Lに対する中ガイドローラ15bの固定方法とを説明する。
図3は、サイドフレーム9Lに支持された中ガイドローラ15bを後方から見た図である。
図4は、サイドフレーム9Lの側面図である。
【0025】
図3に示すように、サイドフレーム9Lは、概ね逆U字形状の外形を呈する。より詳細には、サイドフレーム9Lは、前後方向に延設された上プレート9aと、上プレート9aの右端から下方に突出し且つ前後方向に延設された右プレート9bと、上プレート9aの左端から下方に突出し且つ前後方向に延設された左プレート9cとで構成される。
【0026】
また、
図3及び
図4(A)に示すように、サイドフレーム9L(より詳細には、右プレート9b及び左プレート9c)には、厚み方向に貫通する前支持穴20、中支持穴21(支持穴)、後支持穴22(以下、これらを総称して、「支持穴21~22」と表記することがある。)が形成されている。支持穴20~22は、前後方向に離間して配置されている。前支持穴20及び後支持穴22は、上下方向に延びる縦穴である。一方、中支持穴21は、概ねU字形状の外形を呈する。
【0027】
より詳細には、中支持穴21は、前後方向に延びる横穴21aと、横穴21aの前端から上方に延びる第1縦穴21bと、横穴21aの後端から上方に延びる第2縦穴21cとで構成される。上下方向において、第1縦穴21b及び第2縦穴21cの上端位置は、前支持穴20及び後支持穴22の上端位置と一致する。
【0028】
また、第1縦穴21bは、前後方向において、後支持穴22より前支持穴20に近い位置に形成されている。一方、第2縦穴21cは、前後方向において、前支持穴20より後支持穴22に近い位置に形成されている。但し、第1縦穴21bは、前後方向において、前支持穴20及び後支持穴22から等距離の位置に形成されるのが望ましい。
【0029】
図3に示すように、中ガイドローラ15bは、支軸16と、支軸16の外周面に回転可能に支持されたローラ17とで構成される。また、支軸16の左右両端には、ボルト穴16a、16bが形成されている。前ガイドローラ15a及び後ガイドローラ15cの構成も共通する。
【0030】
中ガイドローラ15bは、右プレート9b及び左プレート9cの間に配置される。これにより、ボルト穴16aと右プレート9bの中支持穴21とが連通し、ボルト穴16bと左プレート9cの中支持穴21とが連通する。また、右プレート9b及び左プレート9cの外側には、スペーサ18a、18bが配置されている。そして、右プレート9b及び左プレート9cの外側からスペーサ18a、18b及び中支持穴21に挿通されたボルト19a、19bが、ボルト穴16a、16bに螺合される。
【0031】
ボルト穴16a、16bにボルト19a、19bが締め込まれると、支軸16の端面と、ボルト19a、19bのボルトヘッド(より詳細には、スペーサ18a、18b)とで、サイドフレーム9L(より詳細には、右プレート9b及び左プレート9c)が挟持される。これにより、ローラ17が回転可能な状態で、中ガイドローラ15bがサイドフレーム9Lに固定される。
【0032】
図4(B)に示すように、本実施形態に係る中ガイドローラ15bは、第1縦穴21bの上端位置(すなわち、中支持穴21の前端位置)または第2縦穴21cの上端位置(すなわち、中支持穴21の後端位置)において、サイドフレーム9Lに回転可能に固定される。また、本実施形態に係る前ガイドローラ15a及び後ガイドローラ15cは、前支持穴20及び後支持穴22の上端位置において、サイドフレーム9Lに回転可能に固定される。その結果、サイドフレーム9Lに固定されたガイドローラ15a~15cは、地面からの高さHが一致する。
【0033】
一方、ボルト穴16a、16bに螺合されたボルト19a、19bが緩められると(すなわち、固定が外された状態)、中ガイドローラ15bは、中支持穴21に沿って前後方向に移動可能になる。より詳細には、ボルト19a、19bが中支持穴21に案内されて、第1縦穴21bの上端位置及び第2縦穴21cの上端位置の間(すなわち、中支持穴21の前端位置及び後端位置の間)を中ガイドローラ15bが移動可能になる。
【0034】
本実施形態では、
図4(B)に示すように、第1縦穴21bの上端位置に中ガイドローラ15bを固定すると、前ガイドローラ15a及び中ガイドローラ15bの前後方向の間隔P1は、中ガイドローラ15b及び後ガイドローラ15cの前後方向の間隔P2より小さくなる。但し、ガイドローラ15a~15cは、前後方向において等間隔(すなわち、P1=P2)に配置されるのが望ましい。これにより、クローラ装置10に鉄クローラ14Fを装着した場合において、第1縦穴21bの上端位置にガイドローラ15bを固定すれば、鉄クローラ14Fを地面に均等に押圧することができる。
【0035】
図5は、ゴムクローラ14Gとガイドローラ15a~15cとの位置関係を示す図である。なお、
図5(A)は、中ガイドローラ15bが第1縦穴21bの上端位置に固定されている状態を示す。一方、
図5(B)は、中ガイドローラ15bが第2縦穴21cの上端位置に固定されている状態を示す。
【0036】
図5に示すように、ゴムクローラ14Gの内周面には、凸部14a及び凹部14bが周方向に交互に配置されている。一方、図示は省略するが、鉄クローラ14Fの内周面には、凸部14a及び凹部14bに相当する構成がない。そして、ゴムクローラ14Gの内周面に当接するガイドローラ15a~15cは、ゴムクローラ14Gが回転する際に、周方向に所定の間隔を隔てて設けられた複数の凸部14aを乗り越える。
【0037】
そして、
図5(A)に示すように、クローラ装置10にゴムクローラ14Gを装着した場合において、第1縦穴21bの上端位置にガイドローラ15bを固定すると、ガイドローラ15a~15cは、あるタイミングで凸部14aに同時に乗り上げ(破線)、別のタイミングで凹部14bに同時に落ち込む(実線)。このとき、ガイドローラ15a~15cは、ゴムクローラ14Gの回転に伴って、高さΔHの変位を繰り返すことになる。そのため、油圧ショベル1の走行時の振動が大きくなる。
【0038】
一方、
図5(B)に示すように、クローラ装置10にゴムクローラ14Gを装着した場合において、第2縦穴21cの上端位置にガイドローラ15bを固定すると、ガイドローラ15a、15cが凸部14aに乗り上げた場合には、ガイドローラ15bが凹部14bに落ち込む。一方、ガイドローラ15a、15cが凹部14bに落ち込んだ場合には、ガイドローラ15bが凸部14aに乗り上げる。すなわち、第2縦穴21cの位置は、ガイドローラ15a、15cが凸部14a及び凹部14bの一方に当接したタイミングで、ガイドローラ15bが凸部14a及び凹部14bの他方に当接する位置である。
【0039】
上記の実施形態によれば、中支持穴21に沿ってガイドローラ15bが前後方向に移動可能で、且つ中支持穴21の前端位置及び前端位置に選択的にガイドローラ15bを回転可能に固定するので、ガイドローラ15bの位置を容易に変更することができる。その結果、履帯14の種類に合わせて、ガイドローラ15a~15cを最適な位置に配置することができる。
【0040】
一例として、クローラ装置10に鉄クローラ14Fを装着した場合は、ガイドローラ15a~15cを等間隔に配置することによって、鉄クローラ14Fを均等に押圧することができる。他の例として、クローラ装置10にゴムクローラ14Gを装着した場合は、ガイドローラ15a~15cが、同時に凸部14aに乗り上げたり、同時に凹部14bに落ち込んだりしないように配置することによって、油圧ショベル1の走行時の振動を抑制することができる。
【0041】
また、上記の実施形態によれば、U字形状の中支持穴21の前端位置と後端位置とにガイドローラ15bを選択的に固定することによって、履帯14からガイドローラ15bに負荷される上向きの力に対して、ガイドローラ15bを適切に支持することができる。また、ガイドローラ15a、15cを前支持穴20及び後支持穴22の上端位置で支持することによっても、同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
なお、中支持穴21は、U字形状に限定されない。他の例として、
図4(A)の中支持穴21を180°反転させて、小文字のn形状としてもよい。さらに他の例として、第1縦穴21b及び第2縦穴21cを省略して、横穴21aのみで中支持穴21を構成してもよい。また、上記の実施形態では、中央のガイドローラ15bのみを前後方向に移動可能としたが、ガイドローラ15a、15bを前後方向に移動可能に構成してもよい。
【0043】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機
4a ブーム
4b アーム
4c バケット
4d ブームシリンダ
4e アームシリンダ
4f バケットシリンダ
5 旋回フレーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
8 センタフレーム
8a 旋回輪
9L,9R サイドフレーム
9a 上プレート
9b 右プレート
9c 左プレート
10 クローラ装置
11 走行モータ
12 駆動輪
13 従動輪
14 履帯
14F 鉄クローラ
14G ゴムクローラ
14a 凸部
14b 凹部
15a 前ガイドローラ
15b 中ガイドローラ(ガイドローラ)
15c 後ガイドローラ
16 支軸
16a,16b ボルト穴
17 ローラ
18a,18b スペーサ
19a,19b ボルト
20 前支持穴
21 中支持穴(支持穴)
21a 横穴
21b 第1縦穴
21c 第2縦穴
22 後支持穴