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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/18 20060101AFI20241029BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20241029BHJP
【FI】
G01K1/18
G01K1/14 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022030677
(22)【出願日】2022-03-01
(65)【公開番号】P2023127107
(43)【公開日】2023-09-13
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松島 知宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 彬宜
(72)【発明者】
【氏名】田中 開
(72)【発明者】
【氏名】大芝 晃平
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/024718(WO,A1)
【文献】特開2019-133888(JP,A)
【文献】特開2020-187008(JP,A)
【文献】特開2019-2893(JP,A)
【文献】特開2000-346731(JP,A)
【文献】特開2020-26997(JP,A)
【文献】特開2020-12809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0265677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01M 10/00-10/667
H02J 7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル薄板状の電線に取り付けられて被測定部の温度を検知するセンサ部と、
熱伝導性が高い部材で形成され、前記被測定部に接触して前記被測定部で生じる熱を前記センサ部に伝えることが可能な集熱部と、
を備え、
前記集熱部は、前記センサ部の側方の少なくとも一部を囲うように配置される周壁と、前記周壁に連設され、前記電線と前記被測定部との間に配置される底壁と、を備え
前記電線には、前記センサ部の側方の全周を囲うように配置される枠状部材が取り付けられており、
前記枠状部材と前記センサ部との間に、前記センサ部を被覆する樹脂被覆部が形成されており、
前記枠状部材が前記周壁に嵌め込まれている、
温度センサ。
【請求項2】
フレキシブル薄板状の電線に取り付けられて被測定部の温度を検知するセンサ部と、
熱伝導性が高い部材で形成され、前記被測定部に接触して前記被測定部で生じる熱を前記センサ部に伝えることが可能な集熱部と、
を備え、
前記集熱部は、前記センサ部の側方の全周を囲うように配置される周壁を備えており、
前記集熱部と前記センサ部との間に、前記センサ部を被覆する樹脂被覆部が形成されており、
前記集熱部における前記電線に取り付けられる側とは反対側の面が前記被測定部に接触しており、
前記電線と前記被測定部との間に前記センサ部が配置されている、
温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の温度センサとしては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1では、温度センサが温度検知素子(センサ部)を備えており、温度センサは、付勢部材によって検出面が測定対象に接触するように付勢された状態でセンサホルダに保持されている。また、センサホルダには、温度センサを離接方向に移動可能に保持する収容部が形成されており、この収容部には温度センサの傾きを許容する隙間が形成されている。こうすることで、温度センサと測定対象との接触状態を維持できるようにし、温度の検出精度が低下してしまうことを抑制できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-227555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示の温度センサでは、下面が温度センサの検出面となる接触板の上面に温度検知素子が配置されており、被測定部で生じた熱は、下方に配置された板状の接触板から温度検知素子に伝達されるようになっている。
【0005】
このように、上記従来の技術では、下方に位置する接触板のみから被測定部で生じた熱が温度検知素子に伝達される構成をしている。そのため、温度センサと測定対象との接触状態を維持できるようにしたとしても、被測定部で生じる熱を効率よく温度検知素子に伝達することができなかった。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、被測定部で生じる熱を、より効率的にセンサ部に伝えることが可能な温度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る温度センサは、フレキシブル薄板状の電線に取り付けられて被測定部の温度を検知するセンサ部と、熱伝導性が高い部材で形成され、前記被測定部に接触して前記被測定部で生じる熱を前記センサ部に伝えることが可能な集熱部と、を備え、前記集熱部は、前記センサ部の側方の少なくとも一部を囲うように配置される周壁を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る温度センサが配置される場所の一例を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る温度センサの保持部材への取付構造を示す分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係る温度センサが備える付勢部材の一例を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る温度センサが備える集熱部の一例を示す斜視図である。
図5】第1実施形態に係る温度センサが備える温度センサモジュールの一例を示す分解斜視図である。
図6】第1実施形態に係る温度センサを保持部材へ取り付ける方法の一例を示す図であって、フレキシブル薄板状の電線にセンサ部を実装させた状態を示す斜視図である。
図7】第1実施形態に係る温度センサを保持部材へ取り付ける方法の一例を示す図であって、センサ部が実装されたフレキシブル薄板状の電線に枠状部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
図8】第1実施形態に係る温度センサを保持部材へ取り付ける方法の一例を示す図であって、センサ部を樹脂被覆部で覆うことで温度センサモジュールを形成した状態を示す斜視図である。
図9】第1実施形態に係る温度センサを保持部材へ取り付ける方法の一例を示す図であって、温度センサモジュールを集熱部に挿入させた状態を示す斜視図である。
図10】第1実施形態に係る温度センサを示す斜視図である。
図11】第1実施形態に係る温度センサの保持部材への取付構造の正面から見た状態における断面図である。
図12】第1実施形態に係る温度センサの保持部材への取付構造の側面から見た状態における断面図である。
図13】第1実施形態に係る温度センサモジュールを示す平面図である。
図14】第1実施形態に係る温度センサモジュールの正面から見た状態における断面図である。
図15】第1実施形態に係る温度センサの側方に集熱部の周壁が配置されている状態を説明する斜視図である。
図16】第1実施形態に係る温度センサを被測定部上に水平に載置した状態における温度分布を模式的に示す図である。
図17】比較例に係る温度センサを被測定部上に水平に載置した状態における温度分布を模式的に示す図である。
図18】比較例に係る温度センサと被測定部との間に比較的小さな異物が存在している状態における温度分布を模式的に示す図である。
図19】比較例に係る温度センサと被測定部との間に比較的大きな異物が存在している状態における温度分布を模式的に示す図である。
図20】第2実施形態に係る温度センサモジュールが被測定部に取り付けられた状態を示す図であって、温度センサモジュールおよび被測定部を正面から見た状態における断面図である。
図21】第2実施形態に係る温度センサを被測定部上に水平に載置した状態における温度分布を模式的に示す図である。
図22】第2実施形態に係る温度センサと被測定部との間に比較的小さな異物が存在している状態における温度分布を模式的に示す図である。
図23】第2実施形態に係る温度センサと被測定部との間に比較的大きな異物が存在している状態における温度分布を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る温度センサについて詳細に説明する。以下では、電動化車両(例えば、HV,PHV,EV,FCV等)に搭載される電池モジュールが備える単電池の温度を検知する温度センサを例示する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
また、以下では、単電池が下方に位置し、上方から温度センサを単電池に接触させた状態で、温度センサの上下方向を規定して説明する。そして、保持部材が備える一対の側壁が対向する方向を温度センサおよび保持部材の前後方向、側壁の幅方向を温度センサおよび保持部材の幅方向と規定して説明する。
【0011】
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0012】
まず、本実施形態に係る温度センサ10が配置される場所の一例を図1に基づき説明する。
【0013】
本実施形態に係る温度センサ10は、電気自動車やハイブリッド電気自動車等の電動化車両に搭載され、駆動源として使用される単電池(被測定部)30の温度を検知するためのセンサである。
【0014】
具体的には、複数個(本実施形態では28個)の単電池30を並設し、互いに隣り合う単電池30の図示省略した端子同士をバスバー40に接続させることで、複数個の単電池30を直列または並列接続させた電池パック(電池モジュール)Mを形成している。そして、電池パックMが備える複数個の単電池30のうちの一部の単電池30と接触するように温度センサ10を配置している。本実施形態では、3つの温度センサ10を、複数個の単電池30のうちの3つの単電池30にそれぞれ接触させている。なお、単電池30としては、例えば、リチウム電池を用いることができる。
【0015】
また、本実施形態では、3つの温度センサ10をフレキシブルプリント配線板(FPC)50に接続させている。そして、3つの温度センサ10で検知したそれぞれの単電池30の温度データが、コネクタ51を介してECU(Electrical Control Unit)に出力されるようになっている。このように、本実施形態では、フレキシブルプリント配線板(FPC)50を用いることで、電子部品の配置自由度を向上させつつ、電池パック(電池モジュール)Mに接続されるバスバーモジュールの低背化を図れるようにしている。
【0016】
また、温度センサ10は、バスバーモジュールが備えるハウジング(保持部材20)に保持された状態で、単電池30と接触するようにしている。すなわち、保持部材20に温度センサ10を保持させつつ、単電池30に温度センサ10を接触させることで、温度センサ10の取付構造1を形成している。
【0017】
以下では、温度センサ10の取付構造1の具体的な構成について説明する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図2図15を用いて第1実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0019】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1は、温度センサ10を、上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0020】
保持部材20は、例えば、合成樹脂等の材料を用いて形成することができ、上方に開口する空間Sが形成されている。そして、この空間S内に温度センサ10が挿入されるようになっている。具体的には、保持部材20は、上下方向に延在して前後方向で対向する一対の側壁21と、一対の側壁21の幅方向の両側に前後方向に突出するように連設されて温度センサ10の空間S内への挿入をガイドするガイド壁22と、を備えている。
【0021】
また、一対の側壁21の幅方向の中央部には、上方に開口して上下方向に延在するスリット211がそれぞれ形成されている。また、一対の側壁21の間における幅方向両側の上部には、温度センサ10が係止される被係止部212が、幅方向に延在するように形成されている。
【0022】
一方、前後方向で対向するガイド壁22の間には、上方に開口して上下方向および幅方向に延在する切り欠き221が形成されており、この切り欠き221の下端に温度センサ10の後述する押圧部131が載置される載置壁222が形成されている。
【0023】
温度センサ10は、温度センサモジュール110と、温度センサモジュール110が挿入保持されるケース120と、温度センサモジュール110を押圧することが可能な付勢部材130と、を備えている。
【0024】
温度センサモジュール110は、図3に示すように、フレキシブル薄板状の電線111と、フレキシブル薄板状の電線111に取り付けられて単電池(被測定部)30の温度を検知するセンサチップ(センサ部)112と、を備えている。さらに、温度センサモジュール110は、センサチップ112の周囲に配置される枠状部材113と、枠状部材113とセンサチップ112との間に充填されてセンサチップ112を外部に露出しないように被覆する樹脂被覆部114と、を備えている。
【0025】
本実施形態では、フレキシブル薄板状の電線111として、フレキシブルプリント配線板(FPC)を用いている。フレキシブルプリント配線板(FPC)は、ポリイミド等の絶縁性を有した薄くて柔らかいベースフィルム上に銅箔等の導電性金属で配線パターン(導体)を形成し、その上にポリイミド等のフィルム状のカバーを接着することで製造されるものである。このとき、フィルム状のカバーは、導体の一部を露出させた状態でベースフィルム上に接着されている。
【0026】
本実施形態では、フレキシブル薄板状の電線111は、先端に設けられた実装部1111と、実装部1111に連結される連結部1112と、を備えており、実装部1111には、センサチップ112が実装されるセンサチップ実装部1111aが形成されている。そして、センサチップ実装部1111aで露出する2つの導体1111bを跨ぐようにセンサチップ112をセンサチップ実装部1111aに載置し、半田Hで固定することで、センサチップ112がセンサチップ実装部1111aに実装されている。このように、本実施形態では、実装部1111の上面が実装面111aとなっており、フレキシブル薄板状の電線111の実装面111a上にセンサチップ(センサ部)112が半田Hによって実装されている。
【0027】
また、本実施形態では、実装部1111には、枠状部材113がセンサチップ112の周囲を囲うように配置された状態で固定されている。枠状部材113は、熱伝導率の高い材料(例えば、金属、金属酸化物、セラミック等)を用いて形成することができる。本実施形態では、枠状部材113は金属を用いて形成されている。この金属製の枠状部材113は、略環状の周壁1131と、周壁1131の内面11313により画成されて上下方向に貫通する貫通孔1132と、を備えている。なお、枠状部材113の材料としては、フレキシブル薄板状の電線111の腐食等を考慮しつつ、熱伝導率が高い材料を用いるのが好ましい。
【0028】
周壁1131は、略四角形の環状に形成されており、略直方体状のセンサチップ112の側方を四方から(全周に亘って)囲うようにした状態で、実装部1111に固定されている。本実施形態では、実装部1111には、4つの枠状部材固定部1111cが、実装部1111の4隅に形成されている。そして、4つの枠状部材固定部1111c上に枠状部材113の下面(フレキシブル薄板状の電線111に取り付けられる側とは反対側の面)11312を接触させた状態で半田等を用いて固定することで、枠状部材113を実装部1111に固定している。このとき、平面視で、貫通孔1132の下側開口が実装部1111によって塞がれるようにしている。
【0029】
そして、枠状部材113の貫通孔1132内に上側(上面11311側:フレキシブル薄板状の電線111に取り付けられる側)からポッティング材を流し込んで硬化させることで、センサチップ112が樹脂被覆部114によって覆われるようにしている。
【0030】
ケース120は、熱伝導率の高い材料(例えば、金属、金属酸化物、セラミック等)を用いて形成することができる。本実施形態では、ケース120は金属を用いて形成されている。この金属製のケース120は、図4に示すように、略矩形板状の底壁121と、連結壁123を介して底壁121に連結された周壁122と、を備えており、上方に開口した略直方体の箱状をしている。本実施形態では、一枚の金属板を折り曲げることで、金属製のケース120を形成している。すなわち、底壁121、連結壁123および周壁122を、金属材料を用いて一体に形成している。そして、本実施形態では、底壁121の底面1211が単電池30に接触する接触面となっている。なお、ケース120は、一枚の金属板を折り曲げることで形成する必要はなく、例えば、金型を用いた鋳造によりケース120を形成することも可能である。
【0031】
また、本実施形態では、周壁122には、前後方向に貫通する一対の貫通孔1221と、上方に開口して上下方向に延在する切り欠き1222と、が形成されている。一対の貫通孔1221は、押圧部131をケース120に固定するために設けられたものである。また、切り欠き1222は、温度センサモジュール110をケース120内に挿入する際に、フレキシブル薄板状の電線111(連結部1112)が周壁122と干渉してしまわないようにするために設けられたものである。
【0032】
このように、本実施形態では、温度センサモジュール110をケース120に組み付けた状態で、センサチップ112の側方の3方向と下方が金属製のケース120で囲われるようにしている。
【0033】
そして、付勢部材130によって温度センサモジュール110を下方(単電池30側)に向けて押圧することで、ケース120の底壁121が下方(単電池30側)に向けて押圧されるようにしている。こうすることで、底壁121の底面1211を、より確実に単電池30に接触させることができるようにしている。
【0034】
付勢部材130は、図5に示すように、ケース120を単電池30に向けて押圧する押圧部131と、押圧部131に、ケース120を単電池30に向けて押圧する下方(押圧方向の一方側)への付勢力を付与する付勢部132と、を備えている。本実施形態では、付勢部材130が樹脂により一体形成されている。すなわち、押圧部131および付勢部132が一体に形成されている。
【0035】
押圧部131は、水平方向に延在する板状のベース基板1311と、ベース基板1311の下端に連設されて下方に延在する一対の押圧片1312と、を備えている。一対の押圧片1312は、温度センサモジュール110に当接して、温度センサモジュール110およびケース120を単電池30に向けて押圧する部材である。
【0036】
さらに、押圧部131は、ベース基板1311から水平方向に延設され、載置壁222に載置される載置部1315と、を備えている。
【0037】
また、押圧部131は、ケース120に係止される係止部1316を備えており、この係止部1316によって温度センサモジュール110が収容された金属製のケース120に付勢部材130が固定されるようになっている。本実施形態では、係止部1316は、上下方向に延在して前後方向に弾性変形可能な一対のアーム部13161と、一対のアーム部13161の先端にそれぞれ設けられ、貫通孔1221に係止されるフック部13162と、を備えている。一対のアーム部13161は、ベース基板1311の幅方向の中央部における前後方向の両端から下方に向けて延設されている。なお、係止部1316によってケース120に係止された状態では、押圧部131は、上方(押圧方向の他方側)への移動が規制されている。
【0038】
また、付勢部132は、上下方向に折れ曲がり前後方向に弾性変形可能な板ばねで形成されている。そして、付勢部132の外側には、前後方向に弾性変形可能な係止片1332と係止部1334とが設けられている。
【0039】
また、本実施形態では、付勢部材130は、位置決め部1335を備えており、この位置決め部1335を保持部材20に形成されたスリット211に挿入することで、付勢部材130の保持部材20に対する位置決めと外れ防止がなされるようにしている。
【0040】
なお、本実施形態では、押圧部131および付勢部132が樹脂により一体形成された付勢部材130を例示したが、押圧部131および付勢部132を一体に形成する必要はなく、押圧部131と付勢部132とを別部材で形成することも可能である。このとき、コイルスプリング等の弾性部材を用いて付勢部132を形成することも可能である。また、コイルスプリング等の弾性部材を用いる場合、弾性部材を保持部材20に直接係止させるようにしてもよいし、スプリング押さえ部材等の被保持部材を介して保持部材20に係止させるようにしてもよい。このように、付勢部材130の形状は様々な形状とすることが可能である。
【0041】
そして、本実施形態では、保持部材20および温度センサ10を上述したような構成とすることで、各部品を上から順番に組み付けることで、温度センサ10の取付構造1が形成されるようにしている。
【0042】
以下では、図6図12を用いて、温度センサ10の保持部材20への組付け方法の一例を説明する。
【0043】
まず、図6に示すように、フレキシブル薄板状の電線111にセンサチップ112を実装する。
【0044】
次に、図7に示すように、枠状部材113をセンサチップ112の周囲に配置されるようにフレキシブル薄板状の電線111上に固定する。
【0045】
その後、図8に示すように、枠状部材113とセンサチップ112との間の隙間にポッティング材を流し込んで樹脂被覆部114を形成することで、温度センサモジュール110を形成する。
【0046】
次に、図9に示すように、温度センサモジュール110をケース120に上方から挿入して底壁121上に載置する。なお、本実施形態では、枠状部材113の大きさをケース120とほぼ同じ大きさとなるようにしているため、温度センサモジュール110は、周壁122にガイドされながら底壁121に向けて挿入されることになる。そのため、温度センサモジュール110が傾いた状態で底壁121上に載置されてしまうことを抑制することができる。すなわち、センサ部112が位置ずれしてしまうことを抑制することができるようになっている。
【0047】
その後、図10に示すように、付勢部材130の押圧部131をケース120に上側から挿入して取り付ける。具体的には、フック部13162を貫通孔1221に係止させることで、押圧部131がケース120に保持されるようにする。
【0048】
その後、図11および図12に示すように、保持部材20の水平方向に延在する被係止部212の下面に係止部1334を突き当てることで、係止部1334を被係止部212に係止させる。こうすることで、付勢部132の弾性復元力により下方に付勢された押圧部131によって温度センサモジュール110が下方に押圧された状態で、温度センサ10が保持部材20に取り付けられる。
【0049】
このように、本実施形態では、ケース120を裏返したりすることなく、温度センサ10を保持部材20に組み付けることができるようになっている。また、フレキシブル薄板状の電線111を専用空間に通すことなく、温度センサ10を保持部材20に組み付けることができるようになっている。こうすることで、温度センサ10の保持部材20への組付け性を向上させつつ、誤組付けを抑制することができるようにしている。
【0050】
ここで、本実施形態では、単電池(被測定部)30で生じる熱を、より効率的にセンサチップ(センサ部)112に伝えることができるようにしている。
【0051】
具体的には、温度センサ10が、熱伝導性が高い部材で形成され、単電池30に接触して単電池30で生じる熱をセンサチップ112に伝えることが可能な集熱部を備えるようにしている。そして、集熱部が、センサチップ112の側方の少なくとも一部を囲うように配置される周壁を備えるようにしている。
【0052】
本実施形態では、金属製のケース120を集熱部として機能させている。具体的には、底壁121の底面1211を単電池30に接触させつつ、底壁121および周壁122によって、センサチップ112の側方の3方および下方が金属製のケース120によって囲われるようにしている。こうすることで、単電池30で生じる熱を多方向からセンサチップ112に伝えることができるようにしている。単電池30で生じる熱は、まず、単電池30に接触している底壁121に伝達されるが、本実施形態では、金属製のケース120は、一枚の金属板を折り曲げることで形成されているため、周壁122を含むケース120の全体に伝達されることになる。その結果、ケース120を介して多方向からセンサチップ112に伝えられることになる。
【0053】
ここで、図16には、単電池(被測定部)30の使用時における周辺部の温度分布を示している。具体的には、本実施形態に係る温度センサ10を、ケース120の底壁121の底面1211が単電池30の上面に面接触するようにした状態で、単電池30を使用した場合における単電池30の周辺の温度分布の測定結果を示している。このとき、本実施形態に係る温度センサ10は、単電池30の上面に水平に載置された状態となる。
【0054】
なお、単電池30の周辺の温度は、例えば、サーモグラフィ等の機器を用いて測定することができる。そして、図16には、単電池30の周辺の温度分布を5つの領域に分けた図を示しており、色の濃い領域の方が色の薄い領域よりも高温の領域となっている。
【0055】
同様に、図17には、比較例に係る温度センサ10Aを、ケース120の底壁121の底面1211が単電池30の上面に面接触するようにした状態で、単電池30を使用した場合における単電池30の周辺の温度分布の測定結果を示している。このとき、比較例に係る温度センサ10Aも、単電池30の上面に水平に載置された状態となる。なお、図17では、比較例に係る温度センサ10Aとして、ケース120を用いていない(周壁122を備えていない)ものを例示している。
【0056】
また、図17にも、単電池30の周辺の温度分布を5つの領域に分けた図を示しており、色の濃い領域の方が色の薄い領域よりも高温の領域となっている。ここで、各領域の最大値と最小値とが図16図17で同じ値となるようにしている。
【0057】
この図16および図17を見ると、周壁122を備える温度センサ10の方が、周壁122を備えていない温度センサ10Aよりも、センサチップ(センサ部)112の周辺部の温度が高くなっている(濃い領域で現されている)ことが分かる。
【0058】
また、温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112の方が、温度センサ10Aのセンサチップ(センサ部)112よりも、単電池(被測定部)30の温度に近い温度であることが分かる。
【0059】
このことから、温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の方が、温度センサ10Aのセンサチップ(センサ部)112で検知される温度よりも単電池(被測定部)30の温度に近いことが分かる。すなわち、センサチップ(センサ部)112で検知される温度と単電池(被測定部)30の実際の温度との誤差は、温度センサ10の方が温度センサ10Aよりも小さいことが分かる。
【0060】
温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差は、0.27℃であるのに対して、温度センサ10Aのセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差は、1.03℃であった。
【0061】
図16および図17に示す測定結果から、集熱部としてのケース120が周壁122を備えることで、センサチップ(センサ部)112への伝熱/集熱性が高められることが分かる。
【0062】
また、図18,19には、比較例に係る温度センサ10Aと単電池(被測定部)30との間に異物Fが介在している状態で、単電池30を使用した場合における単電池30の周辺の温度分布の測定結果を示している。このとき、比較例に係る温度センサ10Aは、単電池30の上面に斜めの状態で載置されることになる。なお、図18では、異物Fのサイズ(直径)が0.33mmとなっており、図19では、0.5mmとなっている。
【0063】
そして、図18に示す状態では、温度センサ10Aのセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差が1.87℃であるのに対して、図19に示す状態では、2.17℃であった。
【0064】
このことから、温度センサ10Aと単電池(被測定部)30との間に介在する異物Fの大きさが大きくなるにつれて、温度センサ10Aのセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差は大きくなってしまうことが分かる。ここで、図16図17に示す状態については、サイズがゼロ(0.0mm)の異物を介在させていると考えることができる。
【0065】
このように、異物Fの大きさが大きくなるほど、温度センサ10Aと単電池(被測定部)30との間に形成される空気層の厚さは厚くなる。そのため、異物Fの介在により発生する空気層からの放熱の影響が、測温誤差を大きくする一つの要因であると考えられる。
【0066】
なお、図示省略したが、温度センサ10と単電池(被測定部)30との間に0.33mmの異物を介在させた場合、温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差は、1.13℃であった。また、温度センサ10と単電池(被測定部)30との間に0.5mmの異物を介在させた場合、温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差は、1.47℃であった。
【0067】
このように、温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差も、温度センサ10と単電池(被測定部)30との間に介在する異物Fの大きさが大きくなるにつれて大きくなっている。しかしながら、同じサイズの異物Fを介在させた場合、周壁122を備える温度センサ10の方が、周壁122を備えていない温度センサ10Aよりも測温誤差は小さくなっている。このことは、周壁122を備えている場合には、センサチップ(センサ部)112に対してV字型で集熱されるのに対して、周壁122を備えていない場合には、底壁のみのため集熱性が低くなってしまうことが影響していると考えられる。
【0068】
また、上記の結果から、0.5mmよりも大きな異物を介在させた場合でも、同じサイズの異物Fを介在させた場合には、周壁122を備える温度センサ10の方が、周壁122を備えていない温度センサ10Aよりも測温誤差は小さくなるものと考えられる。
【0069】
以上より、異物Fを介在させた状態で温度センサが単電池(被測定部)30上に載置されてしまった場合でも、周壁122を備える温度センサ10の方が、周壁122を備えていない温度センサ10Aよりも測温誤差が低減されるものと考えられる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、図20を用いて第2実施形態に係る温度センサ10の取付構造1を説明する。
【0071】
本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、基本的に上記第1実施形態で示した温度センサ10の取付構造1と同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る温度センサ10の取付構造1も、温度センサ10を上下方向の上側への移動が規制された状態で保持部材20に保持することで形成されている。
【0072】
ここで、本実施形態では、センサ部112の側方の全周を囲うように配置される枠状部材113を集熱部として機能させている。具体的には、上記第1実施形態で示した温度センサモジュール110を形成し、この温度センサモジュール110を直接単電池30に接触させるようにしている。こうすることで、枠状部材113を集熱部として機能させ、周壁1131で囲まれた空間を介して多方向からセンサ部112に伝熱させることができるようにしている。
【0073】
このとき、集熱部113における電線111に取り付けられる側とは反対側の面(上面11311)を単電池30に接触させるようにしている。そのため、本実施形態に示す温度センサモジュール110では、樹脂被覆部114が上面11311よりも上方に突出しないようにしている。
【0074】
このような構成とすることでも、上記第1実施形態で示した温度センサ10と同様の作用、効果を奏することができる。
【0075】
ここで、図21には、本実施形態に係る温度センサ10を、ケース120の底壁121の底面1211が単電池30の上面に面接触するようにした状態で、単電池30を使用した場合における単電池30の周辺の温度分布の測定結果を示している。このとき、本実施形態に係る温度センサ10は、単電池30の上面に水平に載置された状態となる。この図21にも、単電池30の周辺の温度分布を5つの領域に分けた図を示しており、色の濃い領域の方が色の薄い領域よりも高温の領域となっている。
【0076】
この図21に示す測定結果では、本実施形態に係る温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差は、0.814℃であった。この測温誤差は、温度センサ10Aのセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差である1.03℃よりも小さい値である。
【0077】
このことから、本実施形態に係る温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の方が、温度センサ10Aのセンサチップ(センサ部)112で検知される温度よりも単電池(被測定部)30の温度に近いことが分かる。
【0078】
同様に、図22,23には、本実施形態に係る温度センサ10と単電池(被測定部)30との間に異物Fが介在している状態で、単電池30を使用した場合における単電池30の周辺の温度分布の測定結果を示している。このとき、本実施形態に係る温度センサ10は、単電池30の上面に斜めの状態で載置されることになる。なお、図22では、異物Fのサイズ(直径)が0.33mmとなっており、図23では、0.5mmとなっている。
【0079】
そして、図22に示す状態では、温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差が0.923℃であるのに対して、図23に示す状態では、1.118℃であった。
【0080】
このことから、温度センサ10と単電池(被測定部)30との間に介在する異物Fの大きさが大きくなるにつれて、温度センサ10のセンサチップ(センサ部)112で検知される温度の測温誤差は大きくなってしまうことが分かる。
【0081】
しかしながら、同じサイズの異物Fを介在させた場合、本実施形態に係る温度センサ10の方が、比較例に係る温度センサ10Aよりも測温誤差は小さくなっている。
【0082】
また、上記の結果から、0.5mmよりも大きな異物を介在させた場合でも、同じサイズの異物Fを介在させた場合には、本実施形態に係る温度センサ10の方が、比較例に係る温度センサ10Aよりも測温誤差は小さくなるものと考えられる。
【0083】
以上より、異物Fを介在させた状態で温度センサが単電池(被測定部)30上に載置されてしまった場合でも、本実施形態に係る温度センサ10の方が、比較例に係る温度センサ10Aよりも測温誤差が低減されるものと考えられる。
【0084】
このように、本実施形態に係る温度センサ10とした場合、周壁122を備える温度センサ10よりも測温誤差が大きくなってしまうが、比較例に係る温度センサ10Aよりは測温誤差を小さくすることができている。
【0085】
また、本実施形態で示したような構成とすれば、ケース120等の集熱部を別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減させることができるようになる。また、温度センサ10の小型化を図りつつコストの削減を図ることも可能になる。
【0086】
[作用・効果]
以下では、上記各実施形態で示した温度センサの特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0087】
上記各実施形態で示した温度センサ10は、フレキシブル薄板状の電線111に取り付けられて被測定部30の温度を検知するセンサ部112を備えている。また、温度センサ10は、熱伝導性が高い部材で形成され、被測定部30に接触して被測定部30で生じる熱をセンサ部112に伝えることが可能な集熱部113,120を備えている。そして、集熱部113,120は、センサ部112の側方の少なくとも一部を囲うように配置される周壁1131,122を備えている。
【0088】
こうすれば、被測定部30で生じた熱が集熱部113,120に伝達されて、集熱部113,120に伝達された熱がセンサ部112の側方の少なくとも一部を囲う周壁1131,122からセンサ部112に伝達されることになる。すなわち、周壁1131,122で囲まれた空間を介して多方向からセンサ部112に伝熱させることができるようになっている。そのため、被測定部30で生じた熱を、より効率的にセンサ部112に伝達させることができるようになる。
【0089】
このように、上記各実施形態で示した温度センサ10とすれば、被測定部30で生じる熱を、より効率的にセンサ部112に伝えることが可能になる。
【0090】
また、被測定部30で生じる熱を、より効率的にセンサ部112に伝えられるようにすれば、被測定部30の測温性能を向上させることができ、被測定部30の測温誤差を低減させることができるようになる。
【0091】
その結果、異物の上に搭載されたり振動したりすることで被測定部30が傾斜し、温度センサ10と被測定部30との接触が線接触や点接触になったとしても、被測定部30で生じる熱を、より効率的にセンサ部112に伝達させることができるようになる。すなわち、温度センサ10を被測定部30の傾きに追従させる構成としなくても、被測定部30で生じる熱を、より効率的にセンサ部112に伝達させることができるようになる。このように、上記各実施形態で示した温度センサ10とすれば、温度センサ10や保持部材20の構成の簡素化を図ることができる上、温度センサ10や保持部材20の小型化を図ることができるようになる。その結果、部品点数を削減したり組付け加工費を削減したりすることができるようになって、全体としてのコストダウンが可能になる。
【0092】
また、上記各実施形態で示した温度センサ10では、フレキシブル薄板状の電線111を用いている。このように、フレキシブル薄板状の電線111を用いた場合、通常の電線を用いた際に生じる下記の課題を解決することが可能になる。
【0093】
まず、通常の電線を使用した場合、電線経路を這うように電線を配置する必要があり、このときに、断線しない曲げRを設けて電線を伸ばす必要があるため、電線経路用の空間を大きくする必要があった。
【0094】
また、電線が、他の部品と強干渉しても断線の懸念があるため、電線の余長が必要になって、温度センサがより大型化してしまうおそれがあった。
【0095】
また、電線を用いた温度センサとすると、モジュール化した温度センサを保持部材に組み付けた後に、電線を電線経路用の空間に通す必要があり、組付け作業時に手間がかかっていた。
【0096】
これに対して、フレキシブル薄板状の電線111の厚さは、通常の電線径の1/5程度であるため、フレキシブル薄板状の電線111を用いると、電線経路用の空間をより小さくすることができ、温度センサの小型化を図ることができるようになる。そのため、例えば、車両に搭載される単電池の温度を上記各実施形態で示した温度センサ10で測定する場合には、車両の居住性をより向上させることができるようになる。
【0097】
さらに、フレキシブル薄板状の電線111を用いると、ハード基板に比べて厚さが薄いため、熱抵抗が小さくなって、被測定部30の測温誤差を低減させることができるようになる。その結果、被測定部30の測温性能をより向上させることができるようになる。例えば、車両に搭載される単電池の温度を上記各実施形態で示した温度センサ10で測定する場合には、単電池の性能を引き上げることができ、より一層の低燃費化を図ることができるようになる。
【0098】
また、集熱部120が、周壁122に連設され、電線111と被測定部30との間に配置される底壁121をさらに備えていてもよい。また、電線111に、センサ部112の側方の全周を囲うように配置される枠状部材113が取り付けられていてもよい。さらに、枠状部材113とセンサ部112との間に、センサ部112を被覆する樹脂被覆部114が形成されていてもよい。そして、枠状部材113が周壁122に嵌め込まれていてもよい。
【0099】
こうすれば、周壁122だけでなく底壁121からも被測定部30で生じた熱をセンサ部112に伝達させることができるようになる。その結果、被測定部30で生じた熱を、より多方向からセンサ部112に伝達させることができるようになって、より効率的にセンサ部112に伝達させることができるようになる。
【0100】
また、枠状部材113を周壁122に嵌め込むようにすれば、より容易にセンサ部112の位置決めを行うことができるようになって、例えば、フレキシブル薄板状の電線111に生じる反力等で、センサ部112が位置ずれしてしまうことを抑制できるようになる。その結果、センサ部112を、より確実に被測定部30上に載置させることができるようになって、センサ部112の位置ずれにより被測定部30の測温性能が低下してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0101】
さらに、センサ部112を樹脂被覆部114で被覆するようにすれば、センサ部112が外部に露出してしまうことを抑制することができ、例えば、センサ部112に水がかかることによりショートしてしまうことを抑制することができるようになる。
【0102】
また、センサ部112の側方の全周を囲う枠状部材113とセンサ部112との間に樹脂被覆部114が形成されるようにしているため、塗布したポッティング材が流れ出てしまうことを抑制することができ、より確実にセンサ部112を被覆することが可能になる。
【0103】
このとき、枠状部材113の熱伝導率および樹脂被覆部114の熱伝導率が空気よりも高くなるようにすれば、センサ部112への伝熱効率が高くなって、被測定部30の測温誤差を低減させることができるようになる。
【0104】
また、集熱部113が、センサ部112の側方の全周を囲うように配置されていてもよい。また、集熱部113とセンサ部112との間に、センサ部112を被覆する樹脂被覆部114が形成されていてもよい。そして、集熱部113における電線111に取り付けられる側とは反対側の面11311が被測定部30に接触していてもよい。
【0105】
こうすれば、金属製のケース等の集熱部を別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減させることができるようになる。また、温度センサ10の小型化を図りつつコストの削減を図ることも可能になる。
【0106】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0107】
例えば、上記各実施形態で示した構成を適宜組み合わせた温度センサとすることが可能である。
【0108】
また、上記各実施形態では、略直方体状のセンサチップ112を例示したが、センサチップ112の形状は、このような形状に限られるものではなく、略円柱状等、様々な形状とすることが可能である。
【0109】
また、上記各実施形態では、略直方体の箱状をしたケース120を例示したが、ケース120の形状も、このような形状に限られるものではなく、略円柱の箱状等、様々な形状とすることが可能である。
【0110】
また、上記各実施形態では、略四角形の輪郭形状をした枠状部材113を例示したが、枠状部材113の輪郭形状も、このような形状に限られるものではなく、略円形の輪郭形状等、様々な形状とすることが可能である。
【0111】
また、上記各実施形態では、金属材料を用いて集熱部を形成したものを例示したが、熱伝導性が高い樹脂で集熱部を形成することも可能である。
【0112】
また、集熱部の外周に断熱部材を配置し、より確実にセンサ部112に向けて伝熱されるようにすることも可能である。
【0113】
また、センサ部や集熱部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0114】
10 温度センサ
111 フレキシブル薄板状の電線
112 センサチップ(センサ部)
113 枠状部材(集熱部)
1131 周壁
11311 上面(電線に取り付けられる側とは反対側の面)
114 樹脂被覆部
120 ケース(集熱部)
121 底壁
122 周壁
30 単電池(被測定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23