IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グロッツ−ベッケルト・カーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図1
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図2
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図3
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図4
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図5
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図6
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図7
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図8
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図9
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図10
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図11
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図12
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図13
  • 特許-経編地を製造するための経編機 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】経編地を製造するための経編機
(51)【国際特許分類】
   D04B 27/24 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
D04B27/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022517919
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2020075856
(87)【国際公開番号】W WO2021053011
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】19198061.4
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20181084.3
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500131561
【氏名又は名称】グロッツ-ベッケルト・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッツ,トルステン
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-027058(JP,A)
【文献】特開平02-099651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 3/00-19/00
D04B23/00-39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経編物(120)を製造するための経編機(26)であって、
a)軸が機械の幅方向(z)に延び、互いに実質的に平行に延びる複数のレバー軸(3、4、5、6)と、
)前記レバー軸(3,4,5,6)によって、機械の高さ方向(y)と機械の奥行き方向(x)とにまたがる平面内で回動駆動可能な複数のバーキャリア(7)と、
c)糸ガイド要素(9)を運ぶ少なくとも1つのガイドバー(8)と、を有し、
d)前記少なくとも1つのガイドバー(8)は、動作中に、機械の幅方向(z)における回動運動に重畳された反復変位運動を実行するように、前記経編機(26)に取り付けられ、駆動され、
e)前記少なくとも1つのガイドバー(8)を駆動することができるレバー軸(3)の相対位置は、それぞれ別のバーを駆動することができる別のレバー軸(4、5、6)に対して、機械の高さ方向(y)及び/又は機械の奥行き方向(x)に調整可能であり、
前記経編機(26)は、複数の前記レバー軸(3、4、5、6)を保持するマシンフレーム(25)を含み、
マシンフレーム(25)は、マシン上部(1)と、マシン下部(2)とを含み、前記マシン上部(1)及び前記マシン下部(2)は、機械の高さ方向(y)及び/又は機械の奥行き方向(x)において互いに相対的に調整可能であり、
前記マシン上部(1)は、前記少なくともガイドバー(8)の前記レバー軸(3)と、それによって駆動可能な構成部品とを含むことを特徴とする経編機。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガイドバー(8)を駆動することができる前記レバー軸(3)の回動運動の角度範囲を調整することができることを特徴とする請求項1に記載の経編機(26)。
【請求項3】
前記マシン上部(1)は、機械の幅方向(z)に互いに平行にオフセットされた少なくとも2つの上部中央壁(12)を含み、及び/又は、前記マシン下部は、機械の幅方向(z)に互いに平行にオフセットされた少なくとも2つの下部中央壁(13)を含むことを特徴とする請求項に記載の経編機(26)。
【請求項4】
前記経編機(26)は、
機械の高さ方向(y)における前記マシンフレーム(25)の2つのパーツの間の距離を調整するためのスペーサプレート(10)と、
機械の奥行き方向(x)における前記マシンフレーム(25)の各パーツの間の相対位置を調整するための取付ねじ、及び、該取付ねじを挿通するねじ孔及び細長い孔(17)と、
レールが前記マシンフレーム(25)の各パーツの間を機械の高さ方向(y)及び/又は機械の奥行き方向(x)に移動可能にするレール接続部と、
の少なくとも1つを含む前記マシンフレーム(25)の各パーツの間の相対位置を調整する手段を有することを特徴とする請求項に記載の経編機(26)。
【請求項5】
前記マシン上部(1)は、前記少なくとも1つのガイドバー(8)を機械の幅方向(z)に反復変位運動するように駆動する少なくとも1つの変位駆動部(16)を備えることを特徴とする請求項に記載の経編機(26)。
【請求項6】
前記レバー軸(3、4、5、6)には、それぞれの回動運動のための回動駆動部(15)がそれぞれ与えられ、前記回動駆動部(15)は、好ましくは電気機械で構成されることを特徴とする請求項に記載の経編機(26)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記回動駆動部(15)は、リニアステップモータ(18)及び/又はロータリーステップモータ(22)を含むことを特徴とする請求項に記載の経編機(26)。
【請求項8】
前記マシン上部(1)は、前記レバー軸(3)の前記回動駆動部(15)を含むことを特徴とする請求項又はに記載の経編機(26)。
【請求項9】
複数の回動駆動部(15)が電気機械で構成され、
これらの電気機械は、電子制御装置によって制御可能であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の経編機(26)。
【請求項10】
前記電子制御装置は、駆動される編み具によって適宜決定される所定の動作プロファイルを駆動するように電気機械を制御するように適合させることを特徴とする請求項に記載の経編機(26)。
【請求項11】
単一の物層及び種々の異なる多様な構成を有する経編地(120)のバッチを連続的に製造するための方法であって、
軸が互いにほぼ平行に延びる複数のレバー軸(3、4、5、6)にトルクを供給する工程と、
バーを装着した複数のバーキャリア(7)が、レバー軸によって、前記レバー軸(3、4、5、6)の軸に対して横方向に延びる平面内で回動運動するように駆動する工程と
糸ガイド要素(9)を備えた少なくとも1つのガイドバー(8)は、動作中に、前記レバー軸(3、4、5、6)の軸方向(z)の回動運動に重畳する反復変位運動を実行するように取り付けられ、駆動する工程と、を有し、
前記レバー軸(3)は、マシン上部(1)に回転自在に取り付けられ、前記レバー軸(4、5、6)は、マシン下部(2)に回転可能に取り付けられ、
製造される経編地(120)の構成を変更するために、少なくとも1つのさらなるバーがそれぞれ駆動される前記レバー軸(4、5、6)に対する、前記ガイドバー(8)を駆動する前記レバー軸(3)の相対位置は、前記レバー軸(3、4、5、6)の軸方向延長に対して横方向に延びる2つの空間方向の少なくとも一方において、前記マシン上部(1)と前記マシン下部(2)との相対位置の調整によって、変更されることを特徴とする方法。
【請求項12】
少なくとも2つの異なる回動駆動部(15)が用いられ、そのうち第1駆動部は、少なくとも前記ガイドバー(8)を駆動し、第2駆動部は、少なくとも1つの他のバーを駆動し、
前記ガイドバー(8)の糸ガイド要素(9)及び他のバーの編み具が互換性のある編み動作を実行するように、これら2つの回動駆動部(15)の動作が制御されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つの前記回動駆動部(15)の制御は、それぞれのバッチの前記経編地(120)の構成に個別に適合させた記憶された動作プロファイルに基づいて行われることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つの互換性のある動作プロファイルのグループは、記憶装置に記憶され、製造される経編物(120)の構成の変更後に使用されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記編物引取方向(121)は、製造される経編地(120)の構成の変化に応じて調整されることを特徴とする請求項14に記載の経編地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経編地を製造するための経編機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
経編地を製造するための経編機は、数十年前から多くの実施形態が知られている。一般に、経編機は、複数の編み具がバーによって運ばれ、バーキャリアを介して、一方の機械の幅方向に延びるレバー軸によって駆動される。レバー軸は、そのほとんどが機械の幅方向に互いにオフセットして配置される複数の中央壁を含むマシンフレームに取り付けられる。一般的に、使用される編み具は、フック針と、例えば、ガイド針又はガイドチューブなどの糸ガイド要素と、スライダーと、例えば、ノックオーバーホールドダウンシンカー、ノックオーバーシンカー又はホールドダウンシンカーのようなシンカーと、を含む。通常、編み具は、バーによって保持され、それぞれ1本のレバー軸によって駆動され、駆動時、レバー軸に直交する平面、すなわち、機械の高さ方向及び機械の奥行き方向に延びる平面において互いに独立して回動運動を実行するようになっている。糸ガイド要素を保持するバーは、ガイドバーと呼ばれ、さらに、その回動運動に合わせて機械の幅方向に回動変位運動を実行するように取り付けられ、駆動される。フック針によって占められる1本のバー、シンカーによって占められる少なくとも1本のバー、糸ガイド要素によって占められる少なくとも1本のガイドバーがそれぞれ互いに機能的な関係にあり、経編製品の編物層を製造することができる。経糸地及び経編機の種類によっては、さらなるバー及び編み具がこの機能的な接続に関係することができる。経編機のデザインとしては、生産された経編地をほぼ水平方向に前方に向けて編物引取装置で引取るトリコット機と、生産された経編地を機械からほぼ垂直下方に編物引取装置で引取るラッシェル機と、が知られている。この場合、製造される経編機の特性に影響を与える引取力が経編機に作用する。
【0003】
独国特許発明第10349417号明細書(B3)には、ガイドバーが機械の奥行き方向に対応する機械の幅方向に対して横方向にその基本位置を調整できるスペーサファブリックを製造するための経編機が記載されている。そのため、ガイドバーは、キャリアを介してマシンフレームに配置され、センタードライブによって機械の奥行き方向に位置決めできるようになっている。フック針の機械の奥行き方向の変位によって生じるスペーサファブリックの2枚のファブリックウェブシートの間隔を縮小又は拡大することによって、ガイドバーの位置をフック針の位置に合わせ、糸ガイド要素をフック針と問題なく協働させることができる。
【0004】
旧東ドイツ国経済特許第120669号明細書には、経編機のガイドバーの回動運動を変更するために用いられる装置が記載されている。この場合、ガイドバーは、2つのキャリアを介して、2つのレバー軸に接続され、そのレバー軸は、ドライブタペットによって、レバーの接続を介して駆動される。レバーへのドライブタペットの接続位置は、細長い孔への螺合によって変化させることができる。これにより、実行される回動運動の振幅及び速度を同時に調整することができ、3次元空間における回動運動のプロファイルは変化しない。これは、特に、ガイドバーの数又は機械の繊度を変更した場合に、それぞれの場合に経編機の可能な最大作業速度を設定できるようにするために有利となるはずである。ガイドバーは、複数のレバー及びキャリアを介して2本のレバー軸に接続され、レバー軸の固定回転軸に対して回動運動が行われないが、回動運動時、レバー及びキャリアの構造の運動学によって変位できる瞬間回転中心に対して回動運動が行われる。
【0005】
様々な多様な構成を有する経編地の製造、すなわち、例えば、糸素材の異なる組合せ、ステッチ当たりの糸の異なる数、異なる編物構造及び/又は編物構造の異なる組合せを含む経編地は、異なる数のガイドバー又は異なる経編機、例えば、トリコット機の代わりにラッシェル機を用いることが必要となる。
【0006】
これまで、トリコット機の異なるバッチで、4本のガイドバーを必要とする4本の経編地と、4本以下のガイドバーを必要とする経編地との両方を製造することが知られている。しかしながら、フック針に対する糸ガイド要素の最適な回動運動と、可能な限り速く、効率的で欠陥のないステッチ形成を確実にするためのフック針の最適な回動運動とは、ガイドバーの数によって変化する。フック針の回動運動は、フック針が編み工程中にほぼ垂直な上下運動をするように設計されている。したがって、例えば、4本のガイドバーを有する経編機では、糸ガイド要素の回動運動とフック針の回動運動の両方が、2本のガイドバーを有する経編機よりも長くなる。4本のガイドバーを有する経編機で2本バーの経編地を生産する場合、糸ガイド要素とフック針とは、2本のガイドバーのみを有する経編機よりも長い距離を回動運動しなければならず、結果として編み速度が遅くなる。また、使用されるガイドバーの数に編み速度を最適に適合させることができるようにするために、回動運動の空間プロファイルの適合が必要とされる。したがって、製造のために異なる数のガイドバーが必要とされる経編地は、通常異なる経編機で最適な編速度で製造される。さらに、その構成の結果、主にその編み構造及び編み構造の組み合わせの結果、ラッシェル機のみで又はトリコット機のみで製造可能な経編地である。例えば、フリンジの比率が高い経編地、すなわち、1本の糸が数列のステッチで次々と同じフック針に挿入され、隣のステッチウェールとつながらない編み構造を持つ経編地は、トリコット機では生産できず、ラッシェル機を使用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、1台の経編機で、異なる多様な構成を有する経編地のバッチを連続的に製造することを可能にする経編機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明に従って、請求項1乃至12のプリアンブル及び特徴部分によって達成される。少なくとも1つのガイドバーが駆動可能なレバー軸と、少なくとも1つのさらなるバーが駆動可能なレバー軸との相対位置は、経編機の機械の高さ方向及び/又は機械の奥行き方向に調節可能である。製造される経編地のシートの構成の多様性を変化させるために、この相対位置は、機械の高さ方向及び/又は機械の奥行き方向で変化させられる。
【0009】
ガイドバーの数を増やすと、フック針の編み動作に対する糸ガイド要素の回動動作のプロファイルを適合させることができる。例えば、4本のガイドバーを有する機械では、糸ガイド要素及びフック針の回動運動はガイドバーの数に最適に適合させることができる。2本のガイドバーを使用する必要がある物を同じ機械で製造する場合、以前の機械では、糸ガイド要素及びフック針の回動運動を減少したガイドバー数に最適に一致させることができず、例えば、2本のガイドバーしかない経編機では、フック針はより短い回動運動を行うことができ、編み速度を上げることができる。さらに、例えば、機械の高さ方向及び/又は機械の奥行き方向におけるガイドバーのレバー軸の相対位置を調整することにより、糸ガイド要素の回動運動を、フック針の変更された回動運動に適合させることが可能である。経編機のトリコット機からラッシェル機への改造時に、ガイドバーを駆動するレバー軸の相対位置を、フック針の高さにおける糸ガイド要素の回動運動が機械の奥行き方向に大きくなるように調整することができ、トリコット機におけるフック針の高さ方向の糸ガイド要素の回動運動は、その大きさに対して機械の高さ方向及び機械の奥行き方向の方向成分が比較的大きい。
【0010】
本発明による教示は、あらゆるタイプの経編機に適用することが可能である。しかしながら、本発明による教示を、単一の物層を作製するのにのみ適している経編機(例えば、ダブルセクションラッシェル機や、2枚の物層を有するスペーサ布の製造に適した経編機ではない)に適用することが有利であると思われる。通常、このような機械には、1本のレバー軸しかなく、このレバー軸は、フック針を保持するバーと作動的に接続されているため、フック針にトルクを伝達することができる。フック針を保持するバーは、以下、ニードルバーと呼ばれる。このような機械の異なるバーが、1つの物層の製造において協働することは有利である。一方、ダブルセクションラッシェル機では、2枚の物層と、この2枚の物層でスペーサファブリックを製造する。経編機で機械の幅方向に隣り合って同時に製造される複数のファブリックシートは、編み工程に係るすべてのフック針が同じ回転軸周りの1つのレバー軸によって駆動されれば、それでも1つのファブリック層に対応することができる。
【0011】
少なくとも1つのガイドバーが駆動されるレバー軸の回動運動の角度範囲が調節可能であれば、さらなる利点が得られる。主に、レバー軸の回転軸を中心とする一定のピボット半径を有する外接円上の回動運動の位置及び長さは、回動運動の角度範囲に適合させることができる。従って、ガイドバーの数が変化した場合に、回動運動の角度範囲を適合させることが特に有利である。また、トリコット編機からラッシェル編機に変更する場合、回動運動の角度範囲を適合させることも有利であり、またはその逆に、フック針の高さにおけるラッシェル編機の回動運動が機械の奥行き方向に大きく動くのに対し、フック針の高さにおけるトリコット機の機の回動運動が機械の高さ方向及び機械の奥行き方向に同等の方向構成を有する。このような調整は、1つ以上の歯車を接続するなどの伝達手段を用いて行うことが完全に可能である。また、この「ガイドシャフト」に個別のシングルドライブが割り当てられていない場合でも、必要なトルクは、例えばセントラルドライブ又は少なくとも2つのシャフト用のドライブから供給されることが適用される。有利には、他のバーに割り当てられたレバー軸は、その回動運動の角度範囲における変化を経験することもできる。本発明のすべての例示的な実施形態に関連して、少なくとも2つの駆動手段が提供されると有利である。これらの駆動手段のうちの1つが少なくとも1つのガイドバーに割り当てられていれば、さらなる利点がある。他の駆動手段は、有利には残りのバーを駆動することができる。しかしながら、残りのバーには、複数の駆動手段、例えば、各バーに1つの駆動手段を割り当てることも可能である。後述するように、複数のレバー軸ドライブを制御する有利な態様は、駆動手段を制御する1つ以上の制御装置を設けることである。
【0012】
特に有利なのは、レバー軸を支持し、マシン上部及びマシン下部を含むマシンフレームを備えた経編機であり、マシン上部及びマシン下部は、機械の高さ方向及び/又は機械の奥行き方向に互いに対して調整可能である。マシン上部は、少なくともガイドバーのレバー軸と、これによって駆動可能な部品とから構成されていると有利である。例えば、ガイドバーのレバー軸は、マシン上部によって、その回転軸周りに回転可能に受けることができる。有利な実施形態は、ガイドバーのレバー軸が、取付具によってその回転軸周りに回転可能に実行される場合であり、マシン上部は、少なくとも2つのベアリングを含む取付具を受取る。
【0013】
本発明の有利な実施形態は、マシン上部が機械の幅方向に互いに平行にオフセットされた少なくとも2つの上部中央壁を含み、マシン下部が機械の幅方向に互いに平行にオフセットされた少なくとも2つの下部中央壁を含む経編機である。上部中央壁及び下部中央壁がベアリングで構成されていると有利であり、異なる中央壁の少なくとも2つのベアリングが、少なくとも1つのレバー軸のための少なくとも1つの取付部を形成する。さらに、それぞれ1つの上部中央壁が、それぞれ1つの下部中央壁に接続され、中央壁の互いに対する相対位置が調整可能であると有利である。例えば、それぞれ1つの上部中央壁が、それぞれ1つの下部中央壁に螺合され、螺合は、少なくとも1つのねじ及び/又ははめ込みねじ、少なくとも1つの貫通孔又は細長い孔及び少なくとも1つのねじ孔から構成される。嵌合ねじの代わりに、少なくとも1つの嵌合ねじに機能的に接続されたねじを用いた螺合が有利である。このように、経編機の製造業者には、製造コスト及び保管コストに関する利点が得られ、このような可変型の機械は、複数の変形の構築を不要にし、また、異なる種類の経編機を製造できるようにするために必要とされる異なる構成要素の数が少なくなる。
【0014】
マシンフレームの部品、例えば、マシン上部とマシン下部との間の相対位置を調整するための手段を備えている経編機が有利である。相対位置を調整するための特に有利な手段は、マシンフレームの部品の間に配置されるスペーサプレートである。それによって、機械の高さ方向に延びるスペーサプレートの厚さは、機械の高さ方向におけるマシンフレームの部品間の相対位置を決定する。また、マシンフレームの部品間に少なくとも2つのスペーサプレートを設け、少なくとも2つのスペーサプレートの厚さの合計でマシンフレームの部品間の相対位置を調整することも有利である。このように、少なくとも2つのスペーサプレートを組み合わせることによって、別の厚さのスペーサプレートを必要とせずに、マシン上部とマシン下部との間の距離をより大きく調整することが可能である。マシン上部とマシン下部との間の相対位置を調整するためのさらに有利な手段は、少なくとも1つのねじと、長手方向軸が機械の奥行き方向に延びる少なくとも1つの細長い孔と、少なくとも1つのねじ孔とを含むねじ接続部である。例えば、マシン下部が少なくとも1つのねじ孔を構成し、マシン上部及びスペーサプレートがねじ孔ごとに少なくとも1つの細長い孔をそれぞれ構成することができる。このように、マシン上部を細長い孔の長手軸方向、すなわち、機械の奥行き方向に変位させることにより、マシン上部とマシン下部との機械の奥行き方向の相対位置を調整することが可能となる。マシン上部及び/又はマシン下部は、相対位置の正確かつ再現可能な調節を可能にする機械の高さ方向及び/又は機械の奥行き方向のスケーリングを含んでいると、特に有利である。マシン上部とマシン下部との間の相対位置を調整するためのさらに有利な手段は、レール接続部である。ポジティブフィットレール接続が有利である。特に有利なのは、機械の奥行き方向及び/又は機械の高さ方向に調整可能で、機械の奥行き方向に遊びのないレール接続である。また、マシン上部とマシン下部との間の相対位置をロックするための装置を含むレール接続部も有利である。また、マシン上部分を機械の高さ方向及び/又は機械の奥行き方向の調節運動において駆動する少なくとも1つの電気モータを備えている経編機も有利である。
【0015】
本発明の有利な実施形態は、マシン上部が、少なくとも1つのガイドバーを機械の幅方向に反復変位運動するように駆動する少なくとも1つの変位駆動部を含む経編機である。ここでの利点は、マシン上部とマシン下部との間の相対位置の調整のために、少なくとも1つのガイドバーに対する少なくとも1つの変位駆動部の位置が変化しないので、少なくとも1つの変位駆動部と少なくとも1つのガイドバーとの間の接続を調整する必要がない点である。これにより、マシン上部とマシン下部との間との相対位置の調整のためのセットアップ時間を短縮することができる。
【0016】
レバー軸は、それぞれの回動運動のために、それぞれ1つの回動駆動部が割り当てられていると有利であり、回動駆動部は、好ましくは電気機械から構成される。回動駆動部は、レバー軸をその回転軸周りに回転運動するように駆動する役割を果たす。各レバー軸に独自の回動駆動部が割り当てられると、すべてのレバー軸を中央の駆動モータに接続する複雑な中央トランスミッションを省略することができる。経編機の建設費、維持費、及び複雑さを減らすことができる。
【0017】
少なくとも1つの回動駆動部がリニアステップモータから構成されていると、さらに有利である。スライダークランク機構が、リニアステップモータ出力軸をレバー軸の1つに接続すると、特に有利であり、スライダークランク機構は、駆動レバーと、レバー軸とに偏心して接続されるアーティキュレーションとを含む。スライダークランク機構は、直線的な駆動運動を、レバー軸の回転軸を中心とした回転運動に変換する。スライダークランクメカニズムの大きな利点は、移動方向を変更する際に遊びがほとんどなく実行できるため、移動コンポーネントを損なうことなく駆動運動を伝達することができることである。
【0018】
また、少なくとも1つの回動駆動部は、ロータリーステップモータを含むと有利である。連続可変トランスミッションは、ロータリーステップモータ出力軸をレバー軸の1つに接続すると、特に有利である。例えば、レバー軸は、ロータリーステップモータからの歯付きベルトによって駆動することができ、回転ステップモータ出力軸及びレバー軸に歯付きベルトのプーリーが配置され、歯付きベルトに正極に接続されている。このように正極に接続されているため、駆動動作は滑ることなく伝達され、その結果、移動コンポーネントを損なうことがない。
【0019】
本発明の有利な実施形態は、マシン上部が少なくとも1つのガイドバーのレバー軸のための少なくとも1つの回動駆動部を備えている経編機である。したがって、少なくとも1つのガイドバーのレバー軸に対する少なくとも1つの回動駆動部の位置が変化しないので、回動駆動部と少なくとも1つのガイドバーのレバー軸との間の接続を適合させずに、マシン上部とマシン下部との間の相対位置を調節することが可能である。このようにして、マシン上部とマシン下部との間の相対位置の調整のためのセットアップ時間が短縮される。例えば、回動駆動部が歯付きベルトによってレバー軸に接続されている場合、マシン上部とマシン下部との間の相対位置の各調整時に、回動駆動部がマシン上部に受け入れられていないとき、歯付きベルトを相応に適合した長さの歯付きベルトに交換しなければならない。
【0020】
さらに有利なのは、複数の回動駆動部が電気機械で構成されている経編機である。有利には、これらの電気機械は、電子制御装置によって制御可能である。電子制御装置は、信号を生成し増幅するための手段、記憶装置及びパワーエレクトロニクスを含む。通常、制御信号を供給する機械コンピュータで構成されなければならない。これらは、通常の電気機械又はステップモータの制御に適した増幅回路(モータドライバ)などの適切なパワーエレクトロニクスの場合に周波数変換器を制御する。最後に電気機械には、適切な動作プロファイルに適した強さ、電圧、周波数、信号形状の電流が供給される。このように、前記電子制御装置は、前記電気機械の駆動動作を制御し、経編機は、電気機械の駆動動作を編み具の編み動作に変換することにより、電気機械によって駆動させる。
【0021】
電子制御装置は、決定された所定の動作プロファイルに従って、電気機械によって駆動される編み具を駆動するように、電気機械を制御するように適合されているのが有利である。プログラム可能な動作プロファイルは、特に有利である。動作プロファイルをグループにまとめることがさらに有利であり、各グループは、経編機の各編み具のためのそれぞれ1つの動作プロファイルから構成され、動作プロファイルは、編み機が同じ時間区間で互換性のある編み動作を実行するように、互いに一致させる。このように動作プロファイルを指定することで、編み具の編み動作を具体的に制御することが可能になる。例えば、マシン上部とマシン下部との相対位置の調整中に、糸ガイド要素の編み動作を他の編み具の相対位置及び編み動作に再調整することができ、経編機は、異なる多様な構成を有する経編布のバッチの生産に対してより可変的に調整することができる。
【0022】
異なる多様な構成を有する経編地のバッチを連続的に製造するためには、少なくとも2つの異なる回動駆動部を使用する方法が有利であり、そのうち第1ドライブは少なくともガイドバーを駆動し、第2ドライブは少なくとも1つの他のバーを駆動し、これら2つの回動駆動手段の動きが、ガイドバーの糸ガイド要素および他のバーの針が互いに一致した編み動作を行うように制御する方法が有利とされる。少なくとも2つの異なる回動駆動部を使用することにより、異なるバーの回動運動を互いに独立して制御することができ、したがって、バーの編み物の動きを互いに一致させることができる。経編地のバッチが変更された結果、ガイドバーを駆動するレバー軸の相対位置を変更する必要がある場合、編み具の編み動作をより可変的に互いに一致させることが可能である。
【0023】
少なくとも2つの回動駆動部の制御が、それぞれのバッチの構成に個々に適合された記憶された動作プロファイルに基づいて行われると、特に有利である。この場合、それぞれ1つの動作プロファイルが編み具の特定の編み動作に対応する。経編機の設定時に入力変数として動作プロファイルを予め定義しておき、製造される経編地に応じて選択しプログラムすることが有利である。
【0024】
編み具の動作プロファイルは、編み具が同期して所望の経編地を製造するように、製造される経編地の選択された構成に応じて互いに一致させる必要がある。したがって、特定の構成を有する経編地を製造するためには、編み具ごとに正確に1つの動作プロファイルからなる適合する動作プロファイルのグループが存在する。少なくとも2つの互換性のある動作プロファイルのグループを記憶装置に保存し、製造される経編地の選択された構成に従ってこれらを使用することが有利である。したがって、経編機を設定する際に、適切な動作プロファイルを選択することができ、再プログラミングの必要はない。
【0025】
本発明の経編機は、ラッシェル機及びトリコット編機の両方に普遍的に適しているステッチ形成のために、以下では略してシンカーとも呼ばれるニットシンカーを含むことが有利である。以下、このようなシンカーについて説明する。有利なのは、ノックオーバーエッジと、ホールドダウンエッジと、スロートエッジとを含む経編機用シンカーであり、ノックオーバーエッジは、シンカーの幅方向及び長手方向の少なくとも一部に延在し、シンカーの高さ方向がノックオーバーエッジの表面から垂直に上方を向いており、ホールドダウンエッジは、高さ方向に距離をおいてノックオーバーエッジと反対側に位置し、スロートエッジは、後方に向かって区切り、ノックオーバーエッジとホールドダウンエッジとを長手方向で接続し、ノックオーバーエッジの移行点では、レイオンエッジがノックオーバーエッジに隣接し、支持エッジの移行点では、支持エッジがレイオンエッジに隣接し、支持エッジは、少なくとも部分的にほぼ長手方向に延び、ノックオーバーエッジの下に高さ方向に配置されている。好ましくは、支持エッジは、長手方向において支持エッジの移行点を起点として前方に延び、及び/又は、長手方向において支持エッジの移行点を起点として専ら前方に延びている。特に有利なのは、支持エッジの移行点が、高さ方向においてノックアウトエッジの移行点から長手方向において少なくとも4倍離れているシンカーである。有利には、ノックオーバーエッジは、直線状に構成され、ノックオーバーエッジは、長手方向に全体的に延びる。しかしながら、ノックオーバーエッジは、具体的に長手方向に部分的にのみ、場合によっては限りなく小さな断面にのみ延びるように、曲線形状で延びることができる。そして、長手方向は、ノックオーバーエッジの移行点とホールドダウンエッジが前方に向かって終了する点より上の点との間の中央で、ノックオーバーエッジに適用される接線によって決定することができる。シンカーの幅方向、長手方向、高さ方向は共に「シンカー固定」である直交座標系を形成し、したがって、シンカーは、機械の奥行き方向、機械の高さ方向、機械の幅方向からなる経編機の座標系に対して、シンカーの可能な移動と共に移動することができ、特に、機械の幅方向の軸を中心としてねじれることもできる。しかし、経編機とシンカーとのすべての動作状態において、シンカーの幅方向は機械の幅方向に対応する。
【0026】
トリコット機には、ノックオーバーエッジ、ホールドダウンエッジ、スロートエッジを有するシンカーが一般的に使用されている。ノックオーバーエッジに隣接する、対応して設計されたレイオンエッジ及びサポートエッジの追加配置の結果、シンカーは、経編機の引取装置が垂直方向に引取りするとき、(柱)ステッチをノックオーバーするために適応される。したがって、ラッシェル機でしか生産されない経編地をシンカーで生産することができる。トリコット編機をラッシェル編機に変更することは、編み具(例えばシンカーだけでなくニードルなど)を交換することなく行うことができる。
【0027】
有利には、シンカーは、通常のシンカーと同様に鋼帯からプレス成形することができる。鋼帯の厚み方向は、シンカーの幅方向となる。シンカーは、ノックオーバーエッジ、ホールドダウンエッジ及びスロートエッジを有するシンカーの通常の場合のように、ステッチを形成するためにノックオーバーエッジに対して長手方向に移動されるように適合させることが可能である。支持エッジは、ノックオーバーエッジと平行に配置することができる。しかしながら、支持エッジは、ノックオーバーエッジに対して0°~25°の角度で配置することができる。好ましくは、支持エッジとノックオーバーエッジとの理論的な交点は、シンカーの前方の長手方向に位置する。レイオンエッジと支持エッジとの間の角度は、好ましくは90°である。したがって、有利な矩形断面を有するノックオーバーバンドを支持エッジに支持することができる。さらに、このように支持されたノックオーバーバンドは、経編地に作用する引取力によってレイオンエッジに押し付けられるようにレイオンエッジに配置することができる。経編機において、引取力は、その鉛直方向において下向きに作用する。支持エッジ移行点とノックオーバーエッジ移行点との間の距離が、高さ方向において長手方向の少なくとも4倍であることは、機械におけるシンカーのレイオンエッジ又はシンカー配列の外面が、機械の垂直方向にほぼ配置される結果をもたらす。レイオンエッジ又は外面は、レイオンエッジ又は外面のうち下方に位置する領域が上方に位置する領域よりも水平方向前方に突出するように、機械の垂直方向に対して、最大25°、又は、例えば、15°、10°又は5°に傾斜させることができる。以下では、垂直引取りは、結果的に、垂直から前記角度だけずれた引取り方向としても理解される。シンカーは、長手方向において支持エッジの移行点を起点として前方に延びることができる。支持エッジは、長手方向において、ノックオーバーエッジの移行点に隣接するレイオンエッジのセクションと比較して、前方又は専ら前方に延びることができる。支持エッジの移行点は、ノックオーバーエッジの移行点に隣接するレイオンエッジのセクション又はノックオーバーエッジの移行点に隣接するレイオンエッジのセクションを長くする仮想線と比較してさらに前方に配置することができる。その結果、例えば、ノックオーバーバンドを支持エッジに支持することができ、このバンドは、経編地の引取力によって、支持エジに、レイオンエッジに対して押圧される。シンカーは、表面コーティングを有することができる。シンカーは、脚部を有することができる。シンカーは、脚部を持たないように設計することができる。シンカーは、その長手方向と実質的に平行に移動するように適合させることができる。この目的のために、シンカーは、その高さ方向よりもその長手方向にかなり長く延びることができる。ホールドダウンエッジは、ノックオーバーエッジと平行に延びることができる。支持エッジの移行点では、レイオンエッジは、曲げを伴って又は角を伴って支持エッジに乗り越えることができ、含まれる角度は、好ましくは70°~110°である。シンカーは、好ましくは、編み機の円形櫛のガイドに適するような手段から構成されることはない。
【0028】
有利には、支持エッジの移行点は、高さ方向において、ノックオーバーエッジの移行点から3mmから10mmの距離にある。この距離は、任意の値を有することができ、例えば、5mm又は6.5mmである。レイオンエッジが、少なくとも部分的にレイオンエッジの凹部及び/又は隆起(an elevation)が構成される保持装置を含むと有利である。保持装置は、ノックオーバーバンドを挟み込み又は装着できるようにするために、レイオンエッジに垂直又はレイオンエッジに垂直に対して小さな角度で延びる部分を有することができる。保持装置は、この目的のために、辺の長さに比べて角が小さく丸みを帯びた長方形、及び/又は、アンダーカットを有するように設計することができる。支持エッジの移行点とノックオーバーエッジの移行点との間の距離を大きくすると、レイオンエッジに保持装置を取り付けるための設置スペースをより多く提供することができる。
【0029】
支持エッジが支持エッジの移行点から前方に向かって長手方向に最大2mmで終えていると特に有利である。支持エッジは、長手方向に最大2mmの延長を有することができ、例えば、0.7mmまたは1mmである。2mmまでの任意の値が有利である。支持エッジの前端領域は、支持エッジの遷移点から長手方向に前方に向かって最大距離のシンカーの要素である。
【0030】
ノックオーバーエッジとレイオンエッジとが90°~115°の角度を囲むと、更なる利点が得られる。特に好ましいのは、95°~110°の角度である。
【0031】
ノックオーバーエッジは、長手方向においてホールドダウンエッジより前方に向かって最大2mm突出していることが有利である。粗い繊度(機械ピッチ)又は広幅の編地の場合、ノックオーバーエッジは、長手方向においてホールドダウンエッジより前方に最大5mm突出することができる。特に有利には、ノックオーバーエッジは、長手方向においてホールドダウンエッジよりも前方に向かって、1mm~5mmの値、又は、1.5mm~4mmの値、例えば、2mm、2.5mm又は3mmだけ突出することができる。ホールドダウンエッジよりも前方に向かって2mm以下だけ延びるノックオーバーエッジは、シンカー又はシンカー配列がステッチ形成のために大きな距離を必要とすることなく、経編地を経編機の垂直方向下方に引き取ることができる。
【0032】
本発明による経編機の有利な実施形態は、シンカー構成を含む。有利なのは、幅方向に一定の距離をおいて列状に整合的に配置された複数の既述のシンカーを含むシンカー配列であり、複数のシンカーの少なくとも1つの部分量の支持エッジに対して及びレイオン縁に対して当接し、少なくとも2つのシンカー間の幅方向の距離を埋める少なくとも1つのノッキングオーバーバンドを含み、ノックオーバーバンドの外面は、ノックオーバーバンドがシンカーのレイオン面に対して突き当たる面と反対側に位置する。シンカー配列は、高さ方向において、ノックオーバーバンドの外面の上端が、ノックオーバーバンドの外面の下端から長手方向の少なくとも4倍の距離を有していることを特徴とする。
【0033】
特に、ノックオーバーバンドは、シンカー間をすり抜ける柱状のステッチをノックオーバーする役割を果たすことができる。高さ方向を基準とするノックオーバーバンドの位置の結果、経編機は、ノックオーバーバンドの外側を通過して、ほぼ経編機の垂直方向下方に滑り落ちるように引取ることができる。前方に向かって水平になるような機械方向の引取り方向も当然可能である。特に、垂直方向の引取りの場合、ノックオーバーバンドは、経編地によってシンカーの支持エッジ及びレイオンエッジに押しつけられる。したがって、ノックオーバーバンドは、着脱可能な留め具によってシンカーに十分に確実に連結されることができる。
【0034】
有利には、ノックオーバーバンドは、幅方向に延びる実質的に一定の長方形の断面を有することができる。このようなバンドは、安価に調達でき、シンカー配列の幅方向の延長線上に再現性よく装着することができる。シンカーの幅方向は、シンカー配列の幅方向に対応する。シンカー配列の幅方向は、経編機で経編地を生産することができる幅とほぼ同じである。経編機は、通常1.28メートルから7メートル、通常は数メートル、例えば4メートル程度の幅がある。ノックオーバーバンドは、機械の幅全体を埋めることができる。また、ノックオーバーバンドは、幅方向にわたって複数のパーツから構成され、その後、全幅にわたって全体で延びることも可能である。好ましくは、シンカー配列は、シンカー又はシンカーを有するモジュールの複数の部分配列を含む。ノックオーバーバンドは、焼入れ鋼のような耐摩耗性材料で構成され、及び/又は、耐摩耗性コーティングを施すことができる。好ましくは、ノックオーバーバンドは、経編地のブラッシング通過の品質に影響を与えないように、滑らかな表面、有利には丸みを帯びたエッジを有する。
【0035】
有利には、ノックアウトバンドは、複数のシンカーの少なくとも1つの部分量のノックアウトエッジに対して、高さ方向に同一平面上に配置されるか又はセットバックされることができる。このようにして、引取り時、経糸地をノックオーバーバンド上に容易に引き寄せることができることが保証される。
【0036】
有利には、ノックオーバーバンドは、長手方向において支持エッジのような少なくとも1つの延長部を有することができる。その結果、ノックオーバーバンドの外縁に沿ってスライドさせたとき、経編地が支持面への移行部で引っかかることがない。特に有利なのは、ノックオーバーバンドの外縁に対して離れている支持エッジである。
【0037】
有利には、ノックオーバーバンドは、複数のシンカーの少なくとも1つの部分量へのその取り外し可能な固定のために、複数のシンカーの少なくとも1つの部分量のシンカーのレイオンエッジの少なくとも1つの保持装置と協働することができる。有利には、ノックオーバーバンドは、ノックオーバーバンドに固定され、レイオンエッジの保持装置に着脱可能に固定される連結手段を有することができる。例えば、連結手段は、ノックオーバーバンドに接着剤で接着することができる。例えば、連結手段は、レイオンエッジの保持具にクリップで固定することができる。また、連結手段は、ノックオーバーバンドへの接着以外の方法で固定することも可能である。連結手段は、ノックオーバーバンドと一体化させることもできる。連結手段は、プラスチック製のプロファイルとすることができる。連結手段は、シンカーのノックアウトエッジの凹部に挟み込むことができる。凹部は、少なくとも断面において連結手段の断面に対応する断面を有することができ、または、張力下で連結手段の断面を受けることができる。取り外し可能な留め具の機能に関しては、すべての既知の可能性を使用することができる。
【0038】
有利には、連続手段は、その前端部で、シンカー間の幅方向の距離を長手方向に調整する少なくとも1つのスペーサを含むことができる。また、シンカー配列は、連結手段によって安定させることができる。スペーサ又は複数のスペーサは、連結手段の規則的に発生する高さであってもよい。スペーサまたはスペーサは、接続手段の適当に生じる隆起であってもよい。その結果、シンカーの置の均一性を確保することができ、この目的を果たすホルダは不要である。しかしながら、シンカーの前端部の距離の調整は、ホルダを介して公知のように達成されると有利である。このようなホルダは、公知のようにキャストすることができる。そして、ホルダは、シンカーの孔を通過するか、シンカーの突起を受け入れることができる。
【0039】
本発明による経編機は、少なくとも以下の特徴を有することが有利であり、
少なくとも1つのシンカー配列と、
シンカー配列のノックオーバーエッジ又はノックオーバーバンドでのノックオーバーによってステッチが形成されるステッチ形成領域と、
ステッチ形成領域から経編地を引き取るための編物引取装置とである。
さらに有利なのは、少なくとも1つの第1の所定の調整において、経編地を実質的に前方に向けられた方向に引き取ることができ、かつ、少なくとも1つの第2の所定の調整において、経編地を実質的に垂直方向に向けられた方向に引き取ることができるように、編物取出し装置がステッチ形成領域に対して調節可能に適合されている経編機である。水平方向前方は、ほぼ機械の奥行き方向と一致する。垂直方向は、機械の高さ方向に相当する。トリコット機では経編地は、実質的に前方に引き取られる。経編地は、ラッシェル機で垂直下向きに引き取られる。編み機が中央変速機(クランクケース)を介して駆動される既知の経編機では、ステッチ形成は、狭い形成空間でのみ可能である。これは、中央変速機があらかじめ定義されている動作シーケンスによって指定される。
【0040】
シンカー配列の構成及び編物引取装置の調整の結果、経編機は、自動経編機及びラッシェル編機など、異なるシンカーやシンカー配列を必要とする物の生産に汎用的に使用することができる。編物引取装置及びマシン上部の相対的な位置を適切に調整又は変換した後、好ましくは編み具を交換することなく、全く異なる経編地を生産することができる。
【0041】
経編機の常として、シンカー配列は、回動運動の意味で、円弧状の経路に沿って移動させることができる。円弧状の経路は、水平方向、すなわち経編機の前方への機械の奥行き方向を含むことができる。前方とは、通常、経編機を操作する方向で、トリコット機の生地を取り出す方向である。シンカー配列のノックアウトエッジ、したがって、シンカーの長手方向は、ステッチ形成中に少なくとも一時的に経編機の水平方向と平行に配置することができる。好ましくは、少なくともステッチをノックオーバーした後、ノックオーバーエッジは、水平に平行でない場合、前方に向かって最大10°傾斜している。また、シンカー配列は、ステッチ形成時にいかなる動きもすることができない。針配列は、経編機で通常行われるステッチ形成の際に、回動運動の意味で円弧状の経路をたどることができる。円弧状の経路は、経編機の鉛直方向、すなわち、機械の高さ方向を含むことができる。ステッチ形成中、細長いニードルシャンクは、少なくとも一時的に、垂直方向とほぼ平行に整列させることができる。針は、垂直方向から最大10°ずれることができ、その後、好ましくはそのフックを後方に傾ける。好ましくは、針は、シンカー配列のノックオーバーバンドの外縁よりも垂直方向に対してあまり大きく傾斜していない。
【0042】
また、ステッチ形成領域に最も近い位置に配置される編物引取装置の少なくとも1つの第1ローラが、駆動可能かつ回転方向が可逆であるように適合されていると有利である。そのため、引き取り角度を最適に調整することができ、ステッチ形成領域のアクセシビリティを維持することができる。
【0043】
特に有利なのは、第1のローラに追従する編物引取装置の少なくとも1つの第2のローラが、垂直方向において第1のローラの下にある編物引取装置の第1の所定調整位置と、垂直方向において第1のローラの上にある編物引取装置の第2の所定調整位置とで自由にできるように適合されている経編機である。したがって、編物引取装置の調整又は変換は、迅速に行うことができる。物引取力を確実に導入するために必要な回り込みは、どちらの調整でも十分に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1に、マシン上部1及びマシン下部2を含む経編機26を示す図である。
図2図2は、異なった視点における図1からの経編機26を示す図である。マシンベッド14、複数の上部中央壁12及び下部中央壁13並びに回動駆動部15及び変位駆動部16が示されている。
図3図3は、経編機26を通る断面A-Aは、マシン上部1とマシン下部2との間の2つのスペーサプレート10の領域であることを示す図である。
図4図4は、リニアステップモータ18、駆動レバー20及び関節部21を含むレバー軸3、4、5、6の回動駆動部15を示す図である。
図5図5は、ロータリーステップモータ22及び無段変速機24を含むレバー軸3,4,5,6の回動駆動部15を示す図である。
図6図6は、トリコットマシンの原理に従って動作しているときの、経編機26のフック針27及び複数の糸ガイド要素9に対するレバー軸3の位置を模式的に示す図である。
図7図7は、これがレイチェルマシンの原理に従って動作しているときの、経編機26のフック針27及び複数の糸ガイド要素9に対するレバー軸3の位置を模式的に示す図である。
図8図8は、幅方向Bから見たシンカー101の前端部を示す概略図である。
図9図9は、ノックオーバーバンド11を有するシンカー配列110の2つのシンカー101を斜め上方及び前方から見た一例の概略図である。
図10図10は、連結手段113及びスペーサ要素114を有するノックオーバーバンド111の一部を象徴的に示す斜視図である。
図11図11は、経編機26の関連部品を、編物引取装置115を水平方向に調整した幅方向の概略図である。
図12図12は、経編機26の関連部品を、編物引取装置115の鉛直方向に調整した幅方向の概略図である。
図13図13は、図6図11との共同図であり、トリコット機の原理に従った構成における前述の要素の配置を示したものである。
図14図14は、図7図12との共同図であり、ラッシェル機の原理に従った構成における前述の要素の配置を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、マシンフレーム25が2分割され、マシン上部1の他にマシン下部2からなる経編機26の模式図であり、マシン下部2は、マシンベッド14上に配置されている。マシン上部1は、マシン上部に回転自在に取り付けられ、バーキャリア7に連結されるレバー軸3を含む。バーキャリア7には、ガイドバー8が機械の幅方向zに変位可能に取り付けられている。ここでは簡略化のため、取付け状態は示されていない。さらに、経編機26は、3つのレバー軸4、5、6を備え、これらはすべてマシン下部2に回転可能に取り付けられ、バーキャリア及びバーを介して編み具に編み動作をもたらす。このバーキャリア及び編み具は、図示していない。マシン上部1及びマシン下部2は、ねじ11によって互いに接続され、この目的のために、マシン上部1は、ねじ11ごとに、その長手方向軸が機械の奥行き方向xに延びる細長い孔を含み、マシン下部2は、ねじ11ごとにねじ孔を含む。しかしながら、マシン上部1をマシン下部2に接続するための他の装置、例えばロック可能なレールによる接続も、有利に実現可能である。この例示的な実施形態では、マシン上部1は、マシン下部2に対して機械の奥行き方向xに、細長い孔の長さに相当する量だけ変位可能である。スペーサ板10は、機械の高さ方向yにおける高さによって、マシン上部1とマシン下部2との間に配置され、機械の高さ方向yにおけるマシン上部1とマシン下部2との相対位置を調整することができる。
【0046】
図2は、図1の経編機26を、機械の高さ方向yに対して90度回転させた図である。マシン下部2は、機械の幅方向zに互いにオフセットされ、マシンベッド14に接続される3つの下部中央壁13を含む。マシン上部1は、3つの上部中央壁12と、ガイドバー8が駆動可能なレバー軸3と、レバー軸3の回動駆動部15と、ガイドバー8の変位駆動部16とを含む。3枚のスペーサプレート10及びマシン上部1は、ねじ11によってマシン下部2に連結されている。回動駆動部15は、ガイドバー8が駆動可能なレバー軸3を駆動し、ガイドバー8だけでなく糸ガイド要素9も、レバー軸3の回転軸に対して回動運動を行う。同時に、変位駆動部16は、ガイドバー8及び糸ガイド要素9を機械の幅方向zに反復変位運動させる。回動運動と変位運動を重ね合わせることで、糸ガイド要素9は、3次元的な編み運動を実行する。
【0047】
図3は、図1に示した位置のセクションAを示したものである。3枚のスペーサプレート10が断面図で示されている。それぞれ1つのねじ11が通る2つの細長い孔17がスペーサプレート10のそれぞれに示されている。スペーサプレート10の細長い孔17は、マシン上部1とマシン下部2との機械の奥行き方向xの相対位置の調整を可能にする。
【0048】
図4は、リニアステップモータ18、リニアステップモータ出力軸19、駆動レバー20及びレバー軸3,4,5,6のいずれかに偏心して取り付けられた関節部21を含むレバー軸3,4,5,6の回動駆動15を示す図である。リニアステップモータ出力軸19の直線駆動運動は、駆動レバー20及びレバー軸3,4,5,6に偏心して取り付けられた関節部21を介して、レバー軸3,4,5,6の回転運動に変換される。
【0049】
図5は、リニアステップモータ22、ロータリーステップモータ出力軸23、無段変速機24を含むレバー軸3,4,5,6の回動駆動部15を示す図である。好ましくは、無段変速機24は、回転ステップモータ出力軸23及びレバー軸3、4、5、6の歯付きベルトプーリに確実に接続された歯付きベルトを含み、回転ステップモータ出力軸23の速度及びトルクは、歯付きベルトプーリの歯の数に応じて、滑りのないようにレバー軸3、4、5、6の速度及びトルクに変換される。
【0050】
例示的な実施形態の4つのレバー軸3、4、5、6の全てに、これらが共通の電子制御装置を介して制御可能な回動駆動部15が割り当てられている。電子制御装置は、編み具の動作プロファイルが記憶され、編み機の編み動作が予め定義されたストレージ装置を含む。経編地120を製造するためには、すべての編み具が互換性のある編み動作を実行する必要がある。したがって、記憶された動作プロファイルは、それぞれ1つの編み具について、グループの他の動作プロファイルと一致する1つの動作プロファイルからなるグループに割り振られる。電子制御装置は、編み具が適合する編み動作を実行するように、選択された動作プロファイルのグループに従って回動駆動部15を制御することができる。異なる多様な構成を有する経編地120の場合、経編地120の構成に対する編み機の編み動作の適応を考慮した、対応する異なる動作プロファイルのグループを記憶することが可能である。したがって、経編地120の構成が変更された場合、正しい動作プロファイルのグループを選択することで、正しい編み動作を設定することができる。
【0051】
図6は、経編機26がトリコット機の原理に従って動作しているときの、糸ガイド要素9及びフック針27に対するレバー軸3の空間配置を示す概略図である。この図は縮尺が合っておらず、特にピボット半径33は、図の他の要素に比べて小さく表示されている。バーキャリア7及びガイドバー8は、図6には示されていないが、経編機26では、糸ガイド要素9とレバー軸3とを連結している。糸ガイド要素9は、レバー軸3を中心とするピボット半径33を有する外接円上で回動運動28を行い、この回動運動は、機械の奥行き方向xと機械の高さ方向yの両方に方向成分を有するものである。この回動運動28の結果、糸30は、フック針27に提供され、糸は、糸ガイド要素9の糸ガイド開口部34を通り抜け、したがって、回動運動28に追従する。回動運動28の所望のプロファイルを実現するために、レバー軸3とフック針27との間には、すべての編み具の編み動作に合わせた機械の奥行き方向xの深さオフセット31及び機械の高さ方向yの高さオフセット32とが存在する。
【0052】
図7は、経編機26がラッシェル原理に従って動作しているときの、糸ガイド要素9及びフック針27に対するレバー軸3の空間配置の概略図である。この図は、図6とほぼ同じ要素を示している。しかしながら、ラッシェル原理の結果として、要素の互いに対する配置は異なり、糸ガイド要素9の回動運動29は、トリコット機の原理に従って動作する経編機の回動運動28と比較して、機械の高さ方向yに実質的に小さな方向成分を有する。したがって、ラッシェル原理では、糸ガイド要素9の回動運動29は、機械の奥行き方向yに動く。このプロファイルを実現するために、レバー軸3とフック針27との間の奥行きオフセット31は、トリコット機の原理に従って動作している経編機よりも実質的に小さく、すなわち、レバー軸3とフック針27とは、両者の間に奥行きオフセット31が存在しないように、一方が他方の上に配置される。ピボット半径33が変わらない場合、ラッシェル原理では、フック針27の高さでの糸ガイド要素の回動運動29が主に機械の奥行き方向xに動くように、トリコット機械の原理に従って動作する経編機の場合よりも高さオフセット32を大きくしなければならない。このため、ラッシェル原理では、高さオフセット32とピボット半径33とがほぼ同じ大きさになっている。
【0053】
したがって、ガイドバーが駆動されるレバー軸3が他のレバー軸4,5,6に対して、及び、これらのレバー軸4,5,6の編み具27,101に対しても機械の奥行き方向x及び機械の高さ方向yにその相対位置を調整可能である先に述べた経編機26は、この相対位置をラッシェル原理に従って及びトリコット機械の原理に従ってともに正確に調整することによって操作することが可能である。これは、特に、加えて、経編機26の編物引取装置121や編目シンカー101がこれに好適である場合に適用される。以下、この目的のための好適な編み物シンカー101、シンカー配列110及び編物引取装置115を説明する。
【0054】
図8は、本発明によるシンカー101の前端部を幅方向Bから見た概略図である。シンカー101は、前方(図8では左方)に向かって直線的に傾斜するように構成されたノックオーバーエッジ102を含む。ホールドダウンエッジ103は、高さ方向Hにおいて、ノックオーバーエッジ102と間隔をあけて対向するように存在する。スロートエッジ104は、ノックオーバーエッジ102とホールドダウンエッジ103とを接続し、両縁を後方(図8では右側)に向けて区切る。ノックオーバーエッジは、ほぼ高さ方向Hに延びる下方に急勾配なレイオンエッジ106に隣接するノックオーバーエッジ移行点105によって前面に区切られる。レイオンエッジ106は、その下部領域に、保持装置109として機能することができる凹部を有する。レイオンエッジ106は、支持エッジ108によって隣接される支持エッジ移行点107で下向きに終える。支持エッジ108は、ノックオーバーエッジ102とほぼ平行に、レイオンエッジ106と直角に延びる。シンカー101は、例えばバーなどの更なる機械要素に接続するために使用されるその後部(図8では右側)部分を除いて示されている。シンカー101の更なる機械要素への接続は、従来技術に従って任意に構成することができる。
【0055】
図9は、例えば、ノックオーバーバンド111を有するシンカー配列110の2つのシンカー101を上方及び前方から斜めに見た概略図である。シンカー101は、ほとんどの部分が図8のシンカー101と同一設計である。ノックオーバーバンド111は、支持エッジ108上にあり、レイオンエッジ106に突き当たる。従って、この図では、レイオンエッジ106及び支持エッジ108は、ノックオーバーバンド111によって隠れている。シンカー101間の幅方向Bの距離を掛け渡すノックオーバーバンド111は、必要に応じて経編地120を高さ方向H下方にノックオーバーバンド111の上端及びその外面側112を越えて引取ることが可能である。しかし、経編地120は、前方に向かってノックアウト端102と平行な長手方向Lに平行に引き取ることも可能である。図8と同様に、シンカー101の前端部のみを示している。図9は、ノックオーバーバンド111及びシンカー配列110の幅方向Bへの延長部の一部のみを示している。
【0056】
図10は、連結手段113を有するノックオーバーバンド111の部分を概略的に示す斜視図である。連結手段113の取付高さとして機能するスペーサ114は、シンカー配列110のシンカー間に挿入することができ、したがって、その前端におけるその搬送距離を正確に調節して安定させることができる。図9に基づいて、2つのシンカー101は、描かれたスペーサ114によって間隔を空けることができる。
【0057】
図11は、経編機26の編物引取装置115、シンカー配列110及びフック針27を、ステッチ形成領域から経編機前方に向かって水平方向Hzに編物引取装置115を調整した状態で幅方向B視で概略的に示す図である。フック針27は、ニードルバー122によって受け止められる。編みシンカーバーは、図示されていない。図11は、シンカー配列110を、最新技術によるフック針27及びスライダー123を含むスライダーニードル配列を示し、スライダー123の一部は、フック針27によって隠れている。一本の線で示された経編地120は、ノックオーバーエッジ102とほぼ平行に取り出される。また、経糸30又は糸30は、通常、上方から実質的に高さ方向に供給され、これも1本線で概略示される。編物引取装置115は、第1の所定調整位置116で示される。この調整位置では、編物引取装置116の第1ローラ118が反時計回りに回転する。編物引取装置115の第2ローラ119、すなわち、第2ローラ119の軸は、第1ローラ118、すなわち、第1ローラ118の軸の下方に鉛直方向Vに配置される。
【0058】
図12は、経編機の同じ構成要素を幅方向B視で概略的に示しものであるが、編物引取装置115を鉛直方向Vに調整したものである。編物引取装置115は、第2の所定調整位置117で示されている。この調整では、編物引取装置115の第1ローラ118は時計回りに回転する。編物引取装置115の第2ローラ119は、第1ローラ118の上方で鉛直方向Vに配置されている。経編地120は、ノックオーバー7バンド111を介して引き取られる。経編地120は、鉛直方向Vに対して小さな角度で引き取られる。なお、ローラ118,119又はその直径は、編み具と同じ縮尺で図示されていない。
【0059】
図13は、トリコット編機における経編地120を製造するために用いられる構成での本発明に従った経編機26の模式図である。編物引取装置115は、第1の所定調整位置116に位置し、製造された経編地120が水平方向Hzに大きく引取られる。レバー軸3とフック針27との間の相対オフセット31,32は、糸ガイド要素9がトリコット機の回動運動28を実行するように、すなわちフック針27の高さで水平方向Hz及び鉛直方向Vに同等の方向成分で大きく動くように調整される。生成されたステッチは、フック針27によるノックオーバーエッジ102との接触により、シンカー配列110でノックオーバーされる。
【0060】
図14は、ラッシェル機械物における経編地120を製造するために用いられる構成での経編機の模式図である。編物引取装置115は、第2の所定調整位置117に位置し、製造された経編地120が鉛直方向Vに大きく引取られる。レバー軸とフック針との間の相対的オフセット31、32は、糸ガイド要素9がラッシェル機の回動運動29を実行するように、すなわちフック針27の高さで水平方向Hzに主に移動するように調整されている。生成されたステッチは、シンカー配列110で、フック針27によるノックオーバーバンド111とノックオーバーエッジ102との接触により、ノックオーバーされる。ここに、図13の構成と決定的な違いがある。
【符号の説明】
【0061】
1 マシン上部
2 マシン下部
3 ガイドバーのレバー軸
4 スライダーバーのレバー軸
5 ニードルバーのレバー軸
6 ニットシンカーバーのレバー軸
7 バーキャリア
8 ガイドバー
9 糸ガイド要素
10 スペーサプレート
11 ねじ
12 上部中央壁
13 下部中央壁
14 マシンベッド
15 回動駆動部
16 オフセットドライブ
17 細長い孔
18 リニアステップモータ
19 リニアステップモータ出力軸
20 駆動レバー
21 関節部
22 ロータリーステップモータ
23 ロータリーステップモータ出力軸
24 無段変速機
25 マシンフレーム
26 経編機
27 フック針
28 トリコット編機の糸ガイド要素(9)の回動運動
29 ラッシェル機の糸ガイド要素(9)の回動運動
30 糸、経糸
31 機械の奥行き方向(x)におけるレバー軸(3)とフック針(27)との間の相対オフセット
32 機械の高さ方向(y)におけるレバー軸(3)とフック針(27)との間の相対的なオフセット
33 ピボット半径
34 糸ガイド開度
x 機械の奥行き方向
y 機械の高さ方向
z 機械の幅方向
101 シンカー
102 ノックオーバーエッジ
103 ホールドダウンエッジ
104 スロートエッジ
105 ノックオーバーエッジ移行点
106 レイオンエッジ
107 サポーティングエッジ移行点
108 サポーティングエッジ
109 保持装置
110 シンカー配列
111 ノックオーバーバンド
112 ノックオーバーバンドの外面(111)
113 連結手段
114 スペーサエレメント
115 編物引取装置
116 編物引取装置の第1の所定調整位置
117 編物引取装置の第2の所定調整位置
118 引取装置の第1ローラ
119 引取装置の第2ローラ
120 経編地
121 編物引取方向
122 ニードルバー
123 スライダー
B 幅方向
H 高さ方向
L 長手方向
Hz 水平方向
V 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14