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特許7578615シングルおよびマルチプロジェクタのための光学スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】シングルおよびマルチプロジェクタのための光学スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20241029BHJP
   G02B 6/35 20060101ALI20241029BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241029BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241029BHJP
   H04N 13/363 20180101ALI20241029BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G02B6/35
G03B21/00 D
H04N5/74 H
H04N13/363
G02B27/01
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021566319
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 US2020032248
(87)【国際公開番号】W WO2020227693
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】62/845,263
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/847,172
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】アートソン,ジョン フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】リッペイ,バレット
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10025174(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第103428510(CN,A)
【文献】国際公開第2016/116975(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/064374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B6/35
26/00-26/08
27/00-30/60
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
13/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の目用の光を出射するように構成された第1の光源であって、前記第1の目用の光は第1の波長の組を含む、第1の光源と、
第2の目用の光を出射するように構成された第2の光源であって、前記第2の目用の光は第2の波長の組を含む、第2の光源と、
第1の入力光を受光するように構成された第1の投影光学系を有する第1のプロジェクタと、
第2の入力光を受光するように構成された第2の投影光学系を有する第2のプロジェクタと、
第1のモードと第2のモードとを切り替えられるように構成された光学スイッチと、を備え、
前記光学スイッチは、
前記第1のモードにおいて、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を結合して結合光とし、前記結合光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導き、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光のいずれも前記第2の投影光学系には導かず、
前記第2のモードにおいて、前記第1の目用の光を前記第2の入力光として前記第2の投影光学系に導き、前記第2の目用の光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導くように構成されている、
投影システム。
【請求項2】
前記第2の投影光学系は、画像データに応じて前記第2の入力光に対して空間的変調を行うように構成された空間光変調器を有し、それによって、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、第1の目用の投影画像を生成する、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記光学スイッチは反射素子および第1のフィルタを有し、
前記光学スイッチが前記第1のモードにあるとき、
前記反射素子は、前記第1の目用の光を前記第1の目用の反射光として前記第1のフィルタへ反射するように構成され、
前記第1のフィルタは、前記第2の目用の光の第1の部分を反射し、前記第2の目用の光の第2の部分を前記結合光の第1の部分として透過し、かつ、前記第1の目用の反射光を前記結合光の第2の部分として反射するように構成されている、
請求項1に記載の投影システム。
【請求項4】
前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、
前記反射素子は、前記第1の目用の光を前記第2のプロジェクタへ通過させるように構成されている、
請求項3に記載の投影システム。
【請求項5】
前記第2のプロジェクタは、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第1の目用の光の第1の部分を反射しかつ前記第1の目用の光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するように構成された第2のフィルタを有する、
請求項に記載の投影システム。
【請求項6】
前記第1の投影光学系は、画像データに応じて前記第1の入力光に対して空間的変調を行うように構成された空間光変調器を有し、それによって、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるときは、第2の目用の投影画像を生成し、前記光学スイッチが前記第1のモードにあるときは、結合された投影画像を生成する、請求項1に記載の投影システム。
【請求項7】
前記光学スイッチは第1のフィルタおよび反射素子を有し、
前記光学スイッチが前記第1のモードにあるとき、
前記第1のフィルタは、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を、前記結合光として前記第1の投影光学系へ通過させるように構成されている、
請求項1に記載の投影システム。
【請求項8】
前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、
前記第1のフィルタは、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光の第1の部分を第1の目用の反射光として前記反射素子へ反射し、かつ前記第2の目用の光の第2の部分を前記第1の入力光として透過するように構成され、
前記反射素子は、前記第1の目用の反射光を前記第2のプロジェクタに導くように構成されている、
請求項に記載の投影システム。
【請求項9】
前記第2のプロジェクタは、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第1の目用の反射光の第1の部分を反射しかつ前記第1の目用の反射光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するように構成された第2のフィルタを有している、請求項に記載の投影システム。
【請求項10】
前記第1の光源および前記第2の光源はレーザ光源である、請求項1からのいずれかに記載の投影システム。
【請求項11】
第1の光源により第1の目用の光を出射するステップであって、前記第1の目用の光は第1の波長の組を含む、ステップと、
第2の光源により第2の目用の光を出射するステップであって、前記第2の目用の光は第2の波長の組を含む、ステップと、
第1の投影光学系を有する第1のプロジェクタにより第1の入力光を受光するステップと、
第2の投影光学系を有する第2のプロジェクタにより第2の入力光を受光するステップと、
光学スイッチを第1のモードと第2のモードとの間で切り替えるステップと、を含み、
前記光学スイッチは、前記第1のモードにおいて、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を結合して結合光とし、前記結合光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導き、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光のいずれも前記第2の投影光学系には導かず、
前記第2のモードにおいて、前記第1の目用の光を前記第2の入力光として前記第2の投影光学系に導き、前記第2の目用の光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導くように構成されている、
画像投影方法。
【請求項12】
前記光学スイッチは反射素子および第1のフィルタを有し、
前記光学スイッチを前記第1のモードに切り替えることは、
前記反射素子を第1の位置に移動することにより、前記第1の目用の光を第1の目用の反射光として前記第1のフィルタへ反射することと、
前記第1のフィルタに、前記第2の目用の光の第1の部分を反射させ、前記第2の目用の光の第2の部分を前記結合光の第1の部分として透過させ、かつ前記第1の目用の反射光を前記結合光の第2の部分として反射させることと、
を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光学スイッチを前記第2のモードに切り替えることは、
前記反射素子を第2の位置に移動することにより、前記第1の目用の光を前記第2のプロジェクタへ通過させることを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のプロジェクタは第2のフィルタを有し、前記方法は、
前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第2のフィルタにより前記第1の目用の光の第1の部分を反射し、かつ前記第2のフィルタにより前記第1の目用の光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光学スイッチは第1のフィルタおよび反射素子を有し、
前記光学スイッチを前記第1のモードにすることは、
前記第1のフィルタを第1の位置に移動することにより、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を前記結合光として前記第1の投影光学系へ通過させることを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
記光学スイッチを前記第2のモードに切り替えることは、
前記第1のフィルタを第2の位置に移動することにより、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光の第1の部分を第1の目用の反射光として前記反射素子へ反射させ、前記第2の目用の光の第2の部分を前記第1の入力光として透過させることと、
前記反射素子により前記第1の目用の反射光を前記第2のプロジェクタへ導くことと、を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のプロジェクタは第2のフィルタを有し、前記方法は、
前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第2のフィルタにより前記第1の目用の反射光の第1の部分を反射し、かつ前記第2のフィルタにより前記第1の目用の反射光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
投影装置のプロセッサによって実行されたとき、前記投影装置に請求項11から17のいずれかに記載の方法を含む動作を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.開示分野
本出願は、画像投影システムおよび方法全般に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
デジタル投影システムは、典型的には、光源と光学系を利用して画像を表面やスクリーンに投影する。光学系には、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバ、ビームスプリッタ、ビームコンバイナ、ディフューザ、空間光変調器(SLM)などの構成要素が含まれる。
【0003】
投影システムの中には、3次元(3D)投影が可能なものがある。つまり、視聴者が3次元的に知覚可能な画像をスクリーンに投影することができるものがある。3Dシステムは、スペクトル分離などの技術を用いて、デュアルレーザプロジェクタで使用するように設計され得る。スペクトル分離システムにおいては、プロジェクタが光を出射することにより6つの原色(primaries)を提供し、スペクトルフィルタリングによって左目用画像と右目用画像とが分離される。これは、それぞれの目用のトリプルバンドフィルタを含む3Dグラスを視聴者に提供することによって、それぞれの目が異なるRGBスペクトルを見ることができるようにすることで達成され得る。3Dシステムは、一部のモードにおいては2次元(2D)投影も可能である。すなわち、視聴者が2次元的に知覚できる画像をスクリーンに投影する。
【0004】
3D投影システムを用いて2D画像を投影する場合、比較例においては、3D投影システムのデュアルプロジェクタを、プロジェクタ間にある程度の最小距離を空けながら積み上げるかまたは隣りあわせに配置し、スクリーン上でそれらによる投影映像をオーバーレイしている。しかし、比較例のシステムのデュアルプロジェクタの間には最小距離が存在することや、2つのプロジェクタの光学部品間に製造上のばらつきがあることから、そのようなシステムにおいては2つの画像を完全にオーバーレイすることを妨げるような画像差が発生する場合がある。
【発明の概要】
【0005】
開示の簡単な要約
本開示の様々な態様は、3D投影モードと2D投影モードとの間で光学的に切り替え可能であり、2D投影モードにあるときには、キーストンアーティファクトを示さない投影システムおよび方法に関する。
【0006】
本開示の1つの例示的な態様において、第1の目用の光を出射するように構成された第1の光源であって、前記第1の目用の光は第1の波長の組を含む、第1の光源と、第2の目用の光を出射するように構成された第2の光源であって、前記第2の目用の光は第2の波長の組を含む、第2の光源と、第1の入力光を受光するように構成された第1の投影光学系を有する第1のプロジェクタと、第1のモードと第2のモードとを切り替えられるように構成された光学スイッチとを備えた投影システムであって、前記光学スイッチは、前記第1のモードにおいて、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を結合して結合光とし、前記結合光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導くように構成されている、投影システムが提供される。
【0007】
本開示の別な例示的な態様において、第1の光源により第1の目用の光を出射するステップであって、前記第1の目用の光は第1の波長の組を含む、ステップと、第2の光源により第2の目用の光を出射するステップであって、前記第2の目用の光は第2の波長の組を含む、ステップと、第1の投影光学系を有する第1のプロジェクタにより第1の入力光を受光するステップと、光学スイッチを第1のモードと第2のモードとの間で切り替えるステップと、を含む画像投影方法であって、前記光学スイッチは、前記第1のモードにおいて、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を結合して結合光とし、前記結合光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導くように構成されている、画像投影方法が提供される。
【0008】
このように、本開示の様々な態様は、2D動作と3D動作との間で切り替えられ得るシステムを用いた光のプロジェクションディスプレイであって、2D動作においてキーストンアーティファクトを示さないシステムを提供する。このように、本開示の様々な態様は、少なくとも画像投影、映画撮影、信号処理などの技術分野において改善をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面の説明
様々な実施形態の上記およびその他のより詳細で具体的な特徴は、添付の図面を参照しながら以下の説明においてより完全に開示される。
【0010】
図1図1は、本開示の様々な態様における、例示的な投影システムのブロック図を示す。
図2A図2Aは、図1における投影システムのための、例示的なプロジェクタの詳細を示す。
図2B図2Bは、図1における投影システムのための、例示的なプロジェクタの詳細を示す。
図3図3は、本開示の様々な態様における、別の例示的な投影システムのブロック図を示す。
図4A図4Aは、図3における投影システムのための、例示的なプロジェクタの詳細を示す。
図4B図4Bは、図3における投影システムのための、例示的なプロジェクタの詳細を示す。
図5図5は、本開示の様々な態様における、別の例示的な投影システムのブロック図を示す。
図6A図6Aは、図5における投影システムのための、例示的なプロジェクタの詳細を示す。
図6B図6Bは、図5における投影システムのための、例示的なプロジェクタの詳細を示す。
図7図7は、本開示の様々な態様を実装した、例示的なデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示およびその態様は、コンピュータ実装された方法によって制御されるハードウェアまたは回路、コンピュータプログラム製品、コンピュータシステムおよびネットワーク、ユーザーインターフェース、アプリケーションプログラミングインターフェース、ならびにハードウェア実装された方法、信号処理回路、メモリアレイ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど、さまざまな形態で実施することができる。前述の要約は、本開示の様々な態様の全般的な着想を示すことのみを意図したものであり、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
【0012】
以下の説明において、本開示の1つまたは複数の態様の理解を提供するために、スペクトル、タイミング、動作など、多数の詳細が示されている。これらの特定の詳細は単なる例示であり、本願の範囲を限定することを意図していないことは、当業者には容易に明らかである。
【0013】
また、本開示は、様々な要素がデジタル投影システムで使用される例に主に焦点を当てているが、これは単に実装の一例に過ぎないことが理解される。さらに、開示されたシステムおよび方法は、光を投影する必要性がある任意のデバイス、例えば、シネマ、コンシューマー用および他の商業用投影システム、光通信、ヘッドアップディスプレイ、仮想現実ディスプレイなどに使用できることが理解される。
【0014】
投影システム
【0015】
いくつかの態様において、投影システム(例えばある種のデジタルシネマレーザ投影システム)は、2つのプロジェクタを使用して、2Dモードと立体視3Dモードの両方の動作を選択的に実施する。例えば、このような3D投影システムは、3Dモードで動作中に、各々が3つの原色を含む左目用画像および右目用画像をそれぞれ連続的に投影する2つのプロジェクタを含む。また、2Dモードでは、2つのプロジェクタが同じコンテンツを再生し、スクリーン上でこれらの画像がオーバーレイされることで、6つの原色を含む画像が得られる。
【0016】
上述のように、2Dモードを備えた3D投影システムの比較例は、両方のプロジェクタを利用して各画像をスクリーン上にオーバーレイすることで、明るさやコントラストを高めることができる。比較例のシステムでは、2つのプロジェクタの投影レンズの間にある程度の最小距離が存在するために(2つのプロジェクタを積み上げる場合は垂直方向に、また2つのプロジェクタが隣りあわせの場合は水平方向に)、2Dモードでは、2つのプロジェクタ間の距離の結果として、鏡像のキーストンアーティファクト(すなわち、投影画像の一部が重なり合わないために視聴者に「二重像」と知覚される)が発生することになる。また、2つのプロジェクタを可能な限りマッチングさせたとしても、投影レンズなどの光学部品の製造上のばらつきにより、2つの画像に違いが生じ、許容できるようなオーバーレイが得られない場合がある。
【0017】
これらの欠点を改善するための比較例における方法は、複雑および/またはコストがかかる場合がある。例えば、ピクセルワーピング(pixel warping)を用いてこれらの欠点を改善するには、高度な光学ハードウェアとカスタムソフトウェア手段が必要である。このようなシステムは、特定の条件下では機能するかもしれないが、プロジェクタが動いてしまうと、オーバーレイの欠点が再び現れる。動きがあることを想定して、ワーピング作業を定期的に行ったとしても、その作業には30分程度かかることがあり、また、その後の熱ドリフトを防ぐためには、投影システムを動作温度まで温める必要がある。いずれにしても、ピクセルワーピングは、コンテンツを変えてしまうため、多くの映画スタジオやその他のコンテンツ制作者から強く反対されている(特に映画のマスタリングやグレーディングの過程において)。
【0018】
本開示の様々な態様における投影システムは、スペクトル分離技術を実装したデュアルレーザプロジェクタについて説明されるが、本開示は、ランプなどの他の光源を用いて実施することもできる。レーザ光源は低エタンデュの光源であるため、そこから出射される光ビームは、効率的にコリメート化ビームにされ、投影システムの有する様々な光学部品(以下により詳細に説明される光学スイッチなど)を通って導かれることができる。各レーザプロジェクタは、6つの原色のうちの3つを提供し得る。2Dモードで動作しているときには、6つの原色すべてがスクリーン上に投影され、視聴者(例えば、劇場の観客)が2D画像として観察することができる単一の画像が作成される。3Dモードで動作しているときには、各レーザプロジェクタからの3つの原色の組がそれぞれスクリーンに投影されて左目用画像および右目用画像を生成し、スペクトルフィルタリングにより左目用画像と右目用画像とが分離され、視聴者の左目および右目に対して別々に提供される。このようにして、視聴者は投影画像を3D画像として知覚する。
【0019】
投影画像を3次元的に見るために、視聴者には光学フィルタを備えたグラスが与えられ得る。例えば、グラスは、視聴者の左目の上に配置され、右目のための光を遮断する一方で左目のための光を通過させるよう構成された左光学フィルタと、視聴者の右目の上に配置され、左目のための光を遮断する一方で右目のための光を通過させるよう構成された右光学フィルタとを有し得る。このような動作をするために、左光学フィルタおよび右光学フィルタは異なる許容バンドを有する。視聴者の左目および右目に提示される画像の違いにより、投影画像が3Dに見える。
【0020】
3D対応投影システムの比較例の2D動作中において存在する、キーストンアーティファクトまたは他の有害な効果を排除するために、本開示の様々な態様は、両方の発光源からの光を1つのプロジェクタに結合する、光学スイッチを含む。3D動作では、各発光源からの光がそれぞれ対応するプロジェクタに与えられるように、光学スイッチは構成される。光学スイッチは、コンバイナでもスプリッタでもよい。2Dコンテンツの上映が多い劇場では、セカンダリプロジェクタが3D動作時にのみ使用されるため、セカンダリプロジェクタの累積時間が短縮されるというメリットがある。
【0021】
光学スイッチ-コンバイナ
【0022】
各レーザ組が独立した光ファイバで伝送される投影システムにおいては、光学スイッチはコンバイナである。この構成により、第1のモード(例えば2D動作の場合)において、左目用および右目用レーザ組の両方からのすべての光を1つのプロジェクタに向けるよう切り替えたり、第2のモード(例えば3D動作の場合)において、各レーザ出力組を各プロジェクタにそれぞれ向けるよう切り替えたりすることができる。例示的なデジタルシネマレーザ投影システムにおいては、2つのレーザ組は、異なる公称主波長(例えば、一方のレーザのR1、G1、およびB1と、他方のレーザのR2、G2、およびB2と)を有し、対応する原色の間に約10~30nmの波長分離が存在する。一方のRGB波長の組を反射しかつ他方のRGB波長の組を通過させるような、平坦な光学部品上のコーティングを設計してもよい。このコンバイナ光学部品をビーム経路内に配置することで、これらのビームを重ね合わせて結合してから投影システムに入射させることができ、シングルプロジェクタによる2D動作が得られる。また、コンバイナ光学部品をビーム経路の外に移動させた状態では、各RGB組はそれぞれのプロジェクタに適切に伝送され、3D動作が得られる。コンバイナ光学部品の移動は、手動であってもよく、あるいは回転機構や並進機構で自動化することもできる。図1は、そのようなシステムの例示的な態様を示している。
【0023】
特に、図1は、左目用の光に対応する第1の波長の組(例えば3つの原色)を出力する第1のレーザ光源100Lと、右目用の光に対応する第2の波長の組(例えば3つの原色)を出力する第2のレーザ光源100Rとを含む投影システム10を示している。第1のレーザ光源100Lは、例えば、第1の光カプラ111で終端する光ファイバを介して光を出力する第1の複数のレーザエミッタ(例えば、ファイバレーザ、レーザダイオード、またはこれらの組み合わせ)である。あるいは、左目用の光に対応する原色の各1つ(またはそれ以上)が、第1の光カプラ111または複数の第1の光カプラ111で終端する別の光ファイバを介して出力されてもよい。第2のレーザ光源100Rは、例えば、第2の光カプラ112で終端する別の光ファイバを介して光を出力する第2の複数のレーザエミッタ(例えば、ファイバレーザ、レーザダイオード、またはこれらの組み合わせ)である。あるいは、右目用の光に対応する原色の各1つ(またはそれ以上)が、第2の光カプラ112または複数の第2の光カプラ112で終端する別の光ファイバを介して出力されてもよい。第1のレーザ光源100Lおよび第2のレーザ光源100Rは、独立したキャビネットに配置されていてもよいし、1つのキャビネットに集約されていてもよい。投影システム10は、第1のプロジェクタ120Rと、投影システムの3Dモードにおいて左目用画像を投影する第2のプロジェクタ120Lを有する。3Dモードでは、第のプロジェクタ120Rは右目用画像を投影する。2Dモードでは、第のプロジェクタ120Rは、6つの原色すべてを単一の画像として投影する。
【0024】
第1の光カプラ111および第2の光カプラ112の両方が、第のプロジェクタ120Rに光学的に接続されている。第1の光カプラ111および第2の光カプラ112からの光は、それぞれ第1の光路131および第2の光路132をたどって、第1の光学系121に至る。第1の光学系121は、光学スイッチおよび右目用フィルタとして選択的に動作する。光学スイッチの状態に応じて、第1の光学系121は、受光した光の一部を第3の光カプラ122に導き、以下により詳しく説明するようにさらなる光学処理を行うことができる。また、光学スイッチの状態に応じて、第1の光学系121は受光した光の全部または一部を、第3の光路141を介して第1の投影光学系123に導くことができる。第1の投影光学系123は、第1の出力光路151を介して画像を投影する。
【0025】
光学スイッチの状態が、受光した光の一部を第3の光カプラ122に導くような状態である場合、その光は、光ファイバを介して、第2のプロジェクタ120Lに付随する第4の光カプラ125に伝達される。光ファイバは、単一のファイバであってもよいし、複数のファイバを束ねたものであってもよい。第2のプロジェクタ120Lは、左目用フィルタとして動作する第2の光学系124を有する。第2の光学系124からの光は、第4の光路142を介して第2の投影光学系126に導かれる。第2の投影光学系126は、第2の出力光路152を介して画像を投影する。第1の投影光学系123および第2の投影光学系126は、光のホモジナイザー類(例えば、積分ロッド、フライズアイ光学部品、およびそれらの組み合わせ)、レンズ類(例えば、フーリエ変換レンズ、ズームレンズアレイ、投影レンズ、およびそれらの組み合わせ)、ミラー、SLM(例えばデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD))などの光学部品を含む。
【0026】
投影システム10が2Dモードにあるとき、第1の光学系121の光学スイッチは、6つの原色すべてを第1の投影光学系123に導くように構成されている。したがって、第1の出力光路151を介して出力された画像は6原色の2D画像に対応する。投影システム10が3Dモードにあるとき、第1の光学系121の光学スイッチは、第1のレーザ光源100Lによって出射された3つの原色を第2の投影光学系126に導き、かつ第2のレーザ光源100Rによって出射された3つの原色を第1の投影光学系123に導くように構成されている。したがって、第2の出力光路152を介して出力された画像は3原色の左目用画像に対応し、第1の出力光路151を介して出力された画像は3原色の右目用画像に対応する。
【0027】
図2A~2Bは、投影システム10のモードをより詳細に示している。特に、図2Aは2Dモードにおける投影システム10の一部分を示し、図2Bは3Dモードにおける投影システム10の当該部分を示す。図2A~2Bに示すように、第1の光学系121は、第1のレンズ201、第2のレンズ202、第3のレンズ203、第4のレンズ204、可動ミラー211(またはその他の反射素子)、および第1のフィルタ212を有する。第2の光学系124は、第5のレンズ205、第2のフィルタ213、および第6のレンズ206を有する。いくつかの例において、第1のフィルタ212および第2のフィルタ213は、発光ピークの不要な裾部を反射するトリムフィルタである。可動ミラー211は、ビーム経路内の位置とビーム経路外の位置との間を移動可能である。可動ミラー211の移動は手動であってもよく、あるいは回転機構や並進機構で自動化することもできる。
【0028】
投影システム10が図2Aに示す2Dモードにあるとき、可動ミラー211は、第1の光カプラ111を介し第1のレンズ201を通って受光される光の光路中に位置している。このモードにおいて、可動ミラー211は、第1の光カプラ111からの光を第1のフィルタ212にむけて反射する。第1のフィルタ212は、コンバイナおよびトリムフィルタの両方として作用する。第1のフィルタ212は、第2の光カプラ112を介し第2のレンズ202を通って受光される光の光路中に位置しており、第2のレーザ光源100Rからの不要光(例えば、発光帯域の不要な裾部)に対応する光の一部を反射する一方で、第2のレーザ光源100Rからの所望の光に対応する光の一部を透過する。第1のフィルタ212は比較的分厚い素子として描かれているが、実際には第1のフィルタ212(および/またはその他の、本明細書において例示および説明するフィルタ)は、透過ビームと反射ビームとが実質的に重なり合うよう十分薄いことにより、均一性を改善し得る。第1のフィルタ212はまた、2Dモードにおいては可動ミラー211によって反射された光の光路内に位置されており、透過された右目用の光と2回反射された左目用の光とが、第4のレンズ204を通りかつ第1の投影光学系123に向けて、同じ(または実質的に同じ)光路に沿って進む。図示されるように、この光路は図1の第3の光路141に対応する。したがって、2Dモードにおいて、第1の投影光学系123は、オーバーレイアーティファクトが低減されているか、またはこれを示さない6原色の2D画像に対応する画像を、第1の出力光路151に沿って出力する。
【0029】
投影システム10が図2Bに示す3Dモードにあるとき、可動ミラー211は、第1の光カプラ111を介し第1のレンズ201を通って受光される光の光路外に位置している。したがって、第1の光カプラ111からの光は、第3のレンズ203を通り第3の光カプラ122に入射し、ここで光ファイバを介して、第2のプロジェクタ120Lに付随する第4の光カプラ125に伝達される。第2の光カプラ112からの光は、第2のレンズ202を通り第1のフィルタ212に入射し、ここで第2のレーザ光源100Rからの不要光(例えば、発光帯域の不要な裾部)に対応する光の部分は反射され、第2のレーザ光源100Rからの所望の光に対応する光の部分は、第4のレンズ204を通って第1の投影光学系123へと透過される。
【0030】
第2のプロジェクタ120Lにおいて、第4の光カプラ125によって入力された光は、第5のレンズ205を通り第2のフィルタ213に入射する。第2のフィルタ213は、第1のレーザ光源100Lからの発光帯域の不要な裾部に対応する光の一部を反射する一方で、第1のレーザ光源100Lからの所望のピークに対応する光の一部を透過する、トリムフィルタである。透過した部分は第6のレンズ206を通り、光路(図示において、図1の第4の光路142に対応する)に沿って第2の投影光学系126に入射する。したがって、3Dモードにおいて、第1の投影光学系123は、3原色の右目用画像に対応する画像を第1の出力光路151に沿って出力し、第2の投影光学系126は、3原色の左目用画像に対応する画像を第2の出力光路152に沿って出力する。
【0031】
光学スイッチのコンバイナ構成は、左右のトリムフィルタ(すなわち第1のフィルタ212および第2のフィルタ213)が、2Dおよび3D動作の両方において存在することを可能にする。これは2D動作において、帯域外の発光を含むレーザを使用しても、定義されたスペクトルが色域の仕様を満たすようにする。3D動作においては、各プロジェクタからそれぞれの不要なスペクトル帯域を排除し、両目間のクロストークを低減する。
【0032】
図2A~2Bでは、光学スイッチが2Dモードにおいて左目用の光を反射し右目用の光と結合することによって左目用および右目用の光を結合するものと例示したが、本開示はこれに限らない。いくつかの態様において、可動ミラー211と第1のフィルタ212とを逆にし、残りの光学部品の角度および軸位置に対して適切な調節を行うことで、光学スイッチが2Dモードにおいて右目用の光を反射して左目用の光と結合するようにしてもよい。コンバイナをプロジェクタ120R内部に位置させることにより、コンバイナからの光をファイバパッチケーブルに再入射させる必要が無い。ただし、図2A~2Bではコンバイナが第のプロジェクタ120Rの内部にあるものとしているが、本開示はこれに限らない。いくつかの態様において、コンバイナは外部に位置し、各プロジェクタへのファイバパッチケーブルを有していてもよい。外部スイッチとプロジェクタ群との間のファイバパッチケーブル群は、スイッチとプロジェクタ群との間の異なる距離に対応するように選択されてもよく、それにより、レーザ群から外部シフトまでの距離を標準的な長さにすることができる。
【0033】
また、図1~2Bでは第1のプロジェクタ120および第2のプロジェクタ120が別々のブロックを用いているように示しているが、本開示は第1のプロジェクタ120および第2のプロジェクタ120が別々のキャビネットまたはケーシングに閉じ込められる態様に限定されない。いくつかの態様において、第1のプロジェクタ120および第2のプロジェクタ120は、単一のプロジェクタキャビネットに含まれていてもよく、そこから第1の投影光学系123および(3Dモードにおいては)第2の投影光学系126がそれぞれの画像を出力し、第3の光カプラ122と第4の光カプラ125との間のファイバパッチケーブル(およびカプラ自体)は無くてもよい。
【0034】
光学スイッチ-スプリッタ
【0035】
両方のレーザ組が単一の光ファイバで伝送される投影システムにおいては、光学スイッチはスプリッタである。この構成により、第1のモード(例えば2D動作の場合)において、左目用および右目用レーザ組の両方からのすべての光を1つのプロジェクタに向けるよう切り替えたり、第2のモード(例えば3D動作の場合)において、各レーザ出力組を各プロジェクタにそれぞれ向けるよう切り替えたりすることができる。前述のように、例示的なデジタルシネマレーザ投影システムにおいては、2つのレーザ組は、異なる公称主波長(例えば、一方のレーザのR1、G1、およびB1と、他方のレーザのR2、G2、およびB2と)を有し、対応する原色の間に約10~30nmの波長分離が存在する。一方のRGB波長の組を反射しかつ他方のRGB波長の組を通過させるような、平坦な光学部品上のコーティングを設計してもよい。このスプリッタ光学部品をビーム経路内に配置することで、一方の波長の組が一方のプロジェクタに渡され、かつ他方の波長の組が他方のプロジェクタへ反射されることにより、2プロジェクタによる3D動作が得られる。また、スプリッタ光学部品をビーム経路の外に移動させた状態では、両RGB波長組が1つのプロジェクタに伝送され、シングルプロジェクタによる2D動作が得られる。スプリッタ光学部品の移動は手動であってもよく、あるいは回転機構や並進機構で自動化することもできる。図3は、そのようなシステムの例示的な態様を示している。
【0036】
特に、図3は、左目用の光に対する波長の第1の部分集合と右目用の光に対する波長の第2の部分集合とに対応する、結合された波長の組(例えば6つの原色)を出力するレーザ光源300を含む、投影システム30を示している。レーザ光源300は、例えば、第1の光カプラ310で終端する光ファイバを介して光を出力する複数のレーザエミッタ(例えば、ファイバレーザ、レーザダイオード、またはこれらの組み合わせ)である。あるいは、6つの原色の各1つ(またはそれ以上)が、第1の光カプラ310または複数の第1の光カプラ310で終端する別の光ファイバを介して出力されてもよい。投影システム50は、第1のプロジェクタ320Rと、投影システムの3Dモードにおいて左目用画像を投影する第2のプロジェクタ320Lを有する。3Dモードでは、第1のプロジェクタ320Rは右目用画像を投影する。2Dモードでは、第1のプロジェクタ320Rは、6つの原色すべてを単一の画像として投影する。
【0037】
光カプラ310は、第1のプロジェクタ320Rに光学的に接続されている。光カプラ310からの光は、第1の光路330をたどって、光学スイッチおよび右目用フィルタの両方として選択的に動作する第1の光学系321に至る。光学スイッチの状態に応じて、第1の光学系321は、受光した光の一部を第2の光カプラ322に導き、以下により詳しく説明するようにさらなる光学処理を行うことができる。また、光学スイッチの状態に応じて、第1の光学系321は受光した光の全部または一部を、第2の光路341を介して第1の投影光学系323に導くことができる。第1の投影光学系323は、第1の出力光路351を介して画像を投影する。
【0038】
光学スイッチの状態が、受光した光の一部を第2の光カプラ322に導くような状態である場合、その光は、光ファイバを介して、第2のプロジェクタ320Lに付随する第3の光カプラ325に伝達される。光ファイバは、単一のファイバであってもよいし、複数のファイバを束ねたものであってもよい。第2のプロジェクタ320Lは、左目用フィルタとして動作する第2の光学系324を有する。第2の光学系324からの光は、第3の光路342を介して第2の投影光学系326に導かれる。第2の投影光学系326は、第2の出力光路352を介して画像を投影する。第1の投影光学系323および第2の投影光学系326は、光のホモジナイザー類(例えば、積分ロッド、フライズアイ光学部品、およびそれらの組み合わせ)、レンズ類(例えば、ズームレンズアレイ、投影レンズ、およびそれらの組み合わせ)、ミラー、SLM(例えばDMD)、などの光学部品を含む。
【0039】
投影システム30が2Dモードにあるとき、第1の光学系321の光学スイッチは、6つの原色すべてを第1の投影光学系323に導くように構成されている。したがって、第1の出力光路351を介して出力された画像は6原色の2D画像に対応する。投影システム30が3Dモードにあるとき、第1の光学系321の光学スイッチは、レーザ光源300から出射された左目用画像に対応する3つの原色を第2の投影光学系326に導き、かつレーザ光源300から出射された右目用画像に対応する3つの原色を第1の投影光学系323に導くように構成されている。したがって、第2の出力光路352を介して出力された画像は3原色の左目用画像に対応し、第1の出力光路351を介して出力された画像は3原色の右目用画像に対応する。
【0040】
図4A~4Bは、投影システム30のモードをより詳細に示している。特に、図4Aは2Dモードにおける投影システム30の一部分を示し、図4Bは3Dモードにおける投影システム30の当該部分を示す。図4A~4Bに示すように、第1の光学系321は、第1のレンズ401、第2のレンズ402、可動である第1のフィルタ411、およびミラー412(またはその他の反射素子)を有する。第2の光学系324は、第3のレンズ403、第2のフィルタ413、および第4のレンズ404を有する。いくつかの例において、第1のフィルタ411および第2のフィルタ413は、発光ピークの不要な裾部を反射するトリムフィルタである。第1のフィルタ411は、ビーム経路内の位置とビーム経路外の位置との間を移動可能である。第1のフィルタ411の移動は手動であってもよく、あるいは回転機構や並進機構で自動化することもできる。
【0041】
投影システム30が図4Aに示す2Dモードにあるとき、第1のフィルタ411は、第1の光カプラ310を介し第1のレンズ401を通って受光される光の光路外に位置している。したがって、第1の光カプラ310からの光の全部(または実質的に全部)が、第2の光路341に沿って第1の投影光学系423に入射する。したがって、2Dモードにおいて、第1の投影光学系423は、オーバーレイアーティファクトが低減されているか、またはこれを示さない6原色の2D画像に対応する画像を、第1の出力光路351に沿って出力する。
【0042】
投影システム30が図4Bに示す3Dモードにあるとき、第1のフィルタ411は、光カプラ310を介し第1のレンズ401を通って受光される光の光路中に位置している。第1のフィルタ411は、スプリッタおよびトリムフィルタとして作用する。第1のフィルタは、レーザ光源300から出射された左目用画像に対応する光の一部およびレーザ光源300から出射された右目用画像に対する発光帯域の不要な裾部に対応する光の一部を反射する一方で、レーザ光源300からの右目用画像の所望のピークに対応する光の一部を透過する。図4Bに示す特定の例において、ミラー412は前記反射された一部の光の光路中に位置しており、入射光を第2のレンズ402を通って第2の光カプラ322へと反射し、ここでこの光は、光ファイバを介して、第2のプロジェクタ320Lに付随する第3の光カプラ325に伝達される。他の例においてミラー412は省略されてもよく、その場合、第2の光カプラ322は前記反射された一部の光の光路中にあるように位置を変えられればよい。
【0043】
第2のプロジェクタ320Lにおいて、第3の光カプラ325によって入力された光は、第3のレンズ403を通り第2のフィルタ413に入射する。第2のフィルタ413は、レーザ光源300からの左目用発光帯域および右目用発光帯域の両方の不要光に対応する光の一部を反射する一方で、レーザ光源300からの左目用画像の所望のピークに対応する光の一部を透過する、トリムフィルタである。透過した部分は第4のレンズ404を通り、光路(図示において、図3の第3の光路342に対応する)に沿って第2の投影光学系326に入射する。したがって、3Dモードにおいて、第1の投影光学系323は、3原色の右目用画像に対応する画像を第1の出力光路351に沿って出力し、第2の投影光学系326は、3原色の左目用画像に対応する画像を第2の出力光路352に沿って出力する。
【0044】
図4A~4Bの特定の図示において、第1のフィルタ411を透過した光の屈折が、第2の光路341の光軸を横方向にシフトさせ得る。そのようなシフトが第1の投影光学系323の性能に悪い影響を与える場合は、電子結晶(electronic crystal)などの1つまたは複数の光学素子を、第1のフィルタ411と第1の投影光学系323との間に配置することにより、第2の光路341の光軸に対して等しい横方向シフトを反対方向に与えることができる。そのような光学素子が用いられる場合、それらは、2Dモードにおいて光に影響を与えないよう、第1のフィルタ411とともに移動するように構成されてもよい。
【0045】
図4A~4Bでは光学スイッチが3Dモードにおいて左目用および右目用の光を分光して左目用の光が別のプロジェクタに送られるものと例示したが、本開示はこれに限らない。いくつかの態様において、第1のフィルタ411のフィルタリング波長および反射波長を適切に選択することにより、3Dモードにおいて右目用の光が別のプロジェクタに送られるようにしてもよい。スプリッタをプロジェクタ320Rの内部に位置させることにより、スプリッタからの光をファイバパッチケーブルに再入射させる必要が無い。ただし、図4A~4Bではスプリッタがプロジェクタ320Rの内部にあるものとしているが、本開示はこれに限らない。いくつかの態様において、スプリッタは外部に位置し、各プロジェクタへのファイバパッチケーブルを有していてもよい。外部スイッチとプロジェクタ群との間のファイバパッチケーブル群は、スイッチとプロジェクタ群との間の異なる距離に対応するように選択されてもよく、それにより、レーザ群から外部シフトまでの距離を標準的な長さにすることができる。
【0046】
また、図3~4Bでは第1のプロジェクタ320Rおよび第2のプロジェクタ320Lが別々のブロックを用いているように示しているが、本開示は第1のプロジェクタ320Rおよび第2のプロジェクタ320Lが別々のキャビネットまたはケーシングに閉じ込められる態様に限定されない。いくつかの態様において、第1のプロジェクタ320Rおよび第2のプロジェクタ320Lは、単一のプロジェクタキャビネットに含まれていてもよく、そこから第1の投影光学系323および(3Dモードにおいては)第2の投影光学系326がそれぞれの画像を出力し、第2の光カプラ322と第3の光カプラ325との間のファイバパッチケーブル(およびカプラ自体)は無くてもよい。
【0047】
光学スイッチ-スプリッタ/リコンバイナ
【0048】
両方のレーザ組が単一の光ファイバで伝送される投影システムにおいて、光学スイッチはスプリッタ/リコンバイナであってもよい。この構成により、第1のモード(例えば2D動作の場合)において、左目用および右目用レーザ組の両方からのすべての光を1つのプロジェクタに向けるよう切り替えたり、第2のモード(例えば3D動作の場合)において、各レーザ出力組を各プロジェクタにそれぞれ向けるよう切り替えたりすることができる。ただしこの構成では、前述のスプリッタ構成に比較し入射オフセット(横方向シフト)が減少または解消され得る。またこの構成では製造誤差が緩和されたり、および/または様々な構成要素の位置決めに関しての精度要求が減少され得る。
【0049】
前述のように、例示的なデジタルシネマレーザ投影システムにおいては、2つのレーザ組は、異なる公称主波長(例えば、一方のレーザのR1、G1、およびB1と、他方のレーザのR2、G2、およびB2と)を有し、対応する原色の間に約10~30nmの波長分離が存在する。一方のRGB波長の組を反射しかつ他方のRGB波長の組を通過させるような、平坦な光学部品上のコーティングを設計してもよい。スプリッタ/リコンバイナ光学部品のリコンバイナ部分をビーム経路内に配置することで、一方の波長の組が一方のプロジェクタに渡され、かつ他方の波長の組が他方のプロジェクタへ反射されることにより、2プロジェクタによる3D動作が得られる。また、スプリッタ/リコンバイナ光学部品のリコンバイナ部分をビーム経路の外に移動させた状態では、両RGB波長組が1つのプロジェクタに伝送され、シングルプロジェクタによる2D動作が得られる。リコンバイナ部分の移動は手動であってもよく、あるいは回転機構や並進機構で自動化することもできる。図5は、そのようなシステムの例示的な態様を示している。
【0050】
特に、図5は、左目用の光に対する波長の第1の部分集合と右目用の光に対する波長の第2の部分集合とに対応する、結合された波長の組(例えば6つの原色)を出力するレーザ光源500を含む、投影システム50を示している。レーザ光源500は、例えば、第1の光カプラ510で終端する光ファイバを介して光を出力する複数のレーザエミッタ(例えば、ファイバレーザ、レーザダイオード、またはこれらの組み合わせ)である。あるいは、6つの原色の各1つ(またはそれ以上)が、第1の光カプラ510または複数の第1の光カプラ510で終端する別の光ファイバを介して出力されてもよい。投影システム50は、第1のプロジェクタ520Rと、投影システムの3Dモードにおいて左目用画像を投影する第2のプロジェクタ520Lを有する。3Dモードでは、第のプロジェクタ520Rは右目用画像を投影する。2Dモードでは、第のプロジェクタ520Rは、6つの原色すべてを単一の画像として投影する。
【0051】
光カプラ510は、第のプロジェクタ520Rに光学的に接続されている。光カプラ510からの光は、第1の光路530をたどって、光学スイッチおよび右目用フィルタの両方として選択的に動作する第1の光学系521に至る。光学スイッチの状態に応じて、第1の光学系521は、受光した光の一部を第2の光カプラ522に導き、以下により詳しく説明するようにさらなる光学処理を行うことができる。また、光学スイッチの状態に応じて、第1の光学系521は受光した光の全部または一部を第2の光路541を介して第1の投影光学系523に導くことができる。第1の投影光学系523は、第1の出力光路551を介して画像を投影する。
【0052】
光学スイッチの状態が、受光した光の一部を第2の光カプラ522に導くような状態である場合、その光は、光ファイバを介して第2のプロジェクタ520Lに付随する第3の光カプラ525に伝達される。光ファイバは、単一のファイバであってもよいし、複数のファイバを束ねたものであってもよい。第2のプロジェクタ520Lは、左目用フィルタとして動作する第2の光学系524を有する。第2の光学系524からの光は、第3の光路542を介して第2の投影光学系526に導かれる。第2の投影光学系526は、第2の出力光路552を介して画像を投影する。第1の投影光学系523および第2の投影光学系526は、光のホモジナイザー類(例えば、積分ロッド、フライズアイ光学部品、およびそれらの組み合わせ)、レンズ類(例えば、ズームレンズアレイ、投影レンズ、およびそれらの組み合わせ)、ミラー、SLM(例えばDMD)、などの光学部品を含む。
【0053】
投影システム50が2Dモードにあるとき、光学スイッチの第1の光学系521は、6つの原色すべてを第1の投影光学系523に導くように構成されている。したがって、第1の出力光路551を介して出力された画像は6原色の2D画像に対応する。投影システム50が3Dモードにあるとき、第1の光学系521の光学スイッチは、レーザ光源500から出射された左目用画像に対応する3つの原色を第2の投影光学系526に導き、かつレーザ光源500から出射された右目用画像に対応する3つの原色を第1の投影光学系523に導くように構成されている。したがって、第2の出力光路552を介して出力された画像は3原色の左目用画像に対応し、第1の出力光路551を介して出力された画像は3原色の右目用画像に対応する。
【0054】
図6A~6Bは、投影システム50のモードをより詳細に示している。特に、図6Aは2Dモードにおける投影システム50の一部分を示し、図6Bは3Dモードにおける投影システム50の当該部分を示す。図6A~6Bに示すように、第1の光学系521は、第1のレンズ601、第2のレンズ602、第3のレンズ603、第1のフィルタ611、第2のフィルタ612、固定ミラー613(またはその他の反射素子)、および可動ミラー614を有する。第2の光学系524は、第4のレンズ604、第5のレンズ605、および第3のフィルタ615を有する。いくつかの例において、第1のフィルタ611、第2のフィルタ612、および第3のフィルタ615は、発光ピークの不要な裾部を反射するトリムフィルタである。可動ミラー614は、ビーム経路の一部内の位置とビーム経路の当該一部外の位置との間を移動可能である。可動ミラー614の移動は手動であってもよく、あるいは回転機構や並進機構で自動化することもできる。
【0055】
第1の光カプラ510から第1のレンズ601を通って受光された光は、第1のフィルタ611に入射する。第1のフィルタ611は、レーザ光源500から出射された左目用画像に対応する光の一部を反射する一方で、レーザ光源500からの右目用画像の所望のピークに対応する光の一部を第2のフィルタ612の第1の面にむけて透過する。第2のフィルタ612は、第1のフィルタ611を通過した、レーザ光源500から出射された右目用画像に対する発光帯域の不要な裾部に対応する光の一部を反射する一方で、レーザ光源500からの右目用画像の所望のピークに対応する光の一部を透過する。
【0056】
第1のフィルタ611によって反射された光は、固定ミラー613に入射する。投影システム50が図6Aに示す2Dモードにあるとき、可動ミラー614は固定ミラー613から反射された光の光路上に位置する。このモードにおいて、可動ミラー614は、固定ミラー613から反射された光を、第2のフィルタ612の第1の面の反対側である第2の面にむけて反射する。第2のフィルタ612は、可動ミラー614から反射された光を第2のレンズ602にむけて反射することで、透過された右目用の光と3回反射された左目用の光とが、第2のレンズ602を通りかつ第1の投影光学系523に向けて、同じ(または実質的に同じ光路)に沿って進む。これらの光路は同じ(または実質的に同じ)であるため、第1の光学系521は横方向シフトを補正する。図示されるように、この光路は図5の第3の光路541に対応する。したがって、2Dモードにおいて、第1の投影光学系523は、オーバーレイアーティファクトや横方向シフトが低減されているか、またはこれらを示さない6原色の2D画像に対応する画像を、第1の出力光路551に沿って出力する。
【0057】
投影システム50が図6Bに示す3Dモードにあるとき、可動ミラー614は、固定ミラー613によって反射された光の光路外に位置している。このモードにおいて、固定ミラー613によって反射される光は、第3のレンズ603を通り第2の光カプラ522に入射し、ここで光ファイバを介して、第2のプロジェクタ520Lに付随する第4の光カプラ525に伝達される。第2のプロジェクタ520Lにおいて、第4の光カプラ525によって入力された光は、第4のレンズ604を通り第3のフィルタ615に入射する。第3のフィルタは、レーザ光源500からの発光帯域の不要な裾部に対応する光の一部を反射する一方で、レーザ光源500からの所望のピークに対応する光の一部を透過する、トリムフィルタである。透過した部分は第5のレンズ605を通り、光路(図示において、図5の第4の光路542に対応する)に沿って第2の投影光学系526に入射する。
【0058】
一方、第1のフィルタ611を透過した(そして固定ミラー613にむかって反射されなかった)光は、第2のフィルタ612の第1の面に入射する。2Dモードと同様に、第2のフィルタ612は、第1のフィルタ611を通過した、レーザ光源500から出射された右目用画像に対する発光帯域の不要な裾部に対応する光の一部を反射する一方で、レーザ光源500からの右目用画像の所望のピークに対応する光の一部を第2のレンズ602を通って第1の投影光学系523へと透過する。したがって、3Dモードにおいて、第1の投影光学系523は、3原色の右目用画像に対応する画像を、第1の出力光路551に沿って出力し、第2の投影光学系は、3原色の左目用画像に対応する画像を、第2の出力光路552に沿って出力する。
【0059】
図6Bでは第2のフィルタ612が、第1のフィルタ611を通過した、レーザ光源500から出射された右目用画像に対する発光帯域の不要な裾部に対応する光の一部を反射するものと例示したが、本開示はこれに限らない。他の態様において、第1のフィルタ611は、レーザ光源500から出射された右目用画像ならびにレーザ光源500から出射された左目用画像に対応する光の部分に対する発光帯域の不要な裾部を反射することにより、投影システム50が3Dモードにある間、第3のフィルタ615がレーザ光源500からの左目用発光帯域および右目用発光帯域の両方の不要光に対応する光の一部を反射する。
【0060】
さらに、図6A~6Bでは光学スイッチが3Dモードにおいて左目用および右目用の光を分光して左目用の光が別のプロジェクタに送られるものと例示したが、本開示はこれに限らない。いくつかの態様において、第1のフィルタ611または第2のフィルタ612のフィルタリング波長および反射波長を適切に選択することにより、3Dモードにおいて右目用の光が別のプロジェクタに送られるようにしてもよい。スプリッタ/リコンバイナをプロジェクタ520R内部に位置させることにより、スプリッタ/リコンバイナからの光をファイバパッチケーブルに再入射させる必要が無い。ただし、図6A~6Bではスプリッタ/リコンバイナが第のプロジェクタ520Rの内部にあるものとしているが、本開示はこれに限らない。いくつかの態様において、スプリッタ/リコンバイナは外部に位置し、各プロジェクタへのファイバパッチケーブルを有していてもよい。外部スイッチとプロジェクタ群との間のファイバパッチケーブル群は、スイッチとプロジェクタ群との間の異なる距離に対応するように選択されてもよく、それにより、レーザ群から外部シフトまでの距離を標準的な長さにすることができる。
【0061】
また、図5~6Bでは第1のプロジェクタ520および第2のプロジェクタ520が別々のブロックを用いているように示しているが、本開示は第1のプロジェクタ520および第2のプロジェクタ520が別々のキャビネットまたはケーシングに閉じ込められる態様に限定されない。いくつかの態様において、第1のプロジェクタ520および第2のプロジェクタ520は、単一のプロジェクタキャビネットに含まれていてもよく、そこから第1の投影光学系523および(3Dモードにおいては)第2の投影光学系526がそれぞれの画像を出力し、第3の光カプラ522と第4の光カプラ525との間のファイバパッチケーブル(およびカプラ自体)は無くてもよい。
【0062】
デバイス実装
【0063】
上述の光学スイッチを含む投影システムは、いくつがの光学および電子部品を有する電子機器として実装され得る。図7にそのような装置700を示す。
【0064】
図7に示すように、装置700は、投影システム710、コントローラ720、メモリ730、および通信・I/O回路740を有する。投影システム710、コントローラ720、メモリ730、および通信・I/O回路740は、バス750を介して通信する。投影システム710は例えば、図1に示した投影システム10、図3に示した投影システム30、または図5に示した投影システム50であり得る。例えば、コントローラ720は1つまたは複数のプロセッサまたは他の制御回路、たとえば中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)などであってもよい。メモリ730は例えば、ハードディスク、リムーバブルメディアドライブ、光学または磁気記憶装置、およびその組み合わせであってもよい。メモリ730は、読出し専用メモリ(ROM)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)を含み得る。通信・I/O回路740は、例えば、装置700がユーザーまたは別の装置と通信するための回路、ポート、コネクタなどのセットであってもよい。通信・I/O回路740は、有線通信インターフェースを含み、マウス、キーボード、ディスプレイ、タッチスクリーン、有線ネットワークなどのユーザインターフェースデバイスに接続してもよく、追加的または代替的に、通信・I/O回路740は、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)などの無線通信インターフェースを含んでもよい。通信・I/O回路740は、ユーザーの命令、ストリーミング画像データ、デバイスの較正、ソフトウェアまたはファームウェアの更新などの受信を可能にしてもよい。
【0065】
メモリ730は、コントローラ720によって実行されたとき、装置に様々な動作を行わせる命令を格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を格納してもよい。例えば、コントローラ720は、制御信号を投影システム710(またはそれに関連する1つまたは複数のアクチュエータ)に提供して、投影システムを2Dモード(例えば、図2A、4A、または6Aに図示されているような)と3Dモード(例えば、図2B、4B、または6Bに図示されているような)との間で切り替えさせることができる。コントローラ720は、メモリ730に格納されたかつ/または通信・I/O回路740を介して受信された画像データに従って、その発光素子を制御して発光させるための制御信号を投影システム710に提供してもよい。追加的または代替的に、コントローラ720は、投影システム710に付随する1つまたは複数のSLMに制御信号を提供して、画像データに従って出射された光を変更し、それによってスクリーン760上に投影画像を形成してもよい。
【0066】
また、図7では上述のすべての要素を含む単一の装置700を示しているが、いくつかの態様では、投影システム710の一部またはすべてが、装置700とは別個に(例えば、装置700と通信する別の筐体に)設けられていてもよい。一例では、投影システム510のうち発光に関連する部分(例えば、図1の第1のレーザ光源100Lおよび第2のレーザ光源100R、図3のレーザ光源300、図5のレーザ光源500)は、装置700と共通の筐体に配置され、一方、光学的に下流の構成要素(例えば、図1のプロジェクタ120Lおよび120R、図3のプロジェクタ320Lおよび320R、または図5のプロジェクタ520Lおよび520R)は、装置700と光学的および/または電子的に通信する別の筐体(単数または複数)に設けられている。別の例では、投影システム710の全体が、装置700と光学的および/または電子的に通信する別の筐体に配置されている。
【0067】
投影システム710中において、様々な光ファイバが、上述した方法の1つまたは複数で光を導くために使用され得る。いくつかの例において、個々の光ファイバの寸法は、様々な光路間の経路差を低減または無くすように選択され得る。例えば、50~800μmの様々な長さのファイバによって、プロジェクタ内および/またはプロジェクタ間で光を伝達することができる。
【0068】
効果および応用
【0069】
上述の光学スイッチ構成は、コンバイナ態様であってもスプリッタ態様であっても、投影光学系に入る前にビームが重なり合う。これにより、均一な照明を実現している。左目用RGB波長組と右目用RGB波長組のファイバ出力は、空間的に結合されてもよく、プロジェクタに入射する前に出力が重なり合うことは要件ではないが、このような構成は、照明の均一性にいくぶんかの低減をもたらす可能性がある。また、ビームが空間的に重なり合うことで、同じスペクトルを持つレーザ組を結合させることができる。右目用または左目用の波長組を2つ以上組み合わせることで、より高出力構成にすることができる。
【0070】
以上の説明では、特に、投影システムがスペクトル分離技術を用いて動作する場合について説明した。すなわち、上記の投影システムは、3つのピーク(赤波長域に1つ、緑波長域に1つ、青波長域に1つ)を有する光を発する左レーザ源と、同じく3つのピーク(赤波長域に1つ、緑波長域に1つ、青波長域に1つ)を有する光を発する右レーザ光源とを利用しており、左目に対応する光のピークと右目に対応する光のピークとがスペクトル分離されている。言い換えれば、左レーザ光源が発生させる各波長域内のピークは、右レーザ光源が発生させる各波長域内のピークよりも波長が短くてもよいし、その逆でもよい。ただし、本開示はこれに限らない。
【0071】
いくつかの例において、本明細書に記載される投影システムは、スペクトル分離以外の技術を用いて動作してもよい。一例において、投影システムは代わりに、左目用の光を第1の方向に偏光させ、右目用の光を第1の方向に垂直な第2の方向に偏光させる、または、左目用の光を時計回り方向に円偏光させ、右目用の光を反時計回り方向に円偏光させる(またはその逆も可)、偏光分離技術を用いて動作してもよい。
【0072】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、比較的単純であり、設計上、2プロジェクタによる2D動作に起因する二重像アーティファクト(すなわちキーストンアーティファクト)を排除する。また本開示は、比較例のシステムに存在するであろうような、軽微な機械的または熱的な移動に起因する定期的なアライメント調整の必要性を、低減または排除することができる。
【0073】
本開示によるシステムおよび装置は、以下のいずれか1つまたは複数の構成をとることができる。
【0074】
(1)第1の目用の光を出射するように構成された第1の光源であって、前記第1の目用の光は第1の波長の組を含む、第1の光源と、第2の目用の光を出射するように構成された第2の光源であって、前記第2の目用の光は第2の波長の組を含む、第2の光源と、第1の入力光を受光するように構成された第1の投影光学系を有する第1のプロジェクタと、第1のモードと第2のモードとを切り替えられるように構成された光学スイッチと、を備える投影システムであって、前記光学スイッチは、前記第1のモードにおいて、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を結合して結合光とし、前記結合光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導くように構成されている、投影システム。
【0075】
(2)第2の入力光を受光するように構成された第2の投影光学系を有する第2のプロジェクタをさらに備え、前記光学スイッチは、前記第2のモードにおいて、前記第1の目用の光を前記第2の入力光として前記第2の投影光学系に導くように構成されている、(1)に記載の投影システム。
【0076】
(3)前記第2の投影光学系は、画像データに応じて前記第2の入力光に対して空間的変調を行うように構成された空間光変調器を有し、それによって、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、第1の目用の投影画像を生成する、(2)に記載の投影システム。
【0077】
(4)前記光学スイッチは、前記第2のモードにおいて、前記第2の目用の光を前記第1の入力光として第1の投影光学系に導くように構成されている、(1)~(3)に記載の投影システム。
【0078】
(5)前記光学スイッチは反射素子および第1のフィルタを有し、前記光学スイッチが前記第1のモードにあるとき、前記反射素子は、前記第1の目用の光を前記第1の目用の反射光として前記第1のフィルタへ反射するように構成され、前記第1のフィルタは、前記第2の目用の光の第1の部分を反射し、前記第2の目用の光の第2の部分を前記結合光の第1の部分として透過し、かつ、前記第1の目用の反射光を前記結合光の第2の部分として反射するように構成されている、(1)~(4)に記載の投影システム。
【0079】
(6)第2の入力光を受光するように構成された第2の投影光学系を有する第2のプロジェクタをさらに備え、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記反射素子は、前記第1の目用の光を前記第2のプロジェクタへ通過させるように構成されている、(5)に記載の投影システム。
【0080】
(7)前記第2のプロジェクタは、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第1の目用の光の第1の部分を反射しかつ前記第1の目用の光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するように構成された第2のフィルタを有する、(6)に記載の投影システム。
【0081】
(8)前記第1の投影光学系は、画像データに応じて前記第1の入力光に対して空間的変調を行うように構成された空間光変調器を有し、それによって、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるときは、第2の目用の投影画像を生成し、前記光学スイッチが前記第1のモードにあるときは、結合された投影画像を生成する、(1)~(7)に記載の投影システム。
【0082】
(9)前記光学スイッチは第1のフィルタおよび反射素子を有し、
前記光学スイッチが前記第1のモードにあるとき、前記第1のフィルタは、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を、前記結合光として前記第1の投影光学系へ通過させるように構成されている、(1)~(4)に記載の投影システム。
【0083】
(10)第2の入力光を受光するように構成された第2の投影光学系を有する第2のプロジェクタをさらに備え、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第1のフィルタは、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光の第1の部分を第1の目用の反射光として前記反射素子へ反射し、かつ前記第2の目用の光の第2の部分を前記第1の入力光として透過するように構成され、前記反射素子は、前記第1の目用の反射光を前記第2のプロジェクタに導くように構成されている、(9)に記載の投影システム。
【0084】
(11)前記第2のプロジェクタは、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第1の目用の反射光の第1の部分を反射しかつ前記第1の目用の反射光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するように構成された第2のフィルタを有している、(10)に記載の投影システム。
【0085】
(12)前記第1の光源および前記第2の光源はレーザ光源である、(1)~(11)に記載の投影システム。
【0086】
(13)第1の光源により第1の目用の光を出射するステップであって、前記第1の目用の光は第1の波長の組を含む、ステップと、第2の光源により第2の目用の光を出射するステップであって、前記第2の目用の光は第2の波長の組を含む、ステップと、第1の投影光学系を有する第1のプロジェクタにより第1の入力光を受光するステップと、光学スイッチを第1のモードと第2のモードとの間で切り替えるステップと、を含み、前記光学スイッチは、前記第1のモードにおいて、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を結合して結合光とし、前記結合光を前記第1の入力光として前記第1の投影光学系に導くように構成されている、画像投影方法。
【0087】
(14)前記光学スイッチは反射素子および第1のフィルタを有し、
前記光学スイッチを前記第1のモードに切り替えることは、前記反射素子を第1の位置に移動することにより、前記第1の目用の光を第1の目用の反射光として前記第1のフィルタへ反射することと、前記第1のフィルタに、前記第2の目用の光の第1の部分を反射させ、前記第2の目用の光の第2の部分を前記結合光の第1の部分として透過させ、かつ前記第1の目用の反射光を前記結合光の第2の部分として反射させることと、を含む、(13)に記載の方法。
【0088】
(15)第2の投影光学系を有する第2のプロジェクタにより第2の入力光を受光するステップをさらに含み、前記光学スイッチを前記第2のモードに切り替えることは、前記反射素子を第2の位置に移動することにより、前記第1の目用の光を前記第2のプロジェクタへ通過させることを含む、(14)に記載の方法。
【0089】
(16)前記第2のプロジェクタは第2のフィルタを有し、前記方法は、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第2のフィルタにより前記第1の目用の光の第1の部分を反射し、かつ前記第2のフィルタにより前記第1の目用の光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するステップをさらに含む、(15)に記載の方法。
【0090】
(17)前記光学スイッチは第1のフィルタおよび反射素子を有し、前記光学スイッチを前記第1のモードにすることは、前記第1のフィルタを第1の位置に移動することにより、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光を前記結合光として前記第1の投影光学系へ通過させることを含む、(13)に記載の方法。
【0091】
(18)第2の投影光学系を有する第2のプロジェクタにより第2の入力光を受光するステップをさらに含み、前記光学スイッチを前記第2のモードに切り替えることは、前記第1のフィルタを第2の位置に移動することにより、前記第1の目用の光および前記第2の目用の光の第1の部分を第1の目用の反射光として前記反射素子へ反射させ、前記第2の目用の光の第2の部分を前記第1の入力光として透過させることと、前記反射素子により前記第1の目用の反射光を前記第2のプロジェクタへ導くことと、を含む、(17)に記載の方法。
【0092】
(19)前記第2のプロジェクタは第2のフィルタを有し、前記方法は、前記光学スイッチが前記第2のモードにあるとき、前記第2のフィルタにより前記第1の目用の反射光の第1の部分を反射し、かつ前記第2のフィルタにより前記第1の目用の反射光の第2の部分を前記第2の入力光として透過するステップをさらに含む、(18)に記載の方法。
【0093】
(20)投影装置のプロセッサによって実行されたとき、前記投影装置に(13)~(19)に記載の方法を含む動作を実行させる命令を格納した、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【0094】
本書に記載されているプロセス、システム、方法、ヒューリスティックなどに関して、そのようなプロセスなどのステップは、ある特定の順序にしたがって起こるものとして記載されているが、そのようなプロセスは、記載されたステップを本書に記載された順序以外の順序で実行することによっても実施可能であることを理解すべきである。さらに、特定のステップが同時に実行され得ること、他のステップが追加され得ること、または本明細書に記載された特定のステップが省略され得ることを理解すべきである。言い換えれば、本明細書におけるプロセスの記述は、特定の実施形態を説明する目的で提供されており、決して特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0095】
したがって、上記の説明は例示を目的としたものであり、制限的なものではないことが理解されるべきである。提供した例以外の多くの実施形態および応用は、上記の説明を読めば明らかになるであろう。その範囲は、上記の説明を参照するのではなく、むしな、添付の特許請求の範囲を参照し、またそのような特許請求の範囲が値する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。本明細書で議論した技術において将来の発展が起こるであろうこと、またそのような将来の実施形態に本開示のシステムと方法が組み込まれるであろうことが、予期され意図されている。まとめると、本願は改変および変形が可能であることを理解すべきである。
【0096】
特許請求の範囲で使用されているすべての用語は、本明細書においてそれに反することが明示されていない限り、本明細書に記載されている技術に精通している者が理解するような最も広い合理的な解釈と通常の意味が与えられることを意図している。特に、「a」、「the」、「said」などの単数形の冠詞の使用は、請求項にそれに反するような明確な制限が記載されていない限り、示された要素の1つまたは複数を記載していると読み取るべきである。
【0097】
要約(Abstract of the Disclosure)は、読む者が技術開示の性質を迅速に確認できるように提供されている。これは、特許請求の範囲または意味を解釈または制限するために用いられないという理解の上で提出されている。さらに、前述の詳細な説明(Detailed Description)においては、開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な実施形態にまとめられていることがわかる。このような開示の方法は、請求項に記載された実施形態が、各請求項に明示的に記載されている以上の特徴を備えているという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明的主題は、単一の開示された実施形態の特徴のすべてよりも少ない特徴に存する。したがって、以下の請求項は、各請求項が個別に請求された主題として独立しているものとして、詳細な説明に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7