(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】バイオマス熱水処理用反応器
(51)【国際特許分類】
C02F 11/08 20060101AFI20241029BHJP
C10L 5/44 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C02F11/08 ZAB
C10L5/44
(21)【出願番号】P 2022509657
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2020073342
(87)【国際公開番号】W WO2021032842
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-17
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504346525
【氏名又は名称】ネーデルランツェ・オルガニザーティ・フォール・トゥーヘパストナトゥールウェテンシャッペレイク・オンダーズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル メイデン, クリスティアーン マルティヌス
(72)【発明者】
【氏名】ペルス, ヤン レメルト
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-253861(JP,A)
【文献】特開2010-115633(JP,A)
【文献】特開2002-355696(JP,A)
【文献】特開2010-029862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0016938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00-11/20
C10L 5/00- 7/04
C10L 9/00-11/08
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱水反応器において、
(31)反応器内部(32)の頂部に位置する水性混合物を受け入れるための入口
(31)、
(32)管状の反応器内部
(32)であって、1-45°の範囲内の角度で傾斜している反応器内部
(32)、
(33)
前記入口(31)の下流に置かれた、前記水性混合物を所定の温度に加熱する手段を備える、前記反応器内部(32)の第1のゾーン
(33)、
(34)
前記第1のゾーン(33)の下流に置かれた、前記水性混合物を前記所定の温度に維持するための前記反応器内部(32)の第2のゾーン
(34)、
(35)
前記第2のゾーン(34)の下流に置かれた、前記水性混合物を冷却するための前記反応器内部(32)の第3のゾーン
(35)、
(38)前記反応器内部(32)の底部に位置する水熱処理された混合水を排出する出口
(38)、
(43)前記反応器内部(32)の前記頂部に位置する、ガスを排出する出口
(43)、
を備える、反応器。
【請求項2】
前記反応器内部の傾斜角は2-15°の範囲である、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記第1のゾーン
(33)の前記頂部に配置された膨張容器をさらに備え、前記出口(43)が前記膨張容器内に一体化されている、請求項1又は2に記載の反応器。
【請求項4】
前記膨張容器は、前記膨張容器内部の
前記水性混合物の液体レベルを決定するセンサを備える、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記出口(38)は、作動中に開閉可能な弁を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項6】
前記反応器は、前記第1のゾーン(33)の前記水性混合物を加熱し、前記第3のゾーン(35)の前記水性混合物を冷却する熱交換器を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項7】
前記反応器は、160-320℃の範囲の所定の温度および10-50バールの範囲の圧力で作動することができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項8】
前記反応器は、175-230℃の範囲の所定の温度および15-30バールの範囲の圧力で作動することができる、請求項1~7のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項9】
水熱処理設備において、
(1)処理される水性混合物を保持するためのバッファタンク、
(2)前記バッファタンクから前記反応器に混合水を圧送するポンプ、
(3)請求項
1-2、4-7のいずれか一項に記載の反応器、
(4)前記反応器の前記頂部に位置する膨張容器であって、前記出口(43)が前記膨張容器に一体化されている膨張容器、
を備える、
水熱処理設備。
【請求項10】
出口(38)を介して排出された液体排出物を脱水するための脱水装置を更に備える、請求項
9に記載の水熱処理設備。
【請求項11】
前記水性混合物が前記反応器にかけられる前または脱水装置(7)で脱水された後に前記水性混合物を消化するためのダイジェスタ(6)を更に備える、請求項10に記載の水熱処理設備。
【請求項12】
請求項
1~8のいずれか一項に記載の反応器において、または請求項
9~11のいずれか一項に記載の設備において、水性混合物を水熱処理するための方法であって、
(a)入口(31)を介して水性混合物を前記反応器内部(32)に送るステップ、
(b)水性混合物を水熱処理することにより、第1のゾーン(33)で前記水性混合物を所定の温度に加熱し、前記第2のゾーン(34)で前記水性混合物を所定の温度に保ち、前記第3のゾーン(35)で前記水性混合物を冷却しながら、前記反応器内部(32)を通して前記水性混合物を下方向に流すステップ、
(c)出口(38)を介して水熱処理された混合物を排出するステップ、
(d)出口(43)を介してガスを排出するステップ、
を含む、方法。
【請求項13】
前記水性混合物は水溶性バイオマスであり、汚泥、肥料、浚渫廃棄物、食品製造廃棄物および庭園廃棄物から選択される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
ガス出口(43)を介して排出された前記ガスは、さらに、H
2Sおよび
COSおよびCS
2
を捕捉する方法によって処理される、請求項
12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応器はサイクルで作動し、各サイクルは、ステップ(a)の間に前記水性混合物を連続的に供給しながら、
(1)前記出口
(38)が閉鎖され、水熱処理された混合物が排出されず、前記反応器内部の圧力が初期圧から終圧に上昇する第1工程、
(2)前記出口
(38)が開放され、水熱処理された混合物が排出され、前記反応器内部の圧力が終圧から初期圧まで低下する第2工程、
を含む、請求項
12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1工程は、サイクル持続時間の70-99%であり、前記第2工程は、残りのサイクル持続時間である、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記サイクル持続時間は、5分-2時間の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記初期圧は、10-30バールの範囲であり、前記終圧は、20-50バールの範囲であり、前記初期圧は前記終圧よりも高い、請求項
15~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、水性混合物の水熱処理のための反応器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]焙焼(Torrefaction)は、農業廃棄物などの安価な低価値バイオマスを高グレード燃料に変換する有用なプロセスである。焙焼プロセスにおいて、バイオマスは、酸素を追加することなく、中程度に高い温度、典型的には200-320℃に加熱され、その結果、残留水の大部分が除去され、バイオマスの成分が穏やかに分解されて、水蒸気、二酸化炭素および小さな有機分子を含むガス画分、いわゆる「トールガス」、ならびに圧縮可能な固体生成物が生成され、これらは固体燃料、例えば石炭代替物に加工できる。一例として、国際公開公報第2005/056723号明細書には、そのような焙焼プロセスが記載されている。当該技術分野において、熱処理の間に水が液体状態のままである加圧式の焙焼プロセスが開発されている(例えば、NL 1029909、EP2206688およびEP2206688参照)。このような熱水処理は、バイオマスの焙焼と塩の放出をもたらし、これらは機械的手段によって除去することができる。WO 2010/112230は、90℃での湿式加圧前処理と、その後の例えば190-220℃および約20バールでの炭化と、それに続く乾燥とを含むバイオマスの水熱炭化のための方法を開示している。出願人は、WO 2013/162355に記載されているように、Torwash(商標)と呼ばれる熱水焙焼処理を開発した。
【0003】
[0003]Torwashのような従来の熱水処理においては、原料ガスは大部分が液体流中に、したがって最終的に液体排出物中に溶解する。廃水処理汚泥のような廃棄物の流れを処理する場合、これらのガスは、H2Sのようなかなりの量の汚染物質を含む可能性があり、したがって、そのような硫黄含有ガスを除去するために液体排出物の下流処理を必要とする。
【0004】
[0004]本発明は、そのようなガスが液体排出物中に蓄積されるのではなく、代わりに濃縮ガス流中に蓄積され、液体排出物の下流処理の必要性を回避する水熱処理の必要性を提供する。さらに、本発明の水熱処理は、このプロセスが酸触媒であるという事実を効率的に利用し、したがって、より効率的な処理を提供する。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明者らは、水溶性バイオマス等の水性混合物を水熱処理するための反応器を開発した。本発明は、この反応器および反応器内で熱水処理プロセスを行うための方法に関する。本発明による反応器は、ガスが頂部のガス出口に流れるための開放経路が存在するように、傾斜し、頂部に入口、底部に液体出口および頂部にガス出口を有することを主な特徴とする。本発明者らは、驚くべきことに、酸性二酸化炭素が水熱処理の反応を触媒する水性混合物に効率的に溶解され、特に排出物に実質的に存在しない硫黄含有ガスの含有量に関して改良された水性流出物を提供するので、先ず反応器内で水熱処理プロセスを実施することが、その処理の有効性を改善することを見出した。
【0006】
[0006]本発明は、以下の好ましい実施形態の1つを含むことが好ましい。
・実施形態1
熱水反応器において、
(31)反応器内部(32)の頂部に位置する水性混合物を受け入れるための入口、
(32)管状の反応器内部であって、1-45°の範囲内の角度で傾斜している反応器内部、
(33)前記水性混合物を所定の温度に加熱する手段(5)を備える、前記反応器内部(32)の第1のゾーン、
(34)前記水性混合物を前記所定の温度に維持するための前記反応器内部(32)の第2のゾーン、
(35)前記水性混合物を冷却するための前記反応器内部(32)の第3のゾーン、
(38)前記反応器内部(32)の底部に位置する水熱処理された混合水を排出する出口、
(43)前記反応器内部(32)の前記頂部に位置する、ガスを排出する出口、
を備える、反応器。
・実施形態2
前記反応器内部の傾斜角は2-15°の範囲である、実施形態1に記載の反応器。
・実施形態3
前記第1のゾーン(32)の前記頂部に配置された膨張容器(4)をさらに備え、前記出口(43)が前記膨張容器(4)内に一体化されている、実施形態1又は2に記載の反応器。
・実施形態4
前記膨張容器(4)は、前記膨張容器(4)内部の前記液体レベルを決定するセンサ(44)を備える、実施形態3に記載の反応器。
・実施形態5
前記出口(38)は、作動中に開閉可能な弁を備える、実施形態1~4のいずれかに記載の反応器。
・実施形態6
前記反応器は、前記第1のゾーン(33)の前記水性混合物を加熱し、前記第3のゾーン(35)の前記水性混合物を冷却する熱交換器(5)を備える、実施形態1~5のいずれかに記載の反応器。
・実施形態7
前記反応器は、160-320℃、好ましくは175-230℃の範囲の所定の温度および10-50バール、好ましくは15-30バールの範囲の圧力で作動することができる、実施形態1~6のいずれかに記載の反応器。
・実施形態8
熱水処理設備において
(1)処理される水性混合物を保持するためのバッファタンク、
(2)前記バッファタンク(1)から前記反応器(3)に混合水を圧送するポンプ、
(3)実施形態1-7のいずれか一項に記載の反応器、
(4)前記反応器(3)の前記頂部に位置する膨張容器であって、前記出口(43)が前記膨張容器(4)に一体化されている膨張容器、
を備える、熱水処理設備。
・実施形態9
出口(38)を介して排出された液体排出物を脱水するための脱水装置(7)と、好ましくは、前記水性混合物が前記反応器(3)にかけられる前または脱水装置(7)で脱水された後に前記水性混合物を消化するための消化器(6)とを更に備える、実施形態8に記載の水熱処理設備。
・実施形態10
実施形態1~7のいずれか一項に記載の反応器において、または実施形態8又は9に記載の設備において、水性混合物を水熱処理するための方法であって、
(a)入口(31)を介して水性混合物を前記反応器内部(32)に送るステップ、
(b)水性混合物を水熱処理することにより、第1のゾーン(33)で前記水性混合物を所定の温度に加熱し、前記第2のゾーン(34)で前記水性混合物を所定の温度に保ち、前記第3のゾーン(35)で前記水性混合物を冷却しながら、前記反応器内部(32)を通して前記水性混合物を下方向に流すステップ、
(c)出口(38)を介して水熱処理された混合物を排出するステップ、
(d)出口(43)を介してガスを排出するステップ、を含む、方法。
・実施形態11
前記水性混合物は水溶性バイオマスであり、好ましくは、汚泥、肥料、浚渫廃棄物、食品製造廃棄物および庭園廃棄物から選択され、最も好ましくは、前記汚泥は廃水処理プロセスから得られる、実施形態10に記載の方法。
・実施形態12
ガス出口(43)を介して排出された前記ガスは、さらに、H2Sおよび他の硫黄化合物を捕捉する方法によって処理される、実施形態10又は11に記載の方法。
・実施形態13
前記反応器はサイクルで作動し、各サイクルは、ステップ(a)の間に前記水性混合物を連続的に供給しながら、
(1)前記出口(48)が閉鎖され、水熱処理された混合物が排出されず、前記反応器内部の圧力が初期圧から終圧に上昇する第1工程、
(2)前記出口(48)が開放され、水熱処理された混合物が排出され、前記反応器内部の圧力が終圧から初期圧まで低下する第2工程、
を含む、実施形態10に記載の方法。
・実施形態14
前記第1工程は、前記サイクル持続時間の70-99%であり、前記第2工程は、残りのサイクル持続時間であり、好ましくは、前記サイクル持続時間は、5分-2時間の範囲である、実施形態13に記載の方法。
・実施形態15
前記初期圧は、10-30バールの範囲であり、前記終圧は、20-50バールの範囲であり、前記初期圧は前記終圧よりも高く、好ましくは少なくとも5バール高い、実施形態13又は14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【詳細な説明】
【0008】
[0007]本発明は、水熱処理工程を行う反応器及びその水熱処理工程を行う方法に関する。
【反応器】
【0009】
[0008]第1の態様において、本発明は、水熱処理用の反応器であって、水熱反応器とも呼ばれる反応器に関する。
反応器の内部で、水性混合物、典型的には水溶性バイオマスを水熱処理することができる。
【0010】
[0009]本発明に係る反応器は、
(31)反応器内部(32)の頂部に位置する水性混合物を受け入れるための入口、
(32)1-45°の範囲の平均角度で傾斜した管状の反応器内部、
(33)水性混合物を所定の温度に加熱する手段(5)を含む反応器内部(32)の第1のゾーン、
(34)水性混合物を所定の温度に保つための反応器内部(32)の第2のゾーン、
(35)水性混合物を冷却するための反応器内部(32)の第3のゾーン、
(38)反応器内部(32)の底部に位置する水熱処理された水性混合物を排出するための排出口、
(43)反応器内部(32)の頂部に位置する、ガスを排出するための出口、
を備える。
【0011】
[0010]以下、本発明による反応器を更に説明し、図に示すが、反応器の主要な要素を示す。本発明に係る反応器は、
(31)水性混合物を受ける入口、(32)1-45°の範囲で傾斜した管状の反応器内部、(33)水性混合物を加熱する手段(5)を備える反応器内部(32)の第1のゾーン、(34)水性混合物を所定の温度に保つ反応器内部(32)の第2のゾーン、(35)水性混合物を冷却する反応器内部(32)の第3のゾーン、(38)水熱処理された水性混合物を排出する出口、(43)ガスを排出する出口を備え、入口(31)と出口(43)は反応器の頂部部に位置し、出口(38)は反応器の底部に位置する。
【0012】
[0011]本発明による反応器は、典型的には管の形態をした細長い内部(32)を有し、この内部は傾斜面に位置する。従って、反応器内部の一方の端部は、反応器内部の他方の端部より上方に位置する。入口(31)は、反応器内部(32)の頂部、即ち、最も高い位置にある端部に位置する。出口(38)は、反応器の底部、即ち、最も低い位置にある端部に位置する。このようにして、処理される水性混合物は反応器の頂端部で送られ、処理された水性排出物は底部から排出される。
【0013】
[0012]入口(31)は、処理される水性混合物を受け入れるためのものである。水性混合物が反応器内部に受け入れられると、それは管を通って出口(38)に向かって下方に流れる。管状反応器が位置する傾斜角は、反応器の全長にわたって一定であることが好ましいが、本発明に係る反応器の動作を損なうことなく、平均傾斜角からある程度逸脱することが可能である。たとえば、10°までの偏差、好ましくは、5°までの偏差、より好ましくは、2°までの偏差、最も好ましくは、傾斜角は反応器の全長にわたって一定である。ある程度の偏差は許容されるが、その角度は、典型的には、水性混合物が水平または上方に流れるようなものであってはならない。反応器内部の全長にわたって、僅かな下方傾斜が存在すべきである。
【0014】
[0013]反応器の平均傾斜角は、1-45°、好ましくは2-15°である。発明者らは、このような傾斜角度であれば、反応器内に形成された気泡が効率よく頂部に向かって上方に移動し、水性混合物が問題なく下方に流れることができることを見出した。角度がより大きい場合、ガスは瞬時に反応器の頂部に流れ、反応器内の気相と液相との間の接触を不能にする。化合物の交換を可能にするためには、2つの相の間に十分な接触が必要である。より小さい角度では、反応器の内部の頂部へのガス流ができないことが分かった。傾斜角は、気泡の正味の上方移動があるように、水性混合物が下方に移動するよりも気泡がゆっくりと上方に移動しないように選択されることが好ましい。平均傾斜角が5-10°の範囲で最適な結果が得られた。好ましい実施形態において、ここで定義される平均傾斜角は、傾斜角が反応器の全長にわたって実質的に一定であることを示す傾斜角である。
【0015】
[0014]反応器内部が「管状」であることは、反応器の内壁が上方へのガスの流れを妨げる可能性のある、いかなる障害物もないことを示す。しかしながら、発明者らは、バッフルの存在が反応器の改良された有効性を与えることを見出した。理論に縛られることなく、バッフルは、壁から全水性混合物への効率的な熱伝達が達成されるように、液体流の適切な混合を確実にすると考えられる。バッフルの存在は、第1のゾーンおよび第3のゾーンに配置された場合に特に有効であった。従って、一実施形態において、反応器内部は、好ましくは少なくとも第1のゾーンおよび/または第3のゾーン、最も好ましくは少なくとも第1および第3のゾーンにバッフルを含む。加熱と冷却の間、バッフルの存在は、特に熱伝達に関して、水熱処理の有効性を改善した。反応器内部がバッフルを含む場合、ガス流は障害物がないままであることが好ましい。したがって、気泡は反応器の上部壁に沿って、その直下を移動し、頂部に蓄積する。上部壁に沿って、この経路を遮断し得る任意のバッフルは、バッフルの上部側に孔を含み、気泡の自由な通過を可能にすることが好ましい。従って、本発明者らは、熱水処理の有効性を増大させると同時に、本発明の実施に不可欠なガス流を危険にさらすことなく、かつ熱水処理の有効性を再び改善するためにバッフルを使用する方法を見出した。
【0016】
[0015]管は、直線的なように、反応器の頂部から反応器の底部まで下向きの任意の軌跡を有してもよいし、ジグザグまたは螺旋形のように屈曲または転回を含んでもよい。傾斜角が尊重される限り、軌道は任意の形をとることができる。また、管状反応器内部の長さは、その直径の10-1000倍、好ましくは100-500倍、最も好ましくは500-250倍である。例示的な反応器内部は、長さが、1-2000メートル、好ましくは、5-100メートル、直径が、1cm-5メートル、好ましくは、5cm-50センチメートルであってよい。長さが1kmを超えるような長い反応器は、例えば、Lysothermに由来し、当該技術分野において公知であり、反応器内部への熱伝達とホットスポットの回避において非常に効率的である。
【0017】
[0016]反応器内部は、3つの連続したゾーンに分割されている。入口(31)の直接下流の第1のゾーン(33)では、水性混合物が所定の温度に加熱される。第1のゾーン(33)は、水性混合物を所定の温度まで加熱することができる加熱手段(5)を含む。これらの加熱手段(5)は、当該技術分野において適切であると知られている任意の形態をとることができる。好ましい実施形態において、加熱手段(5)は熱交換器の形態をとる。
【0018】
[0017]第2のゾーン(34)は、第1のゾーンの直接下流に置かれる。第2のゾーンでは、第1のゾーンで所定の温度に加熱された水性混合物が所定の温度に維持される。一実施形態において、第2のゾーン(34)は、水性混合物を所定の温度に維持する手段を備える。そのような手段は、上昇した所定の温度を維持するのに十分な熱を水性混合物に提供することができる加熱手段の形態、または水性混合物の実質的な冷却を妨げる断熱の形態をとることができる。好ましくは、第2のゾーン(34)に低容量加熱手段が設置される。
【0019】
[0018]第3のゾーン(35)は、第2のゾーンの直接下流に置かれる。第3のゾーン(35)では、反応混合物が所定の温度から冷却される。能動的冷却手段が設置されてもよいが、それらは必要とされず、混合物は受動的にゆっくりと冷却可能である。好ましい実施形態において、第3のゾーンにおける水性混合物の冷却から解放される熱は、第1のゾーンにおける水性混合物を加熱するために使用される。従って、好ましい実施形態において、本発明の反応器は、第1のゾーン(33)の水性混合物を加熱し、第3のゾーン(35)の水性混合物を冷却するための熱交換器(5)を含む。ここで、第1のゾーンおよび第3のゾーンは熱的に接触している。反応器の構成の観点から、熱は、好ましくは熱油のような媒体を介して、第3のゾーンから第1のゾーンに伝達される。
【0020】
[0019]第3のゾーンの底部には、出口(38)が設けられている。反応器は、出口(38)から連続的に排出して作動可能である。しかしながら、出口(38)は、作動中に開閉可能な弁を備えていることが好ましい。水性混合物が反応器に連続的に送られ、出口(38)弁が閉鎖位置にあるとき、圧力が反応器内に蓄積する。出口(38)弁が開放されると、圧力が解放され、水性排出物が反応器から急速に排出される。このようにして、送りが連続的であり、排出がパルス化される(出口(38)弁の閉鎖位置と開放位置が交互になる)排出サイクルを実施することができる。以下のプロセスセクションにおいてより詳細に説明されるように、これは、反応器内部の熱および質量の伝達に対して正の効果を有する。
【0021】
[0020]熱水処理反応器としては、高温高圧で作動できるはずである。所定の温度とは、水熱処理が行われる反応温度である。所定の温度は、160-320℃であることが好ましく、175-250℃であることがより好ましく、180-210℃であることがより好ましい。反応器内部の圧力は、典型的には10-50バールの範囲、好ましくは15-30バールの範囲である。これらの条件は、処理された液体排出物の脱水性に関して、水性混合物の処理に最適であることが分かった。それにもかかわらず、圧力が反応器の作動温度における蒸気の分圧よりも高い限り、正確な圧力値は本発明にとって重要ではない。したがって、沸騰水のために気泡が形成されることはない。
【0022】
[0021]反応器は、水熱処理プロセス中に形成されるガスを排出する為の出口(43)を更に備える。ガスは、反応管の全長にわたって形成されるが、第3のゾーンの底部では、ガスを形成するには温度が低すぎる場合がある。管状反応器内部の傾斜した性質のために、ガスは反応器を通って頂部部に移動する。そこには、反応器内部のガスの望ましくない蓄積を防ぐために、反応器からガスを排出するための出口(43)が設けられている。
【0023】
[0022]好ましい実施形態において、反応器は反応器内部の頂部に膨張容器(4)を含む。ここで、出口(43)は膨張容器(4)に一体化されている。ガスは、膨張容器内に蓄積し、膨張容器は、膨張容器(4)内部の液体レベルを決定するためのセンサ(44)を備えていることが好ましい。ガスが蓄積するにつれて、反応器内の圧力は増加し、膨張容器内の液体レベルは上昇する。出口(43)を介したガスの解放は、膨張容器内の液体レベルを監視することによって制御することができる。解放弁(43)の作動を制御するために、膨張容器は、液面を決定するためのセンサ(44)および/またはマノメータ(45)を備えることが好ましい。
【0024】
[0023]膨張容器は、水平位置または水平位置に近い位置に突出する2つの脚部を有するティーを介して反応器の管状内部に接続されてもよく、これらの脚部は、管状内部の一部であり、膨張容器が接続される上方に突出する脚部である。
【0025】
[0024]反応器は、典型的には、水性混合物を反応器の入口(31)に圧送するためのポンプ(2)を含む。技術的に知られた任意のポンプ、例えば、変位ポンプを使用することができる。
【0026】
[0025]作動中、水性混合物は、処理中に解放されるガスと共に反応器中に存在する。これらのガスは反応器内部で気泡を形成する。気泡の組成は、水性混合物の正確な組成に依存して変化し得るが、気泡は、典型的には、主にCO2と、少量の他のガス、例えばH2Sとからなる。気泡は管状反応器内部(32)の頂部に上昇し、傾斜のために、水性混合物の流れの方向に対して逆流モードで上方に流れる。最終的に、ガスは頂部に蓄積し、典型的には膨張容器(4)に流入する。
【0027】
[0026]膨張容器(4)のような反応器の頂部は、部分的に水性混合物で満たされ、部分的に経時的に蓄積されたガスで満たされる。好ましくは、レベルインジケータ(41)およびマノメータ(42)が存在する。反応器内部の頂部、典型的には膨張容器の頂部には、ガスの解放を可能にする弁(43)が置かれている。ガスは、膨張容器内の水性混合物のレベルが低すぎるときに解放されることがある。反応器の運転開始の間、反応器内部の頂部のガスは主に空気であるが、時間の経過と共に反応器内で形成されるガスによって置換される。
【0028】
[0027]水性混合物は、加圧反応ゾーンに送られる。解放弁(38)が閉じられている場合、システム内の圧力は徐々に増加する。膨張容器(4)内のガスは圧縮され、水性混合物のレベルが上昇する。所定の最大圧力に達したとき、反応器の端部の解放弁(38)を開くことができる。処理された水性混合物が排出される結果、水性混合物のレベルが低下し、ガスが膨張し、圧力が低下する。所定の最低圧力に達したとき、解放弁(38)を閉鎖して排出サイクルを繰り返すことができる。解放弁(38)が(即ち、最小圧力で)再び閉鎖した後、水性混合物のレベルがある閾値未満である場合、ガスは弁(43)を介して排出されてもよい。典型的には、反応器が安全境界内で作動される限り、各排出サイクルの後にガスを解放することは必要とされない。
【0029】
[0028]反応器内で形成されて弁(43)から解放されるガスは、主にCO2であるが、典型的には数パーセントのH2Sを含有する。少量のCOおよび他のガスが存在してもよい。正確な組成は反応器内の圧力と局所温度に依存する。圧力が増大するとき、即ち弁(38)が閉鎖されるとき、これらのガスは凝縮し、部分的に水性混合物に溶解する。圧力が解放されるとき、すなわち弁(38)が開放されるとき、CO2、H2SおよびH2Oのような溶解ガスが溶液から解放され、新しい気泡を形成する。気泡は反応器内の多くの場所で同時に形成され、上方に移動する。気泡の移動は水性混合物を撹はんし、反応器内部の熱水処理中の熱と質量輸送を改善する。
【0030】
[0029]気泡は、第2のゾーン(34)から上方に流れるので、第1のゾーン(33)に存在する。第2のゾーン(34)、おそらくある程度は第1および第3のゾーン(33,35)では、水性混合物の熱水分解の結果として気泡が形成され、これは典型的にはCO2およびH2Sを生じさせる。これらのガスは、主に弁(38)が閉鎖されている間に形成され、圧力が上昇するので、大部分は溶解したままである。圧力が解放されると、溶液は過飽和状態になり、気泡が形成される。H2Oの分圧は局所温度での水の蒸気圧に等しいので、気体のH2Oも典型的には気泡内部に存在する。従って、反応器(3)のどこでも、気泡は、局所温度に対応する部分的な水蒸気圧を有する。気泡内部のガスの残りは、典型的には、CO2、H2Sおよび可能な少量(traces)の他のガスである。反応器内部の頂部、即ち、入口(31)付近および膨張容器(4)内では、周囲温度において、ガス中の水蒸気圧は低い(約0.1バール)。CO2圧は混合水溶液の温度とpHによって決まる。温度が最も高い第2のゾーン(34)では、水の蒸気圧は典型的には約15バールである。例えば、25バールの全圧では、他のガス、主にCO2は、10バールまでの量となり得る。全圧を急速に(たとえば、20バールまで)下げると、この平衡はずれる。既存の気泡は膨張するが、溶解したCO2は新しい気泡を形成する。水の蒸発により、新しい気泡は、多かれ少なかれ一様な温度で全圧力の変化に応答するCO2、H2Oなどを含有する。気泡は、反応器(32)の内部を上方に流れる。第2のゾーン(34)から第1のゾーン(33)に流れる気泡は、より冷たい環境に移動する。反応器の頂部では、温度は、水蒸気圧がより低い周囲温度である。第1のゾーン(33)を通って上方に移動する間に、気泡内の水は凝縮し、H2Oの分圧が低下する。全圧が同一のままであるため、CO2(およびその他のガス)の体積分率が増加する。その結果、気泡は収縮するが、消えない。同時に気泡の温度は徐々に低下するが、CO2の水への溶解度は増加する。その結果、溶液中に移行するCO2ガスの部分が増加する。その結果、さらに多くの水が凝縮する。入口に向かって流れ、冷却されると、気泡は小さくなる。しかしながら、全てのガスが水の凝縮と二酸化炭素2の溶解の結果として消滅するわけではない。主にCO2で構成される小さな気泡が膨張容器(23)に達し、そこでガスが蓄積する。
【0031】
[0030]反応器では、主に第1のゾーン(33)において、CO2が気相から(上方に移動する気泡の中で)水性混合物の水性混合物中に溶解するが、これは、より低い温度での分圧の増加と水中でのCO2の溶解度の増加との複合効果に起因する。流入する水性混合物の溶解CO2含有量が増加する。第1のゾーンの加熱による温度の上昇は、CO2の飽和または過飽和をもたらす。圧力の上昇はCO2の溶解を維持するのに役立つ。しかしながら、解放弁(38)を開放すると圧力低下が生じ、多くの新たなCO2気泡が発生する。このようにして、気相と水性混合物との間の良好な相互作用およびCO2との飽和が保証される。溶解したCO2は水性混合物のpHを低下させる。溶解したCO2に由来するH+イオンは、水性混合物中に存在し得るリン酸塩のような塩によって緩衝され得るが、より多くのCO2が溶解され、最終的には、溶存CO2と泡中のガス状CO2との間に確立される平衡の結果であるpHをもたらす。Torwashのような熱水処理の分解反応は酸触媒であるので、本発明に係る設計により、反応器の効率が改善される。反応は、第2のゾーン(34)の反応温度よりも低い温度で始まり、作動温度(第2のゾーン(34)の所定の温度)に到達する前に既に起こり、CO2を発生する。作動温度では酸触媒反応はもはや必要とされないかもしれないが、溶解したCO2による酸性化は、依然として反応速度を増加させる。その結果、反応器をはるかに小さくすることができ、滞留時間を短くすることができ、および/または作動温度を下げることができる。
【0032】
[0031]CO2およびH2Sの溶解度は、最高温度、すなわち第2のゾーン(34)の設定点温度で最も低い。CO2およびH2Sは、上方に流れる気泡によって処理される水性混合物から連続的に除去され、CO2およびH2Sの分圧は比較的低い(全圧から水蒸気圧を引いたもの)ので、等温ゾーンの端部(第2のゾーン(34)の底部)には、CO2およびH2Sはほとんど残っていない。溶解濃度は低い。第3のゾーン(35)で冷却した後、水性混合物はCO2およびH2Sで飽和されていない。解放弁(38)では、圧力を25バールから1バールに下げてもガスは形成されない。反応器から排出される処理された水性混合物は、ほとんどCO2とH2Sを含有しない。反応器において、硫黄含有ガスは、それが第3のゾーン(35)に入り、膨張容器内に蓄積する前に、水性混合物から効果的に除去される。また、本発明に従って処理された水性混合物の臭いは、それが殺菌され、H2Sを放出する細菌活性がないので、従来の手段によって水熱処理された水性混合物よりもはるかに良好である。膨張容器(4)から出口(43)を介して解放されたガスは、悪臭を有する。全ての硫黄含有ガスは、この小さな流れの中に蓄積されており、これは、技術的に知られているように後処理することができる。
【0033】
[0032]本発明の反応器は、従来の水熱処理プロセスよりも優れた水熱処理プロセスを提供する。管状内部を含む特定の反応器設計は、顕著な改良を提供する。本発明者らは、酸性環境を作り出すために熱水処理プロセスによって形成されるガスを利用するが、反応器内部でのガスの捕捉を回避する方法を見出した。実際、ガスは液相に完全に溶解するのに十分な接触時間を有し、それによって酸性環境が形成されるが、同時にガスは反応器の頂部に蓄積され、そこで排出される。これは更に、気相が上に移動しながら液相が下に移動するときに、ガスが水性排出物から完全に除去されることを確実にする。ガス画分は、典型的には二酸化炭素を含有し、さらに硫化水素、COSおよびCS2などの硫黄含有ガスを含有してもよい。
【0034】
[0033]本発明の第2の態様は、(1)処理される水性混合物を保持するためのバッファタンク、(2)バッファタンク(1)から前記反応器(3)に混合水を圧送するポンプ、(3)本発明による反応器、(4)反応器(3)の頂部に位置する膨張容器であって、出口(43)が膨張容器に一体化された膨張容器、を備えた水熱処理設備である。そのような熱水処理設備は、独立した設備であってもよいし、または廃水処理プラントのようなより大きな設備の一部であってもよく、ここで、本発明による熱水処理設備は、汚泥処理ラインにおいて実施することができる。
【0035】
[0034]水性混合物は、特に廃水処理プラントに由来する場合、出口(38)を介して排出される液体排出物を脱水するための脱水ステップ(7)にかけることができる。このような脱水ステップは、しばしば廃水処理設備の状況で行われ、ここで、液体排出物(例えば、濃縮水またはろ過水)は廃水処理に供され、固体排出物(例えば、ケーキ)は焼却装置に送られてもよい。従って、設備は、反応器の下流に置かれた脱水装置を含むことが好ましい。この実施形態に関連して、脱水装置は典型的には遠心分離器であるが、ベルトプレスおよび重力ベルトのような他の脱水装置も好適である。
【0036】
[0035]この設備は更に好ましくは、水性混合物が反応器(3)にかけられる前、または脱水装置(7)で脱水された後に、それを消化するためにダイジェスタ(6)を圧縮する。ダイジェスタは、反応器(3)の下流に置かれることが好ましい。このような消化ステップによりバイオガスが得られ、バイオSNGに変換される。ダイジェスタの水性排出物は、反応器に供されるか、または廃水処理ステップにリサイクルされる。
【0037】
[0036]特に好ましい実施形態において、水熱処理設備は、汚泥取扱いラインであり、水熱処理工程に供された水性排出物を脱水するための脱水装置と、脱水装置から生じる固体流を消化するためのダイジェスタとを更に備え、この脱水装置は、水熱処理によって得られた固体の大部分と、固体含有量が大幅に低減された液体排出物とを含む固体流を提供する。このような汚泥取扱いラインにおいて、脱水装置から発生する液体排出物は、典型的には、残留汚染物質を除去するために廃水処理プロセスに再導入される。
【0038】
[0037]本発明による反応器は、特に脱水装置と組み合わせて、そのような処理設備に実施するのに理想的に適している。本発明者らは、反応器の傾斜した性質が熱水処理プロセスの前例のない結果を提供することを見出した。これらの結果の一つは、廃水の最適な脱水性である。したがって、水性排出物の脱水は、従来の水熱処理排出物の脱水と比較して、より大きな効果および改善された結果(固体流中のより大きな固形分および液体流中のより低い固形分)で行われる。
【方法】
【0039】
[0038]第3の態様において、本発明は、水性混合物を水熱処理するための方法に関する。本発明による方法は、本発明の反応器中で行われる。本発明による製造方法は、
(a)入口(31)を介して水性混合物を反応器内部(32)に送るステップ、
(b)水性混合物を水熱処理することにより、第1のゾーン(33)で水性混合物を所定の温度に加熱し、第2のゾーン(34)で水性混合物を所定の温度に保ち、第3のゾーン(35)で水性混合物を冷却しながら、反応器内部(32)を通して水性混合物を下方向に流すステップ、
(c)出口(38)を介して水熱処理された混合物を排出するステップ、
(d)出口(43)を介してガスを排出するステップ、
を含む。
【0040】
[0039]ステップ(a)において、水性混合物は、入口(31)を介して反応器の内部に送られる。水熱処理するのに適した任意のタイプの水性混合物を本発明の方法に供することができる。水性混合物は有機物質を含有するはずであり、その中の炭素原子の一部は二酸化炭素に変換される。好ましくは、有機材料の含有量は、0.1-15重量%、より好ましくは、1-10重量%、最も好ましくは、3-8重量%である。本発明の方法は、それに対処することができるが、無機固体の量は、例えば5重量%未満またはさらに1重量%未満など、可能な限り低く維持することが好ましい。無機固体は、水熱処理の反応には実質的に寄与しない。好ましい実施形態において、水性混合物は、好ましくは、汚泥、厩肥、浚渫廃棄物、食品製造廃棄物および庭園廃棄物から選択される水性バイオマスまたは水気の多いバイオマスであり、最も好ましくは、汚泥は廃水処理プロセスから得られる。従って、本発明による方法は、廃水処理設備における汚泥取扱いラインの一部として理想的に適している。
【0041】
[0040]この方法は、水性混合物の任意の固体充填で作動可能である。典型的には、水性混合物の全固形分は1-15重量%、好ましくは、3-8重量%である。水性混合物は、典型的には、タンパク質(例えば、下水汚泥中の硫黄含有臭気化合物の前駆体であるメチオニンに富むタンパク質)、炭水化物(例えば、セルロース)および脂肪(例えば、グリース)などの有機化合物を含有する。
【0042】
[0041]本発明による方法は、水熱処理中に形成される硫黄含有ガスを扱うのに特に適している。なぜなら、これらのガスは頂部に蓄積され、出口(43)を介して別個の濃縮された流れとして排出され、出口(38)を介して排出される液体排出物には至らないからである。したがって、本発明による方法は、タンパク質含有水性混合物および硫酸塩含有水性混合物に対処するのに理想的に適している。なぜなら、それらは、典型的には、水熱処理の間に硫黄含有ガスを生じるからである。従って、一実施形態において、水性混合物の硫黄含有量は、水性混合物1kg当たり1-1000mg、好ましくは、10-250mg、より好ましくは、50-100mgである。あるいは、硫黄含有量は、水性混合物の乾燥重量に基づいて、好ましくは、2000-30000ppmの範囲、より好ましくは、5000-20000ppmの範囲、より好ましくは、8000-12000ppmの範囲である。
【0043】
[0042]ステップ(b)において、水性混合物は、反応器内部(32)を下方に流れ、その間に、第1のゾーン(33)、第2のゾーン(34)および第3のゾーン(35)を連続的に通過する。このステップにおいて、水性混合物を水熱処理し、水熱処理された混合物を出口(38)から排出する。
【0044】
[0043]水性混合物が第1のゾーンを通過するとき、それは所定の温度に加熱される。所定の温度とは、水熱処理が行われる反応温度である。所定の温度は、160-320℃であることが好ましく、175-250℃であることがより好ましく、180-210℃であることがより好ましい。水性混合物が第2のゾーンを通過するとき、それは所定の温度に保たれる。ここでは、いくつかの(局所的な)温度変化が許容される。好ましくは、温度は、所定の温度の25℃以内、好ましくは10℃以内、さらには所定の温度の2℃以内に維持される。これは、特に、所定の温度を下回る温度変動に関連する。所定の温度を超える変動は、プロセスの全体的な有効性に対して有害ではない。好ましい実施形態において、炭化は回避される。好ましくは、温度は260℃を超えず、より好ましくは、230℃を超えない。なぜなら、そのような温度では、コークスが反応器内部を汚すことがあるからである。第3のゾーンにおいて、水性混合物は、所定の温度からより低い温度まで冷却される。第3のゾーン(35)の底部の端部温度は、10-60℃、好ましくは、20-55℃、最も好ましくは、40-50℃の範囲とすることができる。このような最終温度は、好ましくは、脱水ステップの後に水性排出物を円滑に追加することができ、さらなる加熱または冷却を必要とすることなく、消化ステップを行うのに適切な温度でダイジェスタに追加することができるので、本発明による方法に理想的に適している。
【0045】
[0044]反応器内の圧力は、典型的には10-50バールの範囲、好ましくは、15-30バールの範囲である。これらの条件は、処理された廃液の脱水性に関して、水性混合物の処理に最適であることが分かった。それにもかかわらず、圧力が反応器の作動温度における蒸気の分圧よりも高い限り、正確な圧力値は本発明にとって重要ではない。したがって、沸騰水のために気泡が形成されることはない。
【0046】
[0045]ステップ(b)の最後に、処理された水性混合物を反応器から排出する。熱水処理の間に蓄積するガスは、ステップ(c)において反応器から解放される。当業者は、反応器の安全な作動を確保するために、どの速度でガスを解放する必要があるかを理解している。
【0047】
[0046]本発明による方法は、連続的に作動させるのに理想的に適している。水性混合物は入口(31)を介して反応器に連続的に送られ、次いで、第1のゾーンで加熱され、第2のゾーンで反応温度に維持され、第3のゾーンで冷却される。処理された水性混合物の排出は、バッチ方式でも連続方式でもよい。好ましい実施形態において、処理された水性混合物の排出は、以下に記載されるようにバッチ方式である。
【0048】
[0047]連続排出の場合、出口(38)は常に開放位置にあり、処理された水性混合物は反応器から連続的に出てくる。好ましい実施形態において、排出はバッチ方式またはステップ方式である。これは、「パルス排出」とも呼ばれる。ここで、出口(38)は、開放位置と閉鎖位置とを切り換える弁を含む。閉鎖された位置において、水性混合物が反応器に送られ続け、圧力が増加する。弁が開放位置に切り替わると、処理された水性混合物は、圧力が上昇した後の反応器内部と下流の配管との間の圧力差の観点から、出口から強制的に排出される。本発明者らは、出口(38)の弁が80-99%の時間、好ましくは、90-98%の時間、最も好ましくは、95-97%の時間、閉鎖された位置にあるときに、パルス排出が最適に行われることを見出した。このようなパルス排出の間、反応器内の圧力は、急速に降下し、典型的には約2-15バール、好ましくは、3-10バールだけ降下し、溶解ガス(主にCO2)を溶液から気相に変えさせる。言い換えれば、泡の突然の破裂が現れる。気泡の突然の出現は、処理される水性混合物の最適な混合を提供し、反応器内の効率的な熱管理を確実にする。このようにして、方法の有効性は更に改善された。さらに、パルス排出は、気泡が反応器の頂部のガス出口に向かって移動するのを容易にする。排出弁が閉鎖された位置にあるとき、反応器内部の水性混合物はほとんど滞留し、ガス流は反対方向の液体流によって妨げられない。
【0049】
[0048]本発明による方法は、好ましくは、反応器内の水性混合物の滞留時間が10-600分、好ましくは、30-300分、最も好ましくは、45-120分であるように作動される。送り流動は、5-250L/時、好ましくは、15-100L/時、最も好ましくは、25-50L/時の範囲であってよい。反応器内部全体の水性混合物の流動は、好ましくは一定であり、その結果、管の全長にわたって圧力がほぼ等しくなる。
【0050】
[0049]本発明による方法は、下水汚泥または廃水処理プロセスから得られる汚泥を処理するための汚泥取扱いプロセスの一部であってもよい。
【実施例1】
【0051】
[0050]パイロット熱水処理システムを設置した。このシステムは、1時間当たり25-50リットルの汚泥を加圧ゾーンに送る容積型ポンプ(2)(流量計によって可変周波数制御される偏心スクリューポンプ)を含むパルス反応器である。汚泥は任意の固体含有量を有することができるが、システムは、3-8重量%の乾物含有量を有する下水汚泥で作動された。
【0052】
[0051]汚泥は、第2の水平接続と1つの垂直上方を有するティー(23)に水平に圧送された。ポンプからの入口は、水平接続部のうちの1つに接続され、第2の水平接続部は、反応器(3)の唯一の入口(31)に接続される。ティーの垂直接続は、膨張容器(4)に接続される。
【0053】
[0052]反応器は、それぞれ2メートルの等しい長さの4つの部分(33,34a,34b,35)に分割された管(32)から構成される。セクションは180°の湾曲部(37)で接続される。全てのセクションは、入口が出口より高くなるように5°の傾斜で位置する。湾曲部を含む管(32)の内径は8 mmである。各セクションの汚泥の滞留時間は約15分である。第1のセクション(33)は、汚泥を周囲温度から反応器の設定点温度(典型的には約180-210℃)まで加熱するために使用される。パイロットシステムは電気ヒータ(51)を使用したが、熱油を含む任意の適切なヒータを使用することができる。第2のセクション(34a)および第3のセクション(34b)において、スラッジは設定点温度に維持される。管は、環境への熱損失を補償するために断熱される。汚泥は、これら2つのセクションに約30分間残る。第4セクション(35)において、汚泥が40-50℃に冷却される。パイロットシステムは、冷たい水道水(52)を使用したが、任意の冷却媒体を使用することができる。加圧ゾーン(32)において、汚泥の流れは、典型的には遅く、圧力が管(32)全体にわたって等しくなる。
【0054】
[0053]加圧ゾーンの端部には、処理された汚泥を排出して圧力を解放するために開くことができる出口弁(38)がある。これは反応器システムの唯一の出口である。システムは、連続的な排出流を可能にするために、弁(38)を恒久的に開放して作動させた。また、弁(38)を常時閉鎖し、短時間(全サイクル時間の約3-4%)開放にして処理汚泥と圧力を解放した。
【0055】
[0054]作動中、処理中に汚泥から解放されたガスと共に、反応器内に液体汚泥が存在する。これらのガスは反応器内部で気泡を形成する。気泡は主にCO2で構成されるが、汚泥の正確な組成に依存して、少量のH2Sのような他のガスが形成される。気泡は反応器の管(32)の頂部に上昇し、傾斜のために、汚泥流の方向に対して逆流モードで上方に流れる。最終的に、ガスは頂部に蓄積し、膨張容器(4)に流入する。
【0056】
[0055]作動中、膨張容器(4)は部分的に汚泥で満たされ、部分的に経時的に蓄積されたガスで満たされる。レベルインジケータ(41)およびマノメータ(42)が存在する。膨張容器の頂部には、ガスの解放を可能にする弁(43)がある。ガスは膨張容器内の汚泥レベルが低すぎるときに時々解放される。反応の運転開始の間、膨張容器内のガスは主に空気であるが、時間の経過とともに反応器から出てくるガスによって置換される。
【0057】
[0056]方法のシステムは、好ましくはサイクルで作動する。ポンプ(2)は、解放弁(38)を閉鎖した状態で、汚泥を加圧ゾーンに連続的に押し込んだ。解放弁(38)が閉鎖されると、システム内の圧力は徐々に上昇する。膨張容器(4)内のガスが圧縮され、膨張容器(4)内の汚泥レベルが上昇する。所定の最大圧力に達すると、反応器端部の解放弁(38)が開放される。その結果、処理汚泥が排出され、膨張容器(4)内の汚泥レベルが低下し、ガスが膨張して圧力が低下する。所定の最低圧力に達すると、解放弁(38)が閉鎖して、サイクルが繰り返される。
【0058】
[0057]システムは、最大圧力25バールおよび最小圧力20バールで作動したが、正確な値は、両方とも反応器の作動温度の蒸気圧よりも高い限り、本発明にとって重要ではない。サイクルの典型的な持続時間は約6分であり、解放弁(38)は約5秒間開放される。サイクル時間は、ポンプの送り速度、膨張容器(4)に蓄積されるガスの量、および所定の最小および最大圧力に依存する。解放弁(38)が開放する時間は、主に、弁の開口の大きさと、所定の最小および最大圧力とに依存する。
【0059】
[0058]サイクルの終わりに、また解放弁(38)が再び閉鎖した後に(すなわち、最小圧力で)、膨張容器(4)内の汚泥レベルがある閾値未満になると、ガスは弁(43)を介して膨張容器(4)の頂部から解放される。解放されるガスの量に応じて、これは、各サイクルごとに、または2つ以上のサイクルが完了した後にすることができる。反応器内で形成され、弁(43)から解放出されるガスは、主にCO2であるが、典型的には数パーセントのH2Sを含有する。少量のCOおよび他のガスが存在してもよい。
【0060】
[0059]管(32)内の圧力は、局所温度と相俟って、反応器内の気泡の組成に影響を及ぼす。これらの気泡は主にH2O、CO2及び若干のH2Sから成る。圧力が増加すると、すなわち弁(38)が閉鎖されると、これらのガスは凝縮し、部分的に汚泥に溶解する。圧力が解放されるとき、すなわち弁(38)が開放されるとき、溶解されたCO2およびH2Sは溶液から解放されて新しい気泡を形成し、H2Oは蒸発する。気泡は汚泥内部の多くの場所で同時に形成され、上方に移動する。気泡の移動は汚泥を撹はんし、熱水処理中の熱と物質輸送を改善する。
【0061】
[0060]気泡の正確な組成は、汚泥の温度、圧力およびpHに依存する。加熱セクション(33)には、中央セクション(34)から上方に流れる気泡が存在する。これら中間セクション(34)では、汚泥の熱水分解により気泡が形成され、CO2とH2Sが生じる。これらの種は、主に弁(38)が閉鎖している間に形成される。その間に上昇した圧力は、ほとんど溶解したままだったからである。圧力が解放されると、溶液は過飽和状態になり、気泡が形成される。
【0062】
[0061]作動圧力が水蒸気圧より高い場合には、水の沸騰による気泡はない。しかしながら、ガスがガス状CO2およびH2Sによって形成される場合、ガス状H2Oも気泡内に存在する。このH2Oの分圧は局所温度の水の蒸気圧である。これらの気泡へのH2Oの蒸発は、汚泥を局所的に冷却し、過熱を避ける。反応器(3)のどこでも、気泡は、局所温度に対応する部分的な水蒸気圧を有する。気泡内の残りのガスは、CO2、H2S、および可能な少量の他のガスである。組成は局所温度に強く依存した。入口(31)および膨張容器(4)において、すなわち周囲温度において、ガス中の水蒸気圧は低い(約0.1バール)。CO2圧は、汚泥の温度とpHによって決まる。膨張容器(4)内のガスは、乾燥ベースで88体積%のCO2、0.15体積%のCO、0.89体積%のH2Sおよび0.18体積%のメチルメルカプタンを含有すると決定された。ガスの残りは空気(主に窒素ガス)であった。
【0063】
[0062]温度が最も高く、典型的には200℃である中央セクション(34)において、水の蒸気圧は典型的には約15バールである。全圧25バールで、他のガス、主にCO2は、10バールまでの量が可能である。全圧を急速に下げて20バールにすると、この平衡はずれる。既存の気泡は膨張するが、溶解したCO2は新しい気泡を形成する。水の蒸発により、新しい気泡は、多かれ少なかれ一様な温度で全圧の変化に応答するCO2、H2Oなどを含有する。気泡は、反応器(32)の内部を上方に流れる。
【0064】
[0063]中央セクション(34)から第1のセクション(33)に流れる気泡は、より低温の環境に移動する。反応器の頂部において、温度は、水蒸気圧がより低い周囲温度である。第1の部分(33)を通って上方に移動する間に、気泡内の水は凝縮し、H2Oの分圧が低下する。全圧が同じままであるため、CO2(およびその他のガス)の体積分率が増加する。その結果、気泡は収縮するが、消えない。同時に気泡の温度は徐々に低下するが、CO2の水への溶解度は増加する。その結果、溶液中に移行するCO2ガスの部分が増加する。その結果、さらに多くの水が凝縮する。入口に向かって流れ、冷却されると、気泡は小さくなる。しかしながら、すべてのガスが水の凝縮と二酸化炭素2の溶解の結果として消滅するわけではない。主にCO2からなる小さな気泡が膨張容器(23)に到達し、そこでガスが蓄積する。送られる汚泥1リットル当たり、約1リットルのガスが(周囲条件で)形成される。
【0065】
[0064]加熱セクション(32)において、CO2は、分圧の上昇と、より低い温度での水へのCO2の溶解度の上昇との複合効果により、気相から(上方に移動する気泡内で)汚泥の水性混合物に溶解する。流入汚泥の溶解CO2含有量が増加する。汚泥は、弁(38)が閉鎖されているときにはサイクルの大部分の間停滞するが、第1のゾーンにおける加熱のために温度が上昇する。その結果、二酸化炭素では汚泥が飽和状態になったり、さらには過飽和状態になったりする圧力の増加は、汚泥中のCO2の溶解を維持するのに役立つ。しかしながら、サイクルの終了時に解放弁(38)を開放すると、圧力が低下する。これは、多くの新しいCO2気泡を発生させる。この作動は、気相と液体汚泥との間の良好な相互作用を保証し、適用される局所温度で汚泥がCO2で飽和されることを保証する。
【0066】
[0065]溶解CO2は、汚泥のpHを低下させる。溶解CO2に由来するH+イオンの大部分は、汚泥中に通常存在するリン酸塩やその他の塩類によって緩衝される。しかしながら、ますます多くのCO2が溶解され、溶解したCO2と気泡内のCO2ガスとの間に確立される平衡の結果であるpHをもたらす。
【0067】
[0066]中央セクション(34)において、全圧が20バール、二酸化炭素分圧が5バール、温度が200℃で、pHは、5よりもはるかに高い。20バールの二酸化炭素と40℃の入口において、pHは3.2である。これは、pH勾配があるが、流入する汚泥に対しては常にpHが低いことを意味する。Torwashのような熱水処理の分解反応は酸触媒であるので、本発明に係る設計により、反応器の効率が改善される。これらの反応は、中央セクション(34)の反応温度よりも低い温度で始まり、作動温度に達する前に既に起こり、CO2を発生する。作動温度では酸触媒反応は最早必要とされないかもしれないが、溶解したCO2による酸性化は依然として反応速度を増加させる。その結果、反応器をはるかに小さくすることができ、滞留時間を短くすることができ、および/または作動温度を下げることができる。
【0068】
[0067]CO2およびH2Sの溶解度は、最高温度、すなわち第2のゾーン(34)の設定点温度で最も低い。CO2とH2Sは上向きに流れる気泡によって処理中の汚泥から連続的に除去され、CO2とH2Sの分圧は比較的低い(全圧から水蒸気圧を引いた値)ので、等温セクションの端部(第2のゾーン(34)の底部)にはCO2とH2Sがほとんど残っていない。溶解濃度は低い。40℃に冷却した後、液体汚泥はCO2およびH2Sで飽和されていない。解放弁(38)において、圧力を25バールから1バールに下げてもガスは形成されない。反応器から排出される処理汚泥はCO2とH2Sをほとんど含有していない。反応器では、汚泥が最終セクション(35)に入り、膨張容器に蓄積する前に、処理された汚泥から硫黄含有ガスが効果的に除去される。本発明に従って処理された汚泥の臭気は、従来の手段によって水熱処理された汚泥よりもはるかに良好であり、また、それは殺菌されており、H2Sを放出する細菌活性がないので、未処理汚泥よりもはるかに良好である。膨張容器(4)から出口(43)を介して解放されたガスは、悪臭を有する。全ての硫黄含有ガスは、この小さな流れの中に蓄積されており、これは、技術的に知られているように後処理することができる。