(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】駆動トルクを捕捉するトルク支持装置、およびトルク支持装置を備えたロール組立体
(51)【国際特許分類】
B02C 4/02 20060101AFI20241029BHJP
B02C 4/32 20060101ALI20241029BHJP
F16C 13/02 20060101ALI20241029BHJP
D21G 1/02 20060101ALI20241029BHJP
B21B 31/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B02C4/02
B02C4/32
F16C13/02
D21G1/02
B21B31/02
(21)【出願番号】P 2022549110
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(86)【国際出願番号】 DE2021100000
(87)【国際公開番号】W WO2021160200
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】102020103823.2
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】319008317
【氏名又は名称】マシューズ インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーネ ヴェルナー ウォルターズ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-233152(JP,A)
【文献】米国特許第05192030(US,A)
【文献】西独国実用新案公開第08712742(DE,U)
【文献】米国特許第05779126(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0243746(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0277390(US,A1)
【文献】独国特許発明第4019363(DE,C1)
【文献】独国特許出願公開第19619110(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014016973(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 4/00-44
B21B 31/00-32
D21G 1/02
F16C 13/00-06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシャフト駆動装置の駆動トルクを捕捉するトルク支持装置(1)であって、
第一シャフト駆動装置(5)と、
前記第一シャフト駆動装置(5)にそれぞれの第一末端(11)が回転可能に相互に離間して固定される2つの第一力伝導要素(9)と、
前記第一シャフト駆動装置(5)から離間して配置され、それぞれ前記第一末端とは反対側の第二末端(12)で前記第一力伝導要素(9)をそれぞれ回転可能に相互に離間して固定している1つの支え要素(17)と、
前記第一シャフト駆動装置(5)から独立した定置の1つの要素と、
それぞれ第一末端(13)で相互に離間して前記支え要素(17)に固定され、かつそれぞれ前記第一末端とは反対側の第二末端(14)で、前記第一シャフト駆動装置(5)から独立した定置の前記要素で相互に離間して固定される2つの第二力伝導要素(10)と、
を有するトルク支持装置において、
前記2つの第二力伝導要素(10)はそれぞれ前記第一末端(13)が回転可能に前記支え要素(17)に固定され、
またそれぞれ前記第二末端(14)が、前記第一シャフト駆動装置(5)から独立した定置の前記要素に回転可能に固定され、
前記第一力伝導要素(9)の一方と前記第二力伝導要素(10)の一方が、
前記第一シャフト駆動装置(5)での固定点(18)もしくは前記第一シャフト駆動装置(5)から独立した定置の前記要素での固定点(18)と、
前記支え要素(17)での固定点(18)と、
の間で交差することを特徴とするトルク支持装置(1)。
【請求項2】
前記第一シャフト駆動装置(5)と平行に配置され
る第二シャフト駆動装置(6)を有し、前記第二力伝導要素(10)の第二末端(14)が前記第二シャフト駆動装置(6)に回転可能に相互に離間して固定されている請求項1に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項3】
前記第一力伝導要素(9)および前記第二力伝導要素(10)がそれぞれその各固定点(18)の周りで回転可能に支承されている請求項1または2に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項4】
前記第一シャフト駆動装置(5)の駆動シャフトを取り囲む1つの第一フランジ(19)を有し、前記第一力伝導要素(9)の前記第一末端(11)が、相反する側で前記第一フランジ(19)に回転可能に固定されている請求項1~3のいずれか一項に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項5】
前記第二シャフト駆動装置(6)の駆動シャフトを取り囲む1つの第二フランジ(19)を有し、前記第二力伝導要素(10)の前記第二末端(14)が相反する側で前記第二フランジ(19)に回転可能に固定されている請求項
2に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項6】
前記第一シャフト駆動装置(5)または前記第二シャフト駆動装置(6)のフランジ(19)に付加的に間座(20)が取り付けられ、前記間座に前記第一力伝導要素(9)および前記第二力伝導要素(10)の各末端が固定され、前記間座(20)に固定された前記第一力伝導要素(9)および前記第二力伝導要素(10)と別のシャフト駆動装置に固定された前記第一力伝導要素(9)および前記第二力伝導要素(10)が前記第一シャフト駆動装置(5)および前記第二シャフト駆動装置(6)の軸方向に垂直な異なるそれぞれの平面を延びている請求項
2に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項7】
前記第一力伝導要素(9)が正面側で、また前記第二力伝導要素(10)が背面側で前記支え要素(17)に固定されている請求項6に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項8】
前記第一力伝導要素(9)および前記第二力伝導要素(10)の前記支え要素(17)に固定された前記第二末端(12)および前記第一末端(13)が円形周面上に分散して前記支え要素(17)に固定されている請求項1~7のいずれか一項に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項9】
前記第一力伝導要素(9)と前記第二力伝導要素(10)がそれぞれ互いに平行に配置されている請求項1~8のいずれか一項に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項10】
前記第一力伝導要素(9)の一方と前記第二力伝導要素(10)の一方が、前記第一シャフト駆動装置(5)もしくは前記第二シャフト駆動装置(6)での固定点(18)と前記支え要素(17)での固定点(18)との間で交差する請求項
2に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項11】
前記第一力伝導要素(9)の前記第二末端(12)と前記第二力伝導要素(10)の前記第一末端(13)はそれぞれ相反する側で規則的間隔を置いて前記支え要素(17)上で固定されている請求項2~10のいずれか一項に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項12】
前記第一シャフト駆動装置(5)の第一駆動軸(21)と前記第二シャフト駆動装置(6)の第二駆動軸(22)の間の間隔(d)を広げることによって、前記支え要素(17)が、前記第一駆動軸(21)および前記第二駆動軸(22)に近づくようにして動き、前記第一駆動軸(21)と前記第二駆動軸(22)が互いに平行であることを特徴とする請求項
2に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項13】
前記第一力伝導要素(9)および前記第二力伝導要素(10)が棒状に形成されている請求項1~12のいずれか一項に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項14】
前記支え要素(17)がリング状に形成されている請求項1~13のいずれか一項に記載のトルク支持装置(1)。
【請求項15】
少なくとも2つの平行に配置される特に逆回転するロール(7、8)を有し、前記ロールの間にそれぞれロール間隙(23)が形成されており、並置された逆回転する前記第一シャフト駆動装置(5)および前記第二シャフト駆動装置(6)を介して前記ロール(7、8)が駆動され、請求項
2に記載の少なくとも1つのトルク支持装置(1)を有するロール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのシャフト駆動装置の駆動トルクを捕捉するトルク支持装置であって、それぞれ第一末端をシャフト駆動装置に回転可能に相互に離間して固定される2つの第一力伝導要素と、シャフト駆動装置から離間して配置され、かつそれぞれ第一末端とは反対側の第二末端で第一力伝導要素をそれぞれ回転可能に相互に離間して固定している1つの支え要素と、それぞれ第一末端で回転可能に相互に離間して支え要素に固定され、かつそれぞれ第一末端とは反対側の第二末端で、シャフト駆動装置から独立した定置の要素に回転可能に相互に離間して固定される2つの第二力伝導要素とを有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術により知られているカレンダー駆動装置もしくは圧延機駆動装置では駆動トルクが単純なトルク支持装置を介して捕捉され、そこでは駆動装置がロールと直接結合されており、トルクの捕捉はしばしば機械フレーム、外部フレームへの結着を介して行われ、または2つの堅牢で一体なトルク支持装置の相互的捕捉によって行われる。トルク支持装置は、例えば独国実用新案第8712742号明細書により公知である。
【0003】
トルクを片側で捕捉するこの種のトルク支持装置によって力が支承部に持ち込まれる。トルクが現れると、これらのトルクは、末端で力に対抗して働くレバーアームとしてトルク支持装置が振る舞うことによってトルク支持装置によって捕捉される。しかしこれにより駆動装置に対して力が反作用的に発生し、この力により、ロールがその位置から押し出され、捕捉された駆動トルクに応じて設備の精度に対してさまざまな強さの影響を生じることがある。この反作用的な力は、本来のカレンダーと同じ作用方向の成分を持っているので、圧延力またはロール間隙に対して直接影響する。
【0004】
例えば相互に結着されたトルク支持装置で生じる別の問題点として、ロールが水平方向で直線的にずれると、すなわちロール間隙が変わると、ロールの相互角度姿勢が変わることになる。さらに、トルク支持装置を外部で結着するときこの問題が生じる。すなわち、トルク支持装置の支承点が外部で固定されているときロール支承部は限定的にのみ自由に動くことができる。
【0005】
駆動装置の相反する側に位置決めされた2つの外部点を介してトルクを捕捉するとき、支承部もしくは駆動装置に対して反作用的な力は確かに生じない。しかしトルク支持装置のこの実施形態の問題は、2つの連結点が用いられることによって駆動装置は回転的にも直線的にもその姿勢が固定されており、したがって自己に作用する様々な動きを完全には補償できず、もしくは別のロールに対して相対的に動くことができないことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、駆動システムに対して反作用的な各力が伝達されない一方、ロール支承部の姿勢位置に対するトルク支持装置の影響が僅かなものにとどまるようにトルク支持装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1により提案したトルク支持装置もしくは請求項15により提案したロール組立体によって解決される。本発明の有利な実施形態はそれぞれ従属請求項の対象である。
【0008】
それに応じて、少なくとも1つのシャフト駆動装置の駆動トルクを捕捉するトルク支持装置であって、それぞれ第一末端をシャフト駆動装置に回転可能に相互に離間して固定される2つの第一力伝導要素と、シャフト駆動装置から離間して配置され、かつそれぞれ第一末端とは反対側の第二末端で第一力伝導要素をそれぞれ回転可能に相互に離間して固定している1つの支え要素と、それぞれ第一末端で回転可能に相互に離間して支え要素に固定され、かつそれぞれ第一末端とは反対側の第二末端で、シャフト駆動装置から独立した定置の要素に回転可能に相互に離間して固定される2つの第二力伝導要素とを有するものが提案される。トルクの捕捉時、2つの第一力伝導要素のそれぞれ一方は加圧要素、他方は引張要素である。第一力伝導要素の第一末端は特に第一駆動軸の周りで相反する側に配置しておくことができる。支え要素は、力伝導要素の固定点と実質同じ固着平面を延びる平らな要素として形成しておくことができる。第一力伝導要素の第二末端は相反する側で、また第二力伝導要素の第一末端は相反する側で支え要素上に配置しておくことができる。力伝導要素の固定点は特に、固定点が正方形の隅点を規定するように支え要素上に配置しておくことができる。これにより、この正方形で隅点は第一力伝導要素と第二力伝導要素とによって交互に規定することができる。独立した定置の要素は特に機械フレーム、カレンダーとは独立した固着点、またはその他の駆動装置でありえる。支え要素は特に駆動装置の下方で中心に配置し、駆動装置の端面の平面に、または端面と平行に、整列させておくことができる。
【0009】
本発明に係るトルク支持装置の利点は、力伝導要素をそれぞれ単数または複数の駆動装置に固定している2つの回転可能な軸受を介してトルクがさらに力伝導要素に導かれ、トルクの方向に応じて力伝導要素のその都度一方が引張要素、他方が加圧要素であることにある。回転可能な軸受によってシステム的に制約されて、トルクを引張力、加圧力として伝達することが可能であるにすぎない。この構造によりトルク支持装置はトルクを伝達することのみが可能である。別の力がシステムに持ち込まれることはない。こうして駆動トルクの変動が設備の不精確さをもたらすことはない。
【0010】
特に、第二力伝導要素の第二末端は回転可能に相互に離間して、第一シャフト駆動装置と平行に配置される第二シャフト駆動装置に固定しておくことができる。第二力伝導要素の第二末端は特に相反する側で第二駆動軸の周りに配置しておくことができる。これにより、両方の駆動装置および第一、第二力伝導要素の鏡像対称な配置を生じることができ、この配置では対称軸が支え要素を垂直に横切っている。支え要素が自由に動けるので、本発明に係るトルク支持装置でもってロール間隔の変更はやはり可能である。ロール間隔の変更によって支え要素は上下に動けるだけとなろう。両方のロールの角度姿勢はロール位置の変化時にも同一にとどまる。
【0011】
さらに、力伝導要素はそれぞれその都度の固定点の周りで回転可能に支承しておくことができる。これによりその都度引張力、加圧力のみが力伝導要素を介して外部配置の支え要素に導かれ、この支え要素は回転可能な軸受によってのみ力伝導要素の末端で支承されもしくはそこに結合されている。力伝導要素がそれぞれ各固定点の周りを回転可能に支承されているとは、力伝導要素がそれぞれ、付設された駆動装置の軸方向に垂直な1平面で回転可能であることを含意している。力伝導要素は特に回転可能なボルト結合によって各駆動装置に固定しておくことができる。代替的に、各駆動装置と力伝導要素との間に支承部を配置しておくことができる。さらに代替的に、力伝導要素はヒンジ結合を介して各駆動装置に固定しておくことができる。
【0012】
第一力伝導要素の第一末端は相反する側で、第一シャフト駆動装置の駆動シャフトを取り囲む1つのフランジに回転可能に固定しておくことができる。代替的に、第一駆動装置のフランジに中間要素として固着ディスクを取り付け、この固着ディスクにやはり力伝導要素を固定しておくことができる。
【0013】
さらに、第二力伝導要素の第二末端は相反する側で、第二シャフト駆動装置の駆動シャフトを取り囲む1つのフランジに回転可能に固定しておくことができる。代替的に、第二駆動装置のフランジにも中間要素として固着ディスクを取り付け、この固着ディスクにやはり力伝導要素を固定しておくことができる。
【0014】
第一力伝導要素の第一末端を通過する第一の線と第二力伝導要素の第二末端を通過する第二の線が60°~120°、好ましくは80°~100°、特別好ましくは90°の角度で交差するように、力伝導要素はそれぞれ駆動装置に固着しておくことができる。
【0015】
さらに、第一または第二駆動装置のフランジに付加的に間座を取り付け、この間座に力伝導要素の各末端を固定し、間座に固定された力伝導要素と別の駆動装置に固定された力伝導要素が駆動シャフトの軸方向に垂直な異なる諸平面を延びているようにすることができる。代替的に、フランジに固着ディスクが設けられている場合各固着ディスクと各フランジとの間に間座を取り付けておくことができる。固着ディスクはボルトで各フランジに取り付けておくことができる。間座はフランジと直接締結しておくか、または固着ディスクと整列した穴を有し、これらの穴を介して間座と布設された固着ディスクを一緒にフランジに締結しておくことができる。
【0016】
さらに、前側力伝導要素は正面側で、また後側力伝導要素は背面側で支え要素に固定しておくことができる。これにより駆動装置は互いに相対的に自由に動くことができ、もしくは支え要素を上下に動かすことができ、力伝導要素のいずれかが前記動きのいずれかを妨げることはない。さらに、力伝導要素の支え要素に固定される末端は円形周面上に分散して支え要素に固定しておくことができ、もしくは正方形の隅点を規定することができる。
【0017】
さらに、第一力伝導要素と第二力伝導要素はそれぞれ互いに平行に配置しておくことができる。これに伴って、力伝導要素の第一末端の固定点の間隔と第二力伝導要素の固定点の間隔はそれぞれ同じ大きさとなる。
【0018】
さらに、第一力伝導要素の一方と第二力伝導要素の一方は駆動装置での固定点と支え要素での固定点との間で交差することができる。特に、支え要素の駆動装置に近い方の側に固定された第一、第二力伝導要素は駆動装置での固定点と支え要素での固定点との間で交差することができる。それに対して、それぞれ他方の第一、第二力伝導要素は交差しないようにしておくことができる。さらに、第一力伝導要素の第二末端と第二力伝導要素の第一末端はそれぞれ相反する側で規則的間隔を置いて支え要素上で固定しておくことができる。さらに、両方の駆動装置の両方の平行な駆動軸の間の間隔を広げることによって支え要素は駆動軸の方向で動くことができるようにすることができる。
【0019】
さらに、力伝導要素は棒状に形成しておくことができる。特に、力伝導要素はフラットバーとして形成しておくことができる。力伝導要素はすべて同じ長さとすることができる。第一力伝導要素、第二力伝導要素の第一末端と第二末端にそれぞれ穴を設け、これらの穴を介して力伝導要素を各固定点で固着しておくことができる。穴の間隔はいずれの力伝導要素でも同じ大きさとすることができる。力伝導要素の末端はそれぞれ丸み付けしておくことができる。
【0020】
さらに、支え要素はリング状に形成しておくことができる。特に、力伝導要素の末端を固定している支え要素の周面は第一駆動装置および/または第二駆動装置のフランジの周面に一致させ、このフランジ周面上で力伝導要素の反対側末端をそれぞれ固定しておくことができる。特に、支え要素が完結した平形リングを有し、力伝導要素を固定するための穴を規則的間隔を置いてこのリング上に配置しておくことができる。代替的に、力伝導要素の上記固着が確保されているかぎり、支え要素は円形ディスクまたは多角形ディスクの態様を有することができる。
【0021】
本発明がさらに提案するのは、少なくとも2つの平行に配置される特に逆回転するロールを有し、ロールの間にそれぞれロール間隙が形成されており、並置された逆回転するシャフト駆動装置を介してロールが駆動され、少なくとも1つの上記トルク支持装置を有するロール組立体である。本発明の例示的実施形態は以下の図に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】相互に捕捉し合うトルク支持装置の先行技術により公知の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1によるトルク支持装置の先行技術により公知の実施形態の正面図である。
【
図3】両側支承部を有するトルク支持装置の先行技術により公知の実施形態の正面図である。
【
図4】本発明に係るトルク支持装置の第一実施形態の正面図である。
【
図5】本発明に係るトルク支持装置の他の実施形態の正面図である。
【
図6】本発明に係るトルク支持装置の他の実施形態の斜視図である。
【
図7】
図6による本発明に係るトルク支持装置の実施形態の正面図である。
【
図8】本発明に係るトルク支持装置の他の実施形態の斜視図である。
【
図9】
図8による本発明に係るトルク支持装置の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1が示す先行技術により公知のトルクを捕捉するトルク支持装置1の解決策では、カレンダー駆動装置もしくは圧延機駆動装置5、6に現れる駆動トルクが、相互に支え合うトルク支持装置を介して捕捉され、トルク支持装置は片側がそれぞれ駆動装置5、6のフランジ19に堅牢に固着され、反対側では共通する固定点で回転可能に互いに係止されている。駆動装置5、6は各ロール7、8と直接結合されている。駆動軸21、22が互いに平行に整列し、ロール7、8の間に等距離ロール間隙23が形成されている。
【0024】
図2から明らかとなるように、諸力のこの片側捕捉によって力は常に当該支承部に誘導される。例示的に
図2では右側駆動装置5についてのみ説明する。駆動装置側でトルク2が生成されると、このトルク2は力3とレバーアーム26とを介して右側駆動装置5のトルク支持装置1によって捕捉される。しかしこれにより駆動装置5に対して反作用的な力4が生じる。この力4により、ロール7がその位置から押し出され、駆動トルクの強さに応じて設備の精度に対してさまざまな強い作用が生じえることになる。反作用的な力4はカレンダーの送り方向と同じ作用方向の成分を持つので、圧延力もしくはロール間隙23に対して直接的な影響を有する。
【0025】
トルク支持装置1の
図3に示す実施例は
図1、
図2の実施例に対して両側係止部を有し、トルク支持装置1が同じ長さの2つの逆向きのレバーアーム26を有する。両側で支承されるトルク支持装置1によって、トルクを捕捉する力3と反作用的な力4が相殺し合い、これにより支承部に対して力が作用せず、ロール間隙23に影響の生じないことが達成される。しかしその際、駆動装置5は不利なことに2点でその姿勢が固定されており、このようにして種々の動きを完全に補償することはできない。
【0026】
本発明に係るトルク支持装置1の
図4に示す第一実施例は第一ロール7を備えたシャフト駆動装置5を示しており、このロールではトルクの支えが支え要素17を介して行われ、この支え要素は一方で2つの第一力伝導要素9を介して駆動装置のフランジ19と結合され、他方で2つの第二力伝導要素10を介して2つの固定軸受27と結合されている。固定軸受27は、例えば機械の機械フレームまたは固定軸受として適した別の構造物等の外部要素、すなわちシャフト駆動装置5から切り離された要素とすることができる。第一力伝導要素9は第一末端11が固定点18で回転可能に第一シャフト駆動装置5のフランジ19に固着されている。回転可能とは特にシャフト駆動軸21に垂直な1平面における回転を意味する。第一力伝導要素は第二末端12が支え要素17上の固定点18でやはり回転可能に固着されている。力伝導要素9は互いに平行に延びている。これは、一方でフランジ19上の固定点18と他方で支え要素上の固定点18がそれぞれ同じ相互間隔を有することを意味する。力伝導要素は、主に金属製のフラットバーとして形成されている。支え要素17は、特に力伝導要素と同じ幅を有する平形部材からリング状に形成されている。リングの直径は平均して特に固定点18の間隔に一致する。第一力伝導要素9は相反する側で支え要素17上に配置されている。第二力伝導要素10は好ましくは第一力伝導要素9に対してそれぞれ90°ずらされ、回転可能に第一末端13が支え要素17上の固定点18に固着されている。これにより第二力伝導要素10はやはり相反する側で支え要素17上に配置されている。第二力伝導要素10は第二末端14が固定点18で回転可能に固着されており、これらの固定点は特に固定軸受27として形成されている。第二力伝導要素10の固定点18の間隔がやはり同一であり、第二力伝導要素10も互いに平行に延びている。このような配置によって、力伝導要素によりその都度加圧応力または引張応力のみが伝達され、トルクは伝達されないということが達成される。これにより、従来のトルク支持装置に比べて、大きなトルクにより駆動装置がその目標位置から外れることが、著しく低減される。
【0027】
図5に示すトルク支持装置1の別の実施形態では、2つのシャフト駆動装置5、6が、もしくはシャフト駆動装置5、6によって駆動される2つのロール7、8が、互いに平行に配置され、それらの間に共通のロール間隙23を形成している。これにより、駆動装置5、6の駆動方向は常に互いに逆向きである。駆動装置5、6はそれぞれ個別のトルク支持装置1を有する。すなわち、各駆動装置5、6は個別の第一、第二力伝導要素9、10と個別の支え要素17とを有する。第二力伝導要素10はそれぞれその第二末端14が個別の固定軸受27に回転可能に固定されている。トルク支持装置1によって、例えば荷重変動時にトルクが大きい場合でも駆動装置5、6がその目標位置から外れることは避けられ、シャフト駆動軸の間の間隔dが、したがってロール間隙23内での送り量が同じにとどまることになる。
【0028】
図6と
図7に示すトルク支持装置1の別の実施形態において両方の逆回転する駆動装置5、6は、両方の駆動装置5、6が相互に支え合うように共通のトルク支持装置1を有する。トルク2はいまや駆動装置5、6に固定された各2つの平行な力伝導要素9、10を介して排出され、力伝導要素はそれぞれ反対側末端12、13がリング状支え要素17に固定されている。フラットバーとして実施される力伝導要素9、10はそれらの固定点18でそれぞれ回転可能に支承されている。これにより、力伝導要素9、10は単に引張力または加圧力を伝達するのに役立ち、トルクを支え要素17に伝達するのに役立つのではない。そのことから結局、駆動装置5、6に対して反作用的な力が作用することがなく、強いトルクの場合でもロール間隙23に影響が生じることはなくなる。
【0029】
これに加えて、第一力伝導要素9の2つの第一末端11は半径上相反する側で第一駆動軸21に対して直角に第一駆動装置5のフランジ19に固定点18で回転可能に固定されている。第一力伝導要素9はフラットバーとして形成され、同一の長さを有し、相反する側の第二末端12がそれぞれリング状支え要素17の周面上で各固定点18で回転可能に支え要素17に固定されている。第一力伝導要素9は、支え要素17が延びている平面と平行に回転可能である。フランジ19上の固定点18と第一力伝導要素9の支え要素17上の固定点18がそれぞれ同じ間隔を有し、両方の第一力伝導要素9は互いに平行に延びている。
【0030】
第二力伝導要素10の2つの第二末端14は半径上相反する側で第二駆動軸22に対して直角に固定点18で回転可能に第二駆動装置6のフランジ19に固定されている。第二力伝導要素10はやはりフラットバーとして形成され、第一力伝導要素9と同じ長さを有し、相反する側の第一末端13がそれぞれリング状支え要素17の周面上で各固定点18で回転可能に支え要素17に固定されている。第二力伝導要素10は、支え要素17が延びている平面と平行に回転可能である。フランジ19上の固定点18と、第二力伝導要素10の支え要素17上の固定点18はやはりそれぞれ同じ間隔を有し、両方の第二力伝導要素10も互いに平行に延びている。第一駆動装置5のフランジ19上で第一力伝導要素9の固定点18を結ぶ直線と、第二駆動装置6のフランジ19上で第二力伝導要素10の固定点18を結ぶ直線は、ロール組立体の上方において角度αで交差する。この角度の調整によって支え要素17とロール組立体の平行な駆動軸21、22との垂直方向の間隔を調整することができる。リング状支え要素17は平らなリングで形成され、その周面に第一、第二力伝導要素9、10の固定点18が交互に分散配置され、第一力伝導要素9は正面側、第二力伝導要素10は裏面側で支え要素17に固定されており、力伝導要素9、10が相互に邪魔し合うことはない。例えば上側第一力伝導要素9と上側第二力伝導要素10は各フランジ19での固定点18と支え要素17での固定点との間でのそれぞれの区間で交差し、第一力伝導要素9は第二力伝導要素10の前を通過し、各運動クリアランスにおいて両者が邪魔し合うことはない。これに伴い、第一駆動装置5のフランジ19に平形ディスクの態様の間座20が設けられており、この間座は第一駆動装置5で第一力伝導要素9を固定している固着要素の下方に取り付けられている。間座20は、発生する厚さ差を補償するために、第二力伝導要素10の厚さと支え要素17の厚さとを合計した厚さをほぼ有する。
【0031】
駆動軸21、22の間隔dの変更もしくはロール間隙23の変更は、支え要素17が力伝導要素9、10の回転可能な支承によって上下に動くことができるのでやはり可能である。両方のロール7、8の角度姿勢はロール間隔の変化時にも維持することができる。
【0032】
本発明の別の実施形態を示す
図8、
図9では、4つのロール7、8、30、31が互いに平行に配置されて3つのロール間隙23、32、33を形成している。隣接するロールはそれぞれ逆回転である。特に、図示配置では3つのトルク支持装置1が3つの支え要素17を備えて設けられており、支え要素はそれぞれ下方で2つのロールの間に配置されている。この実施形態では内側にある両方のシャフト駆動装置6、28にそれぞれ2つの隣接するトルク支持装置1が付設されている。これにより駆動装置6、28のフランジ19にそれぞれ4つの力伝導要素9、10が回転可能に固着されており、2つの第一力伝導要素9は左下に配置される支え要素17に固着され、2つの第二力伝導要素10は右下に配置される支え要素17に固着されている。図示の実施形態において、第一力伝導要素9はそれぞれ支え要素17の正面側で一平面を延び、第二力伝導要素10は支え要素17の裏面側で一平面を延びている。それに加えて駆動装置5、6、28、29に適宜な間座20が設置されており、これらの間座によって第一、第二力伝導要素9、10のさまざまな固着平面が提供されている。図示実施形態の原理が任意数の並置されるシャフト駆動装置に代替的に応用できることは自明である。以上の説明、図および特許請求の範囲に開示される本発明の諸特徴は単独でもまた任意に組み合わせても本発明を実現するうえで本質的でありえる。
【符号の説明】
【0033】
1 トルク支持装置
2 トルク
3 捕捉する力
4 駆動装置に対する反作用的な力
5 第一シャフト駆動装置
6 第二シャフト駆動装置
7 第一ロール
8 第二ロール
9 第一力伝導要素
10 第二力伝導要素
11 第一力伝導要素の第一末端
12 第一力伝導要素の第二末端
13 第二力伝導要素の第一末端
14 第二力伝導要素の第二末端
15 第一駆動シャフト
16 第二駆動シャフト
17 支え要素
18 固定点
19 フランジ
20 間座
21 第一駆動軸
22 第二駆動軸
23 ロール間隙
24 引張力
25 加圧力
26 レバーアーム
27 固定軸受
28 第三シャフト駆動装置
29 第四シャフト駆動装置
30 第三ロール
31 第四ロール
32 第二ロール間隙
33 第三ロール間隙
d 駆動装置の間の間隔
α 固定点の軸の間の角度