(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20241029BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20241029BHJP
H01F 27/33 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01F27/29 G
H01F27/24 H
H01F27/33
(21)【出願番号】P 2021065381
(22)【出願日】2021-04-07
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石井 高志
(72)【発明者】
【氏名】工藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋史
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-135291(JP,A)
【文献】特開昭60-214510(JP,A)
【文献】米国特許第4717901(US,A)
【文献】実開昭59-171315(JP,U)
【文献】特開平9-213534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00
H01F 27/02
H01F 27/06
H01F 27/08
H01F 27/23-27/30
H01F 27/32-27/42
H01F 30/00-38/12
H01F 38/16
H01F 38/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤが巻回される巻芯部と、前記巻芯部の軸方向の一方側の第1端部に設けられた第1鍔部と、前記巻芯部の軸方向の他方側の第2端部に設けられた第2鍔部とを具備する内部コアと、
前記内部コアが挿通する挿通孔が形成されており、前記内部コアの外側に配置される外装コアと、
前記外装コアに設けられ、前記ワイヤの各リード部がそれぞれ接続される一対の端子部と、を有し、
前記巻芯部の軸方向の一方側では、前記巻芯部の軸方向の他方側に比べて、前記巻芯部の径方向に沿う前記ワイヤのターン数が多くなっており、
前記ワイヤの巻き終わり位置は、前記ワイヤの巻き始め位置とともに、前記巻芯部の軸方向の一方側の第1端部に位置するコイル装置。
【請求項2】
前記巻芯部の軸方向の一方側から他方側にかけて、前記巻芯部の径方向に沿って前記ワイヤが2ターン以上で巻回されており、
前記巻芯部の軸方向の一方側では、前記巻芯部の径方向に沿って前記ワイヤが3ターン以上で巻回されている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記巻芯部の軸方向の一方側から他方側にかけて、前記巻芯部の径方向に沿って前記ワイヤが2ターン以上で巻回されており、
前記巻芯部の前記第2端部には、前記ワイヤが巻回されていない請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記第1鍔部の内面と隣り合う位置で、前記巻芯部の前記第1端部に巻き始められている請求項1~3のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項5】
前記ワイヤの巻き終わり位置は、前記ワイヤの巻き始め位置に対して、前記巻芯部の軸方向の他方側に位置ずれしている請求項1~4のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項6】
前記第1鍔部の外周面は、樹脂を介して、前記外装コアの内周面に接合されており、
前記第2鍔部の外周面と前記外装コアの内周面との間にはギャップが形成されている請求項1~5のいずれかに記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、ワイヤが巻回される内部コアと内部コアの外側に配置される外装コアとを有するコイル装置が知られている。特許文献1に記載のコイル装置では、外装コアと内部コアとは、所定の間隔をあけて固定されており、外装コアに設けられた端子部を介して基板に実装される。
【0003】
ところで、この種のコイル装置では、基板実装後において、内部コアと外装コアとの間の磁気的な引き付け合いにより音鳴きが発生する場合がある。特に、内部コアが外装コアの内部に収容された状態において、内部コアが外装コアに対して傾斜していると、内部コアと外装コアとの間の間隔が局所的に小さくなる結果、内部コアと外装コアとの間の磁気的な引きつけ合いが強くなり、音鳴きが顕著になるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、音鳴きを低減することが可能なコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
ワイヤが巻回される巻芯部と、前記巻芯部の軸方向の一方側の第1端部に設けられた第1鍔部と、前記巻芯部の軸方向の他方側の第2端部に設けられた第2鍔部とを具備する内部コアと、
前記内部コアが挿通する挿通孔が形成されており、前記内部コアの外側に配置される外装コアと、
前記外装コアに設けられ、前記ワイヤの各リード部がそれぞれ接続される一対の端子部と、を有し、
前記巻芯部の軸方向の一方側では、前記巻芯部の軸方向の他方側に比べて、前記巻芯部の径方向に沿う前記ワイヤのターン数が多くなっており、
前記ワイヤの巻き終わり位置は、前記ワイヤの巻き始め位置とともに、前記巻芯部の軸方向の一方側の第1端部に位置する。
【0007】
本発明に係るコイル装置では、ワイヤの巻き終わり位置が、ワイヤの巻き始め位置とともに、巻芯部の軸方向の一方側の第1端部に位置する。そのため、ワイヤを巻芯部に巻回した後は、リード部を、ワイヤの巻き終わり位置から巻芯部の軸方向に直交する方向に引き出した状態で、端子部に接続することが可能である。例えば、ワイヤの巻き終わり位置が第1端部から巻芯部の他方側に離間した位置に位置する場合、リード部を端子部に接続するためには、リード部を端子部に向けて斜めに引き出す必要があるが、この場合、リード部が外装コアの上端部に接触し、ワイヤが巻回された内部コアが外装コアに対して傾斜するといった不具合が発生するおそれがある。これに対して、本発明に係るコイル装置では、リード部は巻芯部の軸方向に直交する方向に引き出されるため、このような不具合の発生を防止することが可能であり、内部コアと外装コアとの間の間隔を一定に維持し、音鳴きを低減することができる。
【0008】
また、内部コアが外装コアに対して傾斜すると、コイル装置のインダクタンス値が低下するおそれがあるが、本発明に係るコイル装置では、このような不具合の発生を防止することが可能であるため、良好なインダクタンス特性を有するコイル装置を実現することができる。
【0009】
また、本発明に係るコイル装置では、巻芯部の軸方向の一方側では、巻芯部の軸方向の他方側に比べて、巻芯部の径方向に沿うワイヤのターン数が多くなっている。そのため、コイル装置を基板に実装したときに、巻芯部の軸方向の一方側を安定させることが可能となり、基板等の振動を抑制し、音鳴きを低減することができる。
【0010】
また、本発明では、コイル装置の製造工程において、下記のような効果を得ることができる。上述したように、リード部を端子部に向けて斜めに引き出す場合、ワイヤが巻回された内部コアを外装コアに組み込むにあたり、予めリード部に対して曲げ加工を施しておく必要がある。これに対して、本発明に係るコイル装置では、リード部は巻芯部の軸方向に直交する方向に引き出されるため、リード部に対して曲げ加工を施す必要がなく、コイル装置の組み立てが容易である。
【0011】
前記巻芯部の軸方向の一方側から他方側にかけて、前記巻芯部の径方向に沿って前記ワイヤが2ターン以上で巻回されており、前記巻芯部の軸方向の一方側では、前記巻芯部の径方向に沿って前記ワイヤが3ターン以上で巻回されていてもよい。このような構成とすることにより、巻芯部の軸方向の一方側において、巻芯部の径方向に沿うワイヤのターン数を局所的に多くすることが可能となり、基板等の振動を効果的に抑制することができる。
【0012】
前記巻芯部の軸方向の一方側から他方側にかけて、前記巻芯部の径方向に沿って前記ワイヤが2ターン以上で巻回されており、前記巻芯部の前記第2端部には、前記ワイヤが巻回されていなくてもよい。このような構成とした場合、巻芯部の軸方向の他方側において、巻芯部の径方向に沿うワイヤのターン数が局所的に少なくなる。すなわち、相対的に見て、巻芯部の軸方向の一方側において、巻芯部の径方向に沿うワイヤのターン数を多くすることが可能となり、上述した効果を得ることができる。
【0013】
好ましくは、前記ワイヤは、前記第1鍔部の内面と隣り合う位置で、前記巻芯部の前記第1端部に巻き始められている。このような構成とすることにより、リード部を、ワイヤの巻き始め位置から巻芯部の軸方向に直交する方向に引き出した状態で、端子部に接続することが可能となる。この場合、ワイヤが巻回された内部コアは、巻き始め位置および巻き終わり位置の各々から引き出される各リード部によって、巻芯部の軸方向に直交する方向に引っ張られることになり、各リード部から受ける張力によって内部コアの姿勢が安定する。そのため、内部コアが外装コアに対して傾斜するといった不具合の発生を有効に防止することが可能となり、音鳴きを効果的に低減することができる。
【0014】
好ましくは、前記ワイヤの巻き終わり位置は、前記ワイヤの巻き始め位置に対して、前記巻芯部の軸方向の他方側に位置ずれしている。前述のように、第1鍔部の内面と接する位置で巻芯部の第1端部にワイヤを巻き始めたとしても、巻回していくうちに、第1鍔部の内面と隣接する位置には隙間が形成される場合がある。上記のような構成とすることにより、巻芯部の径方向に沿ってワイヤが複数ターンで巻回されている場合において、巻き終わり位置に位置するワイヤの最外周ターンが、巻芯部の軸方向の一方側に位置ずれして上記隙間に落ちることを防止することができる。これにより、ワイヤの巻き解れや、ショート不良の発生を有効に防止することができる。
【0015】
好ましくは、前記第1鍔部の外周面は、樹脂を介して、前記外装コアの内周面に接合されており、前記第2鍔部の外周面と前記外装コアの内周面との間にはギャップが形成されている。第1鍔部の外周面を樹脂を介して外装コアの内周面に接合することにより、内部コアあるいは外装コアを衝撃等から有効に保護することができる。また、第2鍔部の外周面と外装コアの内周面との間にギャップを形成することにより、良好なインダクタンス特性(例えば直流重畳特性等)を有するコイル装置を実現することができる。
【0016】
特に、上記の構成の下で、巻芯部の軸方向の一方側において、巻芯部の軸方向の他方側に比べて、巻芯部の径方向に沿うワイヤのターン数を多くすることにより、内部コアや外装コアあるいは基板等が振動したときに、上記ギャップの周辺部に応力が集中することを防止し、音鳴きを効果的に低減することができるだけでなく、内部コアや外装コアの破損等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第1実施形態に係るコイル装置の全体斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aに示すコイル装置をZ軸を回転軸として180度回転させたときの全体斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1Aに示すコイル装置における外装コアの斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1Aに示すコイル装置における巻回部の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aおよび
図1Bに示すように、本発明の一実施形態に係るコイル装置10は、いわゆる面実装型コイルであり、インダクタとしての機能を有する。コイル装置10は、例えば電子機器等の電源等に搭載される。コイル装置10は、全体として略直方体形状を有し、内部コア20と、ワイヤ30と、外装コア40と、第1端子部50と、第2端子部60とを有する。コイル装置10は、内部コア20を外装コア40の内部に収容した状態で、図示しない基板等に面実装される。コイル装置10のX軸方向の寸法は4.0~12.0mmであり、Y軸方向の寸法は4.0~12.0mmであり、Z軸方向の寸法は1.5~8.0mmである。
【0019】
図2に示すように、内部コア20は、いわゆるドラムコアであり、巻芯部22と、上鍔部(第1鍔部)24と、下鍔部(第2鍔部)26とを有する。内部コア20は、例えばフェライトや金属等の軟磁性材料を用いて作製される。巻芯部22は略柱状を有し、巻芯部22の軸方向はZ軸方向に対応している。コイル装置10の実装時において、巻芯部22の軸方向は、基板等の実装面に対して法線方向を構成する。巻芯部22の外周面にはワイヤ30が巻回され、巻芯部22の軸方向はワイヤ30(巻回部30c)の巻回軸方向に対応する。巻芯部22の外周面には、ワイヤ30を巻芯部22に巻回してなる巻回部30cが配置される。なお、ワイヤ30としては、好ましくは絶縁被覆ワイヤが用いられる。
【0020】
上鍔部24は、巻芯部22の軸方向の一方側(Z軸正方向側)の第1端部22aに設けられている。上鍔部24は、上鍔部外周面24aを有する。上鍔部24の外面(おもて面)の中心部には凹部が形成されているが省略してもよい。下鍔部26は、巻芯部22の軸方向の他方側(Z軸負方向側)の第2端部22bに設けられている。下鍔部26は、下鍔部外周面26aを有する。
【0021】
なお、第1端部22aは、巻芯部22と上鍔部24との交差部およびその周辺部に対応する位置であり、当該交差部から所定距離(例えば、ワイヤ30の線径の3倍程度の長さ)だけ下方に離間した位置も第1端部22aに含まれることとする。また、第2端部22bは、巻芯部22と下鍔部26との交差部およびその周辺部に対応する位置であり、当該交差部から所定距離(例えば、ワイヤ30の線径の3倍程度の長さ)だけ上方に離間した位置も第2端部22bに含まれることとする。
【0022】
外装コア40は、いわゆるリングコアであり、内部コア20の外側に配置される。外装コア40は、例えばフェライトや金属等の軟磁性材料を用いて作製される。外装コア40は、挿通孔40aと、コア上面42と、コア下面44と、コア外周面46と、コア内周面48とを有する。挿通孔40aには、ワイヤ30が巻回された内部コア20が挿通する。
【0023】
図2に示すように、コア内周面48は、外装コア40の内周面であり、貫通孔40aの壁面を構成している。内部コア20を挿通孔40aの内部に収容した状態において、コア内周面48は、上鍔部外周面24aおよび下鍔部外周面26aに対向する。
図1Cに示すように、コア内周面48と上鍔部外周面24aとの間には、所定の隙間(ギャップ)Aが形成される。詳細な図示は省略するが、コア内周面48と下鍔部外周面26aとの間にも、所定の隙間Aが形成される。上鍔部24あるいは下鍔部26の径方向に沿う隙間Aの幅は、上鍔部24あるいは下鍔部26の周方向に沿って均一(一定)となっている。
【0024】
図4に示すように、上鍔部外周面24aとコア内周面48とは、エポキシ系樹脂又はウレタン系樹脂等の接着剤が硬化して形成される接着剤硬化部70によって接合され、これにより外装コア40と内部コア20とは、互いに固定される。すなわち、コア内周面48と上鍔部外周面24aの間に形成された隙間Aには、接着剤硬化部70が配置されており、外装コア40は、内部コア20と連結されて磁路を形成する。
【0025】
一方で、コア内周面48と下鍔部外周面26aとは、接着剤硬化部70を介して接合されてはおらず、コア内周面48と下鍔部外周面26aとの間の隙間Aには空間が形成されている。
【0026】
図1Cに示すように、外装コア40を軸方向から見たとき、コア外周面46の周方向形状は、四隅にR形状が施された略四角形となっている。これに対して、コア内周面48の周方向形状は円形であり、コア外周面46の周方向形状とは異なっている。そのため、コア内周面48とコア外周面46との径方向の距離によって規定される外装コア40の径方向厚みは、外装コア40の周方向に沿って変化する。
【0027】
図3に示すように、コア下面44は、外装コア40のZ軸負方向側の端面であり、平面形状を有する。コア上面42は、外装コア40のZ軸正方向側の端面であり、一対の係合端面42aと一対の支持端面42bとを有する。係合端面42aは、凹状部からなり、コア上面42におけるY軸方向の中央部分であってX軸方向の両端部に形成されている。係合端面42aには、後述する第1端子部50における第1固定部52および第2端子部60における第2固定部62が係合する。
【0028】
支持端面42bは、凹状部からなり、コア上面42において対角線上に位置する2つの角部に形成されている。支持端面42bは、係合端面42aに対して周方向に隣接して配置されている。支持端面42bには、後述する第1端子部50における第1結線部54および第2端子部60における第2結線部64がそれぞれ設けられる。支持端面42bは、係合端面42aに比べてコア下面44までの距離が短く、係合端面42aより下方に設けられている。また、支持端面42bにおける径方向の最大厚みは、係合端面42aにおける径方向の最大厚みより厚くなっている。
【0029】
一方の支持端面42bと他方の支持端面42bの位置とでは、コア外周面46の周方向への湾曲度合がわずかに異なっている。より具体的には、
図1Cに示すように、X軸正方向側に位置する支持端面42bの湾曲度合は、X軸負方向側に位置する支持端面42bの湾曲度合よりもわずかに大きくなっているが、各湾曲度合は等しくなっていてもよい。
【0030】
図2に示すように、一対の第1端子部50および第2端子部60は、外装コア40に設けられ、ワイヤ30の一方の端部である第1リード部30aおよび他方の端部である第2リード部30bがそれぞれ接続される。第1端子部50および第2端子部60は、例えば銅合金等の金属板材を機械加工することにより作製される。第1端子部50は、外装コア40に固定される第1固定部52と、第1リード部30aが接続される第1結線部54と、第1結線部54と第1固定部52とを接続する第1接続部56とを有する。第1端子部50は、外装コア40のX軸正方向側に取り付けられる。第1固定部52は、外装コア40のX軸正方向側において、係合端面42a、コア下面44およびコア外周面46に跨るように固定される。第1結線部54は、第1リード部30aをかしめて固定する。
【0031】
第2端子部60は、外装コア40に固定される第2固定部62と、第2リード部30bが接続される第2結線部64と、第2結線部64と第2固定部62とを接続する第2接続部66とを有する。第2端子部60は、外装コア40のX軸負方向側に取り付けられ、第1端子部50に対して周方向に所定角度(本実施形態では略180度)回転した位置に設けられる。第2固定部62は、外装コア40のX軸負方向側において、係合端面42a、コア下面44およびコア外周面46に跨るように固定される。第2結線部64は、第2リード部30bをかしめて固定する。
【0032】
図4に示すように、ワイヤ30は、巻芯部22に巻回されて巻回部30cを構成する。ワイヤ30は、上鍔部24の内面(裏面)24bと隣り合う位置で、巻芯部22の第1端部22aに巻き始められる。ワイヤ30の巻き始め位置L1に位置する第1リード部30aと上鍔部24の内面24bとの間の間隔は、好ましくは0であるが、わずかに隙間(例えばワイヤ30の線径の1/4~1/2程度の幅の隙間)が形成されていてもよい。
【0033】
本実施形態では、巻芯部22の軸方向の一方側(Z軸正方向側)では、巻芯部22の軸方向の他方側(Z軸負方向側)に比べて、巻芯部22の径方向(Y軸方向)に沿うワイヤ30のターン数(層数)が多くなっている。すなわち、巻回部30cは、巻芯部22の軸方向の一方側に集中して(密に)巻回されており、巻芯部22の軸方向の一方側において局所的にターン数が増大している。それ故、
図5に示すように、巻芯部22の軸方向の一方側において、巻回部30cには径方向の外側に向かって膨出する膨出部(後述する巻回領域30c2および巻回領域30c3)が形成され、巻回部30cの形状は、巻芯部22の軸方向の一方側と他方側とで異なっている(非対称となっている)。
【0034】
図4に示すように、巻回部30cは、巻芯部22の径方向に沿うターン数が2ターン(2層)である巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うターン数が3ターン(3層)である巻回領域30c2と、巻芯部22の径方向に沿うターン数が4ターン(4層)である巻回領域30c3とからなる。巻回領域30c2および巻回領域30c3の各々は巻芯部22の軸方向の一方側に配置されている。巻回領域30c3は、上鍔部24の内面24bから巻芯部22の軸方向の他方側に向かって、好ましくは。1.3mm以内の範囲に形成され、さらに好ましくは、0.95mm以内の範囲に形成される。本実施形態では、巻芯部22の第1端部22aにおいて、ワイヤ30のターン数を局所的に多くするという技術的思想の下、より多くのターン数で形成された巻回領域30c2および巻回領域30c3が巻芯部22の軸方向の一方側に配置されている。
【0035】
巻回領域30c3は、巻芯部22の軸方向に沿って、巻回領域30c2の一方側に配置されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、巻回領域30c1の一方側に配置されている。巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、5ターン~6ターンで形成されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、1ターン~2ターンで形成されており、巻回領域30c3は、巻芯部22の軸方向に沿って、2ターンで形成されている。すなわち、巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、巻回領域30c2および巻回領域30c3よりも広い範囲にわたって形成されている。
【0036】
ここで、ワイヤ30は、巻芯部22に対して、軸方向の一方側から他方側に向けて所定ターンだけ巻回された後、軸方向の他方側から一方側に向けて所定ターンだけ巻回される。すなわち、ワイヤ30は、巻芯部22の軸方向の一方側から他方側に至る領域を往復移動するように連続的に巻回されるため、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数は最低でも2ターンとなる。
【0037】
さらに、本実施形態では、巻芯部22の径方向に沿うターン数が2ターンとなるように巻芯部22の外周面にワイヤ30が巻回された後、巻芯部22の軸方向の一方側の領域(巻芯部22の軸方向の中央よりも上方の領域)のみを往復移動するようにワイヤ30が連続的に巻回される。そのため、巻芯部22の軸方向の一方側では、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が4ターンとなる。
【0038】
なお、巻芯部22の軸方向の一方側の領域では、上述したワイヤ30の往復移動時において、往路から復路に切り替わるときに、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターンとなる部分が形成される。結果として、巻芯部22の軸方向の一方側の領域には、巻芯部22の径方向に沿うターン数が3ターンからなる巻回領域30c2と、巻芯部22の径方向に沿うターン数が4ターンからなる巻回領域30c3とが形成される。
【0039】
巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数は、巻芯部22の軸方向の他方側から一方側に向かって2ターン→3ターン→4ターンと3段階で連続的に変化しており、徐々に増加している。そのため、巻回部30cの径方向に沿う厚みは、巻芯部22の軸方向の他方側から一方側に向かって、徐々に厚くなっている(
図2参照)。また、巻回部30cの外周は、巻芯部22の軸方向の他方側から一方側に向かって平坦にはなっておらず、巻芯部22の軸方向の一方側において傾斜面となっている。
【0040】
図5に示すように、ワイヤ30の巻き終わり位置L2は、ワイヤ30の巻き始め位置L1とともに、巻芯部22の軸方向の一方側の第1端部22aに位置する。そのため、ワイヤ30の第2リード部30bは、上鍔部24の内面24bの近傍において、巻回部30cの径方向に沿って、Y軸に対して略平行となるようにまっすぐに引き出された状態で、第2端子部60の第2結線部64に接続されることになる。結果として、ワイヤ30の巻き終わり位置L2の高さは、第2結線部64の配置位置の高さとはほぼ等しくなる。
【0041】
また、ワイヤ30の第1リード部30aは、上鍔部24の内面24bの近傍において、巻回部30cの径方向に沿って、Y軸に対して略平行となるようにまっすぐに引き出された状態で、第1端子部50の第1結線部54(
図2)に接続されることになる。結果として、ワイヤ30の巻き始め位置L1の高さは、第1結線部54の配置位置の高さとはほぼ等しくなる。
【0042】
なお、第2結線部64が、図示の位置よりも下方に位置している場合には、当該第2結線部64の位置に合わせて、ワイヤ30の巻き終わり位置L2の位置は、図示の位置よりも下方に位置していることが好ましい。
【0043】
ワイヤ30の第2リード部30bは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が巻芯部22の軸方向の一方側において局所的に多くなった状態で、巻き終わり位置L2における巻回領域30c3の外周から第2結線部64に向けて引き出される。第2リード部30bは、巻回領域30c3の径方向に沿う幅が上鍔部24の径方向の長さと略等しくなるまで、ワイヤ30が巻芯部22の外周面に巻回された後、第2結線部64に向けて引き出される。
【0044】
ワイヤ30の巻き終わり位置L2は、ワイヤ30の巻き始め位置L1に対して、巻芯部22の軸方向の他方側に位置ずれしている。そのため、上鍔部24の内面24bとワイヤ30の巻き終わり位置L2に位置するワイヤ30(巻回領域30c3におけるワイヤ30の最外周ターン)との間には、ギャップGが形成されている。ギャップGの位置において、巻芯部22の外周面は露出している。ワイヤ30の線径をDとし、ワイヤ30の巻き始め位置L1に対する巻き終わり位置L2のずれ幅(ギャップGのZ軸方向の幅)をWとしたとき、好ましくはW≧D/2であり、さらに好ましくはW≧D以上である。
【0045】
以下、コイル装置10の製造方法について説明する。まず、内部コア20を準備し、
図7Aに示すように、巻線機80に内部コア20をセットする。巻線機80は、第1回転体81と、第2回転体82と、ノズル83と、位置調整部84とを有する。第1回転体81は固定部81aを有しており、固定部81aには内部コア20の上鍔部24を固定することが可能となっている。位置調整部84は、第2回転体82に対して一体となって構成されている。
【0046】
次に、
図7Bに示すように、固定部81aに上鍔部24を固定した状態で、第2回転体82を図中の矢印A2方向に移動させ、ノズル83を用いて、巻芯部22の外周面にワイヤ30を巻回する。
【0047】
次に、
図7Cに示すように、第1回転体81および第2回転体82を例えば図中の矢印A1方向に回転させるとともに、ノズル83の向きを調整しつつ、巻芯部22の軸方向の一方側(第1端部22a)から他方側(第2端部22b)に向けてワイヤ30を巻回していく。そして、
図7Dに示すように、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が1ターンとなるよう、ワイヤ30を巻芯部22の第2端部22bまで巻回する。第2端部22bにワイヤ30が巻回された時点で、ワイヤ30の軸方向に沿う巻回方向(進行方向)を反転させ、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が2ターンとなるよう、巻芯部22の軸方向の他方側(第2端部22b)から一方側(第1端部22a)に向けてワイヤ30を巻回していく。
【0048】
図7Eに示すように、巻芯部22の第1端部22aにワイヤ30が巻回された時点で、ワイヤ30の軸方向に沿う巻回方向を再び反転させ、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターンとなるよう、巻芯部22の軸方向の一方側(第1端部22a)から他方側(位置L3)に向けてワイヤ30を巻回する。ここで、位置L3は、巻芯部22の軸方向の一方側に位置しており、
図4に示す巻回領域30c2のZ軸負方向側の端部(下端部)の位置に対応している。
【0049】
図7Fに示すように、位置L3にワイヤ30が巻回された時点で、位置調整部84を図中の矢印A2方向に移動させ、第2回転体82を位置L3に配置させる。その後、ワイヤ30の軸方向に沿う巻回方向を再び反転させ、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が4ターンとなるよう、位置L3から巻芯部22の軸方向の一方側(第1端部22a)に向けてワイヤ30を巻回する。
【0050】
このように、第2回転体82を位置L3に配置させておくことにより、巻芯部22の軸方向に関して、位置L3よりも他方側にワイヤ30が巻回されることを阻止し、位置L3よりも一方側にのみ強制的にワイヤ30を巻回することが可能となる。また、4ターン目を形成するワイヤ30が位置L3の他方側に落下して(段落ちして)ショート不良が発生することを防止することが可能となる。
【0051】
図7Gに示すように、巻き終わり位置L2までワイヤ30を巻回することにより、
図7Hに示すように、巻回領域30c1~30c3を具備する巻回部30cを巻芯部22の外周面に形成することが可能となる。なお、ワイヤ30の巻き終わり位置L2については、ワイヤ30の巻き始め位置L1よりも、所定長(例えば、ワイヤ30の線径に略等しい距離)だけ、巻芯部22の軸方向の他方側に位置させておく。
【0052】
次に、
図7Hに示す巻回部30cを具備する内部コア20を
図3に示す外装コア40の挿通孔40aの内部に挿通させる。なお、
図1Aおよび
図1Bに示すように、外装コア40には、予め第1端子部50と第2端子部60とを接着剤等を用いて所定の位置に取り付けておく。
【0053】
次に、
図1Aおよび
図1Bに示すように、ワイヤ30の第1リード部30aを第1端子部50の第1結線部54に接続するとともに、ワイヤ30の第2リード部30bを第2端子部60の第2結線部64に接続することにより、コイル装置10を得る。
【0054】
以上、本実施形態に係るコイル装置10では、
図4および
図5に示すように、ワイヤの巻き終わり位置L2が、巻き始め位置L1とともに、巻芯部22の軸方向(Z軸方向)の一方側の第1端部22aに位置する。そのため、ワイヤ30を巻芯部22に巻回した後は、第2リード部30bを、巻き終わり位置L2から巻芯部22の軸方向に直交する方向(Y軸方向)に引き出した状態で、第2結線部64(
図1B)に接続することが可能となる。例えば、巻き終わり位置L2が第1端部22aから下方に離間した位置(例えば、巻芯部22の軸方向の中央部)に位置する場合、第2リード部30bを第2結線部64に接続するためには、第2リード部30bを第2結線部64に向けて斜めに引き出す必要がある。しかし、この場合、第2リード部30bが外装コア40の上端部(挿通孔40aの開口縁部)に接触し、ワイヤ30が巻回された内部コア20が外装コア40に対して傾斜するといった不具合が発生するおそれがある。これに対して、本実施形態に係るコイル装置10では、第2リード部30bは巻芯部22の軸方向に直交する方向に引き出されるため、このような不具合の発生を防止することが可能であり、内部コア20と外装コア40との間の間隔を一定に維持し、音鳴きを低減することができる。
【0055】
また、内部コア20が外装コア40に対して傾斜すると、コイル装置10のインダクタンス値が低下するおそれがあるが、本実施形態に係るコイル装置10では、このような不具合の発生を防止し、良好なインダクタンス特性を有するコイル装置10を実現することができる。
【0056】
また、本実施形態に係るコイル装置10では、巻芯部22の軸方向の一方側では、巻芯部22の軸方向の他方側に比べて、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が多くなっている。そのため、コイル装置10を基板(図示略)に実装したときに、巻芯部22の軸方向の一方側を安定させることが可能となり、基板等の振動を抑制し、音鳴きを低減することができる。
【0057】
また、本実施形態では、コイル装置10の製造工程において、下記のような効果を得ることができる。上述したように、第2リード部30bを第2結線部64に向けて斜めに引き出す場合、ワイヤ30が巻回された内部コア20を外装コア40に組み込むにあたり、予め第2リード部30bに対して曲げ加工(くせ付け)を施しておく(第2リード部30bに対して傾斜を付しておく)必要がある。これに対して、本実施形態に係るコイル装置10では、第2リード部30bは巻芯部22の軸方向に直交する方向に引き出されるため、第2リード部30bに対して曲げ加工を施す必要がなく、コイル装置10の組み立てが容易である。
【0058】
また、本実施形態では、巻芯部22の軸方向の一方側から他方側にかけて、巻芯部22の径方向に沿ってワイヤ30が2ターン以上で巻回されており、巻芯部22の軸方向の一方側では、巻芯部22の径方向に沿ってワイヤ30が3ターン以上で巻回されている。そのため、巻芯部22の軸方向の一方側において、巻芯部22の径方向に沿うワイヤのターン数を局所的に多くすることが可能となり、基板等の振動を効果的に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、ワイヤ30は、上鍔部24の内面24bと隣り合う位置で、巻芯部22の第1端部22aに巻き始められている。そのため、第2リード部30bを、ワイヤ30の巻き始め位置L1から巻芯部22の軸方向に直交する方向に引き出した状態で、第1結線部54(
図1A)に接続することが可能となる。この場合、ワイヤ30が巻回された内部コア20は、巻き始め位置L1および巻き終わり位置L2の各々から引き出される各リード部30a,30bによって、巻芯部22の軸方向に直交する方向に引っ張られることになり、各リード部30a,30bから受ける張力によって内部コア20の姿勢が安定する。そのため、内部コア20が外装コア40に対して傾斜するといった不具合の発生を有効に防止することが可能となり、音鳴きを効果的に低減することができる。
【0060】
また、本実施形態では、ワイヤ30の巻き終わり位置L2は、巻き始め位置L1に対して、巻芯部22の軸方向の他方側に位置ずれしている。前述のように、上鍔部24の内面24bと接する位置で巻芯部22の第1端部22aにワイヤ30を巻き始めたとしても、巻回していくうちに、鍔部24の内面24bと隣接する位置には隙間Gが形成される場合がある。上記のような構成とすることにより、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が複数ターンである場合において、巻き終わり位置L2に位置するワイヤ30の最外周ターンが、巻芯部22の軸方向の一方側に位置ずれして上記隙間Gに落ちることを防止することができる。これにより、巻回部30cの巻き解れや、ショート不良の発生を有効に防止することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上鍔部外周面24aは、接着剤硬化部70を介して、コア内周面48に接合されており、下鍔部外周面26aとコア内周面48との間にはギャップAが形成されている。上鍔部外周面24aを接着剤硬化部70を介してコア内周面48に接合することにより、内部コア20あるいは外装コア40を衝撃等から有効に保護することができる。また、下鍔部外周面26aとコア内周面48との間にギャップAを形成することにより、良好なインダクタンス特性(例えば直流重畳特性等)を有するコイル装置10を実現することができる。
【0062】
特に、上記の構成の下で、巻芯部22の軸方向の一方側において、巻芯部22の軸方向の他方側に比べて、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数を多くすることにより、内部コア20や外装コア40あるいは基板等が振動したときに、ギャップAの周辺部(非接合部)に応力が集中することを防止し、音鳴きを効果的に低減することができるだけでなく、内部コア20や外装コア40の破損等を防止することができる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0064】
(1)上記実施形態において、巻回部30cの形状(巻き姿)は、
図4に示す形状に限定されるものではなく、種々の形状に変更することができる。例えば、
図6Aに示す例では、巻回部30cAは、巻芯部22の軸方向の一方側の領域にのみ形成されており、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数は2ターンとなっている。巻回部30cAは、巻芯部22の軸方向に沿って、3ターン~4ターンで形成されている。巻芯部22の軸方向の他方側にはワイヤ30が巻回されていない非巻回部22cが形成されており、巻芯部22の第2端部22bにはワイヤ30が巻回されていない。
【0065】
非巻回部22cは、巻芯部22の軸方向に沿う半分以上の領域を占めており、当該領域において、巻芯部22の外周面は巻回部30cAで覆われることなく露出している。なお、ワイヤ30を巻芯部22の軸方向の一方側の領域を往復移動するように巻回していく過程において、往路から復路に切り替わるときに、図示のように、巻回部30cAには巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が1ターンである領域が具備される。当該領域は、ワイヤ30の巻き方によっては、
図6Dに示すような位置に形成される場合がある。
【0066】
このように、巻芯部22の軸方向の一方側において巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数を2ターン(本発明における最少ターン数)とした場合であっても、巻芯部22の軸方向の他方側において巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数を0とすることにより、相対的に見て、巻芯部22の軸方向の一方側では、巻芯部22の軸方向の他方側に比べて、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が多くなる。したがって、本変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、巻回領域30cAを
図6Dに示す巻回領域30cDに変更した場合にも、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
(2)また、
図6Bに示す例では、
図6Bに示す例とは異なり、巻回部30cBが、巻芯部22の軸方向の中央よりも他方側にまで及んでいる。巻回部30cBは、巻芯部22の軸方向に沿って6ターン~7ターンで形成されており、巻芯部22の軸方向に沿って、非巻回部22cよりも広い範囲にわたって形成されている。巻芯部22の軸方向に沿う非巻回部22cの長さは、ワイヤ30の線径Dと同程度の長さあるいは2倍程度の長さとなっている。
【0068】
本変形例では、巻芯部22の第2端部22bにワイヤ30が巻回されておらず、巻芯部22の軸方向の他方側において、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が局所的に少なくなる。すなわち、相対的に見て、巻芯部22の軸方向の一方側において、巻芯部22の径方向に沿うワイヤのターン数を多くすることが可能となり、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
(3)また、
図6Cに示す例では、巻回部30cCは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターンである巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が4ターンである巻回領域30c2と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が5ターンである巻回領域30c3とを有する。巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、2ターンで形成されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、10ターンで形成されており、巻回領域30c3は、巻芯部22の軸方向に沿って、1ターン~2ターンで形成されている。ワイヤ30の線径D’は、
図6B等に示すワイヤ30の線径Dよりも小さくなっており、1/3D<D<1/2Dである。本変形例においても、巻芯部22の軸方向の一方側において、巻芯部22の径方向に沿うワイヤのターン数を多くすることが可能となり、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
(4)また、
図6Eに示す例では、巻回部30cEは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が2ターンである巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターンである巻回領域30c2と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が4ターンである巻回領域30c3とを有する。巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、2ターン~3ターンで形成されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、1ターン~2ターンで形成されており、巻回領域30c3は、巻芯部22の軸方向に沿って、5ターンで形成されている。本変形例では、
図4に示す例とは異なり、巻回領域20c2および巻回領域30c3が、巻芯部22の軸方向の他方側にまで及んでいる。すなわち、巻回領域30c2および巻回領域30c3は、巻芯部22の軸方向に沿って、巻回領域30c1よりも広い範囲にわたって形成されている。本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
(5)また、
図6Fに示す例では、巻回部30cFは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が4ターンである巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が5ターンである巻回領域30c2と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が6ターンである巻回領域30c3とを有する。巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、10ターン~11ターンで形成されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、1ターン~2ターンで形成されており、巻回領域30c3は、巻芯部22の軸方向に沿って、2ターンで形成されている。本変形例では、
図4に示す例と比較して、巻回部30cFに対する巻回領域30c1が占める割合が大きくなっている。本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を効果的に得ることができる。
【0072】
(6)また、
図6Gに示す例では、巻回部30cGは、巻芯部22の軸方向の一方側の領域にのみ形成されており、巻芯部22の軸方向の他方側の領域には非巻回部22cが形成されている。巻芯部22の軸方向に関して、巻回部30cGが形成されている範囲と、非巻回部22cが形成されている範囲とは略均等になっている。本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0073】
(7)また、
図6Hに示す例では、巻回部30cHは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が1ターン~2ターンである巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターンである巻回領域30c2とを有する。本変形例のように、巻芯部22の第1端部22aにおいて、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数は奇数ターン(3ターン)であってもよい。すなわち、巻芯部22の軸方向の他方側に向けてワイヤ30を巻回し、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数を3ターンとした後は、必ずしもワイヤ30を巻芯部22の軸方向の一方側に向けて巻回し、4ターン目を形成する必要はない。本変形例においても、ワイヤ30の巻き終わり位置L2から巻芯部22の軸方向に直交する方向に向けて第2リード部30bを第2結線部64(
図1B)に向けて引き出すことが可能であり、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0074】
(8)また、
図6Iに示す例では、巻回部30cIは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターンである巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が4ターンである巻回領域30c2とを有する。巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、1ターン~2ターンで形成されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、7ターン~8ターンで形成されている。巻回部30cIでは、巻芯部22の軸方向の一方側の領域における総ターン数と、巻芯部22の軸方向の他方側の領域における総ターン数とが近い値となっているものの、巻芯部22の軸方向の一方側では、巻芯部22の軸方向の他方側に比べて、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が多くなっている。したがって、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
(9)また、
図6Jに示す巻回部30cJでは、巻芯部22の軸方向の一方側では、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が一定値(6ターン)であるのに対して、巻芯部22の軸方向の他方側では、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が1ターン→2ターン→4ターン→5ターンと徐々に増加している。本変形例においても、巻芯部22の軸方向の一方側では、巻芯部22の軸方向の他方側に比べて、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が多くなっており、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0076】
(10)また、
図6Kに示す例では、巻回部30cKは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が1ターン~2ターンである巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターン~4ターンである巻回領域30c2とを有する。巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、7ターンで形成されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、2ターンで形成されている。本変形例においても、変形例(5)と同様に、巻芯部22の第1端部22aにおけるより軸方向の狭い領域に巻回領域30c2が形成されており、変形例(5)と同様の効果が得られる。
【0077】
(11)また、
図6Lに示す例では、巻回部30cLは、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が3ターンである巻回領域30c1と、巻芯部22の径方向に沿うワイヤ30のターン数が4ターンである巻回領域30c2とを有する。巻回領域30c1は、巻芯部22の軸方向に沿って、2ターン~3ターンで形成されており、巻回領域30c2は、巻芯部22の軸方向に沿って、8ターン~9ターンで形成されている。巻回部30cLの形状は、変形例(8)に示す巻回部30cIに近い形状となっており、本変形例においても、変形例(8)と同様の効果が得られる。また、本変形例では、変形例(8)と比べて、全体としてワイヤ30のターン数が多くなっており、良好なインダクタンス特性を有するコイル装置10を実現することができる。
【0078】
(12)上記実施形態では、本発明のインダクタへの適用例について示したが、インダクタ以外のコイル装置に本発明を適用してもよい。
【0079】
(13)上記実施形態において、巻芯部22、上鍔部24あるいは下鍔部26の断面形状は、楕円あるいは多角形等であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…コイル装置
20…内部コア
22…巻芯部
22a…第1端部
22b…第2端部
22c…非巻回部
24…上鍔部
24b…内面
26…下鍔部
26b…内面
30…ワイヤ
30a…第1リード部
30b…第2リード部
30c…巻回部
40…外装コア
40a…挿通孔
50第1端子部
52…第1固定部
54…第1結線部
56…第1接続部
60…第2端子部
62…第2固定部
64…第2結線部
66…第2接続部
70…接着剤硬化部
80…巻線機
81…第1回転体
81a…固定部
82…第2回転体
82a…固定部
83…ノズル
84…位置調整部