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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20241029BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021138689
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032516
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新関 彰一
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220662(JP,A)
【文献】特開2007-059781(JP,A)
【文献】特表2010-537400(JP,A)
【文献】特開2015-220394(JP,A)
【文献】特開2007-184319(JP,A)
【文献】特開2006-186297(JP,A)
【文献】実開昭53-010288(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0145237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、及び前記基材の一方側の面に設けられた実装電極を有する実装基板と、
前記実装電極に実装された発光素子と
前記実装基板における前記発光素子が配された側に位置する集光部材と、を備え、
前記実装電極は、平板状の電極本体部と、前記電極本体部から前記基材と反対側に突出するよう形成された電極突出部とを有し、
前記発光素子は、前記電極突出部に実装されており、
前記集光部材は、前記発光素子が発する光を、前記発光素子における前記実装基板と反対側に向けて集光し、
前記集光部材は、導電性を有するリフレクタであり、
前記リフレクタは、前記発光素子が発する光を、前記発光素子における前記実装基板と反対側に向けて集光する反射面を有し、
前記電極突出部における前記発光素子側の面は、前記反射面における前記実装基板側の端部よりも、前記基材に近い側に位置している、
発光装置。
【請求項2】
前記電極突出部の厚みは、前記電極本体部の厚みよりも大きい、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子の少なくとも一部は、前記反射面の内周側の領域に配されている、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子は、前記発光素子が発する光を透過させる透明基板を有し、
前記透明基板は、その厚み方向の半分以上の領域が、前記反射面の内周側の領域に配されている、
請求項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記基材の一方側の面には、一対の前記実装電極が配されており、
前記一対の実装電極の前記電極突出部は、並んで配されており、
前記実装基板に対する前記発光素子側から見たとき、前記電極突出部の外形は、前記電極本体部の外形よりも内側に収まっている、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線層を有する基体と、配線層にフリップチップ実装された発光素子とを有する発光装置が開示されている。発光素子が配線層にフリップチップされた発光装置においては、発光素子のp側電極及びn側電極が発光素子の同じ側に形成されているとともに、発光素子から発される光が、発光素子におけるp側電極及びn側電極が形成された側と反対側に取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-127056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発光装置においては、発光素子から発される光を、発光装置の外部に取り出しやすくし、光出力を向上させる観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、光出力を向上させることができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、基材、及び前記基材の一方側の面に設けられた実装電極を有する実装基板と、前記実装電極に実装された発光素子と、前記実装基板における前記発光素子が配された側に位置する集光部材と、を備え、前記実装電極は、平板状の電極本体部と、前記電極本体部から前記基材と反対側に突出するよう形成された電極突出部とを有し、前記発光素子は、前記電極突出部に実装されており、前記集光部材は、前記発光素子が発する光を、前記発光素子における前記実装基板と反対側に向けて集光し、前記集光部材は、導電性を有するリフレクタであり、前記リフレクタは、前記発光素子が発する光を、前記発光素子における前記実装基板と反対側に向けて集光する反射面を有し、前記電極突出部における前記発光素子側の面は、前記反射面における前記実装基板側の端部よりも、前記基材に近い側に位置している、発光装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光出力を向上させることができる発光装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における、発光装置の断面図である。
図2】第1の実施の形態における、発光装置の平面図である。
図3図1の一部を拡大した図である。
図4】第1の実施の形態における、実装基板及び発光素子の断面図である。
図5】第1の実施の形態における、実装基板及び発光素子の平面図である。
図6】第1の実施の形態における、実装基板の平面図である。
図7】第1の実施の形態における、実装基板の斜視図である。
図8】第1の実施の形態における、リフレクタが、発光素子から発される光を反射する様子を模式的に示す発光装置の断面図である。
図9】比較形態における、リフレクタが、発光素子から発される光を反射する様子を模式的に示す発光装置の断面図である。
図10】第2の実施の形態における、実装基板の平面図である。
図11】第3の実施の形態における、実装基板及び発光素子の断面図である。
図12】第4の実施の形態における、実装基板及び発光素子の断面図である。
図13】第5の実施の形態における、発光装置の断面図である。
図14】第6の実施の形態における、発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図8を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0010】
(発光装置1)
図1は、本形態における発光装置1の断面図である。図2は、本形態における発光装置1の平面図である。図3は、図1の一部を拡大した図である。
【0011】
本形態の発光装置1は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)又は半導体レーザ(LD:Laser Diode)を構成するものとすることができる。本形態において、発光装置1は、深紫外光を発する深紫外LEDを構成するものであり、例えば殺菌(例えば空気浄化、浄水等)、医療(例えば光線治療、計測・分析等)、UVキュアリング等の分野において用いることができる。
【0012】
本形態の発光装置1は、載置基板2と、載置基板2上に配された実装基板3と、実装基板3にフリップチップ実装された発光素子4と、発光素子4から発される光を集光する集光部材としてのリフレクタ5と、リフレクタ5を取り付けるリフレクタマウント6とを備える。以後、実装基板3と発光素子4との重なり方向を上下方向という。また、上下方向の一方側であって実装基板3に対して発光素子4が配された側を上側とし、その反対側を下側とする。なお、上下の表現は便宜的なものであり、例えば発光装置1の使用時における、鉛直方向に対する発光装置1の姿勢を限定するものではない。
【0013】
(載置基板2)
載置基板2には、実装基板3及びリフレクタマウント6が載置されている。なお、図示は省略するが、載置基板2に、実装基板3及び発光素子4の熱を放熱するためのヒートシンクが接続されてもよい。
【0014】
(実装基板3)
図4は、実装基板3及び発光素子4の断面図である。図5は、実装基板3及び発光素子4の平面図である。図6は、実装基板3の平面図である。図7は、実装基板3の斜視図である。
【0015】
実装基板3は、サブマウントとも称されるものであり、基材31と導電部32とを備える。基材31は、平板状に形成されており、電気的絶縁性を有する。基材31は、例えば窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)などからなるセラミック基板とすることができる。
【0016】
図3及び図4に示すごとく、導電部32は、基材31の下面において互いに離隔して配されたp側下面電極321及びn側下面電極322と、基材31の上面において互いに離隔して配されたp側実装電極323及びn側実装電極324とを有する。p側下面電極321は、p側実装電極323と電気的に接続されており、n側下面電極322は、n側実装電極324と電気的に接続されている。p側下面電極321とp側実装電極323との電気接続、及び、n側下面電極322とn側実装電極324との電気接続は、例えば基材31に形成された図示しないビアホールを介して行うことができる。以後、p側実装電極323とn側実装電極324とを特に区別しない場合は、「実装電極323,324」という。また、p側実装電極323とn側実装電極324との並び方向(例えば図5及び図6の左右方向)を電極並び方向という。また、上下方向と電極並び方向とのそれぞれに直交する方向(例えば図5及び図6の上下方向)を、縦方向という。
【0017】
実装電極323,324は、平板状の電極本体部325と、電極本体部325から上側に突出するよう形成された電極突出部326とを有する。図5乃至図7に示すごとく、p側実装電極323の電極本体部325と、n側実装電極324の電極本体部325とは、それぞれE字状を呈しているとともに、互いに電極並び方向に対称となる姿勢で配されている。電極本体部325は、縦方向に長尺な縦部325aと、縦部325aの両端のそれぞれから電極並び方向の一方側に延設された一対の端延設部325bと、縦部325aの中央から端延設部325bが延設された側と同じ側に延設された中央延設部325cとを有する。p側実装電極323の電極本体部325において縦部325aから端延設部325b及び中央延設部325cが延設された方向と、n側実装電極324の電極本体部325において縦部325aから端延設部325b及び中央延設部325cが延設された方向とは、互いに向かい合う方向である。p側実装電極323の電極本体部325とn側実装電極324の電極本体部325とは、互いの端延設部325b同士が電極並び方向に並んでいるとともに、互いの中央延設部325c同士が電極並び方向に並んでいる。
【0018】
中央延設部325cは、縦部325aに隣接する位置に形成された幅狭部325dと、幅狭部325dにおける縦部325aと反対側に形成されるとともに幅狭部325dよりも縦方向の両側に突出した幅広部325eとを有する。そして、幅広部325eの全体から上側にまっすぐ延設するよう、電極突出部326が形成されている。
【0019】
電極突出部326は、縦方向に長尺な直方体状に形成されている。図4に示すごとく、電極突出部326の厚みT1は、電極本体部325の厚みT2よりも大きい。本形態において、電極突出部326の厚みT1は、電極本体部325の厚みT2の2倍以上の厚みを有する。図6に示すごとく、p側実装電極323の電極突出部326とn側実装電極324との電極突出部326とは、互いに縦方向の一方側の端面の縦方向位置が揃っており、かつ、互いに縦方向の他方側の端面の縦方向位置が揃っている。
【0020】
実装電極323,324は、例えば基材31の表面にめっきを施すことによって形成することができる。この場合、例えば、まず電極本体部325がめっきにより形成され、次いで、電極本体部325の幅広部325eの上側のみにめっきを施すことで電極突出部326が形成される。これにより、電極本体部325と電極突出部326とが区切りなく一体に形成される。図示は省略するが、実装電極323,324は、複数層で構成されていてもよい。この場合、例えば、実装電極323,324の母材を導電性の高い銅等によって形成し、母材の表面を、腐食等を抑制するための少なくとも1層の金属層で被覆した構成を採用することができる。
【0021】
図4に示すごとく、p側実装電極323の電極突出部326の上面に発光素子4のp側パッド電極43が電気的に接続されており、n側実装電極324の電極突出部326の上面に発光素子4のn側パッド電極44が電気的に接続されている。図5に示すごとく、実装基板3及び発光素子4を上側から見たとき、発光素子4は、当該発光素子4の外形が、幅広部325e及び電極突出部326の外形に沿うよう配されている。このように、発光素子4を電極突出部326上に実装する際、幅広部325e及び電極突出部326の外形に発光素子4の外形を合わせることにより、発光素子4と一対の電極突出部326との間の位置決めが行いやすくなる。
【0022】
(発光素子4)
発光素子4は、紫外光、可視光又は赤外線を発するものとすることができる。本形態において、発光素子4は、中心波長が200nm以上365nm以下の深紫外光を発することができるものであり、発光装置1は、深紫外LEDである。
【0023】
発光素子4は、透明基板41と、透明基板41上に形成された半導体積層構造42と、実装電極323,324に接続されるp側パッド電極43及びn側パッド電極44とを備える。なお、便宜上、図1においては、透明基板(図3及び図4の符号41参照)及び半導体積層構造(図3及び図4の符号42参照)の外形を表しており、これらの境界は表していない。
【0024】
透明基板41は、例えばサファイア(Al)又は窒化アルミニウム(AlN)からなり、半導体積層構造42の発光層が発する光(本形態においては深紫外光)を透過する性質を有する。
【0025】
そして、半導体積層構造42は、透明基板41上にエピタキシャル成長され、透明基板41側から順にn型半導体層、発光層、及びp型半導体層を備える。なお、図3及び図4においては、半導体積層構造42の外形を模式的に表しており、半導体積層構造42の各層の境界の図示は省略している。エピタキシャル成長は、有機金属化学気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、分子線エピタキシ法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)、ハイドライド気相エピタキシ法(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)等のエピタキシャル成長法を用いることができる。発光層においては、n型半導体層から供給される電子と、p型半導体層から供給される正孔とが再結合し、発光する。透明基板41、及びその上に形成された半導体積層構造42の合計の厚みは、透明基板41の厚みが大部分を占めている。
【0026】
p側パッド電極43は、p側半導体層における透明基板41と反対側に接続されている。n側パッド電極44は、n側半導体層における透明基板41と反対側に接続されている。図示は省略するが、発光層及びp型半導体層の一部は、n型半導体層を透明基板41と反対側に露出させるべく除去されており、このようにしてできたn型半導体層の露出面にn側パッド電極44が接続されている。
【0027】
発光素子4は、透明基板41が実装基板3と反対側に位置する姿勢で、実装基板3にフリップチップ実装されている。p側パッド電極43がp側実装電極323の電極突出部326に接続されているとともに、n側パッド電極44がn側実装電極324の電極突出部326に接続されている。発光素子4がサブマウント(実装基板3)に搭載されたものは、チップオンサブマウント(CoS:chip on submount)とも称される。発光層において生じた光は、主に発光素子4の透明基板41から上側に取り出される。そして、図1乃至図3に示すごとく、発光装置1には、発光素子4から取り出される光を上側に向けて集光するリフレクタ5が設けられている。
【0028】
(リフレクタ5)
図8は、リフレクタ5が、発光素子4から発される光を反射する様子を模式的に示す発光装置1の断面図である。図8においては、光の進行経路の一例を一点鎖線にて示している。リフレクタ5は、実装基板3の上側に位置するとともに発光素子4が発する光を上側に向けて集光する集光部材である。リフレクタ5は、発光素子4が発する光を、上側(斜め上側を含む。)に向けて反射する反射面51を有する。リフレクタ5は、アルミニウム等のような、深紫外光を反射することができるともに導電性を有する材料からなる。図3に示すごとく、本形態のリフレクタ5は、電極本体部325との短絡を抑制すべく、電極本体部325から上側に離れた位置に配される。
【0029】
反射面51は、上側の位置程、内径が大きくなる形状を有する。図1及び図8等においては、反射面51が曲面状である例を示しているが、これに限られず例えばテーパ状であってもよい。図2に示すごとく、発光装置1を上側から見たとき、反射面51の内側の領域に、発光素子4及び一対の電極突出部326が収まっている。図3に示すごとく、反射面51の下端部511の位置は、発光素子4の上端の位置(すなわち透明基板41の上面位置)よりも下側に位置している。すなわち、発光素子4の少なくとも一部が、反射面51の内周側の領域に配されている。本形態において、発光素子4は、上下方向における透明基板41の半分以上の領域が、反射面51の内周側の領域に配されている。また、反射面51の下端部511は、電極突出部326の上面よりも上側の位置にある。図1に示すごとく、リフレクタ5は、リフレクタマウント6を介して載置基板2に取り付けられている。
【0030】
(リフレクタマウント6)
リフレクタマウント6には、上下方向に貫通した座繰り穴61が形成されている。座繰り穴61は、上側部分の内径が、下側部分の内径よりも大きくなる段状に形成されており、その上側からリフレクタ5が嵌合されている。座繰り穴61の内側に、実装基板3及び発光素子4が配置されている。
【0031】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
本形態において、実装電極323,324は、平板状の電極本体部325、及び電極本体部325から発光素子4側に突出するよう形成された電極突出部326を有する。そして、発光素子4は、電極突出部326に実装されている。それゆえ、発光素子4の位置を、電極本体部325よりも上側の位置とすることができる。これにより、発光装置1において、発光素子4に対して実装基板3が配された側と反対側(すなわち上側)から取り出される光の出力を向上させることができる。すなわち、発光素子4を、光が取り出される側に近付けることができ、発光装置1の発光出力が向上する。
【0032】
また、電極突出部326の厚みT1は、電極本体部325の厚みT2よりも大きい。それゆえ、電極突出部326に実装される発光素子4の位置を、より上側の位置とすることができる。その結果、発光装置1において、上側から取り出される光の出力を一層向上させることができる。
【0033】
また、本形態の発光装置1は、実装基板3における発光素子4が配された側(すなわち上側)に位置する集光部材(本形態においてはリフレクタ5)を備える。集光部材は、発光素子4が発する光を、発光素子4における実装基板3と反対側(すなわち上側)に向けて集光するものである。このような集光部材を備えた発光装置1においては、上側から取り出される光を増やすことができるところ、前述のごとく電極突出部326に発光素子4を実装することにより、上側から取り出される光をより一層増やすことができ、発光装置1の発光出力を一層向上させることができる。
【0034】
また、集光部材は、導電性を有するリフレクタ5である。それゆえ、リフレクタ5は、実装基板3の実装電極323,324との短絡を避けるために、実装基板3から上側に離れた位置に配される。そのため、図9に示すごとく、実装電極323,324に本形態の電極突出部がない場合は、発光素子4の位置がリフレクタ5に対してより下側の位置になりやすい。そのため、この場合は、符号Lの矢印にして示すように、リフレクタ5の下側に抜けて発光装置1から取り出されなくなる光が多くなりやすい。一方、本形態においては、図8に示すごとく、実装電極323,324に電極突出部326が設けられており、電極突出部326上に発光素子4が実装されているため、発光素子4の位置をより上側にすることができ、リフレクタ5から上側に取り出される光の出力を向上させることができる。
【0035】
また、発光素子4の少なくとも一部は、反射面51の内側の領域に配されている。つまり、発光素子4の上面は、反射面51の下端よりも上側に位置している。それゆえ、リフレクタ5から上側に取り出される光の出力をより向上させることができる。
【0036】
また、発光素子4の透明基板41は、その厚み方向(すなわち上下方向)の半分以上の領域が、反射面51の内周側の領域に配されている。発光素子4から発される光の多くは、透明基板41の表面から発されるところ、本形態によればリフレクタ5から上側に取り出される光の出力を一層増やすことができる。
【0037】
また、電極突出部326の上面は、反射面51の下端部511よりも、下側に位置している。それゆえ、例えば発光装置1の組み付け時等において、電極突出部326とリフレクタ5とが互いに干渉することを抑制することができる。
【0038】
以上のごとく、本形態によれば、光出力を向上させることができる発光装置を提供することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
図10は、本形態における実装基板3の平面図である。
本形態は、第1の実施の形態と基本構造を同様にしつつ、電極突出部326の構成を変更した形態である。本形態においては、実装基板3を上側から見たとき、電極突出部326の外形が電極本体部325の外形よりも内側に収まるよう構成されている。実装基板3を上側から見たとき、電極突出部326は、幅広部325eの外形よりも一回り小さく形成されている。発光素子4は、上側から見たとき、発光素子4の外形が幅広部325eの外形に沿うよう配されている。
【0040】
その他は、第1の実施の形態と同様である。
なお、第2の実施の形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0041】
(第2の実施の形態の作用及び効果)
本形態においては、上側から見たとき、電極突出部326の外形が、電極本体部325の外形よりも内側に収まっている。それゆえ、一対の電極突出部326間の電気的絶縁性を確保しやすい。すなわち、例えば製造誤差により、一対の電極突出部326同士が過度に近接して形成され、一対の電極突出部326同士の間の電気的絶縁性が低下することを抑制することができる。
その他、第1の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0042】
[第3の実施の形態]
図11は、本形態における実装基板3及び発光素子4の断面図である。
本形態は、基本構成を第1の実施の形態と同様としつつ、電極本体部325と電極突出部326とを別体にて構成した形態である。電極本体部325と電極突出部326とは、互いに接合されている。
その他は、第1の実施の形態と同様である。
【0043】
(第3の実施の形態の作用及び効果)
本形態においても、第1の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0044】
[第4の実施の形態]
図12は、本形態における実装基板3及び発光素子4の断面図である。
本形態は、第3の実施の形態と同様に電極突出部326を電極本体部325とは別体にしつつ、電極突出部326の構成を変更した形態である。本形態の電極突出部326は、実装基板3のような基板状に形成されており、平板状の絶縁部326aと、絶縁部326aの下面において互いに離隔して配された一対の第1電極326bと、絶縁部326aの上面において互いに離隔して配された一対の第2電極326cとを備える。一対の第1電極326bのそれぞれは、互いに異なる電極本体部325に接続されている。また、一対の第1電極326bのそれぞれは、互いに異なる第2電極326cに、絶縁部326a内に形成された図示しないビアホール等を介して接続されている。一対の第2電極326cは、p側パッド電極43又はn側パッド電極44に接続されている。
その他は、第3の実施の形態と同様である。
【0045】
(第4の実施の形態の作用及び効果)
本形態においては、一対の電極本体部325と、発光素子4のp側パッド電極43及びn側パッド電極44との接続を、基板状に形成した一部材の電極突出部326を介して容易に行うことができる。
その他、第3の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0046】
[第5の実施の形態]
図13は、本形態の発光装置1の断面図である。
本形態の発光装置1は、第1の実施の形態と同様の実装基板3及び発光素子4を有するとともに、発光素子4を封止する封止部材7を更に備える。封止部材7は、発光素子4を封止することにより発光素子4を保護している。封止部材7は、発光素子4から発される光を透過する材料からなる。封止部材7は、透明基板41の屈折率と空気の屈折率との間の屈折率を有することが、光を外部に取り出しやすくする観点から好ましい。また、発光素子4が深紫外光を発するような場合は、封止部材7は、深紫外光に対して劣化し難い材料(例えばシリコーン樹脂)から構成することが好ましい。本形態の発光装置1においては、第1の実施の形態におけるリフレクタ(図1の符号5)及びリフレクタマウント(図1の符号6)は設けられていない。封止部材7は、上側に膨らんだ半球形状を有しており、第1の実施の形態におけるリフレクタと同様に、発光素子4から発された光を上側に向けて集光する集光部材である。なお、封止部材7は半球形状に限るものではなく、発光素子4から発された光を上側に向けて集光することができれば、他の形状を採用することも可能である。
【0047】
(第5の実施の形態の作用及び効果)
本形態のように、リフレクタを設けずに、集光機能を有する封止部材7を設ける構成であっても、電極突出部326上に発光素子4を実装することにより、発光素子4から発される光が実装基板3に遮られることを抑制でき、発光装置1における光の取出し効率を向上させることができる。
その他、第1の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0048】
[第6の実施の形態]
図14は、本形態の発光装置1の断面図である。
本形態は、気密封止された空間に発光素子4が配された、気密封止型の発光装置1である。本形態の実装基板3の基材31は、上側に開口した箱状を呈している。すなわち、基材31は、実装電極323,324が形成された矩形状の底部311と、底部311の周縁から上側に立設された矩形筒状の側部312とを有し、側部312の上側は開口している。側部312の開口部は、蓋体8によって閉塞されている。蓋体8と側部312の上面とは、接着層11を介して接着されており、これによって基材31と蓋体8とによって囲まれる空間の気密性が確保されている。蓋体8は、深紫外光を透過する材料で構成されており、例えば、石英(SiO)ガラスからなる。実装基板3及び発光素子4の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0049】
(第6の実施の形態の作用及び効果)
本形態のような気密封止型の発光装置1であっても、電極突出部326上に発光素子4を実装することにより、発光素子4を、光の取出し口となる蓋体8に近付けることができ、蓋体8から取り出される光を増やすことができる。
その他、第1の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0050】
なお、本形態の発光装置1の蓋体8及び接着層11を除いたような構成を採用することも可能である。
【0051】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0052】
[1]本発明の第1の実施態様は、基材(31)、及び前記基材(31)の一方側の面に設けられた実装電極(323,324)を有する実装基板(3)と、前記実装電極(323,324)に実装された発光素子(4)とを備え、前記実装電極(323,324)は、平板状の電極本体部(325)と、前記電極本体部(325)から前記基材(31)と反対側に突出するよう形成された電極突出部(326)とを有し、前記発光素子(4)は、前記電極突出部(326)に実装されている、発光装置(1)である。
これにより、発光装置において、発光素子に対して実装基板が配された側と反対側から取り出される光の出力を向上させることができる。
【0053】
[2]本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記電極突出部(326)の厚み(T1)が、前記電極本体部(325)の厚み(T2)よりも大きいことである。
これにより、発光素子に対して実装基板が配された側と反対側から取り出される光の出力を一層向上させることができる。
【0054】
[3]本発明の第3の実施態様は、第1又は第2の実施態様において、前記実装基板(3)における前記発光素子(4)が配された側に位置する集光部材(5,7)を更に備え、前記集光部材(5,7)は、前記発光素子(4)が発する光を、前記発光素子(4)における前記実装基板(3)と反対側に向けて集光することである。
これにより、発光装置の発光出力を一層向上させることができる。
【0055】
[4]本発明の第4の実施態様は、第3の実施態様において、前記集光部材(5,7)は、導電性を有するリフレクタ(5)であり、前記リフレクタ(5)が、前記発光素子(4)が発する光を、前記発光素子(4)における前記実装基板(3)と反対側に向けて集光する反射面(51)を有することである。
これにより、リフレクタから取り出される光の出力を向上させることができる。
【0056】
[5]本発明の第5の実施態様は、第4の実施態様において、前記発光素子(4)の少なくとも一部が、前記反射面(51)の内周側の領域に配されていることである。
これにより、リフレクタから取り出される光の出力をより向上させることができる。
【0057】
[6]本発明の第6の実施態様は、第5の実施態様において、前記発光素子(4)が、前記発光素子(4)が発する光を透過させる透明基板(41)を有し、前記透明基板(41)におけるその厚み方向の半分以上の領域が、前記反射面(51)の内周側の領域に配されていることである。
これにより、リフレクタから取り出される光の出力をより一層向上させることができる。
【0058】
[7]本発明の第7の実施態様は、第4乃至第6のいずれか1つの実施態様において、前記電極突出部(326)における前記発光素子(4)側の面が、前記反射面(51)における前記実装基板(3)側の端部(511)よりも、前記基材(31)に近い側に位置していることである。
これにより、電極突出部とリフレクタとが互いに干渉することを抑制することができる。
【0059】
[8]本発明の第8の実施態様は、第1乃至第7のいずれか1つの実施態様において、前記基材(31)の一方側の面には、一対の前記実装電極(323,324)が配されており、前記一対の実装電極(323,324)の前記電極突出部(326)は、並んで配されており、前記実装基板(3)に対する前記発光素子(4)側から見たとき、前記電極突出部(326)の外形は、前記電極本体部(325)の外形よりも内側に収まっていることである。
これにより、一対の電極突出部間の電気的絶縁性を確保しやすい。
【0060】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…発光装置
3…実装基板
31…基材
323…p側実装電極
324…n側実装電極
325…電極本体部
326…電極突出部
4…発光素子
41…透明基板
5…リフレクタ(集光部材)
51…反射面
511…反射面の下端部
7…封止部材(集光部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14