(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】廃液飛散防止装置及び廃液飛散防止方法
(51)【国際特許分類】
B05B 15/555 20180101AFI20241029BHJP
B05B 3/10 20060101ALI20241029BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20241029BHJP
B05B 5/08 20060101ALN20241029BHJP
B05B 5/04 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
B05B15/555
B05B3/10 B
B08B3/02 A
B05B5/08 G
B05B5/04 A
(21)【出願番号】P 2023032542
(22)【出願日】2023-03-03
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】202210329088.6
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】長友 佑太
(72)【発明者】
【氏名】野北 航
(72)【発明者】
【氏名】小田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】田畑 公秀
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 武志
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-077557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 15/555
B05B 3/10
B08B 3/02
B05B 5/08
B05B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベル型の噴霧頭を有する塗装ガンの洗浄時又は試し吹き時における廃液の飛散を防止する廃液飛散防止装置であって、
前記塗装ガンの先端部を挿入するための挿入孔が形成された上壁を有する箱体と、
前記箱体の内壁に沿ってエアを噴出するエア噴出口と、
を備える、廃液飛散防止装置。
【請求項2】
請求項1記載の廃液飛散防止装置において、
前記エア噴出口は、前記箱体の上部に配置され、前記内壁に沿って前記箱体の下部に向けて前記エアを噴出する、廃液飛散防止装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の廃液飛散防止装置において、
前記エア噴出口は、スリット状に形成され、前記内壁に沿ってエアカーテンを形成する、廃液飛散防止装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の廃液飛散防止装置において、
前記エア噴出口は、円環スリット状に形成され、前記内壁に沿って円環状のエアカーテンを形成する、廃液飛散防止装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の廃液飛散防止装置において、
前記箱体の下端に、前記廃液を排出する開口を備える、廃液飛散防止装置。
【請求項6】
ベル型の噴霧頭を有する塗装ガンの洗浄時又は試し吹き時における廃液の飛散を防止する廃液飛散防止方法であって、
箱体の上壁に形成された挿入孔に前記塗装ガンの先端部を挿入する配置工程と、
前記塗装ガンを洗浄する洗浄工程と、
前記箱体に設けられたエア噴出口から前記箱体の内壁に沿っ
てエアを噴出するエア噴出工程と、
を有する廃液飛散防止方法。
【請求項7】
請求項6記載の廃液飛散防止方法において、
前記エア噴出工程では、前記箱体の前記上壁に形成された前記エア噴出口から前記内壁に沿って前記箱体の下部に向けて前記エアを噴出する、廃液飛散防止方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の廃液飛散防止方法において、
前記エア噴出工程では、スリット状に形成された前記エア噴出口から前記エアを噴出し、前記内壁に沿ってエアカーテンを形成する、廃液飛散防止方法。
【請求項9】
請求項6又は7記載の廃液飛散防止方法において、
前記エア噴出工程では、円環スリット状に形成された前記エア噴出口から前記エアを噴出し、前記内壁に沿って円環状のエアカーテンを形成する、廃液飛散防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベル型の噴霧頭を有する塗装ガンの洗浄時又は試し吹き時における廃液の飛散を防止する廃液飛散防止装置及び廃液飛散防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装ブース等においてワークに塗料を塗装する場合、ベル型の噴霧頭(ベルカップ)を有する塗装ガンを備えた回転霧化塗装装置が多く用いられている。回転霧化塗装装置は、塗装ガンのベルカップが回転する際の遠心力で微粒化(霧化)された塗料をシェーピングエアによってワークに吹き付ける。
【0003】
ワークに塗装する塗装色を変更する際に、変更前の塗料と変更後の塗料との混色を防止するために、塗装ガン内に残留する塗料をシンナー等の洗浄液により洗浄することが行われる。洗浄に用いられた洗浄液を再利用するために、洗浄液を含む廃液は、廃液回収装置を用いて回収される(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
廃液回収装置の内部において、洗浄液及び塗料を含む廃液は微粒化される。微粒化した廃液が跳ね返ることにより飛散すると、塗装ガンに再付着する。微粒化した廃液の跳ね返りによる飛散を抑制するために、特許文献1の廃液回収装置は、塗装ガンに設けられるシェーピングエア吐出部を洗浄時に囲む円筒状のカバー部材を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術を改良し、カバー部材を設けることなく、微粒化した廃液の跳ね返りによる飛散を効果的に抑制できることが望まれる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、ベル型の噴霧頭を有する塗装ガンの洗浄時又は試し吹き時における廃液の飛散を防止する廃液飛散防止装置であって、前記塗装ガンの先端部を挿入するための挿入孔が形成された上壁を有する箱体と、前記箱体の内壁に沿ってエアを噴出するエア噴出口と、を備える、廃液飛散防止装置である。
【0009】
本発明の第2の態様は、ベル型の噴霧頭を有する塗装ガンの洗浄時又は試し吹き時における廃液の飛散を防止する廃液飛散防止方法であって、箱体の上壁に形成された挿入孔に前記塗装ガンの先端部を挿入する配置工程と、前記塗装ガンを洗浄する洗浄工程と、前記箱体の内壁に沿ってエア噴出口からエアを噴出するエア噴出工程と、を有する廃液飛散防止方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、箱体の内壁に沿って噴出されるエアは、箱体内において微粒化した廃液が箱体の内壁に衝突することを抑制するため、箱体の内壁での跳ね返りによる廃液の塗装ガンへの再付着を抑制することができる。また、箱体の内壁に沿って噴出されるエアは、微粒化した廃液の舞い上がりを抑制するため、微粒化した廃液の塗装ガンへの再付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る廃液飛散防止装置の全体概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る廃液飛散防止装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す本実施形態に係る廃液飛散防止装置10は、ベル型の噴霧頭12(以下、「ベルカップ12」という)を有する塗装ガン14の洗浄時における廃液の飛散を防止するための装置である。廃液は、シンナー等の洗浄液及び塗料を含む。塗装ガン14は、ベルカップ12と、ベルカップ12を回転可能に支持する本体胴部16を備えており、例えばロボットアーム(図示せず)の先端に取り付けられる。
【0013】
ベルカップ12は、円周上に配置された多数の塗料供給孔12aを有する。ベルカップ12の背後(噴霧方向と反対側)には、シェーピングエア吐出部18が設けられる。シェーピングエア吐出部18は、シェーピングエアと呼ばれる高速空気流が吐出される出口である。塗装時に、多数の塗料供給孔12aを介してベルカップ12の内面12bに塗料が供給される。ベルカップ12の内面12bに供給された塗料は、ベルカップ12が回転する際の遠心力でカップ先端縁12cまで運ばれる。塗料は、カップ先端縁12cにて微粒化(霧化)され、被塗装物であるワーク(図示せず)に向けて放出される。
【0014】
廃液飛散防止装置10は、箱体20と、機能ユニット26とを備える。
【0015】
箱体20は、本実施形態では円筒状に形成されている。箱体20の外形形状は、円筒状に限定されるものではなく、例えば円錐台形状、直方体形状、角錐台形状等でもよい。箱体20は、上壁30と、側壁34とを有する。
【0016】
上壁30は、側壁34の上端に接続された円形の壁である。上壁30は、塗装ガン14の先端部(以下、「ガン先端部14a」ともいう)を挿入するための挿入孔31を有する。塗装ガン14の本体胴部16の軸線に垂直な断面における本体胴部16の外形は円形であるため、挿入孔31は円形に形成されている。挿入孔31は、塗装ガン14の少なくともシェーピングエア吐出部18が挿通可能な直径を有する。
【0017】
側壁34は、本実施形態では中空円筒形状に形成されている。側壁34の下端には、開口24が形成されており、箱体20は下方に開口した円筒形状に形成される。箱体20の内部の廃液は開口24から下方に排出される。開口24は側壁34の下端に接続された底壁32に形成された孔であってもよく、開口24から廃液を回収し、洗浄液を含む廃液を再利用してもよい。
【0018】
開口24から廃液を回収、再利用する場合、開口24は箱体20の底壁32に形成された孔であることが好ましく、箱体20は排気管36と廃液受容部22を備えることが好ましい。排気管36は側壁34の上部に接続され、洗浄時に塗装ガン14のシェーピングエア吐出部18から箱体20の内部に吐出されるシェーピングエアを箱体20の外部に放出する。廃液受容部22は、箱体20内の下部に配置されている。具体的には、廃液受容部22は、底壁32の上方に配置されている。廃液受容部22は、外周部に対して中央部が下方に窪む凹形状に形成されており、廃液を受容する。開口24は、廃液受容部22に接続されており、廃液受容部22内の廃液を送出する。開口24は、廃液受容部22内の廃液を効率良く送出できるように、廃液受容部22の最も低い領域に接続されている。
【0019】
機能ユニット26は、箱体20の上部に配置されている。具体的に、機能ユニット26は、箱体20の上壁30に固定され、上壁30から上方に突出する。機能ユニット26は、円形の挿入孔31に沿った円環形状に構成されている。塗装ガン14の洗浄時に、ガン先端部14aは、機能ユニット26の中空部である円形の配置孔26aに挿入され、配置される。機能ユニット26は、洗浄機構40と、エアブロー機構44と、エア噴出機構48とを備える。
【0020】
図2に示すように、洗浄機構40は、機能ユニット26の周方向に互いに間隔を置いて配置された複数の洗浄ノズル42を有する。複数の洗浄ノズル42は、箱体20の上壁30の内周部に固定された円環状の支持部材50に装着されている。洗浄ノズル42は、洗浄液を流す液体流路421と、洗浄液を吐出する洗浄液吐出口422とを有する。液体流路421は、洗浄液供給ライン52と接続されている。洗浄液吐出口422は、配置孔26aの中心に向かって配置された洗浄ノズル42の先端に設けられている。洗浄液吐出口422は、ガン先端部14aの外周面に向かって洗浄液を吐出(噴射)する。
【0021】
エアブロー機構44は、洗浄機構40の上方に配置されている。エアブロー機構44は、複数のエアノズル孔541を有する円環状のノズルブロック54と、ノズルブロック54を囲む円環状のエア供給ブロック56とを有する。複数のエアノズル孔541は、周方向に互いに間隔を置いて形成されている。各エアノズル孔541は、ノズルブロック54の内周面に向かって下方に傾斜している。各エアノズル孔541の内端は、ノズルブロック54の内周面にて開口したエア吐出口542である。
【0022】
エア供給ブロック56は、円環状のエア流路561を有する。エア流路561は、エア供給ライン58に接続されている。エア供給ライン58からエア流路561に供給されたエアは、エア流路561にて周方向に流動して複数のエアノズル孔541へと流入する。エアは、複数のエアノズル孔541のエア吐出口542から配置孔26aに向かって吐出される。
【0023】
エア噴出機構48は、箱体20の内壁(側壁34の内壁341)に沿ってエアを噴出するエア噴出口49を有する。エア噴出口49は、箱体20の上部に配置され、内壁341に沿って箱体20の下部に向けてエアを噴出する。エア噴出口49は、下方に開口する。具体的には、エア噴出口49は、スリット状に形成され、内壁341に沿ってエアカーテンACを形成する。さらに具体的には、エア噴出口49は、円環スリット状に形成され、内壁341に沿って円環状(中空円筒状)のエアカーテンACを形成する。円環スリット状のエア噴出口49は、挿入孔31と同心状に形成される。エア噴出口49の円環形状の直径は、ベルカップ12の外形よりも大きい。
【0024】
機能ユニット26は、支持部材50の内側に配置された円環状のインナリング60を有する。支持部材50の下部とインナリング60の下部との間には、下方に開口する円環状のクリアランス62が形成されている。当該クリアランス62の下端がエア噴出口49を構成する。クリアランス62は、エア供給ライン64に接続されている。エア供給ライン64からクリアランス62に供給されたエアは、エア噴出口49から下方に噴出される。エア噴出口49は、洗浄機構40(複数の洗浄ノズル42)の下方に配置されている。エア噴出口49は、洗浄液吐出口422よりも径方向外側に配置されている。
【0025】
なお、エア噴出口49は、円環状のスリットの形態に限らず、周方向に間隔を置いて配置された複数のスリットでもよい。エア噴出口49は、スリットの形態に限らず、周方向に間隔を置いて配置された複数の非スリット状の開口でもよい。エア噴出口49は、内壁341に沿ってエアを噴出できるものであればよいため、箱体20の上部に配置されることに限定されない。従って、例えば、エア噴出口49は、箱体20の下部に配置され、箱体20の下部から内壁341に沿って上方に向かってエアを噴出してもよい。エア噴出口49は、内壁341に沿って水平方向にエアを噴出してもよい。
【0026】
廃液飛散防止装置10を用いた廃液飛散防止方法は、以下のように行われる。
【0027】
例えば、ワークに塗装する塗装色を変更する場合、又は定期的な洗浄作業を行う場合に、塗装ガン14の洗浄が行われる。廃液飛散防止方法は、塗装ガン14を所定位置に配置する配置工程と、塗装ガン14を洗浄する洗浄工程と、エア噴出口49からエアを噴出するエア噴出工程とを有する。
【0028】
まず、配置工程が行われる。
図1に示すように、配置工程では、箱体20の上壁30に形成された挿入孔31に塗装ガン14の先端部(ガン先端部14a)を挿入する。具体的には、例えばロボットアームを移動させることにより、ロボットアームの先端に取り付けられたガン先端部14aが、機能ユニット26の配置孔26aを介して挿入孔31に挿入される。これにより、ガン先端部14aは、機能ユニット26の内側(配置孔26a)に配置される。このとき、複数の洗浄ノズル42と、複数のエアノズル孔541のエア吐出口542とが、ガン先端部14aの外周面と向き合う。
【0029】
次に、洗浄工程が行われる。洗浄工程は、塗装ガン14の内部流路を洗浄する内部洗浄工程と、ガン先端部14aの外周面を洗浄する外部洗浄工程とを有する。内部洗浄工程では、ベルカップ12を回転させながら塗装ガン14の内部流路に洗浄液を供給するとともに、シェーピングエア吐出部18からシェーピングエアを吐出して、廃液を噴霧する。廃液は、塗装ガン14の内部流路に残留していた塗料と、洗浄液とを含む液体である。シェーピングエアによってカップ先端縁12cで微粒化された廃液は、下方に向かって広がる噴霧パターンPを形成して、カップ先端縁12cから噴霧される。
【0030】
内部洗浄工程の後に、あるいは内部洗浄工程と並行して、外部洗浄工程が行われる。外部洗浄工程では、洗浄液供給ライン52から洗浄ノズル42の液体流路421に洗浄液が供給され、洗浄液吐出口422からガン先端部14aの外周面に向けて洗浄液が噴射される。これにより、ガン先端部14aの外周面に付着していた塗料が洗浄液によって洗い流される。
【0031】
洗浄工程の実施中に、エアブロー機構44の複数のエアノズル孔541にエアが供給され、エア吐出口542から配置孔26aに向かってエアが吐出される。エアは、配置孔26a(具体的には、機能ユニット26の内周部と塗装ガン14の外周部との間)を介して箱体20の内部空間へと導入される。これにより、内部洗浄工程においては、微粒化した廃液が、挿入孔31及び配置孔26aを介して上方に移動して廃液飛散防止装置10の外部に出ることが抑制される。外部洗浄工程においては、ガン先端部14aの外周面に衝突した洗浄液の上方への跳ね返りが抑制され、配置孔26aを介して洗浄液が廃液飛散防止装置10の外部に出ることが抑制される。また、外部洗浄工程においては、エアブロー機構44から吐出されるエアによって、ガン先端部14aに付着した洗浄液が下方に吹き飛ばされる。
【0032】
エア噴出工程は、洗浄工程の実施中に行われる。エア噴出工程では、箱体20の内壁341に沿ってエア噴出口49からエアを噴出する。具体的には、エア供給ライン64からクリアランス62にエアが供給され、エア噴出口49から下方にエアが噴出される。本実施形態ではエア噴出口49は円環状のスリットであるため、箱体20の内側に、内壁341に沿った円環状のエアカーテンACが挿入孔31と同心状に形成される。エア噴出口49から内壁341に沿って噴出されるエアにより、微粒化した廃液が内壁341に衝突することが抑制されるとともに、微粒化した廃液の舞い上がりが抑制される。
【0033】
洗浄工程の実施中、廃液は微粒化される。内部洗浄工程における廃液は、洗浄液と塗料の混合液である。外部洗浄工程における廃液は、洗浄ノズル42から噴射された洗浄液である。エア噴出口49から噴出されたエアが障壁として機能するため、エアは、微粒化した廃液が箱体20の内壁341に衝突することを抑制する。
【0034】
廃液飛散防止装置10の内部に存在する廃液は、箱体20下方の開口24から排出される。また、廃液飛散防止方法は、箱体20の下部に受容された廃液を回収する排出工程を有してもよい。具体的に、洗浄工程において発生した廃液は、
図1に示す廃液受容部22にて受容された後、廃液受容部22から開口24を介して箱体20の外部に送出されて回収される。
【0035】
廃液飛散防止装置10及び廃液飛散防止方法は、以下の効果を奏する。
【0036】
廃液飛散防止装置10は、箱体20の内壁341に沿ってエアを噴出するエア噴出口49を備える。箱体20の内壁341に沿って噴出されるエアにより、箱体20内において微粒化した廃液が内壁341に衝突することが抑制されるとともに、微粒化した廃液の舞い上がりが抑制される。従って、微粒化した廃液の塗装ガン14への再付着を抑制することができる。
【0037】
エア噴出口49は、箱体20の上部に配置され、内壁341に沿って箱体20の下部に向けてエアを噴出する。箱体20の上部から箱体20の内壁341に沿って下方にエアを噴出することで、箱体20の内部にて下方にエアの流れを生成し、微粒化した廃液が上方に舞い上がって塗装ガン14に付着することを抑制することができる。
【0038】
また、エア噴出口49から箱体20の内壁341に沿って下方に噴出されるエアにより、箱体20の外部から配置孔26aを介して箱体20の内部空間に向けて外気を引き込む吸引力が生じるため、エアブロー機構44から吐出される下向きのエアの流れが加勢される。これにより、洗浄液の跳ね返りをより効果的に抑制できるとともに、ガン先端部14aに付着した洗浄液の下方への吹き飛ばしをより効果的に行うことができる。
【0039】
エア噴出口49は、スリット状に形成され、内壁に沿ってエアカーテンACを形成する。内壁に沿ってエアカーテンACを形成することで、微粒化した廃液の跳ね返りをより効果的に抑制することができる。
【0040】
エア噴出口49は、円環スリット状に形成され、箱体20の内壁341に沿って円環状のエアカーテンACを形成する。箱体20の内壁341に沿って円環状のエアカーテンACを形成することで、微粒化した廃液の跳ね返りを一層効果的に抑制することができる。
【0041】
なお、塗装ガン14の洗浄後に、ガン先端部14aを挿入孔31に挿入したまま、塗装ガン14から塗料を噴霧する確認作業(いわゆる試し吹き)を行ってもよい。試し吹きの際に、箱体20の内壁341に沿ってエア噴出口49からエアを噴出してもよい。箱体20の内壁341に沿って噴出されるエアは、微粒化された廃液(この場合、微粒化された塗料)が内壁341に衝突することを抑制する。これにより、内壁341での跳ね返りによる廃液の塗装ガン14への再付着を抑制することができる。試し吹きの際に、エア噴出口49からのエアの噴出に加えて、エアブロー機構44からのエアの吐出を実施してもよい。
【0042】
上記の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0043】
上記の実施形態は、ベル型の噴霧頭(12)を有する塗装ガン(14)の洗浄時又は試し吹き時における廃液の飛散を防止する廃液飛散防止装置(10)であって、前記塗装ガンの先端部を挿入するための挿入孔(31)が形成された上壁(30)を有する箱体(20)と、前記箱体の内壁(341)に沿ってエアを噴出するエア噴出口(49)と、を備える、廃液飛散防止装置を開示する。
【0044】
前記エア噴出口は、前記箱体の上部に配置され、前記内壁に沿って前記箱体の下部に向けて前記エアを噴出する。
【0045】
前記エア噴出口は、スリット状に形成され、前記内壁に沿ってエアカーテン(AC)を形成する。
【0046】
前記エア噴出口は、円環スリット状に形成され、前記内壁に沿って円環状のエアカーテンを形成する。前記箱体の下端に、前記廃液を排出する開口(24)を備える。
【0047】
上記の実施形態は、ベル型の噴霧頭(12)を有する塗装ガン(14)の洗浄時又は試し吹き時における廃液の飛散を防止する廃液飛散防止方法であって、箱体(20)の上壁(30)に形成された挿入孔(31)に前記塗装ガンの先端部を挿入する配置工程と、前記塗装ガンを洗浄する洗浄工程と、前記箱体の内壁(341)に沿ってエア噴出口(49)からエアを噴出するエア噴出工程と、を有する廃液飛散防止方法を開示する。
【0048】
前記エア噴出工程では、前記箱体の前記上壁に形成された前記エア噴出口から前記内壁に沿って前記箱体の下部に向けて前記エアを噴出する。
【0049】
前記エア噴出工程では、スリット状に形成された前記エア噴出口から前記エアを噴出し、前記内壁に沿ってエアカーテン(AC)を形成する。
【0050】
前記エア噴出工程では、円環スリット状に形成された前記エア噴出口から前記エアを噴出し、前記内壁に沿って円環状のエアカーテンを形成する。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0052】
10…廃液飛散防止装置
12…噴霧頭
14…塗装ガン
20…箱体
24…開口
30…上壁
31…挿入孔
49…エア噴出口
341…内壁
AC…エアカーテン