(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】圧縮機用ガスクーラ
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241029BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F28F9/02 301H
F28D7/16 A
(21)【出願番号】P 2021109505
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳也
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-079791(JP,A)
【文献】特開平08-312985(JP,A)
【文献】特開昭52-084558(JP,A)
【文献】特開2000-230726(JP,A)
【文献】特開2017-116238(JP,A)
【文献】特開2015-200473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28D 7/16
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から吐出されたガスを冷却する圧縮機用ガスクーラであって、
上方にガス導入口と
下方にガス導出口が設けられたケーシングと、
前記ケーシングの内部に設けられ、前記ガス導入口が開口する
前記上方にある上流側空間と前記ガス導出口が開口する
前記下方にある下流側空間とに前記ケーシングの前記内部を区分すると共に、前記ケーシングの前記内部に導入されたガスを
前記上流側空間から前記下流側空間へ通過させて冷却する冷却部と、
前記ケーシングの
下方において前記下流側空間を画定する底壁に局所的に設けられた窪みであり、前記冷却部で前記ガスを冷却することによって前記ガスから分離されたドレンが溜まるドレン回収部と、
前記ケーシングの壁部を貫通するように設けられた開口であって、前記ドレン回収部に溜まった前記ドレンを前記ケーシングの外部に導くための、ドレン排出口と
を備
え、
前記ドレン導出口は横向きに延びている、圧縮機用ガスクーラ。
【請求項2】
前記ドレン回収部の周壁は、前記ケーシングの前記下流側空間を画定する周壁とは異なる壁となるよう鋳造されている、請求項1に記載の
圧縮機用ガスクーラ。
【請求項3】
前記ドレン回収部の前記ドレン排出口に向かう方向と直交する方向の寸法である幅は、前記下流側空間の前記ドレン排出口に向かう方向と直交する方向の寸法である幅の0.2倍以上0.5倍以下である、請求項1又は2に記載の
圧縮機用ガスクーラ。
【請求項4】
前記ケーシングの前記底壁は、前記ドレン回収部に向かって下向きの第1の傾斜を有し、
前記ドレン回収部の底壁は、前記ドレン排出口に向かって下向きの第2の傾斜を有し、
前記第2の傾斜は前記第1の傾斜よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載の
圧縮機用ガスクーラ。
【請求項5】
前記ドレン排出口の上端の高さ位置は、前記ドレン回収部の上端の高さ位置よりも低い、請求項1から4のいずれか1項に記載の
圧縮機用ガスクーラ。
【請求項6】
前記ケーシングに、前記ガス導出口から上向きに延びる上昇流路が形成され、
前記ドレン回収部は、前記上昇流路の下端と対向するように設けられている。請求項1から5のいずれか1項に記載の
圧縮機用ガスクーラ。
【請求項7】
外観において、前記ケーシングから前記ドレン回収部が局所的に突出している、請求項1から6のいずれか1項に記載の
圧縮機用ガスクーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された圧縮機用のガスクーラでは、ガス導入口から内部に導入されたガスは、熱交換器を上方から下方に通過することで冷却され、ガス導出口から導出される。冷却により凝縮したガス中の液体(ガスが空気である場合には水分)、つまりドレンは、ガスクーラの底壁に設けられたドレン回収部に回収される。ドレン回収部に回収されたドレンは、ガスクーラのケーシングに設けられた開口(ドレン排出口)から外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のガスクーラでは、ドレン排出時に、ガス導出口に向かって流れるガスが、ドレンと共にドレン排出口から漏出しやすい。特に、ドレン回収部に溜まったドレンの液位が低いと、ガスがドレンを押し退けるような態様で、ドレン排出口から漏出する。ドレン導出口からのガスの漏出があると、その分、ドレン排出口から排出可能なドレン量が減少する。つまり、ドレン導出口からのガスの漏出は、ドレン排出性を低下させる。
【0005】
本発明は、圧縮機用ガスクーラのドレン排出性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、圧縮機から吐出されたガスを冷却する圧縮機用ガスクーラであって、上方にガス導入口と下方にガス導出口が設けられたケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ、前記ガス導入口が開口する前記上方にある上流側空間と前記ガス導出口が開口する前記下方にある下流側空間とに前記ケーシングの前記内部を区分すると共に、前記ケーシングの前記内部に導入されたガスを前記上流側空間から前記下流側空間へ通過させて冷却する冷却部と、前記ケーシングの下方において前記下流側空間を画定する底壁に局所的に設けられた窪みであり、前記冷却部で前記ガスを冷却することによって前記ガスから分離されたドレンが溜まるドレン回収部と、前記ケーシングの壁部を貫通するように設けられた開口であって、前記ドレン回収部に溜まった前記ドレンを前記ケーシングの外部に導くための、ドレン排出口とを備え、前記ドレン導出口は横向きに延びている、圧縮機用ガスクーラを提供する。
【0007】
ドレン回収部はケーシングの底壁に局所的に設けられた窪みであるので、ドレンの液量が比較的少ない場合であっても、ドレン回収部内のドレンの液位が高く、ドレン排出口がドレンの液面よりも下方にある状態を維持できる。その結果、ドレンを押し退けるような態様で、ガスがドレン排出口から漏出するのを防止ないし抑制できる。ドレン導出口からのガスの漏出を防止ないし抑制することで、ガスの漏出に起因するドレン排出口から排出可能なドレン量の減少を回避でき、ドレン排出性を向上できる。
【0008】
前記ドレン回収部の周壁は、前記ケーシングの前記下流側空間を画定する周壁とは異なる壁となるよう鋳造されていてもよい。
【0009】
この構成により、ドレン回収部の局所的な窪みを容易に形成することができ、上述のようにドレン排出性を向上できる。つまり、ドレン排出性を向上するために、部品点数の増加や構造の複雑化を招かない。
【0010】
前記ドレン回収部の前記ドレン排出口に向かう方向と直交する方向の寸法である幅は、前記下流側空間の前記ドレン排出口に向かう方向と直交する方向の寸法である幅の0.2倍以上0.5倍以下であってもよい。
【0011】
前記ケーシングの前記底壁は、前記ドレン回収部に向かって下向きの第1の傾斜を有し、前記ドレン回収部の底壁は、前記ドレン排出口に向かって下向きの第2の傾斜を有し、前記第2の傾斜は前記第1の傾斜よりも大きくてもよい。
【0012】
この構成により、第1の傾斜でドレン回収部へドレンが収集され易くするとともに、第2の傾斜により、ケーシングの高さが大きくなることを抑止しながらドレン排出口をドレンで封じ易くすることで、ドレンの排出性を向上することができる。
【0013】
前記ドレン排出口の上端の高さ位置は、前記ドレン回収部の上端の高さ位置よりも低くてもよい。
【0014】
この構成により、ドレン回収部内のドレンの液面が比較的低い場合でも、ドレン排出口からのガスの漏出を防止ないし抑制でき、ドレン排出性が向上する。
【0015】
前記ケーシングに、前記ガス導出口から上向きに延びる上昇流路が形成され、前記ドレン回収部は、前記上昇流路の下端と対向するように設けられてもよい。
【0016】
この構成により、上昇流路を通って上昇するガス流とドレンの液面との距離を離し、ガス流と付随してドレンが漏出するのを防止ないし抑制できる。
【0017】
外観において、前記ケーシングから前記ドレン回収部が局所的に突出していてもよい。
【0018】
この構成により、ドレン回収部を設けたことによるケーシングの大型化とそれに伴う重量増加を最小限に抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品点数の増加や構造の複雑化なく、圧縮機用ガスクーラのドレン排出性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るガスクーラの斜視図。
【
図6】
図4の線VI-VIに沿ったケーシングの断面図。
【
図7】
図4の線VII-VIIに沿ったケーシングの断面図。
【
図8】
図5の線VIII-VIIIに沿ったケーシングの断面図。
【
図9】
図5の線IX-IXに沿ったケーシングの断面図。
【
図12】
図5の線XII-XIIに沿ったケーシングの断面図。
【
図13】
図5の線XIII-XIIIに沿ったケーシングの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図5を参照すると、本発明の実施形態に係るガスクーラ1は、インタークーラ2Aとアフタークーラ2Bとを有し、これらインタークーラ2Aとアフタークーラ2Bを一体化したケーシング4を備える。本実施形態では、ガスクーラ1は、オイルフリーの二段スクリュ圧縮機に組み込まれている。インタークーラ2Aが低段側スクリュ圧縮機と高段側スクリュ圧縮機との間のガス流路に設けられ、アフタークーラ2Bが高段側スクリュ圧縮機より下流のガス流路に設けられる。
【0022】
図6から
図9を併せて参照すると、ケーシング4は、底壁5、底壁5から立ち上がる一対の端壁6A,6B、底壁5から立ち上がる一対の側壁7A,7B、端壁6A,6Bと側壁7A,7Bの上端の頂壁8、及び隔壁9を備える。隔壁9は、ケーシング4の内部、すなわち底壁5、端壁6A,6B、側壁7A,7B、及び頂壁8で囲まれた空間を、インタークーラ2Aのための第1空間11Aとアフタークーラ2Bのための第2空間11Bとに仕切っている。本実施形態では、ケーシング4は鋳造により製造されている。
【0023】
図6から
図9を参照すると、第1空間11A内にインタークーラ2Aの熱交換器(冷却部)12Aが収容され、第2空間11B内にアフタークーラ3の熱交換器(冷却部)12Bが収容されている。熱交換器12A,12Bはそれぞれ、スペーサ13で連結された一対のシールプレート14,14と、シールプレート14,14間に配置された管巣15を備える。また、熱交換器12A,12Bはそれぞれ、間隔をあけて配置された多数のフィン16を備え、管巣15は、これらのフィン16と一体化されている。
【0024】
図6から
図9を参照すると、ケーシング4の一方の端壁6Aには、インタークーラ2Aの熱交換器12Aのための開口17Aと、アフタークーラ2Bの熱交換器12Bのための開口17Bとが設けられている。また、ケーシング4の他方の端壁6Bにも、インタークーラ2Aの熱交換器12Aのための開口17Cと、アフタークーラ2Bの熱交換器12Bための開口17Dとが設けられている。インタークーラ2Aの熱交換器12Aは、開口17A,17Cに挿入することで、第1空間11A内に水平方向に延びる姿勢で配置されている。同様に、アフタークーラ2Bの熱交換器12Bは、開口17B,17Dに挿入することで、第2空間11B内に水平方向に延びる姿勢で配置されている。
図1を併せて参照すると、開口17A,17Bは、取付部18A,18Bによって気密状態で封止され、取付部18A,18Bにはカバー19A,19Bが取り付けられている。また、開口17C,17Dは、取付部18C,18Dによって気密状態で封止され、取付部18C,18Dにはカバー19C,19Dが取付られている。
【0025】
図1を参照すると、カバー19Aに設けられた流入ポート21Aからインタークーラ2Aの熱交換器12Aの管巣15に冷却水が供給され、管巣15を通過した冷却水は、カバー19Aに設けられた流出ポート22Aから流出する。また、カバー19Bに設けられた流入ポート21Bからアフタークーラ2Bの熱交換器12Bの管巣15に冷却水が供給され、冷却管17を通過した冷却水は、カバー19Bに設けられた流出ポート22Bから流出する。
【0026】
図8及び
図9を参照すると、第1空間11Aでは、端壁6A,6B間に延びる一対の支持リブ23A,23Aが側壁7Aと隔壁9とに設けられている。これらの支持リブ23A,23A上に、インタークーラ2Aの熱交換器12Aのシールプレート14,14が支持され、シール部が形成されている。そのため、第1空間11Aは、端壁6A,6B間にわたって、熱交換器12Aよりも上方の上流側空間24Aと、熱交換器12Aよりも下方の下流側空間25Aに区画されている。
【0027】
同様に、第2空間11Bでは、側壁7Bと隔壁9とに設けられ支持リブ23B,23B上に、アフタークーラ2Bの熱交換器12Bのシールプレート14,14が支持され、シール部が形成される。そのため、第1空間11Aは、端壁6A,6B間にわたって、熱交換器12Bよりも上方の上流側空間24Bと、熱交換器12Bよりも下方の下流側空間25Bに区画されている。
【0028】
図6を参照すると、ケーシング4の頂壁8には、インタークーラ2Aのガス導入口26Aが、上流側空間24Aに開口するように設けられている。ガス導入口26Aは、低段側スクリュ圧縮機の吐出口と流体的に接続された入口ポート28A(
図1及び
図2参照)と連通している。また、ケーシング4の隔壁9には、インタークーラ2Aのガス導出口27Aが、下流側空間25Aに開口するように設けられている。また、ケーシング4の隔壁9にはガス導出口27Aから上向きに延びる上昇流路29が形成されており、ガス導出口27Aは、この上昇流路29を介して、頂壁7に設けられた出口ポート30(
図1及び
図2参照)と連通している。出口ポート30は、高段側スクリュ圧縮機の吸込口と流体的に接続されている。
【0029】
図7を参照すると、ケーシング4の頂壁8には、アフタークーラ2Bのガス導入口26Bが、上流側空間24Bに開口するように設けられている。ガス導入口26Bは、高段側スクリュ圧縮機の吐出口に流体的に接続された入口ポート28B(
図1から
図3参照)と連通している。また、側壁7Bには、アフタークーラ2Bのガス導出口27Bが、下流側空間25Bに開口するように設けられている。ガス導出口27Bは二段スクリュ圧縮機よりも下流側に流体的に接続されている。
【0030】
低段側スクリュ圧縮機の吐出口から吐出されたガス(例えば圧縮空気)は、インタークーラ2Aに導入される。具体的には、低段側スクリュ圧縮機の吐出口から吐出されたガスは、入口ポート28Aを経てガス導入口26Aからインタークーラ2Aの上流側空間24Aに導入され、熱交換器12Aを上方から下方へ通過して下流側空間25Aに流入する。下流側空間25Aに流入したガスは、ガス導出口27Aから上昇流路29へ流れ、出口ポート30より導出される。インタークーラ2Aから導出されたガスは、高段側スクリュ圧縮機の吸込口に吸い込まれる。
【0031】
高段側スクリュ圧縮機の吐出口から吐出されたガスは、アフタークーラ2Bに導入される。具体的には、高段側スクリュ圧縮機の吐出口から吐出されたガスは、入口ポート28Bを経てガス導入口26Bからアフタークーラ2Bの上流側空間24Bに導入され、熱交換器12Bを上方から下方へ通過して下流側空間25Bに流入する。下流側空間25Bに流入したガスは、ガス導出口27Bから導出され、下流側に送られる。
【0032】
インタークーラ2Aの熱交換器12Aとアフタークーラ2Bの熱交換器12Bでは、ガスが管巣15及びフィン16と接触することにより、管巣16内の冷却水と熱交換して冷却される。冷却されたガス中の液分が凝縮して、液滴となり落下し、ドレンとなる。
【0033】
図12及び
図13に最も明瞭に示すように、底壁5のインタークーラ2Aの下流側空間25Aを画定する部分に、局所的な窪みであるドレン回収部31Aが設けられている。また、底壁5のアフタークーラ2Bの下流側空間25Bを画定する部分に、局所的な窪みであるドレン回収部31Bが設けられている。
【0034】
図3に最も明瞭に示すように、ガスクーラ1の外観において、ケーシング4の底壁5からドレン回収部31A,31Bが局所的に突出している。
【0035】
図7及び
図10を併せて参照すると、インタークーラ2Aには、ケーシング4の端壁6Aを貫通してドレン回収部31Aと連通する開口である、ドレン排出口32Aが設けられている。底壁5のインタークーラ2Aの下流側空間25Aを画定する部分の上面は、ドレン回収部31Aに向かって下向きの傾斜θ1(第1の傾斜)を有する。そのため、熱交換器12Aでガスを冷却することによってガスから分離されたドレンは、底壁5の上面をドレン回収部31Aに向かって流れ、ドレン回収部31Aに補足されて溜まる。ドレン回収部31Aに溜まったドレンは、ドレン排出口32Aの下流のケーシング4の外部に設けられた図示しない電磁弁を開くことにより、ドレン排出口32Aからケーシング4の外部に排出される。
【0036】
図8及び
図11を併せて参照すると、アフタークーラ2Bにも、ケーシング4の端壁6Aを貫通してドレン回収部31Bと連通する開口である、ドレン排出口32Bが設けられている。底壁5のアフタークーラ2Bの下流側空間25Bを画定する部分の上面は、ドレン回収部31Bに向かって下向きの傾斜θ3(第1の傾斜)を有する。そのため、熱交換器12Bでガスを冷却することによってガスから分離されたドレンは、底壁5の上面をドレン回収部31Bに向かって流れ、ドレン回収部31Bに補足されて溜まる。ドレン回収部31Bに溜まったドレンは、ドレン排出口32Bの下流のケーシング4の外部に設けられた図示しない電磁弁を開くことにより、ドレン排出口32Aからケーシング4の外部に排出される。
【0037】
図6、
図10、
図12、及び
図13を参照すると、インタークーラ2Aのドレン回収部31Aは、周壁、つまり底壁34と4つの側壁35a,35b,35c,35dにより画定されている。端壁6A側に位置する側壁35aにドレン排出口32Aが開口している。ドレン回収部31Aの底壁34の上面はドレン排出口32Aに向かって下向きの傾斜θ2(第2の傾斜)を有する。傾斜θ2は前述した底壁5のインタークーラ2Aの下流側空間25Aを画定する部分の上面の下向きの傾斜θ1(第1の傾斜)よりも大きい。
【0038】
図7、
図11、
図12、及び
図13を参照すると、アフタークーラ2Bのドレン回収部31Bは、周壁、つまり底壁36と4つの側壁37a,37b,37c,37dにより画定されている。端壁6A側に位置する側壁37aにドレン排出口32Bが開口している。ドレン回収部31Bの底壁36の上面はドレン排出口32Aに向かって下向きの傾斜θ4(第2の傾斜)を有する。この傾斜θ4は前述した底壁5のアフタークーラ2Bの下流側空間25Bを画定する部分の上面の下向きの傾斜θ3よりも大きい。
【0039】
図9を参照すると、インタークーラ2Aでは、ドレン回収部31Aのドレン排出口32Aに向かう方向と直交する方向の寸法である幅W1は、下流側空間24Aの同じくドレン排出口32Aに向かう方向と直交する方向の寸法である幅W2の0.2倍以上0.5倍以下である。また、アフタークーラ2Bについても、ドレン回収部31Bの幅W3は、下流側空間24Bの幅W4の0.2倍以上0.5倍以下である。
【0040】
図10を参照すると、インタークーラ2Aでは、ドレン排出口32Aの上端の高さ位置H1は、ドレン回収部31Aの上端の高さ位置H2よりも低い。
図11を参照すると、アフタークーラ2Bについても、ドレン排出口32Bの上端の高さ位置H3は、ドレン回収部31Bの上端の高さ位置H4よりも低い。
【0041】
図6を参照すると、インタークーラ2Aでは、ドレン回収部31Aは、上昇流路29の下端と対向するように設けられている。
【0042】
ドレン回収部31A,31Bはケーシング4の底壁5に局所的に設けられた窪みであるので、ドレンの液量が比較的少ない場合であっても、ドレン回収部31A,31B内のドレンの液位が高く、ドレン排出口32A,32Bがドレンの液面よりも下方にある状態を維持できる。その結果、ドレン排出時にドレンを押し退けるような態様で、ガスがドレン排出口32A,32Bから漏出するのを防止ないし抑制できる。ドレン排出口32A,32Bからのガスの漏出を防止ないし抑制することで、ガスの漏出に起因するドレン排出口32A,32Bから排出可能なドレン量の減少を回避でき、ドレン排出性を向上できる。
【0043】
ドレン回収部31Aはケーシング4の底壁5に局所的に設けた窪みであり、ドレン回収部31Aの周壁、つまり底壁34と4つの側壁35a~35dは、下流側空間25Aを画定する周壁、つまりケーシング4の底壁5、端壁6A,6B、側壁7A、頂壁8、及び隔壁9と異なる壁として鋳造されている。同様に、ドレン回収部31Bはケーシング4の底壁5に局所的に設けた窪みであり、ドレン回収部31Bの周壁、つまり底壁36と4つの側壁37a~37dは、下流側空間25Bを画定する周壁、つまりケーシング4の底壁5、端壁6A,6B、側壁7B、頂壁8、及び隔壁9と異なる壁として鋳造されている。そのため、ドレン回収部31A,31Bの局所的な窪みを容易に形成することができ、上述のようにドレン排出性を向上できる。つまり、ドレン排出性を向上するために、部品点数の増加や構造の複雑化を招かない。
【0044】
前述のように、ドレン回収部31A,31Bの底壁34,36はドレン排出口32A,32Bに向かって下向きの傾斜θ2,θ4を有する。かかる下向きの傾斜θ2,θ4によって、ドレン回収部31A,31B内のドレンのドレン排出口32A,32Bに向かう流れが促進される。そのため、底壁34,36の傾斜によっても、ドレン排出口32A,32Bからのドレン排出性が向上する。
【0045】
前述のように、ドレン回収部31A,31Bの底壁34,36の下向きの傾斜θ2,θ4は、ケーシング4の底壁5の下向きの傾斜θ1,θ3よりも大きい。かかる傾斜の設定は、ドレン回収部31A,31B内でのドレン排出口32A,32Bへ向かうドレンの流速を、ケーシング4の底壁5上のドレンの流速よりも大きくする。その結果、ドレン回収部31A,31Bのケーシング4の底壁5の下向きの傾斜θ1,θ3でドレン回収部31A,31Bへドレンが収集され易くするとともに、ドレン回収部31A,31Bの底壁34,36の下向きの傾斜θ2,θ4により、ケーシング4の高さが大きくなることを抑止しながらドレン排出口32A,32Bをドレンで封じ易くなり、この点でもドレン排出性が向上する。
【0046】
前述のように、ドレン排出口32A,32Bの上端の高さ位置H1,H3は、ドレン回収部31A,31Bの高さ位置H2,H4よりも低い。そのため、ドレン回収部31A,31B内のドレンの液面が比較的低い場合でも、ドレン排出口32A,32Bはドレンに全体が浸かった状態で維持される。その結果、ドレン回収部31A,31B内のドレンの液面が比較的低い場合でもドレン排出口32A,32Bからのガスの漏出を防止ないし抑制でき、ドレン排出性が向上する。
【0047】
前述のように、インタークーラ2Aでは、ガス導出口27Aから出口ポート30へ上向きに延びる上昇流路29の下端と対向するように、局所的な窪みであるドレン回収部31Aが設けられている。そのため、上昇流路29を通って上昇するガス流とドレンの液面との距離を離すことができ、ガス流と随伴してドレンがインタークーラ2Aから漏出するのを防止ないし抑制できる。
【0048】
前述のように、ガスクーラ1の外観において、ケーシング4の底壁5からドレン回収部31A,31Bが局所的に突出している。従って、ドレン回収部31A,31Bを設けたことによるケーシング4の大型化とそれに伴う重量増加を、最小限に抑制できる。
【0049】
図10及び
図11に符号42A,42Bでそれぞれ示すように、ドレン排出口はケーシング4の底壁を貫通してドレン回収部31A,31Bと連通する開口であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ガスクーラ
2A インタークーラ
2B アフタークーラ
4 ケーシング
5 底壁
6A,6B 端壁
7A,7B 側壁
8 頂壁
9 隔壁
11A 第1空間
11B 第2空間
12A,12B 熱交換器
13 スペーサ
14 シールプレート
15 管巣
16 フィン
17A,17B,17C,17D 開口
18A,18B,18C,18D 取付部
19A,19B,19C,19D 取付部
21A,21B 流入ポート
22A,22B 流出ポート
23A,23B 支持リブ
24A,24B 上流側空間
25A,25B 下流側空間
26A,26B ガス導入口
27A,27B ガス導出口
28A,28B 入口ポート
29 上昇流路
30 出口ポート
31A,31B ドレン回収部
32A,32B ドレン排出口
34,36 底壁
35a,35b,35c,35d,37a,37b,37c,37d 側壁
42A,42B ドレン排出口