(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】オンボード電子機器用保護モジュールおよび相互接続方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20241029BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20241029BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20241029BHJP
H02G 15/013 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H05K5/06 A
H05K5/00 B
H05K7/00 M
H02G15/013
(21)【出願番号】P 2021576787
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 BR2020050216
(87)【国際公開番号】W WO2020257899
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】BR1020190131284
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】591005349
【氏名又は名称】ペトロレオ ブラジレイロ ソシエダ アノニマ - ペトロブラス
(73)【特許権者】
【識別番号】521560540
【氏名又は名称】セルヴィソ ナシオナル デ アプレンディザゲム インダストリアル - セナイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120684
【氏名又は名称】宮城 三次
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエガス ウェンツ アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ミオト ベッカー クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】コスタミラン エンゾ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】リスボア サントス ヒューゴ フランシスコ
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-128091(JP,U)
【文献】実公昭49-022802(JP,Y1)
【文献】米国特許第06888972(US,B2)
【文献】実公昭33-010756(JP,Y1)
【文献】特開昭56-061200(JP,A)
【文献】特開平09-329394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
H05K 5/00
H05K 7/00
H02G 15/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンボード電子機器用保護モジュールであって、チャネル(15)および平行ガイド(19)が設けられた、電子部品(17)を受け入れるように適合された円筒形状のライナー(4)を備え、前記ライナー(4)は、複合材
料のシリンダ
(5)が外部に設けられ、前記モジュール(1)は、その端部に容器蓋(3)が設けられ、前記容器蓋(3)は、ストッパ(9)が設けられ、前記モジュール(1)は、第1のモジュール(1)の容器蓋(3)を第2のモジュール(1)の別の容器蓋(3)に接着によって相互接続するペネトレータ(2)と、シール(7)と、Oリング
シール(10)と、がさらに設けられ、前記モジュール(1)の気密性を保証することを特徴とする、オンボード電子機器用保護モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のオンボード電子機器用保護モジュールであって、前記ライナー(4)は、前記モジュール(1)を通るホースおよび/または通信ケーブルの通過のための2つの径方向に対向する長手方向のチャネル(15)と、
前記Oリン
グシール(10)と、内部および長手方向に配置されたヒートシンクプレート(13)と、ヒート
チューブ(6)と、を備えることを特徴とする、オンボード電子機器用保護モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載のオンボード電子機器用保護モジュールであって、前記容器蓋(3)は、中央テーパ穴(14)と、前記ライナー(4)の前記チャネル(15)に整列した穴(16)と、前記モジュール(1)を取り外すための抜き穴(8)と、ヒートチューブ(6)が配置されている内側のインサート(20)と、
前記シール(7)と、を有することを特徴とする、オンボード電子機器用保護モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のオンボード電子機器用保護モジュールであって、複合
材料の前記シリンダ(5)は、前記ライナー(4)を覆い、300気圧のオーダーの圧力に抵抗することを特徴とする、オンボード電子機器用保護モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載のオンボード電子機器用保護モジュールであって、前記ストッパ(9)は、圧力抵抗性のポリマー樹脂からなることを特徴とする、オンボード電子機器用保護モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載のオンボード電子機器用保護モジュールであって、300気圧のオーダーの圧力に抵抗することを特徴とする、オンボード電子機器用保護モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ロボットシステムの機能は、水中環境にある大きな静水圧に耐えるように設計されていないいくつかの電気および電子部品に依存する。場合によっては、それらは依然として影響されやすい部品であり、周囲の流体圧力の変化が、それらの動作の精度に影響を及ぼす可能性がある。このロボットがパイプライン内などの環境下において高圧高温で動作するために、その電子部品は剛体構造で保護されなければならないが、剛体構造は、内部空間を損なわないために細長い。
【0002】
パイプラインでのロボットの使用を困難にしているもう1つの要因は、電子部品がパイプライン内に収まり、経路のカーブや交差位置を通過するように、異なるモジュールに細分化されることである。それらは、電気的およびデータ相互接続を維持しながら、これを行わなければならず、従って、ダクトの寸法が小さくなるほど、より多くの相互接続を必要とする。場合によっては、ロボットは、電気的に相互接続される必要があるだけでなく、油圧経路も有し、それは、構造および電子部品によって既に占有されている同じ空間を占有しなければならず、そのような通路を可能にするためには革新的な解決策が必要となる。
【0003】
重要な問題は、これらの電子部品が動作中に熱エネルギーを生成し、この生成された熱が、電子機器が取り付けられている内部環境から外部環境へ効果的にとりわけ効率的に除去される必要があることである。場合によっては、モジュール構造にこれらの構成要素を組み立てることは、その幾何学的形状のために、またはそれが熱を適切に伝導する材料ではないために、実現不可能である。
【背景技術】
【0004】
本発明の前に、電子機器を保護する金属構造によって使用される空間は、システム内で多くの空間を消費し、それは、例えば、石油・ガス産業で使用される4インチのものなど、より小さな断面を有するダクトに適用されることができない。ロボットモジュール間の接続の数および種類は、利用可能な市販のコネクタに限定された。これらは、多様性がほとんどなく、またかさばってモジュール内の多くの空間を占有する。
【0005】
特許文献1は、水中環境で電子部品を収容し、信号ケーブルの信号伝送素子に部品を接続できるようにするための圧力容器を開示している。特許文献2は、高い静水圧に耐え、かつ高温にも耐えることができる円筒形状の圧力容器を開示しており、光ファイバデータ伝送における必須の配線および接続の通路を分離する能力を示している。特許文献3は、圧力容器であって、その内部の電子部品によって発生した熱を受動的に伝導するための圧力容器を開示している。
【0006】
技術水準として引用されたいずれの文献も、電子部品、コネクタ、シール、パッキング等を収容することができる圧力容器を明らかにしているが、それらのいずれも小径パイプ内での移動という問題を解決することができない。言い換えれば、先行技術文献のいずれも、直径が小さいダクトおよびパイプライン内での移動性に適合していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】US6434317
【文献】US2002064367
【文献】国際公開第2001013692号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、パイプライン内で動作するシステムの構造を構成するのに使用される。それは、ロボットシステムでトレインの形で使用されることができ、小さい直径のチューブまたはダクト内でツールを動かすことができる。それは、接続の種類が限られた高価な市販のコネクタの必要性をなくす。
【0009】
提案される解決策は、電子部品または油圧構成要素を圧力容器モジュールに分割/分離することであり、それによって、エラストマーコンジットによるモジュール間の相互接続の適切な手段を提供することが必要になる。各モジュールは、その内部に設置された電子機器から発生する熱を除去するための熱交換器システム(シンク)を有する。本発明の製品は、静水圧が極めて高いダクトおよび水中配管内を移動するのに十分な自由度を有する。
【0010】
本発明は、添付の図面を参照して、以下により詳細に説明され、添付の図面は、概略的かつ非限定的な方法で、その構成の例を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ホースのない一体型モジュールの代表的な側面図を示す。
【
図3】加工のために用意されたゴム射出成形型の側面図を示す。
【
図4】樹脂製のストッパを示す容器蓋の断面図を示す。
【
図5】は、無線モジュールおよび電子部品の断面を示す。
【
図6】電子ボードがヒートシンク上に搭載されたモジュールの側断面図を示す。
【
図7】電子ボードがヒートシンク上に搭載されたモジュールの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
積層炭素繊維材料の適用により、オンボード電子機器が調整される圧力容器壁の厚さを減少させることが可能であった。この種の材料の製造工程は、金属ビレットの機械加工におけるように、サブトラクティブではなくアディティブであるので、廃棄物の発生および製造コストが低減される。
【0013】
本発明は、モジュール(1)間の接続において任意のタイプの導体を調整することを可能にし、これらが、そのようなもののための専用コネクタを必要とせずに、圧力容器に入ることを可能にする。これは、ペネトレータ(2)と呼ばれるエラストマーコンジットを作ることによって行われる。圧力容器蓋(3)がインサートとして配置されるゴム射出成形型(12)では、蓋材料(3)とペネトレータエラストマー(2)との間の理想的な接着を得ることが可能である。このために、ゴム射出および加硫ステップの前に、カバーは、カバー(3)の円錐形の穴(14)を通過するワイヤ/ケーブル(18)が用意され、そこで、カバーは、射出工程の圧力と、続いて、外圧、すなわちロボットの適用環境と、に耐性を有するこのストッパ(9)を生成するポリマー樹脂で部分的に充填される。これにより、大量の配線/ケーブル(18)が、300気圧のオーダーの圧力に対する耐性を損なうことなく、テーパ穴(14)を共に通過することができる。
【0014】
本発明は、複合材料圧力容器(5)の円筒形部分の構成要素の1つである、ライナー(4)と称される積層体の内部部品を利用し、それは、通常、圧力容器壁内のホースの通過を行うためにフィラメントワインディング工程の補助器具としてのみ使用される。これは、金属材料製であるこのライナー(4)を、ワイヤ電食の工程を通じて製造し、その内部断面を、ホースの通過を可能にするために続いてドリルで開けられるチャネル(15)の幾何学的形状で切断することによって行われる。これらのチャネル(15)は、環境の圧力がホースと空洞との間で作用するので、外圧に抵抗するようなサイズになっている。従って、これらのホースの保護という、本発明の別の利点が出現し、それは、そうでなければ、ロボットが作用し得る生産ダクト(ライザー)の内部アーマチュアとモジュール(1)との間で圧縮されて引きずられるときに力を受ける可能性がある。
【0015】
本発明は、ヒートパイプ技術(6)を使用して、この熱負荷の流れを金属材料製の容器蓋(3)に導く。これは、ペネトレータ(2)を通る導体の通過のための円錐形の穴(14)と、ライナー(4)を通るホースの通過のための整列した穴(16)とを有する同じカバーである。ヒートパイプとしても知られるこれらの構成要素を使用して、ヒートシンクプレート(13)のサイズは、キャビティの直径および長さのみに条件付けられる。
【0016】
図4および
図5に見られるように、モジュール(1)は、容器蓋(3)と共に示されている。
図2では、容器蓋(3)がペネトレータ(2)に接合され、配線/ケーブル(18)が蓋(3)を通って出ているのを見ることができる。重要なことは、製造順序において、ゴム加硫は、
図3に示す手順で、射出成形型(12)において蓋(3)を意図的に使用して、成形型(12)を密封し、ゴムと金属との間に理想的な接着を作り出すことである。この接着は、ペネトレータ(2)の内圧および屈曲の力に耐えなければならない本発明の完全性を保証するために極めて重要である。
【0017】
モジュール間の配線/ケーブル(18)の仕様に基づいて、配線/ケーブル(18)が、選択され、容器カバー(3)に挿入するための余長に切断される。配線/ケーブル(18)を蓋(3)のテーパ穴(14)に挿入し、液状の樹脂をベッカーで調製した後、注ぐことにより、樹脂ストッパ(9)をテーパ穴(14)の高さの一部に形成する(「鋳造」と同様の処理)。硬化後、この工程を次の蓋について繰り返し、
図3に示すように成形型に挿入する。
【0018】
成形型(12)を閉じる際には、成形型キャビティを充填するゴム射出装置が配置され、
図2に示すように、蓋(3)と配線/ケーブル(18)とを単一の部品に統合する。完全な密封を保証するため、閉じる前に、容器蓋(3)のテーパ穴(14)の内面に特殊な接着剤を塗布し、それは、蓋(3)の金属材料へのゴムの接着を容易にする。
【0019】
図5、
図6および
図7では、圧力容器の内部、より具体的にはライナーキャビティ(4)を見ることができる。ライナー(4)の周囲には、フィラメントワインディング工程によって作られた複合材料(5)のシリンダがあり、この構造は、300気圧のオーダーの圧力に耐える能力を保証する。このライナー(4)を内部で彫って、複合材料で被覆した場合、それを容器本体(11)と称する。
【0020】
金属またはポリマーで作ることができる中実材料製の棒は、ライナー(4)の外径で、いくつかの容器を同じフィラメントワインディング工程で作ることができるような長さで、製造される。次に、フィラメントワインディング装置が、複合材料を、所望の数の層に達するまで、ライナー(4)上に所定の積層順序で連続的に堆積させる。複合材料に応じて、後硬化(ポストキュア)はオーブンで数時間行われる。旋盤を用いて、複合材料で巻かれた棒は、容器本体(11)の正確な長さを有する部分に切断される。これらのセグメントの中実ライナー部分は、内部キャビティを作成するために材料に応じて後で機械加工または切断される。ライナー(4)が金属である場合、ワイヤ電食工程が使用される。このステップでは、ライナー(4)の内側の空洞が作成され、オンボード電子機器を収容し、前述のホースの通過を可能にする。そして最後に、蓋の結合を可能にするためのOリング溝(7)およびねじ山などの、機械加工によって仕上げがなされる。
【0021】
容器蓋(3)は、一方の側でライナー(4)と、他方の側でペネトレーター(2)とインターフェースする。蓋を取り付けるとき、それらの穴は、ライナー(4)のチャネル(15)と整列し、ホースおよび/またはケーブルが、容器に入る必要なしにモジュール間を通過することを可能にする。これらの間のインターフェースには、Oリングシール(10)があり、圧力が内部に入るのを防止する。容器(3)の蓋には、内側から、ヒートチューブ(6)の端部の一方が挿入され、電子基板の熱エネルギーが放散されるようになっている。ヒートチューブ(6)の他端は、ヒートシンクプレート(13)に結合され、ヒートシンクプレートは、熱を放散する必要のある電子部品(17)の部分に結合される。このヒートシンクプレート(13)は、固定のためにライナー(4)の内側に彫られた平行ガイド(19)を使用する。
【0022】
容器蓋(3)は既にペネトレータ(2)が接着/一体化されているので、ペネトレータ(2)の他端には、別の容器本体(11)に結合される用意ができた別の容器蓋(3)がある。これらの蓋では、エッジにある抜き穴(8)により、ねじをねじ込むことができ、それを抜き出す方向に強いることができ、従ってモジュール(1)間の取り外しを可能にする。
【0023】
従って、詳細な説明および図面によれば、オンボード電子機器用保護モジュールは、電子部品(17)を受け入れるように適合された円筒形状のライナー(4)であって、チャネル(15)が設けられ、複合材料の円筒(5)を形成するライナー(4)に対する外層が設けられ、さらに2つの容器蓋(3)が設けられ、さらに少なくとも1つのストッパ(9)が設けられ、さらに少なくとも1つのペネトレータ(2)およびシール(7)が設けられてモジュール(1)の気密性を確保する、円筒形状のライナー(4)に過ぎない。