(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
B06B 1/14 20060101AFI20241029BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B06B1/14
B06B1/04 S
(21)【出願番号】P 2022574213
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 CN2022116145
(87)【国際公開番号】W WO2024045027
(87)【国際公開日】2024-03-07
【審査請求日】2023-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】毛路斌
(72)【発明者】
【氏名】李子昂
(72)【発明者】
【氏名】馬傑
(72)【発明者】
【氏名】湯贇
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-030188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/14
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容スペースを有するハウジングと、前記収容スペース内に収容される振動装置と、を含む振動デバイスであって、
前記振動装置は、前記ハウジングに固定される固定子と、前記収容スペース内に吊り下げられるように設置される振動子と、前記振動子を前記収容スペース内に支持する弾性支持部材と、を含み、前記固定子は前記ハウジングに固定されるコイルまたは磁石鋼を含み、前記振動子は磁石鋼またはコイルを含み、前記コイルと前記磁石鋼とが相互作用することで、前記弾性支持部材は前記振動子を前記固定子に対して振動させるように駆動して振動感を発生させ、前記振動子は前記弾性支持部材によって支持されるバッテリーをさらに含
み、
前記弾性支持部材は、前記バッテリーに固定される底板と、前記底板のエッジから折り曲がって延びる第1固定部と、前記第1固定部の一端から延びる第1弾性部と、前記第1固定部の他端から延びる第2弾性部と、前記第1弾性部と前記第2弾性部とを接続し、且つ第1固定部に対向して設置される第1接続部と、を含み、前記第1固定部、前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第1接続部は前記バッテリーの外周側に周設されており、前記第1接続部は、前記弾性支持部材を前記収容スペース内に支持するように前記ハウジングに固定される、
ことを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
前記底板は矩形を呈し、前記第1固定部と前記第1接続部はそれぞれ前記底板の長軸方向に沿って延び、前記第1弾性部と前記第2弾性部は前記底板の短軸方向に沿って延びる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第1接続部は前記底板と間隔をあけて設置されている、
ことを特徴とする請求項
2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記第1弾性部は、前記第1固定部と接続される第1弾性アームと、前記第1接続部と接続される第2弾性アームと、前記第1弾性アームと前記第2弾性アームとを接続する中間接続アームと、を含み、前記弾性支持部材は、前記中間接続アームから折り曲がって前記ハウジングまで延びかつ前記ハウジングに固定される第2固定部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
3に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記弾性支持部材は、前記底板と前記第1固定部とを接続する第2接続部を含み、前記第2接続部の前記底板の長軸方向における長さは、前記底板の長軸方向における長さよりも小さい、
ことを特徴とする請求項
4に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記バッテリーは前記第1弾性部に対向して間隔をあけて設置される側面を含み、前記磁石鋼は前記側面に固定され、前記コイルは、前記中間接続アームの前記磁石鋼に向かう表面に固定され、且つ前記磁石鋼に対向して間隔をあけて設置されている、
ことを特徴とする請求項
4に記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記磁石鋼は前記振動子の振動方向に沿って前記コイル内まで延びる、
ことを特徴とする請求項
6に記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記振動デバイスはスタイラスペンである、
ことを特徴とする請求項
7に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触覚フィードバックの技術分野に関し、特に触覚フィードバックを提供できる振動デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチフィードバック技術の発展に伴い、コンシューマーエレクトロニクス製品のうち、例えば携帯電話、タブレットなどの携帯型モバイル端末には、タッチパネルを入力装置として広く使用されている。タッチ入力をサポートする装置を操作する場合、指とスタイラスペンはユーザによって最も頻繁に使用される入力ツールである。スタイラスペンが精細な画像または文字を作成することができ、近年、ますます多くのユーザは手書き入力の代わりにスタイラスペンとモバイル端末を組み合わせた方法を採用している。ユーザのライティング体験と没入感を高めるために、通常スタイラスペン内に振動モータを設置し、ユーザがタッチ操作を行なう時に振動フィードバックを実現する。
【0003】
従来技術では、通常、振動モータデバイスをスタイラスペンに置くが、スタイラスペン自体が小型であるため、振動モータデバイスはスタイラスペンの中で大きなスペースを占める必要があり、且つコストが高い。
【0004】
従って、上記技術的課題を解決するために、新たな振動デバイスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、空間利用率が高く、かつコストが低い振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明には、振動デバイスが提供され、前記振動デバイスは、収容スペースを有するハウジングと、前記収容スペース内に収容される振動装置と、を含み、前記振動装置は、前記ハウジングに固定される固定子と、前記収容スペース内に吊り下げられるように設置される振動子と、前記振動子を前記収容スペース内に支持する弾性支持部材と、を含み、前記固定子は前記ハウジングに固定されるコイルまたは磁石鋼を含み、前記振動子は磁石鋼またはコイルを含み、前記コイルと前記磁石鋼とが相互作用することで、前記弾性支持部材は前記振動子を前記固定子に対して振動させるように駆動して振動感を発生させ、前記振動子は前記弾性支持部材によって支持されるバッテリーをさらに含む。
【0007】
好ましくは、前記弾性支持部材は、前記バッテリーに固定される底板と、前記底板のエッジから折り曲がって延びる第1固定部と、前記第1固定部の一端から延びる第1弾性部と、前記第1固定部の他端から延びる第2弾性部と、前記第1弾性部と前記第2弾性部とを接続し、且つ第1固定部に対向して設置される第1接続部と、を含み、前記第1固定部、前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第1接続部は前記バッテリーの外周側に周設されており、前記第1接続部は、前記弾性支持部材を前記収容スペース内に支持するように前記ハウジングに固定される。
【0008】
好ましくは、前記底板は矩形を呈し、前記第1固定部と前記第1接続部はそれぞれ前記底板の長軸方向に沿って延び、前記第1弾性部と前記第2弾性部は前記底板の短軸方向に沿って延びる。
【0009】
好ましくは、前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第1接続部は前記底板と間隔をあけて設置されている。
【0010】
好ましくは、前記第1弾性部は、前記第1固定部と接続される第1弾性アームと、前記第1接続部と接続される第2弾性アームと、前記第1弾性アームと前記第2弾性アームとを接続する中間接続アームと、を含み、前記弾性支持部材は、前記中間接続アームから折り曲がって前記ハウジングまで延びかつ前記ハウジングに固定される第2固定部をさらに含む。
【0011】
好ましくは、前記弾性支持部材は、前記底板と前記第1固定部とを接続する第2接続部を含み、前記第2接続部の前記底板の長軸方向における長さは、前記底板の長軸方向における長さよりも小さい。
【0012】
好ましくは、前記バッテリーは前記第1弾性部に対向して間隔をあけて設置される側面を含み、前記磁石鋼は前記側面に固定され、前記コイルは、前記中間接続アームの前記磁石鋼に向かう表面に固定され、且つ前記磁石鋼に対向して間隔をあけて設置されている。
【0013】
好ましくは、前記磁石鋼は前記振動子の振動方向に沿って前記コイル内まで延びる。
【0014】
好ましくは、前記振動デバイスはスタイラスペンである。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比べて、本発明に係る振動デバイスは、収容スペースを有するハウジングと、前記収容スペース内に収容される振動装置と、を含み、前記振動装置は、前記ハウジングに固定される固定子と、前記収容スペース内に吊り下げられるように設置される振動子と、前記振動子を前記収容スペース内に支持する弾性支持部材と、を含み、前記固定子は前記ハウジングに固定されるコイルまたは磁石鋼を含み、前記振動子は磁石鋼またはコイルを含み、前記振動子は前記弾性支持部材によって支持されるバッテリーをさらに含む。バッテリーを振動の質量とすることによって、振動質量を大きくすることで振動感を効果的に向上させるだけでなく、質量ブロックを別途設置する必要がなく、生産コストを削減するとともに、空間利用率も効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、
【
図1】
図1は、本発明に係る振動デバイスの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る振動デバイスの分解図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る振動デバイスの弾性支持部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。
【0018】
図1~5に示すように、本発明には、収容スペース10を有するハウジング1と、前記収容スペース10内に収容される振動装置2と、を含む振動デバイス100が提供される。
【0019】
前記振動装置2は、前記ハウジング1に固定される固定子21と、前記収容スペース10に吊り下げられるように設置される振動子22と、前記振動子22を前記収容スペース10内に支持する弾性支持部材23と、を含む。本実施例では、前記固定子21は前記ハウジング1に固定されるコイル211を含み、前記振動子22は磁石鋼221を含み、前記コイル211と前記磁石鋼221とが相互作用して駆動力を生じさせることで、前記弾性支持部材23は前記振動子22を前記固定子21に対して振動させるように駆動して振動感を発生させる。理解できるように、他の実施例では、前記コイル211と前記磁石鋼221との位置は交換可能であり、相互作用して駆動力を生じさせることができればよい。さらに、前記振動子22は前記弾性支持部材23によって支持されるバッテリー222を含み、前記バッテリー222を振動の質量とすることによって、良好な振動感を提供できるだけでなく、振動質量部材を別途設ける必要もなく、前記振動デバイス100内のスペースを効果的に利用し、コストを節約することができる。
【0020】
前記弾性支持部材23は、前記バッテリー222に固定される底板231と、前記底板231のエッジから折り曲がって延びる第1固定部232と、前記第1固定部232の一端から延びる第1弾性部233と、前記第1固定部232の他端から延びる第2弾性部234と、前記第1弾性部233と前記第2弾性部234とを接続し、且つ第1固定部232に対向して設置される第1接続部235と、を含み、前記第1固定部232、前記第1弾性部233、前記第2弾性部234及び前記第1接続部235は環状構造を形成して前記バッテリー222の外周側に周設されており、前記第1接続部235は、前記弾性支持部材23を前記収容スペース10内に支持するように前記ハウジング1に固定される。
【0021】
具体的には、前記底板231は矩形を呈し、前記第1固定部232と前記第1接続部235はそれぞれ前記底板231の長軸方向に沿って延び、前記第1弾性部233と前記第2弾性部234は前記底板231の短軸方向に沿って延びる。理解できるように、前記第1弾性部233と前記第2弾性部234に変形を生じさせて前記振動子22を往復振動させるようにするために、前記第1弾性部233、前記第2弾性部234及び前記第1接続部235はいずれも底板231と間隔をあけて設置されており、接続されていない。さらに、前記弾性支持部材23は前記底板231と前記第1固定部232とを接続する第2接続部236を含み、前記第2接続部236の前記底板231の長軸方向における長さは、前記底板231の長軸方向における長さよりも小さい。
【0022】
具体的には、前記第1弾性部233は、前記第1固定部232と接続される第1弾性アーム2331と、前記第1接続部235と接続される第2弾性アーム2332と、前記第1弾性アーム2331と前記第2弾性アーム2332とを接続する中間接続アーム2333と、を含み、前記弾性支持部材23は、前記中間接続アーム2333から折り曲がって前記ハウジング1まで延びかつ前記ハウジング1に固定される第2固定部237をさらに含み、このように設置することで、振動中、前記第2弾性部234、前記第1弾性アーム2331及び前記第2弾性アーム2332のみに変形が生じ、前記第2接続部236及び前記中間接続アーム2333のいずれにも変形が生じない。
【0023】
本実施例では、前記バッテリー222は前記第1弾性部233に対向して間隔をあけて設置される側面2221を含み、前記磁石鋼221は前記側面2221に固定され、前記コイル211は、前記中間接続アーム2333の前記磁石鋼221に向かう表面に固定され、且つ前記磁石鋼221に対向して間隔をあけて設置されている。十分な駆動力を提供し、前記振動装置2の振動感を向上させるために、前記磁石鋼221は前記振動子22の振動方向に沿って前記コイル211内まで延び、理解できるように、前記コイル211は中空の巻線構造であり、前記磁石鋼221は前記コイル211の中空構造内まで延びる。
【0024】
本実施例では、前記振動デバイス100はスタイラスペンであるが、他の実施例では、前記振動デバイス100はバッテリーが設けられた腕時計などの装置であってもよい。
【0025】
従来技術と比べて、本発明に係る振動デバイスは、収容スペースを有するハウジングと、前記収容スペース内に収容される振動装置と、を含み、前記振動装置は、前記ハウジングに固定される固定子と、前記収容スペース内に吊り下げられるように設置される振動子と、前記振動子を前記収容スペース内に支持する弾性支持部材と、を含み、前記固定子は前記ハウジングに固定されるコイルまたは磁石鋼を含み、前記振動子は磁石鋼またはコイルを含み、前記振動子は前記弾性支持部材によって支持されるバッテリーをさらに含む。バッテリーを振動の質量とすることによって、振動質量を大きくすることで振動感を効果的に向上させるだけでなく、質量ブロックを別途設置する必要がなく、生産コストを削減するとともに、空間利用率も効果的に高めることができる。
【0026】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。