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特許7578647電極体、リチウムイオン電池、及びリチウムイオン電池用の活物質の製造方法
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  • 特許-電極体、リチウムイオン電池、及びリチウムイオン電池用の活物質の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電極体、リチウムイオン電池、及びリチウムイオン電池用の活物質の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20241029BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241029BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241029BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241029BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241029BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0562
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022110771
(22)【出願日】2022-07-08
(65)【公開番号】P2024008702
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 光俊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
(72)【発明者】
【氏名】中西 真二
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】江口 達哉
(72)【発明者】
【氏名】原田 正則
(72)【発明者】
【氏名】浦部 晃太
(72)【発明者】
【氏名】新美 知宏
(72)【発明者】
【氏名】湯川 加代子
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-192348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/052、10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体層と負極活物質層とを有するリチウムイオン電池用の負極電極体であって、
前記負極活物質層は、負極活物質として、クラスレート型構造を有するSi粒子を含有し、
前記負極活物質層は、前記負極活物質層の質量に対して0.850~5.000質量%のAlを含有しており、かつ
前記Si粒子は、前記Si粒子の質量に対して0.040~0.250質量%のAlを含有している、
負極電極体。
【請求項2】
前記負極電極体は、前記負極活物質層の質量全体に対して1.500質量%以上のAlを含有しており、かつ
前記Si粒子は、前記Si粒子の質量に対して0.080質量%以上のAlを含有している、
請求項1に記載の負極電極体。
【請求項3】
前記負極活物質層は、リチウムイオン電池の使用電圧下において電気化学的に不活性なAl含有粒子を含有している、請求項1又は2に記載の負極電極体。
【請求項4】
前記Al含有粒子は、F又はOを含有している、請求項3に記載の負極電極体。
【請求項5】
前記Al含有粒子は、AlF又はAlである、請求項3に記載の負極電極体。
【請求項6】
前記Si粒子は、ポーラス構造を有している、請求項1又は2に記載の負極電極体。
【請求項7】
前記Si粒子は、クラスレートII型構造を有している、請求項1又は2に記載の負極電極体。
【請求項8】
請求項7に記載の負極電極体、固体電解質層、及び正極電極体がこの順に積層されている。リチウムイオン電池。
【請求項9】
NaSi合金と、AlFとを混合して加熱することによって、クラスレート型構造を有するSi粒子、NaF、及びAl含有粒子を含有している混合物を得ること、及び
前記混合物をHNO水溶液で洗浄し、その後、濾過及び乾燥させること、
を有している、
リチウムイオン電池用の活物質の製造方法。
【請求項10】
Si粉末とNaH粉末とをメカニカルミリングし、その後加熱して、前記NaSi合金を得ることを含んでいる、請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極体、リチウムイオン電池、及びリチウムイオン電池用の活物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池の開発が盛んに行われている。例えば、自動車産業界では、電気自動車またはハイブリッド自動車に用いられる電池の開発が進められている。また、電池に用いられる活物質として、Siが知られている。
【0003】
Siは、理論容量が大きく、電池の高エネルギー密度化に有効である。しかしながら、Siは、充放電時における体積変化が大きい。
【0004】
このような問題を解決する観点から、クラスレート構造を有するSiが注目されている。
【0005】
特許文献1は、シリコンクラスレートII型の結晶相を有し、NaSi136(1.98<x<2.54)の組成を有する、活物質を開示している。
【0006】
また、特許文献2は、Na及びSiを含有するNaSi合金とNaトラップ剤とが接触状態で含まれる反応原料を加熱し、前記NaSi合金に由来するNaを前記Naトラップ剤と反応させて、前記NaSi合金におけるNa量を減少させる反応工程を有することを特徴とする、シリコンクラスレートIIを含有する負極活物質の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2021-158003号公報
【文献】特開2022-34998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、活物質としてのSi粒子は、電池の高エネルギー密度化に有効である一方で、充放電時における体積変化が大きい。活物質の膨張収縮は、電池の拘束圧の変動をもたらす。電池の拘束圧の変動を低減するための手段として、充放電に伴う活物質の膨張収縮を抑制することが考えられる。
【0009】
本開示は、充放電時における電池の拘束圧の変動を抑制することができる電極体を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示者は、以下の手段により上記課題を達成することができることを見出した:
《態様1》
負極集電体層と負極活物質層とを有するリチウムイオン電池用の負極電極体であって、
前記負極活物質層は、負極活物質として、クラスレート型構造を有するSi粒子を含有し、
前記負極活物質層は、前記負極活物質層の質量に対して0.850~5.000質量%のAlを含有しており、かつ
前記Si粒子は、前記Si粒子の質量に対して0.040~0.250質量%のAlを含有している、
負極電極体。
《態様2》
前記負極電極体は、前記負極活物質層の質量全体に対して1.500質量%以上のAlを含有しており、かつ
前記Si粒子は、前記Si粒子の質量に対して0.080質量%以上のAlを含有している、
態様1に記載の負極電極体。
《態様3》
前記負極活物質層は、リチウムイオン電池の使用電圧下において電気化学的に不活性なAl含有粒子を含有している、態様1又は2に記載の負極電極体。
《態様4》
前記Al含有粒子は、F又はOを含有している、態様3に記載の負極電極体。
《態様5》
前記Al含有粒子は、AlF又はAlである、態様4に記載の負極電極体。
《態様6》
前記Si粒子は、ポーラス構造を有している、態様1~5のいずれか一つに記載の負極電極体。
《態様7》
前記Si粒子は、クラスレートII型構造を有している、態様1~6のいずれか一つに記載の負極電極体。
《態様8》
態様1~7のいずれか一つに記載の負極電極体、固体電解質層、及び正極電極体がこの順に積層されている。リチウムイオン電池。
《態様9》
NaSi合金と、AlFとを混合して加熱することによって、クラスレート型構造を有するSi粒子、NaF、及びAl含有粒子を含有している混合物を得ること、及び
前記混合物をHNO水溶液で洗浄し、その後、濾過及び乾燥させること、
を有している、
リチウムイオン電池用の活物質の製造方法。
《態様10》
Si粉末とNaH粉末とをメカニカルミリングし、その後加熱して、前記NaSi合金を得ることを含んでいる、態様9に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、主に、充放電時における電池の拘束圧の変動を抑制することができる電極体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一つの実施形態に従うリチウムイオン電池1の模式図である。
図2】実施例2の負極活物質層をSEM-EDXで測定した際の電子像である。
図3】実施例2の負極活物質層をSEM-EDXで測定した際の電子像である。
図4】実施例2の負極活物質層をSEM-EDXで測定した際の電子像である。
図5】実施例2の負極活物質層をSEM-EDXで測定した際の電子像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について詳述する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0014】
《負極電極体》
本開示の負極電極体は、負極集電体と負極活物質層を少なくとも有する。該負極集電体と該負極活物質層の間に他の層が介在していてもよい。また、本開示の負極活物質層は少なくとも、活物質としてクラスレート型構造を有するSi粒子を含有する。該負極活物質層は、負極活物質としてクラスレート型構造を有しないSi粒子等、クラスレート型構造を有するSi粒子以外を更に含有していても良く、固体電解質や導電助剤等を含有していても良い。負極電極体は、負極電極体の質量全体に対して0.850~5.000質量%のAlを含有しており、かつ、Si粒子は、Si粒子の質量全体に対して0.040~0.250質量%のAlを含有している。
【0015】
クラスレート型構造を有するSi粒子が、当該Si粒子の質量全体に対して0.040~0.250質量%のAlを含有していると、Si粒子の結晶構造の骨格サイズが大きくなると考えられ、電池の充電時にリチウムがクラスレート型構造におけるカゴ構造部分に導入されることによるSi粒子自体の膨張収縮が抑制されると考えられる。
【0016】
クラスレート型構造を有するSi粒子は、当該Si粒子の質量全体に対して0.040質量%以上、0.060質量%以上、0.080質量%以上、又は0.100質量%以上のAlを含有していてよく、0.250質量%以下、0.240質量%以下、0.200質量%以下、又は0.180質量%以下のAlを含有していてよい。
【0017】
Si粒子が含有するAlの量が0.04質量%以上であると、拘束圧の低減の効果が十分に得られる。他方、Si粒子が含有するAlの量が0.250質量%以下であると、Al含有によるSi粒子の質量全体に対するクラスレート型構造のSi部分の低下割合が十分に小さく、電池の質量当たりのエネルギー効率への影響が十分に小さい。
【0018】
拘束圧の低減の観点から、Si粒子が含有するAlの量は、Si粒子全体に対して0.080質量%以上であることが特に好ましい。
【0019】
本開示の負極電極体において、クラスレート型構造を有するSi粒子が、当該Si粒子の質量全体に対して0.040~0.250質量%のAlを含有し、負極活物質層が該負極活物質層の質量全体に対して0.850~5.000質量%のAlを含有している場合、AlはSi粒子中に含有される以外にも、負極活物質層のうち負極活物質としてのSi粒子以外の部分にも所定量存在することとなる。
【0020】
Si粒子以外で負極活物質中に存在するAlとしては、例えばAl含有粒子や金属Al等が考えられ、これらは、負極電極体及び/又は電池の製造時におけるプレスや電池の充放電に伴う拘束圧の変動等による活物質としてのSi粒子の破壊/粉砕等を抑制する、ブリッジとして機能している可能性が有る。
【0021】
負極活物質層は、負極活物質層の質量全体に対して0.850質量%以上、1.000質量%以上、1.50質量%以上、又は2.000質量%以上のAlを含有していてよく、5.000質量%以下、4.800質量%以下、3.500質量%以下、又は2.500質量%以下のAlを含有していてよい。
【0022】
負極活物質層が含有するAlの量が0.850質量%以上であると、拘束圧の低減の効果が特に大きい。他方、負極活物質層が含有するAlの量が5.000質量%以下であると、負極活物質層の質量全体に対するSi粒子の量が増加し、電池の質量当たりのエネルギー効率が増加する。
【0023】
拘束圧の低減の観点から、負極活物質層が含有するAlの量は、負極活物質層の質量全体に対して1.500質量%以上であることが特に好ましい。
【0024】
原理によって限定するものではないが、上記のように、本開示の負極電極体を用いて構成されたリチウムイオン電池、特に正極電極体、固体電解質層、及び本開示の負極電極体がこの順に積層された構成を有するリチウムイオン固体電池は、Si粒子自体の膨張収縮が抑制され、かつリチウムイオン電池の製造時又はリチウムイオン電池の充放電時におけるSi粒子の破壊/粉砕等が抑制されるため、充放電に伴う電池の拘束圧の変動が低減されると考えられる。
【0025】
なお、負極活物質層の質量全体に対するAlの量(質量%)及びSi粒子の質量全体に対するAlの量(質量%)は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、ICP、GDOES、又はXRF等、従来公知の手法で測定可能である。
【0026】
〈負極集電体層〉
負極集電体層に用いられる材料は、特に限定されず、電池の負極集電体として使用できるものを適宜採用することができ、例えば、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、又はカーボン、樹脂集電体等であってよいが、これらに限定されない。
【0027】
負極集電体層の形状は、特に限定されず、例えば、箔状、板状、又はメッシュ状等を挙げることができる。これらの中で、箔状が好ましい。
【0028】
〈負極活物質層〉
負極活物質層は、負極活物質として、Si粒子を含有している。負極活物質層は、Si粒子以外に、Alを含有する成分を更に含有している。また、負極活物質層は、随意に固体電解質、導電助剤、及びバインダを含有していることができる。
【0029】
なお、負極活物質層が固体電解質を含有している場合、負極活物質層中におけるSi粒子と固体電解質との質量比(Si粒子の質量:固体電解質の質量)は、85:15~30:70が好ましく、より好ましくは80:20~40:60である。
【0030】
(Si粒子)
Si粒子は、クラスレート型構造を有している。
【0031】
クラスレート型構造は、クラスレートII型構造であってよい。クラスレートII型構造を有するSiは、クラスレートI型構造に比べてその内部のカゴ構造に多くリチウムを吸蔵することができ、充放電時における膨張収縮の程度が、低い傾向にあるためである。
【0032】
Si粒子は、クラスレートI型部分及びクラスレートII型部分の両方を有していてよい。
【0033】
クラスレートII型構造部分のSi粒子全体に対する質量比は、50.00~99.05質量%であってよい。クラスレートII型構造部分のSi粒子全体に対する質量比は、50.00質量%以上、60.00質量%以上、70.00質量%以上、又は80.00質量%以上であってよく、99.05質量%以下、98.00質量%以下、95.00質量%以下、又は90.00質量%以下であってよい。
【0034】
また、Si粒子は、ポーラス構造を有していることがより好ましい。
【0035】
ポーラス構造の有無は、例えば走査型顕微鏡(SEM)等の画像から確認してよい。
【0036】
また、ポーラス構造は、複数の細孔を有している構造、より具体的にはナノポーラス構造、メソポーラス構造、又はマクロポーラス構造であってよい。ナノポーラス構造は、例えば0.5~2.0nmの細孔分布を有する多孔質の構造である。メソポーラス構造は、例えば2.0~50.0nmの細孔分布を有する多孔質の構造である。マクロポーラス構造は、例えば50.0~1000.0nmの細孔分布を有する多孔質の構造である。なお、Si粒子の細孔分布は、例えばNガス吸着法等により測定できる。
【0037】
Si粒子の平均粒径(D50)は、特に限定されないが、例えば10nm以上であり、100nm以上であってもよい。一方、Si粒子の平均粒径(D50)は、例えば50μm以下であり、20μm以下であってもよい。平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。
【0038】
(Alを含有する成分)
Alを含有する成分は、例えばAl含有粒子及び/又は金属Alであってよい。
【0039】
Alを含有する成分がAl含有粒子である場合、該成分は、リチウムイオン電池の使用電圧下において電気化学的に不活性なAl含有粒子であってよい。このようなAl含有粒子としては、例えばAl以外にF及び/又はOを更に含有する粒子、より具体的にはAlF又はAlを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0040】
Alを含有する成分がAl含有粒子である場合、Al含有粒子の平均粒径(D50)は、特に限定されないが、例えば10nm以上であり、100nm以上であってもよい。一方、Al含有粒子の平均粒径(D50)は、例えば50μm以下であり、20μm以下であってもよい。平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。
【0041】
(固体電解質)
固体電解質の材料は、特に限定されず、リチウムイオン電池に用いられる固体電解質として利用可能な材料を用いることができる。例えば、固体電解質は、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、又はポリマー電解質等であってよいが、これらに限定されない。
【0042】
硫化物固体電解質の例として、硫化物系非晶質固体電解質、硫化物系結晶質固体電解質、又はアルジロダイト型固体電解質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
具体的な硫化物固体電解質の例として、LiS-P系(Li11、LiPS、Li等)、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiBr-LiS-P、LiS-P-GeS(Li13GeP16、Li10GeP12等)、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、Li7-xPS6-xCl等;又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0044】
酸化物固体電解質の例として、LiLaZr12、Li7-xLaZr1-xNb12、Li7-3xLaZrAl12、Li3xLa2/3-xTiO、Li1+xAlTi2-x(PO、Li1+xAlGe2-x(PO、LiPO、又はLi3+xPO4-x(LiPON)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
硫化物固体電解質及び酸化物固体電解質は、ガラスであっても、結晶化ガラス(ガラスセラミック)であってもよい。
【0046】
ポリマー電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、及びこれらの共重合体等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
(導電助剤)
導電助剤は、特に限定されない。例えば、導電助剤は、VGCF(気相成長法炭素繊維、Vapor Grown Carbon Fiber)、ケッチェンブラック(KB)、アセチレンブラック(AB)、及びカーボンナノ繊維等の炭素材並びに金属材等であってよいが、これらに限定されない。
【0048】
(バインダ)
バインダとしては、特に限定されない。例えば、バインダは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ブタジエンゴム(BR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)若しくはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の材料、又はこれらの組合せであってよいが、これらに限定されない。
【0049】
《リチウムイオン電池》
本開示のリチウムイオン電池は、負極電極体としての本開示の電極体、固体電解質層、及び正極電極体層をこの順に有していることができる。
【0050】
図1は、本開示の第1の実施形態に従うリチウムイオン電池1の模式図である。
【0051】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に従うリチウムイオン電池1は、本開示の負極電極体10、電解質層としての固体電解質層20、及び正極電極体30をこの順に有している。ここで、負極電極体10は、負極集電体層12及び負極活物質層11から構成されている。ここで、負極集電体層12と負極活物質層11とは、負極活物質層11が固体電解質層20と接するようにして互いに積層されている。同様に、正極電極体30は、負極集電体層12及び負極活物質層11から構成されている。ここで、正極集電体層32と正極活物質層31とは、正極活物質層31が固体電解質層20と接するようにして互いに積層されている。
【0052】
本開示のリチウムイオン電池は、積層方向、すなわち本開示の負極電極体、電解質層、及び正極電極体層が積層されている方向の両側から拘束部材によって拘束されていることができる。拘束部材は、例えばエンドプレート等、リチウムイオン電池において一般的に使用されている拘束部材を採用することができる。
【0053】
〈負極電極体〉
本開示のリチウムイオン電池は、本開示の負極電極体を有している。
【0054】
負極電極体が有する負極活物質層の厚さは、例えば、0.1~1000μmである。負極活物質層の厚さは、1~100μmであることが特に好ましく、30~100μmであることが更に好ましい。
【0055】
〈固体電解質層〉
固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含む。また、固体電解質層は、固体電解質以外に、必要に応じてバインダ等を含んでもよい。固体電解質及びバインダは、上記の「〈負極活物質層〉」における固体電解質及びバインダに関する記載を参照することができる。
【0056】
なお、固体電解質層は、例えばポリプロピレン等の樹脂のシートに、リチウムイオン伝導性を有する電解液が含浸している層であってもよい。
【0057】
電解液は支持塩及び溶媒を含有することが好ましい。リチウムイオン伝導性を有する電解液の支持塩(リチウム塩)としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF等の無機リチウム塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(FSO、LiC(CFSO等の有機リチウム塩が挙げられる。電解液に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状エステル(環状カーボネート)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状エステル(鎖状カーボネート)が挙げられる。電解液は、2種以上の溶媒を含有することが好ましい。
【0058】
固体電解質層の厚さは、例えば、0.1~1000μmである。固体電解質層の厚さは、0.1~300μmであることが好ましく、更には0.1~100μmであることが特に好ましい。
【0059】
〈正極電極体〉
本開示の正極電極体は、正極集電体と正極活物質層を少なくとも有する。該正極集電体と該正極活物質層の間に他の層が介在していてもよい。正極電極体が有する正極活物質層の厚さは、例えば、0.1~1000μmである。正極活物質層の厚さは、1~100μmであることが特に好ましく、30~100μmであることが更に好ましい。
【0060】
(正極集電体層)
正極集電体層に用いられる材料及び形状は、特に限定されず、上記の「〈負極集電体層〉」において記載した材料及び形状のものを用いてよい。なかでも、正極集電体層の材料は、アルミニウムであることが好ましい。また、形状は、箔状が好ましい。
【0061】
(正極活物質層)
正極活物質層は、正極活物質、並びに随意の固体電解質、導電助剤、及びバインダ等を含有している層である。
【0062】
なお、正極活物質層が固体電解質を含有している場合、正極活物質層中における正極活物質と固体電解質との質量比(正極活物質の質量:固体電解質の質量)は、85:15~30:70が好ましく、より好ましくは80:20~40:60である。
【0063】
正極活物質の材料は、特に限定されない。例えば、正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li1+xMn2-x-y(Mは、Al、Mg、Co、Fe、Ni、及びZnから選ばれる1種以上の金属元素)で表される組成の異種元素置換Li-Mnスピネル等であってよいが、これらに限定されない。
【0064】
正極活物質は、被覆層を有していることができる。被覆層は、リチウムイオン伝導性能を有し、正極活物質や固体電解質との反応性が低く、かつ活物質や固体電解質と接触しても流動しない被覆層の形態を維持し得る物質を含有している層である。被覆層を構成する材料の具体例としては、LiNbOの他、LiTi12、LiPO等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0065】
正極活物質の形状としては、例えば、粒子状が挙げられる。正極活物質の平均粒径(D50)は、特に限定されないが、例えば10nm以上であり、100nm以上であってもよい。一方、正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば50μm以下であり、20μm以下であってもよい。平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。
【0066】
固体電解質、導電助剤、及びバインダは、上記の「〈電極活物質層〉」に関する記載を参照することができる。
【0067】
正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
【0068】
《リチウムイオン電池用の活物質の製造方法》
本開示の製造方法は、リチウムイオン電池用の活物質を製造する方法である。本開示の製造方法は、NaSi合金と、AlFとを混合して加熱することによって、クラスレート型構造を有するSi粒子、NaF、及びAl含有粒子を含有している混合物を得ること、及び混合物をHNO水溶液で洗浄し、その後、濾過及び乾燥させること、
を有している。
【0069】
NaSi合金粉末と、AlFとを混合して所定の温度と時間で加熱すると、AlFがNaトラップ剤として機能し、NaSi合金からNaが脱離して、クラスレート型構造、特にクラスレートII型構造を有するSi粒子が生成する。
【0070】
クラスレート型構造を有するSi粒子を得るための加熱は、加熱温度250~500℃、加熱時間30~200時間、並びにSi及びNaに対して不活性な雰囲気下、例えば希ガス雰囲気下、より具体的にはAr雰囲気下で行ってよい。
【0071】
加熱温度は、250℃以上、300℃以上、又は350℃以上であってよく、500℃以下、450℃以下、400℃以下、又は350℃以下であってよい。
【0072】
加熱時間は、30時間以上、40時間以上、50時間以上、又は100時間以上であってよく、200時間以下、180時間以下、160時間以下、又は100時間以下であってよい。
【0073】
AlFの平均粒径(D50)は、特に限定されないが、例えば10~500μmであってよい。平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。
【0074】
NaSi合金とAlFとの混合比率は、モル比(NaSi合金:AlF)で1:0.100~1:0.500であってよい。このモル比(NaSi合金:AlF)は、1:0.150~1:0.400であってよく、1:0.200~1:0.3400であってよい。
【0075】
本開示の製造方法において、NaSi合金粉末は、Si粉末とNaH粉末とをメカニカルミリングして、その後加熱して得てよい。加熱は、例えば加熱温度250~500℃かつ加熱時間30~200時間、並びにSi及びNaに対して不活性な雰囲気下、例えば希ガス雰囲気下、より具体的にはAr雰囲気下で行ってよい。
【0076】
加熱温度は、250℃以上、300℃以上、又は350℃以上であってよく、500℃以下、450℃以下、400℃以下、又は350℃以下であってよい。
【0077】
加熱時間は、30時間以上、40時間以上、50時間以上、又は100時間以上であってよく、200時間以下、180時間以下、160時間以下、又は100時間以下であってよい。
【0078】
Si粉末は、一次粒子がポーラス構造を有していることができる。
【0079】
一次粒子がポーラス構造を有しているSi粉末は、例えばSi粉末原料とLiとを、Si及びLiに対して不活性な雰囲気下、例えば希ガス雰囲気下、より具体的にはAr雰囲気下で混合してLiSi合金化合物を得、これを例えばエタノールと反応させることによって脱Liすることによって得ることができる。
【実施例
【0080】
《実施例1~5及び比較例1》
〈実施例1〉
(Si粒子の合成)
Si源として、Si粉末(一次粒子の内部に空隙を有しないSi粉末)を準備した。このSi源とLi金属とを、Li/Si=4.75のモル比で秤量し、Ar雰囲気において乳鉢で混合し、合金化合物を得た。得られた合金化合物を、Ar雰囲気においてエタノールと反応させることで、一次粒子の内部に空隙を有する、すなわちポーラス構造を有するSi粉末を得た。
【0081】
得られたSi粉末とNa源としてのNaHを用いて、NaSi合金を製造した。なお、NaHとしては、予めヘキサンで洗浄したものを用いた。Na源とSi源とをモル比で1.05:1.00となるように秤量し、カッターミルを用いてこれらを混合した。この混合物を、加熱炉にてAr雰囲気下、400℃、40時間の条件で加熱することにより、粉末状のNaSi合金を得た。
【0082】
得られたNaSi合金とAlFとをモル比で1.000:0.200となるように秤量し、カッターミルを用いて混合し、反応原料を得た。得られた反応原料をステンレススチール製の反応容器に入れ、加熱炉にてAr雰囲気下、290℃、120時間の条件で加熱し反応させた。
【0083】
この反応生成物を、HNOとHOとを体積比10:90で混合した混合溶媒を用いて洗浄し、その後、濾過し、濾別された固形分を120℃で3時間以上乾燥して、Si粒子及びAl含有粒子等を含有する粉末を得た。
【0084】
得られたSi粒子の結晶構造を、X線結晶回折で測定したところ、クラスレートII型構造を有していた。
【0085】
(負極電極体の形成)
ポリプロピレン製容器に酪酸ブチル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系バインダーの5wt%酪酸ブチル溶液、導電助剤としての気相法炭素繊維(VGCF)、合成したSi粒子及びAl含有粒子を含有する粉末、及び硫化物固体電解質としてのLiS-P系ガラスセラミックを加え、超音波分散装置(エスエムテー製UH-50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学株式会社製、TTM-1)で30分間振とうさせて、負極合材スラリーを得た。
【0086】
負極合材を、アプリケーターを使用してブレード法にてCu箔上に塗工し、100℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥させることで、負極電極体を得た。
【0087】
(固体電解質層の形成)
ポリプロピレン製容器にヘプタン、ブチレンゴム(BR)系バインダーの5wt%ヘプタン溶液、及び硫化物固体電解質としてのLiSP系ガラスセラミックを加え、超音波分散装置(エスエムテー製UH-50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学株式会社製、TTM-1)で30分間振とうさせて、固体電解質スラリーを得た。
【0088】
固体電解質スラリーを、アプリケーターを使用してブレード法にて剥離シートとしてのAl箔上に塗工し、100℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥させることによって固体電解質層を形成した。
【0089】
固体電解質層は、3つ作製した。
【0090】
(正極電極体の形成)
ポリプロピレン製容器に酪酸ブチル、PVDF系バインダーの5wt%酪酸ブチル溶液、正極活物質としての平均粒径6μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3、硫化物固体電解質としてLiS-P系ガラスセラミック、導電助剤としてVGCFを容器に加え、超音波分散装置(エスエムテー製UH-50)で30秒間攪拌した。
【0091】
次に、容器を振とう器(柴田科学株式会社製、TTM-1)で3分間振とうさせ、さらに超音波分散装置で30秒間攪拌し、振とう器で3分間振とうして、正極合材スラリーを得た。
【0092】
正極合材スラリーを、アプリケーターを使用してブレード法にてAl箔上に塗工し、100℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥させることによって、正極電極体を形成した。
【0093】
(電池の組立て)
上記の正極電極体、及び一つ目の固体電解質層をこの順で積層した。この積層物をロールプレス機にセットし、100kN/cmのプレス圧力及び165℃のプレス温度でプレスすることによって、正極積層体を得た。
【0094】
上記の負極電極体、及び二つ目の固体電解質層をこの順で積層した。この積層物をロールプレス機にセットし、60kN/cmのプレス圧力及び25℃のプレス温度でプレスすることによって、負極積層体を得た。
【0095】
更に、正極積層体及び負極積層体の固体電解質層表面から、剥離シートとしてのAl箔を剥離させた。次いで、3つ目の固体電解質層から剥離シートとしてのAl箔を剥離させた。
【0096】
正極積層体及び負極積層体の固体電解質層側それぞれと3つ目の固体電解質層とが対向するようにして、これらを互いに積層し、この積層体を平面一軸プレス機にセットし、100MPa及び25℃で、10秒にわたって仮プレスし、最後にこの積層体を平面一軸プレス機にセットし、200MPaのプレス圧力及び120℃のプレス温度で、1分間にわたってプレスした。これによって、全固体電池を得た。
【0097】
〈実施例2〉
NaSi合金とAlFとの加熱条件を、310℃かつ60時間としたことを除いて実施例1と同様にして、実施例2のSi粒子を得た。このSi粒子を用いて、実施例1と同様にして全固体電池を得た。
【0098】
〈実施例3〉
NaSi合金とAlFとのモル比を1.000:0.210としたことを除いて実施例2と同様にして、実施例3のSi粒子を得た。このSi粒子を用いて、実施例2と同様にして全固体電池を得た。
【0099】
〈実施例4〉
NaSi合金とAlFとのモル比を1.000:0.336とし、かつ金属製の篩(メッシュサイズ20μm)を用いて微粒子を除去したAlFを用いたことを除いて実施例2と同様にして、実施例4のSi粒子を得た。このSi粒子を用いて、実施例2と同様にして全固体電池を得た。
【0100】
〈実施例5〉
NaSi合金とAlFとのモル比を1.000:0.336としたことを除いて実施例2と同様にして、実施例5のSi粒子を得た。このSi粒子を用いて、実施例2と同様にして全固体電池を得た。
【0101】
〈比較例1〉
Si源としてSi粒子を用い、Na源としてNa粒子を用い、Si粒子およびNa粒子をモル比が1:1になるように混合し、るつぼに投入し、Ar雰囲気下で密閉し、700℃で加熱して、NaSi合金を得た。得られたNaSi合金を用い、真空下(約1Pa)、340℃の条件で加熱することでNaを除去し、シリコンクラスレートII型の結晶相を有する中間体を得た。得られた中間体と、Li金属とを、Li/Si=1.7のモル比で秤量し、Ar雰囲気において乳鉢で混合し、合金化合物を得た。得られた合金化合物を、Ar雰囲気においてエタノールと反応させることで、一次粒子の内部に空隙が形成されたSi粒子を得た。
【0102】
得られたSi粒子を用いて、実施例1と同様にして全固体電池を得た。
【0103】
〈Al含有量の測定〉
各例の全固体電池の製造の際に形成したのと同様の負極活物質層中のAl量(質量%)をSEM-EDXでSi粒子中のAl量(質量%)をTEM-EDXで測定した。
【0104】
〈拘束圧力変動の測定〉
各例の全固体電池を、拘束治具を用いて所定の拘束圧にて拘束し、10時間率(1/10C)で4.55Vまで定電流-定電圧充電した際の、拘束圧変動量を測定した。なお、拘束圧変動量は、拘束圧の最高値と最低値の差である。
【0105】
〈結果〉
各例の全固体電池に用いたSi粒子の製造条件、Si粒子中のAl含有量(質量%)及び負極活物質層中のAl含有量(質量%)、並びに充放電時の拘束圧の変動量を、表1に示した。また、実施例2の負極活物質層をSEM-EDXで測定した際の電子像を図2~5に示した。なお、表1における「AlFの分級」は、金属製の篩を用いた分級の有無及び金属製の篩のメッシュサイズを示している。また、拘束圧の変動量は、比較例1における値を100とした相対値である。
【0106】
【表1】
【0107】
表1に示すように、Si粒子中のAl含有量が0.043質量%であり、負極活物質層中のAl含有量が0.850質量%であった実施例1の全固体電池は、比較例1の全固体電池よりも充放電時における拘束圧の変動が低減された。具体的には、比較例1における拘束圧変動に対して84%の拘束圧変動であった。
【0108】
同様に、実施例2~5の全固体電池も、比較例1の全固体電池よりも充放電時における拘束圧の変動が低減された。
【0109】
なお、比較例1におけるSi粒子中のAl含有量及び負極活物質層中のAl含有量は、Si粉末等の原料に含有されていた不純物としてのAlの量であると考えられる。
【0110】
図2は、負極活物質層のSEM画像である。図3はOの分布を、図4はAlの分布を、図5はFの分布を示す。図2~5に示すように、負極活物質層中のAl元素は、(1)のようにO元素と同じ位置で検出されたり、(2)のようにF元素と同じ位置で検出されたりしている。つまり、実施例2の負極活物質層には、AlとOを含む粒子、AlとFを含む粒子を含んでいるといえる。また、Al元素とO元素を含む物質として安定な物質はAlであり、Al元素とF元素を含む物質として安定な物質はAlFであることから、実施例2の負極活物質層にはAl及びAlFが含まれるものと考えられる。
【符号の説明】
【0111】
1 リチウムイオン電池
10 負極電極体
11 負極活物質層
12 負極集電体層
20 固体電解質層
30 正極電極体
31 正極活物質層
32 正極集電体層
図1
図2
図3
図4
図5