(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】カルバゾールコアを有する新規な重合性液晶
(51)【国際特許分類】
C08F 20/34 20060101AFI20241029BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241029BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20241029BHJP
C07D 209/82 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C08F20/34
G02B5/30
G02F1/1337 520
C07D209/82
(21)【出願番号】P 2021565770
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2020068076
(87)【国際公開番号】W WO2020260617
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】山内 真之介
(72)【発明者】
【氏名】ネキールソン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】シャペレ,サブリナ
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0142266(US,A1)
【文献】国際公開第2015/025793(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
G02B5
G02F1
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化6】
[式中、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
12直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C
3~C
12アルケニル、C
1~C
12アルコキシ、C
3~C
12アルケニルオキシ、-(CH
2)
m-C(CH
3)
3、NO
2、CN、COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CF
3及び-OCF
3からなる群より選択され、ここで、
mは、0~12の整数であり、
Rは、水素、C
1-18アルキル基及び3位以上に二重結合を有するC
3-18アルケニル基及び-(CH
2)
p-C-(CF
3)
3、CN、及び非置換又は置換フェニル環からなる群より選択され、ここで、フェニル環の置換基は、C
1~C
6直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C
1~C
6アルコキシ、-C-(CH
3)
3、ハロゲン、-CF
3、NO
2、CN、COR’’’、-COOR’’’、-OCOR’’’、-CONR’’R’’’、-NR’’COR’’’、OCOOR’’’、-OCONR’’R’’’、-NR’’COOR’’’、-F、-Cl、-CF
3及び-OCF
3からなる群より選択され、ここで、
R’’は、水素、低級アルキル基及び低級アルケニル基からなる群より選択され、
R’’’は、水素、C
1-18アルキル基及び3位以上に二重結合を有するC
3-18アルケニル基からなる群より選択され、
pは、0~12の整数であり、
R’は、水素、低級アルキル、低級アルケニル及び低級アルコキシからなる群より選択され、
nは、0、1、2又は3であり、
Yは、H又は1~12個の炭素原子を有す
る非置換のアルキル基からなる群より選択され、
環C及びDは、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、ナフチル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、
【化7】
からなる群より選択され、
ただし、環C又はDの少なくとも一方は、芳香環であるという条件であり、
環Eは、フェニル、ビフェニル及びナフチルからなる群より選択され、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C
3~C
12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルケニル鎖及びC
1~C
12アルコキシからなる群より選択され、ここで、1つ以上の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR
a-(式中、R
aは、C
1~C
12アルキル基である)、-CON-により置き換えられていることができ、又は
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、式(II)
【化8】
[式中、
nは、0~24の整数であり、ここで、1つ以上のC原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR
a-(式中、R
aは、C
1~C
12アルキル基である)、-CON-により置き換えられていることができ、
PGは、CH
2=C(Ph)-、CH
2=CW-COO-、CH
2=CH-COO-Ph-、CH
2=CW-CO-NH-、CH
2=CH-O-、CH
2=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH
2=CH-Ph-、CH
2=CH-Ph-O-、R
b-Ph-CH=CH-COO-、R
b-OOC-CH=CH-Ph-O-及び2-W-エポキシエチルからなる群より選択される重合性基を表わし、ここで、
Wは、H、Cl、Ph又は低級アルキルを表わし、
R
bは、低級アルキルを表わし、ただし、R
bがフェニレン基(-Ph-)に結合している場合、R
bは、水素又は低級アルコキシを表わす場合もあるという条件である]
で示される基により表わされる
、ただし、X
1
及びX
2
の少なくとも一方は、式(II)で示される基により表わされるという条件である]
で示される異方性化合物。
【請求項2】
環C及びDが、それぞれ独立して、フェニル又はシクロヘキシルから選択され、ただし、環C又はDの少なくとも一方が、フェニルであるという条件である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
環C及びDは両方とも、フェニルである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
環Eは、フェニル環である、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
X
1及びX
2を表わす式(II)で示される基が、それぞれ独立して、環C又はDが芳香環であるか又は芳香環を含有する場合、
【化9】
[式中、nは、0~24の整数である]
並びにそれらの対応するメタクリラートからなる群より選択され、あるいは
X
1及びX
2を表わす式(II)で示される基が、それぞれ独立して、環C又はDがそれぞれ独立してシクロヘキシルであるか又はシクロヘキシルを含有する場合、水素、C
1~C
12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C
3~C
12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルケニル鎖及びC
1~C
12アルコキシからなる群より選択され、ただし、環C又はDの少なくとも一方が芳香環もしくはフェニル環であるか又は芳香環もしくはフェニル環を含有するという条件である、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
環C又はDが、それぞれ独立して、フェニル又はシクロヘキシルのいずれかである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R
1、R
2及びR
3が、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルケニルオキシ、-F及び-CF
3からなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
R
1、R
2及びR
3が、それぞれ独立して、メチル、メトキシ、F、C(CH
3)
3及び-CF
3からなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項記載の式(I)で示される化合物を含む、LCP混合物。
【請求項10】
架橋形態又は重合形態にある、請求項9記載のLCP混合物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項記載の化合物又は請求項9もしくは10記載のLCP混合物を含む、LCPネットワーク。
【請求項12】
配向光への暴露により、請求項1~8のいずれか一項記載の異方性化合物又は請求項9もしくは10記載のLCP混合物又は請求項11記載のLCPネットワークを含む光学フィルムを製造するための方法。
【請求項13】
式(I)で示される異方性化合物又は請求項9もしくは10記載のLCP混合物又は請求項11記載のLCPネットワークを含む、光学フィルム。
【請求項14】
光学デバイス又は電気光学デバイスの製造における、請求項1~8のいずれか一項記載の化合物又は請求項9もしくは10記載のLCP混合物又は請求項11記載のLCPネットワークの使用。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項記載の化合物又は請求項9もしくは10記載のLCP混合物又は請求項11記載のLCPネットワークを含む、光学デバイス又は電気光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、カルバゾールコアを有する新規な重合性異方性液晶(LCP)化合物、このようなLCP化合物を含む組成物及びこのようなLCP化合物又は組成物を含む光学フィルムに関する。本発明のLCPを含む光学フィルムは、広い波長帯域にわたって偏光の逆位相差パターンを示した。最後に、本発明は、このようなLCP化合物を含むか又はこのようなLCP化合物を含む光学フィルムを含む光学異方性物品、例えば、フラットディスプレイ、TV、スマートホン、タブレット等に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性LCP化合物から調製される光学フィルム(LCPフィルム)は、当業者に周知であり、光学デバイスの調製に使用される。光学フィルムの例は、位相差フィルム又は偏光子である。位相差フィルムは、それを通過する光の偏光状態を変化させるある種の光学素子である。光が位相差フィルムを通過する時、光の偏光方向は、フィルムの複屈折及び厚みのために変化する。1/4波長位相差板は、直線偏光を円偏光に変換し、半波長位相差板は、直線偏光の振動面を90°変換する。このような位相差フィルムは、λ/4又はλ/2の位相差が生じるように、特定の単色光の変換を達成することができる。しかしながら、公知の位相差フィルムは、通過する偏光が着色偏光に変換されるという欠点を有する。さらに、各波長に対応する偏光状態分布により、偏光した白色光が生じる。したがって、波長帯域全体にわたって正確なλ/4又はλ/2位相差を達成することができない。このような欠点を改善するために、長波長において短波長におけるより高い波長分散を有する位相差フィルムを開発する必要がある。リターダーとしても公知の位相差フィルムの調製における別の問題は、少量の材料で高性能フィルムを調製することである。
【0003】
したがって、前述の欠点を顕著に低減する、上記された光学フィルムの調製に使用することができる新規なLCP化合物が必要とされている。本発明は、その必要性に対処する。
【0004】
幾つかの異方性LCP化合物は、当技術分野において既知であるが、より広い波長にわたって偏光の改善された均一な変換を有する新規なLCP化合物を開発することが依然として求められている。このような異方性LCP化合物のわずかな例が、WO第2012/147904号、同第2016/104317号、同第2017/043437号及びJP第2016/128403号に開示されている。
【0005】
LCPフィルムは、一般的には、当業者に周知の方法により製造される。これは、架橋性LCP又はLCP混合物の有機溶液を、配向層が設けられた基材上に又はラビング技術により予め処理された基材上に被覆することを含む。また、液晶のための他の配向技術を使用することができる。続けて、有機溶媒を除去して、十分配向した無溶媒LCP層を取得し、次に、これを架橋して、液晶特性秩序構造を固定する。このようなフィルムの所望の光学性能は、異方性LCP材料が同時に満たさなければならない幾つかの物理的パラメータに決定的に依存する。このような特性は、低融点又は融点未満に冷却された(過冷却)時に結晶化する低い傾向、有機溶媒中での良好な溶解性、他のLCPとの良好な混和性、配向層上での良好な配向特性、並びに傾斜ドメイン及び回位が本質的にない基板平面からの調整可能な傾斜を形成する能力である。傾斜ドメインは、LCP分子の長軸が同じサイズであるが反対方向に基材の平面から出る傾斜角を形成するLCPフィルム内の領域である。回位は、反対の傾斜角のLCP分子が隣接する隣接傾斜ドメインの境界線である。これらの傾斜ドメイン及び回位により、フィルムの均一な外観の乱れと不均質な光学性能の両方がもたらされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の第1の目的は、式(I)により記載された異方性LCP化合物を提供すること並びに少なくとも1つの前記化合物と、少なくとも1種の添加剤及び/又は溶媒とを含む組成物を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、少なくとも1つの前記異方性LCP化合物を含む光学フィルム及びその調製方法、偏光の均一な変換を達成する位相差フィルムとしての前記光学フィルムの使用、並びに前記光学フィルムを含むデバイス及びそれらの製造を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、比較例R2と比較した実施例1~13のラビングされた基板上での複屈折の波長分散を示す。
【
図2】
図2は、光配向組成物で被覆された基板上に配向させたLCPフィルムの波長分散を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の第1の態様は、式(I)
【化1】
で示される液晶化合物を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、このような化合物を含むLCP混合物、前記化合物又はLCP混合物を含むLCPネットワーク、前記化合物、LCP混合物又はLCPネットワークの使用、及び前記化合物、LCP混合物又はLCPネットワークを含む光学デバイス又は電気光学デバイスを提供する。
【0011】
式(I)で示される化合物において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、C1~C12直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C3~C12アルケニル、C1~C12アルコキシ、C3~C12アルケニルオキシ-、(CH2)m-C(CH3)3、NO2、CN、COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CF3及び-OCF3からなる群より選択され、ここで、
mは、0~12の整数であり、
Rは、水素、C1-18アルキル基、3位以上に二重結合を有するC3-18アルケニル基、-(CH2)p-C-(CF3)3、CN及び非置換又は置換フェニル環からなる群より選択され、ここで、フェニル環の置換基は、C1~C6直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C1~C6アルコキシ、-C-(CH3)3、ハロゲン、-CF3、NO2、CN、COR’’’、-COOR’’’、-OCOR’’’、-CONR’’R’’’、-NR’’COR’’’、OCOOR’’’、-OCONR’’R’’’、-NR’’COOR’’’、-F、-Cl、-CF3及び-OCF3からなる群より選択され、ここで、
R’’は、水素、低級アルキル基及び低級アルケニル基からなる群より選択され、
R’’’は、水素、C1-18アルキル基及び3位以上に二重結合を有するC3-18アルケニル基からなる群より選択され、
pは、0~12の整数であり、
R’は、水素、低級アルキル、低級アルケニル及び低級アルコキシからなる群より選択され、ここで、
nは、0、1、2又は3である。
【0012】
好ましくは、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルケニルオキシ、-F及び-CF3からなる群より選択される。
【0013】
最も好ましくは、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、メチル、メトキシ、-F、-C-(CH3)3及び-CF3からなる群より選択される。
【0014】
Yは、H又は1~12個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルキル基からなる群より選択される。
【0015】
環C及びDは、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、ナフチル、シクロアルキル、好ましくは、シクロヘキシル、ビシクロアルキル、好ましくは、ビシクロヘキシル、
【化2】
からなる群より選択され、
ただし、環C又はDの少なくとも一方は、芳香環を含有するという条件である。
【0016】
好ましくは、環C及びDは、それぞれ独立して、フェニル又はシクロヘキシルであり、最も好ましくは、環C及びDは両方とも、フェニル環である。
【0017】
環Eは、フェニル、ビフェニル及びナフチルからなる群より選択される。
【0018】
好ましくは、環Eは、フェニル環である。
【0019】
置換基X
1及びX
2は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C
3~C
12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルケニル鎖及びC
1~C
12アルコキシからなる群より選択され、ここで、1つ以上の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR
a-(式中、R
aは、C
1~C
12アルキル基である)、-CON-により置き換えられていることができ、又は置換基X
1及びX
2は、それぞれ独立して、式(II)
【化3】
で示される基により表わされる。
【0020】
式(II)で示される基において、nは、0~24の整数であり、ここで、1つ以上のC原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NRa-(式中、Raは、C1~C12アルキル基である)、-CON-により置き換えられていることができる。
【0021】
式(II)で示される基における置換基PGは、CH2=C(Ph)-、CH2=CW-COO-、CH2=CH-COO-Ph-、CH2=CW-CO-NH-、CH2=CH-O-、CH2=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH2=CH-Ph-、CH2=CH-Ph-O-、Rb-Ph-CH=CH-COO-、Rb-OOC-CH=CH-Ph-O-及び2-W-エポキシエチルからなる群より選択される重合性基を表わし、ここで、Wは、H、Cl、Ph又は低級アルキルを表わし、Rbは、低級アルキルを表わし、ただし、Rbがフェニレン基(-Ph-)に結合している場合、Rbは、水素又は低級アルコキシを表わす場合もあるという条件である。好ましくは、PGは、アクリラート又はメタクリラート基を表わす。
【0022】
好ましくは、環C及びDが、それぞれ独立して、シクロヘキシルであるか又はシクロヘキシルを含有する場合、置換基X1及びX2は、水素、C1~C12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖、C3~C12置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖のアルケニル鎖及びC1~C12アルコキシからなる群より選択される。
【0023】
好ましくは、環C又はDが、それぞれ独立して、芳香環であるか、又はそれらが、芳香環を含有する場合、より好ましくは、C又はDが、それぞれ独立して、フェニル環であるか又はフェニル環を含有する場合、式(II)で示される基は、
【化4】
[式中、nは、上記与えられたのと同じ意味を有する]
又はそれらの対応するメタクリラートから選択される。
【0024】
「低級アルキル」という用語は、C1-6アキラルの分岐鎖又は直鎖のアルキル基を含むと理解されたい。本発明の化合物に存在する場合がある低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等を含む。
【0025】
「低級アルケニル」という用語は、二重結合が2位以上にあるC3-6アキラルの分岐鎖又は直鎖のアルケニル基を含むと理解されたい。本発明の化合物に存在する場合がある低級アルケニル基の例は、2-プロペニル、3-ブテニル、3-イソペンテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、4-イソヘキセニル等を含む。
【0026】
「低級アルコキシ」という用語は、C1-6アキラルの分岐鎖又は直鎖のアルコキシ基を含むと理解されたい。本発明の化合物に存在する場合がある低級アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ等を含む。
【0027】
「低級アルケニルオキシ」という用語は、二重結合が2位以上にあるC3-6アキラルの分岐鎖又は直鎖のアルケニルオキシ基を含むと理解されたい。本発明の化合物に存在する場合がある低級アルケニルオキシ基の例は、2-プロペニルオキシ、3-ブテニルオキシ、4-ペンテニルオキシ、5-ヘキセニルオキシ等を含む。
【0028】
本発明の重合性異方性LCP化合物を、当業者に周知の手法を使用して、容易に調製することができ、実施例には、非限定的な手法を少しだけ提供する。
【0029】
出発物質は市販されているか又は容易に調製することができ、当業者に周知である。
【0030】
本願の文脈内で使用する場合、重合性異方性LCP化合物材料は、液晶モノマー及び/又は液晶オリゴマー及び/又は液晶ポリマー及び/又は架橋液晶を含む液晶材料を意味するものとする。液晶材料が、液晶モノマーを含む場合、このようなモノマーを、典型的には、例えば、配向層との接触により又はラビングにより、LCP材料中に異方性が生成された後に重合することができる。重合を熱処理及び/又は化学線(好ましくは、UV光を含む)への暴露により開始することができる。異方性LCP材料は、単一のタイプの液晶化合物のみを含むことができるが、追加の重合性及び/又は非重合性化合物を含むこともでき、ここで、該化合物の全てが、液晶化合物である必要はない。光学フィルムの場合、異方性LCPモノマーは、光配向層の上に又はラビングされた表面の上に適用される。光配向層又はラビングされた表面の配向情報が、LCPモノマーに転写された後、モノマーは、LCP材料を固化させるために重合され及び/又は架橋される。本発明の重合ポリマーもしくは架橋ポリマーは、式(I)で示される異方性LCP化合物のみを単独で含有する場合があり、この場合、このポリマーは、ホモポリマーであり、又は重合ポリマーもしくは架橋ポリマーは、さらに異なるモノマーを含有する場合があり、この場合、このポリマーは、コポリマーであると理解される。更なる異なるモノマーは、LCP特性を有してもよく又は有さなくてもよい。
【0031】
本発明の異方性LCP化合物により、従来技術のLCP化合物の前述の欠点が克服される。さらに、本発明の異方性LCP化合物は、優れた溶解性及び低温加工性を有する。
【0032】
本発明の更なる目的は、式(I)で示される異方性LCP化合物と、少なくとも1種の溶媒及び/又は添加剤とを含む組成物に関する。添加剤は、下記:酸化防止剤、開始剤、例えば、光開始剤、促進剤、染料、阻害剤、活性化剤、充填材、連鎖移動阻害剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロピー剤、界面活性剤、粘度調整剤、伸展油、可塑剤、粘着付与剤、触媒、増感剤、安定剤、潤滑剤、分散剤、ポリマーバインダー及び/もしくは重合によりポリマーバインダーに変換することができるモノマー化合物、又は乳化被覆及び印刷インクの場合には分散補助剤、疎水化剤、接着剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、補助剤、着色剤、染料及び顔料、硬化阻害剤、キラル添加剤、等方性もしくは異方性の蛍光及び/もしくは非蛍光染料、特に二色性染料から選択することができる。このような液晶組成物の調製に使用することができる溶媒は、アセトン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド(AN)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキソラン(DXG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセタート(MPA)、ガンマ-ブチロラクトン(BL)、プロピレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むが、これらに限定されない。最も好ましい溶媒は、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセタート(MPA)、1,3-ジオキソラン(DXG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0033】
本発明のさらに好ましい目的は、式(I)で示される異方性LCP化合物、LCP混合物と、シクロヘキサノン、トルエン及びシクロペンタノンから選択される少なくとも1種の溶媒及び/又は添加剤とを含む、組成物に関する。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様は、式(I)で示される異方性化合物を含み、好ましくは、結晶化を伴わずに3か月を超える貯蔵寿命安定性を有するLCP混合物である組成物である。
【0035】
本発明は、本発明の異方性LCP化合物又は組成物の少なくとも一方を含む、光学フィルムに関する。光学フィルムの例は、本発明の光学フィルムと直線偏光子とを組み合わせることにより製造される反射防止フィルムとして使用される円偏光子フィルムである。
【0036】
異方性LCP化合物又は異方性LCP化合物を含む組成物を支持体上に適用することができる。支持体は、剛性でもよく又は可撓性でもよく、任意の形態又は形状を有することができる。原則として、支持体は、任意の材料からなることができる。好ましくは、支持体は、プラスチック、ガラスもしくは金属を含むか、又はシリコンウエハである。支持体が可撓性である場合、支持体は、プラスチック又は金属箔であることが好ましい。好ましくは、支持体の表面は平坦である。一部の用途では、支持体は、トポグラフィ表面構造、例えば、微細構造、例えば、マイクロレンズもしくはマイクロプリズム、又は形状の急激な変化を示す構造、例えば、長方形構造を含むことができる。好ましくは、支持体は透明である。また、支持体は、本発明の異方性LCP化合物で被覆する前に処理しておくこともできる。
【0037】
支持体は、異方性LCP化合物又は異方性LCP化合物を含む組成物の堆積中に移動させることができる。例えば、LCP混合物の層を、材料組成物を好ましくはプラスチック又は金属である可動可撓性箔上に堆積させることにより、連続的なロールツーロールプロセスで製造することができる。ついで、得られたフィルムを支持箔と共にロール上に巻き取ることができ、又はフィルムを支持体から解放することができ、ついで、支持体なしで自立フィルムとして巻き取られる。
【0038】
支持体は、追加の層、例えば、光配向層、有機層、誘電体層又は金属層を有することができる。これらの層は、異なる機能を有することができ、例えば、有機層を、支持体と共に被覆される材料の適合性を向上させるプライマー層として被覆することができる。例えば、電気-光学デバイス、例えば、ディスプレイに使用される場合、金属層を電極として使用することができ、又は、金属層は、反射器としての機能を有することができる。また、支持体は、特定の機能を有する光学素子又はデバイス、例えば、LCD用基板であることもできる。LCD用基板は、例えば、薄膜トランジスタ、電極又はカラーフィルタを含む場合がある。別の例では、支持体は、OLED層構造を含むデバイスである。また、支持体は、偏光子、例えば、偏光フィルム又は偏光子シート、反射偏光子、例えば、市販のVikuity(商標)DBEFフィルムであることもできる。
【0039】
本発明の文脈において、「光配向層」は、異方性特性を配向光への暴露により誘引させることができる材料である光配向性物質から作製される。加えて、「光配向層」という用語は、配向光への暴露により配向された層を指す。本発明について、誘引された異方性は、例えば、式(I)で示される異方性LCP化合物を含む隣接層に配向能力を提供するようなものでなければならない。「配向方向」という用語は、隣接層に誘引される好ましい方向を指すであろう。例えば、配向方向は、LCP化合物が配向されるであろう方向である。
【0040】
光配向性物質は、光配向性部分を包含し、この部分は、配向光に暴露されると好ましい方向を発現可能であり、このため、異方性特性を生じさせることができる。このような光配向性部分は、好ましくは、異方性吸収特性を有する。典型的には、このような部分は、230~500nmの波長範囲内で吸収を示す。好ましくは、光配向性部分は、300~450nmの波長範囲にある光の吸収を示し、より好ましくは、310~380nmの波長範囲における吸収を示す部分である。
【0041】
好ましくは、光配向性部分は、炭素-炭素、炭素-窒素又は窒素-窒素の二重結合を有する。
【0042】
例えば、光配向性部分は、置換又は非置換のアゾ染料、アントラキノン、クマリン、メリシアニン、2-フェニルアゾチアゾール、2-フェニルアゾベンズチアゾール、スチルベン、シアノスチルベン、フルオロスチルベン、シンナモニトリル、カルコン、シンナマート、シアノシンナマート、スチルバゾリウム、1,4-ビス(2-フェニルエチレンイル)ベンゼン、4,4’-ビス(アリールアゾ)スチルベン、ペリレン、4,8-ジアミノ-1,5-ナフトキノン染料、アリールオキシカルボン酸誘導体、アリールエステル、N-アリールアミド、ポリイミド、2つの芳香環と共役しているケトン部分又はケトン誘導体を有するジアリールケトン、例えば、置換ベンゾフェノン、ベンゾフェノンイミン、フェニルヒドラゾン及びセミカルバゾン等である。
【0043】
上記列記された異方性吸収材料の調製は、例えば、Hoffman et al.によるUS特許第4,565,424号、Jones et al.によるUS特許第4,401,369号、Cole, Jr. et al.によるUS特許第4,122,027号、Etzbach et al.によるUS特許第4,667,020号及びShannon et al.によるUS特許第5,389,285号に示されているように周知である。
【0044】
好ましくは、光配向性部分は、アリールアゾ、ポリ(アリールアゾ)、スチルベン、シアノスチルベン、シンナマート又はカルコンを含む。
【0045】
光配向性物質は、特に、モノマー、オリゴマー又はポリマーであることができる。光配向性部分は、例えば、ポリマーもしくはオリゴマーの主鎖内もしくは側鎖内で共有結合することができ、又はそれらは、モノマーもしくは重合可能でない他の化合物の一部であることができる。光配向性物質は、さらに、異なるタイプの光配向性部分を含むコポリマーであることができ、又は光配向性部分を有する側鎖及びこれを有さない側鎖を含むコポリマーであることができる。
【0046】
ポリマーは、例えば、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミン酸、ポリマレインイミド、ポリ-2-クロロアクリラート、ポリ-2-フェニルアクリラート;非置換又はC1~C6アルキル置換のポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ-2-クロロアクリルアミド、ポリ-2-フェニルアクリルアミド、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリビニルエステル、ポリスチレン誘導体、ポリシロキサン、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸の直鎖又は分岐鎖のアルキルエステル;ポリフェノキシアルキルアクリラート、ポリフェノキシアルキルメタクリラート、1~20個の炭素原子のアルキル残基を有するポリフェニルアルキルメタクリラート;ポリアクリルニトリル、ポリメタクリルニトリル、シクロオレフィン酸ポリマー(cycloolephinic polymers)、ポリスチレン、ポリ-4-メチルスチレン又はそれらの混合物を指す。
【0047】
また、光配向性物質は、光増感剤、例えば、ケトクマリン及びベンゾフェノンを含むこともできる。
【0048】
さらに、好ましい光配向性モノマー又はオリゴマー又はポリマーは、US特許第5,539,074号、同第6,201,087号、同第6,107,427号、同第6,632,909号及び同第7,959,990号に記載されている。
【0049】
LCPの配向は、液晶を配向させるための任意の他の公知の手段により達成することができる。例えば、支持体は、配向表面を有することができ、これは、表面が液晶を配向させる能力を有することを意味するものとする。支持体は、さらに処理することなく、すでに配向を提供することができる。例えば、プラスチック基材が、支持体として使用される場合、製造方法、例えば、基材の押出又は延伸のために、表面上に配向を提供することができる。また、配向能力を生成するために、支持体をブラッシングしもしくはラビングし、又は指向性微細構造をインプリントすることも可能である。
【0050】
LCP化合物を重合し、配向光に暴露する工程は、任意の順序であることができる。重合を配向光への暴露の前又は後に開始することができる。また、重合と暴露を同時に行うことができる。
【0051】
本発明の更なる実施態様は、好ましくは200mJ未満、より好ましくは150mJ未満、より好ましくは100mJ未満、最も好ましくは70mJ未満のエネルギーにより、配向光に曝露させることにより、本発明の式(I)で示される異方性化合物、LCP混合物又はLCPネットワークを含む光学フィルムを製造するための方法に関する。
【0052】
LCP混合物を任意の適切な方法、例えば、押出、キャスティング、成形、2Dもしくは3D印刷又は被覆により、支持体に適用することができる。適切な被覆法は、例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キスロールコーティング、ダイコーティング、ディッピング、ブラッシング、バーによるキャスティング、ローラーコーティング、フローコーティング、ワイヤーコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、エアナイフコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、計量ロッド(マイヤーバー)コーティング、スロットダイ(押出)コーティング、ローラーコーティング、フレキソコーティングである。適切な印刷法は、シルクスクリーン印刷、レリーフ印刷、例えば、フレキソ印刷、ジェット印刷、凹版印刷、例えば、ダイレクトグラビア印刷又はオフセットグラビア印刷、平版印刷、例えば、オフセット印刷、又はステンシル印刷、例えば、スクリーン印刷を含む。
【0053】
本発明の更なる実施態様は、本発明の式(I)で示される異方性化合物又はLCP混合物又はLCPネットワークを含む、光学フィルムである。好ましくは、光学フィルムは、配向された式(I)で示される異方性化合物又はLCP混合物又はLCPネットワークを含む。より好ましくは、配向品質は、傾斜ドメインがなく、均一である。
【0054】
加えて、500~1500の範囲、より好ましくは、1500~3000の範囲、とりわけ、3000超の高いコントラスト比を有する光学フィルムが好ましい。
【0055】
広い波長帯域にわたって偏光の逆位相差パターンを示す本発明のLCPを含む光学フィルムがさらに好ましい。本発明の光学フィルムは、好ましくは、逆波長分散を有する複屈折を有する。Re450/Re550は、1.0未満であり、好ましくは、R450/Re550は、0.88未満であり、より好ましくは、0.85未満である。一方、Re650/Re550は、1.0超であり、好ましくは、Re650/Re550は、1.01超であり、より好ましくは、1.03以上である(Re450は、450nmの波長でのフィルムの位相差を表わし、Re550は、550nmの波長でのフィルムの位相差を表わし、Re650は、650nmの波長でのフィルムの位相差を表わす)。
【0056】
ここから、本発明を、下記非限定的な実施例を参照して説明するものとする。これらの実施例は、単に例示のために提供される。本発明の範囲内にあるこれらの実施例の変更は、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0057】
下記実施例は、本発明をさらに例証し、本発明の理解を容易にするために提供され、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【0058】
実施例1
化合物1の合成
[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアートの合成
塩化オキサリル(2.5mL、29mmol)を無水トルエン 48mL中の4-(6-アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(6.98g、24mmol)、4mg 4-メトキシフェノール及び無水DMF 1mLの溶液に45℃で滴加した。2時間後、この反応混合物を0℃に冷却し、無水DMA 40mL中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.5g、11mmol)及びN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(7.8g、52mmol)の溶液に、0~5℃で滴加した。この反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。橙色の溶液を水 15mLの添加によりクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、水、ブラインで連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。表記化合物を、ジクロロメタン/メタノールから再結晶させた後に白色の固体(4.19g、56%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.04 (s, 1H), 8.08 (m, 4H), 7.82 (d,1H), 7.71 (dd, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.10 (m, 4H), 6.26 (d, 1H), 6.15 (dd, 1H), 5.90 (d, 1H), 4.09 (m, 8H), 1.72 (m, 4H), 1.60 (m, 4H), 1.39 (m, 8H)。MALDI-TOF(CHCA)709.27(M++Na)。
【0059】
9-ニトロソカルバゾールの合成
脱イオン水 24mL中の亜硝酸ナトリウム(1.65g、24mmol)の溶液をジエチルエーテル 24mL中のカルバゾール(2g、12mmol)と50% 硫酸水溶液(6mL)との懸濁液に滴加した。黄緑色の溶液を窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。この反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、2.35gの表記化合物を固体として生成した。これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0060】
9-アミノカルバゾールの合成
無水ジエチルエーテル(20mL)中の9-ニトロソカルバゾール(2.35g、12mmol)の溶液を水素化リチウムアルミニウム(1.13g、24mmol)と無水ジエチルエーテル 30mLとの懸濁液に0℃で滴加した。灰色の懸濁液を室温に1時間温めた。過剰の水素化物を酢酸エチル 10mL及び水(10mL)の連続添加によりクエンチした。この反応混合物を酢酸エチルで抽出し、Rochelle塩、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒除去後に得られた褐色の固体を、ヘキサン/ジクロロメタンの1:1混合物を使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した。表記化合物を淡ピンク色の固体(1.55g、71%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.07 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.40 (t, 2H), 7.13 (t, 2H), 5.79 (s, 2H)。
【0061】
安息香酸4-[[(6-(アクリルオキシ)ヘキシル)オキシ]ベンゾイル]オキシ]-2-[((1-E)-(9H-カルバゾール)イミノ)メチル]-1,4-フェニレン]エステルの合成
(±)10-カンファースルホン酸(23mg、0.1mmol)をテトラヒドロフラン 10mL中の[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(0.67g、1.0mmol)及び9-アミノカルバゾール(0.21g、1.2mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた褐色の溶液を周囲温度で2時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を5% 重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を水、ブラインで連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をピンク色の固体(0.82g、99%)として、ジクロロメタン/メタノールからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.18 (s, 1H), 8.21 (d, 2H), 8.13 (m, 5H), 7.72 (d, 2H), 7.50 (m, 2H), 7.26 (m, 4H), 7.13 (m, 4H), 6.31 (dt, 2H), 6.13 (dddd, 2H), 5.89 (m, 2H), 4.09 (m, 8H), 1.75 (m, 4H), 1.63 (m, 4H), 1.41 (m, 8H)。MALDI-TOF(CHCA)873.32(M++Na)。
【0062】
実施例2
化合物2の合成
9-アミノ-3-メチルカルバゾールの合成
乾燥DMF(53mL)中の3-メチルカルバゾール(4.8g、26.5mmol)及び水酸化カリウム(11.9g、212mmol)の懸濁液に、乾燥DMF(106mL)中のヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(HOSA)(5.99g、53mmol)の溶液を0℃で65分間滴加した。添加後、この反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル/ヘキサン=3/1で抽出した。有機相を水、ブラインで連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、表記化合物をベージュ色の固体(5.1g、98%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.54 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.41 (td, J = 7.7, 1.1 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 8.2, 1.4 Hz, 1H), 7.12 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 5.76 (s, 2H), 2.46 (s, 3H)。
【0063】
安息香酸4-[[(6-(アクリルオキシ)ヘキシル)オキシ]ベンゾイル]オキシ]-2-[((1-E)-(3-メチル-9H-カルバゾール)イミノ)メチル]-1,4-フェニレン]エステルの合成
(±)10-カンファースルホン酸(18.6mg、0.08mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 8mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(0.57g、0.83mmol)及び9-アミノ-3-メチル-カルバゾール(0.20g、1mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で17時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで2回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(0.42g、59%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H), 8.23 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.09-8.15 (m, 4H), 7.96 (s, 1H), 7.70 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.48-7.55 (m, 2H), 7.22-7.30 (m, 2H), 7.10-7.18 (m, 5H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.13-6.21 (m, 2H), 5.90-5.95 (m, 2H), 4.08-4.14 (m, 8H), 2.43 (s, 3H), 1.76-1.79 (m, 4H), 1.59-1.68 (m, 4H), 1.40-1.49 (m, 8H);MALDI-TOF(CHCA)887.35(M++Na)。
【0064】
実施例3
化合物3の合成
9-ニトロソ-3-フルオロカルバゾールの合成
脱イオン水 2mL中の亜硝酸ナトリウム(0.41g、6mmol)の溶液をジエチルエーテル 15mL中の3-フルオロカルバゾール(0.56g、3mmol)及び50% 硫酸水溶液(2mL)の懸濁液に0℃で滴加した。この反応混合物を窒素雰囲気下、0℃で1時間撹拌した。この反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、0.66gの表記化合物を固体として生成した。これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0065】
9-アミノ-3-フルオロカルバゾールの合成
無水ジエチルエーテル(10mL)中の9-ニトロソ-3-フルオロカルバゾール(0.66g、3mmol)の溶液を水素化リチウムアルミニウム(0.23g、6mmol)と無水ジエチルエーテル 15mLとの懸濁液に0℃で滴加した。灰色の懸濁液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物を、0℃でのメタノール 10mL及び飽和Rochelle塩溶液を加えることによりクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、ヘキサン/ジクロロメタンの1:1混合物を使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を淡黄色の固体(0.19g、2工程で32%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.11 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.95 (dd, J = 9.4, 2.5 Hz, 1H), 7.54-7.58 (m, 2H), 7.44-7.48 (m, 1H), 7.30 (td, J = 9.3, 2.7 Hz, 1H), 7.13-7.17 (m, 1H), 5.85 (s, 2H)。
【0066】
安息香酸4-[[(6-(アクリルオキシ)ヘキシル)オキシ]ベンゾイル]オキシ]-2-[((1-E)-(3-フルオロ-9H-カルバゾール)イミノ)メチル]-1,4-フェニレン]エステルの合成
(±)10-カンファースルホン酸(18.6mg、0.08mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 8mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(0.51g、0.75mmol)及び9-アミノカルバゾール(0.18g、0.9mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で4時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(0.59g、90%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H), 8.20-8.26 (m, 4H), 8.15 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.66 (dt, J = 8.7, 3.4 Hz, 2H), 7.32-7.41 (m, 3H), 7.00-7.08 (m, 6H), 6.41 (dt, J = 17.4, 1.6 Hz, 2H), 6.10-6.17 (m, 2H), 5.83 (dq, J = 10.5, 1.5 Hz, 2H), 4.20 (t, J = 6.6 Hz, 4H), 4.08 (td, J = 6.4, 3.2 Hz, 4H), 1.83-1.91 (m, 4H), 1.70-1.78 (m, 4H), 1.45-1.60 (m, 8H);MALDI-TOF(CHCA)891.33(M++Na)。
【0067】
実施例4
化合物4の合成
9-ニトロソ-2-フルオロカルバゾールの合成
脱イオン水 2mL中の亜硝酸ナトリウム(0.41g、6mmol)の溶液をジエチルエーテル 15mL中の3-フルオロカルバゾール(0.56g、3mmol)及び50% 硫酸水溶液(2mL)の懸濁液に0℃で滴加した。この反応混合物を窒素雰囲気下、0℃で1時間撹拌した。この反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、0.60gの表記化合物を固体として生成した。これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0068】
9-アミノ-2-フルオロカルバゾールの合成
無水ジエチルエーテル(10mL)中の9-ニトロソ-2-フルオロカルバゾール(0.59g、3mmol)の溶液を水素化リチウムアルミニウム(0.23g、6mmol)と無水ジエチルエーテル 15mLとの懸濁液に0℃で滴加した。灰色の懸濁液を室温で19時間撹拌した。この反応混合物を、0℃でのメタノール 10mL及び飽和Rochelle塩溶液を加えることによりクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、ヘキサン/ジクロロメタンの1:1混合物を使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を淡黄色の固体(0.17g、2工程で26%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.08-8.13 (m, 2H), 7.56-7.58 (m, 1H), 7.41-7.45 (m, 1H), 7.30 (dd, J = 10.1, 2.3 Hz, 1H), 7.16-7.20 (m, 1H), 6.96-7.01 (m, 1H), 5.86 (s, 2H)。
【0069】
安息香酸4-[[(6-(アクリルオキシ)ヘキシル)オキシ]ベンゾイル]オキシ]-2-[((1-E)-(2-フルオロ-9H-カルバゾール)イミノ)メチル]-1,4-フェニレン]エステルの合成
(±)10-カンファースルホン酸(16.3mg、0.07mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 7mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(0.48g、0.70mmol)及び9-アミノカルバゾール(0.167g、0.83mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で2時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(0.47g、77%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.20 (s, 1H), 8.13-8.24 (m, 7H), 7.74-7.76 (m, 1H), 7.51-7.57 (m, 3H), 7.25-7.30 (m, 2H), 7.09-7.16 (m, 5H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.13-6.21 (m, 2H), 5.91-5.95 (m, 2H), 4.07-4.13 (m, 8H), 1.74-1.80 (m, 4H), 1.61-1.68 (m, 4H), 1.40-1.51 (m, 8H);MALDI-TOF(CHCA)891.34(M++Na)。
【0070】
実施例5
化合物5の合成
9-ニトロソ-3-tert-ブチルカルバゾールの合成
脱イオン水 1.2mL中の亜硝酸ナトリウム(0.28g、4mmol)の溶液をジエチルエーテル 10mL中の3-tert-ブチルカルバゾール(0.45g、2mmol)及び50% 硫酸水溶液(1.2mL)の懸濁液に0℃で滴加した。この反応混合物を窒素雰囲気下、0℃で30分間撹拌した。この反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、0.49gの表記化合物を固体として生成した。これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0071】
9-アミノ-3-tert-ブチルカルバゾールの合成
無水テトラヒドロフラン(7mL)中の9-ニトロソ-3-tert-ブチルカルバゾール(0.49g、3mmol)の溶液を水素化リチウムアルミニウム(0.19g、6mmol)と無水テトラヒドロフラン 10mLとの懸濁液に0℃で滴加した。この懸濁液を室温で1時間撹拌した。この反応混合物を、0℃でのメタノール 10mL及び飽和Rochelle塩溶液を加えることによりクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、ヘキサン/ジクロロメタンの7:3混合物を使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を黄色の固体(0.17g、2工程で35%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.08-8.11 (m, 2H), 7.47-7.55 (m, 3H), 7.40 (td, J = 7.7, 1.1 Hz, 1H), 7.10-7.14 (m, 1H), 5.75 (s, 2H), 1.39 (s, 9H)。
【0072】
安息香酸4-[[(6-(アクリルオキシ)ヘキシル)オキシ]ベンゾイル]オキシ]-2-[((1-E)-(3-tert-ブチル-9H-カルバゾール)イミノ)メチル]-1,4-フェニレン]エステルの合成
(±)10-カンファースルホン酸(13mg、0.06mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 6mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(0.40g、0.58mmol)及び9-アミノ-3-tert-ブチルカルバゾール(0.168g、0.70mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(0.46g、88%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.16 (s, 1H), 8.25 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.13-8.20 (m, 5H), 7.74 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.49-7.59 (m, 3H), 7.14-7.33 (m, 7H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.13-6.21 (m, 2H), 5.91-5.95 (m, 2H), 4.10-4.14 (m, 8H), 1.75-1.81 (m, 4H), 1.62-1.69 (m, 4H), 1.41-1.51 (m, 8H), 1.35 (s, 9H);MALDI-TOF(CHCA)929.37(M++Na)。
【0073】
実施例6
化合物6の合成
9-アミノ-3,6-ジメチルカルバゾールの合成
乾燥DMF(19mL)中の3,6-ジメチルカルバゾール(1.88g、9.6mmol)及び水酸化カリウム(8.6g、154mmol)の懸濁液に、乾燥DMF(38mL)中のヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(HOSA)(2.17g、19.2mmol)の溶液を0℃で10分間滴加した。この反応混合物を室温で撹拌し、水でクエンチし、酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合物で抽出した。有機相を水、ブラインで連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンの1:4混合物を使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を白色の固体(1.7g、85%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.82 (s, 2H), 7.42 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.23 (dd, J = 8.2, 1.4 Hz, 2H), 5.70 (s, 2H), 2.45 (s, 6H)。
【0074】
安息香酸4-[[(6-(アクリルオキシ)ヘキシル)オキシ]ベンゾイル]オキシ]-2-[((1-E)-(3,6-ジメチル-9H-カルバゾール)イミノ)メチル]-1,4-フェニレン]エステルの合成
(±)10-カンファースルホン酸(46.5mg、0.2mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 20mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(1.37g、2.0mmol)及び9-アミノ-3,6-ジメチルカルバゾール(0.50g、2.4mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(541mg、74%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.08 (s, 1H), 8.22 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.14 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.12 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.90 (s, 2H), 7.59 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.08 (dd, J = 8.7, 1.4 Hz, 2H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.12-6.21 (m, 2H), 5.90-5.95 (m, 2H), 4.06-4.15 (m, 8H), 2.42 (s, 6H), 1.77 (td, J = 12.8, 6.6 Hz, 4H), 1.59-1.68 (m, 4H), 1.41-1.52 (m, 8H);MALDI-TOF(CHCA)901.35(M++Na)。
【0075】
実施例7
化合物7の合成
2-[(E)-カルバゾール-9-イルイミノメチル]ベンゼン-1,4-ジオールの合成
乾燥エタノール(16.7mL)中の9-アミノカルバゾール(0.33g、1.84mmol)の溶液に、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(0.23g、1.67mmol)を加えた。この反応混合物を撹拌しながら、周囲温度で4時間還流した。反応完了後、この反応混合物を0℃に冷却し、沈殿を生じた。ろ過し、ヘキサンで洗浄して、表記化合物を淡黄色の固体(0.42g、83%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.33 (s, 1H), 8.21 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.80 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.49-7.53 (m, 2H), 7.38 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.28-7.32 (m, 2H), 6.77-6.82 (m, 2H)。
【0076】
[2-[(E)-カルバゾール-9-イルイミノメチル]-4-ヒドロキシ-フェニル] 4-プロピルシクロヘキサンカルボキシラートの合成
乾燥ジクロロメタン(2mL)中の2-[(E)-カルバゾール-9-イルイミノメチル]ベンゼン-1,4-ジオール(0.5g、1.65mmol)、trans-4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸(295mg、1.73mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(20.8mg、0.17mmol)の溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)(320μL、1.82mmol)を加えた。この反応混合物を周囲温度で23時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンの1:8混合物を使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物をベージュ色の固体(452mg、60%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.40 (s, 1H), 8.24 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.88 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.52-7.56 (m, 2H), 7.34 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.07 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 2.07-2.11 (m, 2H), 1.78-1.82 (m, 2H), 1.41-1.51 (m, 2H), 1.14-1.34 (m, 6H), 0.93-1.03 (m, 2H), 0.86 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
【0077】
[4-[trans-4-[[(プロピルシクロヘキシル)カルボニル]オキシ]]-2-[(1-E)-(9H-カルバゾール-9-アミノ)]-1,4-(N-フェニルメチレン)]エステル-4-(アクリルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(化合物7)の合成
乾燥ジクロロメタン(2mL)中の[2-[(E)-カルバゾール-9-イルイミノメチル]-4-ヒドロキシ-フェニル] 4-プロピルシクロヘキサンカルボキシラート(452mg、1mmol)、4-[(6-(アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(321mg、1.1mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(12.2mg、0.1mmol)の溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)(211μL、1.2mmol)を加えた。この反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物を白色の固体(1.51g、86%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.18 (s, 1H), 8.16-8.23 (m, 4H), 7.97 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.26-7.37 (m, 5H), 7.14-7.17 (m, 2H), 6.29-6.33 (m, 1H), 6.13-6.20 (m, 1H), 5.92 (dd, J = 10.1, 1.8 Hz, 1H), 4.11 (t, J = 6.6 Hz, 4H), 2.14 (dd, J = 13.7, 3.2 Hz, 2H), 1.73-1.84 (m, 4H), 1.61-1.68 (m, 2H), 1.40-1.56 (m, 6H), 1.16-1.35 (m, 4H), 0.96-1.08 (m, 2H), 0.87 (t, J = 7.3 Hz, 3H);MALDI-TOF(CHCA)751.35(M++Na)。
【0078】
実施例8
化合物8の合成
1-メチル-2-(2-ニトロフェニル)ベンゼンの合成
丸底フラスコに、2-メチルフェニルボロン酸(2.04g、15mmol)、2-クロロニトロベンゼン(1.58g、10mmol)、リン酸三カリウム(6.37g、30mmol)、酢酸パラジウム(II)(67mg、0.3mmol)、ジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル]ホスファン(X-Phos)(286mg、0.6mmol)、テトラヒドロフラン(20mL)及び水(2mL)を充填した。この混合物を窒素雰囲気下、40℃で2時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、ジクロロメタンで希釈し、セライトパッドを通してろ過した。ろ液を水及びブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を黄色の油状物(1.94g、91%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.05 (dd, J = 8.0, 1.1 Hz, 1H), 7.77 (td, J = 7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.65 (td, J = 7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 7.3, 1.4 Hz, 1H), 7.28-7.33 (m, 2H), 7.20-7.26 (m, 1H), 7.08 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 2.03 (s, 3H).
【0079】
4-メチル-9H-カルバゾールの合成
丸底フラスコに、2-ニトロ-2’-メチルビフェニル(1.94g、9.1mmol)、トリフェニルホスフィン(5.97g、22.7mmol)及びo-ジクロロベンゼン(18mL)を充填した。この混合物を175℃で17時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、ジクロロメタン/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物をベージュ色の固体(1.23g、75%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.27 (s, 1H), 8.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.37 (td, J = 7.5, 0.9 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.26 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.14-7.18 (m, 1H), 6.93 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 2.79 (s, 3H)。
【0080】
4-メチルカルバゾール-9-アミンの合成
乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)(14mL)中の4-メチルカルバゾール(1.23g、6.79mmol)及び水酸化カリウム(3.05g、54.3mmol)の懸濁液に、乾燥DMF(28mL)中のヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(HOSA)(1.54g、13.6mmol)の溶液を0℃で30分間滴加した。この反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で3回及びブラインで連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、表記化合物をベージュ色の固体(1.27g、95%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.42-7.49 (m, 2H), 7.32-7.37 (m, 1H), 7.14-7.19 (m, 1H), 6.95 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.81 (s, 2H), 2.79 (s, 3H)。
【0081】
安息香酸[3-[(E)-(4-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアートの合成
(±)10-カンファースルホン酸(34.8mg、0.15mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 15mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(1.03g、1.5mmol)及び9-アミノ-4-メチルカルバゾール(0.31g、1.58mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で22時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(1.03g、79%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.21 (s, 1H), 8.22 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.12-8.16 (m, 4H), 7.77-7.79 (m, 1H), 7.61 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.51-7.57 (m, 2H), 7.27-7.34 (m, 2H), 7.14-7.23 (m, 5H), 7.07 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.13-6.21 (m, 2H), 5.90-5.95 (m, 2H), 4.10-4.13 (m, 8H), 2.78 (s, 3H), 1.74-1.80 (m, 4H), 1.60-1.68 (m, 4H), 1.36-1.51 (m, 8H);MALDI-TOF(CHCA)887.34(M++Na)。
【0082】
実施例9
化合物9の合成
4-フルオロ-1-(4-フルオロフェニル)-2-ニトロ-ベンゼンの合成
丸底フラスコに、4-フルオロフェニルボロン酸(2.10g、15mmol)、1-クロロ-4-フルオロ-2-ニトロベンゼン(1.75g、10mmol)、リン酸三カリウム(6.37g、30mmol)、酢酸パラジウム(II)(112mg、0.5mmol)、ジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル]ホスファン(X-Phos)(477mg、1mmol)、テトラヒドロフラン(20mL)及び水(2mL)を充填した。この混合物を窒素雰囲気下、40℃で14時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、ジクロロメタンで希釈し、セライトパッドを通してろ過した。ろ液を水及びブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、ジクロロメタン/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を黄色の固体(2.17g、92%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.60-7.63 (m, 1H), 7.33-7.43 (m, 2H), 7.23-7.28 (m, 2H), 7.09-7.15 (m, 2H)。
【0083】
2,7-ジフルオロ-9H-カルバゾールの合成
丸底フラスコに、4-フルオロ-2-ニトロ-4’-フルオロビフェニル(1.15g、4.89mmol)、トリフェニルホスフィン(3.21g、12.2mmol)及びo-ジクロロベンゼン(10mL)を充填した。この混合物を175℃で17時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、ジクロロメタン/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物をベージュ色の固体(0.73g、74%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.48 (s, 1H), 8.09 (dd, J = 8.7, 5.5 Hz, 2H), 7.25 (dd, J = 10.1, 2.3 Hz, 2H), 6.97-7.02 (m, 2H)。
【0084】
2,7-ジフルオロカルバゾール-9-アミンの合成
乾燥DMF(10mL)中の2,7-ジフルオロカルバゾール(1.0g、5mmol)及び水酸化カリウム(2.24g、40mmol)の懸濁液に、乾燥DMF(20mL)中のヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(HOSA)(1.13g、10mmol)の溶液を0℃で30分間滴加した。この反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で3回及びブラインで連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を黄色の固体(0.39g、36%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (dd, J = 8.7, 5.5 Hz, 2H), 7.30 (dd, J = 10.1, 2.3 Hz, 2H), 6.98-7.03 (m, 2H), 5.90 (s, 2H)。
【0085】
[3-[(E)-(2,7-ジフルオロカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアートの合成
(±)10-カンファースルホン酸(39.7mg、0.17mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 17mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(1.17g、1.71mmol)、9-アミノ-2,7-ジフルオロカルバゾール(0.39g、1.79mmol)及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシルフリーラジカル(0.3mg、0.002mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を窒素雰囲気下、周囲温度で23時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(1.38g、91%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.18 (s, 1H), 8.13-8.22 (m, 7H), 7.54-7.57 (m, 4H), 7.10-7.17 (m, 6H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.13-6.21 (m, 2H), 5.90-5.95 (m, 2H), 4.08-4.13 (m, 8H), 1.73-1.82 (m, 4H), 1.61-1.68 (m, 4H), 1.36-1.51 (m, 8H);MALDI-TOF(CHCA)909.32(M++Na)。
【0086】
実施例10
化合物10の合成
3-メトキシ-9H-カルバゾールの合成
丸底フラスコに、シクロヘキサノン(1.03mL、10mmol)、4-メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(2.62g、15mmol)及び乾燥1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(20mL)を充填した。この混合物を140℃で19時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、水でクエンチした。この反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で2回及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を橙色の固体(0.61g、31%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (s, 1H), 8.07 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.31-7.43 (m, 3H), 7.07-7.11 (m, 1H), 7.00 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H)。
【0087】
3-メトキシカルバゾール-9-アミンの合成
乾燥DMF(6mL)中の3-メトキシカルバゾール(0.59g、3mmol)及び水酸化カリウム(1.35g、24mmol)の懸濁液に、乾燥DMF(12mL)中のヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(HOSA)(0.68g、6mmol)の溶液を0℃で12分間滴加した。この反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で3回及びブラインで連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、ジクロロメタン/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を白色の固体(0.35g、55%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.07 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.38-7.42 (m, 1H), 7.07-7.12 (m, 2H), 5.75 (s, 2H), 3.84 (s, 3H)。
【0088】
[3-[(E)-(3-メトキシカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアートの合成
(±)10-カンファースルホン酸(35mg、0.15mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 15mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(1.03g、1.5mmol)、9-アミノ-3-メトキシカルバゾール(0.33g、1.58mmol)及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシルフリーラジカル(TEMPO-OH)(3mg、0.02mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で19時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(1.27g、96%)として、ジクロロメタン/メタノールからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.12 (s, 1H), 8.23 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.12-8.16 (m, 4H), 7.76 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.65-7.71 (m, 2H), 7.47-7.55 (m, 2H), 7.22-7.31 (m, 2H), 7.14-7.19 (m, 4H), 6.87 (dd, J = 8.9, 2.5 Hz, 1H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.13-6.21 (m, 2H), 5.90-5.95 (m, 2H), 4.08-4.15 (m, 8H), 1.74-1.82 (m, 4H), 1.59-1.69 (m, 4H), 1.37-1.51 (m, 8H);MALDI-TOF(CHCA)903.34(M++Na)。
【0089】
実施例11
化合物11の合成
3-(4-tert-ブチルフェニル)-9H-カルバゾールの合成
丸底フラスコに、3-インドカルバゾール(1.47g、5mmol)、4-tert-ブチルフェニルボロン酸(1.34g、7.5mmol)、リン酸三カリウム(3.18g、15mmol)、酢酸パラジウム(II)(56.1mg、0.25mmol)、ジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-フェニル]ホスファン(X-Phos)(238mg、0.5mmol)、テトラヒドロフラン(10mL)及び水(1mL)を充填した。この混合物を窒素雰囲気下、40℃で23時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、ジクロロメタンで希釈し、セライトパッドを通してろ過した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物をベージュ色の固体(1.29g、86%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.28 (s, 1H), 8.38 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.66-7.69 (m, 3H), 7.53 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.50 (m, 3H), 7.36-7.40 (m, 1H), 7.14-7.18 (m, 1H), 1.33 (s, 9H)。
【0090】
3-(4-tert-ブチルフェニル)カルバゾール-9-アミンの合成
乾燥1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(26mL)中の3-(4-tert-ブチルフェニル)カルバゾール(0.57g、1.9mmol)及びカリウムtert-ブトキシド(0.32g、2.8mmol)の懸濁液に、乾燥1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(15mL)中のO-(4-ニトロベンゾイル)ヒドロキシルアミン(NBzONH2)(0.42g、2.3mmol)の溶液を周囲温度で10分間滴加した。この反応混合物を室温で10分間撹拌し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で3回及びブラインで連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、表記化合物をベージュ色の固体(0.56g、94%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.39 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.75 (dd, J = 8.7, 1.8 Hz, 1H), 7.66-7.70 (m, 2H), 7.64 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.44-7.50 (m, 3H), 7.14-7.20 (m, 1H), 5.86 (s, 2H), 1.33 (s, 9H)。
【0091】
[3-[(E)-[3-(4-tert-ブチルフェニル)カルバゾール-9-イル]イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアートの合成
(±)10-カンファースルホン酸(39mg、0.17mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(17mL)中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(1.17g、1.7mmol)、9-アミノ-3-(4-tert-ブチルフェニル)カルバゾール(0.56g、1.78mmol)及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシルフリーラジカル(TEMPO-OH)(3mg、0.02mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で17時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物を灰色の固体(1.40g、84%)として、ジクロロメタン/メタノールからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.22 (s, 1H), 8.46 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.24-8.26 (m, 3H), 8.13-8.17 (m, 3H), 7.73-7.78 (m, 2H), 7.66 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.48-7.57 (m, 5H), 7.27-7.36 (m, 2H), 7.14-7.20 (m, 4H), 6.28-6.34 (m, 2H), 6.11-6.21 (m, 2H), 5.89-5.95 (m, 2H), 4.06-4.14 (m, 8H), 1.73-1.80 (m, 4H), 1.58-1.69 (m, 4H), 1.36-1.51 (m, 8H), 1.32 (s, 9H)。
【0092】
実施例12
化合物12の合成
3-(o-トリル)-9H-カルバゾールの合成
丸底フラスコに、3-インドカルバゾール(1.47g、5mmol)、2-メチルフェニルボロン酸(1.02g、7.5mmol)、リン酸三カリウム(3.18g、15mmol)、酢酸パラジウム(II)(56.1mg、0.25mmol)、ジシクロヘキシル-[2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-フェニル]ホスファン(X-Phos)(238mg、0.5mmol)、テトラヒドロフラン(10mL)及び水(1mL)を充填した。この混合物を窒素雰囲気下、40℃で19時間撹拌した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、ジクロロメタンで希釈し、セライトパッドを通してろ過した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表記化合物を橙色の固体(0.91g、71%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.29 (s, 1H), 8.14 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.48-7.52 (m, 2H), 7.36-7.40 (m, 1H), 7.23-7.35 (m, 5H), 7.12-7.16 (m, 1H), 2.28 (s, 3H)。
【0093】
3-(o-トリル)カルバゾール-9-アミンの合成
乾燥1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(45.5mL)中の3-(2-メチルフェニル)カルバゾール(0.91g、3.5mmol)及びカリウムtert-ブトキシド(0.59g、5.25mmol)の懸濁液に、乾燥1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(28mL)中のO-(4-ニトロベンゾイル)ヒドロキシルアミン(NBzONH2)(0.77g、4.2mmol)の溶液を周囲温度で25分間滴加した。この反応混合物を室温で30分間撹拌し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で3回及びブラインで連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、表記化合物を褐色の油状物(0.85g、定量)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.14 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 7.61 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.40-7.47 (m, 2H), 7.24-7.33 (m, 4H), 7.14-7.18 (m, 1H), 5.86 (s, 2H), 2.28 (s, 3H)。
【0094】
[3-[(E)-[3-(o-トリル)カルバゾール-9-イル]イミノメチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアートの合成
(±)10-カンファースルホン酸(32.5mg、0.14mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 14mL中の実施例1に記載された[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾアート(0.96g、1.4mmol)、9-アミノ-3-(2-メチルフェニル)カルバゾール(0.41g、1.51mmol)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシルフリーラジカル(TEMPO-OH)(2.4mg、0.014mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で22時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(1.03g、78%)として、ジクロロメタン/メタノールからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.24 (s, 1H), 8.25 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.22 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.14-8.18 (m, 4H), 7.78 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.51-7.57 (m, 2H), 7.26-7.36 (m, 6H), 7.19-7.22 (m, 1H), 7.14-7.17 (m, 4H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.12-6.20 (m, 1H), 5.90-5.94 (m, 2H), 4.05-4.14 (m, 8H), 2.24 (s, 3H), 1.68-1.80 (m, 4H), 1.57-1.67 (m, 4H), 1.35-1.51 (m, 8H)。
【0095】
実施例13
化合物13の合成
4-クロロカルボニルオキシブチル プロパ-2-エノアートの合成
乾燥ジクロロメタン(45mL)中のトリホスゲン(12.5g、42mmol)の溶液に、乾燥ジクロロメタン(30mL)中の4-ヒドロキシブチルアクリラート(16.6mL、120mmol)の溶液を窒素雰囲気下、周囲温度で5分間滴加した。この混合物を-5℃に冷却し、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシルフリーラジカル(2mg、0.01mmol)、ピリジン(9.69mL、120mmol)及び乾燥ジクロロメタン(48mL)の混合物を30分間滴加した。この反応混合物を周囲温度で22時間撹拌した。ジクロロメタンを減圧下で除去し、残留物をろ過し、酢酸エチルで2回洗浄した。溶媒を減圧下で除去して、表記化合物を無色の油状物(28.9g、定量)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.41 (dd, J = 17.2, 1.6 Hz, 1H), 6.12 (dd, J = 17.4, 10.5 Hz, 1H), 5.85 (dd, J = 10.5, 1.4 Hz, 1H), 4.37 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 4.21 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 1.76-1.89 (m, 4H)。
【0096】
4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)安息香酸の合成
ジメチルホルムアミド(DMF)(61mL)及び水(77mL)中の4-ヒドロキシ安息香酸(9.54g、69.1mmol)の溶液に、10% 水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを10に調整した。この混合物に、4-クロロカルボニルオキシブチル プロパ-2-エノアート(15.7g、76mmol)を10分間ゆっくりと加えた。pHを、10% 水酸化ナトリウム水溶液を加えることにより、10に調整した。この反応混合物を周囲温度で22時間撹拌し、氷浴上で1M HCl水溶液(pH2)でクエンチした。白色沈殿をろ過し、水で2回洗浄し、真空中で乾燥させて、表記化合物を白色の固体(22.8g、定量)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.98 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.32 (dd, J = 17.4, 1.4 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 17.4, 10.5 Hz, 1H), 5.94 (dd, J = 10.3, 1.6 Hz, 1H), 4.25 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 4.15 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 1.68-1.79 (m, 4H)。
【0097】
[3-ホルミル-4-[4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]オキシフェニル] 4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ベンゾアートの合成
無水トルエン(44mL)及び無水ジメチルホルムアミド(DMF)(2mL)中の4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)安息香酸(6.78g、22mmol)及び4-メトキシフェノール(2.5mg、0.02mmol)の溶液に、塩化オキサリル(2.3mL、26mmol)を45℃で5分間滴加した。18時間撹拌した後、この反応混合物を周囲温度まで冷却し、無水DMA(33mL)中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.38g、10mmol)及びN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(7.48g、50mmol)の溶液に0~5℃で30分間滴加した。この反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。この反応混合物を氷浴上で、1M HCl水溶液及び水を添加することによりクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、水、ブラインで連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。表記化合物を白色の固体(3.26g、45%)として、ジクロロメタン/メタノールからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.19 (s, 1H), 8.28-8.30 (m, 2H), 8.24-8.27 (m, 2H), 7.81 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.9, 3.0 Hz, 1H), 7.36-7.42 (m, 5H), 6.43 (dd, J = 17.4, 1.4 Hz, 2H), 6.14 (dd, J = 17.4, 10.5 Hz, 2H), 5.85 (dd, J = 10.3, 1.6 Hz, 2H), 4.33-4.36 (m, 4H), 4.21-4.26 (m, 4H), 1.80-1.92 (m, 8H)。
【0098】
[3-[(E)-(3-メチルカルバゾール-9-イル)イミノメチル]-4-[4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ベンゾアートの合成
(±)10-カンファースルホン酸(34.8mg、0.15mmol)を乾燥テトラヒドロフラン 15mL中の[3-ホルミル-4-[4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル] 4-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ベンゾアート(1.08g、1.5mmol)及び9-アミノ-3-メチルカルバゾール(0.31g、1.6mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で23時間撹拌した。反応完了後、この反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。表記化合物をベージュ色の固体(1.21g、89%)として、ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化後に得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.21 (s, 1H), 8.38 (dd, J = 6.6, 2.1 Hz, 2H), 8.28 (dd, J = 6.9, 2.3 Hz, 2H), 8.21 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.62-7.66 (m, 1H), 7.52-7.60 (m, 6H), 7.23-7.32 (m, 2H), 7.12-7.15 (m, 1H), 6.31-6.37 (m, 2H), 6.15-6.22 (m, 2H), 5.93-5.97 (m, 2H), 4.27-4.32 (m, 4H), 4.16-4.18 (m, 4H), 2.44 (s, 3H), 1.71-1.81 (m, 8H)。
【0099】
実施例14
相転移温度及び中間相テクスチャを、実施例1~13に記載された化合物1~13と、比較例として使用される化合物R1(WO第12141245号)及び化合物R2(WO第9700600号)とを使用して、以下に記載されるように示差走査熱量測定及び偏光光学顕微鏡法により決定した。
【化5】
【0100】
偏光光学顕微鏡測定のために、3mgの化合物をホットステージオーブン中の2枚のスライドガラスの間に置き、25℃から200℃に加熱し、ついで、再度25℃に冷却した。特性複屈折テクスチャを、偏光光学顕微鏡を使用して分析した。
【0101】
示差走査熱量測定のために、約5mgの化合物を密封されたアルミニウムパンに入れ、10℃/分の走査速度で2つの連続する加熱-冷却サイクルに供した。転移温度をDSCサーモグラムの得られた吸熱ピーク/発熱ピークから決定した。
【0102】
偏光光学顕微鏡測定及び示差走査熱量測定から得られる全ての相転移温度(T)を表1にまとめる。化合物の状態を固体結晶相については「Cr」、ネマチック液晶相については「N」、等方性液体状態については「Iso」として示す。化合物3及び4は、等方化に達する前に熱重合を受けた。
【0103】
【0104】
実施例15
化合物1~13からラビングされた基材上にLC被覆されたフィルムを調製するための一般的な手順
0.26gの液晶化合物をシクロペンタノン 830μLに溶解させた。1wt.%のBYK361のシクロペンタノン溶液 13μLを加え、得られた溶液を0.45μmのPTFEフィルターを通してろ過した。13mgのIrgacure 907を加えて、重合性組成物を生成した。
【0105】
重合性組成物を(EHCにより製造された)ラビング層により被覆されたガラス基板に適用した。表2に示される温度で4分間フィルムを乾燥/アニーリングした後、フィルムを1000mJ/cm2の線量で、UVスポットキュア(Ushio製のSP-7)を使用して光硬化させた。UV暴露を表2に記載される温度で行った。
【0106】
【0107】
実施例16
可視領域(400~700nm)における位相差を、偏光光学顕微鏡、Senarmont補償器及び光学フィルターを使用する偏光回転法により測定した。面内位相差R
0を特定の波長λにおける消光位置θから、下記式:
【数1】
を使用して決定する。
【0108】
フィルム厚さdを、Bruker製のDektak(登録商標)スタイラスプロファイラーを使用して測定する。フィルムの複屈折Δnは、式:R0=Δn.dから導かれる。
【0109】
図1は、例R2と比較した実施例1~13についての複屈折の波長分散を示す。
【0110】
実施例17
化合物1~13からの光配向層上にLC被覆フィルムを調製するための一般的な手順
光配向材料を使用した配向層の調製
ガラス基板に、光配向組成物(WO第2012/085048号の第40頁の適用例に記載されたシクロペンタノン中の2% 固形分の光配向ポリマー)をスピンコーティングした。フィルムを80℃で30秒間乾燥させ、得られたフィルム厚さは、約100nmであった。ついで、このフィルムを配向光に暴露させた。この配向光を500mJ/cm2のコリメートされかつ直線偏光されたUV(LPUV)光(280~320nm)とした。偏光面は、基板上の基準エッジに関して0°であった。
【0111】
LC配合の調製
15.0w%のLC溶液を、14.63w%のLC、0.075w%の(早期重合を防止するための)阻害剤である2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.30w%の光開始剤Irgacure 369をシクロヘキサノン中で混合し、固体が室温で完全に溶解するまで十分に撹拌することにより調製する。被覆液を、上記配向層を有するガラス板上に適用して、スピンコーティングにより液晶フィルムを形成した。表3に示される時間及び温度でフィルムを乾燥させた後、フィルムサンプルを室温まで冷却し、ついで、N2雰囲気下、表3に記載される温度で約2分間水銀灯を使用したUV光での照射により光重合して、液晶の配向状態を固定する。
【0112】
【0113】
実施例18
実施例17で作製されたフィルムの位相差をエリプソメトリーにより測定した。
図2は、実施例17で作製されたフィルムの位相差分散を示す。
【0114】
上記された結果から、可視光領域における波長の増加に伴って位相差が大きくなる液晶フィルムが製造されたことが示された。