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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】実装基板検査装置および検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G01N21/956 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022565021
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2020044568
(87)【国際公開番号】W WO2022113369
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】新井 健史
(72)【発明者】
【氏名】松久保 貴裕
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-270173(JP,A)
【文献】特許第3067819(JP,B2)
【文献】特開2017-122614(JP,A)
【文献】特開2016-180621(JP,A)
【文献】特開2019-124600(JP,A)
【文献】特開2015-169510(JP,A)
【文献】特開2009-042089(JP,A)
【文献】特開2015-210226(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106289099(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装された実装基板を含む検査対象を撮像する撮像部と、
赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を前記検査対象に照射する同心円照明部と、
前記RGBの同心円光を照射した前記検査対象の前記撮像部による撮像結果に基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するとともに、取得した前記検査対象の傾斜角度に基づいて、前記検査対象の状態を検査する制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、撮像結果における前記検査対象の赤色、緑色および青色の比率であるRGB比率に基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するように構成されており、
前記同心円照明部は、RGBを1色ずつと、同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色とを含み、かつ、中心の色の光と最も外側の色の光とが同時に前記撮像部の撮像範囲を示す観察立体角内に包含されない前記RGBの同心円光を照射するように構成されている、実装基板検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検査対象のRGB比率と、予め取得したRGB比率を傾斜角度に換算する換算情報とに基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている、請求項1に記載の実装基板検査装置。
【請求項3】
前記同心円照明部は、同心円状に配置された赤色光源、緑色光源および青色光源を含むか、または、白色光源と、前記白色光源と対向する位置に配置されたRGBの同心円カラーフィルタとを含む、請求項1またはに記載の実装基板検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検査対象の傾斜角度の変化が基準値以上である場合、前記基準値以上の傾斜角度の変化点をクラックとして検出する制御を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の実装基板検査装置。
【請求項5】
前記部品は、半導体ウエハチップを含み、
前記制御部は、前記検査対象の傾斜角度に基づいて、前記半導体ウエハチップのクラックを検出する制御を行うように構成されている、請求項に記載の実装基板検査装置。
【請求項6】
部品が実装された実装基板を含む検査対象を撮像する撮像部と、
赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を前記検査対象に照射する同心円照明部と、
前記RGBの同心円光を照射した前記検査対象の前記撮像部による撮像結果に基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するとともに、取得した前記検査対象の傾斜角度に基づいて、前記検査対象の状態を検査する制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、撮像結果における前記検査対象の赤色、緑色および青色の比率であるRGB比率に基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するように構成されており、
前記検査対象の高さ情報を計測可能な3次元計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記3次元計測部を用いて取得した前記実装基板の傾斜方向および前記部品の傾斜方向と、前記RGBの同心円光を用いて取得した前記部品の傾斜角度とに基づいて、前記実装基板上の前記部品の浮きを検出する制御を行うように構成されている、実装基板検査装置。
【請求項7】
前記検査対象の高さ情報を計測可能な3次元計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記RGBの同心円光を照射した前記検査対象の前記撮像部による撮像結果に基づく前記検査対象の傾斜角度と、前記3次元計測部による前記検査対象の高さ情報とに基づいて、前記検査対象の状態を検査する制御を行うように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の実装基板検査装置。
【請求項8】
前記撮像部は、撮像用レンズを有し、
前記同心円照明部は、前記撮像用レンズを用いて、前記検査対象に前記RGBの同心円光を照射するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の実装基板検査装置。
【請求項9】
前記撮像用レンズは、前記撮像部において前記検査対象側に最も近い位置に配置された対物レンズである、請求項に記載の実装基板検査装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記RGBの同心円光を照射した前記検査対象の前記撮像部による撮像結果と、白色光を照射した前記検査対象の撮像結果から取得される前記検査対象の色相情報とに基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の実装基板検査装置。
【請求項11】
検査対象を撮像する撮像部と、
赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を前記検査対象に照射する同心円照明部と、
前記RGBの同心円光を照射した前記検査対象の前記撮像部による撮像結果に基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するとともに、取得した前記検査対象の傾斜角度に基づいて、前記検査対象の状態を検査する制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、撮像結果における前記検査対象の赤色、緑色および青色の比率であるRGB比率に基づいて、前記検査対象の傾斜角度を取得するように構成されており、
前記同心円照明部は、RGBを1色ずつと、同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色とを含み、かつ、中心の色の光と最も外側の色の光とが同時に前記撮像部の撮像範囲を示す観察立体角内に包含されない前記RGBの同心円光を照射するように構成されている、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実装基板検査装置および検査装置に関し、特に、検査対象を撮像する撮像部を備える実装基板検査装置および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象を撮像する撮像部を備える検査装置が知られている。このような装置は、たとえば、特許第5866573号公報に開示されている。
【0003】
上記特許第5866573号公報には、検査対象に検査光を照射する検査用照明装置と、検査対象を撮像する撮像装置とを備える検査システム(検査装置)が開示されている。この検査システムは、検査用照明装置により形成される検査光の照射立体角と、撮像装置により形成される観察立体角との包含関係を利用して、検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている。具体的には、この検査システムは、検査対象の傾斜角度に応じて観察立体角に包含される照射立体角が変化し、観察立体角内の光量が変化することを利用して、検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている。すなわち、この検査システムは、明暗情報に基づいて検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5866573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許第5866573号公報に記載された検査システムでは、明暗情報に基づいて検査対象の傾斜角度を取得するため、検査対象の反射率が変化して光量が変化した場合、検査対象の反射率の変化による光量の変化を傾斜角度の変化として誤って取得してしまうという不都合がある。この場合、検査対象の傾斜角度を精度よく取得することができないため、傾斜角度に基づく検査対象の状態の検査を精度よく行うことができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、傾斜角度に基づく検査対象の状態の検査を精度よく行うことが可能な実装基板検査装置および検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1および第2の局面による実装基板検査装置は、部品が実装された実装基板を含む検査対象を撮像する撮像部と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を検査対象に照射する同心円照明部と、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するとともに、取得した検査対象の傾斜角度に基づいて、検査対象の状態を検査する制御を行う制御部と、を備え、制御部は、撮像結果における検査対象の赤色、緑色および青色の比率であるRGB比率に基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている。なお、RGBとは、「Red」、「Green」および「Blue」の頭文字をつなげたものである。
【0008】
この発明の第1および第2の局面による実装基板検査装置では、上記のように、部品が実装された実装基板を含む検査対象を撮像する撮像部と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を検査対象に照射する同心円照明部と、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するとともに、取得した検査対象の傾斜角度に基づいて、検査対象の状態を検査する制御を行う制御部と、を設ける。これにより、検査対象の傾斜角度に応じて撮像結果におけるRGBの各色の明るさが変化することを利用して、検査対象の傾斜角度を取得することができる。ここで、検査対象の反射率が変化した場合、RGBの各色の明るさ(明度)は変化するが、RGBの各色の明るさの変化状態(具合)は変化せずに保持される。このため、検査対象の傾斜角度に応じて撮像結果におけるRGBの各色の明るさが変化することを利用して、検査対象の傾斜角度を取得することにより、単色の明暗情報に基づいて検査対象の傾斜角度を取得する場合と異なり、検査対象の反射率の変化によらず、検査対象の傾斜角度を精度よく取得することができる。その結果、傾斜角度に基づく検査対象の状態の検査を精度よく行うことができる。
【0009】
上記第1および第2の局面による実装基板検査装置では、検査対象の反射率の変化によらないRGB比率に基づいて、検査対象の傾斜角度をより精度よく取得することができるので、傾斜角度に基づく検査対象の状態の検査をより精度よく行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、検査対象のRGB比率と、予め取得したRGB比率を傾斜角度に換算する換算情報とに基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている。このように構成すれば、RGB比率を傾斜角度に換算する換算情報により検査対象のRGB比率を傾斜角度に換算するだけで、検査対象の傾斜角度を簡単かつ確実に取得することができる。
【0011】
上記第1の局面による実装基板検査装置において、好ましくは、同心円照明部は、同心円状に配置された赤色光源、緑色光源および青色光源を含むか、または、白色光源と、白色光源と対向する位置に配置されたRGBの同心円カラーフィルタとを含む。このように構成すれば、同心円照明部が同心円状に配置された赤色光源、緑色光源および青色光源を含む場合、赤色、緑色および青色が同心円状に配置されたRGBの同心円光を容易に得ることができる。また、白色光源と、白色光源と対向する位置に配置されたRGBの同心円カラーフィルタとを含む場合、RGBの各色の光源を別個に設ける場合と異なり、色が混ざることを抑制するために光源同士を仕切る構造が必要ないため、同心円照明部の構造を簡素化することができる。
【0012】
上記第1の局面による実装基板検査装置において、同心円照明部は、RGBを1色ずつと、同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色とを含み、かつ、中心の色の光と最も外側の色の光とが同時に前記撮像部の撮像範囲を示す観察立体角内に包含されないRGBの同心円光を照射するように構成されている。このように構成すれば、RGBの同心円光が同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色を含むことにより、検査対象の傾斜角度測定範囲の終盤(すなわち、検査対象の傾斜角度が大きい場合)においても、複数色の明るさの変化に基づいて、検査対象の傾斜角度を精度よく取得することができる。
【0013】
上記第1の局面による実装基板検査装置において、好ましくは、制御部は、検査対象の傾斜角度の変化が基準値以上である場合、基準値以上の傾斜角度の変化点をクラックとして検出する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、クラックが発生した場合には、通常、クラックの両側で傾斜角度が異なるため、傾斜角度の変化点がクラックに対応することを利用して、検査対象のクラックを精度よく検出することができる。ここで、画像の暗部をクラックとして検出する方法もあるが、画像の暗部をクラックとして検出するような場合、クラックの幅が細い(たとえば1画素未満である)と、画像においてクラックを認識できないため、クラックを検出できない場合がある。一方、本構成では、傾斜角度の変化点をクラックとして検出するので、画像の暗部をクラックとして検出するような場合と異なり、クラックの幅が細く画像においてクラックを暗部として認識できない場合にも、クラックを精度よく検出することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、部品は、半導体ウエハチップを含み、制御部は、検査対象の傾斜角度に基づいて、半導体ウエハチップのクラックを検出する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、クラックが発生しやすい半導体ウエハチップにおいて、クラックを精度よく検出することができる。
【0015】
上記第の局面による実装基板検査装置において、検査対象の高さ情報を計測可能な3次元計測部をさらに備え、制御部は、3次元計測部を用いて取得した実装基板の傾斜方向および部品の傾斜方向と、RGBの同心円光を用いて取得した部品の傾斜角度とに基づいて、実装基板上の部品の浮きを検出する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、精度よく取得した検査対象の傾斜角度に基づいて、実装基板上の部品の浮きを精度よく検出することができる。
【0016】
上記第1の局面による実装基板検査装置において、好ましくは、検査対象の高さ情報を計測可能な3次元計測部をさらに備え、制御部は、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づく検査対象の傾斜角度と、3次元計測部による検査対象の高さ情報とに基づいて、検査対象の状態を検査する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づく検査対象の傾斜角度だけでなく、3次元計測部による検査対象の高さ情報にも基づいて、検査対象の状態をより精度よく検査することができる。
【0017】
上記第1および第2の局面による実装基板検査装置において、好ましくは、撮像部は、撮像用レンズを有し、同心円照明部は、撮像用レンズを用いて、検査対象にRGBの同心円光を照射するように構成されている。このように構成すれば、既存の撮像用レンズを有効に利用して、検査対象にRGBの同心円光を照射することができるので、同心円照明部に照明用レンズを別個に独立して設ける必要がない。その結果、撮像部および同心円照明部の構造の簡素化を図ることができるとともに、撮像部および同心円照明部の配置の省スペース化を図ることができる。
【0018】
この場合、好ましくは、撮像用レンズは、撮像部において検査対象側に最も近い位置に配置された対物レンズである。このように構成すれば、対物レンズとしての撮像用レンズを有効に利用して、検査対象にRGBの同心円光を照射することができる。
【0019】
上記第1および第2の局面による実装基板検査装置において、好ましくは、制御部は、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果と、白色光を照射した検査対象の撮像結果から取得される検査対象の色相情報とに基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するように構成されている。このように構成すれば、色相を持つ面と色相を持たない面とではRGBの反射特性が異なること、および、色相を持つ面でも色相ごとにRGBの反射特性が異なることを考慮して、検査対象の傾斜角度をより精度よく取得することができる。
【0020】
この発明の第の局面による検査装置は、検査対象を撮像する撮像部と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を検査対象に照射する同心円照明部と、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するとともに、取得した検査対象の傾斜角度に基づいて、検査対象の状態を検査する制御を行う制御部と、を備え、制御部は、撮像結果における検査対象の赤色、緑色および青色の比率であるRGB比率に基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するように構成されており、同心円照明部は、RGBを1色ずつと、同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色とを含み、かつ、中心の色の光と最も外側の色の光とが同時に撮像部の撮像範囲を示す観察立体角内に包含されないRGBの同心円光を照射するように構成されている。
【0021】
この発明の第の局面による検査装置では、上記のように、検査対象を撮像する撮像部と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を検査対象に照射する同心円照明部と、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づいて、検査対象の傾斜角度を取得するとともに、取得した検査対象の傾斜角度に基づいて、検査対象の状態を検査する制御を行う制御部と、を設ける。これにより、上記第1および第2の局面による実装基板検査装置と同様に、傾斜角度に基づく検査対象の状態の検査を精度よく行うことが可能な検査装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記のように、傾斜角度に基づく検査対象の状態の検査を精度よく行うことが可能な実装基板検査装置および検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態による実装基板検査装置を示す模式図である。
図2】第1実施形態による同心円照明部および撮像部を示す模式図である。
図3】(A)は、第1実施形態による同心円照明部の第1の例の光源部を光軸に略直交する方向から見た模式図である。(B)は、第1実施形態による同心円照明部の第1の例の光源部を光軸方向から見た模式図である。
図4】(A)は、第1実施形態による同心円照明部の第2の例の光源部を光軸に略直交する方向から見た模式図である。(B)は、第1実施形態による同心円照明部の第2の例の光源部を光軸方向から見た模式図である。
図5】第1実施形態による同心円照明部によるRGBの同心円光を説明するための模式図である。
図6】第1実施形態による実装基板検査装置による検査対象の傾斜角度の取得の原理を説明するための模式図である。
図7】第1実施形態による検査対象の傾斜角度に応じたRGBの各色の明度の変化を説明するためのグラフである。
図8】(A)は、第1実施形態による観察立体角を示す模式図である。(B)は、第1実施形態による照射立体角を示す模式図である。(C)は、第1実施形態による包含限界角度を示す模式図である。
図9】第1実施形態による検査対象の傾斜角度に応じたRGB比率の変化と、RGB比率を傾斜角度に換算する換算情報の取得とを説明するための模式図である。
図10】第1実施形態による部品のクラックの検出を説明するための模式図である。
図11】第1実施形態による部品の浮きの検出を説明するための模式図である。
図12】第1実施形態によるテーブル取得処理を説明するためのフローチャートである。
図13】第1実施形態によるテーブル取得処理を説明するための模式図である。
図14】第1実施形態による基板検査処理を説明するためのフローチャートである。
図15】第2実施形態による同心円照明部および撮像部を示す模式図である。
図16】第3実施形態による同心円照明部および撮像部を示す模式図である。
図17】第3実施形態による同心円照明部によるRGBの同心円光を説明するための模式図である。
図18】第3実施形態による検査対象の傾斜角度に応じたRGB比率の変化を説明するためのグラフである。
図19】(A)は、第4実施形態による同心円照明部の光源部を光軸に略直交する方向から見た模式図である。(B)は、第4実施形態による同心円照明部の光源部を光軸方向から見た模式図である。
図20】色相を持たない面におけるRGB比率を説明するための模式図である。
図21】色相を持つ面におけるRGB比率を説明するための模式図である。
図22】第4実施形態による色相情報の取得と、色相情報に基づいた補正とを説明するための模式図である。
図23】第4実施形態による基板検査処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
[第1実施形態]
(実装基板検査装置の構成)
図1を参照して、本発明の実施形態による実装基板検査装置100の構成について説明する。なお、実装基板検査装置100は、請求の範囲の「検査装置」の一例である。
【0026】
図1に示すように、実装基板検査装置100は、プリント基板などの実装基板Pを検査対象P1(撮像対象)として撮像し、実装基板Pおよび実装基板P上の部品Eに対する各種検査を行う外観検査装置である。実装基板検査装置100は、IC、トランジスタ、コンデンサ、抵抗および半導体ウエハチップなどの部品E(電子部品)を実装基板Pに実装して回路基板を製造するための基板製造ラインの一部を構成している。なお、実装基板検査装置100は、本発明の「検査装置」の一例である。
【0027】
基板製造プロセスの概要としては、まず、配線パターンが形成された実装基板P上に、はんだ印刷装置(図示せず)によって所定のパターンではんだ(はんだペースト)の印刷(塗布)が行われる(はんだ印刷工程)。続いて、はんだ印刷後の実装基板Pに、部品実装装置(図示せず)によって部品Eが搭載(実装)される(実装工程)ことにより、部品Eの端子部がはんだ上に配置される。その後、実装済み実装基板Pがリフロー炉(図示せず)に搬送されてはんだの溶融および硬化(冷却)が行われる(リフロー工程)ことにより、部品Eの端子部が実装基板Pの配線に対して半田接合される。これにより、部品Eが配線に対して電気的に接続された状態で実装基板P上に固定され、基板製造が完了する。
【0028】
実装基板検査装置100は、たとえば、実装工程後における部品Eの実装状態の検査、または、リフロー工程後における部品Eの実装状態の検査などに用いられる。したがって、実装基板検査装置100は、基板製造ラインにおいて1または複数設けられる。部品Eの実装状態としては、部品Eの種類および向き(極性)が適正か否か、部品Eの設計上の実装位置に対する位置ずれの量が許容範囲内か、端子部の半田接合状態が正常か否か、実装基板P上の部品Eに浮きが発生しているか否か、および、部品Eにクラック(割れ)が発生しているか否かなどの検査が行われる。また、各工程間での共通の検査内容として、ゴミやその他の付着物などの異物の検出も行われる。
【0029】
実装基板検査装置100は、実装基板Pを搬送するための基板搬送コンベア10と、基板搬送コンベア10の上方をXY方向(水平方向)およびZ方向(上下方向)に移動可能なヘッド移動機構20と、ヘッド移動機構20によって保持された撮像ヘッド部30と、実装基板検査装置100の制御を行う制御装置40とを備えている。なお、制御装置40は、請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0030】
基板搬送コンベア10は、実装基板PをX方向に搬送するとともに、所定の検査位置で実装基板Pを停止させて保持することが可能なように構成されている。また、基板搬送コンベア10は、検査が終了した実装基板Pを所定の検査位置からX方向に搬送して、実装基板検査装置100から実装基板Pを搬出することが可能なように構成されている。
【0031】
ヘッド移動機構20は、基板搬送コンベア10の上方(Z1方向)に設けられ、たとえばボールねじ軸とサーボモータとを用いた直交3軸(XYZ軸)ロボットにより構成されている。ヘッド移動機構20は、これらのX軸、Y軸およびZ軸の駆動を行うためのX軸モータ21、Y軸モータ22およびZ軸モータ23を備えている。これらのX軸モータ21、Y軸モータ22およびZ軸モータ23により、ヘッド移動機構20は、撮像ヘッド部30を、基板搬送コンベア10(実装基板P)の上方(Z1方向)でXY方向(水平方向)およびZ方向(上下方向)に移動させることが可能なように構成されている。
【0032】
撮像ヘッド部30は、実装基板P(検査対象P1)の2次元情報(2次元画像)および3次元情報(3次元画像)を測定(取得)するように構成されている。撮像ヘッド部30は、撮像部31と、同心円照明部32と、2次元計測部としての2次元照明部33と、3次元計測部34とを備えている。
【0033】
撮像部31は、検査位置に配置された実装基板P(検査対象P1)を撮像するカメラである。撮像部31は、同心円照明部32、2次元照明部33、または、3次元計測部34による光の照射下において、実装基板P(検査対象P1)を撮像するように構成されている。また、撮像部31は、水平方向の基準面に対して垂直方向に光軸が配置されている。つまり、撮像部31は、実装基板P(検査対象P1)の上面を略垂直上方の位置から撮像して、実装基板P(検査対象P1)の2次元画像を取得するように構成されている。
【0034】
同心円照明部32は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を実装基板P(検査対象P1)に照射するように構成されている。同心円照明部32の詳細な構成については、後述する。
【0035】
2次元照明部33は、ドーム照明部33aと、ローアングル照明部33bとを含んでいる。ドーム照明部33aは、ドーム状(半球殻状)の反射部51と、反射部51の内面側に設けられた複数の光源部52とを有している。ドーム照明部33aの照明光の照射下においては、実装基板P(検査対象P1)の無影撮像画像を取得することが可能である。ローアングル照明部33bは、リング状の取付部53と、取付部53の内面側にリング状に設けられた複数の光源部54とを有している。ローアングル照明部33bの照明光の照射下においては、実装基板P(検査対象P1)のエッジを際立たせた撮像画像を取得することが可能である。光源部52および54は、たとえば、白色LEDである。
【0036】
3次元計測部34は、実装基板P(検査対象P1)の高さ情報を含む3次元情報を計測可能に構成されている。3次元計測部34は、たとえば、レーザ光を用いた光切断法により3次元情報を計測可能なレーザ計測部、または、縞パターン光を用いた位相シフト法により3次元情報を計測可能な位相照明部である。光切断法によるレーザ光、または、位相シフト法による縞パターン光の撮像結果に基づいて、実装基板P(検査対象P1)の高さ情報を含む3次元情報を取得することが可能である。
【0037】
制御装置40は、制御部41と、記憶部42と、画像処理部43と、撮像制御部44と、照明制御部45と、モータ制御部46とを含んでいる。
【0038】
制御部41は、論理演算を実行するCPU、CPUを制御するプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)および装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。制御部41は、ROMに記憶されているプログラムや、記憶部42に格納されたソフトウェア(プログラム)に従って、画像処理部43、撮像制御部44、照明制御部45およびモータ制御部46を介して、実装基板検査装置100の各部を制御するように構成されている。そして、制御部41は、撮像ヘッド部30を制御して、実装基板Pに対する各種の外観検査を行う。
【0039】
記憶部42は、各種データの記憶および制御部41による読み出しが可能な不揮発性の記憶装置からなる。記憶部42には、撮像部31によって撮像された撮像画像データ、実装基板Pに実装される部品Eの設計上の位置情報を定めた基板データなどが記憶されている。画像処理部43は、撮像部31によって撮像された撮像画像を画像処理して、実装基板Pおよび実装基板P上の部品Eなどを認識(画像認識)するのに適した画像データを生成するように構成されている。
【0040】
撮像制御部44は、制御部41から出力される制御信号に基づいて、撮像部31から所定のタイミングで撮像信号の読み出しを行うとともに、読み出した撮像信号を画像処理部43に出力するように構成されている。照明制御部45は、制御部41から出力される制御信号に基づいて、同心円照明部32および2次元照明部33を所定のタイミングで点灯させるように構成されている。モータ制御部46は、制御部41から出力される制御信号に基づいて、実装基板検査装置100の各サーボモータ(ヘッド移動機構20のX軸モータ21、Y軸モータ22およびZ軸モータ23、基板搬送コンベア10を駆動するためのモータ(図示せず)など)の駆動を制御するように構成されている。また、モータ制御部46は、各サーボモータのエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいて、撮像ヘッド部30および実装基板Pなどの位置を取得するように構成されている。
【0041】
(撮像部および同心円照明部の構成)
図2に示すように、撮像部31は、対物レンズ(前玉レンズ)31aと、結像レンズ31bと、撮像素子31cとを有している。対物レンズ31aは、撮像部31において検査対象P1側(物体側)に最も近い位置に配置されたレンズである。また、対物レンズ31aは、撮像素子31c側(像側)において対物レンズ31aを通過した光の主光線と対物レンズ31aの光軸とが略平行になるテレセントリックレンズとして設けられている。結像レンズ31bは、対物レンズ31aを通過した光線を結像させるように構成されている。対物レンズ31aおよび結像レンズ31bは、鏡筒31d内に設けられている。撮像素子31cは、たとえばCMOSイメージセンサを含み、対物レンズ31aおよび結像レンズ31bを通過した光線を受光し、電気信号に変換するように構成されている。撮像部31は、テレセントリック光学系を有している。
【0042】
同心円照明部32は、同心円光源部32aと、照射レンズ32bと、ハーフミラー32cとを有している。同心円光源部32aは、赤色、緑色および青色が同心円状に配置されたRGBの同心円光を発するように構成されている。RGBの同心円光は、略円形状の第1の色の光と、略円形状の第1の色の光の外周を取り囲むように配置された略リング状の第2の色の光と、略リング状の第2の色の光の外周を取り囲むように配置された略リング状の第3の色の光とを含んでいる。第1の色の光と、第2の色の光と、第3の色の光とは、中心側から外周側に向かってこの順に配置されている。なお、RGBの同心円光における赤色、緑色および青色の配置順は、特に限られないが、第1~第4実施形態では、便宜上、赤色、緑色および青色が中心側から外周側に向かってこの順に配置されている例について説明する。
【0043】
図3(A)(B)を参照して、同心円光源部32aの第1構成例について説明する。図3(A)(B)に示すように、第1構成例の同心円光源部32aは、同心円状に配置された赤色光源61、緑色光源62および青色光源63を含んでいる。赤色光源61は、最も中心側に配置されており、略円形状の赤色の光を発するように構成されている。赤色光源61は、複数(図3(B)では4つ)の赤色LEDにより構成されている。緑色光源62は、中間の位置に配置されており、略リング状の緑色の光を発するように構成されている。緑色光源62は、複数(図3(B)では16個)の緑色LEDにより構成されている。青色光源63は、最も外周側に配置されており、略リング状の青色の光を発するように構成されている。青色光源63は、複数(図3(B)では32個)の青色LEDにより構成されている。
【0044】
また、第1構成例の同心円光源部32aでは、各色の光源(61、62、63)の光出射方向の前方に拡散板64が設けられているとともに、各色の光源(61、62、63)の間に仕切り板65が設けられている。拡散板64は、光源(61、62、63)から出射された光を拡散させるように構成されている。仕切り板65は、隣り合う光源において光(色)が混じらないように、隣り合う光源間を仕切るように配置されている。こられの構成により、第1構成例の同心円光源部32aは、RGBの同心円光を発することが可能なように構成されている。
【0045】
図4(A)(B)を参照して、同心円光源部32aの第2構成例について説明する。図4(A)(B)に示すように、第2構成例の同心円光源部32aは、白色光源71と、白色光源71と対向する位置に配置されたRGBの同心円カラーフィルタ72とを含んでいる。白色光源71は、略円形状の白色の光を発するように構成されている。白色光源71は、複数(図4(B)では17個)の白色LEDにより構成されている。同心円カラーフィルタ72は、同心円状に配置された赤色フィルタ72a、緑色フィルタ72bおよび青色フィルタ72cを含んでいる。赤色フィルタ72aは、最も中心側に配置されており、赤色の光を選択的に透過させるように構成されている。赤色フィルタ72aは、略円形状を有しており、略円形状の赤色の光を透過させるように構成されている。赤色フィルタ72aは、たとえば赤色のセロファンにより構成されている。緑色フィルタ72bは、中間の位置に配置されており、緑色の光を選択的に透過させるように構成されている。緑色フィルタ72bは、略リング形状を有しており、略リング状の緑色の光を透過させるように構成されている。緑色フィルタ72bは、たとえば緑色のセロファンにより構成されている。青色フィルタ72cは、最も外周側に配置されており、青色の光を選択的に透過させるように構成されている。青色フィルタ72cは、略リング形状を有しており、略リング状の青色の光を透過させるように構成されている。青色フィルタ72cは、たとえば青色のセロファンにより構成されている。
【0046】
また、第2構成例の同心円光源部32aでは、白色光源71と同心円カラーフィルタ72との間に拡散板73が設けられている。拡散板73は、白色光源71から出射された光を拡散させるように構成されている。こられの構成により、第2構成例の同心円光源部32aは、RGBの同心円光を発することが可能なように構成されている。
【0047】
図2に示すように、照射レンズ32bは、同心円光源部32aと検査対象P1との間に設けられ、同心円光源部32aからRGBの同心円光が照射されるように構成されている。照射レンズ32bは、検査対象P1側(物体側)において照射レンズ32bを通過した光(同心円光源部32aからのRGBの同心円光)の主光線と照射レンズ32bの光軸とが略平行になるテレセントリックレンズとして設けられている。検査対象P1には、照射レンズ32bの光軸と主光線が略平行なRGBの同心円光が照射される。また、同心円光源部32aは、検査対象P1に照射レンズ32bの光軸と主光線が略平行なRGBの同心円光が照射されるように、照射レンズ32bから照射レンズ32bの焦点距離分だけ離間した位置に配置されている。
【0048】
ハーフミラー32cは、照射レンズ32bと検査対象P1との間に設けられ、照射レンズ32bを通過したRGBの同心円光が照射されるように構成されている。ハーフミラー32cは、RGBの同心円光を反射させることによって、RGBの同心円光の進行方向を変換することにより、RGBの同心円光を検査対象P1に照射するように構成されている。また、ハーフミラー32cは、検査対象P1から反射したRGBの同心円光を透過させることにより、撮像部31の撮像素子31cにより受光させるように構成されている。同心円照明部32は、テレセントリック光学系を有しているとともに、撮像部31の光軸と略同軸の光(RGBの同心円光)を検査対象P1に照射する同軸照明として機能する。また、RGBの同心円光の径の中心(同心円光源部32aの径の中心)と、照射レンズ32bの光軸と、撮像部31の撮像レンズ(対物レンズ31a、結像レンズ31b)の光軸とは、略一致するように合わせてある。
【0049】
これらの構成により、図5に示すように、同心円照明部32は、検査対象P1の検査面の各点に対して、照射レンズ32bの光軸と主光線が略平行なRGBの同心円光を照射するように構成されている。また、同心円照明部32は、検査対象P1が傾いていない場合の検査対象P1の検査面(略水平な検査面)に対して主光線が略垂直なRGBの同心円光を照射するように構成されている。なお、図5では、理解の容易化のために、ハーフミラー32cの図示を省略している。
【0050】
ここで、本実施形態では、実装基板検査装置100の制御装置40は、同心円照明部32によりRGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果に基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するとともに、取得した検査対象P1の傾斜角度に基づいて、検査対象P1の状態を検査する制御を行うように構成されている。
【0051】
(傾斜角度の取得の原理)
図6および図7を参照して、RGBの同心円光による傾斜角度の取得の原理について説明する。
【0052】
図6は、撮像部31により形成される観察立体角Oと、同心円照明部32により形成される照射立体角Iとの包含関係を示している。ここで、観察立体角Oとは、検査対象P1の検査面の各点に対する撮像部31の撮像範囲(受光範囲)を示すものであり、検査面の各点を頂点とした錐体として表すことができる。また、照射立体角Iとは、検査対象P1の検査面の各点に対する照射光(RGBの同心円光)の照射範囲を示すものであり、検査面の各点を頂点とした錐体として表すことができる。また、照射光の反射光も、照射光と同じ照射立体角Iで表すことができる。撮像部31により受光(撮像)されるのは、照射立体角Iの反射光のうち、観察立体角Oに包含される部分(観察立体角Oとオーバーラップする部分)である。
【0053】
ここで、検査対象P1の検査面が傾斜していない場合(検査面が水平な場合)、照射光が検査対象P1の検査面において正反射されると、反射光(正反射光)は照射光と一致する。一方、検査対象P1の検査面が傾斜角度θbで傾斜している場合、照射光が検査対象P1の検査面において正反射されると、反射光(正反射光)が検査対象P1の検査面の法線に対して照射光と対称の方向(照射光から傾斜角度2θb傾斜した方向)へ反射される。この場合、観察立体角Oと反射光の照射立体角Iとの包含関係が変化する。これにより、撮像部31により受光(撮像)されるRGBの各色の明るさが変化する。
【0054】
図7は、検査対象P1の検査面の傾斜角度に応じたRGBの各色の明るさの変化を示したグラフである。図7のグラフでは、縦軸は、明度(256階調)を示し、横軸は、検査対象P1の検査面の傾斜角度を示している。図7のグラフから理解されるように、検査対象P1の検査面の傾斜角度に応じて、RGBの各色の明るさが連続的に変化している。具体的には、検査対象P1の検査面の傾斜角度が小さいうちは、緑色(G)および青色(B)に対して、赤色(R)の比率が大きくなっている。その後、検査対象P1の検査面の傾斜角度が中程度になるにつれて、赤色(R)の比率が徐々に小さくなるとともに、緑色(G)の比率が徐々に大きくなっている。その後、検査対象P1の検査面の傾斜角度がさらに大きくなるにつれて、緑色(G)の比率が徐々に小さくなるとともに、青色(B)の比率が徐々に大きくなっている。
【0055】
このため、撮像部31による撮像結果におけるRGBの各色の明るさが変化することを利用して、検査対象P1の検査面の傾斜角度を取得することが可能である。具体的には、撮像部31による撮像結果におけるRGBの比率が変化することを利用して、検査対象P1の検査面の傾斜角度を取得することが可能である。
【0056】
(立体角の設計例)
次に、図8(A)~(C)を参照して、観察立体角Oと、照射立体角Iの設計例について説明する。
【0057】
図8(A)に示すように、観察立体角Oの値は、以下の式(1)および(2)により求めることができる。
NA=M/2Fe ・・・(1)
θw=arcsin(NA) ・・・(2)
ここで、
NA:撮像レンズ(対物レンズ)の物体側開口数
M:撮像素子の撮像倍率
Fe:撮像レンズ(対物レンズ)の実効Fナンバー
θw:観察立体角の値
である。
【0058】
たとえば、撮像倍率Mが0.45で、実行FナンバーFeが14.7である場合、開口数NAは、約0.015306(0.45/(2×14.7))となる。この場合、観察立体角Oの値θwは、約0.88度(arcsin(0.015306))となる。
【0059】
図8(B)に示すように、照射立体角Iの値は、以下の式(3)~(5)により求めることができる。
F=f/Φ ・・・(3)
NA=1/2F ・・・(4)
θL=arcsin(NA) ・・・(5)
ここで、
F:照射レンズのFナンバー
f:照射レンズの焦点距離
Φ:同心円光源部の最大径
NA:照射レンズの開口数
θL:照射立体角の値(最大値)
である。
【0060】
たとえば、焦点距離fが208.2mmで、最大径Φが26mmである場合、FナンバーFは、約8.007692(208.2/26)となる。この場合、開口数NAは、約0.06244(1/(2×8.007692))となる。また、照射立体角Iの値θLは、約3.58度(arcsin(0.06244))となる。
【0061】
また、RGBの各色の照射立体角Iの値は、以下の式(6)~(8)により求めることができる。
θz=θL×Φz/Φx ・・・(6)
θy=θL×Φy/Φx-θz ・・・(7)
θx=θL-(θy+θz) ・・・(8)
ここで、
θz:中心の色の照射立体角の値
θy:中間の色の照射立体角の値
θx:最外周の色の照射立体角の値
θL:照射立体角の値(最大値)
Φz:中心の色の光源の最外径
Φy:中間の色の光源の最外径
Φx:最外周の色の光源の最外径
である。
【0062】
たとえば、照射立体角Iの最大値θLが約3.58度で、中心の色(第1実施形態では赤色)の光源の最外径Φzが8.6mmで、中間の色(第1実施形態では緑色)の光源の最外径Φyが17.4mmで、最外周の色(第1実施形態では青色)の光源の最外径Φxが26mmである場合、中心の色の照射立体角Iの値θxは、約1.18度(3.58×8.6/26)となり、中間の色の照射立体角Iの値θyは、約1.21度(3.58×17.4/26-1.18)となり、最外周の色の照射立体角Iの値θxは、約1.19度(3.58-(1.21+1.18))となる。各色の照射立体角Iの値は、各色の光源の最外径に基づいて、設定することが可能である。
【0063】
図8(C)に示すように、包含限界角度(図6参照)は、以下の式(9)により求めることができる。包含限界角度は、観察立体角Oに反射光の照射立体角Iが包含されなくなる場合の観察立体角Oの光軸と反射光の照射立体角Iの光軸とがなす角度である。また、包含限界角度の場合の検査対象P1の検査面の傾斜角度は、以下の式(10)により求めることができる。
θe=θw+θL ・・・(9)
θb=θe/2 ・・・(10)
ここで、
θe:包含限界角度
θw:観察立体角の値
θL:照射立体角の値
θb:包含限界角度の場合の検査対象の検査面の傾斜角度
である。
【0064】
たとえば、観察立体角Oの値θwが約0.88度で、照射立体角Iの値θLが約3.58度である場合、包含限界角度θeは、約4.46度(0.88+3.58)となる。また、包含限界角度θeの場合の検査対象P1の検査面の傾斜角度θbは、約2.23度(4.46/2)となる。この場合、観察立体角Oと照射立体角Iとの包含関係を利用した検査対象P1の検査面の傾斜角度の測定可能範囲は、0度~約2.23度となる。
【0065】
これらから理解されるように、測定を所望する角度範囲に合わせて、観察立体角Oの値θwおよび照射立体角Iの値θLを設定することにより、所望する角度範囲において、検査対象P1の検査面の傾斜角度を測定することが可能である。
【0066】
(検査対象の検査)
次に、図9図11を参照して、RGBの同心円光を利用した検査対象P1の検査について説明する。
【0067】
本実施形態では、制御装置40は、RGBの同心円光を照射した検査対象P1(実装基板P)を撮像部31により撮像させる制御を行うように構成されている。また、制御装置40は、RGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果を取得するように構成されている。また、制御装置40は、取得した撮像結果に基づいて、撮像結果における検査対象P1の赤色、緑色および青色の各色の明度(RGBの明度)を取得するように構成されている。また、制御装置40は、取得したRGBの各色の明度に基づいて、撮像結果における検査対象P1の赤色、緑色および青色の比率であるRGB比率を取得するように構成されている。また、制御装置40は、取得した検査対象P1のRGB比率に基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。具体的には、制御装置40は、検査対象P1のRGB比率と、予め取得したRGB比率を傾斜角度に換算する換算情報42aとに基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。
【0068】
図9に示すように、換算情報42aは、RGB比率を傾斜角度に換算する換算テーブルである。換算情報42aでは、RGB比率と傾斜角度とが対応付けられている。具体的には、換算情報42aでは、所定のRGB比率範囲ごとに、傾斜角度が対応付けられている。なお、図9では、便宜上、所定のRGB比率範囲の中心値のみを図示している。制御装置40は、取得した検査対象P1のRGB比率が、所定のRGB比率範囲内にある場合、換算情報42aから所定のRGB比率範囲に対応付けられた傾斜角度を、検査対象P1の傾斜角度として取得するように構成されている。換算情報42aは、予め取得されて記憶部42に記憶されている。なお、換算情報42aの取得方法の詳細については、後述する。
【0069】
図10および図11に示すように、制御装置40は、検査対象P1の傾斜角度に基づいて、検査対象P1としての実装基板P上の部品Eを検査する制御を行うように構成されている。
【0070】
具体的には、図10に示すように、制御装置40は、検査対象P1の傾斜角度に基づいて、傾斜角度の変化点(傾斜角度の変化境界)をクラックとして検出する制御を行うように構成されている。これにより、制御装置40は、検査対象P1の傾斜角度に基づいて、半導体ウエハチップ(いわゆるダイ)としての部品Eのクラックを検出する制御を行うように構成されている。制御装置40は、傾斜角度の変化が基準値以上である場合、傾斜角度の変化点をクラックとして検出する制御を行うように構成されている。
【0071】
図10は、RGB同心円光を照射して撮像した、クラックが発生した部品Eの模式図である。RGB同心円光を照射して部品Eを撮像した場合、通常、クラックの両側で傾斜角度が異なるため、クラックの両側がRGB比率の異なる色が付いた面として写り込んだ撮像結果が得られる。図10では、クラックの一方側が青系の色が付いた面で、クラックの他方側が緑系の色が付いた面として写り込んだ例を図示している。この場合、青系の色が付いた面と、緑系の色が付いた面との境界が傾斜角度の変化点となるため、クラックとして検出される。なお、図10では、理解の容易化のために、クラックの両側が異なる系統の色である例を図示したが、クラックの両側が同系統の色(青系の色同士など)であっても、基準値以上の傾斜角度の変化があれば、クラックとして検出可能である。
【0072】
また、図11に示すように、制御装置40は、検査対象P1の傾斜角度に基づいて、実装基板P上の部品Eの浮きを検出する制御を行うように構成されている。ここで、RGBの同心円光を利用した場合、傾斜角度を取得することができる一方、傾斜方向については分からない。このため、実装基板P上の部品Eに浮きが発生したことにより部品Eの傾斜角度が取得される場合と、部品Eに浮きが発生していないにもかかわらず、実装基板P自体が傾斜することにより部品Eの傾斜角度が取得される場合とを区別することが困難である。
【0073】
そこで、本実施形態では、制御装置40は、RGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果に基づく検査対象P1の傾斜角度と、3次元計測部34による検査対象P1の高さ情報とに基づいて、実装基板P上の部品Eの浮き(検査対象P1の状態)を検査する制御を行うように構成されている。
【0074】
具体的には、制御装置40は、3次元計測部34による検査対象P1の高さ情報に基づいて、実装基板Pの傾斜方向および傾斜角度と、部品Eの傾斜方向とを取得するように構成されている。そして、制御装置40は、3次元計測部34を用いて取得した実装基板Pの傾斜方向および部品Eの傾斜方向を考慮して、3次元計測部34を用いて取得した実装基板Pの傾斜角度と、RGB同心円光を用いて取得した部品Eの傾斜角度との角度差を取得するように構成されている。そして、制御装置40は、取得した角度差が基準値以上である場合、実装基板P上の部品Eの浮きが発生していることを検出する制御を行うように構成されている。なお、本構成は、散乱光が十分に得られないために、散乱光を用いて計測する3次元計測部34では傾斜角度を正確に計測することが困難な鏡面を有する部品E(半導体ウエハチップなど)の浮きの検出に対して、特に有効である。また、実装基板Pについては、通常、散乱光が十分に得られるため、3次元計測部34により傾斜方向および傾斜角度を計測することが可能である。また、部品Eの傾斜方向については、散乱光が十分に得られない場合にも、3次元計測部34により計測することが可能である。
【0075】
(テーブル取得処理)
次に、図12および図13を参照して、第1実施形態の実装基板検査装置100によるテーブル取得処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、テーブル取得処理は、実装基板検査装置100による検査対象P1の検査を行う前に行われる。また、フローチャートの各処理は、制御装置40により行われてもよいし、作業者により行われてもよい。
【0076】
また、テーブル取得処理は、図13に示すように、換算情報42aを取得するための専用の治具Jを用いて行われる。治具Jは、色相を持たないプレートである。たとえば、治具Jとしては、鏡面のアルミニウム製のプレートを採用することができる。
【0077】
図12および図13に示すように、まず、ステップS1において、同心円照明部32によりRGB同心円光を照射した治具Jの撮像部31による撮像結果が取得される。1回目のステップS1では、治具Jは、水平な状態(傾斜角度0の状態)に設定されている。
【0078】
そして、ステップS2において、治具Jの撮像結果に基づいて治具JのRGB比率が取得されて保存される。
【0079】
そして、ステップS3において、治具Jが所定角度(たとえば、0.1度)傾けられる。
【0080】
そして、ステップS4において、測定範囲分(たとえば、2.5度分)測定したか否かが判断される。測定範囲分測定していないと判断された場合、ステップS1に進む。そして、測定範囲分の測定が完了されるまで、ステップS1~S4の処理が繰り返される。
【0081】
また、ステップS4において、測定範囲分測定していると判断された場合、ステップS5に進む。ステップS5に進む段階では、図9に示すような治具Jの傾斜角度に応じたRGB比率の変化の測定結果を取得することが可能である。
【0082】
そして、ステップS5において、治具Jの傾斜角度に応じたRGB比率の変化の測定結果に基づいて、RGB比率を傾斜角度に換算する換算情報42aが取得(作成)されて記憶部42に記憶される。
【0083】
(基板検査処理)
次に、図14を参照して、第1実施形態の実装基板検査装置100による基板検査処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、制御装置40により行われる。
【0084】
図14に示すように、まず、ステップS11において、同心円照明部32によりRGB同心円光を照射した検査対象P1(実装基板P)の撮像部31による撮像結果が取得される。
【0085】
そして、ステップS12において、検査対象P1の撮像結果に基づいて検査対象P1のRGB比率が取得される。ステップS12では、たとえば、撮像結果(画像)の画素ごとのRGB比率が取得される。また、ステップS12では、たとえば、撮像結果(画像)の画素の集合体ごとのRGB比率(集合体におけるRGB平均比率)が取得される。なお、画素の集合体とは、たとえば、撮像結果(画像)において同一平面とみなせる画素の集まりである。
【0086】
そして、ステップS13において、検査対象P1のRGB比率と、換算情報42aとに基づいて、検査対象P1の傾斜角度が取得される。ステップS13では、たとえば、撮像結果(画像)の画素ごとの傾斜角度が取得される。また、ステップS12では、たとえば、撮像結果(画像)の画素の集合体ごとの傾斜角度が取得される。
【0087】
そして、ステップS14において、検査対象P1の傾斜角度に基づいて検査対象P1の状態の検査が行われる。ステップS14では、検査対象P1の傾斜角度に基づいて傾斜角度の変化点が部品Eのクラックとして検出される。また、ステップS14では、部品Eの傾斜角度と、3次元計測部34により取得した実装基板Pの傾斜方向、傾斜角度および部品Eの傾斜方向と基づいて、実装基板Pとの間に極端な角度差を有する部品Eが、実装基板Pからの浮きが発生した部品Eとして検出される。そして、基板検査処理が終了される。
【0088】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0089】
第1実施形態では、上記のように、実装基板検査装置100に、部品Eが実装された実装基板Pを含む検査対象P1を撮像する撮像部31と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)が同心円状に配置されたRGBの同心円光を検査対象P1に照射する同心円照明部32と、RGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果に基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するとともに、取得した検査対象P1の傾斜角度に基づいて、検査対象P1の状態を検査する制御を行う制御装置40と、を設ける。これにより、検査対象P1の傾斜角度に応じて撮像結果におけるRGBの各色の明るさが変化することを利用して、検査対象P1の傾斜角度を取得することができる。ここで、検査対象P1の反射率が変化した場合、RGBの各色の明るさ(明度)は変化するが、RGBの各色の明るさの変化状態(具合)は変化せずに保持される。このため、検査対象P1の傾斜角度に応じて撮像結果におけるRGBの各色の明るさが変化することを利用して、検査対象P1の傾斜角度を取得することにより、単色の明暗情報に基づいて検査対象P1の傾斜角度を取得する場合と異なり、検査対象P1の反射率の変化によらず、検査対象P1の傾斜角度を精度よく取得することができる。その結果、傾斜角度に基づく検査対象P1の状態の検査を精度よく行うことができる。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置40は、撮像結果における検査対象P1の赤色、緑色および青色の比率であるRGB比率に基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。これにより、検査対象P1の反射率の変化によらないRGB比率に基づいて、検査対象P1の傾斜角度をより精度よく取得することができるので、傾斜角度に基づく検査対象P1の状態の検査をより精度よく行うことができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置40は、検査対象P1のRGB比率と、予め取得したRGB比率を傾斜角度に換算する換算情報42aとに基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。これにより、RGB比率を傾斜角度に換算する換算情報42aにより検査対象P1のRGB比率を傾斜角度に換算するだけで、検査対象P1の傾斜角度を簡単かつ確実に取得することができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、同心円照明部32は、同心円状に配置された赤色光源61、緑色光源62および青色光源63を含むか、または、白色光源71と、白色光源71と対向する位置に配置されたRGBの同心円カラーフィルタ72とを含む。これにより、同心円照明部32が同心円状に配置された赤色光源61、緑色光源62および青色光源63を含む場合、赤色、緑色および青色が同心円状に配置されたRGBの同心円光を容易に得ることができる。また、白色光源71と、白色光源71と対向する位置に配置されたRGBの同心円カラーフィルタ72とを含む場合、RGBの各色の光源を別個に設ける場合と異なり、色が混ざることを抑制するために光源同士を仕切る構造が必要ないため、同心円照明部32の構造を簡素化することができる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置40は、検査対象P1の傾斜角度に基づいて、傾斜角度の変化点をクラックとして検出する制御を行うように構成されている。これにより、クラックが発生した場合には、通常、クラックの両側で傾斜角度が異なるため、傾斜角度の変化点がクラックに対応することを利用して、検査対象P1のクラックを精度よく検出することができる。ここで、画像の暗部をクラックとして検出する方法もあるが、画像の暗部をクラックとして検出するような場合、クラックの幅が細い(たとえば1画素未満である)と、画像においてクラックを認識できないため、クラックを検出できない場合がある。一方、本構成では、傾斜角度の変化点をクラックとして検出するので、画像の暗部をクラックとして検出するような場合と異なり、クラックの幅が細く画像においてクラックを暗部として認識できない場合にも、クラックを精度よく検出することができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、部品Eは、半導体ウエハチップを含む。また、制御装置40は、検査対象P1の傾斜角度に基づいて、半導体ウエハチップのクラックを検出する制御を行うように構成されている。これにより、クラックが発生しやすい半導体ウエハチップにおいて、クラックを精度よく検出することができる。
【0095】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置40は、検査対象P1の傾斜角度に基づいて、実装基板P上の部品Eの浮きを検出する制御を行うように構成されている。これにより、精度よく取得した検査対象P1の傾斜角度に基づいて、実装基板P上の部品Eの浮きを精度よく検出することができる。
【0096】
また、第1実施形態では、上記のように、実装基板検査装置100は、検査対象P1の高さ情報を計測可能な3次元計測部34を備える。また、制御装置40は、RGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果に基づく検査対象P1の傾斜角度と、3次元計測部34による検査対象P1の高さ情報とに基づいて、検査対象P1の状態を検査する制御を行うように構成されている。これにより、RGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果に基づく検査対象P1の傾斜角度だけでなく、3次元計測部34による検査対象P1の高さ情報にも基づいて、検査対象P1の状態をより精度よく検査することができる。
【0097】
[第2実施形態]
次に、図15を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、同心円照明部に照射レンズを設けた上記第1実施形態と異なり、撮像部の対物レンズを同心円照明部の照射レンズとして用いる例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0098】
(実装基板検査装置の構成)
本発明の第2実施形態による実装基板検査装置200は、図15に示すように、上記第1実施形態の同心円照明部32に代えて、同心円照明部132を備える点で、上記第1実施形態による実装基板検査装置100と相違する。なお、実装基板検査装置200は、2次元照明部33と、3次元計測部34とを備えている。また、実装基板検査装置200は、請求の範囲の「検査装置」の一例である。
【0099】
ここで、第2実施形態では、図15に示すように、同心円照明部132は、撮像部31において検査対象P1側に最も近い位置に配置された対物レンズ31aを用いて、検査対象P1にRGBの同心円光を照射するように構成されている。すなわち、第2実施形態の同心円照明部132は、上記第1実施形態の照射レンズ32bに代えて、撮像部31の対物レンズ31aを含んでいる。対物レンズ31aは、撮像部31の撮像用レンズと、同心円照明部132の照射用レンズとを兼ねている。なお、対物レンズ31aは、請求の範囲の「撮像用レンズ」の一例である。
【0100】
第2実施形態では、対物レンズ31aは、ハーフミラー32cと検査対象P1との間に設けられ、ハーフミラー32cにより反射されたRGBの同心円光が照射されるように構成されている。対物レンズ31aは、検査対象P1側(物体側)において対物レンズ31aを通過した光(同心円光源部32aからのRGBの同心円光)の主光線と対物レンズ31aの光軸とが略平行になるテレセントリックレンズとして設けられている。また、同心円光源部32aは、検査対象P1に対物レンズ31aの光軸と主光線が略平行なRGBの同心円光が照射されるように、対物レンズ31aから対物レンズ31aの焦点距離分だけ離間した位置に配置されている。
【0101】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0102】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0103】
第2実施形態では、上記のように、撮像部31は、対物レンズ31aを有する。また、同心円照明部132は、対物レンズ31aを用いて、検査対象P1にRGBの同心円光を照射するように構成されている。これにより、既存の対物レンズ31aを有効に利用して、検査対象P1にRGBの同心円光を照射することができるので、同心円照明部132に照明用レンズを別個に独立して設ける必要がない。その結果、撮像部31および同心円照明部132の構造の簡素化を図ることができるとともに、撮像部31および同心円照明部132の配置の省スペース化を図ることができる。
【0104】
また、第2実施形態では、上記のように、対物レンズ31aは、撮像部31において検査対象P1側に最も近い位置に配置された対物レンズである。これにより、対物レンズ31aを有効に利用して、検査対象P1にRGBの同心円光を照射することができる。
【0105】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0106】
[第3実施形態]
次に、図16図18を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、同心円照明部に3色を設けた上記第1および第2実施形態と異なり、同心円照明部に4色を設けた例について説明する。なお、上記第1および第2実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0107】
(実装基板検査装置の構成)
本発明の第3実施形態による実装基板検査装置300は、図16に示すように、上記第2実施形態の同心円照明部132に代えて、同心円照明部232を備える点で、上記第2実施形態による実装基板検査装置200と相違する。なお、実装基板検査装置300は、2次元照明部33と、3次元計測部34とを備えている。また、実装基板検査装置300は、請求の範囲の「検査装置」の一例である。
【0108】
ここで、第3実施形態では、図16に示すように、同心円照明部232は、RGBを1色ずつと、同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色とを含む、RGBの同心円光を照射するように構成されている。具体的には、同心円照明部232は、上記第2実施形態の同心円光源部32aに代えて、同心円光源部232aを有している。
【0109】
図16および図17に示すように、同心円光源部232aは、RGBを1色ずつと、同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色とを含む、RGBの同心円光を発するように構成されている。RGBの同心円光は、略円形状の第1の色の光と、略円形状の第1の色の光の外周を取り囲むように配置された略リング状の第2の色の光と、略リング状の第2の色の光の外周を取り囲むように配置された略リング状の第3の色の光と、略リング状の第3の色の光の外周を取り囲むように配置された略リング状の第1の色の光とを含んでいる。中心の第1の色の光と、第2の色の光と、第3の色の光と、最も外側の第1の色の光とは、中心側から外周側に向かってこの順に配置されている。なお、RGBの同心円光における赤色、緑色および青色の配置順および中心と最も外側の色は、特に限られないが、図16および図17に示す例では、一例として、赤色、緑色、青色および赤色が中心側から外周側に向かってこの順に配置されている。
【0110】
また、同心円光源部232aは、中心の色の照射立体角Iの終端(外側端)と、最も外側の色の照射立体角Iの始端(内側端)との間の角度が、観察立体角Oの値よりも大きいRGBの同心円光を照射するように構成されている。すなわち、同心円光源部232aは、中心の色の光と、最も外側の色の光との同一色の光が同時に観察立体角O内に包含されないRGBの同心円光を照射するように構成されている。
【0111】
図18は、第3実施形態の同心円照明部232を利用した検査対象P1の検査面の傾斜角度に応じたRGB比率の変化を示したグラフである。図18に示すグラフと、上記第1実施形態の図9に示すグラフとを比較すると、図18に示すグラフでは、検査対象P1の傾斜角度測定範囲の終盤(すなわち、検査対象P1の傾斜角度が大きい場合)において、赤色と青色との比率が変化していることが分かる。すなわち、図18に示すグラフでは、検査対象P1の傾斜角度測定範囲の終盤においても、複数色(2色)の明るさの変化(比率の変化)に基づいて、傾斜角度を取得することができることが分かる。すなわち、第3実施形態では、検査対象P1の傾斜角度測定範囲の終盤における参考データを増やした状態で、傾斜角度を取得することが可能である。なお、詳細な説明は省略するが、第3実施形態では、換算情報42aとして、図18に示すようなグラフに対応する情報が取得(作成)される。
【0112】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0113】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0114】
第3実施形態では、上記のように、同心円照明部232は、RGBを1色ずつと、同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色とを含む、RGBの同心円光を照射するように構成されている。これにより、RGBの同心円光が同心円の最も外側にRGBのうち同心円の中心の色と同じ色を含むことにより、検査対象P1の傾斜角度測定範囲の終盤(すなわち、検査対象P1の傾斜角度が大きい場合)においても、複数色の明るさの変化に基づいて、検査対象P1の傾斜角度を精度よく取得することができる。
【0115】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0116】
[第4実施形態]
次に、図19図23を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えて、色相情報をさらに考慮して傾斜角度を取得する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0117】
(実装基板検査装置の構成)
本発明の第4実施形態による実装基板検査装置400は、図19(A)(B)に示すように、上記第1実施形態の同心円照明部32に代えて、同心円照明部332を備える点で、上記第1実施形態による実装基板検査装置100と相違する。なお、実装基板検査装置400は、2次元照明部33と、3次元計測部34とを備えている。また、実装基板検査装置400は、請求の範囲の「検査装置」の一例である。
【0118】
第4実施形態では、図19(A)(B)に示すように、同心円照明部332は、RGBの同心円光に加えて、白色光を検査対象P1に照射することが可能なように構成されている。具体的には、同心円照明部332は、上記第1実施形態の同心円光源部32aに代えて、同心円光源部332aを有している。
【0119】
同心円光源部332aは、赤色光源61、緑色光源62および青色光源63に加えて、白色光源366をさらに含んでいる。白色光源366は、RGBの同心円光と略同じ略円形状の白色の光を発するように構成されている。白色光源366は、複数(図19(B)では17個)の白色LEDにより構成されている。また、同心円光源部332aは、赤色光源61、緑色光源62および青色光源63と、白色光源366とを互いに独立して点灯させることが可能なように構成されている。これにより、同心円照明部332は、RGBの同心円光と、白色光とを互いに独立して検査対象P1に照射することが可能なように構成されている。この場合、同心円照明部332と別個に独立して白色照明を設ける必要がないので、装置の構造が複雑化することを抑制することが可能である。
【0120】
ここで、図20および図21を参照して、色相を持つ面と、色相を持たない面とでのRGBの反射特性の相違について説明する。
【0121】
図20に示すように、色相を持たない面(鏡面、白色面、黒色面および灰色面など)では、RGBの各色に対する反射特性は同じである。このため、色相を持たない面にRGBの同心円光を照射した場合、色相を持たない面の種類(鏡面、白色面、黒色面および灰色面など)によって、反射光の強度は変化するが、色相を持たない面の種類(鏡面、白色面、黒色面および灰色面など)によらず、反射光のRGB比率は変化せず保持される。この場合、図9に示すような換算情報42aにより、傾斜角度を取得することが可能である。
【0122】
一方、図21に示すように、色相を持つ面(緑色面、黄色面および赤色面など)では、RGBの各色に対する反射特性が色相ごとに異なる。このため、色相を持つ面にRGBの同心円光を照射した場合、色相を持つ面の種類(緑色面、黄色面および赤色面など)によって、反射光のRGB比率が変化する。この場合、図9に示すような換算情報42aだけでは、傾斜角度を取得することが困難である。なお、実装基板Pにおいては、色相を持つ面は、たとえば、銅箔面(赤系の色相の面)および金箔面(黄系の色相の面)などである。
【0123】
そこで、図22に示すように、第4実施形態では、制御装置40は、RGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果と、白色光を照射した検査対象P1の撮像結果から取得される検査対象P1の色相情報とに基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。
【0124】
具体的には、制御装置40は、同心円照明部332により白色光を照射した検査対象P1(実装基板P)を撮像部31により撮像させる制御を行うように構成されている。また、制御装置40は、白色光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果を取得するように構成されている。また、制御装置40は、取得した撮像結果に基づいて、撮像結果における検査対象P1のRGBの各色の明度(色相情報)を取得するように構成されている。また、制御装置40は、取得した検査対象P1のRGBの各色の明度に基づいて、検査対象P1の色相補正係数(色相情報)を取得するように構成されている。色相補正係数は、色相によるRGB比率の相違をキャンセルするための係数である。色相補正係数は、たとえば、白色光の照射下における検査対象P1のRGB比率の逆数として取得される。
【0125】
また、制御装置40は、上記第1実施形態と同様に、同心円照明部332によりRGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果に基づいて、RGBの各色の明度を取得するように構成されている。また、制御装置40は、RGBの同心円光を用いて取得した検査対象P1のRGBの各色の明度に、検査対象P1の色相補正係数を乗算することにより、RGBの同心円光を用いて取得した検査対象P1の撮像結果を補正する制御を行うように構成されている。これにより、制御装置40は、色相の相違を補正した検査対象P1の撮像結果を取得するように構成されている。
【0126】
また、制御装置40は、補正後の検査対象P1の撮像結果に基づいて、色相の相違を補正した検査対象P1のRGB比率を取得するように構成されている。また、制御装置40は、取得した検査対象P1のRGB比率に基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。具体的には、制御装置40は、検査対象P1のRGB比率と、換算情報42aとに基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。
【0127】
また、第4実施形態では、RGBの同心円光と同一光路(同一照射経路)で照射した白色光による検査対象P1の撮像結果を取得するので、白色光による検査対象P1の撮像結果に基づいて検査対象P1の色相補正係数(色相情報)を精度よく取得することが可能である。
【0128】
図22では、色相を持たない銀色面(半導体ウエハチップ)、色相を持つ黄色面(金箔)、および、色相を持つ赤色面(銅箔)の3つの面に対して、上記色相補正を行う例を図示している。なお、3つの面は、同一角度に傾斜されている。
【0129】
白色光の照射下の撮像結果において、色相を持たない銀色面では、RGBの各色の反射特性が同じであるため、赤色、緑色および青色の明度はいずれも100である。また、色相を持つ黄色面では、RGBの各色の反射特性が異なるため、赤色の明度が100であり、緑色の明度が100であり、青色の明度が50である。また、色相を持つ赤色面では、RGBの各色の反射特性が異なるため、赤色の明度が100であり、緑色の明度が50であり、青色の明度が25である。
【0130】
この撮像結果に基づいて色相補正係数を取得した場合、色相を持たない銀色面では、赤色、緑色および青色の色相補正係数はいずれも1(R係数:G係数:B係数=1:1:1)となる。また、色相を持つ黄色面では、赤色の色相補正係数が1となり、緑色の色相補正係数が1となり、青色の色相補正係数が2(R係数:G係数:B係数=1:1:2)となる。また、色相を持つ赤色面では、赤色の色相補正係数が1となり、緑色の色相補正係数が2となり、青色の色相補正係数が4(R係数:G係数:B係数=1:2:4)となる。
【0131】
また、RGB同心円光の照射下の撮像結果において、色相を持たない銀色面では、赤色の明度が42であり、緑色の明度が5であり、青色の明度が92である。また、色相を持つ黄色面では、青色の反射光が得られにくいため、色相を持たない銀色面とは異なり、赤色の明度が42であり、緑色の明度が5であり、青色の明度が46である。また、色相を持つ赤色面では、緑色および青色の反射光が得られにくいため、色相を持たない銀色面とは異なり、赤色の明度が42であり、緑色の明度が2.5であり、青色の明度が23である。
【0132】
このように、上記色相補正を行わない場合には、色相を持たない銀色面、色相を持つ黄色面、および、色相を持つ赤色面の3つの面の各々においてRGB比率が異なるため、3つの面の各々が同一の傾斜角度を有しているにもかかわらず、3つの面において異なる傾斜角度が取得されてしまう。
【0133】
一方、色相補正係数に基づいてRGB同心円光の照射下の撮像結果を補正した場合、色相を持たない銀色面では、R係数:G係数:B係数=1:1:1であるため、色相補正係数を明度に乗算すると、補正後の赤色の明度が42となり、補正後の緑色の明度が5となり、補正後の青色の明度が92となる。また、色相を持つ黄色面では、R係数:G係数:B係数=1:1:2であるため、色相補正係数を明度に乗算すると、補正後の赤色の明度が42となり、補正後の緑色の明度が5となり、青色の明度が92となる。また、色相を持つ赤色面では、R係数:G係数:B係数=1:2:4であるため、色相補正係数を明度に乗算すると、補正後の赤色の明度が42となり、補正後の緑色の明度が5となり、青色の明度が92となる。
【0134】
このように、上記色相補正を行う場合には、色相を持たない銀色面、色相を持つ黄色面、および、色相を持つ赤色面の3つの面の各々においてRGB比率が同じになるため、同一の傾斜角度を有する3つの面において同一の傾斜角度を取得することが可能である。
【0135】
(基板検査処理)
次に、図23を参照して、第4実施形態の実装基板検査装置400による基板検査処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、制御装置40により行われる。
【0136】
図23に示すように、まず、ステップS21において、同心円照明部332により白色光を照射した検査対象P1(実装基板P)の撮像部31による撮像結果が取得される。
【0137】
そして、ステップS22において、検査対象P1の撮像結果に基づいて検査対象P1の色相補正係数が取得される。ステップS22では、たとえば、撮像結果(画像)の画素ごとの色相補正係数が取得される。また、ステップS22では、たとえば、撮像結果(画像)の画素の集合体ごとの色相補正係数(集合体における平均の色相補正係数)が取得される。
【0138】
そして、ステップS23において、同心円照明部332によりRGB同心円光を照射した検査対象P1(実装基板P)の撮像部31による撮像結果が取得される。
【0139】
そして、ステップS24において、色相補正係数に基づいて、RGB同心円光を用いて取得した検査対象P1の撮像結果が補正される。
【0140】
そして、ステップS25において、補正後の検査対象P1の撮像結果に基づいて検査対象P1のRGB比率が取得される。ステップS25では、たとえば、撮像結果(画像)の画素ごとのRGB比率が取得される。また、ステップS25では、たとえば、撮像結果(画像)の画素の集合体ごとのRGB比率が取得される。
【0141】
そして、ステップS26において、補正後の検査対象P1のRGB比率と、換算情報42aとに基づいて、検査対象P1の傾斜角度が取得される。ステップS26では、たとえば、撮像結果(画像)の画素ごとの傾斜角度が取得される。また、ステップS12では、たとえば、撮像結果(画像)の画素の集合体ごとの傾斜角度が取得される。
【0142】
そして、ステップS27において、検査対象P1の傾斜角度に基づいて検査対象P1の状態の検査が行われる。ステップS27では、検査対象P1の傾斜角度に基づいて傾斜角度の変化点が部品Eのクラックとして検出される。また、ステップS27では、部品Eの傾斜角度と、3次元計測部34により取得した実装基板Pの傾斜方向、傾斜角度および部品Eの傾斜方向と基づいて、実装基板Pとの間に極端な角度差を有する部品Eが、実装基板Pからの浮きが発生した部品Eとして検出される。そして、基板検査処理が終了される。
【0143】
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0144】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0145】
第4実施形態では、上記のように、制御装置40は、RGBの同心円光を照射した検査対象P1の撮像部31による撮像結果と、白色光を照射した検査対象P1の撮像結果から取得される検査対象P1の色相情報とに基づいて、検査対象P1の傾斜角度を取得するように構成されている。これにより、色相を持つ面と色相を持たない面とではRGBの反射特性が異なること、および、色相を持つ面でも色相ごとにRGBの反射特性が異なることを考慮して、検査対象P1の傾斜角度をより精度よく取得することができる。
【0146】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0147】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0148】
たとえば、上記第1~第4実施形態では、本発明を、実装基板検査装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、実装基板検査装置以外の検査装置に適用されてもよい。なお、本発明は、鏡面部材および透明部材(透明ケースなど)などの十分な散乱光が得られにくいために、傾斜角度の情報が得られにくい部材(検査対象)の検査に特に適している。
【0149】
また、上記第1~第4実施形態では、実装基板検査装置(検査装置)が、2次元照明部と3次元計測部とを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検査装置が、2次元照明部と3次元計測部とを備えていなくてもよい。また、検査装置が、2次元照明部と3次元計測部とのうちのいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0150】
また、上記第1~第4実施形態では、同心円光源部と検査対象との間にハーフミラーを設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、同心円光源部と検査対象との間にプリズムを設けてもよい。
【0151】
また、上記第1~第4実施形態では、換算情報が換算テーブルである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、換算情報が、RGB比率を傾斜角度に換算する換算用関数であってもよい。
【0152】
また、上記第1~第4実施形態では、検査対象の傾斜角度に基づいて、部品のクラックおよび部品の浮きを検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検査対象の傾斜角度に基づいて、検査対象(部品および基板など)のゆがみを検出してもよい。
【0153】
また、上記第1~第4実施形態では、検査対象の傾斜角度に基づいて、半導体ウエハチップのクラックを検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検査対象の傾斜角度に基づいて、LED部品のモールド部分(透明樹脂部分)のクラックを検出してもよい。
【0154】
また、上記第1~第4実施形態では、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づく検査対象の傾斜角度と、3次元計測部による検査対象の高さ情報とに基づいて、部品の浮きを検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づく検査対象の傾斜角度と、3次元計測部による検査対象の高さ情報とに基づいて、部品のクラックを検出してもよい。また、本発明では、可能な場合には、RGBの同心円光を照射した検査対象の撮像部による撮像結果に基づく検査対象の傾斜角度のみに基づいて、部品の浮きを検出してもよい。
【0155】
また、上記第1および第4実施形態では、説明の便宜上、制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0156】
31 撮像部
31a 対物レンズ(撮像用レンズ)
32、132、232、332 同心円照明部
34 3次元計測部
40 制御装置(制御部)
42a 換算情報
61 赤色光源
62 緑色光源
63 青色光源
71 白色光源
72 カラーフィルタ
100、200、300、400 実装基板検査装置(検査装置)
E 部品
P 実装基板
P1 検査対象
図1
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