(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】超吸収体の製造の方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20241029BHJP
C08F 6/04 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C08J3/12 A
C08F6/04
(21)【出願番号】P 2021517231
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2019074782
(87)【国際公開番号】W WO2020064411
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】カロ,レネ
(72)【発明者】
【氏名】ファンク,ルーディガー
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ファイファー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ポセミアーズ,カール
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,ユールゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスマンテル,マティアス
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-528909(JP,A)
【文献】国際公開第2012/144595(WO,A1)
【文献】特開平10-250821(JP,A)
【文献】特表2015-521678(JP,A)
【文献】特表2018-514630(JP,A)
【文献】特表2010-531366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J
C08F
B65G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)酸基を有し、少なくとも部分的に中和されている、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、及び
c)少なくとも1種の開始剤
を含むモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによって水性ポリマーゲルを調製することを含む、超吸収体粒子を製造する方法であって、
得られた水性ポリマーゲルを、空気循環ベルト乾燥機中で乾燥させるステップ、粉砕するステップ、及び
分級するステップを含み、
水性ポリマーゲルが回転振動コンベヤーベルトによって空気循環ベルト乾燥機中に導入され、回転振動コンベヤーベルトの下側が少なくとも1つのストリッピング装置によって水性ポリマーゲルの付着から免れ、回転振動コンベヤーベルトの下側に少なくとも1つの噴霧ノズルによって2~20kg/時の水が噴霧され
、
前記少なくとも1つの噴霧ノズルは、少なくとも1つの二相ノズルであり、噴霧ガスの水に対する重量比が、2~20であり、
前記少なくとも1つの噴霧ノズルは、回転振動コンベヤーベルトの走行方向においてストリッピング装置を越えて存在する、
方法。
【請求項2】
回転振動コンベヤーベルトの放出端部からのストリッピング装置の距離が回転振動コンベヤーベルトの長さの20%未満であり、回転振動コンベヤーベルトの長さが放出端部からの旋回軸の距離である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
回転振動コンベヤーベルトの下側に取り付けられたストリッピング装置が、スクレーパである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
スクレーパが、回転振動コンベヤーベルトの走行方向への水平カウンターに対して5°~45°傾いている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
回転振動コンベヤーベルトの下側からのスクレーパの距離が、0.1~5mmである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
回転振動コンベヤーベルトの放出端部からの少なくとも1つの噴霧ノズルの距離が回転振動コンベヤーベルトの長さの1%~50%であり、回転振動コンベヤーベルトの長さが放出端部からの旋回軸の距離である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
回転振動コンベヤーベルトからの噴霧ノズルの距離が、5~50cmである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
水が、少なくとも2つの二相ノズルによって回転振動コンベヤーベルトの下側に噴霧される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
回転振動コンベヤーベルトが2~10mの長さを有し、回転振動コンベヤーベルトの長さが放出端部からの旋回軸の距離である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
回転振動コンベヤーベルトの表面が、23℃にて、少なくとも60°の水に対する接触角を有する、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
得られた水性ポリマーゲルを熱的表面後架橋するステップを更に含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによって超吸収体粒子を
製造する方法であって、得られた水性ポリマーゲルを空気循環ベルト乾燥機(umluftbandt
rockner)中で乾燥させるステップ、粉砕するステップ、分級するステップ、及び任意選択
で熱的表面後架橋するステップを含み、水性ポリマーゲルが振動コンベヤーベルト(oszil
lierenden foerderbandes)によって空気循環ベルト乾燥機中に導入され、回転コンベヤー
ベルト(ruecklaufenden foerderbandes)の下側が少なくとも1つのストリッピング装置(ab
streifvorrichtung)によってポリマーゲルの付着から免れ、回転コンベヤーベルトの下側
に水が噴霧される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は、おむつ、タンポン、衛生ナプキン及び他の衛生物品を製造するのに使用されるが、ガーデニング市場において保水剤としても使用される。超吸収体はまた、水吸収性ポリマーとも称される。
【0003】
超吸収体の製造は、論文「Modern Superabsorbent Polymer Technology」、F. L. Buchholz及びA. T. Graham、Wiley-VCH、1998年、71~103頁に記載されている。
【0004】
超吸収体の性質は、例えば、使用される架橋剤の量を介して調整することができる。架橋剤の量を増やすと、遠心保持容量(CRC)は低下し、21.0g/cm2(AUL0.3psi)の圧力下での吸収率は最大値を通過する。
【0005】
性能特性、例えば49.2g/cm2 (AUL0.7psi)の圧力下でのゲルベッド透過率(GBP)及び吸収率を改善するために、超吸収体粒子は、一般に、表面後架橋される。これは、粒子表面の架橋のレベルを上げ、このことは49.2g/cm2 (AUL0.7psi)の圧力下での吸収率と、遠心保持容量(CRC)とを少なくとも部分的に分離することができる。この表面後架橋は、ゲル水性相中で実施することができる。しかしながら、好ましくは、乾燥させ、粉砕し、篩ったポリマー粒子(ベースポリマー)は、表面後架橋剤で表面コーティングされ、熱的表面後架橋される。この目的に好適な架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボン酸基と共有結合を形成することができる化合物である。
【0006】
WO2008/087114 A1、WO2010/139680 A2及びEP2 700 667 A1は、振動コンベヤーベルトによる、空気循環ベルト乾燥機の搬送ベルトへの水性ポリマーゲルのロードについて記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2008/087114 A1
【文献】WO2010/139680 A2
【文献】EP2 700 667 A1
【非特許文献】
【0008】
【文献】論文「Modern Superabsorbent Polymer Technology」、F. L. Buchholz及びA. T. Graham、Wiley-VCH、1998年、71~103頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、超吸収体を製造するための改善された方法、特に、使用される振動コンベヤーベルトの単純化された洗浄、及びコンベヤーベルト自体に対するより低い機械的ストレスを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
a)酸基を有し、少なくとも部分的に中和されている、少なくとも1種のエチレン性不飽和
モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意選択で、a)に記載されるモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノ
マー、及び
e)任意選択で、1種以上の水溶性ポリマー
を含むモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによって超吸収体を製造する方
法であって、
得られた水性ポリマーゲルを空気循環ベルト乾燥機中で乾燥させるステップ、粉砕するス
テップ、分級するステップ、及び任意選択で熱的表面後架橋するステップを含み、
水性ポリマーゲルが振動コンベヤーベルトによって空気循環ベルト乾燥機中に導入され、
回転コンベヤーベルトの下側が少なくとも1つのストリッピング装置によってポリマーゲ
ルの付着から免れ、回転コンベヤーベルトの下側に水が噴霧される、
方法によって達成された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
回転コンベヤーベルトの下側はコンベヤーベルトの外側であり、これは、曲がった後にポリマーゲルが再び投与される。回転コンベヤーベルトの上側はコンベヤーベルトの内側であり、これはポリマーゲルと接触しないことになっている。
【0012】
振動コンベヤーベルトの放出端部からのストリッピング装置の距離は、好ましくは振動コンベヤーベルトの長さの20%未満、より好ましくは振動コンベヤーベルトの長さの10%未満、最も好ましくは振動コンベヤーベルトの長さの5%未満であり、この振動コンベヤーベルトの長さは、放出端部からの旋回軸(schwenkachse)の距離である。
【0013】
ストリッピング装置は、いかなる限定にも供されない。好適な例は、走行方向に横断して配置されたブラシである。スクレーパを使用することもまた可能である。スクレーパは、搬送方向に横断して配置された、非可撓性材料で作製されたストリッピング装置である。好適な非可撓性材料の例は、ポリテトラフルオロエチレンである。コンベヤーベルトへの損傷を回避するために、スクレーパは、コンベヤーベルトとの直接の接触(ある場合)が最小限であるべきである。スクレーパは、回転コンベヤーベルトの走行方向に対して傾いているべきである。これは、付着しているポリマーゲルの剥離を促進し、コンベヤーベルトとスクレーパとの間のバックアップを防ぐ。剥ぎ取られたポリマーゲルは、典型的には、空気循環ベルト乾燥機のコンベヤーベルト上に落ちる。
【0014】
スクレーパは、コンベヤーベルトの走行方向への水平カウンターに対して、好ましくは5°~45°、より好ましくは10°~35°、きわめて特定すると15°~25°傾いている。回転コンベヤーベルトの下側からのスクレーパの距離は、好ましくは0.1~5mm、より好ましくは0.2~2mm、最も好ましくは0.5~1.5mmである。
【0015】
振動コンベヤーベルトの放出端部からの噴霧ノズルの距離は、好ましくは振動コンベヤーベルトの長さの1%~50%、より好ましくは振動コンベヤーベルトの長さの2%~30%、最も好ましくは振動コンベヤーベルトの長さの3%~10%であり、この振動コンベヤーベルトの長さは、放出端部からの旋回軸の距離である。
【0016】
コンベヤーベルトからの噴霧ノズルの距離は、好ましくは5~50cm、より好ましくは10~30cm、最も好ましくは15~25cmである。
【0017】
液体は、好ましくは、少なくとも1つの二相ノズル(zweistoffduese)によって、より好ましくは少なくとも2つの二相ノズルによって噴霧される。
【0018】
二相ノズルは、微細な液滴又は噴霧ミストへの霧化を可能にする。採用される霧化の形態は、円形の或いは楕円形の中実又は中空の円錐体である。二相ノズルは、外部混合又は内部混合を伴って設定されてもよい。外部混合二相ノズルの場合では、液体及び噴霧ガスは、別々のオリフィスを通ってノズルヘッドから出る。それらは、噴霧ノズルから出た後にのみ、噴霧ジェット中で混合される。これは、液滴径分布及び広範囲にわたるスループットの独立した制御を可能にする。噴霧ノズルの噴霧円錐体は、エアキャップ設定によって調整することができる。内部混合二相ノズルの場合では、液体及び噴霧ガスは、噴霧ノズル内で混合され、その二相性の混合物が、同じ穴を通って(又は複数の平行する穴を通って)ノズルヘッドから出る。内部混合二相ノズルの場合では、定量的な比及び圧力の条件が、外部混合噴霧ノズルの場合よりも高度に連動する。したがって、スループットにおける小さい変化が、液滴径分布における変化へと至らせる。所望のスループットへの調整は、ノズルの穴の、選択された横断面により達成される。
【0019】
有用な噴霧ガスの例は、0.5バール以上における圧縮空気である。液滴径は、ノズルの幾何学的形状、ノズルの種類、水の質量流量と噴霧ガスの質量流量との比、並びにガス及び水の圧力によって、個々に調整することができる。
【0020】
噴霧に使用される水の量は、好ましくは2~20kg/時、より好ましくは6~16kg/時、最も好ましくは8~12kg/時である。
【0021】
噴霧ガスの水に対する重量比は、好ましくは2~20、より好ましくは6~16、最も好ましくは8~12である。少なすぎる水が使用される場合、コンベヤーベルトは不適切に濡らされるにすぎない。多すぎる水が使用される場合、空気循環ベルト乾燥機の多孔板上に過剰な水が滴下し、そこでの閉塞につながる。二相ノズルの使用は、付加的に、より大きい液滴を防止して水の分布を改善させる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、コンベヤーベルトの走行方向において、ストリップ装置を超えて少なくとも1つの噴霧ノズルがある。これは、水が、ストリッピング装置から離れて、空気循環ベルト乾燥機のコンベヤーベルト上に滴下するのを防ぐ。
【0023】
本発明の更に好ましい実施形態では、空気循環ベルト乾燥機のコンベヤーベルトの上流に、少なくとも1つの噴霧ノズルがある。これもまた、水が、空気循環ベルト乾燥機のコンベヤーベルト上に滴下するのを防ぐ。
【0024】
コンベヤーベルトは、好ましくは2~10m、より好ましくは2.5~8m、最も好ましくは3~6mの長さを有し、このコンベヤーベルトの長さは、放出端部からの旋回軸の距離である。
【0025】
コンベヤーベルトは、好ましくは0.5~1.5m、より好ましくは0.6~1.2m、最も好ましくは0.7~0.9mの幅を有する。
【0026】
この目的に慣用であるコンベヤーベルトを使用することが可能である。コンベヤーベルトの表面、即ちポリマーゲルと接触することになる側は、撥水性であるべきであり、23℃にて、好ましくは少なくとも60°、より好ましくは少なくとも80°、最も好ましくは少なくとも100°の、水に対する接触角を有する。接触角は、濡れ性の指標であり、DIN 53900により測定される。
【0027】
コンベヤーベルト上のポリマーゲルの水含有量は、好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%、最も好ましくは40~60重量%である。
【0028】
コンベヤーベルト上のポリマーゲルの温度は、好ましくは60~105℃、より好ましくは70~100℃、最も好ましくは80~95℃である。
【0029】
本発明は、振動コンベヤーベルトに付着している温かいポリマーゲルが、きわめて容易に乾燥しきるという知見に基づく。乾燥したポリマーゲルは、非常に苦労してのみコンベヤーベルトから除去できる。既に乾燥したポリマーゲルは、更なるケーキングの原因であることが多い。水での噴霧は、ポリマーゲルを湿潤に保ち、乾燥を防ぐことができる。
【0030】
超吸収体の製造を以下に詳細に記載する。
【0031】
超吸収体は、モノマー溶液又は懸濁液を重合させることによって製造され、典型的には水溶性である。
【0032】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、即ち23℃でのそれらの水への溶解度は、典型的には少なくとも1g/水100g、好ましくは少なくとも5g/水100g、より好ましくは少なくとも25g/水100g、最も好ましくは少なくとも35g/水100gである。
【0033】
好適なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。きわめて特に好ましいのは、アクリル酸である。
【0034】
更に好適なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0035】
不純物は、重合にかなりの影響力を有し得る。したがって、使用される原材料は、最大純度を有するべきである。したがって、モノマーa)を特別に精製することが有利であることが多い。好適な精製方法は、例えばWO02/055469 A1、WO03/078378 A1及びWO2004/035514 A1に記載されている。好適なモノマーa)は、例えばWO2004/035514 A1に従って精製されたアクリル酸であり、且つ99.8460重量%のアクリル酸、0.0950重量%の酢酸、0.0332重量%の水、0.0203重量%のプロピオン酸、0.0001重量%のフルフラール類、0.0001重量%の無水マレイン酸、0.0003重量%のジアクリル酸及び0.0050重量%のヒドロキノンモノメチルエーテルを含む。
【0036】
モノマーa)の総量中のアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも90mol%、最も好ましくは少なくとも95mol%である。
【0037】
モノマーa)は、典型的には、重合阻害剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを保存安定化剤として含む。
【0038】
モノマー溶液は、いずれの場合にも非中和モノマーa)に基づいて、好ましくは最大250重量ppm、好ましくは最大130重量ppm、より好ましくは最大70重量ppmのヒドロキノンモノエーテル、好ましくは少なくとも10重量ppm、より好ましくは少なくとも30重量ppm、特におよそ50重量ppmのヒドロキノンモノエーテルを含む。例えば、モノマー溶液は、適当な含有量のヒドロキノンモノエーテルを有する、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用して調製することができる。
【0039】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はアルファ-トコフェロール(ビタミンE)である。
【0040】
好適な架橋剤b)は、架橋に好適な少なくとも2つの基を有する化合物である。このような基は、例えば、ポリマー鎖へとフリーラジカル重合され得るエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。加えて、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩もまた、架橋剤b)として好適である。
【0041】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマーネットワークへとフリーラジカル重合され得る少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。好ましい架橋剤b)は、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、メタクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタンであり、EP0530438 A1に記載されており;ジ-及びトリアクリレートであり、EP0547847 A1、EP0559476 A1、EP0632068 A1、WO93/21237 A1、WO03/104299 A1、WO03/104300 A1、WO03/104301 A1及びDE 103 31 450 A1に記載されており;アクリレート基と共に更なるエチレン性不飽和基を含む混合アクリレートであり、DE 103 31 456 A1及びDE 103 55 401 A1に記載されており;又は架橋剤混合物であり、例えばDE 195 43 368 A1、DE 196 46 484 A1、WO90/15830 A1及びWO02/032962 A2に記載されている。
【0042】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリスリチルトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15回(tuply)エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0043】
きわめて特に好ましい架橋剤b)は、アクリル酸又はメタクリル酸でエステル化されてジ-又はトリアクリレートを与えるポリエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールであり、例えばWO03/104301 A1に記載されている。3~10回エトキシ化されたグリセロールのジ-及び/又はトリアクリレートがとりわけ好ましい。きわめて特に好ましいのは、1~5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールのジ-又はトリアクリレートである。最も好ましいのは、3~5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセロールのトリアクリレート、特に3回エトキシ化されたグリセロールのトリアクリレートである。
【0044】
架橋剤b)の量は、いずれの場合にも、使用されるモノマーa)の総量に基づいて計算して、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、より好ましくは0.1重量%~0.8重量%、最も好ましくは0.15重量%~0.5重量%である。架橋剤の含有量を増加させると、遠心保持容量(CRC)は低下し、21.0 g/cm2の圧力下での吸収率は最大値を通過する。
【0045】
使用される開始剤c)は、重合条件下でフリーラジカルを生じさせる全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤であってもよい。好適なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸塩/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム、及び過酸化水素/亜硫酸水素ナトリウムである。好ましいのは、熱開始剤及びレドックス開始剤の混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸を使用することである。使用される還元成分は、好ましくは、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩;又は、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩及び亜硫酸水素ナトリウムの混合物である。このような混合物は、Bruggolite(登録商標)FF6及びBruggolite(登録商標) FF7(Bruggemann Chemicals社、ハイルブロン、ドイツ)として入手することができる。
【0046】
酸基を有するエチレン性不飽和モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0047】
使用される水溶性ポリマーe)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸であってもよく、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースであってもよい。
【0048】
典型的には、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の水含有量は、好ましくは40重量%~75重量%、より好ましくは45重量%~70重量%、最も好ましくは50%~65重量%である。モノマー懸濁液、即ちモノマーa)を溶解度を超えて有するモノマー溶液、例えばアクリル酸ナトリウムを使用することもまた可能である。水含有量が増加すると、続く乾燥におけるエネルギー支出量が増加し、水含有量が低減すると、重合の熱が不十分にしか除去され得ない。
【0049】
最適な作用のために、好ましい重合阻害剤は溶存酸素を必要とする。したがって、重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素の中に流すことによって、溶存酸素をモノマー溶液から遊離させることができる。モノマー溶液の酸素含有量は、重合前に、好ましくは1重量ppm未満まで、より好ましくは0.5重量ppm未満まで、最も好ましくは0.1重量ppmまで低減される。
【0050】
重合のための好適な反応器は、例えば混練反応器又はベルト反応器である。混練機中、水性モノマー溶液又は懸濁液の重合において形成されたポリマーゲルは、例えば反転スターラーシャフト(contrarotatory stirrer shafts)によって連続的に粉砕され、これはWO2001/038402 A1に記載されている。ベルト上での重合は、例えばDE 3825366 A1及びUS 6,241,928に記載されている。ベルト反応器中の重合は、例えば押出機又は混錬機中で、粉砕が必要なポリマーゲルを形成する。
【0051】
乾燥特性を改善するために、混錬機によって得られた粉砕されたポリマーゲルを、さらに押出することができる。
【0052】
得られたポリマーゲルの酸基は、典型的には、部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマー段階で実施される。これは、典型的には、水溶液としての或いはその他好ましくは固体としての中和剤中の混合によって達成される。中和の程度は、好ましくは25~85mol%、より好ましくは30~80mol%、最も好ましくは40~75mol%であり、そのために慣用の中和剤を使用することができ、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩、更にはそれらの混合物である。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニア塩を使用することもまた可能である。特に好ましいアルカリ金属はナトリウム及びカリウムであるが、きわめて特に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム、更にはそれらの混合物である。ここで、固体炭酸塩及び炭酸水素塩もまた、好ましくは重合前に直接モノマー溶液中に、重合中に又は重合後その乾燥の前にポリマーゲル中に、封入形態で導入することができる。封入は、不溶性の又は徐々にのみ可溶である材料(例えば、皮膜形成ポリマー、不活性無機材料又は可融性有機材料によって)で表面をコーティングすることによって達成され、これにより、二酸化炭素が乾燥中まで放出されず、且つ形成された超吸収体が高い内部多孔度を有する程度まで、固体炭酸塩又は炭酸水素塩の溶解及び反応が遅延される。
【0053】
任意選択で、界面活性剤を、重合前に又は重合中にモノマー溶液に添加することができ、次いで、モノマー溶液を重合前に又は重合中に、不活性ガス若しくは水蒸気で又は激しい撹拌によって発泡させることができる。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、或いは非イオン性であってもよい。好ましいのは、皮膚に優しい界面活性剤を使用することである。
【0054】
次いで、ポリマーゲルを、典型的には、EDANA推奨試験方法No. WSP 230.2-05「Mass Loss Upon Heating」で測定される残留水分率が、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~6重量%、最も好ましくは1.5~4重量%になるまで、空気循環ベルト乾燥機で乾燥させる。残留水分率が高すぎる場合には、乾燥したポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを有し、更なる加工にはもっぱら困難を伴う。残留水分率が低すぎる場合には、乾燥したポリマーゲルは脆すぎ、続く粉砕ステップにおいて、望まない大量の過度に小さい粒子サイズを有するポリマー粒子(「微粉」)が得られる。乾燥前のポリマーゲルの固体含有量は、好ましくは25重量%~90重量%、より好ましくは35重量%~70重量%、最も好ましくは40重量%~60重量%である。続いて、乾燥したポリマーゲルは圧砕され、任意選択で粗く粉砕される。
【0055】
それ以降、乾燥したポリマーゲルは、典型的には粉砕されて分級され、粉砕に使用され
る装置は、典型的には、1段階又は多段階ロールミル、好ましくは2段階又は3段階ロール
ミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルであってもよい。
【0056】
生成物の画分として除去されるポリマー粒子の平均粒子サイズは、好ましくは150~850μm、より好ましくは250~600μm、きわめて特定すると300~500μmである。生成物の画分の平均粒子サイズは、EDANA推奨試験方法No. WSP 220.2 (05)「Particle Size Distribution」によって測定することができ、ここで、篩い分け画分の質量比率を累積してプロットし、平均粒子サイズはグラフ上で決定される。平均粒子サイズは、本明細書では、累積50重量%を生じるメッシュサイズの値である。
【0057】
150μm超の粒子サイズを有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0058】
小さすぎる粒子サイズを有するポリマー粒子はゲルベッド透過率(GBP)を低下させる。したがって、過度に小さいポリマー粒子(「微粉」)の割合は小さくあるべきである。
【0059】
したがって、過度に小さいポリマー粒子は、好ましくは、重合前に、重合中に又は重合直後に、即ちポリマーゲルの乾燥前に、典型的には除去されて本方法へと再循環される。過度に小さいポリマー粒子は、再循環前に又は再循環中に、水及び/又は水性界面活性剤で湿潤化され得る。
【0060】
後の方法ステップにおいて、例えば表面後架橋後に又は別のコーティングステップにおいて、過度に小さいポリマー粒子を除去することもまた可能である。この場合では、再循環された過度に小さいポリマー粒子は、表面後架橋されるか、又は別の方法において、例えばヒュームドシリカでコーティングされる。
【0061】
最大850μmの粒子サイズを有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0062】
最大600μmの粒子サイズを有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0063】
過度に大きい粒子サイズのポリマー粒子は、自由膨潤速度を低下させる。したがって、過度に大きいポリマー粒子の割合は、同様に低くあるべきである。したがって、過度に大きいポリマー粒子は、典型的には除去されて粉砕へと再循環される。
【0064】
性質を更に改善するために、ポリマー粒子を熱的表面後架橋することができる。好適な表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボン酸基と共有結合を形成することができる基を含む化合物である。好適な化合物は、例えば、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシドであり、EP0083022 A2、EP 0543303 A1及びEP0937736 A2に記載されており;二官能性又は多官能性アルコールであり、DE 3314019 A1、DE 3523617 A1及びEP0450922 A2に記載されており;又はβ-ヒドロキシアリルアミドであり、DE 10204938 A1及びUS 6,239,230に記載されている。
【0065】
加えて、好適な表面後架橋剤として記載されているのは、DE 4020780 C1における環状カーボネート、DE 19807502 A1における2-オキサゾリジノン及びその誘導体、例えば2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリジノン、DE 19807992 C1におけるビス-及びポリ-2-オキサゾリジノン、DE 19854573 A1における2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサジン及びその誘導体、DE 19854574 A1におけるN-アシル-2-オキサゾリジノン、DE 10204937 A1における環状尿素、DE 10334584 A1における二環状アミドアセタール、EP1199327 A2におけるオキセタン及び環状尿素、並びにWO03/031482 A1におけるモルホリン-2,3-ジオン及びその誘導体である。
【0066】
好ましい表面後架橋剤は、炭酸エチレン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドのエピクロヒドリンとの反応生成物、並びにプロピレングリコール及びブタン-1,4-ジオールの混合物である。
【0067】
きわめて特に好ましい表面後架橋剤は、2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリジノン、2-オキサゾリジノン及びプロパン-1,3-ジオールである。
【0068】
加えて、更なる重合性エチレン性不飽和基を含む表面後架橋剤を使用することもまた可能であり、これは、DE 3713601 A1に記載されている。
【0069】
表面後架橋剤の量は、いずれの場合にもポリマー粒子に基づいて、好ましくは0.001重量%~3重量%、より好ましくは0.02重量%~1重量%、最も好ましくは0.05重量%~0.2重量%である。
【0070】
表面後架橋は、典型的には、表面後架橋剤の溶液が乾燥ポリマー粒子に噴霧されるような方法で実施される。噴霧適用後、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は、表面後架橋されて乾燥され、乾燥前と乾燥中との両方で表面後架橋反応が起こり得る。
【0071】
表面後架橋剤の溶液の噴霧適用は、可動型混合装置を有する混合機、例えばスクリュー式混合機、ディスク式混合機及びパドル式混合機中で好ましくは実施される。特に好ましいのは、水平型混合機、例えばパドル式混合機であり、きわめて特に好ましいのは垂直型混合機である。水平型混合機と垂直型混合機との違いは混合シャフトの位置によりなされ、即ち水平型混合機は、水平に枢着された混合シャフトを有し、垂直型混合機は、垂直に枢着された混合シャフトを有する。好適な混合機は、例えば、水平型のPflugschar(登録商標)plowshare mixers(Gebr. Lodige Maschinenbau GmbH社、パーダーボルン、ドイツ)、Vrieco-Nauta continuous mixers(Hosokawa Micron BV社、ドゥーティンヘム、オランダ)、Processall Mixmill mixers(Processall Incorporated社、シンシナティ、米国)及びSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV社、ドゥーティンヘム、オランダ)である。しかしながら、流動床中で表面後架橋剤溶液に噴霧することもまた可能である。
【0072】
表面後架橋剤は、典型的には、水溶液の形態において使用される。表面後架橋剤の、ポリマー粒子中への侵入深さは、非水性溶媒の含有量及び溶媒の総量を介して調整することができる。
【0073】
溶媒として水が過度に使用される場合、界面活性剤が有利には添加される。これは濡れ性を改善し、塊を形成する傾向を低減する。しかしながら、好ましいのは、溶媒混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3-プロパンジオール/水、及びプロピレングリコール/水を使用することであり、ここで、混合質量比は、好ましくは20:80~40:60である。
【0074】
表面後架橋は、好ましくは、接触式乾燥機、より好ましくはパドル式乾燥機、最も好ましくはディスク式乾燥機中で実施される。好適な乾燥機は、例えば、Hosokawa Bepex(登録商標)Horizontal Paddle Dryer(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Hosokawa Bepex(登録商標)Disk Dryer(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Holo-Flite(登録商標)Dryers(Metso Minerals Industries Inc.社、ダンビル、米国)及びNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe社、フレッヒェン、ドイツ)である。その上、流動床式乾燥機もまた使用することができる。
【0075】
表面後架橋は、ジャケットを加熱する、又は暖かい空気中を吹き込むことによって、混合機それ自体中で行うことができる。等しく好適なのは、下流乾燥機、例えばトレー式乾燥機、回転チューブオーブン又は加熱可能なスクリューである。流動床式乾燥機中で、混合及び熱的表面後架橋を達成することが、とりわけ有利である。
【0076】
好ましい反応温度は、100~250℃、好ましくは110~220℃、より好ましくは120~210℃、最も好ましくは130~200℃の範囲内である。この温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも20分、最も好ましくは少なくとも30分、典型的には最大60分である。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、ポリマー粒子は、表面後架橋後に冷却される。冷却は、好ましくは接触式冷却機、より好ましくはパドル式冷却機、最も好ましくはディスク式冷却機中で実施される。好適な冷却機は、例えばHosokawa Bepex(登録商標)Horizontal Paddle Cooler(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Hosokawa Bepex(登録商標)Disc Cooler(Hosokawa Micron GmbH社、ラインガルテン、ドイツ)、Holo-Flite(登録商標)Coolers(Metso Minerals Industries Inc.、ダンビル、米国)及びNara Paddle Cooler(NARA Machinery Europe社、フレッヒェン、ドイツ)である。その上、流動床式冷却機もまた使用することができる。
【0078】
冷却機中、ポリマー粒子は、好ましくは40~90℃、より好ましくは45~80℃、最も好ましくは50~70℃に冷却される。
【0079】
続いて、表面後架橋されたポリマー粒子は、再度分級することができ、過度に小さいポ
リマー粒子及び/又は過度に大きいポリマー粒子が除去されて本方法へと再循環される。
【0080】
性質を更に改善するために、表面後架橋されたポリマー粒子を、コーティング又は再湿潤化することができる。
【0081】
再湿潤化は、好ましくは40~120°C、より好ましくは50~110℃、最も好ましくは60~100℃で実施される。過度に低い温度でポリマー粒子は塊を形成する傾向があり、より高い温度で水は既に顕著な程度まで蒸発している。再湿潤化のために使用される水の量は、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%である。再湿潤化は、ポリマー粒子の機械的安定性を向上させ、それらの、静電荷を帯びる傾向を弱める。再湿潤化は、有利には、熱表面後架橋後に冷却機中で実施される。
【0082】
膨潤率及びゲルベッド透過率(GBP)を改善するのに好適なコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー及び二価若しくは多価金属カチオンである。ダストバインディング(dust binding)のための好適なコーティングは、例えばポリオールである。ポリマー粒子の望ましくない固化傾向に対抗するための好適なコーティングは、例えば、ヒュームドシリカ、例えばAerosil(登録商標)200、及び界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20である。固化傾向を低下させるための、及び機械的安定性を向上させるための、ダストバインディングのための好適なコーティングは、EP0703265 B1に記載されているポリマー分散体、及びUS 5,840,321に記載されているワックスである。
【0083】
続いて、コーティング及び/又は再湿潤化されたポリマー粒子は再度分級することがで
き、過度に小さいポリマー粒子及び/又は過度に大きいポリマー粒子は除去されて本方法
へと再循環される。
【0084】
本発明は、本発明の方法によって製造された超吸収体を含む衛生物品を更に提供する。
【0085】
方法
この後に記載される、「WSP」と称される標準試験方法は、「Standard Test Methods for the Nonwovens Industry」、2005年版、国際的戦略パートナーのEDANA (Herrmann-Debrouxlaan 46、1160 Oudergem、Belgium、www.edana.org)とINDA (1100 Crescent Green、Suite 115、Cary、North Carolina 27518、米国、www.inda.org)とによる共同刊行、に記載されている。この刊行物は、EDANAとINDAとの両方から得ることができる。
【0086】
測定は、別段の記述がない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度にて行われるべきである。吸水ポリマー粒子は、この測定前に完全に混合される。
【0087】
遠心保持容量
遠心保持容量(CRC)は、EDANA推奨試験方法No. WSP 241.2 (05)「Fluid Retention Capacity in Saline, After Centrifugation」によって測定される。
【0088】
抽出分
吸水ポリマー粒子の抽出分の含有量は、EDANA推奨試験方法No. WSP 270.2 (05)「Extractable」によって測定される。
【実施例】
【0089】
[例1]
脱イオン水、50重量%の水酸化ナトリウム溶液及びアクリル酸を連続的に混合することによって、中和度が71.3mol%に相当するように、アクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を調製した。モノマー溶液の固体含有量は、38.8重量%であった。
【0090】
使用したポリエチレン性不飽和架橋剤は、ポリエチレングリコール-400ジアクリレート(400g/molの平均モル質量を有するポリエチレングリコールから出発したジアクリレート)であった。使用した量は、モノマー溶液1t当たり2kgの架橋剤であった。
【0091】
フリーラジカル重合を開始するために、モノマー溶液1t当たり、1.03kgの0.25重量%過酸化水素水溶液、3.10kgの15重量%ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液、及び1.05kgの1重量%アスコルビン酸水溶液を使用した。
【0092】
モノマー溶液のスループットは、20t/時であった。反応溶液は、23.5℃の供給温度を有した。
【0093】
個々の成分を、6.3m3の収容能力を有するList Contikneter連続混錬反応器(LIST AG、アリスドルフ、スイス)中に、以下の量で連続して計量した:
20t/時のモノマー溶液
40kg/時のポリエチレングリコール-400ジアクリレート
82.6kg/時の過酸化水素溶液/ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液
21kg/時のアスコルビン酸溶液
【0094】
架橋剤についての添加ポイントと、開始剤についての添加サイトとの間で、モノマー溶液を窒素で不活性化させた。
【0095】
滞留時間の約50%の後、粉砕し、篩うことによる製造工程から得た微粉の、反応器への付加的な計量添加(1000kg/時)があった。反応器中の反応混合物の滞留時間は15分であった。
【0096】
得られた水性ポリマーゲルを、振動コンベヤーベルトによって、空気循環ベルト乾燥機のコンベヤーベルトに適用した。
【0097】
空気循環ベルト乾燥機は48mの長さを有した。空気循環ベルト乾燥機のコンベヤーベルトは4.4mの有効幅を有した。
【0098】
振動コンベヤーベルトは5mの長さを有した。コンベヤーベルトは0.8mの幅、及び0.5mの有効幅を有した。コンベヤーベルト上の水性ポリマーゲルの安息角は約15°であった。コンベヤーベルト上のポリマーゲル床の断面は約0.04m2であった。コンベヤーベルトの速度は0.5m/秒であった。
【0099】
1つの端部位置から出発し、振動コンベヤーベルトは、13°の第1の旋回軸角β1から33°/秒の角速度へと加速し、20°の第2の旋回軸角β2から17°/秒の角速度へと減速し、第3の旋回軸角β3から他の端部位置へと減速した。旋回軸角の総計は50°であった。二重パス(第1の端部位置から他の端部位置へ、それから戻る)が約7秒続いた。回転コンベヤーベルトは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の表面を有した。
【0100】
振動コンベヤーベルト上の水性ポリマーゲルの温度は、90℃であった。
【0101】
振動コンベヤーベルトの下側に、ストリッピング装置があった。ストリッピング装置は、回転コンベヤーベルトの走行方向を横切って取り付けられた縦のスクレーパであった。スクレーパは、回転コンベヤーベルトの走行方向に対して20°傾いていた。放出端部からのストリッピング装置の距離は約5 cmであり、これは、ストリッピング装置が曲げロールの領域にあったことを意味する。回転コンベヤーベルトからのストリッピング装置の距離は1mmであった。ストリッピング装置は、回転コンベヤーベルトの外側に付着している水性ポリマーゲルを剥ぎ取る。
【0102】
振動コンベヤーベルトの下側に、付加的に3つの二相ノズルがあった。二相ノズルは、コンベヤーベルトの走行方向を横切って配置した。二相ノズル間の距離は、各場合において約20cmであった。放出端部からの二相ノズルの距離は約20cmであった。回転コンベヤーベルトからの二相ノズルの距離は約20cmであった。総計で10kg/時の水と100kg/時の空気とを噴霧した。
【0103】
ストリッピング装置によって、回転コンベヤーベルトを効率よく洗浄することが可能であった。6か月にわたり、コンベヤーベルト上に顕著なケーキングは全くなかった。
【0104】
空気循環ベルト乾燥機上に、空気/ガス混合物を水性ポリマーゲルの周りに連続的に流し、水性ポリマーゲルを乾燥させた。空気循環ベルト乾燥機中の滞留時間は37分であった。
【0105】
乾燥させたポリマーゲルを粉砕し、150~850μmの粒径の画分へと篩った。
【0106】
得られた吸水ポリマー粒子は、34.9g/gの遠心保持容量(CRC)、及び8.5重量%の抽出分含有量を有した。
【0107】
[例2(比較例)]
手順は、振動コンベヤーベルト上の噴霧ノズルのスイッチを切った以外は、実施例1と同じとした。
【0108】
回転コンベヤーベルトをストリッピング装置によって、困難を伴ってのみで洗浄することが可能であった。特にポリマーゲルが既に乾燥していたところで、コンベヤーベルト上に、顕著なケーキングがあった。連続的生産の数週間後に、生産を止めてコンベヤーベルトを洗浄しなければならず、又は損傷のためにコンベヤーベルトを交換しなければならなかった。