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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】イメージセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023067847
(22)【出願日】2023-04-18
(65)【公開番号】P2024056602
(43)【公開日】2024-04-23
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】17/963,428
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 維隆
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 慶強
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-159757(JP,A)
【文献】特開2022-047438(JP,A)
【文献】特開2008-235681(JP,A)
【文献】国際公開第2021/251006(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/047422(WO,A1)
【文献】米国特許第06707075(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板上に配置され、電気的に非導電性であり、画素領域を定義する分離構造、
前記基板上に配置され、分離構造と直接接触する複数の電極、
前記分離構造の間に配置され、光の照射を吸収し、吸収した光量に対応する信号電荷を生成する活性層、
前記活性層の上に配置された封止層、および
前記封止層の上に配置されたカラーフィルタ層を含み
前記複数の電極は、アノード電極およびカソード電極であり、
前記アノード電極は接地され、前記カソード電極は読み出し回路に電気的に接続され、
前記アノード電極および前記カソード電極は、前記基板に対して垂直であり、
前記活性層は、前記複数の電極の間に形成されるイメージセンサ。
【請求項2】
前記カラーフィルタ層の上に配置された集光構造をさらに含み、
各前記集光構造は前記画素領域の1つに対応し、各前記電極の一部は、前記分離構造の1つに取り付けられる請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記分離構造上に配置されたバッファ層をさらに含み、
前記活性層の上面と前記バッファ層の最上面は同一平面上にある、または、前記活性層の前記上面は前記バッファ層の前記最上面より低く、
前記バッファ層は、電子輸送層または正孔輸送層である請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記電極は、アノード電極およびカソード電極を含み、
前記アノード電極は接地され、前記カソード電極は読み出し回路に電気的に接続され、
前記イメージセンサの上面視で、
各前記画素領域において、1つの画素領域を囲う4辺のうち、対向する一の2辺の位置に1つの前記アノード電極と1つの前記カソード電極を配置し、対向する他の2辺の位置に前記アノード電極と前記カソード電極を配置せず、
隣り合う前記複数の画素領域において、前記アノード電極と前記カソード電極を配置しない1辺が、前記アノード電極と前記カソード電極のいずれかの電極を配置する1辺と隣り合う請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記電極は、アノード電極およびカソード電極を含み、前記アノード電極は接地され、前記カソード電極は読み出し回路に電気的に接続され、前記アノード電極および前記カソード電極は、電極の対を形成し、前記電極の各対は、100nm以上の電極間隔を有する請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
前記イメージセンサの断面において、2つの隣接する前記分離構造の間の距離は、100nm以上の分離間隔を定義し、前記分離間隔は、前記電極間隔以上である請求項5に記載のイメージセンサ。
【請求項7】
各前記電極は、10nm~1000nmの間の高さを有し、
各前記電極は、10nm~500nmの間の幅を有し、各前記電極の幅に対する高さの比率は、3以下であり、前記分離構造は前記電極より高い請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項8】
各前記分離構造は、20nm~1500nmの間の高さを有し、
各前記分離構造は、10nm~200nmの間の幅を有する請求項1に記載のイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサに関するものであり、特に、活性層(active layer)と封止層の間に透明電極がないイメージセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサ(例えば、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサなど)は、デジタル静止画カメラ、デジタルビデオカメラなどの様々な撮像装置に広く用いられている。イメージセンサの光検知部は、各画素に形成され、信号電荷が光検知部で受光した受光量に応じて発生される。また、光検知部で発生した信号電荷が伝達されて増幅されることにより、画像信号が得られる。
【0003】
近年、イメージセンサ(CMOSイメージセンサに代表される)の画素サイズは、より高精細な画像を提供するように、単位面積あたりの画素数を増やすために縮小される傾向にある。しかしながら、画素サイズは縮小し続けているが、イメージセンサの設計と製造には依然として様々な課題がある。例えば、画素間の電気信号のクロストークは、画素サイズが小さくなると深刻な問題となり、イメージセンサの性能に悪影響を及ぼす可能性がある。画素間の電気信号の深刻なクロストークを引き起こすことなく、画素サイズをさらに縮小するには、新しい製造技術も必要である。従って、これらの、および関連する問題は、画像センサーの設計と製造を改善することによって対処する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
活性層と封止層の間に透明電極がないイメージセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサが提供される。イメージセンサは、基板、および基板上に配置された分離構造を含む。分離構造は電気的に非導電性であり、画素領域を定義する。イメージセンサは、基板上に配置され、分離構造と直接接触する電極も含む。イメージセンサは、分離構造の間に配置された活性層をさらに含む。さらに、イメージセンサは、活性層の上に配置された封止層を含む。イメージセンサは、封止層の上に配置されたカラーフィルタ層も含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、各電極の一部は、分離構造の1つに取り付けられる。
【0007】
いくつかの実施形態では、イメージセンサは、分離構造上に配置されたバッファ層をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、活性層の上面とバッファ層の最上面は同一平面上にあるか、または活性層の上面は、バッファ層の最上面より低い。
【0009】
いくつかの実施形態では、バッファ層は、電子輸送層または正孔輸送層である。
【0010】
いくつかの実施形態では、電極は、アノード電極およびカソード電極を含み、アノード電極は接地され、カソード電極は読み出し回路に電気的に接続される。
【0011】
いくつかの実施形態では、アノード電極およびカソード電極は、基板に対して垂直である。
【0012】
いくつかの実施形態では、上面図からは、各画素領域は、4つの電極に対応する。
【0013】
いくつかの実施形態では、上面図からは、各画素領域は、2つのアノード電極および2つのカソード電極によって囲まれている。
【0014】
いくつかの実施形態では、上面図からは、各画素領域は、3つのアノード電極および1つのカソード電極によって、または1つのアノード電極および3つのカソード電極によって囲まれている。
【0015】
いくつかの実施形態では、アノード電極およびカソード電極は、電極の対を形成し、電極の各対は、約100nm以上の電極間隔を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、断面図からは、任意の2つの隣接する分離構造の間の距離は、約100nm以上の分離間隔を定義する。
【0017】
いくつかの実施形態では、分離間隔は、電極間隔以上である。
【0018】
いくつかの実施形態では、各電極は、10nm~1000nmの間の高さを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、各電極は、10nm~500nmの間の幅を有する
【0020】
いくつかの実施形態では、各電極の幅に対する高さの比率は、3以下である。
【0021】
いくつかの実施形態では、分離構造は電極より高い。
【0022】
いくつかの実施形態では、各分離構造は、20nm~1500nmの間の高さを有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、各分離構造は、10nm~200nmの間の幅を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、イメージセンサは、カラーフィルタ層の上に配置された集光構造をさらに含む。各集光構造は画素領域の1つに対応する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、クロストークにより、イメージセンサの性能に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサの一部を示す断面図である。
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサの製造の一段階におけるイメージセンサの一部を示す断面図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサの製造の一段階におけるイメージセンサの一部を示す断面図である。
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサの製造の一段階におけるイメージセンサの一部を示す断面図である。
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサの製造の一段階におけるイメージセンサの一部を示す断面図である。
図6図6は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサの製造の一段階におけるイメージセンサの一部を示す断面図である。
図7図7は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサの製造の一段階におけるイメージセンサの一部を示す断面図である。
図8図8は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサの製造の一段階におけるイメージセンサの一部を示す断面図である。
図9図9は、イメージセンサの一部の例を示す断面図である。
図10図10は、本開示のいくつかの他の実施形態によるイメージセンサの一部を示す上面図である。
図11図11は、図10の線A-A’に沿ったイメージセンサの一部の断面図である。
図12図12は、本開示のいくつかの別の実施形態によるイメージセンサの一部を示す上面図である。
図13図13は、図12の線B-B’に沿ったイメージセンサの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次の開示では、異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施形態または実施例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、下記の開示において、第1の特徴が第2の特徴の上に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴間に形成される複数の実施形態を含むこともできる。
【0028】
追加のステップが、例示された方法の前、間、または後に実施されてもよく、例示された方法のその他の実施形態では、いくつかのステップが置き換えられるか、または省略されてもよい。
【0029】
さらに、「下の方」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴の、別の(複数の)要素と(複数の)特徴との関係を記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0030】
本開示では、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、一般的に、記載されている値の+/-20%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-10%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-5%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-3%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-2%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-1%を意味し、さらにより一般的に、記載されている値の+/-0.5%を意味する。本開示で記載されている値は、近似値である。即ち、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語の具体的な説明がないとき、記載されている値は、「約」、「およそ」、および「実質的に」の意味を含む。
【0031】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されない。
【0032】
本開示は、以下の実施形態において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、説明される様々な実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0033】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサ100の一部を示す断面図である。図2図8は、本開示のいくつかの実施形態によるイメージセンサ100の製造の様々な段階におけるイメージセンサ100の一部を示す断面図である。イメージセンサ100のいくつかの部品は、簡潔にするために図1図8では省略されていることに留意されたい。
【0034】
図1に示すように、イメージセンサ100は、基板10、および基板10上に配置された分離構造14を含む。分離構造14は、電気的に非導電性であり、画素領域Pを定義する。イメージセンサ100は、基板10上に配置され、分離構造14と直接接触する電極(例えば、アノード電極12Aおよびカソード電極12C)も含む。イメージセンサ100は、分離構造14の間に配置された活性層18Rをさらに含む。さらに、イメージセンサ100は、活性層18Rの上に配置された封止層20を含む。イメージセンサ100は、封止層20の上に配置されたカラーフィルタ層22も含む。
【0035】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、イメージセンサ100は、分離構造14上に配置されたバッファ層16を含む。さらに、いくつかの実施形態では、イメージセンサ100は、カラーフィルタ層22の上に配置された集光構造24をさらに含む。各集光構造24は画素領域Pの1つに対応する(複数の集光構造24のが複数の画素領域Pとそれぞれ対応する)が、本開示はこれに限定されない。
【0036】
図2図8は、イメージセンサ100の製造の様々な段階におけるイメージセンサ100の一部を示している。図2に示すように、基板10が提供される。基板10は、例えば、ウェハまたはチップであり得るが、本開示は、それに限定されない。基板10は、半導体基板、例えば、シリコーン基板であってもよい。さらに、半導体基板は、ゲルマニウムを含む元素半導体、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、ヒ素化インジウム(InAs)、および/またはアンチモン化インジウム(InSb)を含む化合物半導体、シリコンゲルマニウム(SiGe)合金、リン化ガリウム砒素(GaAsP)合金、リン化アルミニウムインジウム(AlInAs)合金、リン化アルミニウムガリウム(AlGaAs)合金、リン化ガリウムインジウム(GaInAs)合金、リン化ガリウムインジウム(GaInP)合金、および/またはリン化ガリウムインジウム砒素(GaInAsP)合金、或いはそれらの組み合わせを含む合金半導体であってもよい。
【0037】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、基板10のいくつかの部分は接地され(例えば、部分G)、基板10は少なくとも1つの読み出し回路Cを含む。いくつかの実施形態では、基板10は、シャロートレンチアイソレーション(STI)領域またはディープトレンチアイソレーション(DTI)領域など、これらの部品を分離する分離領域(図示せず)を含む。分離領域は、エッチングプロセスを用いて基板10に形成されてトレンチを形成し、トレンチを絶縁材料または誘電体材料で充填することができるが、本開示はこれに限定されない。
【0038】
図3に示すように、アノード電極12Aおよびカソード電極12Cなどの電極が基板10上に形成される。例えば、電極は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、それらの合金、またはそれらの組み合わせを含むことができ、電極は、蒸着プロセスおよびパターニングプロセスによって形成されることができるが、本発明はこれらに限定されない。さらに、この実施形態では、アノード電極12Aおよびカソード電極12Cは、基板10に対して垂直である。
【0039】
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、アノード電極12Aは接地され(G)、カソード電極12Cは読み出し回路Cに電気的に接続される。いくつかの実施形態では、アノード電極12Aおよびカソード電極12Cは、電極の対を形成し、電極の各対は、約100nm以上の電極間隔S12を有する。ここでは、電極間隔S12は、1つのアノード電極12Aと対応するカソード電極12Cとの間の距離として定義することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、各電極は、約10nm~約1000nmの間の高さH12を有する。いくつかの実施形態では、各電極は、約10nmから約500nmの間の幅W12を有する。さらに、いくつかの実施形態では、各電極の幅に対する高さの比率(H12/W12)は、約3以下である。
【0041】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、分離構造14が基板10上に形成される。分離構造14は、電気的に非導電性であり、画素領域Pを定義する。図4に示されるように、電極(例えば、アノード電極12Aおよびカソード電極12C)は、分離構造14と直接接触している。いくつかの実施形態では、各電極の一部は、分離構造14の1つに取り付けられる。分離構造14を形成することにより、後続して形成される活性層(例えば、後続して形成された活性層18R)が対応する画素領域P内に形成されることができるため、画素領域P間の活性層18R内の電子/正孔クロストークが防止される。
【0042】
分離構造14は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フォトレジスト、他の適切な材料、またはそれらの組み合わせなどの電気的非導電性材料を含むことができる。分離構造14の形成は、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、スピンコーティング、それらの組み合わせなどの適切な堆積技術を用いることを含むことができる。分離構造14の材料が堆積された後、フォトリソグラフィおよびエッチングプロセスが行われ、分離構造14を形成する。分離構造14の断面プロファイルは、所望の形状を得るためにエッチング条件によって調整されることができる。例えば、分離構造14は、断面視で長方形、台形、逆台形、または三角形を有することができるが、本発明はこれらに限定されない。なお、図4の例では、断面視で、アノード電極12Aおよびカソード電極12Cは矩形状に形成され、分離構造14は台形状に形成され、分離構造14の下部の幅は、分離構造14の上部の幅より大きい。
【0043】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、イメージセンサの断面において、2つの隣接する分離構造14の間の距離は、約100nm以上の分離間隔S14を定義する。いくつかの実施形態では、分離間隔S14は、電極間隔S12(図3を参照)以上である。つまり、分離構造14の間の距離は、アノード電極12Aとカソード電極12Cとの間の距離より長い。図4に示されるように、いくつかの実施形態では、分離構造14の高さは電極(例えば、アノード電極12Aおよびカソード電極12C)の高さより高い。いくつかの実施形態では、各分離構造14は、約20nm~約1500nmの間の高さH14を有する。いくつかの実施形態では、各分離構造14は、約10nm~約200nmの間の幅W14を有する。ここでは、各分離構造14の幅W14は、各分離構造14の最大幅として定義されることができる。
【0044】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、バッファ層16が分離構造14上に形成される。より詳細には、バッファ層16は、分離構造14の上面と側壁、電極(例えば、アノード電極12Aおよびカソード電極12C)の上面と側壁の一部、および基板10の上面の一部に形成されることができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0045】
いくつかの実施形態では、バッファ層16は、電子輸送層(ETL)または正孔輸送層(HTL)である。例えば、バッファ層16は二酸化チタン(TiO)を含むことができるが、本開示はこれに限定されない。
【0046】
図6に示すように、いくつかの実施形態では、活性材料18が分離構造14上に形成される。より詳細には、活性材料18は、分離構造14の間に形成され、分離構造14を覆うことができる。
【0047】
例えば、活性材料18は、光の照射を吸収し、吸収した光量に対応する信号電荷を生成する光電変換材料、例えば、有機材料、ペロブスカイト材料、量子ドット材料、他の適切な材料、またはそれらの組み合わせなどを含むことができる。活性材料18は、スピンコーティング、熱蒸着、それらの組み合わせなどを含む堆積プロセスによって形成され得るが、本開示はこれらに限定されない。
【0048】
図7に示すように、いくつかの実施形態では、活性材料18の一部が除去されて、分離構造14間に配置される活性層18Rを形成する。例えば、活性材料18は、化学機械研磨(CMP)プロセスなどの平坦化プロセスで平坦化されることができるが、本開示はこれに限定されない。活性材料18の一部も、エッチングプロセスによって除去されることができる。より詳細には、分離構造14およびバッファ層16の上にある活性材料18の部分が除去され、画素領域P間の電気的クロストークを回避する(即ち、導電線を切断する)ことができる。
【0049】
図7に示されるように、いくつかの実施形態では、活性層18Rの上面18RTとバッファ層16の最上面16Tは同一平面上にある。いくつかの他の実施形態では、活性層18Rの上面18RTは、バッファ層16の最上面16Tより低い。すなわち、高さ方向(図7の紙面上で上下方向)で、活性層18Rの上面18RTがバッファ層16の最上面16T以下になるように、活性層18Rとバッファ層16のそれぞれの高さが調整されるとよい。従って、画素領域P間の活性層18R内の電子/正孔クロストークが防止されることになり、クロストークがイメージセンサの性能に悪影響を及ぼすことなく、より小さな画素サイズのイメージセンサを形成することができる。
【0050】
図8に示すように、いくつかの実施形態では、封止層20が活性層18Rの上に形成される。封止層20は、活性層18Rの上面18RT及びバッファ層16の最上面16Tと直接接触するように、封止層20が活性層18Rの上に形成することができる。例えば、封止層20は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、他の適切な材料、またはそれらの組み合わせを含むことができる。封止層20の形成は、CVD、ALD、スピンオンコーティング、それらの組合せなどの適切な堆積技術を用いることを含むことができる。さらに、封止層20は、化学機械研磨(CMP)プロセスなどの平坦化プロセスで平坦化され、実質的に平坦な上面を形成することができるが、本開示はこれに限定されない。
【0051】
次いで、図1に示されように、カラーフィルタ層22が封止層20の上に形成される。図1に示されるように、いくつかの実施形態では、カラーフィルタ層20は、画素領域Pに対応するカラーフィルタセグメントを有する(または分割される)。図9は、イメージセンサ100の一部の一例を示す断面図である。図9に示されるように、カラーフィルタ層22は、青色カラーフィルタセグメント22B、緑色カラーフィルタセグメント22G、および赤色カラーフィルタセグメント22Rを有することができるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの他の実施形態では、カラーフィルタ層22は、他のカラーフィルタセグメントを有する(または分割される)。例えば、カラーフィルタ層22は、イエローカラーフィルタセグメント、ホワイトカラーフィルタセグメント、シアンカラーフィルタセグメント、マゼンタカラーフィルタセグメント、またはIR/NIRカラーフィルタセグメントを有することができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0052】
図1および図9に示されるように、いくつかの実施形態では、集光構造24がカラーフィルタ層22の上に形成される。集光構造24は、ガラス、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、その他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、本開示はこれらに限定されない。例えば、集光構造24は、フォトレジストリフロー法、ホットエンボス法、任意のその他の適用可能な方法、またはそれらの組み合わせによって形成されることができる。さらに、集光構造24を形成するステップは、スピンコーティングプロセス、リソグラフィプロセス、エッチングプロセス、他の適用可能なプロセス、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0053】
図1および図9に示されるように、いくつかの実施形態では、各集光構造24は、1つのカラーフィルタセグメント(例えば、青色カラーフィルタセグメント22B、緑色カラーフィルタセグメント22G、または赤色カラーフィルタセグメント22R)に対応するが、本開示はこれらに限定されない。いくつかの他の実施形態では、各集光構造24は4つの画素領域Pに対応し、4つの画素領域Pは2×2配列(二次フォトダイオード(QPD)と呼ばれることもできる)を形成する。或いは、いくつかの他の実施形態では、各集光構造24は、2つの画素領域P(デュアルフォトダイオード(DPD)と呼ばれることもできる)に対応する。
【0054】
集光構造24は、マイクロレンズであることができる。例えば、マイクロレンズは、半凸レンズまたは凸レンズを含むことができるが、本開示はこれらに限定されない。集光構造24は、マイクロピラミッド構造(例えば、円錐、四角錐など)、またはマイクロ台形構造(例えば、円錐台、四角錐台など)であってもよい。或いは、集光構造24は、屈折率勾配(gradient-index)構造であってもよい。
【0055】
図10は、本開示のいくつかの他の実施形態によるイメージセンサ102の一部を示す上面図である。図11は、図10の線A-A’に沿ったイメージセンサ102の一部の断面図である。同様に、イメージセンサ102のいくつかの部品は、簡潔にするために、図10および図11では省略されている。
【0056】
図10に示されるように、いくつかの実施形態では、上面視で(上面図からは)、Bと表記された青色カラーフィルタセグメント、Gと表記された緑色カラーフィルタセグメント、またはRと表記された赤色カラーフィルタセグメントなどのカラーフィルタセグメントが、複数のモザイクパターンMPを形成し、各モザイクパターンMPは、1つの青色カラーフィルタセグメントB、2つの緑色カラーフィルタセグメントG、および1つの赤色カラーフィルタセグメントRを含むことができるが、本開示はこれに限定されない。モザイクパターンMPはRGGBベイヤーパターンと呼ばれることがある。
【0057】
図10および図11に示すように、いくつかの実施形態では、各画素領域Pは、1つのカラーフィルタセグメント(例えば、Bと表記された青色カラーフィルタセグメント、Gと表記された緑色カラーフィルタセグメント、またはRと表記された赤色カラーフィルタセグメント)に対応し、各カラーフィルタセグメントは4つの電極によって囲まれている。即ち、いくつかの実施形態では、イメージセンサ102の上面視で(上面図からは)、各画素領域Pは、図10に示されるように4つの電極に対応する。より詳細には、図10に示されるように、いくつかの実施形態では、イメージセンサ102の上面視で(上面図からは)、各画素領域Pは、2つのアノード電極12Aおよび2つのカソード電極12Cによって囲まれている。言い換えると、1つの画素領域Pは、2つのアノード電極12Aおよび2つのカソード電極12Cによって囲まれている。
【0058】
図12は、本開示のいくつかの他の実施形態によるイメージセンサ104の一部を示す上面図である。図13は、図12の線B-B’に沿ったイメージセンサ104の一部の断面図である。同様に、イメージセンサ104のいくつかの部品は、簡潔にするために、図12および図13では省略されている。
【0059】
同様に、図12に示されるように、各モザイクパターンMPは、RGGBベイヤーパターンと呼ばれることがある1つの青色フィルタセグメントB、2つの緑色フィルタセグメントG、および1つの赤色カラーフィルタセグメントRを含むことができるが、本開示はこれに限定されない。図12および図13に示すように、いくつかの実施形態では、各領域Pは、1つのカラーフィルタセグメント(例えば、Bと表記された青色カラーフィルタセグメント、Gと表記された緑色フィルタセグメント、またはRとマークされた赤色カラーフィルタセグメント)に対応し、各カラーフィルタセグメントは4つの電極によって囲まれている。即ち、いくつかの実施形態では、イメージセンサ104の上面視で(上面図からは)、各領域Pは、図12に示されるように4つの電極に対応する。より詳細には、図12に示されるように、いくつかの実施形態では、イメージセンサ104の上面視で(上面図からは)、各画素領域Pは、3つのアノード電極12Aおよび1つのカソード電極12Cによって、または1つのアノード電極12Aおよび3つのカソード電極12Cによって囲まれている。言い換えると、1つの画素領域Pは、3つのアノード電極12Aおよび1つのカソード電極12Cによって、または1つのアノード電極12Aおよび3つのカソード電極12Cによって囲まれている。
【0060】
要約すると、本開示の実施形態のイメージセンサは分離構造を含み、各電極の一部は分離構造の1つに取り付けられることができるため、画素間の有機材料内の電子/正孔クロストークが防止されることになり、クロストークがイメージセンサの性能に悪影響を及ぼすことなく、より小さな画素サイズのイメージセンサを形成することができる。
【0061】
さらに、本開示の実施形態のイメージセンサは、スパッタプロセスを用いずに製造されることができ、直ちに封止されることができ、プロセス時間およびコストを効果的に減少することができる。さらに、本開示の実施形態のイメージセンサは、活性層と封止層の間の透明電極なしで形成されるため、界面反射を減少させる。
【0062】
上述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できる。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は請求項を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0063】
本明細書全体にわたる特徴、利点、または同様の用語への言及は、本開示で実現され得る全ての特徴および利点が、本開示の任意の単一の実施形態で実現されるべきまたは実現され得ることを意味するのではない。むしろ、特徴および利点に言及する用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。従って、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに類似の用語の議論は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指すことがある。
【0064】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、本開示の説明された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせることとしてもよい。当業者は、本明細書の説明に基づいて、特定の実施形態の1つまたは複数の特定の特徴または利点なしに本開示を実施できることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての実施形態に存在しない可能性がある、追加の特徴および利点が特定の実施形態において認識され得る。
【符号の説明】
【0065】
100、102、104 イメージセンサ
10 基板
12A アノード電極
12C カソード電極
14 分離構造
16 バッファ層
16T バッファ層の最上面
18 活性材料
18R 活性層
18RT 活性層の上面
20 封止層
22 カラーフィルタ層
22B 青色カラーフィルタセグメント
22G 緑色カラーフィルタセグメント
22R 赤色カラーフィルタセグメント
24 集光構造
A-A’、B-B’ 線
B 青色カラーフィルタセグメント
C 読み出し回路
G 緑色カラーフィルタセグメント
H12 電極の高さ
H14 分離構造の高さ
P 画素領域
R 赤色カラーフィルタセグメント
S12 電極間隔
S14 分離間隔
W12 電極の幅
W14 分離構造の幅
MP モザイクパターン
図1
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図13