IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧 ▶ ローム アンド ハース カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】洗浄をブーストするためのポリマー
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20241029BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20241029BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20241029BHJP
   C08F 216/14 20060101ALI20241029BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D17/08
C11D3/50
C08F216/14
C08F220/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021573802
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 US2020034804
(87)【国際公開番号】W WO2020251765
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】62/861,473
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーラ、アスガル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ドノヴァン、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ロイ
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-179653(JP,A)
【文献】特開2016-155993(JP,A)
【文献】特開2017-110083(JP,A)
【文献】特表2022-538529(JP,A)
【文献】国際公開第2014/032269(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0275396(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
C09K 23/00-23/56
C08C 19/00-19/44
C08F 6/00-301/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗濯洗剤用添加剤であって、
洗浄ブースターポリマーであって、
(a)前記洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、55~85重量%の式(III)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位であって、
【化1】
式中、各R が独立して、水素および-CH 基から選択される、構造単位と、
(b)前記洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、10~30重量%の式(I)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位であって、
【化2】
式中、xが、2~6の平均であり、yが、8~12の平均である、構造単位と、
(c)前記洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、5~15重量%の式(II)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位であって、
【化3】
式中、各Rが独立して、メチル基、エチル基およびブチル基から選択され、各Rが独立して、水素およびメチル基からなる群から選択される、構造単位のみからなる、洗浄ブースターポリマーを含み、
前記洗浄ブースターポリマーが、2,500~20,000ダルトンの重量平均分子量M を有する、液体洗濯洗剤用添加剤。
【請求項2】
前記洗浄ブースターポリマーが、4,000~10,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する、請求項1に記載の液体洗濯洗剤用添加剤。
【請求項3】
各R が水素である、請求項2に記載の液体洗濯洗剤用添加剤。
【請求項4】
が、前記洗浄ブースターポリマー中の前記式(III)の構造単位の50~100モル%において水素である、請求項に記載の液体洗濯洗剤用添加剤。
【請求項5】
が、エチル基であり、Rが、水素である、請求項に記載の液体洗濯洗剤用添加剤。
【請求項6】
前記洗浄ブースターポリマーが、
前記洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、60~82重量%の前記式(III)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位と、
前記洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、10~30重量%の前記式(I)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位と、
前記洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、5~15重量%の前記式(II)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位のみからなる、請求項に記載の液体洗濯洗剤用添加剤。
【請求項7】
前記液体洗濯洗剤用添加剤が、前記液体洗濯洗剤用添加剤の乾燥重量に基づいて、0~1重量%のビニルアルコールポリマーを含有する、請求項に記載の液体洗濯洗剤用添加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗濯添加剤に関する。特に、本発明は、液体洗濯添加剤であって、洗浄ブースターポリマーであって、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位と、式(I)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位と、
【化1】
任意選択的に、式(II)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位と、
【化2】
を有する、洗浄ブースターポリマーを含む、液体洗濯添加剤に関する。
【0002】
優れた全体的な洗浄を提供する液体およびゲル形態の洗濯洗剤は、消費者にとって望ましい。そのような洗濯洗剤は、典型的には、消費者が所望の洗浄効果を果たすために、他の成分の中でも界面活性剤を含む。それにもかかわらず、環境への感受性の高まりおよび材料費の上昇により、洗濯洗剤での界面活性剤の利用を減らす動きが高まっている。その結果、洗剤メーカーは、全体的な洗浄性能を維持しながら、洗濯洗剤の単位用量あたりの界面活性剤の量を減らす方法を模索している。
【0003】
界面活性剤の単位用量を減らすための1つのアプローチは、Boutiqueらによって、米国特許出願公開第2009/0005288号に記載されているように、ポリマーを液体洗剤配合物に組み込むことである。Boutiqueらは、約2~約20重量%の界面活性剤を有する液体またはゲル洗濯洗剤配合物で使用するためのポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリブチレンオキシドと酢酸ビニルとの約1:0.2~約1:10の重量比のグラフトコポリマーを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、好ましくは、改善された再付着防止性能も提供しつつ、液体またはゲルの洗濯洗剤配合物中の界面活性剤の低減された量を有する、一次洗浄性能の維持を促進する、液体洗濯添加剤の継続的な必要性が存在する。
【0005】
本発明は、液体洗濯添加剤であって、洗浄ブースターポリマーであって、(a)洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位と、(b)洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、5~50重量%の式(I)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位であって、
【化3】
式中、xが、0~20の平均であり、yが、0~30の平均であり、x+yが、≧1である、構造単位と、(c)洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、0~25重量%の式(II)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位であって、
【化4】
式中、各Rが独立して、-C1-4アルキル基から選択され、各Rが独立して、水素およびメチル基からなる群から選択される、構造単位と、を含む、洗浄ブースターポリマーを含む、液体洗濯添加剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
驚くべきことに、本明細書に記載される液体洗濯添加剤は、グラウンドクレイの良好な再付着防止性能を維持しながら、ほこり皮脂に対する一次洗浄性能の改善を促進することが見出された。
【0007】
特に指示がない限り、比率、百分率、部などは、重量単位である。組成物中の重量百分率(または重量%)は、乾燥重量の百分率であり、すなわち、組成物中に存在し得る一切の水を排除した百分率である。
【0008】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「重量平均分子量」および「M」という用語は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)およびポリスチレン標準物などの従来の標準物を用いる従来の様式で測定された場合の重量平均分子量を指すのに互換的に使用される。GPC技術については、Modern Size Exclusion Liquid Chromatography:Practice of Gel Permeation and Gel Filtration Chromatography,Second Edition,Striegel,et al.,John Wiley&Sons,2009で詳細に考察されている。重量平均分子量は、本明細書においてダルトンの単位で報告される。
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「構造単位」という用語は、示されたモノマーの残部(remnant)を指し、したがって、(メタ)アクリル酸の構造単位は、以下で示され、
【化5】
式中、点線が、ポリマー骨格への結合点を表し、Rが、アクリル酸の構造単位の水素であり、メタクリル酸の構造単位の-CH基である。
【0010】
好ましくは、本発明の液体洗濯添加剤は、本明細書に記載される洗浄ブースターポリマーを含む。より好ましくは、本発明の液体洗濯添加剤は、水、および本明細書に記載される洗浄ブースターポリマーを含み、洗浄ブースターは、水に分散されている。最も好ましくは、本発明の液体洗濯添加剤は、5~85重量%(好ましくは、20~80重量%、より好ましくは、30~75重量%、最も好ましくは、40~60重量%)の水と、15~95重量%(好ましくは、20~80重量%、より好ましくは、25~70重量%、最も好ましくは、40~60重量%)の本明細書に記載される洗浄ブースターポリマーと、を含む。
【0011】
好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、(a)洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位と、(b)洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、5~50重量%(好ましくは、8~40重量%、より好ましくは、10~30重量%、最も好ましくは、15~25重量%)の式(I)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位であって、
【化6】
式中、xが、0~20の平均であり(好ましくは、0~15、より好ましくは、0~10、最も好ましくは、2~6)、yが、0~30の平均であり(好ましくは、0~25、より好ましくは、4~20、最も好ましくは、8~12)、x+yが、≧1である、構造単位と、(c)洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、0~25重量%(好ましくは、0~20重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~13重量%)の式(II)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位であって、
【化7】
式中、各Rが独立して、-C1-4アルキル基から選択され、各Rが独立して、水素およびメチル基からなる群から選択される、構造単位と、を含む。
【0012】
好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、500~100,000ダルトン(好ましくは、2,000~50,000ダルトン、より好ましくは、2,500~20,000ダルトン、最も好ましくは、4,000~10,000ダルトン)の重量平均分子量Mを有する。
【0013】
好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含む。より好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を含有するモノエチレン性不飽和モノマーから選択される。さらにより好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、ならびに対応する無水物、アミドおよびエステルなどの他の誘導体からなる群から選択される。なおさらにより好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。なおさらに好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸コアモノマーは、アクリル酸を含む。最も好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸コアモノマーは、アクリル酸である。
【0014】
好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位は、式(III)の構造単位であり、
【化8】
式中、各Rは独立して、水素および-CH基(好ましくは、水素)から選択される。最も好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、50~95重量%(好ましくは、55~85重量%、より好ましくは、60~82重量%、最も好ましくは、62~70重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーの構造単位は、式(III)の構造単位であり、式中、各Rが独立して、水素および-CH基から選択され、式中、Rが、洗浄ブースターポリマー中の式(III)の構造単位の50~100モル%(好ましくは、75~100モル%、より好ましくは、90~100モル%、さらにより好ましくは、98~100モル%、最も好ましくは、100モル%)において水素である。
【0015】
好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、5~50重量%(好ましくは、8~40重量%、より好ましくは、10~30重量%、最も好ましくは、15~25重量%)の式(I)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位を含み、
【化9】
式中、xが、0~20の平均であり(好ましくは、0~15、より好ましくは、0~10、最も好ましくは、2~6)、yが、0~30の平均であり(好ましくは、0~25、より好ましくは、4~20、最も好ましくは、8~12)、x+yが、≧1である。
【0016】
好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、洗浄ブースターポリマーの乾燥重量に基づいて、0~25重量%(好ましくは、0~20重量%、より好ましくは、5~15重量%、さらにより好ましくは、8~13重量%)の式(II)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位を含み、
【化10】
式中、各Rが独立して、-C1-4アルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、およびブチル基、より好ましくは、エチル基、およびブチル基、最も好ましくは、エチル基)から選択され、各Rが独立して、水素およびメチル基(好ましくは、水素)からなる群から選択される。より好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、0~25重量%(好ましくは、0~20重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~13重量%)の式(II)のエチレン性不飽和モノマーの構造単位を含み、式中、Rが、洗浄ブースターポリマー中の式(II)の構造単位の75~100モル%(好ましくは、90~100モル%、より好ましくは、98~100モル%、最も好ましくは、100モル%)においてエチル基であり、Rが、洗浄ブースターポリマー中の式(II)の構造単位の75~100モル%(好ましくは、90~100モル%、より好ましくは、98~100モル%、最も好ましくは、100モル%)において水素である。
【0017】
好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、液体洗濯添加剤の乾燥重量に基づいて、<1重量%(好ましくは、<0.5重量%、より好ましくは、<0.2重量%、さらにより好ましくは、<0.1重量%、なおさらにより好ましくは、<0.01重量%、最も好ましくは、<検出限界)のビニルアルコールポリマー(PVA)を含有する。より好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、液体洗濯添加剤の乾燥重量に基づいて、<1重量%(好ましくは、<0.5重量%、より好ましくは、<0.2重量%、さらにより好ましくは、<0.1重量%、なおさらにより好ましくは、<0.01重量%、最も好ましくは、<検出限界)のビニルアルコールポリマー(PVA)を含有し、ビニルアルコールポリマーは、80~100モル%の鹸化度(JIS K 6726(1994)に規定された方法を使用して決定)を有する。最も好ましくは、本発明の洗浄ブースターポリマーは、液体洗濯添加剤の乾燥重量に基づいて、<1重量%(好ましくは、<0.5重量%、より好ましくは、<0.2重量%、さらにより好ましくは、<0.1重量%、なおさらにより好ましくは、<0.01重量%、最も好ましくは、<検出限界)のビニルアルコールポリマー(PVA)を含有し、ビニルアルコールポリマーは、変性ビニルアルコールポリマーを含み得る。変性ビニルアルコールポリマーには、アニオン修飾PVA(例えば、スルホン酸基修飾PVAおよびカルボン酸基修飾PVA)、カチオン修飾PVA(例えば、第四級アミン基修飾PVA)、アミド修飾PVA、アセトアセチル基修飾PVA、ジアセトンアクリルアミド修飾PVA、およびエチレン修飾PVAが含まれる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態を、これより以下の実施例において詳細に説明する。
【0019】
合成S1:ポリマー1
機械的撹拌器、加熱マントル、熱電対、冷却器、ならびにモノマー(複数可)、開始剤、鎖調整剤の添加口を備える、2リットルの丸底フラスコに、脱イオン水(206.25g)を充填した。フラスコの内容物を攪拌し、72℃に加熱した。フラスコの内容物が72℃の反応温度に達したら、0.15%の硫酸鉄七水和物促進剤水溶液(2.5g)を添加し、続いて、事前充填として、脱イオン水(5.25g)に溶解したメタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)(0.89g)を添加した。次いで、以下のように、フラスコの内容物に、別個の供給を行った。
開始剤の同時供給:脱イオン水(30g)に溶解した過硫酸ナトリウム(1.3g)を、95分かけてフラスコに供給した。
連鎖移動剤(CTA)の同時供給:脱イオン水(60g)に溶解したメタ重亜硫酸ナトリウム(20.86g)を、80分かけてフラスコに供給した。
モノマーの同時供給:氷状のアクリル酸(240g)と、式(I)のエチレン性不飽和モノマーであって、式中、xが4であり、yが10である、エチレン性不飽和モノマー(Emulsogen(登録商標)APS-100としてClariant から入手可能)(60g)と、を含有するモノマー溶液を、90分かけてフラスコに供給した。
同時供給が完了したら、すすぎとして、脱イオン水(15g)を添加した。次に、フラスコの内容物を、72℃で10分間保持した。保持が完了したら、5分間の添加間隔をあけて2回連続してチェイス溶液をフラスコに添加した。両方のチェイスは、過硫酸ナトリウム(0.39g)および脱イオン水(8g)で構成され、10分かけて添加した。2回目のチェイス添加後、フラスコの内容物を72℃で20分間保持した。最終保持が完了したら、フラスコの内容物を50℃を下回るように冷却した。次に、温度を60℃を下回るように維持しながら、50%水酸化ナトリウム水溶液(100g)を添加漏斗を通してゆっくりとフラスコに添加した。水酸化ナトリウム水溶液を添加後、35%過酸化水素スカベンジャー水溶液(4g)をフラスコの内容物に添加した。重亜硫酸の残留が検出されなかったため、50%水酸化ナトリウム水溶液(88g)をフラスコの内容物に加え、温度を70℃を下回るように保った。最後のすすぎの脱イオン水(15g)を、添加漏斗を通してフラスコの内容物に加えた。次に、フラスコの内容物を、<35℃に冷却した。生成物ポリマーは、45.0%の固形分、6.02のpH、2,340cpsのブルックフィールド粘度を有していた。残留モノマーは、50ppmを下回ると測定された。ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された最終重量平均分子量Mは、8,363ダルトンであった。
【0020】
合成S2:ポリマー2
機械的撹拌器、加熱マントル、熱電対、冷却器、ならびにモノマー(複数可)、開始剤、鎖調整剤の添加口を備える、2リットルの丸底フラスコに、脱イオン水(210g)を充填した。フラスコの内容物を攪拌し、72℃に加熱した。フラスコの内容物が72℃の反応温度に達したら、0.15%の硫酸鉄七水和物促進剤水溶液(5.12g)を添加し、続いて、事前充填として、脱イオン水(5.0g)に溶解したメタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)(1.02g)を添加した。次に、以下のように、フラスコの内容物に、別個の供給を行った。
開始剤の同時供給:脱イオン水(25g)に溶解した過硫酸ナトリウム(1.92g)を、115分かけてフラスコに供給した。
連鎖移動剤(CTA)の同時供給:脱イオン水(45g)に溶解したメタ重亜硫酸ナトリウム(23.14g)を、100分かけてフラスコに供給した。
モノマーの同時供給:氷状のアクリル酸(196.2g)と、エチルアクリレート(EA)(33.6g)と、式(I)のエチレン性不飽和モノマーであって、式中、xが4であり、yが10である、エチレン性不飽和モノマー(Emulsogen(登録商標)APS-100としてClariantから入手可能)(70.2g)と、を含有するモノマー溶液を、110分かけてフラスコに供給した。
同時供給が完了したら、すすぎとして、脱イオン水(15g)を添加した。次に、フラスコの内容物を、72℃で10分間保持した。保持が完了したら、5分間の添加間隔をあけて2回連続してチェイス溶液をフラスコに添加した。両方のチェイスは、過硫酸ナトリウム(1.1g)および脱イオン水(20g)で構成され、10分かけて添加した。2回目のチェイス添加後、フラスコの内容物を72℃で20分間保持した。最終保持の完了時に、35%過酸化水素スカベンジャー溶液(3.3g)をフラスコの内容物に添加した。次に、最後のすすぎの脱イオン水(179g)を、添加漏斗を通してフラスコの内容物に加えた。次に、フラスコの内容物を、<35℃に冷却した。生成物ポリマーは、37.8%の固形分、2.51のpH、80cpsのブルックフィールド粘度を有していた。残留モノマーは、55ppmを下回ると測定された。ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された最終重量平均分子量Mwは、5,880ダルトンであった。
【0021】
比較例C1~C2および実施例1~2:液体洗濯洗剤
後続の実施例の洗浄試験で使用される液体洗濯洗剤配合物を、表2に示される洗浄ブースターポリマーを有する、表1に記載される一般的な配合を有するように調製し、標準的な液体洗濯配合物調製手順によって調製した。
【表1】
【表2】
【0022】
一次洗浄性能
比較例C1~C2および実施例1~2の液体洗濯洗剤配合物の一次洗浄性能は、表3に記載された条件で毎分90サイクルで撹拌されたSR Lab Instruments(6×1Lウェル)から入手可能なTerg-o-tometerモデルTOM-52-Aで評価した。
【表3】
【0023】
汚れ除去指数(SRI)は、ASTMメソッドD4265-14を使用して計算した。ΔSRIは、洗浄ブースターがない場合と同じ界面活性剤濃度の対照洗剤を参照して決定した。結果を表4に記載する。
【表4】
【0024】
再付着防止
比較例C1~C2および実施例1の液体洗濯洗剤配合物の再付着防止性能を、毎分90サイクルで撹拌されたTerg-o-tometerモデル7243ESで、表5に記載の条件で評価した。
【表5】
【0025】
布地を5サイクル連続して洗濯し、HunderLab UltraScan VIS比色計を使用して460nmで白色度指数を測定し、ASTM E313に従って布地の白色度を判定した。きれいな未洗浄の布地の白色度指数を陽性対照として使用した。液体洗濯製剤のそれぞれについての陽性対照に対する白色度指数の変化を表6に提供する。
【表6】