(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】立軸ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 13/00 20060101AFI20241029BHJP
F04D 11/00 20060101ALI20241029BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F04D13/00 A
F04D11/00 101
F04D29/60 E
(21)【出願番号】P 2021102385
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000152170
【氏名又は名称】株式会社酉島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】兼森 祐治
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-045249(JP,A)
【文献】特開2009-150336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/00
F04D 11/00
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
据付床から垂下された揚水管と、前記揚水管の上端に接続されて前記据付床上に配置された吐出し管とを有し、前記吐出し管のうち前記揚水管の軸線上に位置する部分に開口部が形成されたポンプケーシングと、
前記開口部を塞ぐように前記吐出し管に取り付けられたモータ台と、
前記揚水管内に配置された内側部と、前記モータ台内に配置された外側部とを有する回転軸と、
前記内側部に取り付けられ、前記回転軸の軸方向から見たときの外形が前記開口部の外形よりも小さい羽根車と、
前記モータ台に取り付けられ、前記内側部を取り囲む内筒と、
前記内筒に取り付けられ、前記回転軸を回転可能に支持する
複数の水中軸受と、
前記内筒とは別体で、前記モータ台を貫通して前記回転軸に沿って前記ポンプケーシング内に配置されるとともに、前記
複数の水中軸受に
個別に接続され、前記水中軸受と前記回転軸の間に流体を
個別に供給するための
複数の内部配管と、
前記
複数の内部配管
毎に供給する流体の圧力
と前記内筒内の圧力の差に基づいて前記
複数の水中軸受の摩耗状態を
個別に監視する監視装置と
を備え、
前記モータ台の取り外しによって、前記回転軸、前記羽根車、前記内筒、前記
複数の水中軸受、及び前記
複数の内部配管
を、前記開口部を通して前記ポンプケーシングから取外可能である、立軸ポンプ。
【請求項2】
前記内筒又は前記内部配管は、前記吐出し管に配置した支持部材によって支持される被支持部を有する、請求項1に記載の立軸ポンプ。
【請求項3】
前記被支持部は、前記回転軸の軸方向に間隔をあけて複数設けられている、請求項2に記載の立軸ポンプ。
【請求項4】
前記回転軸は、複数の軸部材と、隣り合う前記軸部材を連結する軸継手とを有し、
複数の前記被支持部は、前記モータ台の下側に隣接して設けられた第1被支持部と、前記軸継手の下側に隣接して設けられた第2被支持部とを含む、
請求項3に記載の立軸ポンプ。
【請求項5】
前記
複数の水中軸受は、
前記回転軸の軸方向に間隔をあけ
て配置され
、
前記複数の内部配管のうち最も短い内部配管以外は複数のパイプからなり、
隣り合う前記パイプの接続部は、前記第2被支持部と同等の高さ位置に配置されている、
請求項4に記載の立軸ポンプ。
【請求項6】
前記内筒は、複数の筒体と、前記水中軸受が配置されるとともに前記内部配管が接続され、隣り合う前記筒体を接続する接続部材とを有し、
前記接続部材が前記軸継手の下側に隣接して配置され、
前記被支持部が前記筒体の上端に設けられている、
請求項4又は5に記載の立軸ポンプ。
【請求項7】
前記内筒の下端に取り付けられ、前記羽根車の上側に配置されたボウルブッシュを備え、
前記揚水管は、前記ボウルブッシュを支持する複数の支持板を有し、
前記ボウルブッシュは、前記支持部材によって支持される被支持部を有する、
請求項2から6のいずれか1項に記載の立軸ポンプ。
【請求項8】
前記内筒の下端に取り付けられ、前記羽根車の上側に配置されたボウルブッシュを備え、
前記揚水管は、前記ボウルブッシュを支持する複数の支持板を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の立軸ポンプ。
【請求項9】
前記内部配管は前記内筒内に配置され、
前記被支持部は前記内筒に設けられている、
請求項2から7のいずれか1項に記載の立軸ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立軸ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された立軸ポンプは、ポンプケーシング内に回転軸を回転可能に支持する水中軸受と、水中軸受の摩耗状態を監視する監視装置とを備える。監視装置は空気を供給するための配管を備え、この配管がポンプケーシングの外周部に接続されている。ポンプケーシングには、配管の接続部と水中軸受との間に連通路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の立軸ポンプでは、配管を介して水中軸受と回転軸の間に供給する空気の圧力に基づいて、監視装置が水中軸受の摩耗量を判断(監視)できる。しかし、特許文献1の立軸ポンプでは、水中軸受を交換する際、ポンプケーシング、回転軸、及び水中軸受等を含む全体を分解する必要がある。そのため、特許文献1の立軸ポンプには、部品交換に関する作業性について改良の余地がある。
【0005】
本発明は、水中軸受の監視装置を備える立軸ポンプにおける部品の交換作業性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、据付床から垂下された揚水管と、前記揚水管の上端に接続されて前記据付床上に配置された吐出し管とを有し、前記吐出し管のうち前記揚水管の軸線上に位置する部分に開口部が形成されたポンプケーシングと、前記開口部を塞ぐように前記吐出し管に取り付けられたモータ台と、前記揚水管内に配置された内側部と、前記モータ台内に配置された外側部とを有する回転軸と、前記内側部に取り付けられ、前記回転軸の軸方向から見たときの外形が前記開口部の外形よりも小さい羽根車と、前記モータ台に取り付けられ、前記内側部を取り囲む内筒と、前記内筒に取り付けられ、前記回転軸を回転可能に支持する複数の水中軸受と、前記内筒とは別体で、前記モータ台を貫通して前記回転軸に沿って前記ポンプケーシング内に配置されるとともに、前記複数の水中軸受に個別に接続され、前記水中軸受と前記回転軸の間に流体を個別に供給するための複数の内部配管と、前記複数の内部配管毎に供給する流体の圧力と前記内筒内の圧力の差に基づいて前記複数の水中軸受の摩耗状態を個別に監視する監視装置とを備え、前記モータ台の取り外しによって、前記回転軸、前記羽根車、前記内筒、前記水中軸受、及び前記内部配管を、前記開口部を通して前記ポンプケーシングから取外可能である、立軸ポンプを提供する。
【0007】
本態様では、水中軸受と回転軸の間に流体を供給するための内部配管が、モータ台を貫通してポンプケーシング内に配置されている。また、羽根車を含む回転軸の軸方向の移動は水中軸受によって規制され、水中軸受の移動は内筒への取り付けによって規制され、内筒の移動はモータ台への取り付けによって規制され、内部配管の移動は水中軸受への接続によって規制されている。そのため、例えば水中軸受が交換時期になった場合、モータ台、回転軸、内筒、及び内部配管のいずれかを吊り上げることで、開口部を通してこれらの部品をポンプケーシングから取り外すことができる。つまり、水中軸受等の部品交換のためにポンプケーシングを分解するという大掛かりな作業は不要であるため、部品の交換作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、水中軸受の監視装置を備える立軸ポンプにおける部品の交換作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る立軸ポンプを示す断面図。
【
図2】ポンプケーシングからモータ台を含む排出機構を取り外した状態を示す断面図。
【
図7】ポンプケーシング内から部品を取り出す際の第1工程を示す断面図。
【
図8】ポンプケーシング内から部品を取り出す際の第2工程を示す断面図。
【
図9】ポンプケーシング内から部品を取り出す際の第3工程を示す断面図。
【
図10】ポンプケーシング内から部品を取り出す際の第4工程を示す断面図。
【
図11】ポンプケーシング内から部品を取り出す際の第5工程を示す断面図。
【
図12】ポンプケーシング内から部品を取り出す際の第6工程を示す断面図。
【
図13】ポンプケーシング内から部品を取り出す際の第7工程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る立軸ポンプ10を用いたポンプ設備を示す。立軸ポンプ10は、排水機場に設けられた建屋の据付床1に取り付けられ、据付床1の下側に位置する吸水槽2内の水(液体)を下流側へ排出する。
【0012】
図1及び
図2を参照すると、立軸ポンプ10は、排水路を構成するポンプケーシング20と、ポンプケーシング20内を通して水を排出するための排出機構40とを備える。排出機構40は、回転軸42、羽根車50、及び水中軸受56を備える。立軸ポンプ10は更に、水中軸受56の摩耗状態を監視する監視装置60を備える。
【0013】
監視装置60は、水中軸受56と回転軸42の間に圧縮空気(流体)を供給するために、ブロワ61、外部配管72、及び内部配管73を備える。本実施形態の立軸ポンプ10は、内部配管73を回転軸42に沿ってポンプケーシング20内に配置して排出機構40と一体化し、これらをポンプケーシング20から一緒に取外可能なプルアウト型としている。
【0014】
以下、ポンプケーシング20、排出機構40、及び監視装置60について具体的に説明する。
【0015】
(ポンプケーシングの構成)
図1及び
図2を参照すると、ポンプケーシング20は、据付床1の貫通孔1aに上方から差し込まれ、据付床1に固定されている。ポンプケーシング20は、全体として筒状であり、吸水槽2内に配置される揚水管21と、据付床1上に配置される吐出し管25とを備える。本実施形態のポンプケーシング20には、吐出し管25の上側にモータ台30が取外可能に取り付けられている。
【0016】
揚水管21は、据付床1から吸水槽2内に鉛直方向へ垂下されている。揚水管21は、揚水管本体22、ベーンケース23、及びベルマウス24を備え、この順で上側から下側へ接続されている。揚水管本体22は直管状であり、揚水管本体22の全長又は数によって、揚水管21の全長を変更可能である。
図2及び
図6を参照すると、ベーンケース23の内部には、後述するボウルブッシュ55を支持する支持板23aが、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
図1及び
図2を参照すると、ベルマウス24は、上端から下端に向けて次第に拡開した円錐筒状である。ベルマウス24の下端は、吸水槽2内の水を吸い込む吸込口24aであり、吸水槽2の底(図示せず)と間隔をあけて配置されている。
【0017】
引き続いて
図1及び
図2を参照すると、吐出し管25は、揚水管21の上端に接続されたデリベンド26を備える。デリベンド26は、揚水管21の軸線に沿って鉛直方向に延びる第1直管部27と、水平方向に延びる第2直管部28とを備える。第1直管部27の内部と第2直管部28の内部とは空間的に連通しており、揚水は、第1直管部27の下端から流入して、第2直管部28の吐出口28aから流出する。
【0018】
第1直管部27の上端は円形状の開口部27aである。開口部27aの中心は揚水管21の軸線上に位置し、開口部27aの直径は回転軸42を軸方向から見たときの羽根車50の外形よりも大きい。第1直管部27の下部には、据付床1に固定するためのベースプレート29が設けられている。但し、ベースプレート29は、揚水管本体22の上部に設けられてもよい。
【0019】
図1及び
図2を参照すると、モータ台30は、ボルト止めによって第1直管部27の上端に取り付けられて、開口部27aを塞ぐ閉鎖板31を備える。また、モータ台30は、閉鎖板31を取り囲む筒状の第1枠部32、第1枠部32の上端に取り付けられた隔板33、隔板33の上側に取り付けられた筒状の第2枠部34、及び第2枠部34の上端に取り付けられた端板35を備える。
【0020】
端板35上に駆動モータ39が取り付けられている。駆動モータ39の出力軸は、その軸線が揚水管21の軸線と同一直線上に位置するように、端板35を貫通して端板35と隔板33の間に配置されている。
【0021】
図3を参照すると、閉鎖板31には、駆動モータ39の出力軸の軸線上に位置するように、回転軸42を貫通させる貫通孔31aが設けられている。貫通孔31aは、軸封装置38によって水密にシールされている。具体的には、貫通孔31aが軸封装置38の台座38aによって塞がれ、台座38aと回転軸42の間が軸封装置38によってシールされている。
【0022】
閉鎖板31には更に、内部配管73を貫通させる貫通孔31bが設けられている。貫通孔31bは、貫通した内部配管73から取外可能な直径の遊嵌孔であり、内部配管73毎に設けられている。
図1を参照すると、本実施形態の立軸ポンプ10は3本の内部配管73を備えるため、貫通孔31bも3個設けられている。なお、
図1は全ての内部配管73を現した模式図であり、貫通孔31b(内部配管73)は、実際には貫通孔31aまわりに等間隔で設けられている。
【0023】
図1及び
図2を参照すると、モータ台30には更に、開口部27aを通して第1直管部27内に配置される筒状の差込部36が設けられている。差込部36の下端には、第1直管部27内に流入した揚水を第2直管部28へ導くガイド板37が設けられている。ガイド板37は、上向きに湾曲した曲面状であり、第1直管部27のうち第2直管部28と対向する部分から第2直管部28の上側頂部に向けて延びている。
【0024】
(排出機構の構成)
引き続いて
図1及び
図2を参照すると、排出機構40は、前述のように回転軸42、羽根車50、及び水中軸受56を備える。また、排出機構40は回転軸42を取り囲む吊下げ管(内筒)52を備え、この吊下げ管52に羽根車50の振れ回りを防ぐボウルブッシュ55が取り付けられている。水中軸受56は、吊下げ管52とボウルブッシュ55に取り付けられている。
【0025】
回転軸42は、モータ台30を貫通して揚水管21の軸線に沿って配置されている。回転軸42は、ポンプケーシング20内に配置された内側部42aと、モータ台30内に配置された外側部42bとを備える。内側部42aの下端は、ボウルブッシュ55を貫通し、ボウルブッシュ55と吸込口24aとの間に配置されている。外側部42bの上端は、モータ台30の隔板33と端板35の間に配置され、カップリング46を介して駆動モータ39の出力軸に機械的に接続されている。外側部42bは、隔板33上に配置された転がり軸受47によって支持されている。
【0026】
羽根車50は、ボウルブッシュ55の下側に配置され、内側部42aの下端に取り付けられている。回転軸42の軸方向から見たときの羽根車50の外形は、開口部27aの直径(外形)よりも小さい。駆動モータ39によって回転軸42が回転されると、羽根車50は、回転軸42と一体に回転し、ポンプケーシング20内を通して吸水槽2内の液体を下流側へ排出する。
【0027】
図2及び
図3を参照すると、吊下げ管52は、モータ台30から下向きに延び、回転軸42の内側部42aのうちボウルブッシュ55(羽根車50)よりも上側を取り囲む。吊下げ管52は、ボルト止めによってモータ台30に取り付けられている。より具体的には、吊下げ管52は、軸封装置38の台座38aにボルト止めされ、台座38aが閉鎖板31にボルト止めされている。
【0028】
本実施形態の吊下げ管52は、2本(複数)の筒体53A,53Bと、隣り合う筒体53A,53Bを接続する筒状の接続部材54とで構成されている。筒体53Aの上端は、前述のようにボルト止めによって台座38a(閉鎖板31)に取り付けられている。筒体53Bの上端は、接続部材54を介して筒体53Aに接続され、筒体53Bの下端は、接続部材54を介してボウルブッシュ55に接続されている。
図4及び
図5を参照すると、接続部材54は、水中軸受56を保持するホルダによって構成されている。接続部材54には、半径方向に貫通した接続口54aが設けられている。
【0029】
図1及び
図5を参照すると、ボウルブッシュ55は、概ね楕円筒形状であり、前述のように接続部材54を介して筒体53B(吊下げ管52)の下端に取り付けられている。回転軸42の軸方向から見ると、ボウルブッシュ55の外形は、羽根車50の外形よりも小さく、ポンプケーシング20の開口部27aを通して出し入れ可能である。
図6を参照すると、ポンプケーシング20内への取り付けによってボウルブッシュ55は、支持板23aによって支持され、ベーンケース23内に同軸で配置される。これにより、ボウルブッシュ55の下側に配置された羽根車50の振れ回りを抑制できる。ボウルブッシュ55の下端には筒状の挿通部55aが設けられ、この挿通部55aに半径方向に貫通した接続口55bが設けられている。
【0030】
水中軸受56は、吊下げ管52が備える2つの接続部材54とボウルブッシュ55の挿通部55aとに取り付けられ、回転軸42を回転可能に支持する。
図4から
図6を参照すると、水中軸受56は、回転軸42の外周面に摺接する円筒状の摺接部材を備える。摺接部材は非金属製であり、例えばPBI(ポリベンゾイミダゾール)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ゴムによって形成されている。
【0031】
水中軸受56には、半径方向に貫通した連通孔56aが設けられている。連通孔56aは、接続部材54の接続口54a及びボウルブッシュ55の接続口55bに対して空間的に連通するように配置される。これにより、接続口54a又は55bと連通孔56aとを通して、内部配管73から供給された圧縮空気を水中軸受(摺接部材)56と回転軸42の間に供給できる。
【0032】
通常運転時、吊下げ管52内には、水中軸受56の潤滑液として清水(上水)が注水されてもよい。潤滑液が水中軸受56と回転軸42との間に供給されることで、これらの焼き付きを防止できるとともに、水中軸受56の摩耗を抑制できる。このように用いられる吊下げ管52は、保護管とも呼ばれ、内部の潤滑液と外部の揚水とを仕切る。但し、吊下げ管52には、潤滑液を注水することなく、揚水を流入可能な多数の通水孔が設けられていてもよい。
【0033】
(監視装置の構成)
監視装置60は、水中軸受56の摩耗量の判断と交換時期の判定を行うために設けられている。
図1を参照すると、監視装置60は、ブロワ61、切換弁62、定流量弁63、及び逆止弁64を備える。監視装置60は更に、ブロワ61の給気圧を検出する圧力センサ65と、ブロワ61の給気を補うための圧力タンク66とを備える。監視装置60は更に、差圧センサ69と制御部(図示せず)を備える。これらは、いずれも据付床1上に配置されている。
【0034】
また、監視装置60は、4種の配管70~73を備える。接続配管70はブロワ61と切換弁62を接続し、差圧測定配管71は接続配管70と吊下げ管52とを接続する。また、外部配管72が切換弁62に接続され、内部配管73がポンプケーシング20内に配置され、外部配管72と内部配管73がモータ台30内で接続されている。外部配管72及び内部配管73それぞれの数は、水中軸受56の数と同じである。
【0035】
ブロワ61は、外部から取り込んだ空気を接続配管70に吐出する。
【0036】
切換弁62は四方弁であり、切換弁62の1つの入口に接続配管70(ブロワ61)が接続され、3つの出口に外部配管72がそれぞれ接続されている。これにより、3個の水中軸受56のうちのいずれかとブロワ61とを選択的に接続できる。
【0037】
定流量弁63は、外部配管72にそれぞれ介設され、水中軸受56に供給する圧縮空気の流量を一定に保つ。
【0038】
逆止弁64は、外部配管72のうち定流量弁63の下流側にそれぞれ介設され、定流量弁63から水中軸受56に向けた空気の流動を許容し、逆向きの空気の流動を阻止する。
【0039】
圧力タンク66は、接続配管70のうち圧力センサ65と切換弁62の間に分岐接続されている。圧力タンク66は、ブロワ61が吐出した空気を定められた容量で貯留し、ブロワ61による給気が不足している際に貯留した空気を水中軸受56に供給する。圧力タンク66が接続された分岐管には、電磁弁67と逆止弁68が並列に接続されている。
【0040】
差圧センサ69は、差圧測定配管71に介設され、ブロワ61から水中軸受56への給気圧と吊下げ管52の内圧との差(差圧)を検出し、制御部に出力する。差圧測定配管71の一端は、接続配管70のうち圧力タンク66の分岐接続部と切換弁62の間に接続され、差圧測定配管71の他端は、台座38a(閉鎖板31)を貫通して吊下げ管52内に配置されている。
【0041】
制御部は、切換弁62によってブロワ61と3個の水中軸受56との接続状態を順番に切り換え、外部配管72及び内部配管73を通して供給する空気の圧力に基づいて、個々の水中軸受56の摩耗状態を監視する。具体的には、水中軸受56と回転軸42の間の隙間が小さい時(水中軸受56の摩耗が少ない時)の差圧センサ69の検出値は、水中軸受56と回転軸42の隙間が大きくなった時の検出値よりも大きい。つまり、差圧センサ69の検出値は、水中軸受56の摩耗が進むに従って次第に小さくなる。そのため、予め記憶された判定値と差圧センサ69の検出値とを比較することで、制御部は水中軸受56の摩耗状態を個別に判断できる。
【0042】
4種の配管70~73のうち、内部配管73以外は据付床1上に配置され、内部配管73はポンプケーシング20内に配置されている。そのうち、外部配管72の一端は前述のように切換弁62に接続され、外部配管72の他端はモータ台30内に配置されている。内部配管73の一端(下端)は、接続部材54の接続口54a及びボウルブッシュ55の接続口55bのいずれかに接続されている。内部配管73の他端は、閉鎖板31を貫通してモータ台30内に配置され、外部配管72に分離可能に接続されている。
【0043】
このように構成した立軸ポンプ10では、内部配管73が、モータ台30を貫通し、回転軸42に沿ってポンプケーシング20内に配置されている。また、
図2に示すように回転軸42と駆動モータ39(
図1参照)の連結を解除した状態では、羽根車50を含む回転軸42の軸方向の移動が水中軸受56によって規制され、水中軸受56の移動が接続部材54(吊下げ管52)への取り付けによって規制され、吊下げ管52の移動がモータ台30への取り付けによって規制され、内部配管73の移動が接続部材54(水中軸受56)への接続によって規制されている。
【0044】
そのため、外部配管71と内部配管73の接続を解除し、差圧測定配管71と吊下げ管52の接続を解除し、ボルトの取り外しによって吐出し管25とモータ台30の連結を解除した状態では、モータ台30、回転軸42、吊下げ管52、及び内部配管73のいずれかを吊り上げることで、開口部27aを通して内部配管73を一緒に排出機構40をポンプケーシング20から取り外すことができる(
図2参照)。この際、ポンプケーシング20は、据付床1に固定されたままであり、分解の必要はない。
【0045】
但し、据付床1を備える建屋の天井(高さ)が排出機構40の全高よりも低い場合、内部配管73を含む排出機構40をポンプケーシング20から一体に取り外すことはできない。そのため、本実施形態では、内部配管73を含む排出機構40を段階的に分解できるようにしている。
【0046】
以下、内部配管73を含む排出機構40を分割してポンプケーシング20から取り出すための構成を説明する。
【0047】
(分割プルアウト構造)
図1及び
図2を参照すると、回転軸42は、水中軸受56の数以上(複数)の軸部材によって構成されている。個々の内部配管73は、ポンプケーシング20内の水中軸受56の数と位置に応じて1以上のパイプによって構成されている。また、吊下げ管52には、内部配管73を含む排出機構40を段階的に支持するための被支持部75が複数設けられ、ボウルブッシュ55にも被支持部75が設けられている。
【0048】
以下の説明では、
図1において、上側に位置する接続部材54に配置する水中軸受を56A、下側に位置する接続部材54に配置する水中軸受を56B、ボウルブッシュ55に配置する水中軸受を56Cと言うことがある。また、水中軸受56Aに接続する内部配管を73A、水中軸受56Bに接続する内部配管を73B、水中軸受56Cに接続する内部配管を73Cと言うことがある。
【0049】
図1及び
図2を参照すると、回転軸42は、3本(水中軸受56と同数)の軸部材43A~43Cと、隣り合う軸部材43Aと43B,43Bと43Cをそれぞれ連結する軸継手44とで構成されている。軸部材43Aの上端は、前述のように駆動モータ39の出力軸に接続されており、軸部材43Aの下端側は閉鎖板31を貫通してデリベンド26内に配置されている。軸部材43Bの上端は、軸継手44を介して軸部材43Aに連結されており、軸部材43Bの下端側はボウルブッシュ55の付近まで延びている。軸部材43Cの上端は、軸継手44を介して軸部材43Bに連結され、軸部材43Cの下端側はボウルブッシュ55を貫通し、この軸部材43Cの下端に羽根車50が取り付けられている。
【0050】
図1及び
図4を参照すると、軸部材43A,43Bを連結する軸継手44は、筒体53A,53Bを接続する接続部材54の上側に隣接して配置されている。
図1及び
図5を参照すると、軸部材43B,43Cを連結する軸継手44は、筒体53Bとボウルブッシュ55を接続する接続部材54の上側に隣接して配置されている。
【0051】
図1、
図3及び
図4を参照すると、内部配管73Aは、3個の水中軸受56のうち最も上側に位置する水中軸受56Aに接続されている。内部配管73Aは、水中軸受56Aを備える接続部材54に接続された下端と、貫通孔31bを通してモータ台30内に配置された上端とを備え、3本の内部配管73のうち最も短い。内部配管73Aは、下端側を屈曲させた概ねL字形状を呈する1本のパイプ74Aのみで構成されている。
【0052】
図1、
図4及び
図5を参照すると、内部配管73Bは、3個の水中軸受56のうち中間に位置する水中軸受56Bに接続されている。内部配管73Bは、水中軸受56Bを備える接続部材54に接続された下端と、貫通孔を通してモータ台30内に配置された上端とを備え、内部配管73Aよりも長い。水中軸受56Bの上側には1個の軸継手44が存在するため、内部配管73Bは、下端側を屈曲させた概ねL字形状を呈する第1パイプ74Aと、直管状の第2パイプ74Bとによって構成されている。
【0053】
図1、及び
図4から
図6を参照すると、内部配管73Cは、3個の水中軸受56のうち最も下側に位置する水中軸受56Cに接続されている。内部配管73Cは、水中軸受56Cを備えるボウルブッシュ55を貫通して挿通部55aに接続された下端と、貫通孔を通してモータ台30内に配置された上端とを備え、3本の内部配管73のうち最も長い。水中軸受56Cの上側には2個の軸継手44が存在するため、内部配管73Cは、下端側を屈曲させた概ねL字形状を呈する第1パイプ74Aと、直管状の第2パイプ74Bと、直管状の第3パイプ74Cとによって構成されている。
【0054】
パイプ74A~74Cはいずれも、両端に接続フランジ74aを備える。第1パイプ74Aと第2パイプ74Bは、それぞれの接続フランジ74aの接続(ボルト止め)によって接続されている。第2パイプ74Bと第3パイプ74Cは、それぞれの接続フランジ74aの接続(ボルト止め)によって接続されている。
【0055】
図4を参照すると、内部配管73Bを構成するパイプ74A,74Bの接続フランジ(接続部)74aは、水中軸受56Aを備える接続部材54に対して揚水管21の径方向外側に配置されている。
【0056】
図5を参照すると、内部配管73Cを構成するパイプ74A,74Bの接続フランジ(接続部)74aは、水中軸受56Bを備える接続部材54に対して揚水管21の径方向外側に配置されている。
図4を参照すると、内部配管73Cを構成するパイプ74B,74Cの接続フランジ74aは、水中軸受56Aを備える接続部材54に対して揚水管21の径方向外側に配置されている。
【0057】
被支持部75は、吐出し管25の上端に配置した支持部材80(
図7参照)によって支持され、内部配管73を含む排出機構40の脱落を防ぐ。被支持部75は、回転軸42の軸方向に間隔をあけて複数設けられている。より具体的には、被支持部75は、吊下げ管52の上端に設けられた第1被支持部75A、吊下げ管52の中間領域に設けられた第2被支持部75B、及び吊下げ管52の下側のボウルブッシュ55の上部に設けられた第3被支持部75Cを含む。
【0058】
図3を参照すると、第1被支持部75Aは、筒体53Aの上端に設けられ、モータ台30の下側に隣接して位置する。第1被支持部75Aは、吊下げ管52の径方向内側へ窪む環状溝からなる。本実施形態の第1被支持部75Aは、一対の環状板と1つの筒部とを備えるボビンのような形状の環状体76によって構成されている。この環状体76が、筒体53Aの上端に接合され、台座38a(閉鎖板31)にボルト止められている。
【0059】
図4を参照すると、第2被支持部75Bは、筒体53Bの上端に設けられ、水中軸受56Aを備える接続部材54(軸継手44)の下側に隣接して位置する。第2被支持部75Bは、第1被支持部75Aと同様に、吊下げ管52の径方向内側へ窪む環状溝からなり、環状体76によって構成されている。この環状体76が、筒体53Bの上端に接合され、接続部材54にボルト止められている。
【0060】
第2被支持部75Bは、内部配管73B,73Cそれぞれの接続フランジ(接続部)74aと同等の高さ位置に配置されている。ここで、同等の高さ位置とは、接続フランジ74a、接続部材54、及び軸継手44の下側、かつ近傍の高さであることを意味する。また、近傍とは、作業者の手が届く範囲を意図しており、例えば1m以内である。
【0061】
図5を参照すると、第3被支持部75Cは、ボウルブッシュ55の上部に設けられ、水中軸受56Bを備える接続部材54(軸継手44)の下側に隣接して位置する。第3被支持部75Cは、ボウルブッシュ55の外周から径方向外向きに突出する環状突部からなる。本実施形態では、別体の環状板をボウルブッシュ55の外周に接合することで、第3被支持部75Cが形成されている。
【0062】
図7を参照すると、支持部材80は、被支持部75A,75Bを構成する環状溝の溝幅よりも薄い一対の梁によって構成されている。支持部材80の全長は第1直管部27の直径よりも長く、開口部27aの口縁に架設可能である。一対の支持部材80は、内部配管73を避けて被支持部75の対向位置に並べて配置される。これにより、内部配管73を含む排出機構40を脱落させることなく、ポンプケーシング20に支持できる。
【0063】
次に、内部配管73を含む排出機構40を、分解しながらポンプケーシング20から取り出す作業について説明する。
【0064】
まず、
図1に示すカップリング46の連結を解除し、駆動モータ39の出力軸と回転軸42を分離する。また、
図1に示す駆動モータ39、及びモータ台30の端板35と第2枠部34を分解して取り外す。
【0065】
続いて、閉鎖板31と第1直管部27の連結(ボルト止め)を解除し、例えばクレーン等によって回転軸42を吊り上げる。これにより、
図7に示すように、モータ台30の残り、排出機構40、及び内部配管73が一体となって吊り上がる。そして、開口部27aから露出した第1被支持部75Aに一対の支持部材80を差し込み、回転軸42の吊り上げを止める。その結果、
図7のように、支持部材80によって第1被支持部75Aが支持され、支持部材80に内部配管73を含む排出機構40が吊り下げられた状態になる。
【0066】
次に、
図8に示すように、支持部材80上に位置するカップリング46、転がり軸受47、軸封装置38、及びモータ台30の残りを分離する。なお、内部配管73を避けた支持部材80の配置は概ね定められるため、差込部36とガイド板37には、支持部材80と対応する位置に挿通溝が設けられている。
【0067】
続いて、
図9に示すように、クレーン等によって回転軸42を吊り上げ、排出機構40と内部配管73を一体に吊り上げる。そして、開口部27aから露出した第2被支持部75Bに一対の支持部材80を差し込み、回転軸42の吊り上げを止める。その結果、
図9のように、支持部材80によって第2被支持部75Bが支持され、支持部材80に内部配管73を含む排出機構40が保持された状態になる。
【0068】
次に、
図10に示すように、軸継手44による軸部材43Aと43Bの連結、吊下げ管52の接続部材54と筒体53B(環状体76)の連結、内部配管73Bのパイプ74Aと74Bの連結、及び内部配管73Cのパイプ74Bと74Cの連結を、それぞれ解除する。これにより、支持部材80上に位置する排出機構40と内部配管73それぞれの上側部分、具体的には、軸継手44を含む軸部材43A、水中軸受56Aを備える接続部材54を含む筒体53A、内部配管73A、内部配管73Bのパイプ74B、及び内部配管73Cのパイプ74Cを分離できる。
【0069】
続いて、
図11に示すように、クレーン等によって回転軸42を吊り上げ、排出機構40、及び内部配管73の残りを一体に吊り上げる。そして、開口部27aから露出した第3被支持部75Cに一対の支持部材80を差し込み、回転軸42の吊り上げを止める。その結果、
図11に示すように、支持部材80によって第3被支持部75Cが支持され、支持部材80に排出機構40の残りと内部配管73の残り保持された状態になる。
【0070】
次に、
図12に示すように、軸継手44による軸部材43Bと43Cの連結、吊下げ管52の接続部材54とボウルブッシュ55の連結、及び内部配管73Cのパイプ74Aと74Bの連結を、それぞれ解除する。これにより、支持部材80上に位置する排出機構40と内部配管73それぞれの中間部分、具体的には、軸継手44を含む軸部材43B、水中軸受56Bを備える接続部材54を含む筒体53B、内部配管73Bのパイプ74A、及び内部配管73Cのパイプ74Bを分離できる。
【0071】
最後に、
図13に示すように、クレーン等によって回転軸42を吊り上げ、排出機構40、及び内部配管73Cの残りを一体に吊り上げる。これにより、内部配管73を含む排出機構40の全部がポンプケーシング20内から取り出される。
【0072】
なお、取り出した内部配管73を含む排出機構40をポンプケーシング20内に戻す場合、
図7から
図13に示す分解手順とは逆順で作業することにより、
図1に示す元の組立状態に戻すことができる。
【0073】
このように構成した立軸ポンプ10は、以下の特徴を有する。
【0074】
水中軸受56と回転軸42の間に空気を供給するための内部配管73が、モータ台30を貫通してポンプケーシング20内に配置されている。また、羽根車50を含む回転軸42の軸方向の移動は水中軸受56によって規制され、水中軸受56の移動は吊下げ管52への取り付けによって規制され、吊下げ管52の移動はモータ台30への取り付けによって規制され、内部配管73の移動は水中軸受56への接続によって規制されている。そのため、例えば水中軸受56が交換時期になった場合、モータ台30、回転軸42、吊下げ管52、及び内部配管73のいずれかを吊り上げることで、開口部27aを通してこれらの部品をポンプケーシング20から取り外すことができる。つまり、水中軸受56等の部品交換のためにポンプケーシング20を分解するという大掛かりな作業は不要であるため、部品の交換作業性を向上できる。しかも、水中軸受56だけでなく回転軸42、羽根車50、吊下げ管52、ボウルブッシュ55、及び内部配管73の点検と整備もできる。
【0075】
例えば回転軸42の下端と据付床1の上側の2箇所だけに軸受を設けた場合、立軸ポンプを分解することなく、下端の軸受の交換は吸水槽2内で行い、上側の軸受の交換は据付床1上で行うことができる。しかし、多くの異物が流れ込み、汚泥が付着した吸水槽2内での作業には危険が伴う。しかも、上下2箇所のみで回転軸42を支持する構成の場合、回転軸42を過度に長くできないため、立軸ポンプの全長が制限される。
【0076】
これに対して本実施形態では、前述のようにポンプケーシング20内の排出機構40を内部配管73と一緒に取り出すことができるため、吸水槽2内ではなく据付床1上で、水中軸受56等の部品を交換できる。そのため、作業者の安全性を確保できるうえ、回転軸42の中間部分を支持する水中軸受56Bを用いることができるため、ポンプケーシング20の全長が制限されることもない。
【0077】
吊下げ管52は、吐出し管25に配置した支持部材80によって支持される被支持部75を有する。そのため、支持部材80による被支持部75の支持によって、内部配管73を含む排出機構40の脱落を防止できる。よって、据付床1上において、被支持部75よりも上側の部品を分解できる。
【0078】
被支持部75が回転軸42の軸方向に間隔をあけて複数設けられている。そのため、支持部材80によって支持した被支持部75よりも上側を、順次分解できる。よって、据付床1上の高さ、つまり立軸ポンプ10を配置した建屋の高さよりも全長が長い立軸ポンプ10であっても、確実にポンプケーシング20内の部品を取り出すことができる。
【0079】
回転軸42は軸継手44によって複数の軸部材43が一体化され、被支持部75は、モータ台30に隣接して設けられた第1被支持部75Aと、軸継手44に隣接して設けられた第2被支持部75Bとを含む。よって、支持部材80によって第1被支持部75Aを支持した状態でモータ台30を分解し、支持部材80によって第2被支持部75Bを支持した状態で軸継手44よりも上側の部品を確実に分解できる。
【0080】
最も短い内部配管73A以外は複数のパイプ74からなり、パイプ74の接続部74aは第2被支持部75Bと同等の高さ位置に配置されている。そのため、支持部材80によって第2被支持部75Bを支持した状態で、軸継手44よりも上側部分を確実に分解できる。
【0081】
吊下げ管52は、接続部材54によって複数の筒体53が一体化された構成であり、接続部材54に水中軸受56が配置されるとともに内部配管73が接続され、筒体53の上端に被支持部75が設けられている。そのため、支持部材80による被支持部75の支持によって、被支持部75よりも上側の回転軸42、吊下げ管52、及び内部配管73を確実に分解できる。
【0082】
吊下げ管52の下端にボウルブッシュ55が取り付けられ、揚水管21がボウルブッシュ55を支持する支持板23aを備える。よって、通常運転時の羽根車50の振れ回りを防止でき、排水の安定性を向上できる。また、ボウルブッシュ55の上側に被支持部75Cが形成されているため、ボウルブッシュ55から上側の部品を分解した後、ボウルブッシュ55から下側だけをポンプケーシング20から一体に取り外すことができる。
【0083】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0084】
(第2実施形態)
図14は第2実施形態の立軸ポンプ10を示す。
図14には図示していないが、第2実施形態の立軸ポンプ10も、
図1に示すブロワ61、切換弁62、定流量弁63、逆止弁64、圧力センサ65、圧力タンク66、差圧センサ69、接続配管70、差圧測定配管71、及び外部配管72を有する監視装置60を備える。
【0085】
第2実施形態の据付床1は、ポンプケーシング20のうち、揚水を吐出する向きである吐出口28aの位置とは反対側を支持する支持部1bを備える。
【0086】
ポンプケーシング20は、
図2に示すベーンケース23を備えておらず、揚水管本体22の下端にベルマウス24が接続されている。ベルマウス24の内面側にはリブ24bが設けられ、ボウルブッシュ55の外側には筒状のガイドベーンケーシング85が設けられている。組立状態では、ガイドベーンケーシング85がリブ24bに支持される。
【0087】
モータ台30は、
図2に示す閉鎖板31を備えておらず、第1枠部32がデリベンド26に液密に取り付けられる。そして、隔板33に軸封装置38と吊下げ管52が取り付けられている。また、隔板33が据付床1の支持部1bにボルト止めによって固定される。
【0088】
吊下げ管52は、3本の筒体53A~53Cによって構成されている。被支持部75は、筒体53A~53Cの上端にそれぞれ設けられ、ボウルブッシュ55には設けられていない。
【0089】
このように構成された第2実施形態の立軸ポンプ10は、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0090】
(第3実施形態)
図15は第3実施形態の立軸ポンプ10を示す。
図15には図示していないが、第3実施形態の立軸ポンプ10も、
図1に示すブロワ61、切換弁62、定流量弁63、逆止弁64、圧力センサ65、圧力タンク66、差圧センサ69、接続配管70、差圧測定配管71、及び外部配管72を有する監視装置60を備える。
【0091】
第3実施形態では、吊下げ管52内に内部配管73を配置している。内部配管73Bは、2本のパイプ74A,74Bによって構成され、内部配管73Cは、3本のパイプ74A~74Cによって構成されており、隣り合うパイプ74Aと74B,74Bと74Cは、いずれもスリーブ(接続部)90への差し込みによって接続されている。
【0092】
このように構成された第3実施形態の立軸ポンプ10は、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、内部配管73が吊下げ管52内に配置されているため、通常運転時、内部配管73が揚水の流動抵抗になることを防止できる。よって、立軸ポンプ10のエネルギー損失を低減できる。また、スリーブ90への差し込みによって隣り合うパイプ74が接続されるため、組立作業性及び分解作業性を向上できる。
【0093】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0094】
例えば、被支持部75は、
図4に示す接続部材54に放射状をなすように複数設けられた補強板54bの孔54cによって構成され、支持部材80は、板状の梁の代わりに棒状のピンによって構成されてもよい。このように、被支持部75と支持部材80の構成は、内部配管73を含む排出機構40を吐出し管25に支持できる構成であれば、必要に応じて変更可能である。
【0095】
被支持部75は、吊下げ管52に設けられる構成に限られず、内部配管73に設けられてもよい。
【0096】
水中軸受56の数は、3個に限られず、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。また、回転軸42を構成する軸部材43の数、吊下げ管52を構成する筒体53の数、及び被支持部75の数も、排出機構40の全長に応じて変更が可能である。
【0097】
監視装置60は、空気(気体)の供給によって水中軸受56の摩耗状態を監視する構成に限られず、水(液体)の供給によって水中軸受56の摩耗状態を監視してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 据付床
1a 貫通孔
1b 支持部
2 吸水槽
10 立軸ポンプ
20 ポンプケーシング
21 揚水管
22 揚水管本体
23 ベーンケース
23a 支持板
24 ベルマウス
24a 吸込口
24b リブ
25 吐出し管
26 デリベンド
27 第1直管部
27a 開口部
28 第2直管部
28a 吐出口
29 ベースプレート
30 モータ台
31 閉鎖板
31a 貫通孔
31b 貫通孔
32 第1枠部
33 隔板
34 第2枠部
35 端板
36 差込部
37 ガイド板
38 軸封装置
38a 台座
39 駆動モータ
40 排出機構
42 回転軸
42a 内側部
42b 外側部
43A~43C 軸部材
44 軸継手
46 カップリング
47 転がり軸受
50 羽根車
52 吊下げ管(内筒)
53A,53B 筒体
54 接続部材
54a 接続口
55 ボウルブッシュ
55a 挿通部
55b 接続口
56,56A,56B,56C 水中軸受
56a 連通孔
60 監視装置
61 ブロワ
62 切換弁
63 定流量弁
64 逆止弁
65 圧力センサ
66 圧力タンク
67 電磁弁
68 逆止弁
69 差圧センサ
70 接続配管
71 差圧測定配管
72 外部配管
73,73A,73B,73C 内部配管
74A~74C パイプ
74a 接続フランジ(接続部)
75,75A,75B,75C 被支持部
76 環状体
80 支持部材
85 ガイドベーンケーシング
90 スリーブ(接続部)