(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電池ユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241029BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241029BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20241029BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20241029BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20241029BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241029BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6555
H01M10/6557
H01M50/204 401H
H01M50/262 Z
H01M50/264
H01M50/289
(21)【出願番号】P 2021087825
(22)【出願日】2021-05-25
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】福田 滋
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-504853(JP,A)
【文献】特開2019-216004(JP,A)
【文献】特開2006-250734(JP,A)
【文献】特開2019-175585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/6555
H01M 10/6557
H01M 50/262
H01M 50/264
H01M 50/289
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ユニットであって、
複数の電極シートが第1方向に沿って積層された電池モジュールと、
前記電池モジュールの表面に重ねて配置される冷却プレートと、
を備え、
前記電極シートは、
少なくとも一方の表面に活性物質が存在する塗工部と、
前記塗工部に隣接しており、その両面に前記活性物質が存在しない未塗工部と、
を有し、
前記冷却プレートは、
前記塗工部と対向しており、前記電池モジュールを冷却する本体プレートと、
前記本体プレートの外縁に沿って取り付けられ、前記電池モジュールに関する情報を検知するセンサを保持する少なくとも一つのセンサホルダと、
を有し、
前記冷却プレートの前記電池モジュールに当接する当接面には、前記本体プレートと前記センサホルダとの境界が形成されており、
前記第1方向に沿って見たときに、前記電極シートにおける前記塗工部と前記未塗工部との境界と、前記前記冷却プレートの前記当接面における前記本体プレートと前記センサホルダとの境界とは、互いに平行に延びる区間において重畳しない、電池ユニット。
【請求項2】
前記第1方向に沿って見たときに、前記当接面に形成された前記本体プレートと前記センサホルダとの境界の少なくとも一部は、前記電極シートの前記塗工部上に位置する、請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記センサホルダは、
前記本体プレートの一方の外縁に沿って取付けられる第1センサホルダと、
前記本体プレートの前記一方の外縁と反対側に位置する他方の外縁に沿って取付けられる第2センサホルダと、
を有する、請求項1または2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記第1センサホルダに、前記電池モジュールに関する第1情報を検知する第1センサが保持され、
前記第2センサホルダに、前記電池モジュールに関する前記第1情報とは異なる第2情報を検知する第2センサが保持される、請求項3に記載の電池ユニット。
【請求項5】
前記第1センサは、前記電池モジュールの温度を検知する温度センサである、請求項4に記載の電池ユニット。
【請求項6】
前記第2センサは、前記電池モジュールの電圧を検知する電圧センサである、請求項4または5に記載の電池ユニット。
【請求項7】
前記本体プレートは、金属製であり、
前記センサホルダは、樹脂製である、請求項1から6のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【請求項8】
複数の前記電池モジュールと、
前記第1方向に沿って前記複数の前記電池モジュールと交互に積層された複数の前記冷却プレートとを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【請求項9】
前記複数の前記冷却プレートのうちの少なくとも一つは、
前記本体プレートと、
前記センサホルダと同形状であって前記本体プレートの外縁に沿って取付けられるスペーサと、
を有する、請求項8に記載の電池ユニット。
【請求項10】
前記電池モジュール及び前記冷却プレートを前記第1方向に押圧する押圧ユニットをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、複数の電極シートが積層された電池モジュールと、その電池モジュールの表面に重ねて配置される冷却プレートと、を備える電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の構成を備える電池ユニット(例えば、全固体電池)が特許文献1に開示されている。電池モジュールの電極シート(例えば、アルミラミネートフィルム)の少なくとも一方の表面には、部分的に活性物質が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電極シートが積層される電池モジュールでは、電極シートの活性物質が存在する部位は、活性物質が存在しない部位に比して変形しにくい。そのため、両部位の境界には、応力が集中しやすい。また、電池モジュールの表面には、冷却プレートが当接する。冷却プレートには、電池モジュールを冷却する本体プレートの外縁に、電池モジュールに関する情報を検知するセンサを保持するセンサホルダが取り付けられることがある。この場合、冷却プレートの電池モジュールの表面と当接する面には、本体プレートとセンサホルダとの境界が形成される。この境界には、例えば製造上の誤差等によって、段差が生じることがある。本体プレートとセンサホルダとの境界に発生した段差が電池モジュールの表面に当接すると、応力が発生しやすい電池モジュールの活性物質が存在する部位と存在しない部位との境界において、表面の電極シートが特にダメージを受けやすい。本明細書では、上述の構成を有する電池ユニットにおいて、電極シートに加えられるダメージを低減することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電池ユニットは、複数の電極シートが第1方向に沿って積層された電池モジュールと、前記電池モジュールの表面に重ねて配置される冷却プレートと、を備える。前記電極シートは、少なくとも一方の表面に活性物質が存在する塗工部と、前記塗工部に隣接しており、その両面に前記活性物質が存在しない未塗工部と、を有する。前記冷却プレートは、前記塗工部と対向しており、前記電池モジュールを冷却する本体プレートと、前記本体プレートの外縁に沿って取り付けられ、前記電池モジュールに関する情報を検知するセンサを保持する少なくとも一つのセンサホルダと、を有する。前記冷却プレートの前記電池モジュールに当接する当接面には、前記本体プレートと前記センサホルダとの境界が形成されている。本明細書が開示する電池ユニットでは、前記第1方向に沿って見たときに、前記電極シートにおける前記塗工部と前記未塗工部との境界と、前記冷却プレートの前記当接面における前記本体プレートと前記センサホルダとの境界とは、互いに平行に延びる区間において重畳しない。
【0006】
上述した電池ユニットでは、応力が発生しやすい塗工部と未塗工部との境界と、段差が生じやすい本体プレートとセンサホルダとの境界と、が互いに平行に延びる区間において重畳しない。その結果、本体プレートとセンサホルダとの境界に段差が生じた場合であっても、その段差が、塗工部と未塗工部との境界と当接しにくい。これにより、段差の角が電池モジュールの表面と当接することで発生する応力と、塗工部と未塗工部の境界に発生する応力と、が分散される。その結果、本明細書が開示する電池ユニットは、電極シートに加えられるダメージを低減することができる。
【0007】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図2の線III-IIIに沿った断面図である。
【
図4】
図3の破線IVに囲まれた範囲の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の一実施形態では、前記第1方向に沿って見たときに、前記当接面に形成された前記本体プレートと前記センサホルダとの境界の少なくとも一部は、前記電極シートの前記塗工部上に位置してもよい。このような構成によると、センサホルダが、塗工部と重畳する。その結果、センサホルダに保持されるセンサが塗工部に近づくため、センサの検知精度を向上させることができる。
【0010】
本技術の一実施形態では、前記センサホルダは、前記本体プレートの一方の外縁に沿って取付けられる第1センサホルダと、前記本体プレートの前記一方の外縁と反対側に位置する他方の外縁に沿って取付けられる第2センサホルダと、を有してもよい。このような構成によると、複数個のセンサを本体プレートの両側に保持することができる。その結果、センサの配置自由度を向上させることができる。
【0011】
本技術の一実施形態では、前記第1センサホルダに、前記電池モジュールに関する第1情報を検知する第1センサが保持されてもよく、前記第2センサホルダに、前記電池モジュールに関する前記第1情報とは異なる第2情報を検知する第2センサが保持されてもよい。このような構成によると、電池モジュールに関する複数の情報を検知することができる。
【0012】
本技術の一実施形態では、前記第1センサは、前記電極シートの温度を検知する温度センサであってもよい。このような構成によると、電圧センサによって、電池モジュールの電圧に関する情報を検知することができる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記第2センサは、前記電極シートの電圧を検知する電圧センサであってもよい。このような構成によると、温度センサによって、電池モジュールの温度に関する情報を検知することができる。
【0014】
本技術の一実施形態では、前記本体プレートは、金属製であり、前記センサホルダは、樹脂製であってもよい。このような場合、樹脂製のセンサホルダは、金属製の本体プレートの冷却部に比して、変形しやすい。その結果、樹脂製のセンサホルダと対向する未塗工部が、さらに変形しやすくなる。そのため、本明細書が開示する技術がさらに有益となる。
【0015】
本技術の一実施形態では、複数の前記電池モジュールと、前記第1方向に沿って前記複数の前記電池モジュールと交互に配置された複数の前記冷却プレートとを備えてもよい。複数積層された未塗工部は、単層の未塗工部に比して、さらに変形しやすい。そのため、本明細書が開示する技術がさらに有益となる。
【0016】
本技術の一実施形態では、前記複数の前記冷却プレートのうちの少なくとも一つは、前記本体プレートと、前記センサホルダと同形状であって前記本体プレートの外縁に沿って取付けられるスペーサと、を有してもよい。このような構成によると、冷却プレートは、センサホルダに代えて、スペーサを有することができる。このため、全ての冷却プレートがセンサホルダを有する構成に比して、センサの数を削減することができる。
【0017】
本技術の一実施形態では、前記電極シート及び前記冷却プレートを前記第1方向に押圧する押圧ユニットをさらに備えてもよい。押圧ユニットによって電池モジュールと冷却プレートとが押圧されると、電池モジュールの表面の電極シートに加えられる応力が大きくなる。そのため、本明細書が開示する技術がさらに有益となる。
【0018】
(実施例)
図面を参照して実施例の電池ユニットについて説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、実施例の電池ユニット10の構成について説明する。電池ユニット10は、例えばリチウムイオン二次電池である。電池ユニット10は、電池モジュール群50と、押圧ユニット2と、を備える。電池モジュール群50は、複数個の扁平な電池モジュール20がその厚み方向に積層されて構成される。電池モジュール群50のX軸方向正側(すなわち、
図1の紙面左側)には、第1端子9uと、第2端子9dと、が設けられている。各端子9u、9dは、電池ユニット10の周辺機器(図示省略)に対して、電気的に接続される。これにより、電池ユニット10は、周辺機器に対して電力を供給し、または、周辺機器から供給された電気を蓄える。なお、以下では、電池モジュール20が積層される方向(すなわち、図中座標軸のZ軸方向)を第1方向と称することがある。
【0019】
押圧ユニット2は、電池モジュール群50を保持する装置である。押圧ユニット2は、第1押圧板2uと、第2押圧板2dと、8本のボルト4と、を備える。第2押圧板2dには、第1押圧板2uに向かって延びる8本の柱2pが設けられる。
図2に示されるように、各ボルト4は、第1押圧板2uの貫通孔を通過し、対応する柱2pに設けられるネジ穴と螺合する。これにより、押圧ユニット2は、電池モジュール群50をその内部に保持するとともに、電池モジュール群50を第1方向に押圧する。
【0020】
図2に示されるように、電池モジュール群50は、複数の電池モジュール20と、複数の冷却プレート30と、が交互に第1方向に積層されて構成される。電池モジュール20は、X軸方向に延びる扁平な形状を有している。電池モジュール20は、塗工部24と、未塗工部22と、を備える。塗工部24は、X軸方向に延びる矩形形状を有し、電池モジュール20の中央部に位置する。電池モジュール20の詳細構造については、
図3、
図4を参照して後述する。塗工部24は、活性物質44(
図4参照)が塗布される範囲である。未塗工部22は、塗工部24の周囲に位置する。未塗工部22は、活性物質が塗布されない範囲である。各電池モジュール20は、同様の構造を有する。
【0021】
冷却プレート30も、電池モジュール20と同様に、X軸方向に延びる扁平な形状を有している。冷却プレート30は、本体プレート34と、第1センサホルダ32tと、第2センサホルダ32vと、を備える。本体プレート34は、金属製のプレートであり、その内部に流路36(
図4参照)が形成されている。本体プレート34は、内部の流路に冷媒(例えば、空気)を循環させることで、電池モジュール20を冷却する。各冷却プレート30は、同様の構造を有する。
【0022】
第1センサホルダ32tは、本体プレート34のX軸方向負側(すなわち、
図2の紙面右側)の外縁に沿って取付けられる樹脂製のプレートである。第1センサホルダ32tには、温度センサT1が固定される。温度センサT1は、第1センサホルダ32tの表面(すなわち、
図2の紙面上側の面)に露出する。温度センサT1は、第1センサホルダ32tの表面に配置される電池モジュール20の温度を検知する。また、温度センサT1は、第1センサホルダ32tの表面に形成される凹部に埋め込まれる。その結果、温度センサT1の表面から第1センサホルダ32tが突出しないため、複数の冷却プレート30を第1方向に積層しても、電池モジュール群50の第1方向の長さを短くすることができる。
【0023】
第2センサホルダ32vは、本体プレート34の第1センサホルダ32tと反対側に位置する。第2センサホルダ32vは、本体プレート34のX軸方向正側(すなわち、
図2の紙面左側)の外縁に沿って取付けられる樹脂製のプレートである。第2センサホルダ32vには、電圧センサV1が固定される。電圧センサV1の本体プレート34側の外縁は、本体プレート34と当接する。先に述べたように、本体プレート34は、金属製であるため、導電性を有する。電圧センサV1は、本体プレート34を介して、電池モジュール20の電圧を検知する。
【0024】
電池モジュール群50と第1押圧板2uとの間には、第1集電プレート8uと、第1絶縁板6uと、が配置される。同様に、電池モジュール群50と第2押圧板2dとの間には、第2集電プレート8dと、第2絶縁板6dと、が配置される。第1集電プレート8uには、第1端子9uが接続される。第2集電プレート8dには、第2端子9dが接続される。各集電プレート8u、8dは、電池モジュール群50が発生させた電気を集め、その電気を、各端子9u、9dを介して、電池ユニット10の周辺機器に出力する。各絶縁板6u、6dは、電池モジュール群50及び各集電プレート8u、8dとその周辺の機器等との間で短絡が発生することを防止する。
【0025】
図3を参照して、電池ユニット10の内部の構造について説明する。なお、
図3では、電池モジュール群50のZ軸方向正側(すなわち、
図3の紙面上側)に位置する電池モジュール20、冷却プレート30にのみ符号を付し、それ以外の符号を省略している。
【0026】
先に述べたように、押圧ユニット2は、ボルト4(
図1参照)によって第1押圧板2uを、第2押圧板2dに押し付ける。その結果、
図3に示されるように、電池モジュール群50は、第1方向(すなわち、
図3の紙面上下方向)に、押圧ユニット2によって押圧力F1を受ける。その結果、各冷却プレート30は、各電池モジュール20に常に押し付けられた状態となる。これにより、電池モジュール20で発生した電気は、その電池モジュール20に重ねて配置される冷却プレート30の本体プレート34を介して、その冷却プレート30に重ねて配置される電池モジュール20に伝えられる。このように、各電池モジュール20は、重ねて配置される冷却プレート30の本体プレート34を介して直列に接続される。
【0027】
電池モジュール群50の各電池モジュール20、各冷却プレート30の厚みには、製造上の誤差が生じ得る。そのため、押圧力F1が各冷却プレート30を各電池モジュール20に押し付ける力の強さも、変化し得る。例えば、各電池モジュール20、各冷却プレート30の厚みが大きくなる方向に誤差が生じた場合には、各冷却プレート30を各電池モジュール20に押し付ける力の強さが大きくなる。一方、各電池モジュール20、各冷却プレート30の厚みが小さくなる方向に誤差が生じた場合には、各冷却プレート30を各電池モジュール20に押し付ける力の強さが小さくなる。このように、電池モジュール群50を第1方向に押圧する力を一定にすることが困難であるため、冷却プレート30と電池モジュール20との当接する部位には、意図するよりも大きな力が生じ得る。
【0028】
図4を参照して、冷却プレート30と電池モジュール20との当接する部位の詳細について説明する。なお、
図4では、冷却プレート30のX軸方向負側(すなわち、第1センサホルダ32tが取り付けられている側)の外縁周辺の構造について説明するが、X軸方向正側(すなわち、第2センサホルダ32vが取り付けられている側)も同様である。また、各冷却プレート30と各電池モジュール20との当接する部位は、全て同様の構造を有する。
【0029】
初めに、冷却プレート30の詳細構造について説明する。冷却プレート30の本体プレート34の内部には、複数の流路36が形成される。本体プレート34のX軸方向負側(すなわち、
図4の紙面右側)の外縁には、第1センサホルダ32tに向かって延びる凸部38が形成される。第1センサホルダ32tには、本体プレート34の凸部38と嵌合する溝が設けられる。本体プレート34の凸部38が第1センサホルダ32tの溝に圧入されることで、第1センサホルダ32tが、本体プレート34の外周に沿って固定される。
【0030】
その結果、冷却プレート30の電池モジュール20と当接する当接面30dには、本体プレート34と、第1センサホルダ32tと、のプレート側境界34eが形成される。先に述べたように、第1センサホルダ32tは、本体プレート34に取り付けられる別体の部品である。このため、例えば製造上の誤差等の原因により、プレート側境界34eには、第1センサホルダ32tと、本体プレート34との間に間隙が生じ得る。また、樹脂製の第1センサホルダ32tは、金属製の本体プレート34に比して、高温時に膨張しやすい。そのため、第1センサホルダ32tと、本体プレート34との間に空間を設けることで、膨膨張した第1センサホルダ32tと、本体プレート34とが干渉することを防止することがある。
【0031】
このため、プレート側境界34eには、第1方向に延びる段差が生じやすい。先に述べたように、冷却プレート30の当接面30dは、押圧ユニット2(
図1参照)の押圧力F1(
図3参照)により、電池モジュール20に第1方向に押し付けられる。このため、プレート側境界34eに段差が生じると、その段差の角が、電池モジュール20の表面に押し付けられる。
【0032】
次いで、電池モジュール20の詳細構造について説明する。電池モジュール20は、複数の電極シート40を第1方向に積層し、そのX軸方向(すなわち、
図4の紙面左右方向)の端をシール材48によって封止することで構成される。各電極シート40は、活性物質44と、セパレータ46と、を備える。電極シート40は、典型的にはアルミニウムで構成される金属箔である。電極シート40の間には、活性物質44と、セパレータ46と、が挟持される。活性物質44は、正極活性物質と、負極活性物質と、を含む。正極活性物質は、リチウム遷移金属複合酸化物であり、負極活性物質は、炭素材料である。セパレータ46は、活性物質44の正極活性物質と負極活性物質とが接触することを防止する。
【0033】
活性物質44は、電極シート40の表面の中央部に配置される。一方、電極シート40の周縁部では、電極シート40のどちらの表面にも活性物質44が配置されない。電極シート40の周縁部には、電解液42が収容される。電解液42は、典型的には有機溶媒である。電池モジュール20は、活性物質44の正極活性物質と、負極活性物質と、の間で、電解液42を介してリチウムイオンが移動させることによって、充電及び放電を行う。
【0034】
電解液42が存在する未塗工部22には、活性物質44が存在しない。また、先に述べたように、活性物質44は、金属等を含む材料で構成されているため、電解液42に比して変形しにくい。そのため、未塗工部22は、活性物質44存在する塗工部24に比して第1方向に変形しやすい。さらに、各電極シート40における活性物質44の外縁の位置は、第1方向に沿って見たときに揃うように配置される。その結果、塗工部24と、未塗工部22との境界である電極側境界44eは、電極シート40が変形する起点となりやすい。例えば、押圧ユニット2の圧力によって電池モジュール20が押された場合に、未塗工部22は、電極側境界44eを起点として、第1方向(すなわち、
図4の紙面下方向)に変形する。その結果、冷却プレート30の当接面30dと当接する外側電極シート40eの端部が、電極側境界44eを起点として第1方向(すなわち、
図4の紙面下方向)に屈曲する。このため、電極側境界44eでは、外側電極シート40eがダメージを受けやすい。
【0035】
電池ユニット10(
図1参照)では、
図4に示される一定の断面が、Y軸方向(すなわち、
図4の紙面手前奥方向)に延びている。すなわち、電極側境界44eと、プレート側境界34eとは、平行にY軸方向に延びている。さらに、電極側境界44eと、プレート側境界34eとは、X軸方向(すなわち、
図4の紙面左右方向)でずれている。すなわち、電極側境界44eとプレート側境界34eとが平行に延びる区間において、電極側境界44eと、プレート側境界34eとは、第1方向に沿って見たときに重畳しない。このため、外側電極シート40eがダメージを受けやすい電極側境界44eと、段差が生じやすいプレート側境界34eとが、当接する区間が小さくなる。これにより、プレート側境界34eに生じた段差が、電極側境界44eの外側電極シート40eにダメージを与えにくい。すなわち、電池ユニット10は、外側電極シート40eに加えられるダメージを低減することができる。
【0036】
さらに、
図4に示されるように、プレート側境界34eは、電極側境界44eよりも内側(すなわち、
図4の紙面左側)に位置している。別言すれば、第1方向に沿って見たときに、プレート側境界34eは、塗工部24上に位置する。その結果、第1センサホルダに保持される温度センサT1(
図2参照)の位置が、塗工部24に近づく。これにより、温度センサT1が電極シート40(すなわち、塗工部24)の温度を検知する精度を向上させることができる。
【0037】
また、先に述べたように、第1センサホルダ32tは、樹脂製であるため、金属製の本体プレート34に比して、押圧ユニット2の押圧力F1によって変形しやすい。第1センサホルダ32tが変形すると、第1センサホルダ32tと当接する未塗工部22も変形する。すなわち、本体プレート34が金属製であり、かつ、第1センサホルダ32tが樹脂製である場合には、金属製の第1センサホルダ32tを採用する場合に比して、未塗工部22が変形しやすい。このため、本明細書が開示する技術は、樹脂製の第1センサホルダ32tを採用する場合に、特に有益である。
【0038】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0039】
(変形例1)上述した実施例では、第1方向に沿って見たときに、プレート側境界34eが、塗工部24上に位置する。変形例では、これに代えて、プレート側境界34eは、未塗工部22上に位置してもよい。
【0040】
(変形例2)上述した実施例では、冷却プレート30は、第1センサホルダ32tと、第2センサホルダ32vと、を備えているが、これに代えて、変形例の冷却プレート30は、第1センサホルダ32tのみを備えていてもよい。その場合、第1センサホルダ32tに温度センサT1及び電圧センサV1の双方が保持されてもよい。
【0041】
(変形例3)上述した実施例では、冷却プレート30は、温度センサT1及び電圧センサV1の双方を備えているが、変形例では、例えば、電圧センサV1のみを備えてもよい。すなわち、温度センサT1を備えない構成であってもよい。
【0042】
(変形例4)各センサホルダ32t、32vは、金属製であってもよい。
【0043】
(変形例5)電池モジュール群50は、複数の電池モジュール20を第1方向に積層されていなくてもよい。すなわち、変形例では、電池ユニット10は、一つの電池モジュール20のみを備えてもよい。
【0044】
(変形例6)上述した実施例では、複数の冷却プレート30が、それぞれ、第1センサホルダ32tに保持される温度センサT1、第2センサホルダ32vに保持される電圧センサV1を備える。変形例では、複数の冷却プレート30のうちの少なくとも一つは、第1センサホルダ32tと同形状を有するスペーサを有してもよい。その場合、当該スペーサは、例えば第1センサホルダ32tに代えて本体プレート34の外縁に沿って取付けられる。当該スペーサは、温度センサT1を保持しない。このように、第1センサホルダ32tと同形状を有するスペーサを本体プレート34の外縁に沿って取付けることで、温度センサT1の数を削減することができる。また、温度センサT1を備えない冷却プレート30に対して、第1センサホルダ32tと同形状のスペーサを取り付けることで、冷却プレート30のサイズが統一される。その結果、押圧ユニット2の押圧力F1が、複数の冷却プレート30に対して均一に分散される。
【0045】
(変形例7)上述した実施例では、押圧ユニット2によって、電池モジュール群50を第1方向に押圧した。変形例では、押圧ユニット2に代えて、例えば、電池モジュール群50は、樹脂によって封止されてもよい。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
2 :押圧ユニット
2u :第1押圧板
2d :第2押圧板
2p :柱
4 :ボルト
6u :第1絶縁板
6d :第2絶縁板
8u :第1集電プレート
8d :第2集電プレート
9u :第1端子
9d :第2端子
10 :電池ユニット
20 :電池モジュール
22 :未塗工部
24 :塗工部
30 :冷却プレート
30d :当接面
32v :第2センサホルダ
32t :第1センサホルダ
34 :本体プレート
34e :プレート側境界
36 :流路
38 :凸部
40 :電極シート
40e :外側電極シート
42 :電解液
44 :活性物質
44e :電極側境界
46 :セパレータ
48 :シール材
50 :電池モジュール群
T1 :温度センサ
V1 :電圧センサ