(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】スクリュースピンドルポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/18 20060101AFI20241029BHJP
F04C 2/16 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F04C2/18 311C
F04C2/16 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022197437
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10 2021 133 106.4
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515051102
【氏名又は名称】ライストリッツ プムペン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・メッツ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・リッセク
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ポップ
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0300202(US,A1)
【文献】特開2004-332668(JP,A)
【文献】米国特許第10309398(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
F04C 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュースピンドルポンプであって、
駆動スピンドル(3)と前記駆動スピンドル(3)に噛み合った少なくとも1つの走行スピンドル(4)とがスピンドルホールに収容されているスピンドルハウジング(2)と、
前記スピンドルハウジング(2)を包み込み、軸方向の入口接続部(6)及び径方向の出口接続部(9)を備える外側ハウジング(5)であって、前記スピンドルハウジング(2)は、前記駆動スピンドル(3)及び前記走行スピンドル(4)によって前記スピンドルハウジング(2)中を搬送された流体用の軸方向の流体排出部を備える、外側ハウジング(5)と、
駆動シャフト(12)を含む駆動モータ(11)であって、前記駆動シャフト(12)は、前記外側ハウジング(5)の内部を軸方向に閉鎖するハウジング壁(15)に形成され、前記駆動シャフト(12)との間に隙間(24)を有する孔(23)を通って延びると共に、前記駆動スピンドル(3)に結合されており、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部から流れ出る流体の一部が、前記隙間(24)を通って前記駆動シャフト(12)に沿って前記駆動モータ(11)に流れ込み、前記駆動モータ(11)を冷却して、前記外側ハウジング(5)に還流する、駆動モータ(11)と、を備える、スクリュースピンドルポンプ。
【請求項2】
前記駆動モータ(11)は、直接、前記外側ハウジング(5)の上に設置されており、前記駆動モータ(11)の
モータハウジングが、前記ハウジング壁(15)を形成する前壁を有していることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項3】
前記外側ハウジング(5)の上に設置され前記ハウジング壁(15)を形成する板状の中間部材(26)が設けられており、前記駆動モータ(11)は、前記中間部材(26)の上に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項4】
前記駆動スピンドル(3)及び前記走行スピンドル(4)によって前記スピンドルハウジング(2)を通って搬送される流体用の前記軸方向の流体排出部は、前記スピンドルハウジング(2)と前記外側ハウジング(5)との間に形成された360度にわたって延びる流体室(10)と連通しており、前記流体室(10)は前記径方向の出口接続部(9)と連通していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項5】
前記流体室(10)は、前記スピンドルホールの少なくとも半分の長さにわたって延びていることを特徴とする、請求項4に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項6】
前記流体室(10)は、2つの径方向フランジ(17,18)であって、一方の前記径方向フランジ(17)が前記流体室(10)を前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部に接続する多数の軸方向の貫通孔(16)を備える2つの径方向フランジ(17,18)によって、軸方向に境界が定められているか、又は、前記流体室は、一方において、前記流体室(10)を前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部に接続する多数の軸方向の貫通孔(16)を備える1つの径方向フランジ(17)と、他方において蓋部材(28)と、によって軸方向に境界が定められていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項7】
前記駆動モータ(11)の前記
モータハウジングの前記前壁は、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部から来た流体を前記流体室(10)に向けて方向転換させる1つ又は複数の方向転換用キャビティ(14)を備えることを特徴とする、
請求項2を引用する請求項4~6のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項8】
前記中間部材(26)は、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部から来た流体を前記流体室(10)に向けて方向転換させる1つ又は複数の方向転換用キャビティ(14)を備えることを特徴とする、
請求項3を引用する請求項4~6のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項9】
1つの前記方向転換用キャビティ(14)は、環状溝又は鍋形凹部であり、前記環状溝又は鍋形凹部は、溝又は凹部の床の領域が丸みを帯びて構成されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項10】
前記スピンドルハウジング(2)、前記外側ハウジング(5)、及び/又は、前記中間部材(26)は、プラスチックから成ることを特徴とする、
請求項3並びに請求項3を引用する請求項
4~9のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項11】
中心に配置された1つの駆動スピンドル(3)とその両側に配置された2つの走行スピンドル(4)とが備えられていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項12】
前記入口接続部(6)は、前記駆動スピンドル(3)と1つ又は複数の前記走行スピンドル(4)とを含むスピンドルパッケージの中心軸線に揃えて配置されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ(1)の、自動車において作動液を搬送するための使用。
【請求項14】
前記スクリュースピンドルポンプ(1)は、具体的にはエネルギー貯蔵装置の冷却に作用する冷媒を搬送するための冷媒ポンプとして使用されることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動スピンドルとこれに噛み合った少なくとも1つの走行スピンドルとがスピンドルホール内に収容されているスピンドルハウジングと、スピンドルハウジングを包み込み、軸方向の入口接続部及び径方向の出口接続部が設けられた外側ハウジングと、を備えるスクリュースピンドルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなスクリュースピンドルポンプは、流体を搬送するように機能し、非常に様々な領域において使用されている。例としては、自動車の燃料、又は他の作動液若しくは供給液、例えば冷媒若しくは洗剤、の搬送が挙げられる。他の陸上車、又は、例えば飛行機若しくはドローンといった航空機においても、このようなスクリュースピンドルポンプが使用可能であり、その適用可能例は限定されない。このようなスクリュースピンドルポンプは、スピンドルハウジングを備える。スピンドルハウジングは、内側ハウジングとも呼ぶことが可能であり、その中に、少なくとも2つのスピンドル、すなわち1つの駆動スピンドル及び1つの走行スピンドルがそれぞれ、互いに隣り合っているが交差したスピンドルホール内に収容されている。駆動スピンドル及び走行スピンドルは、いずれも1つのスピンドルプロファイルを備え、これら両方のスピンドルプロファイルは互いに噛み合っている。駆動スピンドルは、駆動モータと接続されており、能動的に回転されることが可能であるので、走行スピンドルが噛み合いながら回転することになる。スピンドルの回転により、流体が搬送される搬送容積が、スピンドルの縦軸方向に連続的に移動される。スピンドルハウジングは、外側ハウジング内に収容されている。外側ハウジングは、例えば鍋形であることが可能であり、一方の面は軸壁を介して閉鎖されていることが可能であり、他方の面には例えば駆動モータがフランジ接続されている。しかしながら、外側ハウジングが複数の部品から成り、円筒形のベース部を有していることも想定可能である。このベース部は、一方の面が蓋を介して閉鎖されており、他方の面には同じく駆動モータがフランジ接続されている。外側ハウジングは、軸方向の入口接続部、つまり供給管を接続可能な対応する接続パイプを有しており、これによって吸引側が規定される。さらに、径方向の出口接続部、つまり対応する出口パイプが備えられており、これによって加圧側が規定される。搬送された流体は、ここから、ポンプによって生成可能な各圧力によって排出される。このようなポンプは、例えばドイツ国第10 2018 131 587 A1号公報に記載されている。
【0003】
この公知のポンプには、外側ハウジングの外側中心に設けられた軸方向の入口接続部が備えられており、この入口接続部を介して流入が行われる。そして流体は、まず横方向にスピンドルハウジングの軸方向の流入口に向かって流れ、この流入口を通って搬送され、スピンドルハウジングを径方向のハウジング孔から出る。ここから、流体は、スピンドルハウジングと外側ハウジングの間の狭い接続スペースを介して径方向の出口接続部に流れる。すなわち、加圧された流体は、スピンドルハウジングを径方向に出て、最終的に出口接続部を介して直接排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、これに対して改善されたスクリュースピンドルポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明によれば、導入部分において記載したようなスクリュースピンドルポンプが提供される。このスクリュースピンドルポンプでは、スピンドルハウジングが、駆動スピンドル及び走行スピンドルによってスピンドルハウジングの中を搬送された流体用の軸方向の流体排出部を備えている。スクリュースピンドルポンプは、駆動シャフトを含む駆動モータをさらに備え、駆動シャフトは、外側ハウジングの内部を軸方向に閉鎖するハウジング壁に形成された孔を通って延びると共に、駆動スピンドルに結合されている。ここで、スピンドルハウジングの流体排出部から流れ出る流体の一部が、この密封されていない孔を通って駆動シャフトに沿って駆動モータに流れ込み、駆動モータを冷却して、外側ハウジングに還流する。
【0006】
本発明に係るスクリュースピンドルポンプの特徴は、一方において、搬送された加圧下にある流体に追加的な冷却機能が与えられている点と、他方において、ポンプが回転に供される損耗しやすい密封要素を有していない点とである。本発明によれば、スピンドルハウジングは、軸方向の流体排出部を有している。すなわち、流体は軸方向にスピンドルハウジングに流入するだけでなく軸方向に流出する。流出方向には、駆動シャフトを備える駆動モータが設けられている。駆動シャフトは、外側ハウジング、より正確に言えばポンプハウジングをこの面において軸方向に閉鎖するハウジング壁を通って、すなわちそこに設けられた孔を通って、外側ハウジングの内部に延びている。ここで駆動シャフトは、好適な結合装置により駆動スピンドルに、これを駆動するために結合されている。ハウジング壁は、一方においてポンプハウジングを軸方向に閉鎖するが、小さな環状隙間が開いた状態にしている。すなわち、孔の直径が駆動スピンドルの直径よりも少し大きくなっている。この環状隙間によって、加圧下にある搬送された流体のわずかな部分だけが、軸方向に駆動シャフトに沿って、ポンプハウジングから駆動モータのハウジングに流入可能である。ここで流体は、流れ経路に応じて対応して分散され、モータを、その表面又はモータ素子の領域において流体がこの領域に沿って又はこの領域の周りを流れることにより冷却する。流体は、モータハウジング内を循環し、再び駆動シャフトに沿って外側ハウジングに還流する。しかしながら基本的には、還流が、ハウジング壁の1つ又は複数のより小さいさらなる貫通孔を介して行われてもよい。すなわち、流体のこの部分によって、能動的なモータ冷却を行うことが可能である。したがって駆動モータは湿式メータであり、この能動的な冷却は、効率、より正確に言えばモータ性能に有利に作用する。
【0007】
上述のように、流体は、少なくとも駆動シャフトに沿って、孔、より正確に言えば孔の内壁と駆動シャフトとの間の環状隙間を通って軸方向にモータハウジングに流入し、又は、これを介して外側ハウジングの中に還流することも可能である。すなわち、孔、より正確に言えば環状隙間には、軸封の形のシールは収容されておらず、したがってこの領域には、回転に曝され時間の経過に伴い損耗する恐れのある密封要素は設けられていない。すなわち、駆動シャフトがモータハウジング自体に対応して搭載され、場合によっては密封されていること以外では、駆動シャフトは、外側ハウジングへの移行部において、より正確に言えば外側ハウジングにおいて、径方向に密封されていない。駆動シャフトに加えて、2つの別の回転素子、つまり駆動スピンドル及び走行スピンドルも、回転に曝される密封要素によって密封されていない。すなわち、スクリュースピンドルポンプの外部ハウジング又はスピンドルハウジングの上又は中において回転する要素のどれも、回転に曝される密封要素によって密封されていない。このため、起こり得る密封要素の損耗を、有利にも回避することが可能である。唯一の密封要素は、例えば外側ハウジングとモータハウジングとの間の移行部を、又は、2つの外側ハウジングの間の移行部や同様のものを、軸方向に及び/又は径方向に密封する静止した密封要素だけである。しかし、これらの密封要素は、運転中に機械的な変動に曝されないので、損耗し難い。
【0008】
上述のように、駆動モータから延びる駆動シャフトは、外側ハウジングを軸方向に閉鎖するハウジング壁に形成された孔を通って延びている。ここで、この配置、より正確に言えばハウジング壁の構成に関して、異なる変形例が想定可能である。第1の代替例によれば、駆動モータは、直接、外側ハウジングの上に設置されていてもよく、駆動モータのハウジングが、ハウジング壁を形成する前壁を有している。すなわち、回転子及び固定子といった対応するモータ部品や電子部品等が収容された駆動モータのハウジングには、駆動シャフトが係合する対応する孔が形成された軸方向のハウジング壁が設けられている。ここで駆動モータは、直接、外側ハウジングの上に設置されてこれによってねじ止めされており、そのため、駆動モータ側のハウジング壁が軸方向の外側ハウジング終端部を形成している。したがって、冷媒流体の一部は、直接、駆動モータ側のハウジング壁を通って駆動モータに流入する。
【0009】
代替的に、外側ハウジングの上に設置されハウジング壁を形成する板状の中間部材が設けられており、駆動モータは、中間部材の上に設置されていることも想定可能である。この変形例では、中間部材は、外側ハウジングと駆動モータ、より正確に言えばモータハウジングとの間に設置されており、最終的にこれは一種の取付インターフェースを形成する。この板状の中間部材は、モータ側の駆動シャフトが係合する孔を有するハウジング壁を備える。したがってモータハウジングは、その中間板に対向する側において最終的に開口されることが可能であり、又は、そこで例えば電子部品だけを冷却する必要がある場合、背面に電子部品が設けられた対応する閉鎖壁を有していてもよく、この場合、流体は冷却のためにこの閉鎖壁に対して勢いよく流れる、又は、同様のことを行う。中間部材は、例えば、固定ネジを導入可能な対応する貫通孔を有している。この固定ネジによって、対応する孔を有する外側ハウジング及びモータハウジングは、3つの全ての部品が共通の固定要素によって互いにねじ止め可能となるように、誘導される。
【0010】
導入部分で説明したように、例えばドイツ国第10 2018 131 587 A1号公報に記載のポンプでは、スピンドルハウジングに、径方向のハウジング孔が1つだけ設けられている。ここから、加圧下にある搬送された流体が径方向に、スピンドルハウジングと外側ハウジングとの間の狭い接続スペースに流れ込み、そこから径方向に出口接続部に流れる。このスピンドルハウジングの径方向のハウジング開口部及び狭い接続スペースの領域において、つまり加圧側において、搬送された流体には、対応して高いポンプ圧力が印加されるので、高圧が局所的にスピンドルハウジング、より正確に言えば、狭い接続スペースが設けられた中間ハウジング領域に加えられる。本発明に係るスクリュースピンドルポンプには、スピンドルハウジングから径方向の流出部はなく、軸方向の流出部が設けられているので、冷却目的に作用する流体部分が、軸方向にモータハウジングに流入することが可能である。残りの流体容積は、外側ハウジングに設けられた径方向の出口接続部に誘導されることになり、このため方向転換される。有効な一発展形態によれば、有利にも、駆動スピンドル及び走行スピンドルによってスピンドルハウジングの中を搬送される流体用の軸方向の流体排出部は、スピンドルハウジングと外側ハウジングとの間に形成された360度にわたって延びる流体室と連通しており、流体室は径方向の出口接続部と連通している。本発明に係るスクリュースピンドルポンプでは、有利にも、径方向の流体室がスピンドルハウジングと外側ハウジングとの間に設けられており、360度にわたってスピンドルハウジングの周りを延びて、つまり環状室としてスピンドルハウジングを包囲している。この環状の流体室は加圧側にあり、流体室にはスピンドルハウジングから流出した加圧下にある流体が供給されるため、流体室は、つまり圧力室である。この流体は、スピンドルハウジングから軸方向に流出する、すなわち、対応する大きさの軸方向の流体排出口がスピンドルハウジングに設けられている。上述のように、いかなる径方向孔又は同様の構成も設けられていない。記載したように径方向の流体室又は圧力室が、内側ハウジングを完全に、つまり360度にわたって包囲しているので、内側ハウジングの周りの全ての面に対応するポンプ圧力が印加される点が特に有利である。すなわち、最終的にほぼ対称の圧力比が、スピンドルハウジングに与えられる、より正確に言えばこれに印加される。これによって、一方では、従来技術から公知のような、非対称の圧力分布により生じるような局所的な過剰圧力が回避される。他方で、スピンドルハウジングにおいても形成される流体圧力によって、わずかではあるが生じるスピンドルハウジングの変形も回避される。なぜなら、スピンドルハウジングには、上述のように径方向外側に、流体室において生じる流体圧力が印加されるので、スピンドルハウジングが安定化されるからである。すなわち、本発明によれば、内側ハウジングを安定化させる対応する径方向圧力を形成する流体被覆が実現される。これは、具体的にはスピンドルハウジングが柔らかい材料、例えばプラスチックから製造されている場合に都合がよい。これは当然ながら、小型であるがそれでも対応して高いポンプ圧力を生成可能なスクリュースピンドルポンプの場合に当てはまる。
【0011】
本発明によれば、提供される流体室は、一方では上述のように、360度にわたってスピンドルハウジングの周りを延びている。他方で、流体室は、スピンドルハウジングをその軸方向の長さの少なくとも一部にわたって包囲している必要がある。ここで流体室は、スピンドルホール、より正確に言えばスピンドルハウジングの少なくとも半分の長さ、場合によってはそれ以上にわたって延びており、例えばスピンドルホール、より正確に言えばスピンドルハウジングの長さの2/3にわたって延びている。流体室がスピンドルホール又はスピンドルハウジングの全長にわたって延びていることも想定可能である。
【0012】
スピンドルハウジングは、外側ハウジング内に対応して配置されていると共に、当然ながら流体室が、軸方向に見て対応して密封されていなければならない。これに対して、異なる選択肢も想定可能である。第1の代替例によれば、流体室は、2つの径方向フランジであって、一方の径方向フランジが流体室をスピンドルハウジングの流体排出部と接続する多数の軸方向の貫通孔を備える2つの径方向フランジによって、軸方向に境界が定められていることが可能である。これらの径方向フランジによって、スピンドルハウジングは外側ハウジング内に収容され、径方向に支持される。加圧側に設けられた径方向フランジは、対応する貫通孔を有している。貫通孔により、スピンドルハウジングから軸方向に流出する流体が、その方向転換のために軸方向にいわば戻るように流体室に流入可能となる。この面における密封も当然必要である。その反対に、他方のいわば吸引側に設けられた径方向フランジは、密封する機能を有し、このため、この領域において、スピンドルハウジングを外側ハウジングに対して密封する1つ又は複数の好適な密封手段が設けられている。したがって、流体室もこの吸引側端部に対して密封される。
【0013】
2つの径方向フランジを形成することに対する代替案として、流体室を、一方において、流体室をスピンドルハウジングの流体排出部に接続する複数の軸方向の貫通孔を有する径方向フランジと、他方において蓋部材とによって、軸方向に境界付けることも想定可能である。ここでは、上述の実施形態のように軸方向の貫通孔を有する、加圧側に設けられた径方向フランジだけを使用して、搬送された加圧下にある流体を流体室に還流させることを可能とする。流体室の別の側は、外側ハウジングの円筒形のベース部の上に設置された蓋部材により閉鎖される、より正確に言えば境界が定められている。この蓋部材には入口接続部が設けられている。第1の変形例では、吸引側の径方向フランジが流体室の境界を定める機能を有しているが、第2の変形例では、軸方向の流体室の境界を定めることは、蓋部材によって実現される。
【0014】
軸方向にスピンドルハウジングから流出した流体が流体室に向かって方向転換するために、第1の変形例によれば、駆動モータのハウジングの前壁は、流体排出部から来た流体を流体室に向けて方向転換させる1つ又は複数の方向転換用キャビティを備えていてもよい。この変形例では、外側ハウジングを軸方向に閉鎖するハウジング壁を備える駆動ハウジングが設けられており、ハウジング壁は、スピンドルハウジングを径方向に包囲する流体室への径方向及び軸方向の方向転換を行う、1つ又は複数の方向転換用キャビティを備えている。
【0015】
外側ハウジングとモータハウジングとの間に中間部材を使用する場合には、この中間部材が、流体を流体室に向けて方向転換させる1つ又は複数の方向転換用キャビティを備えていてもよい。ここで実施されるように、中間部材は、外側ハウジングを軸方向に閉鎖するハウジング壁を備えており、そのためこの場合は、中間部材が1つ又は複数の方向転換用キャビティを備えている必要がある。
【0016】
方向転換用キャビティは、好ましくは環状溝又は鍋形凹部であり、環状溝又は鍋形凹部は、溝又は凹部の床の領域が丸みを帯びて構成されている。すなわち、ハウジング壁は、ほぼドーム状に湾曲しているので、流体がまず軸方向に流入可能な対応する溝又は凹部が形成され、この溝又は凹部は径方向に外方に向かって延びており、流体が径方向に外方に向かって誘導されるようになっている。この凹部は流体室と連通しているので、直接であれ、スピンドルハウジング側の径方向フランジに形成された対応する貫通孔を介してであれ、流体は、流体排出部に流れる前に軸方向に流体室に還流し、そこで分散されることが可能である。したがってこの窪んだ、より正確に言えばドーム状の凹部は、全面的な流体の方向転換を可能にし、流体室への対称的な流体の流れを可能にする。当然ながら、軸方向及び径方向に延びるブリッジが、例えば安定化の目的で設けられている場合には、溝又は凹部は、このようなブリッジを介して、溝又は凹部の個々の区域に分割されることも可能である。溝又は凹部の底部の丸みを有する構成により、狙いを定めた流体誘導が確保されるだけでなく、いかなる流体騒音も発生させないことが確保される。なぜなら、溝又は凹部の領域には、流体技術的に不利となり得る角や縁が存在しないからである。
【0017】
上述のように、本発明によれば、流体室によって実現された流体又は圧力被覆が、全面に亘る径方向の安定化圧力をスピンドルハウジングに狙いを定めて生成することが可能になり、スピンドルハウジングにおける公差の拡大、又は、場合によっては運転に応じて生じるわずかな形状変動が回避される。これは具体的には、本発明に係る構成であり得るような、スピンドルハウジングがプラスチックから製造されている場合である。追加的又は代替的に、外側ハウジング及び中間部材や、又は、軸方向の外側ハウジング閉鎖手段としての蓋部材(もし設けられる場合であれば)を、プラスチックから製造することも想定可能である。すなわち、全てのハウジングに関連する部品をプラスチックから製造することが可能であり、さらに基本的には、スピンドル自体をプラスチックから製造することも可能である。しかしながら、少なくともスピンドルは金属から成ることが好ましい。
【0018】
スクリュースピンドルポンプは、1つの駆動スピンドル及びこの横に配置された1つの走行スピンドルだけを含む2スピンドルポンプであり得る。代替的に、スクリュースピンドルポンプが、中央に配置された1つの駆動スピンドルとその両側に180度ずらして配置された2つの走行スピンドルとを含む3スピンドルポンプであることも想定可能である。本発明では、異なるポンプの種類を使用することも実現可能である。
【0019】
さらに、入口接続部が、駆動スピンドル及び1つ又は両方の走行スピンドルを含むスピンドルパッケージの中心軸線に揃えられて配置されていてもよい。すなわち、入口パイプが、スピンドルパッケージの中心軸線のほぼ軸方向の延長部分に配置されている。2スピンドルのスクリュースピンドルポンプでは、この中心軸線は、最終的には、駆動スピンドルと走行スピンドルとの間の真ん中にある。3スピンドルポンプの場合には、この中心軸線は、中央に配置された駆動スピンドルの長手方向軸線上にある。この構成により、有利にも、軸方向に吸引された流体は、外側ハウジングの内部で、場合によっては流体騒音を伴うスピンドルハウジングに向かう方向転換を行う必要が無いことを実現可能である。むしろ、スピンドルハウジングに直接軸方向に流入することが可能である。
【0020】
スクリュースピンドルポンプ自体に加えて、本発明はさらに、上述した種類のスクリュースピンドルポンプの、自動車において作動液を搬送するための使用に関する。この作動液は、任意の性質のものであり得る。これは例えば、ポンプによって搬送される洗浄液、例えばガラス洗浄液であり得る。代替的に、かつ、本発明に係る好ましい一用途は、スクリュースピンドルポンプの、冷媒を搬送する冷媒ポンプとしての使用である。冷媒とは、任意の流体冷媒であり得る。この使用は、具体的には、エネルギー貯蔵装置の冷却に作用する冷媒を搬送するための使用に関する。このようなエネルギー貯蔵装置は、電動式に駆動される自動車に益々使用されており、対応する形状の牽引用電池又は駆動電池の形で設けられている。このエネルギー貯蔵装置は、冷媒による対応する冷却を必要とする。この冷媒は、本発明に係るスクリュースピンドルポンプによって、必要な量だけ単純かつ容易に搬送可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明のさらなる利点及び詳細を、以下に記載する実施形態に基づき、かつ、図面を参照することにより説明する。
【
図1】本発明に係る第1の実施形態のスクリュースピンドルポンプの原理を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る第2の実施形態のスクリュースピンドルポンプの原理を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る第3の実施形態のスクリュースピンドルポンプの原理を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、第1の実施形態における、本発明に係るスクリュースピンドルポンプ1を示す図である。スクリュースピンドルポンプ1は、スピンドルハウジング2を含み、スピンドルハウジング2内には、図示される例では3つのスピンドル、すなわち1つの駆動スピンドル3と、互いに横方向に180度ずらして配置された2つの走行スピンドル4とが、互いに交差した対応するスピンドルホール内に収容されている。
図1に示されるように、全てのスピンドル3、4は、互いに係合すると共に互いに噛合する対応するスピンドルプロファイルを有している。
【0023】
スピンドルハウジング2は、鍋形の外側ハウジング5内に収容されており、外側ハウジング5の中央には、駆動スピンドル3の長手方向軸線に揃えて配置された、ここでは1つの入口接続部6、つまり対応する接続用パイプが設けられている。外側ハウジング5又はその径方向フランジ7に対して、駆動スピンドル3と走行スピンドル4とから成るスピンドルパッケージが軸方向に、支持要素、ここではフェザーキー8を介して支持されている。フェザーキー8は、例えば挟まれた状態で外側ハウジング5内に保持されている、又は、外側ハウジング5内の径方向の凹部に噛み合っている。
【0024】
例えばプラスチックから成る外側ハウジング5には、さらに、径方向の出口接続部9、ここでも接続用パイプが設けられている。入口接続部6を介して吸引され加圧された状態にある流体は、この出口接続部9を通って再び径方向に排出される。
【0025】
図1に明示されるように、スピンドルハウジング2は、その構成要素と共に、鍋形の外側ハウジング5の内部に収容されている。スピンドルハウジング2の外壁と外側ハウジング5の内壁との間には、周方向に360度延びる流体室10が設けられている。流体室10は、
図1に示されるように、スピンドルハウジング2の、より正確に言えばスピンドルホールの長さの半分以上にわたって延びている。この流体室10には、スピンドルハウジングの軸方向の流体排出部を出た加圧下にある流体が到達する、すなわち、スピンドルハウジング2の左側端部にある軸方向の流体排出部は、流体室10と連通している。流体室10は、流体室側から出口接続部9と連通している。
【0026】
さらに、ここでは単に原理に従って図示される駆動モータ11が設けられている。駆動モータ11は、ここでは、外側ハウジング5の上に直接設置され、そこで好適な固定ネジによって固定されている。電気モータとして実施された駆動モータ11の、ここでは詳細には図示されていない固定子の中に配置された回転子13に接続されている駆動シャフト12によって、駆動モータ11は、結合要素22を介して、駆動スピンドル3と結合されている。そのため、駆動スピンドル3は、駆動モータ11を介して能動的に回転されることが可能であり、これによってスピンドルパッケージ全体が回転し、入口接続部6において吸引された流体を軸方向に搬送する。
【0027】
スピンドルハウジングは、この構成では吸引側端部及び加圧側端部が単純に軸方向に開口しており、このスピンドルハウジングの軸方向の流体排出部から、上述のように、流体が流出する。流出した流体が、搬送方向に対して軸方向に戻る位置にある流体室10の中に到達し得るために、図示される例では、方向転換用キャビティ14が設けられている。方向転換用キャビティ14は、図示される例では、駆動モータ11のハウジングの、スピンドルハウジング2に対向するハウジング壁15に直接形成されている。このハウジング壁15は、外側ハウジング5の軸方向の終端部を形成し、外側ハウジング5を、つまりその面において閉鎖している。方向転換用キャビティ14は、例えば、周方向に延びるリング溝として又は鍋形のドーム状凹部として形成されており、床側に湾曲して又は丸みを帯びて実施されているので、ほぼ中央に流入した流体は、横方向に向かって径方向外側に方向転換し、戻る方向に搬送される。したがって流体は、スピンドルハウジング2の径方向フランジ17に形成された対応する貫通孔16を介して、流体室10の中に流れることが可能である。
【0028】
流体室10は、吸引側端部において、スピンドルハウジング2の径方向フランジ18によって軸方向に境界が定められている。径方向フランジ18は、一方では外側ハウジング5のハウジング肩部19に軸方向に支えられている。他方で、径方向フランジ18は、外側ハウジング5の内壁まで延びており、これに対して密封要素20を介して径方向に密封されているので、流体室10は、この端部において閉鎖及び密封されている。反対側の加圧側端部にも同様に、径方向フランジ17が設けられているが、この径方向フランジ17には、上述の貫通孔16が形成されているので、流体室10は、この加圧側に向かって開口しており、加圧下にある流体は方向転換用キャビティ14を介して流体室の中に流れ込むことが可能である。この面における密封は、外側ハウジング5とモータハウジングと間における好適な密封要素21によって行われる。密封要素21は、ほぼ軸方向において外側ハウジング5に噛み合うモータハウジングのリングフランジ上に形成されており、径方向に密封する。
【0029】
動作中には、駆動スピンドル3が駆動モータ11によって回転される。入口接続部6を介して吸引された流体は、スピンドル3、4のスピンドルプロファイルが互いに噛み合うことによって軸方向に搬送され、その結果、軸方向に移送される搬送容積が生成され、スピンドルパッケージに沿った流体の搬送を可能にする。
【0030】
この流体は、スピンドルハウジング2の加圧側端部において軸方向に流れ出る。これは、目立った流体騒音が生じないため、可能な限り騒音が少ない運転であるという点において都合がよい。その後、流体は、上述の例えばリング溝又は窪んだ凹部のような方向転換用キャビティ14の中に直接流入し、これによって径方向外側に方向転換して軸方向に戻る、すなわちスピンドルパッケージの搬送方向の反対方向に方向転換する。流体は、貫通孔16を介して、流体室10の中に流入し、これを介して出口接続部9に入り、そこから排出される。
【0031】
流体室10にはポンプ圧力が存在する。すなわちこのスピンドルハウジングの全面を包囲する流体室10において、スクリュースピンドルポンプ1によって生成され得る排出圧力が存在する。スピンドルハウジング2が圧力室とも呼ぶことが可能な流体室10によって包囲されている範囲において、この圧力は、スピンドルハウジング2の全ての面に径方向に作用する。上述のように、この流体室10は、少なくともスピンドルハウジング2の半分の長さ、好ましくはそれ以上にわたって延びているので、スピンドルハウジング2の、場合によっては生じる圧力による形状変化、より正確に言えば公差外れに対する可能な限りの安定性が提供される。これは、具体的には、スピンドルハウジングがプラスチック、つまり金属よりも少々柔らかい材料から製造されている場合に当てはまる。
【0032】
上述のように、搬送された流体は、軸方向に、スピンドルハウジング2から流出し、方向転換用キャビティ14に到達する、つまりハウジング壁15の壁に対して勢いよく流れる。大部分が方向転換して排出されるが、加圧下にある流体のわずかな部分が、
図1に示されるように、冷却のために駆動モータ11に達する。これを可能とするために、駆動スピンドル12とハウジング壁15に形成された孔23の内壁との間を、流体が流れることが可能である。このために、孔23の内径は駆動シャフト12の外径よりも少し大きくなっており、環状隙間24が形成されている。この環状隙間24を通って、
図1の右側から流れる流体は、駆動シャフト12に沿ってハウジング壁15を通り、モータハウジング、より正確に言えば駆動モータ11の内部に流れ込むことが可能である。ここで流体は、対応する流体経路が設けられている範囲で流れる。より正確に言えば、流体は、対応する冷却対象の表面又は部材の傍を流れ、環状隙間24を通って、また方向転換用キャビティ14の領域に還流することが可能であり、したがって最終的には、方向転換用キャビティ14から流体室10に到達し排出される。すなわち、搬送された冷媒流体による駆動モータ11の能動的な冷却が可能であり、この冷媒流体は、いずれにせよ、軸方向の流れ方向でスピンドルハウジング2から流出し、まさにこの流れ方向で軸方向の延長部分に、環状隙間24を通って流れ込み、モータハウジング、より正確に言えば駆動モータ11に到達する。この能動的な冷却は、モータの運転にとって、より正確に言えばモータ性能及び効率を回復させるためには、極めて有用である。
【0033】
駆動モータ11は、ここでは単に典型例として示されている。駆動モータ11は、例えば金属又はプラスチックから成るモータハウジングを備える。モータハウジングは、駆動モータをそういうものとしてカプセル化し、そのモータハウジングの一部が、ハウジング壁15である。ハウジング壁15は、ほぼドーム状に窪んで構成されて、方向転換用キャビティ14を形成している。ここでこの凹部の底部に、支持要素25が形成されていてもよい。支持要素25は、スピンドルハウジング2に対して軸方向に延びており、支持要素25に、両方の走行スピンドル4が軸方向に支えられている。別の側では、フェザーキー8を介して支持が提供されている。駆動スピンドルは、同じくフェザーキー8に支持されているが、駆動シャフト12にも支持されている。
【0034】
駆動モータ11の内部において、冷却が必要な場合、冷媒を搬送するための対応する冷却経路が形成され得る。冷媒流体が板又は同様のものに沿って流れ、その背面に、対応する電子部品が配置されていることも想定可能である。先に説明及び図示したように、回転子/固定子構成を通って流れることも想定可能である。これは、駆動モータ11を通って流体を誘導することが、必要に応じてかつ冷却要件に応じて行われることを意味している。
【0035】
図1には、流体の流れを示す対応する流れ矢印が記入されている。流体は、右から、吸引側の入口接続部6を介して流入し、この面において軸方向に開口したスピンドルハウジング2の中の、駆動モータ11によって回転するスピンドルパッケージに到達する。矢印によって示されるように、流体は、軸方向にスピンドルパッケージを通って移動され、加圧側でも軸方向に開口したスピンドルハウジング2の出口開口部に流入する。この流体の大部分は、方向転換した矢印によって示されるように、径方向外側に方向転換して流体室10の中に達する。流体室10において、流体は、対応する安定化圧力をスピンドルハウジング2上に形成する。ここから、流体は出口接続部9に到達し、排出される。流れ矢印によって示されるような流体の別の部分は、環状隙間24を通って駆動モータ11の中に達し、その中を循環して再び環状隙間24を通って還流する。この流体部分も、最終的には流体室10の中に到達し、排出される。
【0036】
図2は、本発明に係るスクリュースピンドルポンプ1の第2の実施形態を、原理図に示す図である。この構成は、最終的には、
図1に示される構成と同一であり、基本的な機能も同一である。ここで異なる点は、駆動モータ11と外側ハウジング5との間に、板状の中間部材26が設けられている点である。ここで、3つの全ての部品、すなわち、外側ハウジング5、中間部材26、及び、駆動モータ11、より正確に言えばモータハウジングは、共通の固定手段を介して軸方向に互いに接続されている。この構成では、中間部材26がハウジング壁15を形成する。ハウジング壁15は、外側ハウジング5をこの面において軸方向に閉鎖する者であり、ハウジング壁15には、方向転換用キャビティ14が形成されている。この中間部材26、より正確に言えばそのハウジング壁15は、ここでも対応する孔23を備えているので、ここでも、駆動スピンドル12と孔の内壁との間に環状溝24が形成される。環状溝24を通って、ここでもスピンドルハウジング2から軸方向に流れる流体が、モータハウジング、より正確に言えば駆動モータ11の内部に到達し、そこで、冷却のために循環して、また再び還流することが可能である。流体は最終的に、それ以外の、通常は方向転換用キャビティ14を介して戻るように搬送される流体と共に流体室10に到達し、その後そこから、出口接続部9を介して流出する。
【0037】
これは、
図1に係る構成とは異なり、中間部材26が、いわばサンドイッチ状に外側ハウジング5と駆動モータ11との間に接続されていることを意味している。ここで、外側ハウジング終端部が、この中間部材26によって形成されている。したがって、上述のように外側ハウジング終端部が中間部材26によって形成されているので、駆動モータ11は、中間部材26の側において、必要に応じて、開口して実施されていてもよい。したがってここで、環状隙間24の形成は、モータハウジングの傍又は内部ではなく、中間部材26においてのみ実現される。
【0038】
中間部材26の方向転換用キャビティ14の構成は、
図1に係る実施形態の方向転換用キャビティ14と同一であり得る。ここでも、方向転換用キャビティ14は、例えば両方の支持要素25が形成された、好ましくは鍋形の凹部として実施されている。スピンドルハウジング2の場合と同じように、中間部材26も、外側ハウジング5の場合と同様に、プラスチックの部材であり得る。
【0039】
最後に、
図3は、スピンドルハウジング2とその中に収容された駆動スピンドル3と両方の走行スピンドル4とを備える、本発明に係るスクリュースピンドルポンプ1の第3の実施形態の原理図である。スピンドルハウジング2は、ここでも、外側ハウジング5内に収容されている。しかしながら、外側ハウジングは、ここでは2つの部材から構成されている。そのうちの1つは、ほぼ中空円筒形のベース部27であり、吸引側において軸方向に蓋部材28によって閉鎖される。蓋部材28には、一方では入口接続部6が、他方では出口接続部9が設けられている。この蓋部材28は、ベース部27の上に設置されており、これと径方向において噛み合っている。ここで、この領域には、詳細には図示しない対応する密封手段が設けられている。
【0040】
それ以外では、本発明のこの構成にも、ハウジング壁15を形成する中間部材26が設けられている。ハウジング壁15には、ここでも方向転換用キャビティ14が形成されている。ここでも典型例としてのみ示される駆動モータ11は、その駆動シャフト12と、ハウジング壁15の孔23を通して噛み合っている。そのため、ここでも環状隙間24が形成されている。環状隙間24によって、流体が軸方向にスピンドルハウジング2から駆動モータ11に流入すると共にそこから還流する流れが、冷却のために実現され得る。ここでも、スピンドルハウジング2の周りに圧力被覆を形成する対応する流体室10が設けられている。流体室10は、一方ではスピンドルハウジング2の流体排出部と連通し、他方では出口接続部9と連通する。ここでは原理だけを示したスクリュースピンドルポンプ1の基本的な機能は、上述の実施形態に相当するものであり、異なる点は、外側ハウジング5が、2つの部材から構成された外側ハウジングとして構成されている点だけである。