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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】カメラおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20241029BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20241029BHJP
【FI】
H04N23/52
G03B17/55
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021106255
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2022013805
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】20183955
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホーンクイスト, ニクラス
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-541206(JP,A)
【文献】特開2016-198706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/52
G03B 17/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(1)であって、
第1の状態(10S1)から第2の状態(10S2)にシフトされるように構成される第1の電気コンポーネント(10)であって、前記第2の状態(10S2)は、前記第1の状態(10S1)における前記第1の電気コンポーネント(10)からの熱放散と比較して、前記第1の電気コンポーネント(10)からの熱放散の増加に関連する、第1の電気コンポーネント(10)と、
可変電力消費を有する第2の電気コンポーネント(20)とを備え、
前記第1の電気コンポーネント(10)および前記第2の電気コンポーネント(20)はエンクロージャ(2)内に少なくとも部分的に配置され、前記第1の電気コンポーネント(10)および前記第2の電気コンポーネント(20)は、前記エンクロージャ(2)の内部の第1の空気量(2a)に熱を直接的にまたは間接的に放散させるように構成され、
カメラ(1)は、
前記第1の電気コンポーネント(10)が前記第2の状態(10S2)にシフトするときに、前記第2の電気コンポーネント(20)の電力消費を一時的に減少させるように配置されるコントローラ(30)と、
冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第1の部分(210)と、
冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分(220)とをさらに備え、
前記第1および第2の部分(210、220)は、前記エンクロージャ(2)の一部分としておよび/または前記エンクロージャ(2)の内部に設けられ、
前記第1の部分(210)は、前記第1の電気コンポーネント(10)に隣接してかつ前記第2の電気コンポーネント(20)から遠隔に位置決めされ、前記第2の部分(220)は、前記第2の電気コンポーネント(20)に隣接してかつ前記第1の電気コンポーネント(10)から遠隔に位置決めされ、
それにより、前記コントローラ(30)は、前記第2の電気コンポーネント(20)の電力消費を一時的に減少させ、前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)の湿度の増加を打ち消し、
湿度の前記増加は、前記第1の電気コンポーネント(10)が前記第2の状態(10S2)にシフトされ、それにより、前記材料の前記第1の部分(210)を加熱することによって誘起され、また、前記材料の前記第2の部分(220)が冷却され、それにより、前記第1の空気量(2a)から水分子を吸収することによって打ち消される、カメラ(1)。
【請求項2】
前記コントローラ(30)は、所定の期間(20T1)後に、または、前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)の湿度に関連する所定の湿度条件(HC)が満たされることに応答して、前記第2の電気コンポーネント(20)の電力消費を回復させる、請求項1に記載のカメラ(1)。
【請求項3】
前記エンクロージャ(2)は窓(2b)を備え、前記窓(2b)の一方の側面(2b’)は、任意選択で前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)に面し、また、前記第1の空気量(2a)と流体連通している、請求項1または2に記載のカメラ(1)。
【請求項4】
前記第1の電気コンポーネント(10)は、電気ステップモーター(21)、加熱器(22)、IR LED素子(13)、および抵抗器(24)からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラ(1)。
【請求項5】
前記第2の電気コンポーネント(20)は、電気ステップモーター(21)、加熱器(22)、および抵抗器(24)からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラ(1)。
【請求項6】
少なくとも前記第2の部分(220)はポリマーベース材料で形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラ(1)。
【請求項7】
前記コントローラ(30)は、前記第1の電気コンポーネント(10)を前記第1の状態(10S1)から前記第2の状態(10S2)にシフトさせることが企図される前に、所定の期間(20T2)の間、前記第2の電気コンポーネント(20)を作動させる、請求項1から6のいずれか一項に記載のカメラ(1)。
【請求項8】
前記第2の部分(220)は水分吸収材料(40)を含み、または、カメラ(1)は水分吸収材料(40)をさらに備え、前記水分吸収材料(40)は、温度が減少すると前記第1の空気量(2a)から水分を吸収し、前記水分吸収材料(40)は、前記第2の電気コンポーネント(20)に隣接して位置し、それにより、前記水分吸収材料(40)の温度は、前記第2の電気コンポーネント(20)の電力消費の減少に応答して減少する、請求項1から7のいずれか一項に記載のカメラ(1)。
【請求項9】
カメラ(1)のエンクロージャ(2)の内部の第1の空気量(2a)の湿度の増加を打ち消す方法において、湿度の前記増加は、第1の電気コンポーネント(10)が第1の状態(10S1)から第2の状態(10S2)にシフトされることによって誘起され、前記第2の状態(10S2)は、前記第1の状態(10S1)における前記第1の電気コンポーネント(10)からの熱放散と比較して、前記第1の電気コンポーネント(10)からの熱放散の増加に関連し、前記第1の電気コンポーネント(10)は前記エンクロージャ(2)内に少なくとも部分的に位置決めされ、前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)に熱を直接的にまたは間接的に放散させるように構成される、方法であって、
前記第1の電気コンポーネント(10)が前記第2の状態(10S2)にシフトする(S102)と、可変電力消費を有する第2の電気コンポーネント(20)の電力消費を一時的に減少させる(S103)ことを含み、前記第2の電気コンポーネント(20)は前記エンクロージャ(2)内に少なくとも部分的に位置決めされ、前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)に熱を直接的にまたは間接的に放散させるように構成され、
前記第2の電気コンポーネント(20)の電力消費を一時的に減少させる(S103)コントローラ(30)は、前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)の湿度の増加を打ち消し、湿度の前記増加は、前記第1の電気コンポーネント(10)が前記第2の状態(10S2)にシフトされ、それにより、材料の第1の部分(210)を加熱することによって誘起され、前記第1の部分(210)は、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有し、湿度の前記増加は、冷却されると水分子を吸収しかつ加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分(220)が、冷却され、それにより、前記第1の空気量(2a)から水分子を吸収することによって打ち消され、前記第1の部分(210)は、前記第1の電気コンポーネント(10)に隣接してかつ前記第2の電気コンポーネント(20)から遠隔に位置決めされ、前記第2の部分(220)は、前記第2の電気コンポーネント(20)に隣接してかつ前記第1の電気コンポーネント(10)から遠隔に位置決めされる、方法。
【請求項10】
所定の期間(20T1)後に、または、前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)の湿度に関連する所定の湿度条件(HC)が満たされることに応答して、前記第2の電気コンポーネント(20)の電力消費を回復させる(S104)ことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、窓(2b)上での水分の凝縮を打ち消すために使用され、前記窓(2b)は、前記エンクロージャ(2)の一部を形成し、任意選択で前記エンクロージャ(2)の内部の前記第1の空気量(2a)に面し、また、前記第1の空気量(2a)と流体連通している一方の側面(2b’)を有する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
電気ステップモーター(21)、加熱器(22)、IR LED素子(13)、および抵抗器(24)からなる群から前記第1の電気コンポーネント(10)を選択することをさらに含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電気ステップモーター(21)、加熱器(22)、および抵抗器(24)からなる群から前記第2の電気コンポーネント(20)を選択することをさらに含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電気コンポーネント(10)を前記第1の状態(10S1)から前記第2の状態(10S2)にシフトさせることが企図される前に、所定の期間(20T2)の間、前記第2の電気コンポーネント(20)を作動させる(S101)ことをさらに含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の電気コンポーネント(20)に隣接して、温度が減少すると前記第1の空気量(2a)から水分を吸収するように配置される水分吸収材料(40)を設けることであって、それにより、前記水分吸収材料(40)の温度は、前記第2の電気コンポーネント(20)の電力消費の減少(S103)に応答して減少する、水分吸収材料(40)を設けることをさらに含む、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
カメラであって、
第1の状態から第2の状態にシフトされるように構成される、熱を放散する第1の電気コンポーネントであって、前記第2の状態は、前記第1の状態から増加した熱放散を有する、第1の電気コンポーネントと、
可変電力消費を有する第2の電気コンポーネントとを備え、
前記第1の電気コンポーネントおよび前記第2の電気コンポーネントは、エンクロージャ内に少なくとも部分的に配置され、かつ、前記エンクロージャの内部の第1の空気量に熱を直接的にまたは間接的に放散させるように構成され、
前記カメラはさらに、
前記第1の電気コンポーネントが前記第2の状態にシフトするときに、前記第2の電気コンポーネントの電力消費を一時的に減少させるコントローラと、
冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水分子を脱着させることが可能である材料の第1および第2の部分とを備え、
前記第1および第2の部分は、前記エンクロージャの一部分でありかつ/または前記エンクロージャの内部にあり、前記第1の部分は、前記第2の電気コンポーネントより前記第1の電気コンポーネントの近くに位置決めされ、前記第2の部分は、前記第1の電気コンポーネントより前記第2の電気コンポーネントの近くに位置決めされ、
それにより、前記エンクロージャの内部の前記第1の空気量の湿度の増加が、前記第1の電気コンポーネントが前記第2の状態にシフトされ、それにより、前記材料の前記第1の部分を加熱することによって誘起されることに応答して、前記コントローラは、前記第2の電気コンポーネントの電力消費を一時的に減少させ、前記材料の前記第2の部分を冷却し、それにより、前記第1の空気量から水分子を吸収し、前記湿度の増加を打ち消す、カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の状態から第2の状態にシフトされるように構成される第1の電気コンポーネントによって引き起こされるカメラエンクロージャの内部の空気量の湿度の増加を打ち消すカメラおよび方法に関し、第2の状態は、第1の状態と比較して、第1の電気コンポーネントからの熱放散の増加に関連する。
【背景技術】
【0002】
カメラのエンクロージャの内部に位置決めされた電気コンポーネントの電力消費が増加すると、特に、冷たい周囲環境において、エンクロージャの窓上での水の凝縮の傾向の増加が存在することが発見された。凝縮は、数時間残り、カメラ視野を遮る。この問題は、今日、エンクロージャの内部の空気から水分をそれぞれ能動的に/受動的に排出することが可能な能動ドライヤー及び/又は受動膜を設けることによって対処される。
【0003】
代替的にまたは補足物として、窓を加熱し、それにより、エンクロージャの窓上での水の凝縮の傾向を低減することが可能な加熱器も設けられる。しかしながら、これは、全体の電力消費を増加させる。
【0004】
しかしながら、カメラのエンクロージャの内部に位置決めされた電気コンポーネントの電力消費が急激に増加すると、エンクロージャの内部の空気から水分を排出する現在の方法が十分に有効でないことが発見された。この問題に対処する1つの方法は、利用可能な最大乾燥能力を増加させることである。しかしながら、これは、典型的には、カメラの全体サイズおよびコストを増加させる。
【0005】
そのため、カメラのエンクロージャの内部に位置決めされた電気コンポーネントの電力消費が増加すると、水の凝縮の傾向の増加が存在するという問題に対処する必要性が依然として存在し、水の凝縮の傾向の増加は、例えば、エンクロージャの窓上で起こる場合、問題になる場合がある。
【発明の概要】
【0006】
そのため、カメラのエンクロージャの内部に位置決めされた電気コンポーネントの電力消費が増加すると、水の凝縮の傾向の増加が存在するという問題に対処するカメラおよび方法を提供することが本発明の目的である。
【0007】
この目的は、カメラによって達成されており、カメラは、
第1の状態から第2の状態にシフトされるように構成される第1の電気コンポーネントであって、第2の状態は、第1の状態における第1の電気コンポーネントからの熱放散と比較して、第1の電気コンポーネントからの熱放散の増加に関連する、第1の電気コンポーネントと、
可変電力消費を有する第2の電気コンポーネントとを備え、
第1の電気コンポーネントおよび第2の電気コンポーネントはエンクロージャ内に少なくとも部分的に配置され、第1の電気コンポーネントおよび第2の電気コンポーネントは、エンクロージャの内部の第1の空気量に熱を直接的にまたは間接的に放散させるように構成され、
カメラは、
第1の電気コンポーネントが第2の状態にシフトすると、第2の電気コンポーネントの電力消費を一時的に減少させるように配置されるコントローラと、
冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第1の部分と、
冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分とをさらに備え、
第1および第2の部分は、エンクロージャの一部としておよび/またはエンクロージャの内部に設けられ、
第1の部分は、第1の電気コンポーネントに隣接してかつ第2の電気コンポーネントから遠隔に位置決めされ、第2の部分は、第2の電気コンポーネントに隣接してかつ第1の電気コンポーネントから遠隔に位置決めされ、
それにより、第2の電気コンポーネントの電力消費を一時的に減少させるコントローラは、エンクロージャの内部の第1の空気量の湿度の増加を打ち消し、湿度の増加は、第1の電気コンポーネントが上記第2の状態にシフトされ、それにより、上記材料の第1の部分を加熱することによって誘起され、上記材料の第2の部分が冷却され、それにより、第1の空気量から水分子を吸収することによって打ち消される。
【0008】
本発明の概念の1つの部分は、多くのポリマー等の一部の材料が、水分子を捕捉し、加熱されると水分子を放出する傾向を有するという認識にある。今日のカメラデバイスは、典型的には、ポリマーベース材料を含む。典型的には、エンクロージャの少なくとも所定の部分、カメラシャシの少なくとも所定の部分、および電気コンポーネントのカバーの少なくとも所定の部分はポリマーベース材料を含む。ポリマーは、水分子を典型的には捕捉する材料の群に属する。典型的には、ポリマーは、加熱されると、水分子を放出する。加熱されると水分子を放出するそのようなポリマーのかなりの数の部分を、カメラが典型的には含むため、エンクロージャの内部の空気量の絶対湿度は、電気コンポーネントの電力消費が増加すると、典型的には増加することになる。本発明の概念の別の部分は、多くのポリマー等の一部の材料が、周囲温度または湿度レベルが変化すると、水分子を吸収または脱着させることが可能である特性を有することを積極的に活用することが可能であるという認識にある。本発明の概念によれば、多くのポリマー等の一部の材料が、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると、水を脱着させることが可能である特性を有することが特に利用される。異なる電気コンポーネントの電力消費の賢い制御と組み合わせて、また、そのような材料の異なる部分および/または電気コンポーネントの特定の位置決めと組み合わせて、エンクロージャの一部としておよび/またはエンクロージャの内部にそのような材料の異なる部分を設けることによって、湿度問題が対処されている。
【0009】
第1の状態から、第2の状態であって、第1の状態における第1の電気コンポーネントからの熱放散と比較して、第1の電気コンポーネントからの熱放散の増加に関連する、第2の状態への第1の電気コンポーネントのシフトは、第1の状態がオフ状態であり、第2の状態がオン状態である状況、または、第1および第2の状態が共にオン状態である;例えば、第1の状態が低電力状態であり、第2の状態が高電力状態である状況を指すことができる。第1の電気コンポーネントは、例えば、第1の状態がオフ状態であり、第2の状態がオン状態であるIR LED素子であるとすることができる。第1の電気コンポーネントは加熱器であるとすることができる。加熱器は、典型的には、複数の異なる電力レベルに設定されることが可能であるように設計される。1つの使用シナリオにおいて、第1の状態はオフ状態であり、第2の状態はオン状態である。別の使用シナリオにおいて、第1の状態は低電力オン状態であり、第2の状態は高電力オン状態である。
【0010】
可変電力消費を有する第2の電気コンポーネントは、電力消費が、多数の異なるレベルで、連続して、または段階的に変動することができる第2の電気コンポーネントを指すことができるとともに、電力消費が、オン状態とオフ状態との間で変化することによってのみ変動する状況も指すことができる。第2の電気コンポーネントは、例えば、カメラの焦点および/またはズームを制御するために使用されるステップモーターであるとすることができ、電力消費は、連続して、または、例えば、ステップモーターの保持電流を変動させることによって、複数の異なる離散的値で変動することができる。ステップモーターを、ステッパーモーターまたはステッピングモーターと呼ぶこともできる。
【0011】
第1の電気コンポーネントが第2の状態にシフトすると、第2の電気コンポーネントの消費を減少させることが、実際的な言い方をするなら同時性(simultaneity)を指すことを意図されることを留意することができる。カメラを制御する1つの方法は、第1の電気コンポーネントの状態のシフトに応答して、第2の電気コンポーネントの電力消費の減少を提供することである。しかしながら、それが、シフト後に減少が提供されなければならないことを必ずしも意味しないことを留意することができる;例えば、カメラの電子回路が、第1の電気コンポーネントの来るべき状態のシフトの決定を形成することができること、および、第2の電気コンポーネントの電力消費がこの決定に応答して減少し、それにより、第1の電気コンポーネントの状態のシフトが実際に実施される時点で、第2の電気コンポーネントの温度がわずかに減少し始めていることが考えられる。そのため、タイミングが厳密に同じである必要がない場合でも、同時性が存在すべきであり、それにより、第2の電気コンポーネントの温度の減少は、第1の電気コンポーネントによって誘起される湿度の増加を打ち消す。
【0012】
第2の電気コンポーネントの電力消費を低減すること、それにより、電気コンポーネントの温度を低下させることは、第2の電気コンポーネントと接触してまたは第2の電気コンポーネントに少なくとも隣接して、周りに位置決めされ、かつ、空気量に直接的にまたは間接的に接触している材料の温度の低下を引き起こすことにもなり、それにより、材料は、温度が低下すると、空気量から水分を吸収する。隣接して、は、材料が、電気コンポーネントに非常に接近しているかまたは近いため、電気コンポーネントの作動によって、隣接する材料が、電気コンポーネントによる接触加熱および放射加熱によって等で加熱し、それにより、材料が、第1の空気量に熱を放散することを指すと言うことができる。電気コンポーネントから遠隔であることは、材料が電気コンポーネントから非常に遠くにあるため、材料の温度が、別の電気コンポーネントによって大部分制御されることを指すと言うことができる。
【0013】
上記材料の第2の部分が冷却され、それにより、第1の空気量から水分子を吸収することは、水分トラップ(moisture trap)と呼ぶことができる。
【0014】
冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第1の部分、および、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分が、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を、それが有するかまたはそれらが有する限り、同じ種類の材料であるとすることができる、または、異なる材料であるとすることができることを留意することができる。電気絶縁性、荷重負担能力(load bearing capacity)、透明度等のような他の設計パラメータは、異なる部分に関してカメラ内のそれらのそれぞれの位置に基づいて設定することができる。それにより、異なる特性を有する異なる種類の材料を設ける必要性が存在する場合ある。冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第1および第2の部分が、同じ温度で、同じ吸収レートおよび/または脱着レートを有する必要がないことも留意することができる。吸収レートおよび/または脱着レートの異なる温度依存性を有する第1および第2の部分を有することがさらに適する場合がある。そのような構成を用いて、第1および第2の電気コンポーネントが異なる動作温度(running temperature)を有する状況、および/または、第1および第2の部分が、それぞれ第1の電気コンポーネント、第2の電気コンポーネントからの熱放散によって異なるように影響を受ける状況を考慮することが可能である。
【0015】
第1および第2の部分は、エンクロージャの一部としておよび/またはエンクロージャの内部に設けられる。第1の実施形態において、第1および第2の電気コンポーネントは共に、それぞれの電気コンポーネントそれ自体またはそれぞれの電気コンポーネントのカバーまたはシェルの或る部分が第1の空気量内の空気と直接接触しておりかつ流体連通しているという意味で、第1の空気量と直接接触している。第1の空気量は、共有空気量とも呼ぶことができる。第1および第2の電気コンポーネントは、互いから或る距離に配置され、それにより、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有し、第1の電気コンポーネントに隣接して位置決めされる、エンクロージャの材料および/またはエンクロージャの内部に位置決めされる材料は、第2の電気コンポーネントに対して遠隔に位置決めされると考えられる、また、その逆も同様である。
【0016】
第2の実施形態において、第1の電気コンポーネントは、第1の電気コンポーネントそれ自体または電気コンポーネントのカバーまたはシェルの或る部分が第1の空気量内の空気と直接接触しておりかつ流体連通しているという意味で、第1の空気量と直接接触しており、一方、第2の電気コンポーネントは、第2の空気量と直接接触しており、第1の空気量および第2の空気量は、第1の空気量から第2の空気量へまたはその逆に熱を伝達することが可能な分離壁によって互いから分離されているという意味で、第1の空気量と間接接触しており、分離壁の少なくとも一部は、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料で形成される。第1の電気コンポーネントは、分離壁から或る距離に配置され、それにより、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有し、第1の電気コンポーネントに隣接して位置決めされると考えられる、エンクロージャのまたはエンクロージャの内部の材料は、分離壁から遠隔に位置決めされると考えられる、また、その逆も同様である。代替的に、構成は反転し、第2の電気コンポーネントは第1の空気量と直接接触しており、第1の電気コンポーネントは第1の空気量と間接接触している。
【0017】
第3の実施形態において、第1および第2の電気コンポーネントは共に、それぞれの電気コンポーネントそれ自体も、それぞれの電気コンポーネントのカバーまたはシェルのいずれの部分も第1の空気量内の空気と直接接触しておらずかつ流体連通していないという意味で、第1の空気量と間接接触しており、一方、電気コンポーネントは共に、それぞれの電気コンポーネントがそれぞれの空気量と直接接触しており、それぞれの空気量は、互いから、かつ、それぞれの空気量から第1の空気量へまたはその逆に熱を伝達することが可能なそれぞれの分離壁によって第1の空気量から、分離される意味で、第1の空気量と間接接触しており、それぞれの分離壁は、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料で形成される。第1の空気量と第1の電気コンポーネントに関連する空気量との間の第1の分離壁は、第1の空気量と第2の電気コンポーネントに関連する空気量との間の第2の分離壁から或る距離に配置され、それにより、第1の分離壁は第2の分離壁から遠隔に位置決めされると考えられる。
【0018】
互いから分離されるそれぞれの空気量が、流体接続が全く存在しないことを必ずしも意味しないことを留意することができる。第1の空気量が、異なる部分であって、第1の分離壁等の1つの材料片が、温度が増加し、第2の分離壁等の1つの材料片が、温度が減少する、異なる部分を体験することになる程度に、それぞれの空気量が互いから分離されることで十分である。しかしながら、電気コンポーネントが共に、第1の空気量と単に間接接触しているとき、第1の電気コンポーネントおよび第2の電気コンポーネントにそれぞれ関連するそれぞれの空気量の間に流体接続が存在しないことが好ましい。
【0019】
コントローラは、所定の期間後に、または、エンクロージャの内部の第1の空気量の湿度に関連する所定の湿度条件が満たされることに応答して、第2の電気コンポーネントの電力消費を回復させるようにさらに配置することができる。
【0020】
所定の期間後に、第2の電気コンポーネントの電力消費を回復させることによって、第2の電気コンポーネントが、意図されるようにもう一度機能すること、および/または、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分をもう一度乾燥させること、を可能にする頑健な方法が提供される。第2の電気コンポーネントの電力消費を回復させるための基準として所定の期間のみを使用することが考えられる。
【0021】
所定の湿度条件が満たされることに応答して、第2の電気コンポーネントの電力消費を回復させることによって、第2の電気コンポーネントが、意図されるようにもう一度機能すること、および/または、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分をもう一度乾燥させること、を可能にする明確に規定された方法が提供され、そのとき、湿度の初期増加は、もう一度、許容可能な所定の湿度条件まで減らされている。第2の電気コンポーネントの電力消費を回復させるための基準として所定の湿度条件のみを使用することが考えられる。
【0022】
所定の期間および所定の湿度条件の組み合わせを使用することが考えられる。1つのそのような実施形態において、基準のうちの任意の1つの基準を、他の基準をしのぐために使用することが考えられる。
【0023】
エンクロージャは窓を備えることができる。窓の一方の側面は、エンクロージャの内部の第1の空気量に向くことができる。さらに、補足物としてまたは代替物として、窓は、エンクロージャの内部の第1の空気量と流体連通しているとすることができる。第1の空気量と流体連通している、は、エンクロージャの内部の第1の空気量の空気がカメラを通して流れ、それにより、空気と窓との直接接触が形成される状況を指すことを意図される。これは、第1の空気量を閉囲する主容器の所定部分を形成する窓、または、主容器に関して連通する容器を形成する第2の容器の所定部分を形成する窓の形態であるとすることができる。
【0024】
開示される概念が、エンクロージャの窓上での水分の凝縮を低減するために有用であることを留意することができる。概念は、窓が第1の空気量に向く場合に適するだけでなく、窓が第1の空気量に向く設計についても特に有用であると考えられる。同様に、概念は、窓が第1の空気量と流体連通している場合に適するだけでなく、窓がエンクロージャの内部の第1の空気量と流体連通している設計についても特に有用であると考えられる。概念は、窓が、カメラがそこを通してシーンを観察する(view)ために設計される窓である設計について特に有用であると考えられる。
【0025】
第1の電気コンポーネントは、電気ステップモーター等の電気モーター、加熱器、IR LED素子等の発光素子、および抵抗器からなる群から選択することができる。
【0026】
これらの電気コンポーネントは、電力消費の比較的急速な増加をしばしば必要とし、それにより、エンクロージャの内部の第1の空気量の湿度の増加を誘起する場合がある電気コンポーネントである。
【0027】
第2の電気コンポーネントは、電気ステップモーター等の電気モーター、加熱器、および抵抗器からなる群から選択することができる。
【0028】
これらの電気コンポーネントは、典型的には、熱を提供することが可能であり、それにより、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分を乾燥させることが可能である。換言すれば、これらの電気コンポーネントは、典型的には、それらの電力消費が減少すると、それらの温度を低下させることが可能であり、それにより、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分を冷却することができ、それにより、第2の部分は水分子を吸収する。
【0029】
電気ステップモーター等の電気モーターの場合、電力消費は、モーターの保持電流を減少させることによって減少することができる。加熱器または抵抗器の場合、電力消費は、加熱器または抵抗器にわたる電圧および/または電流を減少させることによって減少することができる。
【0030】
少なくとも第2の部分はポリマーベース材料で形成することができる。
【0031】
ポリマーベース材料の第2の部分は、電気コンポーネントのカバーの所定部分を形成することができる。ポリマーベース材料の第2の部分は、電気コンポーネントがエンクロージャにまたはエンクロージャの内部のカメラシャシにそれによって取り付けられる取り付け具の所定部分を形成することができる。ポリマーベース材料の第2の部分はエンクロージャの所定部分を形成することができる。実際には、同様に、上記材料の第1の部分はポリマーベース材料で形成される。なぜならば、第1の部分が、それ自体第1の電気コンポーネントのカバーまたは取り付け具の所定部分として有用であるからである。
【0032】
使用する適切な材料は、例えば、ポリカーボネート;PCそれ自体、または、ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン;PC+ABS、ポリカーボネートとポリブチレン・テレフタレート;PC+PBT、ポリアミド;PA、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート;ASA等の他のポリマーとの組み合わせである。
【0033】
コントローラは、第1の電気コンポーネントを第1の状態から第2の状態にシフトさせることが企図される前に、所定の期間の間、第2の電気コンポーネントを作動させるように構成することができる。
【0034】
それにより、或る意味で、所定の材料の第2の部分を、同程度に乾燥させ、同程度に熱くなるように調製することが可能であり、それにより、第2の電気コンポーネントの電力消費が減少することに応答して第2の部分が水分子を冷却し吸収することになる。予備加熱は、カメラの任意の通常の乾燥機能が、この予備加熱によって誘起される水分に対処することができるように、スムーズに実施することができることを留意することができる。
【0035】
予備加熱は、カメラの通常機能によって明示的に保証されないさらなる予備加熱であるとすることができる。代替的にまたは補足物として、カメラの電気コンポーネントの一部の通常機能は、予備加熱と見なすことができる。例えば、カメラの焦点および/またはズームを制御するステップモーターに保持電流を提供することは、例えば典型的である。この保持電流は、或る意味で、カメラの通常機能の一部でもある予備加熱を提供する。第1の電気コンポーネントを第1の状態から第2の状態にシフトさせることが企図される前に、所定の期間の間、第2の電気要素の電力消費を増加させることが同様に企図されることを留意することができる。ステップモーターの保持電流を、カメラの通常機能によって決定されるレベルからより高いレベルまで増加させ、それにより、ステップモーターが、カメラの通常機能によって決定される保持電流によって達成されるものと比較して、所定の材料の第2の部分をより高い程度に加熱するようにさせることが、例えば考えられる。
【0036】
予備加熱に対する代替物または補足物として、カメラの異なる電気コンポーネントの電力消費を追跡し、所定の閾値を超える電力消費であって、その電力消費で、電気コンポーネントは、熱を放散し、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料片を乾燥させ、加熱させた、所定の閾値を超える電力消費を最近有した電気コンポーネントの電力消費を減少させるようにコントローラを構成することができることが同様に企図される。そのため、第2の電気コンポーネントは、カメラの異なる電気コンポーネントの最近の使用に動的に基づいて決定されることになる。
【0037】
第2の部分は水分吸収要素の形態で設けることができる、または、カメラは水分吸収要素をさらに備えることができ、水分吸収要素は、温度が減少すると第1の空気量から水分を吸収するように配置され、水分吸収要素は、第2の電気コンポーネントに隣接して位置し、それにより、水分吸収要素の温度は、第2の電気コンポーネントの電力消費の減少に応答して減少する。
【0038】
そのような吸収要素において使用する適切な材料は、例えば、分子ふるい、シリカゲル、モンモリロナイト粘土、酸化カルシウム;CaO、および硫酸カルシウム;CaSOである。
【0039】
本発明の上記で述べた目的はまた、カメラのエンクロージャの内部の第1の空気量の湿度の増加を打ち消す方法によった達成されており、湿度の増加は、第1の電気コンポーネントが第1の状態から第2の状態にシフトされることによって誘起され、第2の状態は、第1の状態における第1の電気コンポーネントからの熱放散と比較して、第1の電気コンポーネントからの熱放散の増加に関連し、第1の電気コンポーネントは、エンクロージャ内に少なくとも部分的に位置決めされ、エンクロージャの内部の第1の空気量に熱を直接的にまたは間接的に放散させるように構成され、方法は、
第1の電気コンポーネントが第2の状態にシフトすると、可変電力消費を有する第2の電気コンポーネントの電力消費を一時的に減少させることを含み、第2の電気コンポーネントは、エンクロージャ内に少なくとも部分的に位置決めされ、エンクロージャの内部の第1の空気量に熱を直接的にまたは間接的に放散させるように構成される。
【0040】
第2の電気コンポーネントの電力消費を一時的に減少させるコントローラは、エンクロージャの内部の第1の空気量の湿度の増加を打ち消し、湿度の増加は、第1の電気コンポーネントが上記第2の状態にシフトされ、それにより、材料の第1の部分を加熱することによって誘起され、第1の部分は、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有し、湿度の増加は、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の第2の部分が冷却され、それにより、第1の空気量から水分子を吸収することによって打ち消され、第1の部分は、第1の電気コンポーネントに隣接してかつ第2の電気コンポーネントから遠隔に位置決めされ、第2の部分は、第2の電気コンポーネントに隣接してかつ第1の電気コンポーネントから遠隔に位置決めされる。
【0041】
方法において規定される異なる特徴に関連する利点は、カメラを参照して詳細に論じられており、異なる特徴に関連する利点は、方法に関して同様に適用可能である。カメラに関して論じた好ましい実施形態および詳細が方法に対して同様に適用可能であることも留意することができる。
【0042】
方法は、所定の期間後に、および/または、エンクロージャの内部の第1の空気量の湿度に関連する所定の湿度条件が満たされることに応答して、第2の電気コンポーネントの電力消費を回復させることをさらに含むことができる。
【0043】
方法は、エンクロージャの所定部分を形成する窓上での水分の凝縮を打ち消すために使用することができる。窓は、エンクロージャの内部の第1の空気量に向く一方の側面を有することができる。窓は、エンクロージャの内部の第1の空気量と流体連通しているとすることができる。
【0044】
方法は、電気ステップモーター等の電気モーター、加熱器、IR LED素子等の発光素子、および抵抗器からなる群から第1の電気コンポーネントを選択することをさらに含むことができる。
【0045】
方法は、電気ステップモーター等の電気モーター、加熱器、および抵抗器からなる群から第2の電気コンポーネントを選択することをさらに含むことができる。
【0046】
方法は、第1の電気コンポーネントを第1の状態から第2の状態にシフトさせることが企図される前に、所定の期間の間、第2の電気コンポーネントを作動させることをさらに含むことができる。
【0047】
方法は、第2の電気コンポーネントに隣接して、温度が減少すると第1の空気量から水分を吸収するように配置される水分吸収要素を設けることであって、それにより、水分吸収要素の温度は、第2の電気コンポーネントの電力消費の減少に応答して減少する、水分吸収要素を設けることをさらに含むことができる。代替的に、これは;方法は、第2の電気コンポーネントに隣接して、温度が減少すると第1の空気量から水分を吸収するように配置される水分吸収要素を位置決めすることであって、それにより、水分吸収要素の温度は、第2の電気コンポーネントの電力消費の減少に応答して減少する、水分吸収要素を位置決めすることをさらに含むことができる、として参照することができる。
【0048】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で別段に明示的に規定されない限り、技術分野においてそれらの通常の意味に従って解釈される。1つの(a)/1つの(an)/その(the)[要素、デバイス、コンポーネント、手段、ステップ等]に対する参照は、別段に明示的に述べられない限り、上記要素、デバイス、コンポーネント、手段、ステップ等の少なくとも1つのインスタンスを参照するものとしてオープンに解釈される。本明細書で開示される任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示される厳密な順序で実施される必要はない。
【0049】
本発明は、簡潔に、カメラのエンクロージャの内部の第1の空気量の湿度の増加を打ち消すカメラおよび方法に関すると言うこともでき、湿度の増加は、第1の電気コンポーネントが、第1の状態から、第1の電気コンポーネントからの熱放散の増加に関連する第2の状態にシフトされることによって誘起され、第1の電気コンポーネントは第1の空気量に熱を直接的にまたは間接的に放散させ、方法は、第1の電気コンポーネントが第2の状態にシフトすると、可変電力消費を有する第2の電気コンポーネントの電力消費を一時的に減少させることを含み、第2の電気コンポーネントは第1の空気量に熱を直接的にまたは間接的に放散させる。
【0050】
本発明は、例として、本発明の現在のところ好ましい実施形態を示す添付概略的図面を参照してより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の概念がその中に含まれた第1の種類のカメラを開示する図である。
図2a】本発明の概念がその中に含まれた第2の種類のカメラを第1の分解図で開示する図である。
図2b】本発明の概念がその中に含まれた第2の種類のカメラを第2の分解図で開示する図である。
図3】本発明の概念をそれによって達成することができる方法に対する概略ダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1図2a、および図2bを参照すると、本発明の概念がその中に含まれた2つの異なるカメラが開示される。図面においてまた説明において、同じ参照符号は、2つのカメラの対応する特徴部のために使用される。
【0053】
図1にて、カメラ1が開示され、カメラ1内に、カメラ1の電子回路および光学部品3がエンクロージャ2内に閉囲される。エンクロージャ2は、ベース部分2cおよび窓2bを備える。窓2bは透明であり、それにより、シーンからの光は、窓2bを通り、光学部品3を通り、画像センサ(図示せず)まで入ることができる。
【0054】
カメラ1の光学部品3、画像センサ、電子回路等の画像化機能は、当業者によく知られている。さらに、カメラ1の画像化機能の設計の特定の選択は、本発明の概念にとって重要な部分ではない。
【0055】
光学部品3および画像センサは、エンクロージャ2の内部に位置決めされた内側ハウジング4内に設けられる。内側ハウジング4は、エンクロージャ2の内部のシャシ5によって支持される。内側ハウジング4は、典型的には、シャシ5およびエンクロージャ2に対して可動であり、それにより、光学部品3および画像センサは、異なる方向に配向することができる。しかしながら、本発明の概念は、光学部品3がシャシ5およびエンクロージャ2に対して固定される設計について同様に適用可能である。
【0056】
図2aおよび図2bにて、カメラ1の変形が開示され、変形において、ベース部分2cおよび窓2bを有する単一エンクロージャ2の内部に設けられる2つの内側ハウジング4が存在する。各内側ハウジング4は、それ自身の光学部品3およびそれ自身の画像センサを備える。
【0057】
図1および図2a~2bの両方のカメラ1は、IR LED素子13の形態の照明素子を備える。IR LED素子13はエンクロージャ2の内部に配置される。図1のカメラ1において、IR LED素子13は、内側ハウジング4上に設けられる。そのため、IR LED素子13は、エンクロージャ2に対して異なる配向を与えられることになる。図2a~2bのカメラ1において、IR LED素子13は、カメラ1のシャシ5上に設けられる。図2a~2bのカメラ1において、各内側ハウジング4に関連する2つのIR LED素子13が存在する。
【0058】
IR LED素子13は、本発明の概念の一般的な説明において参照される、第1の電気コンポーネント10の例である。IR LED素子13は、典型的には、日中に、第1の状態10S1とも呼ばれるオフ状態にあり、また、夜間に、第2の状態10S2とも呼ばれるオン状態に設定されて、IR感応性画像センサがシーンを描写できるようにシーンを照明する。IR LED素子13は、オン状態に設定されると、温かくなることになり、熱は、IR LED素子13から放散されることになる。
【0059】
図1のカメラ1にて、熱は、エンクロージャ2の内部の空気2aに、また同様に、LED素子13に隣接する内側ハウジング4の部分210に放散されることになる。図2a~2bのカメラ1において、熱は、エンクロージャ2の内部の空気2aに、また同様に、IR LED素子13に隣接するシャシ5の部分210に放散されることになる。内側ハウジング4およびシャシ5は、典型的には、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料を含む。材料は、典型的には、ポリマーベース材料を含む。そのため、IR LED素子13の作動は、それ自体、エンクロージャ2の内部の空気2aの絶対湿度の増加を誘起する傾向を有する。なぜならば、IR LED素子13の作動が、それぞれのR LED素子13に隣接する第1の部分210の加熱を引き起こし、それにより、第1の部分210の材料が、空気2a内に水を脱着させるからである。
【0060】
カメラ1は、典型的には、内側ハウジング4の内部に、したがって同様に、エンクロージャ2の内部に位置決めされた1つまたは複数の電気モーター21を同様に備える。電気モーター21は、光学部品3の異なる部分を、互いに対しておよび/または画像センサに対して移動させ、それにより、カメラ1のズームおよび/または焦点を制御するために設けられる。電気モーターは、典型的には、ステッパーモーターまたはステッピングモーターとしても知られる、いわゆるステップモーター21である。光学部品3の位置を維持するために、ステップモーター21は、ステップモーター21に保持電流を絶えず提供することによって、所定位置に、すなわち、その現在のステップに維持される。この保持電流は、任意選択で、異なる所定の保持電流レベルの間で変動する場合があり、保持電流が最小保持電流を超える限り、ステップモーター21の位置は維持される。最小保持電流は、異なるカメラタイプの場合、異なる値に設定することができる。ステップモーター21の保持電流は、光学部品3の正しい位置決めを確保する安全対策として、カメラ1を加熱する対策として、または、他の理由で、最小値を超えて設定することができる。以下の説明から明らかになるように、ステップモーター21の保持電流は、本発明の概念の一部を形成する予備加熱ステップとして、最小値を超えて設定することもできる。
【0061】
電気モーター21は、本発明の概念の一般的な説明において参照される、第2の電気コンポーネント20の例である。ステップモーター21に提供される保持電流は、ステップモーター21の加熱を引き起こすことになる。この熱は、エンクロージャ2の内部のハウジング4および空気2aに放散されることになる。上記で述べたように、内側ハウジング4は、典型的には、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料を含む。
【0062】
カメラ1は、ステップモーター21等の第2の電気コンポーネント20の電力消費を制御するように構成されるコントローラ30をさらに備える。コントローラ30は、IR LED素子13が作動されると、ステップモーター21の保持電流を一時的に減少させるように構成される。一般的には、これは、第1の電気コンポーネント10が第2の状態10S2にシフトすると、第2の電気コンポーネント20の電力消費を一時的に減少させるように配置されるコントローラ30と呼ばれる。ステップモーター21のこの電力消費の低減の結果として、内側ハウジング4に放散される熱の低減が存在し、それにより、内側ハウジング4の温度が減少することになる。そのため、第2の電気コンポーネント20の電力消費の一時的減少の結果として、冷却されると水分子を吸収し、加熱されると水を脱着させることが可能である特性を有する材料の、内側ハウジング4で形成される第2の部分220は、冷却され、それにより、空気2aから水分子を吸収する。
【0063】
第1の部分210および第2の部分220が共に、図1のカメラ1内の内側ハウジング4の所定部分を形成するが、第1の部分210は、第1の電気コンポーネント10に隣接してかつ第2の電気コンポーネント20から遠隔に位置決めされ、第2の部分220は、第2の電気コンポーネント20に隣接してかつ第1の電気コンポーネント10から遠隔に位置決めされることを留意することができる。
【0064】
図1および図2a~2bにおいて、窓2bを含むエンクロージャ2が、第1および第2の電気コンポーネント10、20ならびに第1および第2の部分210、220を閉囲し、それにより、窓2bの内部2b’は、エンクロージャ2の内部の空気量2aに向きかつそれと流体連通していることを留意することができる。
【0065】
図1にて、水分吸収要素40も開示される。水分吸収要素40は、温度が減少すると、エンクロージャ2の内部の空気量2aから水分を吸収するように配置される。水分吸収要素40は、第2の電気コンポーネント20に隣接して位置し、それにより、水分吸収要素40の温度は、第2の電気コンポーネント20の電力消費の減少に応答して減少する。図1に示す例において、水分吸収要素40は、第2の電気コンポーネント20として働くと言うことができる、加熱器22または抵抗器24に隣接して位置決めされる。そのような吸収要素において使用する適切な材料は、例えば、分子ふるい、シリカゲル、モンモリロナイト粘土、酸化カルシウム;CaO、および硫酸カルシウム;CaSOである。水分吸収要素40は、図1に示すように別個の要素40であるとすることができる。代替的にまたは補足物として、水分吸収要素40は、カメラ1の一体部分を形成することができる、または、シャシ5に、内側ハウジング4に、または、エンクロージャ2のベース部分2c等のエンクロージャ2に等、カメラ1の或る部分に取り付けることができる。水分吸収要素40を、第2の部分220と呼ぶこともできることも留意されるべきである。図2a~2bのカメラ1にて、例えば、架橋要素5bが存在し、架橋要素5bを、シャシ5の或る部分として使用するが、水分吸収要素40および抵抗器24または加熱器22のキャリアとしても使用し、それにより、第2の部分220と呼ぶこともできる。
【0066】
本発明の概念は、概略的なフローチャートが示される図3を参照して、同様に例示される。
【0067】
コントローラ30は、第1の電気コンポーネント10を第1の状態10S1から第2の状態10S2にシフトさせることが企図される前に、ステップS101にて、所定の期間20T2の間、第2の電気コンポーネント20を作動させるように構成される。この作動は、企図されるシフトに応答して提供される特定の作動であるとすることができる。電気コンポーネントであって、その電気コンポーネントが第2の部分220を加熱するのに十分な電力消費を持って動作している、電気コンポーネントが既に存在し、それにより、電力消費を減少することができ、また、問題の電気コンポーネントが、上記第2の電気コンポーネント20として働くことができることが分かっている場合に、特定の作動を、代替的に、無しで済ますことができる。第2の電気コンポーネント20の作動の状況によらず、第1の電気コンポーネント10を第1の状態10S1から第2の状態10S2にシフトさせることが企図される前の、所定の期間20T2の間の第2の電気コンポーネント20のこの作動は、第2の部分220の予備加熱と呼ぶことができる。
【0068】
ステップS102にて、IR LED素子13等の第1の電気コンポーネント10は、オフ状態10S1からオン状態10S2にシフトされる。
【0069】
ステップS103にて、水分吸収要素40に近い、ステップモーター21、加熱器22、または抵抗器24等の第2の電気コンポーネント20の電力消費が、一時的に減少する。
【0070】
ステップ102およびS103の同時性が存在することを留意することができる。カメラを制御する1つの方法は、第1の電気コンポーネント10の状態のシフトに応答して、電気コンポーネント20の電力消費の減少を提供することである。しかしながら、それが、シフトS102後に、減少S103が提供されなければならないことを必ずしも意味しないことを留意することができる;例えば、カメラ1の、コントローラ30等の電子回路が、第1の電気コンポーネントの来るべき状態のシフトの決定を形成することができること、および、第2の電気コンポーネント20の電力消費がこの決定に応答して減少し、それにより、第1の電気コンポーネントの状態のシフトが実際に実施される時点で、第2の電気コンポーネントの温度がわずかに減少し始めていることが考えられる。そのため、ステップS102およびS103の順序は、図3に示す順序と比較して反転することができる。要約すると、タイミングが厳密に同じである必要がない場合でも、または、順序が特定の順序である必要がある場合でも、同時性が存在すべきであり、それにより、第2の電気コンポーネント20の温度の減少は、第1の電気コンポーネント10によって誘起される湿度の増加を打ち消す。
【0071】
所定の期間20T1が経過した後に、または、所定の湿度条件HCが満たされることに応答して、ステップS104にて、第2の電気コンポーネント20の電力消費を回復が、もう一度回復される、すなわち、電力消費が、ステップS103の減少の前にあった元の通りに回復される。湿度条件HCは、典型的には、空気2a内の相対湿度に関連する。このステップS104を、カメラ1の他の機能がこのステップを必要とない場合、なしで済ますことができることが留意されるべきである。これは、例えば、第2の電気コンポーネント20が、第1の電気コンポーネント10を第1の状態10S1から第2の状態10S2にシフトさせることが企図される前に、所定の期間20T2の間、特定の予備加熱ステップとして作動される、加熱器22または抵抗器24である場合に特に当てはまる。そのような場合、ステップS104は、なしで済ますことができ、第2の電気コンポーネント20は、第1の電気コンポーネント10の状態の新たなシフトを提供することが企図されるまで、作動されない。第1の電気コンポーネント10がIR LED素子13である例において、加熱器22または抵抗器24は、夕暮れ前に、所定の時間に、1時間または2時間のオーダー、作動され、それにより、第2の部分220または水分吸収要素40は、予備加熱され、いつでも冷却される用意ができている。IR LED素子13がオン状態にシフトすると、加熱器22または抵抗器24はシャットダウンされ、第2の部分220または水分吸収要素40は、水分トラップとして働き、IR LED素子13に隣接する第1の部分210によって脱着された水分子を吸収する。夜明けに、IR LED素子13はオフ状態にシフトする。
【0072】
異なる例が開示されたが、第1の電気コンポーネント10が、好ましくは、電気ステップモーター等の電気モーター21、加熱器22、IR LED素子等の発光素子13、および抵抗器24からなる群から選択されると、要約することができる。
【0073】
本文脈において、第1の状態がオフ状態であるオン状態にあるかによらず、本発明の概念は、第2の状態10S2が、第1の状態10S1における第1の電気コンポーネント10からの熱放散と比較して、第1の電気コンポーネント10からの熱放散の増加に関連する場合に対処することも留意することができる。
【0074】
異なる例が開示されたが、第2の電気コンポーネント20が、好ましくは、電気ステップモーター等の電気モーター21、加熱器22、および抵抗器24からなる群から選択されると、要約することができる。
【0075】
図面、開示、および添付特許請求の範囲の調査から、開示される実施形態の変形が、特許請求される発明を実施するときに当業者によって理解され実施されることが留意されるべきである。特許請求の範囲において、語「備えている(comprising)」は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は複数を排除しない。特定の対策が、互いの異なる従属請求項で列挙されるという単なる事実は、これらの対策の組み合わせを有利に使用することができないということを示さない。そのため、添付特許請求項によって規定される本発明の範囲内にやはり入る、本明細書で述べる実施形態の多数の修正が存在することが企図される。
図1
図2a
図2b
図3