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特許7578539造粒機,混練調整機構及び樹脂ペレット製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】造粒機,混練調整機構及び樹脂ペレット製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/58 20060101AFI20241029BHJP
   B29B 7/48 20060101ALI20241029BHJP
   B29B 9/00 20060101ALI20241029BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20241029BHJP
   B29C 48/565 20190101ALI20241029BHJP
   B29C 48/68 20190101ALI20241029BHJP
【FI】
B29B7/58
B29B7/48
B29B9/00
B29C48/40
B29C48/565
B29C48/68
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021080412
(22)【出願日】2021-05-11
(65)【公開番号】P2022174543
(43)【公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠
(72)【発明者】
【氏名】重石 高志
(72)【発明者】
【氏名】福井 亮太
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-113246(JP,A)
【文献】特開2009-178918(JP,A)
【文献】特開昭60-208209(JP,A)
【文献】特開平10-109309(JP,A)
【文献】特開2006-240240(JP,A)
【文献】中国実用新案第212795830(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0246787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/58
B29B 7/48
B29B 9/00
B29C 48/40
B29C 48/565
B29C 48/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂が搬送される流路と、
前記流路上に設けられ、溶融樹脂を混練しつつ搬送する混練部と、
前記流路上であって、前記混練部よりも下流に設けられる混練調整部と、を有し、
前記混練調整部は、前記流路の一部を形成する流路形成面を備える一対の可動部材と、それぞれの前記可動部材の前記流路形成面の間に配置されるスクリューと、を含む混練調整機構を備え、
一対の前記可動部材の少なくとも一方は、前記流路形成面と前記スクリューとの間の隙間が増減するように動作可能であり、
前記スクリューの外周に、前記スクリューの周方向に沿って配置されている複数の突起部が設けられ、
それぞれの前記突起部は先鋭であって、かつ、前記スクリューの中心軸に対して平行に延びており、
前記中心軸と直交する前記スクリューの1つの断面内に、全ての前記突起部の頂点が存在し、前記断面内でそれぞれの前記頂点を結ぶ線分が正多角形を形成する、造粒機。
【請求項2】
混練された溶融樹脂が搬送される流路上に設けられる混練調整機構であって、
前記流路の一部を形成する流路形成面を備える一対の可動部材と、
それぞれの前記可動部材の前記流路形成面の間に配置されるスクリューと、を有し、
一対の前記可動部材の少なくとも一方は、前記流路形成面と前記スクリューとの間の隙間が増減するように動作可能であり、
前記スクリューの外周に、前記スクリューの周方向に沿って配置されている複数の突起部が設けられ、
それぞれの前記突起部は先鋭であって、かつ、前記スクリューの中心軸に対して平行に延びており、
前記中心軸と直交する前記スクリューの1つの断面内に、全ての前記突起部の頂点が存在し、前記断面内でそれぞれの前記頂点を結ぶ線分が正多角形を形成する、混練調整機構。
【請求項3】
請求項2に記載の混練調整機構において、
前記突起部の前記頂点と前記流路形成面との間のクリアランスを最小クリアランス(a)とし、
前記スクリューの周方向で隣接する2つの前記突起部の間の平坦部分と前記流路形成面との間のクリアランスを最大クリアランス(b)としたとき、
前記最小クリアランス(a)と前記最大リアランス(b)との比(b/a)が4以下である、混練調整機構。
【請求項4】
溶融樹脂を混練する工程(a)と、前記工程(a)での溶融樹脂の混練度を調整する工程(b)と、を含む樹脂ペレット製造方法であって、
前記工程(b)では、前記工程(a)で混練された溶融樹脂が搬送される流路の断面積を混練調整機構によって変化させて、前記工程(a)において溶融樹脂が混練される時間を増減させ、
前記工程(b)で用いられる前記混練調整機構は、
前記流路の一部を形成する流路形成面を備える一対の可動部材と、
それぞれの前記可動部材の前記流路形成面の間に配置されるスクリューと、を有し、
一対の前記可動部材の少なくとも一方は、前記流路形成面と前記スクリューとの間の隙間が増減するように動作可能であり、
前記スクリューの外周に、前記スクリューの周方向に沿って配置されている複数の突起部が設けられ、
それぞれの前記突起部は先鋭であって、かつ、前記スクリューの中心軸に対して平行に延びており、
前記中心軸と直交する前記スクリューの1つの断面内に、全ての前記突起部の頂点が存在し、前記断面内でそれぞれの前記頂点を結ぶ線分が正多角形を形成する、樹脂ペレット製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ペレットを製造する装置や方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融樹脂を押し出しつつ切断して樹脂ペレットを製造する装置や方法が知られている。例えば、特許文献1には、ダイヘッドのノズルから押し出される溶融樹脂を水中で切断する水中カット式造粒機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-51617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂ペレットの製造では、溶融樹脂をより均一に混練することが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、混練調整機構は、混練された溶融樹脂が搬送される流路の一部を形成する流路形成面を備える一対の可動部材と、それぞれの前記可動部材の前記流路形成面の間に配置されるスクリューと、を有する。一対の前記可動部材の少なくとも一方は、前記流路形成面と前記スクリューとの間の隙間が増減するように動作可能である。また、前記スクリューの前記外周には、少なくとも1つの突起部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、溶融樹脂がより均一に混練される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る造粒機の構成を示す模式図である。
図2】混練処理部の構造を示す断面図である。
図3】混練調整部の構造を示す斜視図である。
図4A】ゲート部の断面積が最小となるまで回転させた可動部材を示す断面図である。
図4B】ゲート部の断面積が最大となるまで回転させた可動部材を示す断面図である。
図5A】混練調整機構を構成するスクリューを示す斜視図である。
図5B図5Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図6A】混練調整機構を構成するスクリューの一変形例を示す斜視図である。
図6B図6Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図7A】混練調整機構を構成するスクリューの他の一変形例を示す斜視図である。
図7B図7Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図8A】混練調整機構を構成するスクリューの他の一変形例を示す斜視図である。
図8B図8Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図9A】混練調整機構を構成するスクリューの他の一変形例を示す斜視図である。
図9B図9Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図10】シミュレーションの結果を示す図である。
図11A】他の実施形態に係る造粒機が備えるスクリューを示す斜視図である。
図11B図11Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図12A】他の実施形態に係る造粒機が備えるスクリューを示す斜視図である。
図12B図12Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図13A】他の実施形態に係る造粒機が備えるスクリューを示す斜視図である。
図13B図13Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
図14A】他の実施形態に係る造粒機が備えるスクリューを示す斜視図である。
図14B図14Aに示されるスクリュー及びその周囲の可動部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一または実質的に同一の機能を有する部材や機器などには同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0010】
<全体構成>
図1は、一実施形態に係る造粒機の構成を示す模式図である。図2は、図1に示される造粒機が備える混練処理部の構造を示す断面図である。図1に示される造粒機1Aは、メインモータ10,減速機11,混練処理部12,ギヤポンプ13,異物除去部(スクリーンチェンジャ)14,ダイヘッド15および切断部(ペレタイザ,カッターユニット)16を有する。
【0011】
<メインモータ,減速機>
メインモータ10は、混練処理部12の駆動源である。メインモータ10から出力される回転駆動力は、減速機11を介して混練処理部12のスクリュー70に入力され、スクリュー70を回転させる。減速機11は、メインモータ10から出力される回転駆動力の速度を減じ、スクリュー70に入力される回転駆動力のトルクを増大させる。
【0012】
<混練処理部>
混練処理部12は、回転するスクリュー70によって、樹脂原料を溶融させつつ搬送する。また、混練処理部12は、溶融された樹脂原料(溶融樹脂)を回転するスクリュー70によって混練しつつ搬送する。
【0013】
図2に示されるように、混練処理部12は、樹脂原料や溶融樹脂が搬送される流路(搬送路)20を形成するシリンダ(バレル)21を有する。シリンダ21の長手方向一端側には、原料ホッパ22が設けられている。原料ホッパ22は、上方開口部22aと、上方開口部22aよりも小さく、かつ、シリンダ21と連通する下方開口部22bと、を備えている。
【0014】
樹脂原料は、上方開口部22aから原料ホッパ22に投入される。原料ホッパ22に投入された樹脂原料は、下方開口部22bからシリンダ21内に落下する。別の見方をすると、樹脂原料は、原料ホッパ22を介して流路20に供給される。以下の説明では、原料ホッパ22の上方開口部22aを“投入口22a”と呼び、原料ホッパ22の下方開口部22bを“排出口22b”と呼ぶ場合がある。
【0015】
流路20に供給された樹脂原料は、原料ホッパ22が設けられているシリンダ21の一端側から他端側に向かって搬送される。つまり、原料ホッパ22が設けられているシリンダ21の一端側(図2の左側)が流路20の上流側であり、シリンダ21の他端側(図2の右側)が流路20の下流側である。
【0016】
混練処理部12は、シリンダ21及び原料ホッパ22に加えて、搬送部30,混練部40,混練調整部50,放出部60及びスクリュー70を少なくとも備えている。スクリュー70は、シリンダ21の内部に設けられ、回転自在に支持されている。別の見方をすると、スクリュー70は、流路20内に回転自在に設けられている。上記のとおり、スクリュー70は、メインモータ10によって回転駆動される。
【0017】
図2に示されているスクリュー70の背後には、同様のスクリュー70が設けられている(図1参照)。これら2本のスクリュー70は、互いに平行に並んでおり、メインモータ10によって同様に回転駆動される。つまり、造粒機1Aは、互いに平行な2本のスクリュー70を備えており、一般的に“二軸造粒機”や“二軸押出機”と呼ばれる。以下の説明では、造粒機1Aが備える2本のスクリュー70を“スクリュー70”と総称する。また、図2に示されているスクリュー70に関する説明は、図2に示されていない他方のもう一本のスクリュー70に関する説明でもある。
【0018】
搬送部30,混練部40,混練調整部50及び放出部60は、流路20上に設けられている。さらに、搬送部30,混練部40,混練調整部50及び放出部60は、この順で流路20に沿って一列に配置されている。言い換えれば、搬送部30,混練部40,混練調整部50及び放出部60は、この順でスクリュー70の中心軸Xに沿って一列に配置されている。
【0019】
<ギヤポンプ,異物除去部>
再び図1を参照する。ギヤポンプ13は、混練処理部12によって混練された溶融樹脂を、異物除去部(スクリーンチェンジャ)14を通してダイヘッド15に供給(圧送)する。ギヤポンプ13は、モータ13aによって駆動される。モータ13aから出力される回転駆動力は、減速機13bを介してギヤポンプ13に入力される。異物除去部14は、通過する溶融樹脂から不要成分,残渣,混入物などを除去する。
【0020】
<ダイヘッド>
ダイヘッド15は、ダイホルダ,ダイプレート,ダイプレートカバー等から構成されており、溶融樹脂が押し出される複数のノズルを備えている。異物除去部14を通過してダイヘッド15に供給された溶融樹脂は、ダイヘッド15のノズルから押し出されることにより、ストランド状(紐状、ロープ状)に成形される。
【0021】
<切断部>
切断部16は、ダイヘッド15のノズルから押し出されるストランド状の溶融樹脂を受け入れる切断処理部を備えている。切断処理部は、造粒機1Aを含む樹脂ペレット製造システム内を循環する水(ペレット輸送水)の流路上に設けられている。製造システムの稼動中、切断処理部は、ペレット輸送水によって満たされる。つまり、ダイヘッド15によってストランド状に成形された溶融樹脂は、水中(ペレット輸送水中)に押し出される。
【0022】
切断部16の切断処理部内には、回転駆動されるカッターヘッドが設けられている。カッターヘッドには複数のカッター刃が取り付けられている。カッターヘッドは、モータ16aによって駆動され、ダイヘッド15から押し出されるストランド状の溶融樹脂を所定の長さに切断する。
【0023】
<樹脂ペレット製造方法>
造粒機1Aでは、例えば、次のような工程によって樹脂ペレットが製造される。まず、混練処理部12に樹脂原料が供給される。より特定的には、原料ホッパ22に樹脂原料が投入される。混練処理部12に供給される樹脂原料は、例えば、熱可塑性樹脂である。より特定的には、例えば、バイモーダル構造を有するポリオレフィン系樹脂などが混練処理部12に供給される。樹脂原料には、必要に応じて添加剤などが加えられる。
【0024】
混練処理部12に供給された樹脂原料は、回転するスクリュー70によって流路20の上流側から下流側に向かって搬送される。流路20内を搬送される樹脂原料(溶融樹脂)は、その搬送中に溶融され、混練される。より特定的には、樹脂原料(溶融樹脂)は、搬送部30,混練部40,混練調整部50及び放出部60をこの順で通過する間に、溶融され、混練される。以下、各工程についてより具体的に説明する。
【0025】
図2に示されている原料ホッパ22の投入口22aに投入された樹脂原料は、搬送部30に供給される。搬送部30に供給された樹脂原料は、溶融されつつ流路20の下流側に搬送される(溶融工程)。次いで、溶融工程で溶融された樹脂原料(溶融樹脂)が混練部40に搬送される。混練部40に供給された溶融樹脂は、混練(混合)されつつ流路20のさらに下流側に搬送される(混練工程)。
【0026】
上記溶融工程では、主にスクリュー70の回転によって生じるせん断作用に起因する発熱によって、樹脂原料が溶融される。また、上記混練工程では、主にスクリュー70の回転によって生じるせん断作用及び伸長作用によって、溶融樹脂が混練(分散混合及び分配混合)される。なお、混練工程中も溶融樹脂の発熱は継続する。少なくとも、混練工程中の溶融樹脂の温度は、発熱によって所定の温度範囲内に維持される。もっとも、必要に応じて、ヒータなどの加熱手段によって樹脂原料や溶融樹脂を加熱してもよく、冷却手段によって樹脂原料や溶融樹脂を冷却してもよい。
【0027】
混練工程で混練された溶融樹脂は、混練調整部50,放出部60を経て図1に示されているギヤポンプ13に供給される(放出される)。混練調整部50では、混練工程での溶融樹脂の混練の度合い(混練度)を調整する工程(混練調整工程)が実行される。混練調整部50については、後に改めて説明する。
【0028】
ギヤポンプ13に供給された溶融樹脂は、異物除去部14を通してダイヘッド15に供給(圧送)される。異物除去部14では、溶融樹脂に含まれている揮発性成分,触媒残渣,外部から混入した異物などが取り除かれる(異物除去工程)。
【0029】
ダイヘッド15に圧送された溶融樹脂は、ダイヘッド15が備える複数のノズルから連続的に押し出される(押出工程)。溶融樹脂は、ダイヘッド15のノズルを通過することにより、ストランド状(紐状、ロープ状)に成形される。
【0030】
ダイヘッド15のノズルから押し出されたストランド状の溶融樹脂は、切断部16の切断処理部内で所定の長さに切断され、固化する(切断/固化工程,ペレット化工程)。つまり、ストランド状に押し出された溶融樹脂がペレット状に分断される。この結果、所定の大きさ(長さ及び太さ)の樹脂ペレットが製造される。
【0031】
上記のとおり、切断部16の切断処理部は水(ペレット輸送水)によって満たされており、溶融樹脂は水中(ペレット輸送水中)で切断される。このように、水中で溶融樹脂を切断する手法は、“アンダーウォータカット”と呼ばれることがある。
【0032】
なお、樹脂原料の特性(特に、融点)によっては、ペレット輸送水を循環させずに樹脂ペレットが製造されることもある。この場合、ダイヘッド15のノズルから押し出された溶融樹脂は、ペレット輸送水が存在していない切断処理部内で切断される。つまり、溶融樹脂は、空中に押し出されて切断される。このように、空中で溶融樹脂を切断する手法は“ホットカット”と呼ばれることがある。
【0033】
アンダーウォータカットが行われる本実施形態の樹脂ペレット製造方法の説明に戻る。切断処理部から送り出された樹脂ペレットとペレット輸送水との混合物(スラリー)は、樹脂ペレットとペレット輸送水とに分離される(脱水工程)。次いで、ペレット輸送水から分離された樹脂ペレットは、ペレットサイロ等の貯留容器に送られる(移送工程)。樹脂ペレットは、例えば、ブロワーが発生させる気流によってペレットサイロに送られる。
【0034】
本実施形態の樹脂ペレット製造方法では、上記のような工程を経て樹脂ペレットが製造される。もっとも、樹脂ペレット製造方法は、樹脂原料や樹脂ペレットの種類や特性などに応じて種々の変更が可能である。例えば、他の実施形態では、脱水工程の後に乾燥工程が実行される。乾燥工程では、遠心脱水装置など用いて、脱水工程では除去しきれなかった水分が樹脂ペレットから除去される。さらに他の実施形態では、脱水工程や乾燥工程の後に、樹脂ペレットを大きさに基づいて分別する選別工程が実行される。
【0035】
<混練処理部>
次に、造粒機1Aの混練処理部12についてより詳しく説明する。図2に示されるように、混練処理部12は、シリンダ21(流路20)及びスクリュー70の長手方向に沿って設けられた搬送部30,混練部40,混練調整部50及び放出部60を有する。別の見方をすると、シリンダ21(流路20)及びスクリュー70は、機能に基づいて、搬送部30,混練部40,混練調整部50及び放出部60に区別することができる。
【0036】
上記のように、搬送部30は、シリンダ21及びスクリュー70の一部によって構成されている。また、混練部40はシリンダ21及びスクリュー70の他の一部によって構成され、混練調整部50はスクリュー70の他の一部によって構成され、放出部60はシリンダ21及びスクリュー70の他の一部によって構成されている。
【0037】
以下の説明では、搬送部30を構成しているシリンダ21の一部を“上流部”,混練部40を構成しているシリンダ21の他の一部を“中流部”,放出部60を構成しているシリンダ21のさらに他一部を“下流部”と呼んで区別する場合がある。もっとも、かかる区別は説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0038】
また、以下の説明では、搬送部30を構成しているスクリュー70の一部を“搬送スクリュー部70a”,混練部40を構成しているスクリュー70の他の一部を“前段混練スクリュー部70b”,混練調整部50を構成しているスクリュー70の他の一部を“後段混練スクリュー部70c”,放出部60を構成しているスクリュー70の他一部を“放出スクリュー部70d”と呼んで区別する場合がある。かかる区別も説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0039】
<スクリュー>
スクリュー70は、シリンダ21の一端から他端まで延びるシャフト71に設けられたフライトや突起部を備えている。より特定的には、スクリュー70の搬送スクリュー部70a,前段混練スクリュー部70b及び放出スクリュー部70dの外周には、フライトが設けられている。また、スクリュー70の後段混練スクリュー部70cの外周には、突起部が設けられている。
【0040】
スクリュー70に設けられているフライトや突起部は、シャフト71に装着されたニーディングディスク,ロータ,セグメント等によって形成され、又はシャフト71に一体成形されている。スクリュー70に設けられるフライトの形態(構造,形状,大きさ,ピッチ等)は、それぞれのフライトの目的や樹脂の種類などに応じて適宜決定される。
【0041】
本実施形態のスクリュー70の一部(搬送スクリュー部70a及び放出スクリュー部70d)に設けられているフライトは、樹脂原料や溶融樹脂の搬送を主な目的としている。一方、本実施形態のスクリュー70の他の一部(前段混練スクリュー部70b)に設けられているフライトは、溶融樹脂の混練を主な目的としている。
【0042】
そこで本実施形態では、搬送スクリュー部70a及び放出スクリュー部70dに設けられているフライトは、シャフト71に一体成形された螺旋状のブレードによって形成されている。一方、スクリュー70の前段混練スクリュー部70bに設けられているフライトは、シャフト71に装着された複数のニーディングディスク或いはロータによって形成されている。なお、スクリュー70の後段混練スクリュー部70cに設けられている突起部については後述する。
【0043】
<混練調整部>
図3は、混練調整部50の構造を示す斜視図である。混練調整部50は、流路20上であって、混練部40よりも下流に設けられている。混練調整部50は、流路20の一部を形成するとともに、溶融樹脂の混練度を調整する混練調整機構80を備えている。
【0044】
混練調整機構80は、混練調整部50によって形成される流路20の一部の断面積を変化させることにより、溶融樹脂の混練度を調整する。さらに、混練調整機構80は、自らも溶融樹脂を混練する。
【0045】
混練調整機構80は、一対の可動部材81,82と、保持ブロック83と、スクリュー84によって構成されている。もっとも、混練調整機構80を構成しているスクリュー84は、スクリュー70の一部である。より特定的には、混練調整機構80を構成しているスクリュー84は、スクリュー70の後段混練スクリュー部70cである。
【0046】
可動部材81,82は、回転可能に保持された金属製のロッドである。それぞれの可動部材81,82は、シリンダ21の中流部と下流部との間に配置され、流路20の一部を形成している保持ブロック83によって回転可能に保持されている。保持ブロック83には、流路20の上方を横断する上側保持部83aと、流路20の下方を横断する下側保持部83bとが設けられている。上側保持部83a及び下側保持部83bは、流路20を垂直に横断しており、かつ、互いに平行に延びている。
【0047】
可動部材81は上側保持部83aに挿通され、可動部材82は下側保持部83bに挿通されている。この結果、可動部材81は流路20の上方を垂直に横断しており、可動部材82は流路20の下方を垂直に横断している。また、可動部材81の外周面の一部は流路20に露出しており、可動部材82の外周面の一部も流路20に露出している。別の見方をすると、可動部材81,82は、保持ブロック83とともに流路20の一部を形成している。
【0048】
それぞれの可動部材81,82の長手方向両側には、互いに噛み合うギヤが全周に亘って形成されている。よって、少なくとも一方の可動部材が回転すると、両方の可動部材が同時に逆方向に回転する。例えば、上側の可動部材81が時計回りに回転すると、下側の可動部材82が同時に反時計回りに回転する。つまり、2つの可動部材81,82は、連動して逆方向に回転する。そして、可動部材81,82の回転角(回転量)に応じて、流路20の一部の断面積が変化(増減)する。
【0049】
上記のとおり、混練調整機構80は、混練部40よりも下流に設けられている。より特定的には、混練調整機構80は、シリンダ21の中流部と下流部との間に設けられている。言い換えれば、混練調整機構80は、混練部40と放出部60との間に設けられている。この結果、混練部40と放出部60とを繋ぐ流路20の一部(領域)の断面積が、混練調整機構80によって変更される。以下の説明では、混練調整機構80によって断面積が変更される流路20の一部(領域)を“ゲート部G”と呼ぶ場合がある。
【0050】
ゲート部Gは混練部40よりも下流に位置している。よって、混練調整機構80によってゲート部Gの断面積が変更されると、ゲート部Gでの溶融樹脂の圧力(背圧)が変化する。具体的には、混練調整機構80によってゲート部Gの断面積が縮小されると、ゲート部Gでの溶融樹脂の圧力が上昇する。一方、混練調整機構80によってゲート部Gの断面積が拡大されると、ゲート部Gでの溶融樹脂の圧力が低下する。そして、ゲート部Gでの溶融樹脂の圧力が上昇すると、混練部40で溶融樹脂が混練される時間が長くなり、混練度が強まる(高くなる)。一方、ゲート部Gでの溶融樹脂の圧力が低下すると、混練部40で溶融樹脂が混練される時間が短くなり、混練度が弱まる(低くなる)。つまり、混練調整機構80は、流路20の断面積を部分的に変化させることによってゲート部Gでの溶融樹脂の圧力を制御し、溶融樹脂の混練度を調整する。
【0051】
図4Aは、ゲート部Gの断面積が最小となるまで回転させた可動部材81,82を示す断面図である。図4Bは、ゲート部Gの断面積が最大となるまで回転させた可動部材81,82を示す断面図である。
【0052】
可動部材81,82には、流路20の一部(ゲート部G)を形成する流路形成面85が設けられている。それぞれの可動部材81,82の流路形成面85は、スクリュー84(後段混練スクリュー部70c)の外形に倣う曲面形状を有しており、スクリュー84の径方向両側(上下)に配置されている。別の見方をすると、スクリュー84は、可動部材81の流路形成面85と可動部材82の流路形成面85との間に配置されている。
【0053】
ゲート部Gの上側を形成する可動部材81の流路形成面85は、スクリュー84の概ね上半分と対向し、ゲート部Gの下側を形成する可動部材82の流路形成面85は、スクリュー84の概ね下半分と対向する。言い換えれば、可動部材81の流路形成面85は、後段混練スクリュー部70cの外周面の上側と対向し、可動部材82の流路形成面85は、後段混練スクリュー部70cの外周面の下側と対向する。もっとも、流路形成面85と対向するスクリュー84上の領域は、スクリュー84の回転に伴って変化する。また、可動部材81,82の回転角(回転量)により、流路形成面85とスクリュー84とは、平行に対向する場合もあれば、斜めに対向する場合もある。
【0054】
図4Bに示されている可動部材81が反時計回りに回転すると、当該可動部材81の流路形成面85がスクリュー84に近接する。同時に、可動部材82が時計回りに回転し、当該可動部材82の流路形成面85もスクリュー84に近接する。この結果、可動部材81,82の流路形成面85とスクリュー84との間の隙間(クリアランス)が減少する。つまり、ゲート部Gの断面積が縮小する。
【0055】
一方、図4Aに示されている可動部材81が時計回りに回転すると、当該可動部材81の流路形成面85がスクリュー84から離反する。同時に、可動部材82が反時計回りに回転し、当該可動部材82の流路形成面85もスクリュー84から離反する。この結果、可動部材81,82の流路形成面85とスクリュー84との間の隙間(クリアランス)が増加する。つまり、ゲート部Gの断面積が拡大する。
【0056】
上記のように、一対の可動部材81,82は、流路形成面85とスクリュー84との間の隙間(クリアランス)が増減するように動作可能である。そして、流路形成面85とスクリュー84との間の隙間(クリアランス)の増減に伴って、ゲート部Gの断面積が拡縮する。
【0057】
図4Bに示されている可動部材81,82は、それぞれ50度回転すると、図4Aに示されている状態(全閉状態)となる。ゲート部Gの断面積は、可動部材81,82が全閉状態のときに最小となる。一方、図4Aに示されている可動部材81,82は、それぞれ50度回転すると、図4Bに示されている状態(全開状態)になる。ゲート部Gの断面積は、可動部材81,82が全開状態のときに最大となる。さらに、ゲート部Gの断面積は、可動部材81,82が全開状態から全閉状態に移行するに連れて次第に縮小し、可動部材81,82が全閉状態から全開状態に移行するに連れて次第に拡大する。
【0058】
なお、可動部材81,82の少なくとも一方の流路形成面85とスクリュー84との間の隙間(クリアランス)を増減させれば、ゲート部Gの断面積を拡縮させることができる。また、可動部材81,82を昇降させることによっても、それぞれの流路形成面85とスクリュー84との間の隙間(クリアランス)を増減させることができる。
【0059】
<スクリュー(後段混練スクリュー部)>
次に、混練調整機構80を構成しているスクリュー84の形状について説明する。なお、スクリュー84がスクリュー70の一部(後段混練スクリュー部70c)であることは、既述のとおりである。
【0060】
スクリュー84は、混練調整部50を通過する溶融樹脂を混練可能な形状を有している。より特定的には、スクリュー84は、混練調整部50を通過する溶融樹脂を分散混合可能な形状を有している。
【0061】
図5Aは、スクリュー84の斜視図である。図5Bは、図5Aに示されているスクリュー84及びその周囲の可動部材81,82の断面図である。図5Bに示されているスクリュー84の断面は、中心軸Xと直交する断面である。これまでの説明により、中心軸Xは、スクリュー70の中心軸であると同時に、スクリュー84の中心軸でもあることが分かる。以下の説明では、特に断らない限り、スクリュー70(スクリュー84)の断面とは、中心軸Xと直交する断面を意味する。なお、図5Bに示されている可動部材81,82は、実際には図3に示されるような形状を有しており、図5Bでは模式的に示されている。
【0062】
スクリュー84の外周には、少なくとも1つの突起部86が設けられている。本実施形態では、スクリュー84の外周に、それぞれが角を有する6個の突起部86が設けられている。別の見方をすると、スクリュー84の周方向の6箇所にエッジが設けられている。
【0063】
スクリュー84に設けられている6個の突起部86は、スクリュー84の周方向(回転方向)に等間隔(60度間隔)で配置されている。また、それぞれの突起部86は、スクリュー84の中心軸Xと平行に延びている。この結果、スクリュー84の断面内でそれぞれの突起部86の頂点(先端)86aを結ぶ線分は、正多角形(正6六角形)を形成する。つまり、スクリュー84は、正6角形の断面形状を有している。
【0064】
外周に突起部86が設けられているスクリュー84は、混練調整部50(ゲート部G)を通過する溶融樹脂に伸長流れを発生させる。具体的には、スクリュー84が回転すると、流路形成面85がスクリュー84の突起部86の先端に対して、相対的に近接離反する。この結果、流路断面積が連続的に変化し、溶融樹脂に伸長変形が生じる。
【0065】
別の見方をすると、スクリュー84の外周に突起部86を設けることにより、混練調整部50で伸長速度が得られる。つまり、混練部40を通過する間に混練(混合)された溶融樹脂は、混練調整部50を通過する間にも混練(混合)される。
【0066】
ここで、流路断面積が小さすぎると混練が過剰になる一方、流路断面積が大きすぎると混練が不十分になる虞がある。つまり、スクリュー84と流路形成面85との間のクリアランスが小さすぎると、混練が過剰になる虞がある。一方、スクリュー84と流路形成面85との間のクリアランスが大きすぎると、混練が不十分になる虞がある。
【0067】
そこで、図5Bに示されている最小クリアランスaと最大クリアランスbとの比(b/a)は、4以下であることが好ましい。また、可動部材81,82が全閉状態のときの最小クリアランスaは、ゲート部Gの内径dの1/10以下であることが好ましい。
【0068】
なお、図5Bに示されている最小クリアランスaは、スクリュー84の突起部86と流路形成面85との間のクリアランスである。より特定的には、突起部86の先端と流路形成面85との間のクリアランスである。また、図5Bに示されている最大クリアランスbは、隣接する2つの突起部86の間の平坦部分と流路形成面85との間のクリアランスである。
【0069】
本実施形態では、スクリュー84の外周に6個の突起部86が設けられている。もっとも、スクリュー84の外周に突起部86が少なくとも1つ設けられていれば、溶融樹脂に伸長流れを発生させることができる。よって、スクリュー84の外周に設けられる突起部86の数、形状、配置などに制限はない。そこで、スクリュー84の変形例の幾つかについて以下に説明する。
【0070】
<変形例1>
図6Aは、スクリュー84の一変形例を示す斜視図である。図6Bは、図6Aに示されているスクリュー84及びその周囲の可動部材81,82の断面図である。
【0071】
図6A図6Bに示されているスクリュー84の外周には、それぞれが角を有する8個の突起部86が設けられている。これら8個の突起部86は、スクリュー84の周方向(回転方向)に等間隔(45度間隔)で配置されている。この結果、スクリュー84の断面内でそれぞれの突起部86の頂点86aを結ぶ線分は、正多角形(正8角形)を形成する。つまり、図6A図6Bに示されているスクリュー84は、正8角形の断面形状を有している。
【0072】
<変形例2>
図7Aは、スクリュー84の他の一変形例を示す斜視図である。図7Bは、図7Aに示されているスクリュー84及びその周囲の可動部材81,82の断面図である。
【0073】
図7A図7Bに示されているスクリュー84の外周には、それぞれが角を有する10個の突起部86が設けられている。これら10個の突起部86は、スクリュー84の周方向(回転方向)に等間隔(36度間隔)で配置されている。この結果、スクリュー84の断面内でそれぞれの突起部86の頂点86aを結ぶ線分は、正多角形(正10角形)を形成する。つまり、図7A図7Bに示されているスクリュー84は、正10角形の断面形状を有している。
【0074】
<変形例3>
図8Aは、スクリュー84の他の一変形例を示す斜視図である。図8Bは、図8Aに示されているスクリュー84及びその周囲の可動部材81,82の断面図である。
【0075】
図8A図8Bに示されているスクリュー84の外周には、それぞれが角を有する12個の突起部86が設けられている。これら12個の突起部86は、スクリュー84の周方向(回転方向)に等間隔(30度間隔)で配置されている。この結果、スクリュー84の断面内でそれぞれの突起部86の頂点86aを結ぶ線分は、正多角形(正12角形)を形成する。つまり、図8A図8Bに示されているスクリュー84は、正12角形の断面形状を有している。
【0076】
<変形例4>
図9Aは、スクリュー84の他の一変形例を示す斜視図である。図9Bは、図9Aに示されているスクリュー84及びその周囲の可動部材81,82の断面図である。
【0077】
図9A図9Bに示されているスクリュー84の外周には、それぞれが角を有する24個の突起部86が設けられている。これら24個の突起部86は、スクリュー84の周方向(回転方向)に等間隔(15度間隔)で配置されている。この結果、スクリュー84の断面内でそれぞれの突起部86の頂点86aを結ぶ線分は、正多角形(正24角形)を形成する。つまり、図9A図9Bに示されているスクリュー84は、正24角形の断面形状を有している。
【0078】
<シミュレーション>
次に、本実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーション(流動解析)について説明する。本シミュレーションでは、外周に突起部が設けられていない円柱状スクリューと、外周に突起部が設けられているスクリューと、を同一条件で回転させたときに、同一特性の溶融樹脂に生じる伸長速度を算出した。別の見方をすると、断面形状が円形のスクリューと、断面形状が正多角形のスクリューと、を同一条件で回転させたときに、同一特性の溶融樹脂に生じる伸長速度を算出した。
【0079】
なお、それぞれのスクリューは、同一条件のシリンダ内において同一速度で回転駆動されるものと仮定した。また、それぞれのスクリューの外径は同一又は実質的に同一であるものと仮定した。断面形状が正多角形のスクリューについては、それぞれの突起部の頂点を結ぶ円の直径を当該スクリューの外径とした。
【0080】
本シミュレーションによって算出された伸長速度の比較結果を図10に示す。図10の表には、断面形状が正多角形の各スクリューによって得られた伸長速度の、断面形状が円形のスクリューによって得られた伸長速度に対する比率が示されている。
【0081】
本シミュレーションにより、断面形状が正6角形のスクリュー84を有する本実施形態の造粒機1Aでは、混練部40のみでなく、混練調整部50においても溶融樹脂が混練(混合)されることが確認された。別の見方をすると、本実施形態の造粒機1Aが備える混練調整部50(混練調整機構80)は、混練機能及び混練度調整機能を有する。したがって、本実施形態の造粒機1Aによれば、より均一に樹脂を混練することができる。かかる効果を有する本実施形態の造粒機1Aは、粘度差がある樹脂の混練や、凝集力の強いフィラーの分散などに特に適している。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態または実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、スクリュー84は、少なくとも1つの突起部86を備えていればよく、その断面形状は正多角形に限られない。そこで、上記実施形態のスクリュー84は、例えば、図11図14に示されるスクリュー84に置換することができる。
【0083】
図11Aは、他の実施形態の造粒機が備えるスクリュー84の斜視図である。図11Bは、図11Aに示されているスクリュー84及びその周囲の可動部材81,82の断面図である。
【0084】
図11A図11Bに示されているスクリュー84の外周には、断面形状が三角形の突起部86が8個設けられている。別の見方をすると、このスクリュー84は、概ね星形の断面形状を有している。さらに別の見方をすると、このスクリュー84の外周には、複数の山部及び谷部が設けられている。また、それら山部及び谷部は、周方向に交互に並んでいる。
【0085】
図12Aは、さらに他の実施形態の造粒機が備えるスクリュー84の斜視図である。図12Bは、図12Aに示されているスクリュー84及びその周囲の可動部材81,82の断面図である。
【0086】
図12A図12Bに示されているスクリュー84の外周には、断面形状が三角形(楔形)の突起部86が24個設けられている。図12A図12Bに示されているスクリュー84に設けられている突起部86は、図11A図11Bに示されているスクリュー84に設けられている突起部86よりも先鋭であり、かつ、狭ピッチで並んでいる。別の見方をすると、このスクリュー84の外周には、複数のトゲが設けられている。
【0087】
図13Aは、さらに他の実施形態の造粒機が備えるスクリュー84の斜視図である。図13Bは、図13Aに示されているスクリュー84の断面図である。
【0088】
図13A図13Bに示されているスクリュー84の外周には、4個の突起部86が設けられている。さらに、隣接する突起部86同士を繋いでいるスクリュー84の外周面がうねっている(波打っている)。別の見方をすると、隣接する突起部86同士が曲面によって接続されている。なお、図13A図13Bに示されているスクリュー84でも、中心軸Xと直交する断面内でそれぞれの突起部86の頂点86aを結ぶ線分は正多角形(正4角形)を形成している。
【0089】
図14Aは、さらに他の実施形態の造粒機が備えるスクリュー84の斜視図である。図14Bは、図14Aに示されているスクリュー84の断面図である。
【0090】
図14A図14Bに示されているスクリュー84の外周には、6個の突起部86が設けられている。このスクリュー84は、図5A図5Bに示されているスクリュー84と同じく、正6角形の断面形状を有している。しかし、図5A図5Bに示されているスクリュー84に設けられている各突起部86が中心軸Xに対して平行に延びているのに対し、図14A図14Bに示されているスクリュー84に設けられている各突起部86は、中心軸Xに対して交差する方向に延びている。別の見方をすると、図14A図14Bに示されているスクリュー84に設けられている各突起部86は、中心軸Xを旋回軸として螺旋状に延びている。なお、図6図13に示されているスクリュー84に設けられている突起部86は、全て中心軸Xに対して平行に延びている。
【0091】
本明細書では、混練調整機構80を構成するスクリュー84の形状について幾つかの例を示した。しかし、本明細書に示されているスクリュー84の形状は一例に過ぎない。混練調整機構80を構成するスクリュー84に設けられる突起部86の形状,大きさ,個数,ピッチ等は、混練調整部50を通過する溶融樹脂に作用させる応力に応じて適宜変更することができる。例えば、突起部86は先鋭でなくともよい。突起部86の先端は、例えば円弧面であってもよい。突起部86の先端が円弧面である場合、その円弧の中点が突起部86の頂点86aに相当する。
【0092】
造粒機には、少なくとも二軸造粒機および単軸造粒機が含まれる。また、二軸造粒機には、少なくとも連続同方向噛合い二軸造粒機および連続異方向非噛合い二軸造粒機が含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1A:造粒機
10:メインモータ
11:減速機
12:混練処理部
13:ギヤポンプ
13a,16a:モータ
13b:減速機
14:異物除去部
15:ダイヘッド
16:切断部
20:流路
21:シリンダ
22:原料ホッパ
22a:上方開口部(投入口)
22b:下方開口部(排出口)
30:搬送部
40:混練部
50:混練調整部
60:放出部
70,84:スクリュー
70a:搬送スクリュー部
70b:前段混練スクリュー部
70c:後段混練スクリュー部
70d:放出スクリュー部
71:シャフト
80:混練調整機構
81,82:可動部材
83:保持ブロック
83a:上側保持部
83b:下側保持部
85:流路形成面
86:突起部
86a:頂点
a:最小クリアランス
b:最大クリアランス
d:内径
G:ゲート部
X:中心軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B