(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
B64C 27/26 20060101AFI20241029BHJP
B64C 27/24 20060101ALI20241029BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20241029BHJP
【FI】
B64C27/26
B64C27/24
B64D27/24
(21)【出願番号】P 2021061417
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】三谷 学
(72)【発明者】
【氏名】北 章徳
(72)【発明者】
【氏名】堤 大昂
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06293491(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0115045(US,A1)
【文献】国際公開第2021/006339(WO,A1)
【文献】特表2018-537348(JP,A)
【文献】特開2010-220465(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112078805(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0135425(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0200436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/26
B64C 27/24
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の重心に対して前側且つ右側に配され揚力を発生させる第1VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第1VTOLコンポーネント群と、
前記航空機の前記重心に対して後側且つ左側に配され揚力を発生させる第2VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第2VTOLコンポーネント群と、
前記航空機の前記重心に対して前側且つ左側に配され揚力を発生させる第3VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第3VTOLコンポーネント群と、
前記航空機の前記重心に対して後側且つ右側に配され揚力を発生させる第4VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第4VTOLコンポーネント群と、
推力を発生させる第1クルーズロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第1クルーズコンポーネント群と、
推力を発生させる第2クルーズロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第2クルーズコンポーネント群と、
前記第3VTOLコンポーネント群と前記第4VTOLコンポーネント群とに電力を供給することなく、前記第1VTOLコンポーネント群と前記第2VTOLコンポーネント群と前記第1クルーズコンポーネント群とに電力を供給し得る第1バッテリと、
前記第1VTOLコンポーネント群と前記第2VTOLコンポーネント群とに電力を供給することなく、前記第3VTOLコンポーネント群と前記第4VTOLコンポーネント群と前記第2クルーズコンポーネント群とに電力を供給し得る第2バッテリと、
を備え、
前記第1VTOLロータと前記第2VTOLロータとは、互いに反力を打ち消し合うように、互いに逆方向に回転し、
前記第3VTOLロータと前記第4VTOLロータとは、互いに反力を打ち消し合うように、互いに逆方向に回転する、電力供給システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の電力供給システムであって、
前記第1VTOLロータから前記第1クルーズロータまでの長さ
と前記第
2VTOLロータから前記第1クルーズロータまでの長さとの差は
、前記第1VTOLロータから前記第2クルーズロータまでの長さ
と前記第
2VTOLロータから前記第2クルーズロータまでの長さとの差よりも小さい、電力供給システム。
【請求項3】
請求項
1に記載の電力供給システムであって、
前記第1バッテリは、前記第1バッテリか
ら前記第1VTOLロータを回転させる前記電気コンポーネントまでの配線の長さと、前記第1バッテリか
ら前記第
2VTOLロータを回転させる前記電気コンポーネントまでの配線の長さと、前記第1バッテリから前記第1クルーズロータを回転させる前記電気コンポーネントまでの配線の長さの合計値が、最小となるように配置される、電力供給システム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の電力供給システムであって、
前記第1VTOLコンポーネント群、前記第2VTOLコンポーネント群、前記第3VTOLコンポーネント群、前記第4VTOLコンポーネント群、前記第1クルーズコンポーネント群及び前記第2クルーズコンポーネント群の各々は、電動モータの駆動回路を有する、電力供給システム。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の電力供給システムであって、
前記航空機は、前方向の移動時に揚力を発生させる翼を備える、電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のロータを回転させるための電気コンポーネントに電力を供給する電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動垂直離着陸機(eVTOL機)と称される航空機が示される。この航空機は、複数の離着陸用ロータ(VTOLロータという)と、複数の巡航用ロータ(クルーズロータという)と、を備える。各ロータは、電動モータに接続される。電動モータは、駆動回路(インバータ等)を介して電源に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2020/0115045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、電動モータ、駆動回路等の電気コンポーネントを有するコンポーネント群の詳細が開示されていない。仮に、1つの電動モータに対して1つの電源を設けると、電動モータの数だけ電源及び配線が必要となる。このため、電源及び配線の総重量が重くなる。対して、複数の電動モータに対して1つの電源を設けることで、電源及び配線の総重量は軽くなる。この場合、複数のコンポーネント群を適切に組み合わせたうえで、1つの電源に対して接続することが望ましい。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、1つの電源に対して接続される複数のコンポーネント群を適切に組み合わせた電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、
航空機の重心に対して前側且つ右側に配され揚力を発生させる第1VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第1VTOLコンポーネント群と、
前記航空機の前記重心に対して後側且つ左側に配され揚力を発生させる第2VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第2VTOLコンポーネント群と、
前記航空機の前記重心に対して前側且つ左側に配され揚力を発生させる第3VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第3VTOLコンポーネント群と、
前記航空機の前記重心に対して後側且つ右側に配され揚力を発生させる第4VTOLロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第4VTOLコンポーネント群と、
推力を発生させる第1クルーズロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第1クルーズコンポーネント群と、
推力を発生させる第2クルーズロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなる第2クルーズコンポーネント群と、
前記第3VTOLコンポーネント群と前記第4VTOLコンポーネント群とに電力を供給することなく、前記第1VTOLコンポーネント群と前記第2VTOLコンポーネント群と前記第1クルーズコンポーネント群とに電力を供給し得る第1バッテリと、
前記第1VTOLコンポーネント群と前記第2VTOLコンポーネント群とに電力を供給することなく、前記第3VTOLコンポーネント群と前記第4VTOLコンポーネント群と前記第2クルーズコンポーネント群とに電力を供給し得る第2バッテリと、
を備え、
前記第1VTOLロータと前記第2VTOLロータとは、互いに反力を打ち消し合うように、互いに逆方向に回転し、
前記第3VTOLロータと前記第4VTOLロータとは、互いに反力を打ち消し合うように、互いに逆方向に回転する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つの電源に対して接続される複数のコンポーネント群を適切に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は電力供給システムにおける各々のロータ及び各々のコンポーネント群の配置を示す図である。
【
図3】
図3は電力供給システムの回路を示す図である。
【
図4】
図4は電力供給システムの制御ブロックを示す図である。
【
図5】
図5は離陸後の
飛行時間とインバータの入力電力を示す図である。
【
図6】
図6は飛行状態の変化に伴う揚力を発生させる主体の変化を示す図である。
【
図7】
図7は電力供給システムにおける各々のロータ及び各々のコンポーネント群の配置を示す図である。
【
図8】
図8は電力供給システムの回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電力供給システムについて、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[1 航空機10の構成]
図1を用いて航空機10の構成を説明する。本実施形態では、航空機10として、駆動源を電動モータ26(
図2)とするロータで揚力及び推力を発生させる電動垂直離着陸機(eVTOL機)を想定する。更に、本実施形態では、航空機10として、ハイブリッド航空機を想定する。ハイブリッド航空機は、バッテリ32(
図2)から供給される電力で電動モータ26を動作させることができ、モータジェネレータ42(
図3)から供給される電力で電動モータ26を動作させることができる。また、ハイブリッド航空機は、バッテリ32を充電することができる。
【0012】
航空機10は、胴体12と、前翼14と、後翼16と、2つのブーム18と、8つのVTOLロータ20と、2つのクルーズロータ22と、を備える。
【0013】
前翼14は、胴体12の前部に接続され、航空機10が前方へ移動するときに揚力を発生させるように構成される。後翼16は、胴体12の後部に接続され、航空機10が前方へ移動するときに揚力を発生させるように構成される。
【0014】
2つのブーム18は、胴体12の右方に配置される右側のブーム18Rと、胴体12の左方に配置される左側のブーム18Lと、からなる。2つのブーム18は、前翼14及び後翼16に接続され、前翼14及び後翼16を介して胴体12に接続される。ブーム18R及びブーム18Lは、ともに4つのVTOLロータ20を支持する。
【0015】
VTOLロータ20は、航空機10の垂直離陸時、垂直離陸から巡航への移行時、巡航から垂直着陸への移行時、垂直着陸時、及び、停止飛行時に使用される。VTOLロータ20の回転軸は上下方向と平行になるように配置される。VTOLロータ20は、回転軸を中心にして回転して揚力を発生させる。
【0016】
8つのVTOLロータ20は、胴体12の右方に配置される4つのVTOLロータ20Ra~20Rdと、胴体12の左方に配置される4つのVTOLロータ20La~20Ldと、からなる。右側のVTOLロータ20Ra~20Rdは、ブーム18Rによって支持される。右側のVTOLロータ20Ra~20Rdは、前から後に向かってVTOLロータ20Ra、VTOLロータ20Rb、VTOLロータ20Rc、VTOLロータ20Rdの順で配置される。左側のVTOLロータ20La~20Ldは、ブーム18Lによって支持される。左側のVTOLロータ20La~20Ldは、前から後に向かってVTOLロータ20La、VTOLロータ20Lb、VTOLロータ20Lc、VTOLロータ20Ldの順で配置される。右側のVTOLロータ20Ra~20Rdと左側のVTOLロータ20La~20Ldは、胴体12の中心軸線Aを含む垂直平面を中心にして左右対称に配置される。なお、右側のVTOLロータ20Ra~20Rdと左側のVTOLロータ20La~20Ldは、機体の重心Gに対して点対称になるように配置されていても良い。
【0017】
クルーズロータ22は、航空機10の巡航時、垂直離陸から巡航への移行時、及び、巡航から垂直着陸への移行時に使用される。クルーズロータ22の回転軸は前後方向と平行になるように配置される。クルーズロータ22は、回転軸を中心にして回転して推力を発生させる。
【0018】
2つのクルーズロータ22は、胴体12の右側に配置されるクルーズロータ22Rと、胴体12の左側に配置されるクルーズロータ22Lと、からなる。2つのクルーズロータ22は、胴体12によって支持される。2つのクルーズロータ22は、胴体12の中心軸線Aを含む垂直平面を中心にして左右対称に配置される。
【0019】
航空機10は、VTOLロータ20及びクルーズロータ22を回転させるための駆動機構(不図示)及び電力供給システム23(
図2及び
図3)を有する。
【0020】
[2 電力供給システム23の構成]
図2及び
図3を用いて電力供給システム23の構成を説明する。
図2で示されるように、各々のVTOLロータ20に対しては、1組のコンポーネント群24が設けられる。各々のクルーズロータ22に対しては、2組のコンポーネント群24が設けられる。
図2及び
図3で示される電力供給システム23は、12組のコンポーネント群24を有する。また、この電力供給システム23は、3組のコンポーネント群24と1つのバッテリ32を1グループとする4つのグループ(第1グループG1~第4グループG4)を有する。各々のコンポーネント群24は、複数の電気コンポーネント、ここでは電動モータ26と、インバータ28(INV)と、第1平滑コンデンサ30と、を含む。電動モータ26は、インバータ28と第1平滑コンデンサ30を介してバッテリ32に接続される。
【0021】
電動モータ26は、三相モータである。電動モータ26の出力軸は、対応するロータ(VTOLロータ20又はクルーズロータ22)の回転軸に連結される。インバータ28は、IGBT等の複数のスイッチング素子を有する。インバータ28の一次側端子は、第1平滑コンデンサ30及びバッテリ32に接続される。インバータ28の二次側端子は、電動モータ26に接続される。インバータ28は、一次側端子に入力された直流の電力を三相交流の電力に変換して二次側端子から出力する。以上の構成により、各々の電動モータ26は、バッテリ32から供給される電力によって動作する。
【0022】
図3で示されるように、インバータ28の一次側端子、第1平滑コンデンサ30及び各々のバッテリ32(32a~32d)は、スイッチ36と、第2平滑コンデンサ38と、パワーコントロールユニット40(PCU40)を介してモータジェネレータ42に接続される。
【0023】
モータジェネレータ42は、三相モータとして機能するとともに、三相発電機としても機能する。モータジェネレータ42の回転軸は、エンジン44(ENG)の出力軸に連結される。PCU40は、インバータ回路を有する。PCU40の一次側端子は、モータジェネレータ42に接続される。PCU40の二次側端子は、第2平滑コンデンサ38に接続される。更にPCU40の二次側端子は、スイッチ36を介してバッテリ32及びインバータ28の一次側端子に接続される。PCU40は、一次側端子に入力された三相交流の電力をインバータ回路で直流電力に変換して二次側端子から出力する。また、PCU40は、二次側端子に入力された直流の電力をインバータ回路で三相交流の電力に変換して一次側端子から出力する。スイッチ36は、IGBT等のスイッチング素子とダイオードとで構成される。スイッチ36は、PCU40側からバッテリ32側への電力の供給を常時許容し、バッテリ32側からPCU40側への電力の供給をオン操作時に許容するように配置される。以上の構成により、モータジェネレータ42は、発電した電力をバッテリ32及びインバータ28に出力し得る。また、モータジェネレータ42は、スイッチ36がオンの場合に、バッテリ32から供給される電力によって動作して、エンジン44を起動し得る。エンジン44としては、レシプロエンジン及びガスタービンエンジン等の周知の内燃機関を使用可能である。なお、PCU40は、DC/DCコンバータ回路を有していても良い。
【0024】
なお、
図2及び
図3は、電力供給システム23を簡略化して示している。電力供給システム23は、他の電気コンポーネントも含んでいる。図示されない電気コンポーネントとしては、例えば、電動モータ26以外の電気的負荷、抵抗、コイル、コンデンサ、各種センサ類、ヒューズ、リレー、ブレーカ等がある。
【0025】
図4に示されるように、航空機10には、コントローラ48が設けられる。コントローラ48は、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、ASIC、FPGA等の集積回路によって構成される。例えば、プロセッサはメモリに記憶されるプログラムを実行することによって各種機能を実現する。コントローラ48は、各々のインバータ28のスイッチング素子と、各々のスイッチ36のスイッチング素子と、パワーコントロールユニット40のスイッチング素子に制御信号を出力し、各々のスイッチング素子の動作を制御する。
【0026】
[3 電力供給システム23の動作]
図2及び
図3を用いて電力供給システム23の動作を説明する。航空機10の始動時、コントローラ48は、乗員の操作に応じて、少なくとも1つのスイッチ36をオンにするとともに、PCU40の各々のスイッチング素子の動作を制御する。すると、少なくとも1つのバッテリ32(32a~32d)からモータジェネレータ42にPCU40を介して電力が供給される。このとき、PCU40は、バッテリ32から供給される直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ42に出力する。電力が供給されることによってモータジェネレータ42は動作し、エンジン44を起動する。
【0027】
エンジン44の起動後、エンジン44の動作によってモータジェネレータ42は発電する。この状態で、モータジェネレータ42から各々のグループのバッテリ32及びコンポーネント群24にPCU40を介して電力が供給され得る。このとき、PCU40は、モータジェネレータ42が発電する交流電力を直流電力に変換して各々のバッテリ32及びコンポーネント群24に出力する。インバータ28は、PCU40から出力される直流電力又はバッテリ32から供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータ26に出力する。電力が供給されることによって電動モータ26は動作し、ロータ(VTOLロータ20又はクルーズロータ22)は回転する。
【0028】
バッテリ32の電力で電動モータ26を回転させる場合、基本的には各々のスイッチ36のスイッチング素子はオフにされている。このため、1つのグループのバッテリ32から他のグループのコンポーネント群24に電力が供給されることはない。しかし、スイッチ36のスイッチング素子をオンにして、1つのグループのバッテリ32から他のグループのコンポーネント群24に電力を供給することも可能である。
【0029】
[4 コンポーネント群24とバッテリ32のグループ分けの一例]
図2及び
図3で示されるように、電力供給システム23において、複数のコンポーネント群24と複数のバッテリ32は、3つのコンポーネント群24と1つのバッテリ32とを含む4つのグループ(第1グループG1~第4グループG4)にグループ分けされている。同一グループ内の複数のコンポーネント群24は、同一グループ内の1つのバッテリ32から電力を供給される。なお、ここでいう1つのバッテリ32は、1つのバッテリモジュール、又は、複数のバッテリモジュールから構成される。各々のグループのバッテリ32は、他のグループのバッテリ32から独立している。
【0030】
第1グループG1は、VTOLロータ20Raに対応するコンポーネント群24Raと、VTOLロータ20Ldに対応するコンポーネント群24Ldと、クルーズロータ22Rに対応するコンポーネント群24R1と、バッテリ32aと、を含む。第1グループG1の各々の電気コンポーネントは、配線34aで接続される。
【0031】
第2グループG2は、VTOLロータ20Laに対応するコンポーネント群24Laと、VTOLロータ20Rdに対応するコンポーネント群24Rdと、クルーズロータ22Lに対応するコンポーネント群24L1と、バッテリ32bと、を含む。第2グループG2の各々の電気コンポーネントは、配線34bで接続される。
【0032】
第3グループG3は、VTOLロータ20Rbに対応するコンポーネント群24Rbと、VTOLロータ20Lcに対応するコンポーネント群24Lcと、クルーズロータ22Rに対応するコンポーネント群24R2と、バッテリ32cと、を含む。第3グループG3の各々の電気コンポーネントは、配線34cで接続される。
【0033】
第4グループG4は、VTOLロータ20Lbに対応するコンポーネント群24Lbと、VTOLロータ20Rcに対応するコンポーネント群24Rcと、クルーズロータ22Lに対応するコンポーネント群24L2と、バッテリ32dと、を含む。第4グループG4の各々の電気コンポーネントは、配線34dで接続される。
【0034】
冗長化のために、コンポーネント群24R1の電動モータ26と、コンポーネント群24R2の電動モータ26は、同一のクルーズロータ22Rに接続される。通常は、コンポーネント群24R1、24R2が共にクルーズロータ22Rを回転させるために使用される。そして、一方のコンポーネント群24が故障した場合に、他方のコンポーネント群24がクルーズロータ22Rを回転させるために使用される。同様に、コンポーネント群24L1の電動モータ26と、コンポーネント群24L2の電動モータ26は、同一のクルーズロータ22Lに接続される。
【0035】
[4.1 グループ分けの理由(1)]
バッテリ32の削減という観点では、1つのバッテリ32を全てのコンポーネント群24で共用することが考えられる。しかし、この場合は、大容量のバッテリ32が必要となる等、他の問題が発生する。このため、バッテリ32をある程度分けた方が好ましい。更に、コンポーネント群24とバッテリ32を効率的に組み合わせることが好ましい。本実施形態では、次の理由から複数のコンポーネント群24と複数のバッテリ32とが4つのグループ(第1グループG1~第4グループG4)に分けられている。
【0036】
図1で示されるように、本実施形態においては、重心Gを中心にして互いに対称となる位置に配置される2つのVTOLロータ20は、互いに回転方向が逆である。例えば、右側のVTOLロータ20Raの回転方向はR1である。この回転方向は、VTOLロータ20Raと対をなす左側のVTOLロータ20Ldの回転方向(R2)と逆である。また、左側のVTOLロータ20Laの回転方向はR2である。この回転方向は、VTOLロータ20Laと対をなす右側のVTOLロータ20Rdの回転方向(R1)と逆である。また、右側のVTOLロータ20Rbの回転方向はR2である。この回転方向は、VTOLロータ20Rbと対をなす左側のVTOLロータ20Lcの回転方向(R1)と逆である。また、左側のVTOLロータ20Lbの回転方向はR1である。この回転方向は、VTOLロータ20Lbと対をなす右側のVTOLロータ20Rcの回転方向(R2)と逆である。
【0037】
VTOLロータ20が回転すると、ロータブレードによって推力及び反力(トルク反力)が生成される。上記のように、対をなす2つのVTOLロータ20を互いに逆方向に回転させることで、機体に発生する反力を打ち消すことができる。
【0038】
例えば、1つのVTOLロータ20に関連する電気系統又は機械系統が故障すると、そのVTOLロータ20は停止する。この場合、停止したVTOLロータ20と対をなす他のVTOLロータ20を回転させたままにすると、他のVTOLロータ20が発生させる反力が打ち消されずに機体に作用する。すると、機体にヨーモーメントが発生する。また、停止したVTOLロータ20と対をなす他のVTOLロータ20を回転させたままにすると、左右のVTOLロータ20の推力のバランスが崩れる。すると、機体にロールモーメントとピッチングモーメントが発生する。このような事態を避けるために、対をなす一方のVTOLロータ20が故障等で停止した場合は、他方のVTOLロータ20を停止させる必要がある。このようにすることで、反力(トルク反力)のバランスが崩れることに起因するヨーモーメント、及び、推力のバランスが崩れることに起因するロールモーメントとピッチングモーメントを抑制することができる。
【0039】
このようなことから、複数のコンポーネント群24でバッテリ32を共用する場合には、対をなす2つのVTOLロータ20に対応する2つのコンポーネント群24でバッテリ32を共用することが効率的である。従って、本実施形態では、対をなす2つのVTOLロータ20に対応する2つのコンポーネント群24と、1つのバッテリ32と、が同一グループにまとめられている。
【0040】
なお、互いに反力を打ち消し合う2つのVTOLロータ20は、上記例とは別の組み合わせであっても良い。例えば、VTOLロータ20RaとVTOLロータ20Laのように、左右に隣り合う2つのVTOLロータ20が対をなしていても良い。また、VTOLロータ20RaとVTOLロータ20Rcのように、1つのVTOLロータ20を挟んで前後に並ぶ2つのVTOLロータ20が対をなしていても良い。他に、回転方向が互いに逆方向となる2つのVTOLロータ20が対をなしていても良い。なお、上記思想に基づいて、
図1で示されるVTOLロータ20以外のロータに対しても、各ロータの回転方向を設定することによって、対となるロータの組み合わせを設定することが可能である。
【0041】
[4.2 グループ分けの理由(2)]
図5で示される横軸は、航空機10の飛行時間[s]である。
図5で示される縦軸は、バッテリ32又はモータジェネレータ42からインバータ28に入力される電力[W]である。
【0042】
図5では3つの電力の時間経過に伴う変化が第1推移50~第3推移54として示される。第1推移50は、2つのVTOLロータ20に対応する2つのインバータ28の入力電力の推移を示す。2つのVTOLロータ20というのは、対をなす2つのVTOLロータ20である(上記[4.1]参照)。第2推移52は、1つのクルーズロータ22に対応する1つのインバータ28の入力電力の推移を示す。第3推移54は、第1推移50の入力電力と第2推移52の入力電力の合計値の推移を示す。
【0043】
時点t1~時点t2の飛行状態は垂直離陸である。この時間帯では、基本的に、VTOLロータ20が使用され、クルーズロータ22は使用されない。このため、第1推移50で示されるように、VTOLロータ20に対応するインバータ28の入力電力は大きい。一方、第2推移52で示されるように、クルーズロータ22に対応するインバータ28の入力電力は小さい。
【0044】
時点t2~時点t3の飛行状態は垂直離陸から巡航への移行である。この時間帯では、基本的に、VTOLロータ20の使用率が徐々に減らされ、クルーズロータ22の使用率が徐々に増やされる。このため、第1推移50で示されるように、VTOLロータ20に対応するインバータ28の入力電力は徐々に小さくなる。一方、第2推移52で示されるように、クルーズロータ22に対応するインバータ28の入力電力は徐々に大きくなる。
【0045】
時点t3以降の飛行状態は巡航である。この時間帯では、基本的に、クルーズロータ22が使用され、VTOLロータ20は使用されないか又は若干使用される程度である。このため、第2推移52で示されるように、クルーズロータ22に対応するインバータ28の入力電力は大きい。一方、第1推移50で示されるように、VTOLロータ20に対応するインバータ28の入力電力は小さい。
【0046】
なお、
図6で示されるように、垂直離陸時に必要な揚力は、VTOLロータ20の回転によって得られる(ロータリフト)。一方、垂直離陸から巡航への移行時に必要な揚力は、VTOLロータ20の回転によって得られるとともに、翼(前翼14及び後翼16)によって得られる。翼によって得られる揚力(ウイングリフト)は、移動速度の増加に伴い大きくなる。巡航時に必要な揚力は、翼によって得られる。VTOLロータ20の回転で揚力を発生させる垂直離陸時(及び垂直着陸時)に、VTOLロータ20に対応するインバータ28の入力電力は大きい。一方、翼で揚力を発生させる巡航時に、VTOLロータ20に対応するインバータ28の入力電力は比較的小さい。
【0047】
航空機10の離陸から巡航までの間(時点t1~時点t3)及び巡航している間(時点t3以降)、第3推移54の最大値は、第1推移50の最大値及び第2推移52の最大値と大きな差はない。つまり、1つのバッテリ32を、2つのVTOLロータ20に対応する2つのコンポーネント群24と、1つのクルーズロータ22に対応する1つのコンポーネント群24と、で共用することができる。こうしたことから、本実施形態では、対をなす2つのVTOLロータ20に対応する2つのコンポーネント群24と、1つのクルーズロータ22に対応する1つのコンポーネント群24と、1つのバッテリ32と、が同一グループにまとめられている。
【0048】
[4.3 クルーズロータ22のコンポーネント群24の組み合わせ方]
各グループは、対をなす2つのVTOLロータ20に対応する2つのコンポーネント群24と、1つのクルーズロータ22に対応するコンポーネント群24と、の組み合わせによって構成される。クルーズロータ22は、左右に1つずつ設けられている。各グループにおいて、クルーズロータ22Rに対応するコンポーネント群24R1、24R2と、クルーズロータ22Lに対応するコンポーネント群24L1、24L2のいずれを組み合わせるかは、次の考え方で決められている。
【0049】
対をなす2つのVTOLロータ20のうち、一方のVTOLロータ20から右側のクルーズロータ22Rまでの長さと、他方のVTOLロータ20から右側のクルーズロータ22Rまでの長さと、の差をD1とする。また、一方のVTOLロータ20から左側のクルーズロータ22Lまでの長さと、他方のVTOLロータ20から左側のクルーズロータ22Lまでの長さと、の差をD2とする。各グループでは、差が小さくなる組み合わせが採用されている。
【0050】
例えば、第1グループG1で説明する。VTOLロータ20Raから右側のクルーズロータ22Rまでの長さと、VTOLロータ20Ldから右側のクルーズロータ22Rまでの長さと、の差をD1とする。一方、VTOLロータ20Raから左側のクルーズロータ22Lまでの長さと、VTOLロータ20Ldから左側のクルーズロータ22Lまでの長さと、の差をD2とする。D1はD2よりも小さい。従って、第1グループG1は、コンポーネント群24Raと、コンポーネント群24Ldと、コンポーネント群24R1と、の組み合わせによって構成される。他のグループも同じである。このようにすることで、同一グループ内で2つのコンポーネント群24の距離の偏りが少なくなる。
【0051】
[4.4 バッテリ32の位置]
バッテリ32は、配線34の長さが最小となるように配置される。例えば第1グループG1で説明する。バッテリ32aから一方のVTOLロータ20Raを回転させる電動モータ26までの配線34aの長さをL1とする。バッテリ32aから他方のVTOLロータ20Ldを回転させる電動モータ26までの配線34aの長さをL2とする。バッテリ32aからクルーズロータ22Rを回転させる電動モータ26までの配線34aの長さをL3とする。この場合、バッテリ32aは、長さの合計値L1+L2+L3が最小となるように配置される。
【0052】
[5 コンポーネント群24とバッテリ32のグループ分けの別例]
図2及び
図3で示される例とは別のグループ分けも可能である。例えば、
図7及び
図8で示されるようなグループ分けでも良い。この例において、複数のコンポーネント群24と複数のバッテリ32は、第1グループG1~第4グループG4にグループ分けされている。第1グループG1と第2グループG2は、4つのコンポーネント群24と1つのバッテリ32とを含む。第3グループG3と第4グループG4は、2つのコンポーネント群24と1つのバッテリ32とを含む。
【0053】
図7及び
図8で示される例とは別のグループ分けも可能である。例えば、VTOLロータ20に対応する1つのコンポーネント群24と、1つのクルーズロータ22に対応する1つのコンポーネント群24と、1つのバッテリ32と、が同一グループにまとめられていても良い。
【0054】
[6 その他の実施形態]
上記実施形態では、8つのVTOLロータ20と2つのクルーズロータ22を有する航空機10を例にして、電力供給システム23を説明した。しかし、電力供給システム23は、ロータの数が異なる他の航空機10に設けることも可能である。例えば、電力供給システム23は、2つ以上のVTOLロータ20を有する航空機10に設けることも可能である。その場合も同様に、対となる2つのVTOLロータ20に対応する2つのコンポーネント群24と、1つのバッテリ32と、を同一グループにしても良い。また、航空機10がクルーズロータ22を有する場合、1以上のVTOLロータ20に対応する1以上のコンポーネント群24と、クルーズロータ22に対応するコンポーネント群24と、1つのバッテリ32と、を同一グループにしても良い。
【0055】
電力供給システム23は、
図3及び
図8で示される回路以外の回路であっても良い。要するに、上記したような組み合わせで各々のコンポーネント群24が組み合わされていれば良く、電力供給システム23の回路は問わない。
【0056】
なお、本発明は、エンジン44とモータジェネレータ42を有するハイブリッド航空機の他に、エンジン44とモータジェネレータ42を有さない電動航空機にも適用可能である。一例として、
図3及び
図8で示される回路において、第2平滑コンデンサ38~エンジン44の構成がなくても良い。この場合、必要に応じて各々のスイッチ36を切り替えることで、あるグループのバッテリ32から他のグループへ電力を供給することが可能となる。別例として、
図3及び
図8で示される回路において、第2平滑コンデンサ38~エンジン44の構成に加えて、各グループのスイッチ36がなくても良い。この場合、各々のグループは、互いに絶縁されている。
【0057】
上記実施形態の電力供給システム23は、チルトロータを有する航空機10に対して設けられても良い。
【0058】
[7 実施形態から得られる技術的思想]
上記実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0059】
本発明の第1の態様は、
航空機10の揚力と推力の少なくとも一方を発生させるロータと、
前記ロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなるコンポーネント群24と、
複数の前記電気コンポーネントに電力を供給するバッテリ32と、
を備える電力供給システム23であって、
前記ロータとして、前記航空機10の垂直方向の移動時に揚力を発生させるVTOLロータ20と、前記航空機10の水平方向の移動時に推力を発生させるクルーズロータ22と、を有し、
前記コンポーネント群24として、前記VTOLロータ20に対応するVTOLコンポーネント群(例えばコンポーネント群24Ra)と、前記クルーズロータ22に対応するクルーズコンポーネント群(例えばコンポーネント群24R1)と、を有し、
前記VTOLコンポーネント群と前記クルーズコンポーネント群は、同じ前記バッテリ32から電力を供給される。
【0060】
VTOLロータ20は、主に垂直離陸時と垂直着陸時に使用される。一方、クルーズロータ22は、主に巡航時に使用される。このため、VTOLロータ20に対応するコンポーネント群24の第1入力電力と、クルーズロータ22に対応するコンポーネント群24の第2入力電力と、の合計値の最大値は、第1入力電力の最大値及び第2入力電力の最大値と比較して大きな差はない。従って、バッテリ32を、VTOLロータ20に対応するコンポーネント群24と、クルーズロータ22に対応するコンポーネント群24と、で共用したとしても、バッテリ32の出力と容量とを大きく増加させる必要はない。こうしたことから、回路の簡素化及びバッテリ32の小型化という観点では、VTOLロータ20に対応するコンポーネント群24と、クルーズロータ22に対応するコンポーネント群24と、バッテリ32と、の組み合わせは適切である。
【0061】
本発明の第2の態様は、
航空機10の揚力と推力の少なくとも一方を発生させるロータと、
前記ロータを回転させる複数の電気コンポーネントからなるコンポーネント群24と、
複数の前記電気コンポーネントに電力を供給するバッテリ32と、
を備える電力供給システム23であって、
前記ロータとして、前記航空機10の垂直方向の移動時に揚力を発生させ且つ互いに反力を打ち消しあう第1及び第2VTOLロータ(例えばVTOLロータ20Ra、VTOLロータ20Ld)及び第3及び第4VTOLロータ(例えばVTOLロータ20La、VTOLロータ20Rd)と、前記航空機10の水平方向の移動時に推力を発生させる第1クルーズロータ(例えばクルーズロータ22R)及び第2クルーズロータ(例えばクルーズロータ22L)と、を有し、
前記コンポーネント群として、前記第1及び第2VTOLロータに対応する第1及び第2VTOLコンポーネント群(例えばコンポーネント群24Ra、24Ld)と、前記第3及び第4VTOLロータに対応する第3及び第4VTOLコンポーネント群(例えばコンポーネント群24La、24Rd)と、前記第1クルーズロータに対応する第1クルーズコンポーネント群(例えばコンポーネント群24R1)と、前記第2クルーズロータに対応する第2クルーズコンポーネント群(例えばコンポーネント群24L1)と、を有し、
前記バッテリ32として、第1バッテリ(例えばバッテリ32a)と、第2バッテリ(例えばバッテリ32b)と、を有し、
前記第1及び第2VTOLコンポーネント群と前記第1クルーズコンポーネント群は、前記第1バッテリから電力を供給され、前記第3及び第4VTOLコンポーネント群と前記第2クルーズコンポーネント群は、前記第2バッテリから電力を供給される。
【0062】
上記したように、回路の簡素化及びバッテリ32の小型化という観点では、VTOLロータ20に対応するコンポーネント群24と、クルーズロータ22に対応するコンポーネント群24と、バッテリ32と、の組み合わせは適切である。
【0063】
本発明の第2の態様において、
前記第1VTOLロータ(例えばVTOLロータ20Ra)から前記第1クルーズロータ(例えばクルーズロータ22R)までの長さと前記第2VTOLロータ(例えばVTOLロータ20Ld)から前記第1クルーズロータ(例えばクルーズロータ22R)までの長さとの差(D1)は、前記第1VTOLロータ(例えばVTOLロータ20Ra)から前記第2クルーズロータ(例えばクルーズロータ22L)までの長さと前記第2VTOLロータ(例えばVTOLロータ20Ld)から前記第2クルーズロータ(例えばクルーズロータ22L)までの長さとの差(D2)よりも小さくても良い。
【0064】
上記構成によれば、同一グループ内で2つのコンポーネント群24の距離の偏りが少ない。このため、同一グループ内で配線34の長さの偏りが少ない。従って、バッテリ32を適切な位置に配置することによって、配線34の抵抗差を小さくすることができる。
【0065】
本発明の第2の態様において、
前記第1バッテリ(例えばバッテリ32a)は、前記第1バッテリから前記第1VTOLロータ(例えばVTOLロータ20Ra)を回転させる前記電気コンポーネント(電動モータ26)までの配線34の長さ(L1)と、前記第1バッテリから前記第2VTOLロータ(例えばVTOLロータ20Ld)を回転させる前記電気コンポーネント(電動モータ26)までの配線34の長さ(L2)と、前記第1バッテリから前記第1クルーズロータ(例えばクルーズロータ22R)を回転させる前記電気コンポーネント(電動モータ26)までの配線34の長さ(L3)の合計値(L1+L2+L3)が、最小となるように配置されても良い。
【0066】
上記構成によれば、配線34の抵抗差を小さくすることができる。
【0067】
本発明の第1、第2の態様において、
各々の前記コンポーネント群24は、電動モータ26の駆動回路(インバータ28)を有しても良い。
【0068】
本発明の第1、第2の態様において、
前記航空機10は、前方向の移動時に揚力を発生させる翼(前翼14、後翼16)を備えても良い。
【0069】
なお、本発明に係る電力供給システムは、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0070】
10…航空機
14…前翼(翼)
16…後翼(翼)
20、20La~20Ld、20Ra~20Rd…VTOLロータ
22、22L、22R…クルーズロータ(ロータ、第1クルーズロータ、第2クルーズロータ)
23…電力供給システム
24、24L1、24L2、24La~24Ld、24R1、24R2、24Ra~24Rd…コンポーネント群
26…電動モータ(電気コンポーネント)
28…インバータ(電気コンポーネント、駆動回路)
32、32a~32d…バッテリ
34、34a~34d…配線