(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】吸引装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20241029BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241029BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022569362
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2020046703
(87)【国際公開番号】W WO2022130492
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰弘
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-527944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0274354(US,A1)
【文献】特表2019-509022(JP,A)
【文献】特開2020-058394(JP,A)
【文献】特開2011-146183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
前記生成部の動作を制御する制御部と、
互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、
前記第1の電池の温度、及び前記生成部の温度を検出する温度センサと、
を備え、
前記制御部は、前記生成部に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御する、
吸引装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の電池が前記制御部に給電するよう制御し、前記生成部に前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御する、
請求項1に記載の吸引装置。
【請求項3】
前記第1の電池は前記生成部に給電可能であり、前記第2の電池は前記制御部及び前記生成部に給電可能である、
請求項1又は2に記載の吸引装置。
【請求項4】
前記第1の電池は、全固体電池である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項5】
前記第1の電池は、積層化技術により生成された全固体電池である、
請求項4に記載の吸引装置。
【請求項6】
前記第1の電池の出力電圧は、4.2Vよりも大きい、
請求項4又は5に記載の吸引装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記温度センサにより検出された温度に基づいて、前記第1の電池及び前記第2の電池のいずれが前記生成部に給電するかを制御する、
請求項
1~6のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記温度センサにより検出された温度が所定の条件を満たす場合に前記第1の電池が前記生成部に給電するよう制御する、
請求項
7に記載の吸引装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記吸引装置が外部電源に接続された場合に、前記温度センサにより検出された温度に基づいて、前記第1の電池のみを充電するか、前記第1の電池及び前記第2の電池の双方を充電するかを切り替える、
請求項
1~8のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記吸引装置が外部電源に接続された場合に前記第1の電池及び前記第2の電池の各々を充電する、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1の電池の残量に基づいて、前記第1の電池及び前記第2の電池のいずれが前記生成部に給電するかを切り替える、
請求項1~
10のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2の電池が前記第1の電池に給電し、前記第1の電池を充電するよう制御する、
請求項1~
11のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項13】
前記吸引装置は、過電流を遮断する保護素子を含み、
前記保護素子は、前記第1の電池と前記生成部とを接続する回路上に配置される、
請求項1~
12のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項14】
前記保護素子は、前記第2の電池と前記制御部とを接続する回路上には配置されない、
請求項
13に記載の吸引装置。
【請求項15】
前記吸引装置は、前記第1の電池と前記生成部とを接続する回路上に配置され、前記第1の電池と前記生成部との間の接続のON/OFFを切り替えるスイッチをさらに備える、
請求項1~
14のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項16】
前記生成部は、前記基材を加熱することで前記エアロゾルを生成する、
請求項1~
15のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項17】
吸引装置を制御する制御方法であって、
前記吸引装置は、
エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
前記生成部の動作を制御する制御部と、
互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、
前記第1の電池の温度、及び前記生成部の温度を検出する温度センサと、
を備え、
前記制御方法は、前記生成部及び前記制御部の各々に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御すること、
を含む制御方法。
【請求項18】
吸引装置を制御するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記吸引装置は、
エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
前記生成部の動作を制御する制御部と、
互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、
前記第1の電池の温度、及び前記生成部の温度を検出する温度センサと、
を備え、
前記プログラムは、前記生成部及び前記制御部の各々に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御すること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザ等の、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、吸引装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することで、香味を味わうことができる。
【0003】
近年、吸引装置に様々な種類の電源を搭載することが検討されている。例えば、下記特許文献1では、吸引装置に、リチウムイオン電池、又は固体電池等を搭載することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1等に開示されて技術は、開発されてから未だ日が浅く、様々な観点で向上の余地が残されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、吸引装置がより適切に電池を活用することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、前記生成部の動作を制御する制御部と、互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、を備え、前記制御部は、前記生成部に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御する、吸引装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、前記第2の電池が前記制御部に給電するよう制御し、前記生成部に前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御してもよい。
【0009】
前記第1の電池は前記生成部に給電可能であり、前記第2の電池は前記制御部及び前記生成部に給電可能であってもよい。
【0010】
前記第1の電池は、全固体電池であってもよい。
【0011】
前記第1の電池は、積層化技術により生成された全固体電池であってもよい。
【0012】
前記第1の電池の出力電圧は、4.2Vよりも大きくてもよい。
【0013】
前記第1の電池は、前記生成部の近傍に配置されてもよい。
【0014】
前記吸引装置は、前記第1の電池の温度、及び前記生成部の温度を検出する温度センサをさらに備えてもよい。
【0015】
前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度に基づいて、前記第1の電池及び前記第2の電池のいずれが前記生成部に給電するかを制御してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度が所定の条件を満たす場合に前記第1の電池が前記生成部に給電するよう制御してもよい。
【0017】
前記制御部は、前記吸引装置が外部電源に接続された場合に、前記温度センサにより検出された温度に基づいて、前記第1の電池のみを充電するか、前記第1の電池及び前記第2の電池の双方を充電するかを切り替えてもよい。
【0018】
前記制御部は、前記吸引装置が外部電源に接続された場合に前記第1の電池及び前記第2の電池の各々を充電してもよい。
【0019】
前記制御部は、前記第1の電池の残量に基づいて、前記第1の電池及び前記第2の電池のいずれが前記生成部に給電するかを切り替えてもよい。
【0020】
前記制御部は、前記第2の電池が前記第1の電池に給電し、前記第1の電池を充電するよう制御してもよい。
【0021】
前記吸引装置は、過電流を遮断する保護素子を含み、前記保護素子は、前記第1の電池と前記生成部とを接続する回路上に配置されてもよい。
【0022】
前記保護素子は、前記第2の電池と前記制御部とを接続する回路上には配置されなくてもよい。
【0023】
前記吸引装置は、前記第1の電池と前記生成部とを接続する回路上に配置され、前記第1の電池と前記生成部との間の接続のON/OFFを切り替えるスイッチをさらに備えていてもよい。
【0024】
前記生成部は、前記基材を加熱することで前記エアロゾルを生成してもよい。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、吸引装置を制御する制御方法であって、前記吸引装置は、エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、前記生成部の動作を制御する制御部と、互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、を備え、前記制御方法は、前記生成部及び前記制御部の各々に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御すること、を含む制御方法が提供される。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、吸引装置を制御するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記吸引装置は、エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、前記生成部の動作を制御する制御部と、互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、を備え、前記プログラムは、前記生成部及び前記制御部の各々に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御すること、を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、吸引装置がより適切に電池を活用することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】吸引装置の第1の構成例を模式的に示す模式図である。
【
図2】吸引装置の第2の構成例を模式的に示す模式図である。
【
図3】本実施形態に係る吸引装置の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る吸引装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じて吸引装置100A、及び100Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、吸引装置100A、及び100Bを特に区別する必要が無い場合には、単に吸引装置100と称する。
【0031】
<<1.吸引装置の構成例>>
吸引装置は、ユーザにより吸引される物質を生成する装置である。以下では、吸引装置により生成される物質が、エアロゾルであるものとして説明する。他に、吸引装置により生成される物質は、気体であってもよい。
【0032】
(1)第1の構成例
図1は、吸引装置の第1の構成例を模式的に示す模式図である。
図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100Aは、電源ユニット110、カートリッジ120、及び香味付与カートリッジ130を含む。電源ユニット110は、電源部111A、センサ部112A、通知部113A、記憶部114A、通信部115A、及び制御部116Aを含む。カートリッジ120は、加熱部121A、液誘導部122、及び液貯蔵部123を含む。香味付与カートリッジ130は、香味源131、及びマウスピース124を含む。カートリッジ120及び香味付与カートリッジ130には、空気流路180が形成される。
【0033】
電源部111Aは、電力を蓄積する。そして、電源部111Aは、制御部116Aによる制御に基づいて、吸引装置100Aの各構成要素に電力を供給する。電源部111Aは、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。
【0034】
センサ部112Aは、吸引装置100Aに関する各種情報を取得する。一例として、センサ部112Aは、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により構成され、ユーザによる吸引に伴う値を取得する。他の一例として、センサ部112Aは、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。
【0035】
通知部113Aは、情報をユーザに通知する。通知部113Aは、例えば、発光する発光装置、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、又は振動する振動装置等により構成される。
【0036】
記憶部114Aは、吸引装置100Aの動作のための各種情報を記憶する。記憶部114Aは、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。
【0037】
通信部115Aは、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行うことが可能な通信インタフェースである。かかる通信規格としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。
【0038】
制御部116Aは、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100A内の動作全般を制御する。制御部116Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。
【0039】
液貯蔵部123は、エアロゾル源を貯蔵する。エアロゾル源が霧化されることで、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体である。エアロゾル源は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。吸引装置100Aがネブライザ等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。
【0040】
液誘導部122は、液貯蔵部123に貯蔵された液体であるエアロゾル源を、液貯蔵部123から誘導し、保持する。液誘導部122は、例えば、ガラス繊維等の繊維素材又は多孔質状のセラミック等の多孔質状素材を撚って形成されるウィックである。その場合、液貯蔵部123に貯蔵されたエアロゾル源は、ウィックの毛細管効果により誘導される。
【0041】
加熱部121Aは、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。
図1に示した例では、加熱部121Aは、コイルとして構成され、液誘導部122に巻き付けられる。加熱部121Aが発熱すると、液誘導部122に保持されたエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121Aは、電源部111Aから給電されると発熱する。一例として、ユーザが吸引を開始したこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部112Aにより検出された場合に、給電されてもよい。そして、ユーザが吸引を終了したこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部112Aにより検出された場合に、給電が停止されてもよい。
【0042】
香味源131は、エアロゾルに香味成分を付与するための構成要素である。香味源131は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。
【0043】
空気流路180は、ユーザに吸引される空気の流路である。空気流路180は、空気流路180内への空気の入り口である空気流入孔181と、空気流路180からの空気の出口である空気流出孔182と、を両端とする管状構造を有する。空気流路180の途中には、上流側(空気流入孔181に近い側)に液誘導部122が配置され、下流側(空気流出孔182に近い側)に香味源131が配置される。ユーザによる吸引に伴い空気流入孔181から流入した空気は、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと混合され、矢印190に示すように、香味源131を通過して空気流出孔182へ輸送される。エアロゾルと空気との混合流体が香味源131を通過する際には、香味源131に含まれる香味成分がエアロゾルに付与される。
【0044】
マウスピース124は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。マウスピース124には、空気流出孔182が配置される。ユーザは、マウスピース124を咥えて吸引することで、エアロゾルと空気との混合流体を口腔内へ取り込むことができる。
【0045】
以上、吸引装置100Aの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Aの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0046】
一例として、吸引装置100Aは、香味付与カートリッジ130を含んでいなくてもよい。その場合、カートリッジ120にマウスピース124が設けられる。
【0047】
他の一例として、吸引装置100Aは、複数種類のエアロゾル源を含んでいてもよい。複数種類のエアロゾル源から生成された複数種類のエアロゾルが空気流路180内で混合され化学反応を起こすことで、さらに他の種類のエアロゾルが生成されてもよい。
【0048】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Aによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、振動霧化、又は誘導加熱であってもよい。
【0049】
(2)第2の構成例
図2は、吸引装置の第2の構成例を模式的に示す模式図である。
図2に示すように、本構成例に係る吸引装置100Bは、電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、制御部116B、加熱部121B、保持部140、及び断熱部144を含む。
【0050】
電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、及び制御部116Bの各々は、第1の構成例に係る吸引装置100Aに含まれる対応する構成要素と実質的に同一である。
【0051】
保持部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。保持部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、保持部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。保持部140は、スティック型基材150へ供給される空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0052】
スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。基材部151は、エアロゾル源を含む。なお、本構成例において、エアロゾル源は液体に限られるものではなく、固体であってもよい。スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、基材部151の少なくとも一部は内部空間141に収容され、吸口部152の少なくとも一部は開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から内部空間141に空気が流入し、基材部151から発生するエアロゾルと共にユーザの口内に到達する。
【0053】
加熱部121Bは、第1の構成例に係る加熱部121Aと同様の構成を有する。ただし、
図2に示した例では、加熱部121Bは、フィルム状に構成され、保持部140の外周を覆うように配置される。そして、加熱部121Bが発熱すると、スティック型基材150の基材部151が外周から加熱され、エアロゾルが生成される。
【0054】
断熱部144は、加熱部121Bから他の構成要素への伝熱を防止する。例えば、断熱部144は、真空断熱材、又はエアロゲル断熱材等により構成される。
【0055】
以上、吸引装置100Bの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Bの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0056】
一例として、加熱部121Bは、ブレード状に構成され、保持部140の底部143から内部空間141に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状の加熱部121Bは、スティック型基材150の基材部151に挿入され、スティック型基材150の基材部151を内部から加熱する。他の一例として、加熱部121Bは、保持部140の底部143を覆うように配置されてもよい。また、加熱部121Bは、保持部140の外周を覆う第1の加熱部、ブレード状の第2の加熱部、及び保持部140の底部143を覆う第3の加熱部のうち、2以上の組み合わせとして構成されてもよい。
【0057】
他の一例として、保持部140は、内部空間141を形成する外殻の一部を開閉する、ヒンジ等の開閉機構を含んでいてもよい。そして、保持部140は、外殻を開閉することで、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を挟持してもよい。その場合、加熱部121Bは、保持部140における当該挟持箇所に設けられ、スティック型基材150を押圧しながら加熱してもよい。
【0058】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Bによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、誘導加熱であってもよい。
【0059】
また、吸引装置100Bは、第1の構成例に係る加熱部121A、液誘導部122、液貯蔵部123、及び空気流路180をさらに含んでいてもよく、空気流路180の空気流出孔182が内部空間141への空気流入孔を兼ねていてもよい。この場合、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと空気との混合流体は、内部空間141に流入して加熱部121Bにより生成されたエアロゾルとさらに混合され、ユーザの口腔内に到達する。
【0060】
<<2.技術的特徴>>
図3は、本実施形態に係る吸引装置100の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、吸引装置100は、第1の電池11、第2の電池12、第1の充電IC(Integrated Circuit)13、第2の充電IC14、保護素子21、FET(Field effect transistor)22、LDO(Low Dropout)23、第1の温度センサ31、第2の温度センサ32、CPU40、及び加熱部121を含む。
図3において、実線の矢印は電力の流れを示している。他方、破線の矢印は制御信号の流れを示している。
【0061】
本実施形態に係る吸引装置100は、上記説明した第1の構成例、又は第2の構成例のうち任意の構成例を取り得る。
図3に示した第1の電池11、及び第2の電池12は、
図1及び
図2に示した電源部111の一例である。第1の充電IC13、第2の充電IC14、及びCPU40は、
図1及び
図2に示した制御部116の一例である。第1の温度センサ31及び第2の温度センサ32は、
図1及び
図2に示したセンサ部112の一例である。以下では、吸引装置100により生成されたエアロゾルをユーザが吸引することを、単に「吸引」又は「パフ」とも称する。以下、各構成要素について説明する。
【0062】
加熱部121は、エアロゾル源を含有する基材を用いてユーザに吸引されるエアロゾルを生成する生成部の一例である。具体的には、加熱部121は、基材を加熱することでエアロゾルを生成する。第1の構成例におけるカートリッジ120及び香味付与カートリッジ130、並びに第2の構成例におけるスティック型基材150は、本実施形態における基材の一例である。吸引装置100は、吸引装置100に装着された基材を用いてエアロゾルを生成する。第1の構成例において、電源ユニット110に接続されたカートリッジ120及び香味付与カートリッジ130は、吸引装置100に装着された基材の一例である。第2の構成例において、吸引装置100に挿入されたスティック型基材150は、吸引装置100に装着された基材の一例である。
【0063】
第1の電池11及び第2の電池12は、互いに独立した電池である。ここでの互いに独立とは、異なる供給先に電力を供給することを指す。換言すると、互いに独立とは、同時に同一の供給先に電力を供給しないことを指す。第1の電池11及び第2の電池12は、典型的には、充電及び放電が可能な二次電池として構成される。
【0064】
第1の電池11は、全固体電池であってもよい。全固体電池とは、陽極と陰極との間のイオンの伝導を固体の電解質が担う電池である。全固体電池は、電解質が固体である故に、液体の電解質を用いる電池と比較して、様々なメリットを有することが知られている。メリットの一例は、自由な形状をとることができること、高温及び低温への動作耐性が高いこと、及び、急速な充放電が可能なことである。第1の電池11を全固体電池として構成することにより、これらのメリットを享受することが可能となる。
【0065】
図3に示すように、第1の電池11は、保護素子21、及びFET22を介して加熱部121に接続されている。そのため、第1の電池11は、加熱部121への給電が可能である。
【0066】
第1の電池11は、全固体電池であってもよい。全固体電池は、リチウムイオン電池と比較すると、形状に自由度がある上に、電解質がいわゆる液漏れのおそれのない固体である。そのため、全固体電池では、一例として、積層化技術を用いることで多数の電池セルを積み重ねたような構造にすることで高い電圧を得ることが可能である。第1の電池11は、積層化技術により生成された全固体電池であってもよい。その場合、第1の電池11は、加熱部121による加熱に有利な高い出力電圧を供給することが可能である。また、積層化により出力電圧を高くすることができるので、例えば、加熱部121に対する高出力の電圧印可を求める場合、昇圧回路を別途設ける必要がなくなる。よって、第1の電池11から加熱部121への電力供給ラインを短縮することができる。その結果、第1の電池11から加熱部121への電力供給ラインにおけるパターン抵抗分の電力消費を無くすことができる上に、昇圧回路による電圧変換における電力喪失を無くすことができるため、第1の電池11の持ちを改善することも可能となる。
【0067】
第1の電池11の出力電圧は、4.2Vよりも大きいことが望ましい。リチウムイオン電池の電圧は1セル当たり最大で4.2Vであることを考慮すれば、かかる構成により、リチウムイオン電池よりも高い電圧を出力することが可能である。
【0068】
第1の電池11は、電圧を検出する機能も有する。第1の電池11は、検出した電圧を示す情報を含む制御信号をCPU40に送信する。
【0069】
第2の電池12は、リチウムイオン電池であってもよい。他にも、第2の電池12は、全固体電池であってもよい。
図3に示すように、第2の電池12は、LDO23を介してCPU40に接続されている。そのため、第2の電池12は、CPU40への給電が可能である。また、第2の電池12は、第1の温度センサ31、第2の温度センサ32、及び第1の充電IC13の各々に接続されており、これらへの給電が可能である。第2の電池12は、電圧を検出する機能も有する。第2の電池12は、検出した電圧を示す情報を含む制御信号をCPU40に送信する。
【0070】
吸引装置100は、外部電源200に接続され得る。外部電源200は、吸引装置100に対し電力を供給する装置である。吸引装置100と外部電源200との接続には、例えばUSB(Universal Serial Bus)が用いられる。吸引装置100及び外部電源200は、USBを介して、電力の送受信、又は制御信号の送受信を行う。吸引装置100は、外部電源200に接続された場合、第1の電池11又は第2の電池12の少なくともいずれかの充電を行う。
【0071】
第1の充電IC13は、CPU40からの制御信号に基づいて、第1の電池11の充電を制御する。詳しくは、第1の充電IC13は、第1の充電IC13が外部電源200に接続され、且つ、CPU40から第1の電池11を充電するよう指示する制御信号を受信した場合、外部電源200から供給された電力を第1の電池11に供給する。これにより、第1の電池11が充電される。
【0072】
第2の充電IC14は、CPU40からの制御信号に基づいて、第2の電池12の充電を制御する。詳しくは、第2の充電IC14は、第2の充電IC14が外部電源200に接続され、且つ、CPU40から第2の電池12を充電するよう指示する制御信号を受信した場合、外部電源200から供給された電力を第2の電池12に供給する。これにより、第2の電池12が充電される。
【0073】
なお、上記説明した本実施形態例の充電構成はあくまで一例であり、本発明はかかる例に限定されない。例えば、第1の充電IC13と第2の充電IC14とが、1つのICとして構成されても良い。その場合、充電する電池についてはCPU40により選択される。どちらの電池を優先して充電するかは、例えば検出した電池の電圧により判断されても良い。また、CPU40に電力を供給している電池が優先されても良い。
【0074】
ここで、第1の電池11は加熱部121に給電可能であり、第2の電池12はCPU40に給電可能である。加熱部121の温度を所望の高温まで高めるためには、加熱部121に大電流を流すことが必要となる。この点、固体電池である第1の電池11が加熱部121に給電することで、簡易な電気回路構成により加熱部121を所望温度まで高めることが可能である。一方で、吸引装置100にかかる負荷が大きくなることを想定して、異常への対応も必要となる。この点、かかる構成によれば、加熱部121とCPU40とを電源レベルで切り離すことができるので、加熱部121への給電時においてもCPU40に対しては電源レベルにおいて安定化を図ることができる。従って、常にCPU40の動作の安定化を確保できることで、CPU40により制御された保護機能は吸引装置100の動作を常時監視することができ、安定した保護機能を実現できる。
【0075】
保護素子21は、過電流を遮断する回路である。一例として、保護素子21は、復帰性のない、過電流により発生するジュール熱により溶断するヒューズにより構成される。
図3に示すように、保護素子21は、第1の電池11と加熱部121とを接続する回路上に配置される。かかる構成により、大電流を必要とする加熱部121への保護を実現することが可能となる。他方、保護素子21は、第2の電池12とCPU40とを接続する回路上には配置されない。このように、保護素子21を加熱部121に関する回路にのみ配置することで、保護素子21をCPU40に関する回路にも配置する場合と比較して、大電流を必要とする加熱部121への保護を実現しつつ、保護素子21が作動した際にCPU40への電力を遮断せずに済む。そのため、加熱部121の異常が発生したとしても、CPU40は正常に動作可能であり、CPU40および他の検出素子による異常検知を行うことができ、更にはユーザへの異常発生の通知が可能となり、装置全体の安全性が高くなる。
【0076】
FET22は、第1の電池11と加熱部121とを接続する回路上に配置され、第1の電池11と加熱部121との間の接続のON/OFFを切り替えるスイッチである。FET22は、CPU40からの制御信号に基づいて、第1の電池11と加熱部121との間の接続のON/OFFを切り替える。FET22が第1の電池11と加熱部121との間の接続をONにした場合、第1の電池11から加熱部121に給電される。他方、FET22が第1の電池11と加熱部121との間の接続をOFFにした場合、第1の電池11から加熱部121に給電されない。
【0077】
LDO23は、第2の電池12とCPU40との間に配置される、第2の電池12から供給される電圧をCPU40が使用可能とする電圧に適切に変換して、ノイズの少ない安定化した電圧を供給する回路である。かかる構成により、CPU40に供給される電圧が安定化されるので、CPU40の動作を安定化させることが可能となる。
【0078】
第1の温度センサ31は、第1の電池11の温度、及び加熱部121の温度を検出する。一例として、第1の温度センサ31は、温度変化に対する電気抵抗の変化に基づいて温度を検出するサーミスタにより構成される。第1の温度センサ31は、検出した温度を示す情報を含む制御信号をCPU40に送信する。
【0079】
第1の温度センサ31は、第1の電池11及び加熱部121の各々の温度を検出可能な範囲に配置される。即ち、第1の温度センサ31は、第1の電池11及び加熱部121の近傍に、例えば第1の電池11及び加熱部121の各々に隣接して配置される。かかる構成によれば、第1の電池11の温度、及び加熱部121の温度を検出するために、複数の温度センサを設ける必要がなくなる。
【0080】
上述した第1の温度センサ31の配置の関係で、第1の電池11は、加熱部121の近傍に配置される。例えば、第1の電池11は、加熱部121に隣接して、又は第1の温度センサ31を挟んで加熱部121に隣接して配置される。全固体電池である第1の電池11は高温への動作耐性が高いことから、このような配置が可能となる。また、急速充電により第1の電池11が発熱し得るところ、かかる配置により、急速充電による発熱の他の構成要素への影響を軽減することが可能である。加熱部121の近傍は、断熱部144が設けられるなど加熱部121による発熱を前提に設計されているためである。さらに、第1の電池11を加熱部121の近傍に配置することで、第1の電池11から加熱部121への電力供給ラインを短縮することができる。従って、第1の電池11から加熱部121への電力供給ラインにおける電力ロスを軽減することが可能となり、第1の電池11の持ちを改善することも可能となる。
【0081】
第2の温度センサ32は、第2の電池12の温度を検出する。一例として、第2の温度センサ32は、サーミスタにより構成される。第2の温度センサ32は、検出した温度を示す情報を含む制御信号をCPU40に送信する。第2の温度センサ32は、第2の電池12の温度を検出可能な範囲に配置される。即ち、第2の温度センサ32は、第2の電池12の近傍に、例えば第2の電池12に隣接して配置される。第2の温度センサ32により検出された温度は、吸引装置100全体の温度として捉えられてもよい。
【0082】
CPU40は、吸引装置100に含まれる各構成要素との間で制御信号を送受信し、各構成要素を制御する。一例として、CPU40は、FET22のON/OFFを切り替えることで、加熱部121の動作を制御する。他の一例として、CPU40は、第1の充電IC13及び第2の充電IC14の各々を制御することで、第1の電池11及び第2の電池12の各々の充電を制御する。また、CPU40は、吸引装置100に接続された外部電源200との間で制御信号を送受信して、外部電源200から吸引装置100への給電を制御する。
【0083】
図3に示すように、
第2の電池12は
第1の電池11に給電可能である。そこで、CPU40は、第2の電池12が第1の電池11に給電し、第1の電池11を充電するよう制御してもよい。加熱部121の方がCPU40と比較して電力消費量が大きいため、第1の電池11の方が第2の電池12よりも早くに残量が低下し得る。その点、かかる構成によれば、第1の電池11の残量が低下した場合であっても、第2の電池12の電力を第1の電池11経由で加熱部121に供給することができるので、加熱部121による加熱を継続することが可能となる。
【0084】
ここで、
図3では、第1の電池11が加熱部121に接続される例を示したが、第2の電池12もまた加熱部121に接続されていてもよい。例えば、第2の電池12は、保護素子21、及びFET22を介して加熱部121に接続されてもよい。その場合、第2の電池12は加熱部121に給電可能となる。このような構成は、電池1つの構成で見られる一般的な構成であり、図示していないが、そのような構成が適用されても良い。そして、CPU40は、加熱部121に、第1の電池11又は第2の電池12のいずれが給電するかを制御してもよい。かかる構成によれば、加熱部121に対し、状況に応じて最適な給電元から給電することが可能となるので、電池を最大限活用できる。
【0085】
より詳しくは、CPU40は、第2の電池12がCPU40に給電するよう制御し、加熱部121に第1の電池11又は第2の電池12のいずれが給電するかを制御してもよい。例えば、CPU40は、通常時では第1の電池11が加熱部121に給電するよう制御する。そして、CPU40は、状況に応じて第2の電池12が加熱部121に給電するよう切り替える。かかる構成によれば、加熱部121に対し、状況に応じて最適な給電元から給電することが可能となる。以下、かかる切り替えの例を説明する。
【0086】
CPU40は、第1の温度センサ31により検出された温度に基づいて、第1の電池11及び第2の電池12のいずれが加熱部121に給電するかを制御してもよい。詳しくは、CPU40は、第1の温度センサ31により検出された温度が所定の条件を満たす場合に第1の電池11が加熱部121に給電するよう制御してもよい。他方、CPU40は、第1の温度センサ31により検出された温度が所定の条件を満たさない場合に第2の電池12が加熱部121に給電するよう制御してもよい。所定の条件の一例は、第1の温度センサ31により検出された温度が、閾値以下であることである。閾値の一例は、0℃等の低温である。その場合、低温な環境下では、低温への動作耐性が高い全固体電池である第1の電池11から加熱部121に給電させることが可能となる。閾値の他の一例は、システムで設定している動作限界を超えた高温である。例えば連続的な加熱を行った場合、ヒータ周辺は余熱の影響でシステムにて設定した第1の電池11の使用温度限界を超える場合が考えられる。こうした過度に高温である場合には第1の電池11の使用を避けることが望ましい。そこで、加熱部121から遠く装置全体とほぼ同じ温度である第2の電池12の温度を確認して、動作可能温度であれば使用することで、安全性を確保することが可能となる。
【0087】
CPU40は、第1の電池11の残量に基づいて、第1の電池11及び第2の電池12のいずれが加熱部121に給電するかを切り替えてもよい。詳しくは、CPU40は、第1の電池11の残量が閾値以上である場合に、第1の電池11が加熱部121に給電するよう制御してもよい。他方、CPU40は、第1の電池11の残量が閾値未満である場合に、第2の電池12が加熱部121に給電するよう制御してもよい。かかる構成によれば、第1の電池11の残量が低下した場合であっても加熱部121による加熱を継続することが可能となる。
【0088】
CPU40は、吸引装置100が外部電源200に接続された場合に、第1の電池11及び第2の電池12の各々を充電するよう制御してもよい。他にも、CPU40は、通常時では上記制御を行いつつ、状況に応じて他の制御を行ってもよい。
【0089】
例えば、CPU40は、吸引装置100が外部電源200に接続された場合に、第1の温度センサ31により検出された温度に基づいて、第1の電池11のみを充電するか、第1の電池11及び第2の電池12の双方を充電するかを切り替えてもよい。詳しくは、CPU40は、第1の温度センサ31により検出された温度が過度な低温である場合に、第1の電池11のみを充電するよう制御してもよい。他方、CPU40は、第1の温度センサ31により検出された温度が過度な低温ではない場合に、第1の電池11及び第2の電池12の双方を充電するよう制御する。過度な低温の一例は、0℃以下である。その場合、低温な環境下では、低温への動作耐性が高い全固体電池である第1の電池11を優先して充電することが可能となる。
【0090】
以下、
図4を参照しながら、本実施形態に係る吸引装置100により実行される処理の流れの一例を説明する。
図4は、本実施形態に係る吸引装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0091】
図4に示すように、まず、CPU40は、加熱開始を指示する操作が検出されたか否かを判定する(ステップS102)。加熱開始を指示する操作の一例は、吸引装置100に設けられたボタンの押下である。加熱開始を指示する操作の他の一例は、パフ動作である。加熱開始を指示する操作の他の一例は、スマートフォン等の他の装置からの信号の受信である。CPU40は、加熱開始を指示する操作が検出されるまで待機する(ステップS102:NO)。
【0092】
加熱開始を指示する操作が検出された場合(ステップS102:YES)、CPU40は、第1の電池11に異常が発生したか否かを判定する(ステップS104)。第1の電池11に異常が発生したと判定された場合(ステップS104:YES)、処理は終了する。
【0093】
第1の電池11に異常が発生していないと判定された場合(ステップS104:NO)、CPU40は、第1の電池11の温度が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。第1の電池11の温度が所定の条件を満たしていないと判定された場合(ステップS106:NO)、処理はステップS112に進む。
【0094】
第1の電池11の温度が所定の条件を満たしていていると判定された場合(ステップS106:YES)、CPU40は、第1の電池11の残量が閾値以上か否かを判定する(ステップS108)。第1の電池11の残量が閾値未満であると判定された場合(ステップS108:NO)、処理はステップS112に進む。
【0095】
第1の電池11の残量が閾値以上であると判定された場合(ステップS108:YES)、CPU40は、第1の電池11が加熱部121に給電するよう制御する(ステップS110)。これにより、加熱部121による加熱が開始される。
【0096】
ステップS112では、CPU40は、第2の電池12が加熱部121に給電するよう制御する。これにより、加熱部121による加熱が開始される。
【0097】
<<3.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0098】
例えば、上記実施形態では、CPU40が、第2の電池12がCPU40に給電するよう制御しつつ、加熱部121に第1の電池11又は第2の電池12のいずれが給電するかを状況に応じて切り替える例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一例として、CPU40は、第1の電池11が加熱部121に給電するよう制御しつつ、CPU40に第1の電池11又は第2の電池12のいずれが給電するかを状況に応じて切り替えてもよい。かかる構成によれば、CPU40に対し、状況に応じて最適な給電元から給電することが可能となる。
【0099】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、本明細書において説明した各装置を制御するコンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0100】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0101】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
前記生成部の動作を制御する制御部と、
互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、
を備え、
前記制御部は、前記生成部に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御する、
吸引装置。
(2)
前記制御部は、前記第2の電池が前記制御部に給電するよう制御し、前記生成部に前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御する、
前記(1)に記載の吸引装置。
(3)
前記第1の電池は前記生成部に給電可能であり、前記第2の電池は前記制御部及び前記生成部に給電可能である、
前記(1)又は(2)に記載の吸引装置。
(4)
前記第1の電池は、全固体電池である、
前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(5)
前記第1の電池は、積層化技術により生成された全固体電池である、
前記(4)に記載の吸引装置。
(6)
前記第1の電池の出力電圧は、4.2Vよりも大きい、
前記(4)又は(5)に記載の吸引装置。
(7)
前記第1の電池は、前記生成部の近傍に配置される、
前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(8)
前記吸引装置は、
前記第1の電池の温度、及び前記生成部の温度を検出する温度センサをさらに備える、
前記(7)に記載の吸引装置。
(9)
前記制御部は、
前記温度センサにより検出された温度に基づいて、前記第1の電池及び前記第2の電池のいずれが前記生成部に給電するかを制御する、
前記(8)に記載の吸引装置。
(10)
前記制御部は、
前記温度センサにより検出された温度が所定の条件を満たす場合に前記第1の電池が前記生成部に給電するよう制御する、
前記(9)に記載の吸引装置。
(11)
前記制御部は、
前記吸引装置が外部電源に接続された場合に、前記温度センサにより検出された温度に基づいて、前記第1の電池のみを充電するか、前記第1の電池及び前記第2の電池の双方を充電するかを切り替える、
前記(8)~(10)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(12)
前記制御部は、前記吸引装置が外部電源に接続された場合に前記第1の電池及び前記第2の電池の各々を充電する、
前記(1)~(10)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(13)
前記制御部は、前記第1の電池の残量に基づいて、前記第1の電池及び前記第2の電池のいずれが前記生成部に給電するかを切り替える、
前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(14)
前記制御部は、前記第2の電池が前記第1の電池に給電し、前記第1の電池を充電するよう制御する、
前記(1)~(13)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(15)
前記吸引装置は、過電流を遮断する保護素子を含み、
前記保護素子は、前記第1の電池と前記生成部とを接続する回路上に配置される、
前記(1)~(14)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(16)
前記保護素子は、前記第2の電池と前記制御部とを接続する回路上には配置されない、
前記(15)に記載の吸引装置。
(17)
前記吸引装置は、前記第1の電池と前記生成部とを接続する回路上に配置され、前記第1の電池と前記生成部との間の接続のON/OFFを切り替えるスイッチをさらに備える、
前記(1)~(16)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(18)
前記生成部は、前記基材を加熱することで前記エアロゾルを生成する、
前記(1)~(17)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(19)
吸引装置を制御する制御方法であって、
前記吸引装置は、
エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
前記生成部の動作を制御する制御部と、
互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、
を備え、
前記制御方法は、前記生成部及び前記制御部の各々に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御すること、
を含む制御方法。
(20)
吸引装置を制御するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記吸引装置は、
エアロゾル源を含有する基材を用いてエアロゾルを生成する生成部と、
前記生成部の動作を制御する制御部と、
互いに独立した第1の電池及び第2の電池と、
を備え、
前記プログラムは、前記生成部及び前記制御部の各々に、前記第1の電池又は前記第2の電池のいずれが給電するかを制御すること、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0102】
100 吸引装置
110 電源ユニット
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
120 カートリッジ
121 加熱部
122 液誘導部
123 液貯蔵部
124 マウスピース
130 香味付与カートリッジ
131 香味源
140 保持部
141 内部空間
142 開口
143 底部
144 断熱部
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
180 空気流路
181 空気流入孔
182 空気流出孔
11 第1の電池
12 第2の電池
13 第1の充電IC
14 第2の充電IC
21 保護素子
22 FET
23 LDO
31 第1の温度センサ
32 第2の温度センサ
40 CPU
200 外部電源